JP2013097909A - 色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池 - Google Patents

色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い短絡電流密度と変換効率が得られ、耐久性に優れた色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池を提供する。
【解決手段】酸化還元性の電解質として一般式(1)〜(7)で表されるいずれかのハロゲン化合物塩と、コロイダルシリカと、有機溶媒と、を含有させた色素増感太陽電池用電解液を用いることで、短絡電流密度と変換効率を大きく向上することができ、かつ、優れた耐久性を有する色素増感太陽電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、高い短絡電流密度と変換効率、及び、優れた耐久性を有する色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池に関する。
近年、可視光域を吸収する増感色素を半導体層に担持させた色素増感太陽電池について検討が行われている。この色素増感太陽電池は、使用する材料が安価であることや比較的シンプルなプロセスで製造できること等の利点を有しており、その実用化が期待されている。
色素増感太陽電池は、一般に、透明導電膜付き透明基体上に金属酸化物半導体の多孔質膜を形成させ、その表面に増感色素を吸着させたアノード電極(半導体電極)と、導電性基体に触媒層を形成させたカソード電極(対極)とが対向して配置され、その間に電解液が封止された構造となっている。半導体電極に光が入射すると、増感色素が可視光を吸収して励起状態となり、増感色素から半導体電極に電子が注入され、集電体を通して外部に電流が取り出される。一方、増感色素の酸化体は電解液中の酸化還元対により還元されて再生する。酸化された酸化還元対は、半導体電極に対向して設置された対極表面の触媒層で還元されてサイクルが一周する。
従来、色素増感太陽電池用の電解液として、ヨウ化リチウムやヨウ化物塩とヨウ素をメトキシアセトニトリルやアセトニトリルに溶解させたものが一般的に用いられている(特許文献1)。ヨウ化物塩およびヨウ素は電解液中でI及びI を形成し、酸化還元対として両電極間の電荷キャリアとして機能している。
色素増感太陽電池の特性としては、高い短絡電流密度と変換効率が求められている。また、電解液の液漏れが心配されるため、液漏れしない耐久性に優れた電解液が求められている。短絡電流密度や変換効率を向上させるため、電解質や溶媒の検討が行われている。
特許文献1には、変換効率等の特性を向上させる目的で、粘度の低い溶媒を用いた色素増感太陽電池が開示されているが、粘度が低いため、電解液の液漏れが生じやすいため、耐久性に劣る欠点があった。
特許文献2には、イオン液体と酸化ケイ素及び/又は金属酸化物と、カーボンブラックを含有させ、ヨウ素を実質的に含まない電解液を用いた色素増感太陽電池が開示されているが、ヨウ素を含まないため、短絡電流密度や変換効率が大幅に劣る欠点があった。
また、特許文献3に開示されているように、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーや低分子のゲル化剤等を電解液中に添加し、エチレン性不飽和基を有した多官能性モノマーを溶媒中で重合させる等の方法でこれらの溶媒をゲル化することで、液漏れを防止する方法もあるが、該ゲル化剤を添加すると短絡電流密度と変換効率が低下する欠点があった。
従って、高い短絡電流密度と変換効率が得られ、かつ、優れた耐久性を有する色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池が望まれている。
特開2010−244857号公報 特開2010−262817号公報 特開2010−251298号公報
したがって、本発明は、上記課題に鑑み、高い短絡電流密度と変換効率が得られ、優れた耐久性に優れる色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、酸化還元性の電解質としてハロゲン化合物塩と、コロイダルシリカを含有させた色素増感太陽電池用電解液を用いることで短絡電流密度と変換効率を大きく向上することができ、かつ優れた耐久性を有する色素増感太陽電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示すものである。
第一の発明は、コロイダルシリカと、酸化還元性の電解質として下記一般式(1)〜(7)で表されるいずれかのハロゲン化合物塩と、有機溶媒と、を含有することを特徴とする色素増感太陽電池用電解液である。
Figure 2013097909
(式(1)〜(7)中、R〜R30は、それぞれ同一でも異なっても良い水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、水酸基であり、隣接R同士は連結し、炭素数2〜6のアルキレン基を形成しても良い。Xは、ヨウ素イオン又は臭素イオンである。)
第二の発明は、色素増感太陽電池用電解液中のコロイダルシリカの含有量が、1〜60質量%であることを特徴とする第一の発明に記載の色素増感太陽電池用電解液である。
第三の発明は、有機溶媒として、ニトリル、ラクトン、環状カーボネート、下記一般式(8)で表される鎖状スルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒を含むことを特徴とする第一又は第二の発明に記載の色素増感太陽電池用電解液である。
Figure 2013097909
(一般式(8)中、R31、R32は独立して、ハロゲン、アルコキシ基若しくは芳香環で一部置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基を表す。)
第四の発明は、導電層上に多孔質の金属酸化物半導体層を形成し、該金属酸化物半導体層に光増感作用を有する色素を吸着させてなる光電極と、前記光電極に対向配置される対極、及び前記光電極と対極間に形成され、電解液を含む電解質層とを有する色素増感太陽電池であって、
前記電解液が第一から第三の発明のいずれかに記載の色素増感太陽電池用電解液であることを特徴とする色素増感太陽電池である。
本発明の色素増感太陽電池用電解液を用いた色素増感太陽電池は、高い短絡電流密度と変換効率が得られるとともに、電解液の液漏れがないため、耐久性に優れる特徴を有している。
本発明の色素増感太陽電池の構成の一例を示す断面模式図である。
コロイダルシリカと、酸化還元性の電解質として下記一般式(1)〜(7)で表されるいずれかのハロゲン化合物塩と、有機溶媒と、を含有することを特徴とする色素増感太陽電池用電解液とそれを用いた色素増感太陽電池である。
Figure 2013097909
一般式(1)〜(7)中、R〜R30は、それぞれ同一でも異なっても良い水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、水酸基であり、隣接R同士は連結し、炭素数2〜6のアルキレン基を形成しても良い。Xは、ヨウ素イオン又は臭素イオンである。
一般式(1)で表されるハロゲン化合物塩のカチオン部の具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、ジメチルエチルメトキシエチルアンモニウム、ジメチルエチルメトキシメチルアンモニウム、ジメチルエチルエトキシエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ジメチルエチルプロピルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム、ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウム、スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウム、ジメチルピロリジニウム、メチルエチルピロリジニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メトキシメチルピロリジニウム、メトキシエチルピロリジニウム等が挙げられる。
これらの中でも、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム、ジメチルピロリジニウム、メチルエチルピロリジニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メトキシメチルピロリジニウム、メトキシエチルピロリジニウムが特に好ましく挙げられる。
一般式(2)で表されるハロゲン化合物塩のカチオン部の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメトキシアミン、ジメチルメトキシアミン、ジメチルエトキシアミン、ジエチルエトキシアミン、メチルエチルメトキシアミン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−プロピルピロリジン、N−イソプロピルピロリジン、N−ブチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−プロピルピペリジン、N−イソプロピルピペリジン、N−ブチルピペリジン等が挙げられる。
これらの中でも、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、N−メチルピロリジンが特に好ましく挙げられる。
一般式(3)で表されるハロゲン化合物塩のカチオン部の具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルイソプロピルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イソプロピルブチルアミン等が挙げられる。
これらの中でも、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミンが特に好ましく挙げられる。
一般式(4)で表されるハロゲン化合物塩のカチオン部の具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジプロピルイミダゾリウム、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチル−イミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム等が挙げられる。
これらの中でも、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムが特に好ましく挙げられる。
一般式(5)で表されるハロゲン化合物塩のカチオン部の具体例としては、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。
これらの中でも特に、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウムが好ましく挙げられる。
一般式(6)で表されるハロゲン化合物塩のカチオン部の具体例としては、1,2−ジメチルピラゾリウム、1−メチル−2−エチルピラゾリウム、1,2−ジエチルピラゾリウム、1,2−ジプロピルピラゾリウム、1,2−ジブチルピラゾリウム、1−メチル−2−プロピルピラゾリウム、1−メチル−2−ブチルピラゾリウム、1−メチル−2−ヘキシルピラゾリウム、1−メチル−2−オクチルピラゾリウム、1−メチル−2−ドデシルピラゾリウム、1,2,3,5−テトラメチルピラゾリウム、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウム、1−エチル−3−メトキシ−2,5−ジメチルピラゾリウム、3−フェニル−1,2,5−トリメチルピラゾリウム、3−メトキシ−5−フェニル−1−エチル−2−エチルピラゾリウム、1,2−テトラメチレン−3,5−ジメチルピラゾリウム、1,2−テトラメチレン−3−フェニル−5−メチルピラゾリウム、1,2−テトラメチレン−3−メトキシ−5−メチルピラゾリウム等が挙げられる。
これらの中でも、1,2−ジメチルピラゾリウム、1−メチル−2−エチルピラゾリウム、1,2−ジエチルピラゾリウムが特に好ましく挙げられる。
一般式(7)で表されるハロゲン化合物塩のカチオン部の具体例としては、N−メチルピリジニウム、N−エチルピリジニウム、N−プロピルピリジニウム、N−イソプロピルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、N−ヘキシルピリジニウム、N−オクチルピリジニウム、N−ドデシルピリジニウム、N−メチル−3−メチルピリジニウム、N−エチル−3−メチルピリジニウム、N−プロピル−3−メチルピリジニウム、N−ブチル−3−メチルピリジニウム、N−ブチル−4−メチルピリジニウム、N−ブチル−4−エチルピリジニウム等が挙げられる。
これらの中でも、N−メチルピリジニウム、N−エチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、N−メチル−3−メチルピリジニウム、N−エチル−3−メチルピリジニウム、N−ブチル−3−メチルピリジニウムが特に好ましく挙げられる。
色素増感太陽電池用電解液におけるハロゲン化物塩の濃度は、太陽電池として用いる際の入射光量等によって発生する電流量が異なるため最適な濃度は必ずしも一定ではないが、好ましくは0.01〜4.0mol/lであり、特に好ましくは0.5〜2.5mol/lである。濃度が0.01mol/lより小さいと十分な性能が得られない場合があり、一方、濃度が4.0mol/lより大きいと溶媒に溶解しにくい場合がある。
色素増感太陽電池用電解液には、酸化還元対として作用させるためのハロゲン分子を含有させることが好ましく挙げられ、ハロゲン分子としては、具体的にはヨウ素(I)又は臭素(Br)が好ましい。特に、ハロゲン化物塩としてヨウ化物塩を用いる場合にはハロゲン分子としてヨウ素を用いることが望ましく挙げられる。この場合ヨウ化物塩とともに、I/I の酸化還元対として作用する。色素増感太陽電池用電解液中のハロゲン分子の含有量は、太陽電池として用いる際の入射光量等によって発生する電流量が異なるため最適な含有量は必ずしも一定ではないが、イオン導電性及び光エネルギー変換効率の観点から、好ましくは0.01mmol〜0.5mol/lであり、特に0.05mmol〜0.2mol/lが好ましく挙げられる。
<コロイダルシリカ>
コロイダルシリカとは、SiO又はその水和物のコロイドで、粒径が4〜300nmで一定の構造をもたないものである。ケイ酸塩に希塩酸を作用させた後に、透析で得ることができる。
コロイダルシリカは、溶媒にほとんど溶解せず、一般に適当な分散溶媒中に分散させたコロイド溶液として色素増感太陽電池用電解液に添加して、用いることができる。
色素増感太陽電池用電解液中におけるコロイダルシリカの含有量は、1〜60質量%、より好ましくは1〜40質量%が挙げられる。1質量%未満の場合、漏れを防ぐ効果に若干劣り、60質量%超では、ゲル化しすぎてしまうため、扱いづらい欠点がある。
該コロイダルシリカは、粒径がいずれのものでもよく挙げられ、好ましくは4〜50nmであり、より好ましくは6〜30nmである。
色素増感太陽電池用電解液中にコロイダルシリカを含有させることで、短絡電流密度と変換効率を向上させ、かつ、色素増感太陽電池用電解液がゾル化又はゲル化するので、液漏れを防ぐことができるため、優れた耐久性を得ることができる。
本発明に用いる有機溶媒について説明する。有機溶媒としては、電解質を溶解できれば特には限定されず、従来公知の有機溶媒を用いることができる。例えば、アセトニトリルやメトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の環状カーボネート類、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の鎖状カーボネート類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、ジメチルスルホキシド、また、スルホラン、メチルスルホラン等の環状スルホン類、また、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルオキサゾリジノン等が挙げられ、これらは、単独でも複数を混合して使用してもよい。
また、沸点が高くて揮発性が低い、かつ、十分なイオン伝導性を有する溶媒であることが好ましく挙げられる。具体的な有機溶媒の沸点としては、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく挙げられる。上記の有機溶媒の中で、前記沸点を満たす有機溶媒としては、メトキシプロピオニトリル、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
また、有機溶媒として、下記一般式(8)で表される鎖状スルホンを用いることが好ましい。
Figure 2013097909
一般式(8)中、R31、R32は独立して、ハロゲン、アルコキシ基若しくは芳香環で一部置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基を表す。
具体的な鎖状スルホン化合物としては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、メチルイソプロピルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン、イソブチルイソプロピルスルホン、メトキシエチルイソプロピルスルホン、フルオロエチルイソプロピルスルホン等が挙げられる。これらの中でも、エチルイソプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン、イソブチルイソプロピルスルホン、メトキシエチルイソプロピルスルホン、フルオロエチルイソプロピルスルホン等のR31及びR32の炭素数の合計が5以上、好ましくは炭素数5〜10のアルキル基である化合物は、広範な温度で使用でき、耐久性に優れるため特に好適に使用できる。
本発明の色素増感太陽電池は、上述した色素増感太陽電池用電解液を用いたものであり、導電層上に多孔質の金属酸化物半導体層を形成し、該金属酸化物半導体層に光増感作用を有する色素を吸着させてなる光電極と、前記光電極に対向配置される対極、及び前記光電極と対極間に形成され、電解液を含む電解質層とを有する色素増感太陽電池である構成が好ましく挙げられる。図1に本発明の色素増感太陽電池の構成の一例を示す。図1中、1は電極基体、2は透明基体、3は透明導電膜、4は多孔質金属酸化物半導体層、5は増感色素層、6は半導体電極、7は本発明の電解液を含む電解質層、8は対極、9は電極基体、10は触媒活性層、11はスペーサー、12は周縁シール部をそれぞれ示す。
電極基体1は、透明基板2に透明導電膜3を形成させた、導電性ガラス等の透明電極基体である。透明導電膜3には多孔質金属酸化物半導体層4が形成されており、金属酸化物半導体の表面に色素を吸着させた増感色素層5を有している。これらから、アノード電極である半導体電極6が構成される。
<透明基体>
電極基体1を構成する透明基体2は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、半透明なすりガラス状のものも使用できる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等も使用できる。
透明基体2の厚さは、太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、例えばガラスやプラスチック等を用いた場合では、使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度であり、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルム等を使用した場合は、25μm〜1mm程度である。
<透明導電膜>
透明導電膜3としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用でき、このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化インジウム、ITO、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と略記する。)、酸化亜鉛等が好適に用いることができる。
また、導電性材料を分散担持させるなどの処理方法や、メッシュ形状のような細線状の導電性材料を透明基体上に形成することによって、電極全体としては透光率を高めることができていれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレン等が挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ又はそれらの合金等が挙げられる。
透明導電膜3としては、上記の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなるものを、透明基体1の表面に設けて形成することができる。あるいは透明基体2を構成する材料の中へ上記導電性材料を組み込んで、透明基体と透明導電膜を一体化して電極基体1とすることも可能である。
透明基体2上に透明導電膜3を形成する方法として、金属酸化物を形成する場合は、ゾルゲル法や、スパッタやCVD等の気相法、分散ペーストのコーティング等がある。また、不透明な導電性材料を使用する場合は、粉体等を、透明なバインダー等とともに固着させる方法が挙げられる。
透明基体と透明導電膜を一体化させるには、透明基体の成形時に導電性のフィラーとして上記導電膜材料を混合させるなどがある。
透明導電膜3の厚さは、用いる材料により導電性が異なるため特には限定されないが、一般的に使用されるFTO被膜付ガラスでは、0.01〜5μmであり、好ましくは0.1〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、大面積電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。100Ω/□を超えると太陽電池の内部抵抗が上がるため好ましくない。
透明基体及び透明導電膜から構成される電極基体1、又は透明基体と透明導電膜とを一体化した電極基体1の厚さは、上記のように太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1cm程度である。
<多孔質金属酸化物半導体>
多孔質金属酸化物半導体4としては、従来公知のものが使用できる。即ち、Ti、Nb、Zn、Sn、Zr、Y、La、Ta等の遷移金属の酸化物の他、SrTiO、CaTiO等のペロブスカイト系酸化物等が挙げられる。特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等が挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。
このような多孔質金属酸化物半導体は、特に限定されず既知の方法で透明導電膜3上に設けることができる。例えば、ゾルゲル法や分散体ペーストの塗布、また、電析や電着させる方法がある。さらに、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましく、塗布した金属酸化物を焼結させることが望ましい。焼結条件は用いる金属酸化物半導体の種類や形成方法、基板の耐熱温度により異なるため、適宜変更して構わないが、二酸化チタンを用いた場合、450〜550℃で焼結させることが望ましい。
また、増感色素をより多く吸着させるために、当該半導体層は多孔質になっていることが望ましく、具体的には比表面積が10〜200m/gであることが望ましい。また、増感色素の吸光量を増加させるため、使用する酸化物の粒径に幅を持たせて光を散乱させることが望ましい。前記半導体層の厚さは、用いる酸化物及びその性状により最適値が異なるため特には限定されないが、0.1〜50μm、好ましくは5〜30μmである。
<増感色素>
増感色素層5としては、太陽光により励起されて前記金属酸化物半導体層4に電子注入できるものであればよく、一般的に色素増感太陽電池に用いられている色素を用いることができるが、変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。
増感色素は、特に限定はされないが、ルテニウム錯体、特にルテニウムポリピリジン系錯体が望ましく、さらに望ましいのは、Ru(L)(L’)(X)2で表されるルテニウム錯体が望ましい。ここでLは4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、もしくはその4級アンモニウム塩及びカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、L’はLと同一、もしくは4,4’−置換2,2’−ビピリジンであり、L’の4,4’位の置換基は、長鎖アルキル基、アルキル置換ビニルチエニル基、アルキル又はアルコキシ置換スチリル基、チエニル基誘導体等が挙げられる。また、XはSCN、Cl、CNである。例えば、ビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体等が挙げられる。
他の色素としては、ルテニウム以外の金属錯体色素、例えば鉄錯体、銅錯体等が挙げられる。さらに、シアン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、スチリル系色素、エオシン系色素等の有機色素が挙げられ、具体的には三菱製紙株式会社製色素(商品名:D149色素)等が挙げられる。これらの色素には、該金属酸化物半導体層への電子注入効率を向上させるため、該金属酸化物半導体層との結合基を有していることが望ましい。該結合基としては、特に限定はされないが、カルボキシル基、スルホニル基等が望ましい。
増感色素を前記多孔質金属酸化物半導体層4に吸着させる方法は、特には限定されるものではなく、例としては、室温条件、大気圧下において、色素を溶解させた溶液中に、透明導電膜2上に形成させた金属酸化物半導体層4を浸漬する方法が挙げられる。浸漬時間は、使用する半導体、色素、溶媒の種類、色素の濃度により、半導体層に均一に色素の単分子膜が形成されるように、適宜調整することが望ましい。
増感色素は多孔質金属酸化物半導体層の表面上で会合しないことが望ましい。色素単独で吸着させると会合が起きる場合には、必要に応じて、共吸着剤を吸着させても構わない。このような吸着剤としては、用いる色素により最適な種類や濃度が変わるため特には限定されないが、例えば、デオキシコール酸等の有機カルボン酸が挙げられる。共吸着剤を吸着させる方法としては、特には限定されないが、増感色素を溶解させる溶媒に、増感色素とともに共吸着剤を溶解させてから金属酸化物半導体層を浸漬させることで、色素の吸着工程と同時に共吸着剤を吸着させることができる。
増感色素を溶解するために用いる溶媒の例としては、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することが望ましい。例えば、5×10−5mol/l以上の濃度が望ましい。
<対極>
半導体電極6に対向して、カソード電極である対極8が電解質層7およびスペーサー11を介して配置される。
<対極−基体>
太陽電池の内部抵抗を小さくするため対極の基体9は電気伝導度が高いことが望ましい。また、色素増感太陽電池用電解質中に酸化還元対としてハロゲン分子及びハロゲン化物を用いているため、該導電性の電極基体9には電解液に対する耐食性が高いことが望ましい。
このような導電性基体の材質としては、具体的には、表面に酸化皮膜を形成し耐食性が良好なクロム、ニッケルや、チタン、タンタル、ニオブ、及びそれらの合金であるステンレスや、表面に酸化皮膜を形成して耐食性を高めたアルミニウム等が挙げられる。
また、他の好適な材料としては、導電性金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばITOやFTO、ATO、また、酸化亜鉛や酸化チタン等が好適に用いることができる。中でもFTO、ITOを好適に用いることができる。
上記導電性の電極基体9には、耐久性やハンドリング性を高めること等を目的として支持体を兼備することができる。例えば、透明性を求める場合にはガラスや透明なプラスチック樹脂板を用いることができる。また、軽量性を求める場合にはプラスチック樹脂板、フレキシブル性を求める場合にはプラスチック樹脂フィルム等を用いることができる。また、強度を高める場合には、金属板等を用いることもできる。
支持体の配置方法は特には限定されないが、導電性の電極基体9の表面には対極の作用部分として触媒活性層10が形成されるため、支持体は該触媒活性層が担持されない部分、特に電極基体9の裏面に配置することが好ましい。また、支持体表面に導電性材料の粉末やフィラーを埋め込む等の方法で担持することにより、導電性の電極基体と支持体を一体化することもできる。
支持体の厚さは、対極の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、例えばガラスやプラスチック等を用いた場合では、耐久性を考慮して1mm〜1cm程度であり、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルム等を使用した場合は、25μm〜1mm程度である。また、必要に応じて耐候性を高めるハードコートなどの処理や、フィルム添付処理を用いても構わない。また、金属材料を支持体にした場合には、10μm〜1cm程度である。
導電性の電極基体9の形態や厚みについては、電極として用いる際の形状や使用条件、また、用いる材料により導電性が異なるため特には限定されず、任意の形態を選択することができる。例えば、上記支持体を用いることで実用上の強度が保持される場合、電極として使用する上で必要な電導度が確保できていれば、100nm程度の厚みでも構わない。また、支持体を用いず、導電性の電極基体9のみにて強度を確保する場合は、1mm程度以上の厚さが好ましい。
また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、大面積電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは5Ω/□以下、より好ましくは1Ω/□以下である。100Ω/□を超えると太陽電池の内部抵抗が増大するため、好ましくない。
<触媒活性層>
導電性の電極基体9の表面に担持された触媒活性層10は、電解質層7中に含まれる酸化還元対として含まれるハロゲン化物やポリピリジルコバルト錯体の酸化体を還元体に十分な速度で還元することができれば、具体的には三ヨウ化物アニオン(I )をヨウ化物アニオン(I)に、もしくは三臭化物アニオン(Br )を臭化物アニオン(Br)に、ポリピリジルコバルト錯体の場合は3価のコバルト金属イオンを2価に、それぞれ還元することができれば特に限定はされず、既知の物質が使用できるが、例えば、遷移金属、導電性高分子材料、又は炭素材料等を好適に用いることができる。
その形状は、用いる触媒の種類により異なるため特には限定されない。上述の触媒材料のうち少なくとも1種類以上からなる触媒材料を、電極基体9の表面に設けて形成することができる。あるいは電極基体9を構成する材料の中へ上記触媒材料を組み込むことも可能である。
触媒となる遷移金属としては、白金やパラジウム、ルテニウム、ロジウム等が好適に利用でき、また、それらを合金としても構わない。それらの中でも特に白金、もしくは白金合金が好適である。遷移金属の導電性基体上への担持方法としては既知の方法により作製できる。例えば、スパッタや蒸着、電析により直接形成する方法や、塩化白金酸等の前駆体を熱分解する方法等を用いることができる。
導電性高分子のモノマーとして、ピロール、アニリン、チオフェン、及びそれらの誘導体の中から、少なくとも1種類以上のモノマーを重合してなる導電性高分子を触媒として使用することができる。特に、ポリアニリンやポリ(エチレンジオキシチオフェン)であることが望ましい。導電性高分子の電極基体9の担持方法としては、既知の方法を用いることができる。例えば、前記導電性基体を、前記モノマーを含有する溶液中に浸漬して電気化学的に重合する方法や、Fe(III)イオンや過硫酸アンモニウム等の酸化剤と前記モノマーを含む溶液とを、該電極基体上で反応させる化学重合法、導電性高分子を溶融状態もしくは溶解させた溶液から成膜する方法、また、導電性高分子の粒体をペースト状、エマルジョン状、高分子溶液及びバインダーを含む混合物形態に処理した後に、該電極基体上へスクリーン印刷、スプレー塗布、刷毛塗り等により形成させる方法が挙げられる。
また、炭素材料としては特に制限されず、酸化還元対の酸化体を還元する触媒能を有する、従来公知の炭素材料を使用することができるが、中でもカーボンナノチューブやカーボンブラック、活性炭等が望ましい。炭素材料の導電性基体への担持方法としては、フッ素系のバインダー等を用いたペーストを塗布・乾燥する方法等、既知の方法を用いることができる。
半導体電極6と対極8の間には電解液が充填されて電解質層7が形成され、周縁シール部12によって封止されている。
<スペーサー>
スペーサー11は、半導体電極と対極が接触して短絡することのないように電極間距離を制御・固定するものであり、電解液、又は熱・光等により劣化しない材質であれば特には限定されず既知の材料を任意の形状で用いることができる。材質としては、例えば、ガラスやセラミック材料、フッ素系樹脂や光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、周辺シール部12中に、微小なガラスやセラミック材料等を混合する等の方法で周辺シール部がスペーサーを兼ねることもできる。
周辺シール部は、本発明の電解液が漏洩しないように、半導体電極と対極を貼合せて封止するものであり、電解液、または熱・光等により劣化しない材質であれば特に制限されない。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、金属、ゴム等を例示することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
(実施例1)
以下のようにして電解液の調製及び色素増感太陽電池の作製を行った。
<電解液の調製>
エチルイソプロピルスルホン1090部と、日産化学工業株式会社製20%コロイダルシリカ(スノーテックスN、シリカ粒径10〜20nm)55部とを混合し、80℃減圧蒸留にて、水を除去し、コロイダルシリカのエチルイソプロピルスルホン溶液を得た。
この溶液に、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物(表中、「MPImI」と略記する。)177部、ヨウ素(表中、「I」と略記する。)12.7部、ホウ酸トリメチル10.4部を加え溶解させて電解液を調製した。
<多孔質金属酸化物半導体層の形成>
透明導電膜付きの透明基体としてFTOガラス(日本板ガラス製25mm×50mm)を用い、その表面に酸化チタンペースト(日揮触媒化成工業株式会社製チタニアペースト、PST−18NR)を、スクリーン印刷による印刷工程と90℃30分の乾燥工程とを3回繰り返して重ね塗りした後、大気雰囲気下500℃で60分間焼成することで15μm前後の厚さの多孔質酸化チタン層を形成させた。さらに、前記多孔質酸化チタン層の上に、酸化チタンペースト(日揮触媒化成工業株式会社製チタニアペースト、PST−400C)をスクリーン印刷で重ね塗りした後、同様に焼成を行なって、20μm前後の厚さとした多孔質金属酸化物半導体層を完成させ、多孔質酸化チタン半導体電極とした。
<増感色素の吸着>
増感色素として、一般にN719dyeと呼ばれるビス(4−カルボキシ−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体(Solaronix社製)を使用した。80℃にした前記多孔質酸化チタン半導体電極を、色素濃度0.5mmol/Lのアセトニトリル・t−ブチルアルコール(1:1)混合溶液中でゆっくりと振盪させながら遮光下48時間浸漬させた。その後脱水アセトニトリルにて余分な色素を洗浄してから風乾することで、太陽電池の光電極(アノード電極)として完成させた。
<対極>
対極として、アンカー層として、スパッタ法によりガラス基板上にTi(膜厚50nm)を成膜したのち、該Ti層上にスパッタ法によりPt(膜厚50nm)を成膜させた白金対極(ジオマテック製)を使用した。
<太陽電池セルの組み立て>
前記のように作製した光電極と、電気ドリルで0.6mmφの電解液注入孔を2個設けた対極を対向するよう設置し、両電極間に、スペーサーとして厚み50μmのFEP樹脂シートと、スペーサーの外周に熱可塑性シート(Dupont製、bynel、膜厚50μm)を重ならないように挟み、熱圧着する事により両電極を接着した。次に、前記のように作製した電解液を電解液注入孔から毛管現象にて両電極間に含浸させ、電解液注入孔上に可塑性シートを挟んで1mm厚のガラス板を置き、再度加熱圧着することで封止し、太陽電池セルを作製した。
(実施例2〜9)
表1に対応するようにコロイダルシリカの含有量を調整して、実施例1と同様にして電解液を調整し、太陽電池セルを作製した。
(比較例1)
実施例1に記載のコロイダルシリカを用いないこと以外は実施例1と同様に電解液を調製し、太陽電池セルを作製した。
(比較例2)
実施例2に記載のコロイダルシリカの代わりに、ポリアクリロニトリルを用いた以外は、実施例2と同様に電解液を調整し、太陽電池セルを作製した。
(比較例3)
実施例2に記載のコロイダルシリカの代わりに、ヒュームドシリカを用いた以外は、実施例2と同様に電解液を調整し、太陽電池セルを作製した。
<太陽電池セルの光電変換特性の測定>
実施例1〜9及び比較例1〜3で作製した色素増感太陽電池に対し、25℃にて、5mm角の窓をつけた光照射面積規定用マスクを装着させた上で、分光計器製ソーラシュミレータを用い、光量100mW/cm、AM1.5の条件で光源の照射強度を調整した擬似太陽光を照射しながら、エーディーシー製直流電圧電流発生装置を用いて短絡電流密度(以下、「Jsc」と略記する。)、光電変換効率を評価した。光電変換効率の各測定値については、より大きい値が太陽電池セルの性能として好ましいことを表す。結果を表1に示す。
<太陽電池セルの耐久性の評価>
実施例1〜9及び比較例1〜3で作製した色素増感太陽電池に対し、暗中85℃1000時間の耐熱性試験を実施し、試験後室温に戻した状態での変換効率を測定した。耐久性試験後の液漏れの状況を観察した。電解液が液漏れしていなければ○、液漏れしていたら×とした。その結果を表1に示す。
Figure 2013097909
表1より、比較例1〜3より実施例1〜9は、高い短絡電流密度及び光電変換効率、優れた耐久性を有することがわかった。
本発明の色素増感太陽電池用電解液は、高い短絡電流密度と変換効率と、優れた耐久性を有するため、各種用途に利用可能である。
1 電極基体
2 透明基体
3 透明導電膜
4 多孔質金属酸化物半導体層
5 増感色素層
6 半導体電極
7 電解質層
8 対極
9 電極基体
10 触媒活性層
11 スペーサー
12 周縁シール部

Claims (4)

  1. コロイダルシリカと、酸化還元性の電解質として下記一般式(1)〜(7)で表されるいずれかのハロゲン化合物塩と、有機溶媒と、を含有することを特徴とする色素増感太陽電池用電解液。
    Figure 2013097909
    (式(1)〜(7)中、R〜R30は、それぞれ同一でも異なっても良い水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、水酸基であり、隣接R同士は連結し、炭素数2〜6のアルキレン基を形成しても良い。Xは、ヨウ素イオン又は臭素イオンである。)
  2. 色素増感太陽電池用電解液中のコロイダルシリカの含有量が、1〜60質量%であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池用電解液。
  3. 溶媒として、ニトリル、ラクトン、環状カーボネート、下記一般式(8)で表される鎖状スルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池用電解液。
    Figure 2013097909
    (一般式(8)中、R31、R32は独立して、ハロゲン、アルコキシ基若しくは芳香環で一部置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基を表す。)
  4. 導電層上に多孔質の金属酸化物半導体層を形成し、該金属酸化物半導体層に光増感作用を有する色素を吸着させてなる光電極と、前記光電極に対向配置される対極、及び前記光電極と対極間に形成され、電解液を含む電解質層とを有する色素増感太陽電池であって、
    前記電解液が請求項1から3のいずれかに記載の色素増感太陽電池用電解液であることを特徴とする色素増感太陽電池。
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