JP5158841B2 - 色素増感太陽電池用電極およびそれを用いた色素増感太陽電池 - Google Patents
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Description
上記色素増感太陽電池は、可視光を吸収して励起した増感色素から半導体電極に電子が注入され、集電体を通して外部に電流が取り出される。一方、増感色素の酸化体は電解質中の酸化還元対により還元されて再生する。酸化された酸化還元対は、半導体電極に対向して設置された対極表面で還元されてサイクルが一周する。
しかしながら、金属酸化物よりなる透明導電膜は、比抵抗が10−4〜10−3Ω・cm程度であり、抵抗値が十分に低いものではない。また、上記透明導電膜を厚くすることで多少の改善は認められるものの、依然として電導度は不十分である。さらに、光透過性の低下や、重量およびコストの増加など、欠点が顕著に増加してしまう。
さらに、特に軽量化やフレキシブル性付与のために基板にプラスチックフィルムを用いた場合、前記金属酸化物成膜時のプラスチックの耐熱制約の問題から、低抵抗の透明導電膜の形成が困難である。この結果、色素増感太陽電池の光電変換効率を下げる原因となっており、特に、大面積化を図る場合、電極自身の電気抵抗による損失が光電変換効率低下の大きな問題となっている。
しかしながら、金属酸化物や不動態被膜では、電解液の浸透や不動態被膜自身が徐々に腐食・高抵抗化するため、長期間の耐久性は不十分であった。また、例えば樹脂などの絶縁性被覆層で密閉した場合においても、太陽電池の使用条件下では寒暖の差による熱膨張伸縮が大きく、基板や透明導電膜、被覆層などの各構成材料の熱膨張係数の違いから亀裂が生じて電解質が滲出してしまうため、やはり長期の耐久性は不十分であり、電極の抵抗値が高くなるという問題を完全に解決することはできない。
[1]光増感作用を有する色素を含む多孔質金属酸化物半導体電極と、
該半導体電極に対向配置された対極との間に封入された酸化還元対となる化学種を含む電解質を有する色素増感太陽電池の、
前記半導体電極及び/又は対極の低抵抗化のための補助電極が設けられた色素増感太陽電池用電極において、
該補助電極上に、絶縁性材料と導電性高分子とを含む被覆層が形成されてなることを特徴とする色素増感太陽電池用電極であり、
[透明基体]
電極基体1を構成する透明基体2は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、半透明なすりガラス状のものも使用できる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等も使用できる。
透明基体2の厚さは、太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、例えばガラスやプラスチックなどを用いた場合では、実使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度であり、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルムなどを使用した場合は、1μm〜1mm程度である。
透明導電膜3としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用でき、このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化インジウム、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、酸化亜鉛などが好適に用いることができる。また、分散させるなどの処理により可視光が透過すれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレンなどが挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、およびそれらの合金などが挙げられる。したがって、透明導電膜3としては、上記の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなるものを、透明基体2の表面に設けて形成することができる。あるいは透明基体2を構成する材料の中へ上記導電性材料を組み込んで、透明基体と透明導電膜を一体化して電極基体1とすることも可能である。
透明基体と透明導電膜を一体化させるには、透明基体の成型時に導電性のフィラーとして上記導電膜材料を混合させるなどがある。
透明導電膜3の厚さは、用いる材料により導電性が異なるため特には限定されないが、一般的に使用されるFTO被膜付ガラスでは、0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、大面積電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。100Ω/□を超えると太陽電池の内部抵抗が上がり、好ましくない。
透明基体及び透明導電膜から構成される電極基体1、又は透明基体と透明導電膜とを一体化した電極基体1の厚さは、上記のように太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1cm程度である。
多孔質金属酸化物半導体4としては、特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどが挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。また、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましい。また、増感色素をより多く吸着させるために、当該半導体層は多孔質になっていることが望ましく、具体的には比表面積が10〜200m2/gであることが望ましい。また、増感色素の吸光量を増加させるため、使用する酸化物の粒径に幅を持たせて光を散乱させることが望ましい。
このような多孔質金属酸化物半導体は、特に限定されず既知の方法で透明導電膜3上に設けることができる。例えば、ゾルゲル法や、分散体ペーストの塗布、また、電析や電着させる方法がある。さらに、多孔質金属酸化物半導体に対し、半導体粒子同士の電子的接触の強化及び支持体との密着性の向上のために、さらに高温処理をしてもよい。
このような半導体層の厚さは、用いる酸化物およびその性状により最適値が異なるため特には限定されないが、0.1μm〜50μm、好ましくは5〜30μmである。
増感色素層5としては、太陽光により励起されて前記金属酸化物半導体層4に電子注入できるものであればよく、一般的に色素増感太陽電池に用いられている色素を用いることができるが、変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。特に限定はされないが、ルテニウム錯体、特にルテニウムポリピリジン系錯体が望ましく、さらに望ましいのは、Ru(L)2(X)2で表されるルテニウム錯体が望ましい。ここでLは4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、もしくはその4級アンモニウム塩、およびカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、また、XはSCN、Cl、CNである。例えばビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体などが挙げられる。
他の色素としては、ルテニウム以外の金属錯体色素、例えば鉄錯体、銅錯体などが挙げられる。さらに、シアン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリン酸系色素、スチリル系色素、エオシン系色素などの有機色素が挙げられる。これらの色素には、該金属酸化物半導体層への電子注入効率を向上させるため、該金属酸化物半導体層との結合基を有していることが望ましい。該結合基としては、特に限定はされないが、カルボキシル基、スルホン酸基などが望ましい。
増感色素を溶解するために用いる溶媒の例としては、エタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどの窒素化合物、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することが望ましい。例えば、5×10-5mol/L以上の濃度が望ましい。
電解質層7は、支持電解質、酸化された増感色素を還元することのできる酸化還元対、およびそれらを溶解させる溶媒からなる。この溶媒としては、特に限定はされないが、非水性有機溶媒、常温溶融塩、水やプロトン性有機溶媒などから任意に選択でき、例えばアセトニトリルやジメチルホルムアミド、エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルイミド、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、炭酸プロピレン、γ-ブチルラクトンなどが挙げられ、中でもメトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、炭酸プロピレン、γ-ブチルラクトンなどを好適に用いることができる。また、溶媒をゲル化して用いることもできる。
支持電解質として、リチウム塩やイミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩などが挙げられる。
支持電解質、酸化還元対などは、其々用いる溶媒、半導体電極および色素などにより最適な濃度が異なるため、特には限定されないが、1mmol/L〜5mol/L程度である。
電解質層にはさらに添加剤として、t−ブチルピリジン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、水などを添加することができる。
対極8は、基体9上に、酸化還元対を還元するための触媒活性層10が備えられている。該基体9は、対極の支持体兼集電体として用いられるため、少なくとも触媒活性層10を形成させる表面部分は導電性を有している。
このような基体9の材質としては、例えば導電性を有する金属や金属酸化物、炭素材料などが用いられる。金属としては、電解質に対して耐久性が高いものが好ましく、また、安価であるものが望ましい。酸化還元対としてヨウ素を用いる場合は、例えばニッケル、チタン、ステンレスや耐食性合金などが挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。また、FTO、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛などの金属酸化物は、透明または半透明であるため増感色素層への入射光量を増加させることができ、好適に用いることができる。
基体9の厚さは、上記のように太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1cm程度である。
本発明における触媒活性層10は、電解質中の酸化還元対の酸化体を還元体に還元する還元反応の触媒として機能するものであり、特には限定されず公知の材料が使用できる。具体的には、白金、およびその合金、また、導電性高分子が挙げられる。導電性高分子としては、1種以上のホモポリマー、1種以上のコポリマー、又はそれらの混合体であってよい。前記導電性高分子を形成するモノマーとして、アニリン、チオフェン、ピロール、およびそれらの誘導体を用いることができ、特にポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が好適に利用することができる。
また、導電性高分子を用いて触媒活性層を形成する場合は、導電性高分子を溶解させた溶液もしくは導電性高分子粒子の分散溶液から成膜する方法や、導電性高分子を構成するモノマーを含む溶液中で、基体9を作用電極として電解することで、該基体9の表面に酸化重合させて成膜する方法などが挙げられる。
また、本発明における色素増感太陽電池には、必要に応じて前記対極と前記半導体電極間の一部には両電極間の間隔を規定するスペーサー11を設けることができる。このようなスペーサー11の材料としては、少なくとも非導電性の材料であって、ガラスや、プラスチック等を挙げることができる。前記両電極間はスペーサーにより任意に調整が可能であるため、その形状・大きさは特には限定されず、シート状、球状、繊維状、棒状など任意の形状のものが使用可能である。このとき、両電極の間隔は好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下であるため、前記スペーサー11の厚みもしくは径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
本発明におけるシール材は、色素増感太陽電池セルの周縁や、前記セルを複数並設してなる太陽電池モジュールの各セル間を隔てる部分において、半導体電極と対極の両電極間を、規定された間隔を隔てて接着および封止するために使用される。
これらの硬化性樹脂の硬化方法についても、熱硬化型、光硬化型、電子線硬化型などの種々の硬化法の適用が可能である。また、シール部分やその構成材料に応じて、同一の樹脂を用いても、別々の樹脂を用いても構わない。
このとき、シール材の形成、両電極の張り合わせや電解質の注入などの工程上の順序は、作製するセルの形状や各種材料により適宜変更するため、特には限定されない。
シール材の幅は、封止する電解質成分や電極材料によりその最適値が異なるため、特に制限はされないが、1mm以上であることが望ましく、さらには3mm以上であることが望ましい。
補助電極13は、半導体電極6もしくは対極8の電気抵抗を低下させるために設置するものであり、そのため、両電極の集電体と接している必要がある。
補助電極13の材質としては、電極の電気抵抗を下げることができるように、半導体電極の透明導電膜や対極の集電体材料よりも電気抵抗が小さい材料であれば、特には限定されず、公知の材料が使用できる。具体的には、金属材料、特にアルミニウムやニッケル、スズ、亜鉛、鉄、コバルト、チタン、タングステン、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタル、マンガン、およびそれらの合金が望ましく、さらには銀や金、銅などが特に望ましい。補助電極の比抵抗は、少なくとも1×10-4Ω・cm以下、望ましくは1×10-5Ω・cm以下であることが望ましい。
また、日射時の加熱による電極の熱膨張収縮に対応するために、またフレキシブル性が求められる場合には十分な可塑性も有することが望ましい。具体的には、太陽電池特性に影響が出ない程度範囲であれば、バインダーや樹脂材料を添加しても構わない。また、集電体との接触抵抗が低くなるよう、密着していることが望ましく、この場合もバインダーや樹脂材料を添加しても構わない。また、電気抵抗が増加しない限り、基板もしくは集電体などとの界面をプライマー処理した上で、該補助電極13を形成しても構わない。
本発明における被覆層14は、上記補助電極を電解質から電気的に絶縁するとともに、電解質成分、特に酸化還元対であり絶縁性材料の劣化を促進させるアニオン、その中でも、I−やI3 −などのヨウ化物アニオンから、補助電極の腐食を防ぐために使用される。したがって、被覆層は物理的に電解質と補助電極を隔離するものであるので、顕著なピンホールがなく、より緻密であることが望ましい。
本発明の被覆層14を構成する材料としては、導電性高分子15と絶縁性材料16を含んでおり、前記の絶縁性に関しては、主として絶縁性材料16が担うものである。また、絶縁性材料16は、第一に物理的に電解質成分を遮蔽する材料である。
また、本発明の被覆層14の形成方法として、予め導電性高分子を重合させた上で、絶縁性材料と混合させる手法だけではなく、導電性高分子の重合を被覆層内部にて行なう方法を採ることもできる。
また、被覆層14は、単層であっても、2層以上の多層であっても構わない。
[被覆層-絶縁性材料]
上記の材料の中でもポリイソブチレン系樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、また、アルミナ、窒化ケイ素が望ましい。
一方、導電性高分子15は、絶縁性材料16の劣化を抑制することで、より長期間電解質成分と補助電極との接触を防ぐとともに、劣化や剥離などの進行による亀裂から、被覆層14中に電解質が浸透してきた場合に、電解質成分、特にヨウ素を吸蔵・保持することで、それ以上の電解質の浸入・拡散を抑制することで、電解質と補助電極との接触を防ぎ、長期的な耐久性を高めるために使用されるものである。
また、導電性高分子15は、電解液成分から絶縁性材料16をより効果的に保護できるよう、被覆層14内部において、電解質に近づくほど、導電性高分子の分布割合が増加するように分布させることが望ましい。さらに、電解質成分が被覆層14の内部を浸透して補助電極と接触することがないよう、被覆層内部において、電解質から遠い導電性高分子ほどより緻密に重合されていることが望ましい。
このような導電性高分子を形成するモノマーとして、例えば下記一般式(1)又は(2)で表される芳香族アミン化合物、下記一般式(3)で表されるチオフェン化合物、及び下記一般式(4)で表されるピロール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーが挙げられる。
チオフェン化合物を1種又は2種以上用いて導電性高分子を形成してもよい。
このような電解重合により得られた導電性高分子を用いて、本発明の被覆層を構成する材料を形成する方法として、生成した導電性高分子膜を導電性基板表面から剥離させ、力学的に粉砕して粉体としたのち、もしくはそのままの形状で補助電極上に配置してから、絶縁性材料16を注入設置するなどの方法を採ることができる。また、上記導電性基板として補助電極を使用し、電解重合を行なうことで、膜状の導電性高分子を補助電極上に直接形成させた後、該導電性高分子上に絶縁性材料16を形成する方法がある。
絶縁性材料16が熱硬化樹脂など、その形成に加熱処理を伴う場合には、加熱工程が、電解重合の溶媒の除去と絶縁性材料16の硬化を兼ねても構わない。
すなわち、1)被覆層に含有される導電性高分子自体が、電解質成分、特に絶縁性材料16の劣化を促進させるアニオン成分、とりわけヨウ化物アニオンに対して高い耐久性を有すること、2)さらに、前記導電性高分子が、前記アニオン、とりわけヨウ化物アニオンをドーパントとしてその内部に吸蔵保持することが可能であるため、それ以上のアニオンの浸透・拡散を抑制し、補助電極との接触を遮断できること、3)同時に、ドーパントとして導電性高分子内部にてイオン対を形成するため、絶縁性材料16との化学反応を抑制して、絶縁性材料16のさらなる劣化を低減できること、などが挙げられる。
〔実施例〕
[補助電極の形成]
透明導電膜付きの透明基体としてFTOガラス(日本板ガラス製10cm×10cm)を用い、その表面に、50nmの厚さの酸化チタン薄膜層をスパッタリングにより形成させた。次いで、前記酸化チタン薄膜層表面にAgペーストをスクリーン印刷したのち、550度で加熱処理することで、幅500μm、厚さ20μmの銀配線を等間隔で6本ストライプ状に形成し、補助電極とした。
上記補助電極を形成させたFTOガラスを用い、等間隔に補助電極を形成した間に短冊状に、酸化チタンペースト(触媒化成工業株式会社製チタニアペースト PST-18NR)をスクリーン印刷し、100℃で1時間乾燥後、大気雰囲気下550℃で120分間焼成してそのまま室温となるまで放置し、幅1cmで10μmの厚さの多孔質酸化チタン半導体層を形成させた。さらに、前記多孔質酸化チタン半導体層の上に、酸化チタンペースト(触媒化成工業株式会社製チタニアペースト PST-400C)をスクリーン印刷で重ね塗りしたのち同様に焼成を行なって、15μm厚とした多孔質酸化チタン半導体層を完成させた。
5℃以下に氷冷した1wt%ピロール水溶液に、2.5倍等量の過硫酸アンモニウムを撹拌しながら滴下し、氷冷したまま20時間撹拌を続けることで、ピロールを重合させた。得られたポリピロールの黒色粉末を純水、メタノール、アセトンを順に用いて、ピロールおよび酸化剤残渣、ピロールオリゴマーを洗浄した。次いで、得られたポリピロール粉末を、5%アンモニア水溶液中で1時間撹拌することでドーパントの脱離処理を行なったのち、純水を用いて十分に洗浄を行なった。
絶縁性樹脂としてシリコーン樹脂ペーストを用い、シリコーン樹脂ペーストに上記脱ドープ処理を行なったポリピロールを5wt%添加して撹拌・混合させることで、被覆材を調製した。
上記多孔質金属酸化物層と補助電極を形成させた電極に対し、位置合わせを行なって補助電極に重ね合わせて、 調製した被覆材を同様にスクリーン印刷したのち、プレ乾燥工程として60℃で10分間加熱後、120℃30分加熱処理して被覆層を硬化させた。形成した被覆層は、補助電極から両端にそれぞれ片側1mmずつ余剰に被覆され、電極基体からの高さは40μmであった。
増感色素として、一般にN3dyeと呼ばれるビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体を使用した。一旦150℃まで加熱した前記多孔質酸化チタン半導体電極を色素濃度0.5mmol/Lのエタノール溶液中に浸漬し、遮光下1晩静置した。その後エタノールにて余分な色素を洗浄してから風乾することで、太陽電池の半導体電極を完成させた。
対極として、ソーダライムガラスを基板とし、チタンを30nm、該チタン層上に白金を270nmスパッタしたPtスパッタ膜付ガラス(ジオマテック社製 10cm角)を使用した。
シール材として、シリコーン系樹脂シール剤(信越ポリマー株式会社製LHR−120S)を使用した。
上記のように作製した半導体電極上に、予め前記シール材を両面に塗布した、50μm厚のフッ素樹脂製フィルムをセパレータとして載せたのち、プレ乾燥工程として60℃で10分間加熱してから、前記半導体電極と対向するように対極を貼り合わせた。続いて張り合わせた電極の外縁部に、環状に前記シール材を塗布してから、120℃30分加熱処理してシール材を硬化させた。ただし、シール材塗布後硬化前に、電解液を封入させるための封入口としてシール材の一部を2箇所除去させてある。シール材硬化後、前記封入口の一方から、電解質を毛管現象にて両電極間に含浸させるとともに、他方から減圧することで両電極間の気泡を除去しながら電解質を入れ、封入口を常温硬化性樹脂にて封入することで、太陽電池セルを組み上げた。電解質としては、溶媒をメトキシプロピオニトリル、還元剤としてヨウ化リチウム、酸化剤としてヨウ素、添加剤としてn−メチルベンズイミダゾール、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドを含む溶液を用いた。
上記の太陽電池セルについて、光量100mW/cm2の擬似太陽光を照射して開放電圧(以下、「Voc」と略記する。)、短絡電流密度(以下、「Jsc」と略記する。)、形状因子(以下、「FF」と略記する。)、および光電変換効率を評価したところ、以下の結果を得た。
「Voc」、「Jsc」、「FF」及び光電変換効率の各測定値については、より大きい値が太陽電池セルの性能として好ましいことを表す。
開放電圧(Voc):0.71V
短絡電流密度(Jsc):9.8mA/cm2
形状因子(FF):0.71
光電変換効率:4.9%
上記電解質溶液100mlを入れたPTFE製容器中に、耐久性試験用に別途上記半導体電極と同様に作製した半導体電極を浸漬させ、暗中100℃で恒温保持試験を行ない、1000時間経過後に取り出した。脱水アセトニトリルで耐久性試験に用いた電解質溶液を洗浄・風乾したのちは、上記と同様に太陽電池セルを組み立てて光電変換特性を測定したところ、下記のように特に劣化は認められなかった。
[実施例の耐久性試験後の測定結果]
開放電圧(Voc):0.72V
短絡電流密度(Jsc):9.7mA/cm2
形状因子(FF):0.70
光電変換効率:4.9%
被覆材の作製において、導電性高分子であるポリピロール微粒子を添加すること以外は、実施例と同様に半導体電極を作製して太陽電池セルを組み立て、光電変換特性の初期評価を行なったところ、実施例と同等の性能が得られた。次いで、実施例と同様の条件で耐久性試験を実施した結果、その初期性能を維持できず、大幅な光電変換の低下が確認された。
[耐久性試験前の測定結果]
開放電圧(Voc):0.72V
短絡電流密度(Jsc):9.9mA/cm2
形状因子(FF):0.70
光電変換効率:5.0%
[耐久性試験後の測定結果]
開放電圧(Voc):0.70V
短絡電流密度(Jsc):1.5mA/cm2
形状因子(FF):0.22
光電変換効率:0.2%
2 透明基体
3 透明導電膜
4 多孔質金属酸化物半導体層
5 増感色素層
6 半導体電極
7 電解質層
8 対極
9 電極基体
10 触媒活性層
11 スペーサー
12 シール材
13 補助電極
14 被覆層
15 導電性高分子
16 絶縁性材料
Claims (9)
- 光増感作用を有する色素を含む多孔質金属酸化物半導体電極と、
該半導体電極に対向配置された対極との間に封入された酸化還元対となる化学種を含む電解質を有する色素増感太陽電池の、
前記半導体電極及び/又は対極の低抵抗化のための補助電極が設けられた色素増感太陽電池用電極において、
該補助電極上に、絶縁性材料と導電性高分子とを含む被覆層が複数の層状に形成されており、
前記絶縁性材料が、導電性高分子よりも緻密に形成されてなることを特徴とする色素増感太陽電池用電極。 - 前記導電性高分子が、アニオンを吸蔵可能であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池用電極。
- 前記導電性高分子のドーパントが脱離されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池用電極。
- 前記導電性高分子が、絶縁性材料と化学的に架橋していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池用電極。
- 前記導電性高分子が、被覆層内部にて導電性高分子モノマーを含有させ重合した導電性高分子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感太陽電池用電極。
- 前記導電性高分子が、アニリン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、チオフェン及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の色素増感太陽電池用電極。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感太陽電池用電極を備えてなることを特徴とする色素増感太陽電池。
- アニオンが酸化還元対の構成成分であることを特徴とする請求項7に記載の色素増感太陽電池。
- 酸化還元対がヨウ化物アニオンであることを特徴とする請求項7又は8に記載の色素増感太陽電池。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007093213A JP5158841B2 (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 色素増感太陽電池用電極およびそれを用いた色素増感太陽電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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