JP4915785B2 - 色素増感太陽電池用の対極、及びそれを備えた色素増感太陽電池 - Google Patents

色素増感太陽電池用の対極、及びそれを備えた色素増感太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、色素増感太陽電池の対極、及びそれを備えた色素増感太陽電池に関する。
近年、半導体層に可視光域を吸収させる増感色素を担持させた色素増感太陽電池が検討されている。この色素増感太陽電池は、使用する材料が安価であること、比較的シンプルなプロセスで製造できること等の利点からその実用化が期待されている。
上記の色素増感太陽電池は、可視光を吸収して励起した増感色素から半導体電極に電子が注入され、集電体を通して外部に電流が取り出される。一方、増感色素の酸化体は電解質中の酸化還元対により還元されて再生する。酸化された酸化還元対は、半導体電極に対向して設置された対極表面で還元されてサイクルが一周する。
色素増感太陽電池に従来用いられている対極としては、電極基体上に塩化白金酸溶液を基体上に塗布もしくは浸漬した後に加熱処理する方法や、真空蒸着法又はスパッタリング法によって基板上に白金薄膜を形成させる方法により得られる白金電極が知られている。この対極においては、電解質中の酸化還元対(例えば、I3 -/I-等)の酸化体を還元体に還元する還元反応(I3 -をI-に還元する還元反応)を速やかに進行させることが可能な電極特性を有するものが求められている。
しかしながら、白金は高価な貴金属であり、スパッタリング法や真空蒸着法によって白金電極を形成した場合、材料の消費において無駄が多いため生産性が低く、また、真空設備を必要とするため設備費も高く、その結果、製造コストが高くなるという問題があった。また、塩化白金酸溶液を基板に塗布した後焼成処理する方法では、塗布された白金前駆体溶液を白金に熱分解するためには400℃以上の高い温度が必要であり、熱に弱い基体には適用できないという問題があった。
さらには近年、実用化を考慮し、色素増感太陽電池用電解質の高粘度化やゲル化が検討されているが、電解質の高粘度化にともない酸化還元対であるヨウ素の拡散が該太陽電池内の電子移動反応の律速過程となっており、太陽電池特性を低下させてしまうという問題があった。このため、対極表面でのヨウ素還元反応をより速やかに進行させることが求められている。そのためには凹凸を形成させて表面積を拡大させるなどの対応が必要となり、その結果白金使用量が増加する、または製造プロセスが煩雑になり製造コストが高くなるという問題があった。さらに白金は水あるいは酸素存在下、電解質溶液中に溶解することが知られており、その使用は安定性の面からも問題があった。
非特許文献1には、カーボンナノチューブなどの炭素材料を触媒として含む対極を用いた色素増感太陽電池が記載されている。該文献においては、シングルウォールナノチューブが比較的良好な光電変換効率を示しているが、白金対極よりも低い性能しか得られていない。
非特許文献2および3には活性炭を用いた対極が記載されており、白金対極よりも優れた光電変換効率が得られたと報告されている。しかしながら、比較している白金対極の特性、特に短絡電流密度が低く、現在一般的なより高い電流密度での動作に対応できるかは不明である。その上、カーボンを触媒とした場合、白金よりも触媒能が低いため、同等の光電流を得るためには触媒層を白金対極より厚くして比表面積を向上させなければならず、高粘度電解液や擬固体化電解質を用いる場合は、上記酸化還元対の拡散の問題がより深刻に影響してしまうため、高い特性を得ることができないという問題点があった。
また、上記非特許文献3では、活性炭と導電性高分子を組み合わせた対極が記載されているが、炭素材料のみを利用した対極よりも劣った性能しか得られていない。
特許文献1には、モノマーを重合させると同時に形成される有機膜からなるホール集電電極(対極)を使用した色素増感太陽電池が開示されている。
該特許文献1で例示されているホール集電体作製方法は、導電性高分子のモノマーおよび重合触媒を含む溶液を塗布した後、加熱処理することで重合を進行させ、最終的に溶媒を除去する方法である。
対極表面でのヨウ素還元反応をより速やかに進行させるためには、上述の白金を用いた対極と同様に、表面積を増大させる方法があるが、均一な膜厚でさらに膜厚を増加させるのは該作製方法では困難である。また、該作製方法で得られる膜は緻密であり、電解質溶液中では膨潤して基板から剥離してしまうという問題もあった。したがって、該作製方法では所望の高表面積の対極を得ることはできず、これ以上の性能向上は困難である。また、前記作製方法では、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェンを熱処理により重合することが記載されているが、熱処理を施すためプラスチックやフィルムなどを電極基体の使用には向いていないという問題もあった。
非特許文献4においては、導電性高分子の分散溶液を導電性基体上へ塗布して溶媒を除去する製法が記載されているが、粒子を積層するだけでは粒子間の密着が不十分であること、導電性高分子粒子の接触だけでは導電性が不十分であることなどにより、特許文献1と同様に高比表面積の電極を得ることはできず、これ以上の性能向上は望めない。
また、上記特許文献および非特許文献において用いられている導電性高分子では、導電性高分子に含まれる、電気伝導度を高めるためのドーパントが電解質中に遊離し、経時的に対極の電気抵抗値が増大してしまうという懸念が残されていた。
種々の技術が提案されているが、依然としてより安価な製造コストとプロセスで作製でき、性能の経時的低下が抑制されて高い耐久性を有するとともに、高粘度の電解液もしくは擬固体化電解質を用いた場合においても優れた電池特性を示す色素増感太陽電池が求められている。
特開2003−317814号公報 Kazuharu Suzuki,Makoto Yamaguchi,Mikio Kumagai,and Shozo Yanagida, 「Application of Carbon Nanotubes to Counter Electrodes of Dye−sensitized Solar Cells」,Vol.32,No.1,Chemistry Letters, 2003,p.28−29 Kiyoaki Imoto,Kohshin Takahashi,Takahiro Yamaguchi,Teruhisa Komura,Jun−ichi Nakamura,Kazuhiko Murata,「High−performance carbon counter electrode for dye−sensitized solar cells」,79,Solar Energy Materials & Solar Cells,2003,p.459−469 Kiyoaki Imoto,Masatoshi Suzuki,Kohshin Takahashi,Takahiro Yamaguchi,Teruhisa Komura,Jun−ichi Nakamura,and Kazuhiko Murata,「Activated Carbon Counter electrode for dye−sensitized solar cell」,71,No.11,Electrochemistry,2003,p.944−946. 電気化学会第72回大会 講演要旨集、2005年4月1日、p.471
本発明は上記した実情に鑑み、色素増感太陽電池用の対極であって、安価な製造コストとプロセスで作製でき、性能の経時的低下が抑制されて高い耐久性を有するとともに、高粘度の電解液もしくは擬固体化電解質を用いた場合においても優れた電池特性を示す色素増感太陽電池対極、ならびにそれを用いた色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、色素増感太陽電池用の対極において、
電極支持体と導電性材料からなる電極基体を有し、該電極基体上に、導電性高分子にて一部もしくは全体を被覆された微細な線状又は筒状炭素材料を含有する電極が酸化還元対の酸化体を速やかに還元することができる対極となることを見出した。
本発明者らはまた、前記導電性高分子と微細な線状又は筒状炭素材料が、相互作用していること、特に前記線状又は筒状炭素材料と前記導電性高分子がπ−πスタッキングにより相互作用することにより、電極特性と耐久性に優れた対極が得られることを見出した。
本発明者らはさらに、前記線状又は筒状炭素材料の表面に導入した官能基と前記導電性高分子との相互作用により複合化していること、特に、前記線状又は筒状炭素材料の表面に導入した官能基が、前記導電性高分子にドーピングされること、もしくは、前記導電性高分子と化学結合すること、により生ずる相互作用により複合化した対極が、電極特性と耐久性に優れることを見出した。
従って、本発明は、光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を含む電解質層とを少なくとも有する色素増感太陽電池において、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置される対極であって、
電極支持体と導電性材料からなる電極基体を有し、該基体上に、酸化還元対となる化学種の酸化体を還元する触媒物質として、少なくともその一部が導電性高分子にて被覆されてなる微細な線状又は筒状炭素材料を含有することを特徴とする対極である。
本発明はまた、前記線状又は筒状炭素材料と前記導電性高分子が相互作用、より好ましくはπ−πスタッキングにより相互作用していることを特徴とする対極である。
本発明はまた、前記線状又は筒状炭素材料の表面に導入した官能基が、前記導電性高分子にドーピングされていることを特徴とする対極である。さらに、本発明は、前記線状又は筒状炭素材料の表面に導入した官能基と前記導電性高分子とが化学結合を有していることを特徴とする対極である。
上記線状又は筒状炭素材料の表面に導入する官能基として、カルボキシル基、スルホ基、ホスホニウム基が挙げられる。また、前記線状又は筒状炭素材料の具体例として、単層および多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンなどが挙げられる。
上記導電性高分子を形成するモノマーとして、芳香族アミン化合物があり、さらに具体的にアニリンおよびアニリン誘導体がある。該アニリン誘導体の例としてアニシジン、フェネチジン、トルイジン、フェニレンジアミン、ヒドロキシアニリン、及びN−メチルアニリンなどがある。該アニリン誘導体の別の例として、トリフルオロメチルアニリン、ニトロアニリン、シアノアニリン、及びハロゲン化アニリンなどがある。上記導電性高分子を形成する別のモノマーとして、チオフェン化合物が挙げられる。チオフェン化合物にはチオフェン及びチオフェン誘導体が含まれ、該チオフェン誘導体として、テトラデシルチオフェン、イソチアナフテン、3−フェニルチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、および3−メチルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−オクチルチオフェンなどのアルキルチオフェンがある。上記導電性高分子を形成する別のモノマーとして、ピロール、ピロール誘導体などが挙げられる。該ピロール誘導体には3−メチルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロールなどのアルキルピロールがある。
本発明はまた、上述した対極を具備する色素増感太陽電池である。
本発明によれば、安価な製造コストとプロセスで作製でき、性能の経時的低下が抑制されて高い耐久性を有するとともに、高粘度の電解液もしくは擬固体化電解質を用いた場合においても優れた電池特性を示す色素増感太陽電池対極、ならびにそれを用いた色素増感太陽電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について適宜、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の色素増感太陽電池の一例を表す断面模式図である。その色素増感太陽電池において、透明基体2とその上に形成された透明導電膜3からなる電極基体1の表面に、多孔質金属酸化物半導体層4が形成され、さらに該多孔質金属酸化物半導体層4の表面には、増感色素層5が吸着されている。そして、電解質層6を介して、本発明の対極7が対向して設置されている。
図2は、本発明の対極の一例を表す断面模式図であって、対極7において、電極支持体と導電性材料からなる電極基体8と、電極の作用部分として、導電性高分子にて一部もしくは全体を被覆された微細な線状又は筒状炭素材料を含有する触媒層9が該電極基体8の表面上に備えられている。
以下、本発明の色素増感太陽電池の各構成材料について、好適な形態を説明する。
[透明基体]
電極基体1を構成する透明基体2は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、半透明なすりガラス状のものも使用できる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等も使用できる。
透明基体2の厚さは、太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、例えばガラスやプラスチックなどを用いた場合では、実使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度であり、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルムなどを使用した場合は、1μm〜1mm程度である。
[透明導電膜]
透明導電膜3としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用でき、このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化インジウム、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、酸化亜鉛などが好適に用いることができる。また、分散させるなどの処理により可視光が透過すれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレンなどが挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。したがって、透明導電膜3としては、上述の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなる導電材料を、透明基体2の表面に設けて形成することができる。あるいは透明基体2を構成する材料の中へ上記導電性材料を組み込んで、透明基体と透明導電膜を一体化して電極基体1とすることも可能である。
透明基体2上に透明導電膜3を形成する方法として、金属酸化物を形成する場合は、ゾルゲル法や、スパッタやCVDなどの気相法、分散ペーストのコーティングなどがある。また、不透明な導電性材料を使用する場合は、紛体などを、透明なバインダーなどとともに固着させる方法が挙げられる。
透明基体と透明導電膜を一体化させるには、透明基体の成型時に導電性のフィラーとして上記導電膜材料を混合させるなどの方法をとることができる。
透明導電膜3の厚さは、用いる材料により導電性が異なるため特には限定されないが、一般的に使用されるFTO被膜付ガラスでは、0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、広い電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。100Ω/□を超えると太陽電池の内部抵抗が上がり、十分に電流が流れないため好ましくない。
透明基体及び透明導電膜から構成される電極基体1、又は透明基体と透明導電膜とを一体化した電極基体1の厚さは、上述のように太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1000μm程度である。
[多孔質金属酸化物半導体]
多孔質金属酸化物半導体4としては、特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどが挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。また、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましい。また、増感色素をより多く吸着させるために、当該半導体層は多孔質になっていることが望ましく、その比表面積が、具体的には10〜200m2/gの範囲であるものが望ましい。また、増感色素の吸光量を増加させるため、使用する酸化物の粒径に幅を持たせて光を散乱させることが望ましい。
このような多孔質金属酸化物半導体は、特に限定されず既知の方法で透明導電膜3上に設けることができる。例えば、ゾルゲル法や、分散体ペーストの塗布、また、電析や電着させる方法がある。さらに、多孔質金属酸化物半導体に対し、半導体粒子同士の電子的接触の強化と、支持体との密着性の向上のために、さらに高温処理をしてもよい。
このような半導体層の厚さは、用いる酸化物およびその性状により最適値が異なるため特には限定されないが、0.1μm〜50μm、好ましくは5〜30μmである。
[増感色素]
増感色素層5としては、太陽光により励起されて前記金属酸化物半導体層4に電子注入できるものであればよく、一般的に色素増感太陽電池に用いられている色素を用いることができるが、変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。特に限定はされないが、ルテニウム錯体、特にルテニウムポリピリジン系錯体が望ましく、さらに望ましいのは、Ru(L)2(X)2で表されるルテニウム錯体が望ましい。ここでLは4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、もしくはその4級アンモニウム塩、およびカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、また、XはSCN、Cl、CNである。例えばビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体などが挙げられる。
他の色素としては、ルテニウム以外の金属錯体色素、例えば鉄錯体、銅錯体などが挙げられる。さらに、シアン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリン酸系色素、スチリル系色素、エオシン系色素などの有機色素や導電性高分子などが挙げられる。これらの色素には、該金属酸化物半導体層への電子注入効率を向上させるため、該金属酸化物半導体層との結合基を有していることが望ましい。該結合基としては、特に限定はされないが、カルボキシル基、スルホン酸基などが望ましい。
多孔質金属酸化物半導体4へ増感色素を吸着させる方法は、特には限定されるものではなく、例としては、室温条件、大気圧下において、色素を溶解させた溶液中に多孔質金属酸化物半導体4を形成させた電極基体1を浸漬する方法が挙げられる。浸漬時間は、使用する半導体、色素、溶媒の種類、色素の濃度により、半導体層に均一に色素の単分子膜が形成されるよう、適宜調整することが望ましい。なお、吸着を効果的に行なうには加熱下での浸漬を行なえばよい。
増感色素を溶解するために用いる溶媒の例としては、エタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどの窒素化合物、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することが望ましい。例えば、5×10-5mol/L以上の濃度が望ましい。
[電解質層]
電解質層6は、支持電解質と、酸化された増感色素を還元することのできる酸化還元対、およびそれらを溶解させた溶媒からなる。この溶媒としては、特に限定はされないが、非水性有機溶媒、常温溶融塩、水やプロトン性有機溶媒などから任意に選択でき、例えばアセトニトリルやジメチルホルムアミド、エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、炭酸プロピレンなどが挙げられ、中でもメトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、炭酸プロピレンなどを好適に用いることができる。また、溶媒をゲル化して用いることもできる。
支持電解質として、リチウム塩やイミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩などが挙げられる。
酸化還元対としては、一般的に電池や太陽電池などにおいて使用することのできるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲン二原子分子とハロゲン化物塩との組み合わせ、チオシアン酸アニオンとチオシアン酸二分子の組み合わせ、ポリピリジルコバルト錯体や、ハイドロキノンなどの有機レドックスなどが挙げられる。この中では、特にヨウ素分子とヨウ化物との組み合わせが好適である。
支持電解質、酸化還元対などは、其々用いる溶媒、半導体電極および色素などにより最適な濃度が異なるため、特には限定されないが、1mmol/L〜5mol/L程度である。
電解質層にはさらに添加剤として、t−ブチルピリジン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、水などを添加することができる。
[対極−電極基体]
対極7は、電極基体8の表面に、導電性高分子にて一部もしくは全体を被覆された微細な線状又は筒状炭素材料を含有する触媒層9が形成された構造を有している。
線状又は筒状炭素材料は導電性高分子によって少なくともその一部が被覆されていることが好ましいが、より好ましくは、被覆率が50%以上であることが好ましい。
該電極基体8は、対極の支持体兼集電体として用いられるため、少なくとも触媒層9を形成させる表面部分は導電性を有していなければならない。
このような材質としては、例えば導電性を有する金属や金属酸化物、炭素材料や導電性高分子などが好適に用いられる。金属としては、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。また、FTO、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛などの金属酸化物を用いた場合、透明または半透明であるため増感色素層への入射光量を増加させることができ、好適に用いることができる。
また、少なくとも該電極基体の表面が導電性を有するように処理すれば、例えばガラスやプラスチックなどの絶縁体を用いても構わない。このような絶縁体に導電性を保持させる処理方法としては、上記の導電性材料にて、該絶縁性材料表面の一部もしくは全面を被覆する方法、例えば金属を用いる場合、メッキや電析などの溶液法、また、スパッタ法や真空蒸着等の気相法が挙げられ、金属酸化物を用いる場合はゾルゲル法などを用いることができる。また、上記導電性材料の粉末などを一種もしくは複数用いて、絶縁性材料と混和させるなどの方法が挙げられる。
また、該電極基体の形状は、対極として用いる色素増感太陽電池の形状に応じて変更することができるため特には限定されず、板状としてもフィルム状で湾曲できるものでも構わない。さらに、該電極基体は透明でも不透明でも構わないが、増感色素層への入射光量を増加させることができるため、また、場合によっては意匠性が向上できるため透明または半透明であることが望ましい。電極基体として一般的には、FTO被膜付ガラスやITO膜付PENフィルムが用いられているが、用いる材料により導電性が異なるため、電極基体の厚さについて特には限定されない。例えば、FTO被膜付ガラスでは、0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、広い電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。100Ω/□を超えると太陽電池の内部抵抗が上がり、十分に電流が流れないため好ましくない。
電極基体8の厚さは、上述のように太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1cm程度である。
[対極−触媒層]
本発明の対極における導電性高分子にて一部もしくは全体を被覆された微細な線状又は筒状炭素材料を含有する触媒層9は、電解質層中に含まれる酸化還元対の酸化体を還元する触媒の作用部分として機能する。触媒層9は電子移動反応を効率良く行なえるように多孔質の状態で存在することが好ましい。
本発明の対極における触媒層9に含まれる線状又は筒状炭素材料の具体例として、単層および多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、またはフラーレンの凝集体などが挙げられ、特に単層および多層カーボンナノチューブが好適に利用できる。
本発明では、線状又は筒状炭素材料と導電性高分子とが相互作用していることが求められる。より具体的には、π−πスタッキングによる相互作用が例示できる。線状又は筒状炭素材料と導電性高分子がπ−πスタッキングするためには、前記線状又は筒状炭素材料をπ共役系導電性高分子で被覆することが望ましい。
本発明における、上記相互作用の他の例としては、線状又は筒状炭素材料の表面に予め導入された官能基と導電性高分子が相互作用していることが例示できる。官能基と導電性高分子間との相互作用の具体例としては、前記官能基の導電性高分子へのドーピングや共有結合などが挙げられる。これら官能基と導電性高分子との相互作用と、前記π−πスタッキングによる相互作用は同時に形成されていても構わない。
このような官能基としては、導電性高分子へのドープが可能であるか、導電性高分子と化学結合が形成できる官能基であれば、特には限定されない、例えばカルボキシル基、スルホ基、ホスホニウム基が挙げられ、中でも導電性高分子へドープさせる場合にはスルホ基、化学結合させる場合にはカルボキシル基が好ましい。
上記の相互作用の確認方法としては、特には限定されず、公知の手法を用いて判別することができる。例えば、紫外可視吸収分光法、赤外分光法になどにより、原材料である導電性高分子、および線状又は筒状炭素材料の吸収スペクトルと、作用後の吸収スペクトルの差異により判別することができる。π−πスタッキングなどの具体的な評価の例としては、個々の原材料とは異なる位置に吸収ピークが出現、シフトしたり、ブロード化したりすることにより判別することができる。
また、上記官能基が導電性高分子へドープした場合の確認手法も同様に、吸収スペクトルの変化から判別することができる。
また、上記官能基と導電性高分子間で共有結合を形成した場合も、同様に赤外分光法などを用いて、共有結合を形成する官能基のスペクトルの消失や変化により判別することができる。
上記官能基を線状又は筒状炭素材料表面に導入する方法としては、特には限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、硫酸と硝酸の混酸中で線状又は筒状炭素材料を加熱還流し、該表面を酸化することによりヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基などを導入することができる。
また、触媒層9に含まれ、線状又は筒状炭素材料の少なくとも一部を被覆する導電性高分子は、1種以上のホモポリマー、1種以上のコポリマー、又はそれらの混合体であってよい。
本発明の対極における触媒層9に含まれる導電性高分子を形成するモノマーとして、下記一般式(1)又は(2)で表される芳香族アミン化合物、下記一般式(3)で表されるチオフェン化合物、及び下記一般式(4)で表されるピロール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーが挙げられる。
Figure 0004915785
Figure 0004915785
(式(1)又は(2)中、R1及びR6はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R2〜R5及びR7〜R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数6〜12のアラルキル基(例えばベンジル基)、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、またはニトロ基を示し、式(1)中、R2とR3、又はR4とR5はそれぞれ連結して環を形成していてもよく、式(2)中、R8とR9、又はR9とR10はそれぞれ連結して環を形成していてもよい。)
Figure 0004915785
(式(3)中、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、又はニトロ基を示し、R11とR12は連結して環を形成していてもよい。)
Figure 0004915785
(式(4)中、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、又はアミノ基を示し、R13とR14は連結して環を形成していてもよい。)
該芳香族アミン化合物を用いるに当たっては、それらが重合した高分子が導電性を有していれば特に限定されないが、ある芳香族アミン化合物単独での高分子膜が導電性を有さずとも、アニリンもしくは、他の芳香族アミン化合物とのコポリマーとすることで導電性を有していればよい。もしくは、線状又は筒状炭素材料と作用させた後に導電性を有していればよい。該触媒層9に含まれる導電性高分子を構成するポリマーは、ホモポリマーでもコポリマーでもよく、そのモノマー成分として、芳香族アミン化合物を1種又は2種以上用いて導電性高分子層を形成することができる。
上記芳香族アミン化合物の例として、アニリン及びアニリン誘導体がある。さらに具体的にアニリン、アニシジン、フェネチジン、トルイジン、フェニレンジアミン、ヒドロキシアニリン、N−メチルアニリン、トリフルオロメタンアニリン、ニトロアニリン、シアノアニリン、及びハロゲン化アニリンなどが挙げられる。中でもアニシジン、トルイジン、フェニレンジアミン、アニリンが好ましく使用される。中でもアニリンが特に好ましく使用され、モノマーとして少なくともアニリンが重合して形成されたポリマーが挙げられ、とりわけモノマーとしてアニリンを単独で用いたポリアニリンがコストも安くかつ触媒能も高いことから好適に利用できる。
上記チオフェン化合物の例として、チオフェン及びチオフェン誘導体が挙げられ、さらに具体的にチオフェン、3−メチルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−オクチルチオフェンなどのアルキルチオフェン、テトラデシルチオフェン、イソチアナフテン、3−フェニルチオフェン、及び3,4−エチレンジオキシチオフェンなどがある。ホモポリマーとして用いる場合、3,4−エチレンジオキシチオフェンを好ましく使用することができる。
チオフェン化合物を1種又は2種以上用いて導電性高分子を形成してもよい。
上記ピロール化合物として、ピロール及びピロール誘導体が挙げられ、ピロール誘導体としては特に3位に炭素原子数1〜8のアルキル基を有するものが挙げられる。ピロール化合物の具体例として、ピロール、3−メチルピロール、3−ブチルピロール及び3−オクチルピロールなどのアルキルピロールなどがある。ピロール化合物を1種又は2種以上用いて導電性高分子を形成してもよい。
上記、芳香族アミン化合物、チオフェン化合物、ピロール化合物を1種又は2種以上用いて、1種以上のコポリマー、又はそれらの混合体であってよい。
導電性高分子を形成するモノマー成分は、重合した膜としての電導度が10-9S/cm以上を示すものが望ましい。
また、上記導電性高分子には、前記線状又は筒状炭素材料の表面に導入した官能基がドーピングされていることが望ましい。
前記導電性高分子は、用いる導電性高分子の種類によりその最適値が異なるため特には限定されないが、その理論ドープ量全てが、線状又は筒状炭素材料表面に導入した官能基によりドーピングされていることが特に望ましい。ただし、前記線状又は筒状炭素材料表面に導入された官能基の数が導電性高分子の理論ドープ量に対して不足しているなどの場合には、該官能基を導電性高分子と作用させた後、他のドーパントを追加して補っても構わない。
このようなドーパントは公知の材料、例えば、ヘキサフロロリン、ヘキサフロロヒ素、ヘキサフロロアンチモン、テトラフロロホウ素、過塩素酸等のハロゲン化物アニオン、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲンアニオン、ヘキサフロロリン、ヘキサフロロヒ素、ヘキサフロロアンチモン、テトラフロロホウ素、過塩素酸等のハロゲン化物アニオン、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル基置換有機スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸等の環状スルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル基置換または無置換のベンゼンモノまたはジスルホン酸アニオン、2−ナフタレンスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸等の1〜3個のスルホン酸基を有する、アルキル基置換または無置換ナフタレンスルホン酸アニオン、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アルキルビフェニルスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等のアルキル基置換または無置換のビフェニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエーテル、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリイミド、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸アニオン、置換または無置換の芳香族スルホン酸アニオン、ビスサルチレートホウ素、ビスカテコレートホウ素等のホウ素化合物アニオン、あるいはモリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸アニオン等が挙げられる。これらのドーパントは単独でも2種以上を併用してもよい。
ドーパントの脱離を抑制する観点から、ドーパントは無機アニオンよりも有機酸アニオンであることが望ましく、熱分解などが起きにくいものであることが望ましい。また、線状又は筒状炭素材料表面をドーパントが被覆してしまうと、酸化還元対の還元反応を効率よく行なうことができなくなるため、上記ドーパントのうち、高分子状アニオンよりも、単分子アニオンであることが望ましい。
このようなドーパントは触媒層9を形成する際に、適宜の段階で使用することができ、例えば導電性高分子と線状又は筒状炭素材料を作用させた後にこれらと共存させておくことができる。また、触媒層9の形成後に、該触媒層をドーパント溶液に含浸させるなどの方法により、ドープさせることもできる。
また、本発明の別の例示として、上記導電性高分子と前記線状又は筒状炭素材料の表面に導入した官能基とが化学結合を有していることが望ましい。このような化学結合としては、用いる導電性高分子や官能基により異なるため特には限定されないが、アミド結合、エーテル結合、エステル結合またはスルホン酸エステル結合などが例示でき、特に化学的に安定なアミド結合が望ましい。
線状又は筒状炭素材料の表面に導入した官能基に応じて種々の化学結合を利用することができる。例えば、カルボキシル基の場合には、アミド結合、エステル結合、エーテル結合などが挙げられ、スルホ基の場合にはスルホン酸エステル結合などが挙げられる。
一方、上記の化学結合を形成する導電性高分子の官能基としては、特には限定されない。導電性高分子を形成するモノマーの官能基を利用すると簡便であるため、予め線状又は筒状炭素材料表面の官能基と反応できるような官能基を有するモノマーを用いて重合させることが望ましい。
また、導電性高分子と線状又は筒状炭素材料の表面に導入した官能基が化学結合している場合には、化学結合とは別に導電性高分子がドーピングされていることが望ましい。
このようなドーパントとしては、用いる導電性高分子の種類により、その種類および最適量が異なるため特には限定されないが、上項記載のドーパントに準じて使用することができる。
線状又は筒状炭素材料を導電性高分子で被覆する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、導電性高分子溶液もしくは導電性高分子粒子の分散液中に、線状又は筒状炭素材料を添加・分散させる方法が挙げられる。このとき、導電性高分子が効率よく線状又は筒状炭素を被覆できるように、導電性高分子は溶媒に溶解している状態が望ましい。また、前記線状又は筒状炭素材料表面の官能基を導電性高分子に効率よくドープさせるため、もしくは化学結合を形成させるため、予め導電性高分子を脱ドープ状態としてから、該線状又は筒状炭素材料と作用させることが望ましい。
このような導電性高分子溶液の溶媒としては特には限定されないが、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、N−メチル−2−ピロリドンが好適に利用できる。またこれらは単独、もしくは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
導電性高分子溶液もしくは導電性高分子粒子分散液の調製方法としては、特には限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、導電性高分子のモノマーを含有する溶液中に酸化剤を添加することで、重合を進行させる化学重合法が挙げられる。該方法は導電性高分子の粒子を簡便に得られるため好適に利用できる。また、導電性高分子溶液を調製する方法としては、前記化学重合法の際に、重合度を調整して直接溶解状態とする方法や、一旦粒子で得られた導電性高分子を分取後、改めて溶媒に溶解させる方法などが挙げられる。このような化学重合法を用いた製造方法は、簡便で生産性が高いため好適に利用できる。
いずれの方法においても酸化剤およびモノマーの残渣や未反応物、また、重合度の低いオリゴマーなどを除去するため、適宜の段階で洗浄することが望ましい。
上記化学重合法に用いられる酸化剤としては、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素、二酸化塩素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、亜塩素酸等のハロゲン化物、五フッ化アンチモン、五塩化リン、五フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブデン等の金属ハロゲン化物、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、無水クロム酸、第二鉄塩、第二銅塩等の高原子価金属塩、硫酸、硝酸、トリフルオロメタン硫酸等のプロトン酸、三酸化硫黄、二酸化窒素等の酸素化合物、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過ホウ酸ナトリウム等のペルオキソ酸またはその塩、あるいはモリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸またはその塩などがあり、これらの少なくとも1種を用いることができる。
触媒層9は、電極基体8上に形成される。該触媒層9の形成方法としては、例えば、上記の導電性高分子溶液/分散液中に線状又は筒状炭素材料を添加した溶液から成膜する方法が挙げられる。また、前記溶液から導電性高分子にて被覆した線状又は筒状炭素材料を分取後、改めて溶媒に分散させた溶液から成膜する方法なども挙げられる。
また、導電性高分子にて被覆した線状又は筒状炭素材料粉末を、ペーストもしくはエマルジョンなどの形態に処理した後に、該電極基体上へ成膜するが挙げられる。成膜方法としては、特には限定されず、例えば、スピンコート、キャスト法、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ダイコート、ビードコート、ブレードコート、バーコート等といった公知の塗布方法により行なうことができる。また、塗布後必要に応じて加熱および減圧することで溶媒を除去することで触媒層9を形成することができる。
さらに、触媒層9の剥離を抑える目的で必要に応じてバインダーを添加してもよい。バインダーとしては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、およびPVDFやPTFEなどのフッ素系樹脂、また、カルボキシメチルセルロースなどの高分子材料を用いることができる。
本発明の対極における触媒層9の厚さは、用いる導電性高分子の種類や電解質の種類および粘度などによって最適値が異なるため特には限定されないが、一般に5nm〜5μmの範囲が適当であり、好ましくは100nm〜3μmである。
本発明の対極において、還元反応速度を増大させることができる理由については未解明である。しかしながら、触媒層9の構成材料である導電性高分子および線状又は筒状炭素材料は単独で酸化還元対の酸化体を還元する触媒特性を有しているが、導電性高分子にて線状又は筒状炭素材料を被覆することにより、導電性高分子と線状又は筒状炭素材料が相互作用、例えばπ軌道同士が相互作用して、酸化還元対との電子授受を効率よく行なうことができるようになったためと考察している。この効果は、線状又は筒状炭素材料表面に導入した官能基と導電性高分子が相互作用すること、より具体的には前記官能基が導電性高分子にドーピングすること、もしくは導電性高分子と化学結合することによりさらに向上する。
また、1)金属に比べ導電性が劣る導電性高分子が炭素材料を内包することで導電性が向上すること、2)炭素材料の欠点である電解質への漏れ電流を導電性高分子が被覆することで低減できること、3)炭素材料が線状又は筒状の形体をなすため、電極基体表面に担持した際にできる空孔が大きくなる結果、触媒層9の比表面積が増大することなどの理由により、厚さが比較的薄くても電解質中に含まれる酸化還元対の酸化体を速やかに還元することができ、高い性能を維持しながら導電性高分子層の厚みを薄くすることができるため、高粘度の電解液もしくは擬固体化電解質を用いた場合においても優れた電池特性を示すとともに、製造コストを低減することができる。
また、本発明の対極が、性能の経時的低下を抑制して高い耐久性を有する理由としては、以下のように考察している。すなわち、1)導電性高分子と炭素材料が、相互作用することで両者の結合が強まったこと、および線状又は筒状炭素材料の表面に固定された置換基が導電性高分子にドープしていること、もしくは化学結合していることにより導電性高分子の電解質中への遊離が抑制されたことや、2)その結果脱ドーピングによる電導度の低下が起きにくいこと、などが挙げられる。
こうして、電極支持体と導電性材料からなる電極基体8の上に触媒層9を形成させて対極が得られる。
以上に説明したような色素増感太陽電池の各構成要素材料を準備した後、従来公知の方法で金属酸化物半導体電極と対極とを電解質を介して対向させるように組み上げ、色素増感太陽電池を完成させる。
以下、本発明を実施例に基づいて、より詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
〔実施例1〕
[多孔質金属酸化物半導体]
透明導電膜付きの透明基体としてFTOガラス(日本板ガラス製25mm×50mm)を用い、その表面に二酸化チタンペースト(Soralonix社製)をバーコーターで塗布し、乾燥後450℃で30分焼成してそのまま室温となるまで放置し、10μmの厚さの多孔質酸化チタン半導体電極を形成した。
[増感色素の吸着]
増感色素として、一般にN3dyeと呼ばれるビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体を使用した。一旦150℃まで加熱した前記多孔質酸化チタン半導体電極を色素濃度0.5mmol/Lのエタノール溶液中に浸漬し、遮光下1晩静置した。その後エタノールにて余分な色素を洗浄してから風乾することで太陽電池の半導体電極を作製した。さらに、得られた半導体電極の酸化チタン投影面積が25mm2になるよう、半導体層を研削した。
[線状又は筒状炭素材料へのアニオン性置換基の導入]
濃硫酸:濃硝酸を3:1とした混酸溶液40ml中に1gの多層カーボンナノチューブを添加し、70分間加熱還流した。室温まで冷却後、大量の純水で洗浄してから200nm径のフィルターでろ別した。さらに、得られた多層カーボンナノチューブを100mlの純水中に分散/溶解させてから、石英繊維を用いてろ過を行なった。得られたろ液の多層カーボンナノチューブ濃度はおよそ0.4mg/mlであった。このろ液を凍結乾燥させて、表面にアニオン性置換基を導入した多層カーボンナノチューブを得た。なお、原料の多層カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブは、CVD法を用い、700℃で、Ni−フタロシアニンを原料として調製した。調製時の多層カーボンナノチューブは平均長6〜8μm、平均径25〜40nmであり、一連の操作により得られたアニオン性置換基を導入した多層カーボンナノチューブは、平均長1〜2μm、平均径25〜40nmであった。また、得られた多層カーボンナノチューブをFT-IRにて分析し、カルボニル基、ヒドロキシル基、およびスルホ基が導入されていることを確認した。
[導電性高分子の作製および線状又は筒状炭素材料との作用]
氷浴させたアニリン濃度0.1mol/Lの硫酸水溶液に過硫酸アンモニウムを滴下してアニリンを重合させ、ポリアニリン粒子を得た。得られたポリアニリン粒子にアンモニア水を作用させた後、N−メチルピロリドン(以降、「NMP」と省略する。)にポリアニリンが1g/70mlとなるよう溶解させ、ポリアニリンNMP溶液を得た。
前記ポリアニリンNMP溶液に、上記アニオン性置換基を導入した多層カーボンナノチューブを0.4g/mlとなるよう添加して分散・撹拌し、多層カーボンナノチューブドープポリアニリン(以降、「MWCNドープ−PAN」と略記。)溶液を得た。
[対極の作製]
導電膜層付の電極基体としてFTOガラス(日本板ガラス製25mm×50mm)を用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した該電極基体を、上記で得られたMWCNドープ−PAN分散溶液に浸漬してから引き上げ、空気中150℃で1時間加熱乾燥させてMWCNドープ−PAN対極を得た。平均膜厚は0.5μmであった。
[太陽電池セルの組み立て]
前記のように作製した半導体電極と対極を対向するよう設置し、電解質を毛管現象にて両電極間に含浸させた。電解質としては、溶媒をメトキシアセトニル、還元剤としてヨウ化リチウム、酸化剤としてヨウ素、添加剤としてt−ブチルピリジン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドを含む溶液を用いた。
[太陽電池セルの光電変換特性の測定]
上記の太陽電池セルについて、光量100mW/cm2の擬似太陽光を照射して開放電圧(以下、「Voc」と略記する。)、短絡電流密度(以下、「Jsc」と略記する。)、形状因子(以下、「FF」と略記する。)、および光電変換効率を評価したところ、以下の結果を得た。
「Voc」、「Jsc」、「FF」及び光電変換効率の各測定値については、より大きい値が太陽電池セルの性能として好ましいことを表す。
[実施例1の測定結果]
開放電圧(Voc):0.75V
短絡電流密度(Jsc):10.2mA/cm2
形状因子(FF):0.75
光電変換効率:5.7%
〔実施例2〕
導電性高分子および対極の作製以外は実施例1と同様に行なった。対極は以下のように行なった。すなわち、導電性高分子モノマーである3‐ヘキシルチオフェンを、氷浴0℃冷却下3−ヘキシルチオフェンに対して約3等量の塩化第二鉄を溶解させたクロロホルム溶液にゆっくりと滴下した。その後0℃に保持したまま一昼夜撹拌した後、反応溶液をメタノール溶液に注ぎ込み、黒色の沈殿物を得た。該沈殿物を吸引ろ過後、メタノールで未反応のモノマー及びオリゴマーを洗浄して除去した。得られた沈殿物をアンモニア水溶液中に分散・撹拌することで、ドーパントの脱離処理を行なった。純水で洗浄後、減圧乾燥してポリ(3−ヘキシルチオフェン)(以降、「PHT」と略記する)を得た。得られたPHTをトルエンに溶解させて赤色のPHTトルエン溶液を得た。
実施例1のポリアニリンNMP溶液を得られたPHTトルエン溶液に代え、同様の手法を用いることにより多層カーボンナノチューブドープポリ(3−ヘキシルチオフェン)(以降、MWCNドープ−PHTと略記)分散溶液を得た。得られたMWCNドープ−PHT分散溶液を用い、実施例1と同様の手法で作製した対極を用いて太陽電池セルを作製、評価した。
[実施例2の測定結果]
開放電圧(Voc):0.73V
短絡電流密度(Jsc):9.2mA/cm2
形状因子(FF):0.72
光電変換効率:4.8%
〔実施例3〕
導電性高分子および対極の作製以外は実施例1と同様に行なった。対極は以下のように行なった。すなわち、アニリン塩酸塩水溶液中に多層カーボンナノチューブを超音波分散させ、氷浴0℃下で12時間撹拌させ、該多層カーボンナノチューブ表面にアニリンを吸着させた。その後ろ別して分取してから、得られた多層カーボンナノチューブを、氷浴0℃の純水中に分散・撹拌させ、過硫酸アンモニウム水溶液を滴下して該多層カーボンナノチューブ表面に吸着させたアニリンを重合させた。吸引ろ過および純水洗浄、減圧乾燥して得られたポリアニリン被覆多層カーボンナノチューブ(以降、「PAN被覆−MWCN」)を、クロロホルム中に超音波分散させた。調製した溶液を、実施例1と同様に洗浄したFTOガラス上にスピンコート法にて塗布・乾燥し、目的とするPAN被覆−MWCN対極を得た。形成した膜厚は約0.2μmであった。作製した対極を用いて実施例1と同様にして太陽電池セルを作製し、評価した。
[実施例3の測定結果]
開放電圧(Voc):0.75V
短絡電流密度(Jsc):8.9mA/cm2
形状因子(FF):0.73
光電変換効率:4.9%
〔実施例4〕
導電性高分子および対極の作製以外は実施例1と同様に行なった。対極は以下のように行なった。実施例1の線状又は筒状炭素材料へのアニオン性置換基の導入工程において、混酸を2.6mol/Lの硝酸とした他は同様の操作を行なうことで、多層カーボンナノチューブ表面にカルボキシル基を導入した。さらに、ジメチルホルムアミドを添加した塩化チオニル中に、得られたカルボキシル基導入多層カーボンナノチューブを分散させ、70℃で撹拌しながら24時間加熱処理することにより、カルボキシル基をアシルクロライド(酢酸塩化物)とした。得られた生成物は遠心分離後に減圧乾燥した。
フェニレンジアミンを溶解させたジメチルスルホキシド(以降、「DMSO」と略記する。)溶液に、上記酢酸クロライド基を導入した多層カーボンナノチューブを分散させた後100℃で4日間撹拌し、フェニレンジアミンと多層カーボンナノチューブ間にアミド結合を形成させた。得られた混合液を過剰のメタノールに添加・撹拌してからろ過を行ない、次いでメタノールにて洗浄した。さらに、2時間超音波分散処理を施し、次いでメンブランフィルターを用いてろ過を行なってから乾燥することで、フェニレンジアミンが結合した多層カーボンナノチューブの粉体を得た。アミド結合生成の確認は、赤外分光測定法により同定した。
導電性高分子のモノマーとしてアニリン、およびドーパントとしてパラトルエンスルホン酸を溶解させた水溶液中に、上記で得られたフェニレンジアミンとアミド結合を形成させた多層カーボンナノチューブを超音波分散させた。氷浴0℃下で12時間撹拌させ、該多層カーボンナノチューブ表面にアニリンを吸着させた。その後氷浴・撹拌条件下、過硫酸アンモニウム水溶液を滴下して該多層カーボンナノチューブ表面に吸着させたアニリンおよび、該多層カーボンナノチューブ表面にアミド結合させたフェニレンジアミンとアニリンを重合させた。吸引ろ過および純水洗浄、減圧乾燥して得られたポリアニリン被覆多層カーボンナノチューブ(以降、「PAN被覆−MWCN」)を、クロロホルム中に超音波分散させた。調製した溶液を、実施例1と同様に洗浄したFTOガラス上にスピンコート法にて塗布・乾燥し、目的とするPAN結合−MWCN対極を得た。作製した対極を用いて実施例1と同様にして太陽電池セルを作製し、評価した。
[実施例4の測定結果]
開放電圧(Voc):0.76V
短絡電流密度(Jsc):8.4mA/cm2
形状因子(FF):0.68
光電変換効率:4.3%
〔比較例1〕
対極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。
対極は電極基体にFTOガラスを用い、実施例1と同様に洗浄した後、スパッタリング法によりFTOガラス上に白金層を形成した。白金層の厚みは約150nmであった。
[比較例1の測定結果]
開放電圧(Voc):0.72V
短絡電流密度(Jsc):8.9mA/cm2
形状因子(FF):0.66
光電変換効率:4.2%
〔比較例2〕
実施例1の対極の作製方法において、実施例1と同様に作製したアニオン性置換基を導入した多層カーボンナノチューブを超音波分散させた。得られた分散液を、1000rpm×30秒間の条件にてFTOガラス上にスピンコートし、風乾したのちに90℃にて15分加熱乾燥することを5回行なって多層カーボンナノチューブ層を形成させた。
[比較例2の測定結果]
開放電圧(Voc):0.68V
短絡電流密度(Jsc):5.6mA/cm2
形状因子(FF):0.49
光電変換効率:1.9%
〔比較例3〕
比較例2において用いた多層カーボンナノチューブを超音波分散させた水溶液に代え、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸水分散液(以降、「PEDOT/PSS」と略記)(Aldrich社製)に、多層カーボンナノチューブを添加して超音波分散させた溶液を用いることで、PEDOT/PSS分散−MWCN対極を作製し、それ以外は比較例2と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。
[比較例3の測定結果]
開放電圧(Voc):0.66V
短絡電流密度(Jsc):8.0mA/cm2
形状因子(FF):0.63
光電変換効率:3.3%
以下の表1に上記各例の対極材料、および測定値を示す。なお、上記各例における導電性子分子と炭素材料との相互作用の有無は、適宜紫外可視分光法や赤外分光法などにより、公知の手法にて判別した。
Figure 0004915785
*1 MWCN:多層カーボンナノチューブ
以上の結果から、本発明の対極を備えた色素増感太陽電池が優れた光電変換効率を有していることが判る。
本発明によれば、安価な製造コストとプロセスで作製でき、性能の経時的低下が抑制されて高い耐久性を有するとともに、高粘度の電解液もしくは擬固体化電解質を用いた場合においても優れた電池特性を示す色素増感太陽電池対極、ならびにそれを用いた色素増感太陽電池を提供することができる。
本発明の色素増感太陽電池の構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の対極の構成の一例を示す断面模式図である。
符号の説明
1 電極基体
2 透明基体
3 透明導電膜
4 多孔質金属酸化物半導体層
5 増感色素層
6 電解質層
7 対極
8 電極基体
9 触媒層

Claims (11)

  1. 光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を含む電解質層とを少なくとも有する色素増感太陽電池において、
    前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置される対極であり、
    電極支持体と導電性材料からなる電極基体を有し、該電極基体上に、酸化還元対となる化学種の酸化体を還元する触媒物質として、少なくともその一部が導電性高分子にて被覆されてなる微細な線状又は筒状炭素材料を含有する対極であって、
    前記線状又は筒状炭素材料の表面に官能基が導入されてなり、該官能基と前記導電性高分子との相互作用により、導電性高分子と線状又は筒状炭素材料とが複合化されていることを特徴とする対極。
  2. 前記線状又は筒状炭素材料の表面の官能基が、前記導電性高分子にドーピングされていることを特徴とする請求項に記載の対極。
  3. 前記線状又は筒状炭素材料の表面の官能基と前記導電性高分子とが化学結合を有していることを特徴とする請求項に記載の対極。
  4. 前記官能基が、カルボキシル基、スルホ基、ホスホニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の対極。
  5. 前記線状又は筒状炭素材料が、単層および多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の対極。
  6. 前記導電性高分子が、下記一般式(1)又は(2)で表される芳香族アミン化合物、下記一般式(3)で表されるチオフェン化合物、及び下記一般式(4)で表されるピロール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーが重合して形成されたポリマーである、請求項1〜のいずれかに記載の対極。
    Figure 0004915785
    Figure 0004915785
    (式(1)又は(2)中、R1及びR6はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R2〜R5及びR7〜R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数6〜12のアラルキル基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、またはニトロ基を示し、式(1)中、R2とR3、又はR4とR5はそれぞれ連結して環を形成していてもよく、式(2)中、R8とR9、又はR9とR10はそれぞれ連結して環を形成していてもよい。)
    Figure 0004915785
    (式(3)中、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、またはニトロ基を示し、R11とR12は連結して環を形成していてもよい。)
    Figure 0004915785
    (式(4)中、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、またはニトロ基を示し、R13とR14は連結して環を形成していてもよい。)
  7. 前記導電性高分子が、モノマーとして少なくともアニリンが重合して形成されたポリマーである、請求項に記載の対極。
  8. 該導電性高分子が、アニリンと一般式(1)又は(2)で表される芳香族アミン化合物から選ばれる少なくとも1種とがモノマーとして重合して形成されたコポリマーである、請求項記載の対極。
  9. 該導電性高分子が、モノマーとして少なくとも3,4−エチレンジオキシチオフェンが重合して形成されたポリマーである、請求項記載の対極。
  10. 該導電性高分子が、モノマーとしてピロール、3−メチルピロール、3−ブチルピロール及び3−オクチルピロールからなる群から選ばれる少なくとも1種が重合して形成されたポリマーである、請求項に記載の対極。
  11. 光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を含む電解質層と、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置される対極とを少なくとも有する色素増感型太陽電池であって、該対極が請求項1〜10のいずれかに記載の対極である、色素増感太陽電池。
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