JP2006202562A - 触媒電極、及びそれを備えた色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価な材料および簡便な製造法により作製でき、かつ、電解質中に含まれる酸化還元対の酸化体を速やかに還元することのできる触媒電極、およびこれを備え、優れた光電変換効率を有する色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】遷移金属が、電極基板表面の少なくとも一部に形成された導電性高分子中に配位していることを特徴とする触媒電極。また、遷移金属またはその合金、または有機金属錯体が、電極基板表面の少なくとも一部に形成された導電性高分子中に分散、担持されていることを特徴とする触媒電極。また、上記のいずれかに記載の触媒電極において、触媒電極もしくは導電性高分子が不活性ガスなどのガス下、もしくは減圧下にて加熱処理されたことを特徴とする触媒電極。および上記いずれかに記載の触媒電極を備えた色素増感型太陽電池。
【選択図】なし
【解決手段】遷移金属が、電極基板表面の少なくとも一部に形成された導電性高分子中に配位していることを特徴とする触媒電極。また、遷移金属またはその合金、または有機金属錯体が、電極基板表面の少なくとも一部に形成された導電性高分子中に分散、担持されていることを特徴とする触媒電極。また、上記のいずれかに記載の触媒電極において、触媒電極もしくは導電性高分子が不活性ガスなどのガス下、もしくは減圧下にて加熱処理されたことを特徴とする触媒電極。および上記いずれかに記載の触媒電極を備えた色素増感型太陽電池。
【選択図】なし
Description
本発明は、触媒電極、及びそれを備えた色素増感型太陽電池に関する。
近年、多孔質酸化チタン層に可視光域を吸収させる増感色素を担持させた色素増感型太陽電池が検討されている。この色素増感型太陽電池は、使用する材料が安価であること、比較的シンプルなプロセスで製造できること等の利点からその実用化が期待されている。
上記の色素増感型太陽電池は、可視光を吸収して励起した増感色素から酸化チタン電極に電子が注入され、集電体を通して外部に電流が取り出される。一方、増感色素の酸化体は電解質中の酸化還元対により還元されて再生する。酸化された酸化還元対は、酸化チタン電極に対向して設置された触媒電極表面で還元されてサイクルが一周する。
色素増感型太陽電池に従来用いられている触媒電極としては、電極基板上に、塩化白金酸を塗布、乾燥したものや、白金を蒸着した白金触媒電極が知られている。この触媒電極においては、電解質中の酸化還元対(例えば、I3 −/I−等)の酸化体を還元体に還元する還元反応(I3 −をI−に還元する還元反応)を速やかに進行させることが可能な電極特性を有するものが求められている。
しかしながら、上記に示したような、白金触媒電極を備えた色素増感型太陽電池は、電池内での電子移動反応において、触媒電極表面でのヨウ素還元反応を速やかに進行させることができず、十分な光電変換効率を得ることが困難であった。ヨウ素還元効率を上げるためには膜厚を厚く、かつ、凹凸を形成させる必要があるため、白金使用量が増加、または製造プロセスが煩雑になり製造コストが高くなるという問題もあった。
特許文献1には、モノマーを重合させると同時に形成される有機膜からなるホール集電電極(触媒電極)を使用した色素増感型太陽電池が開示されている。
この文献によると、従来の触媒電極形成方法に比べ、簡潔な工程で安価にホール集電電極を作製でき、製造プロセス及び製造コストの面で有利な色素増感型太陽電池を提供し得るが、電池特性の面で従来の白金を用いた触媒電極を使用した色素増感型太陽電池と同等であり、より優れた電池特性を示す色素増感型太陽電池が求められている。
特許文献2には、触媒電極表面の電子移動反応を速やかに進行させ、光電変換効率の良い色素増感型太陽電池を得る方法が開示されている。該方法によれば炭素電極を対極(触媒電極)として使用するが、この炭素電極においては、導電性が不十分であり、バインダーとして導電性酸化物粒子、導電補助材としてカーボンブラックなどを添加する必要があり、構成材料が多く、製造が煩雑である。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、安価な材料および簡便な製造法により作製でき、かつ、電解質中に含まれる酸化還元対の酸化体を速やかに還元することのできる触媒電極、およびこれを備え、優れた光電変換効率を有する色素増感型太陽電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、遷移金属またはその合金、および/または有機金属錯体が導電性高分子中に分散、担持された層を含む電極が、酸化還元対の酸化体を速やかに還元することができる触媒電極となることを見出した。また、遷移金属が直接配位した導電性高分子層を含む電極が、酸化還元対の酸化体を速やかに還元することができる触媒電極となることを見出した。また、このような触媒電極を備えた色素増感型太陽電池が、従来の白金触媒電極を備えた色素増感型太陽電池より高い光電変換効率を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、遷移金属が、電極基板表面の少なくとも一部に形成された導電性高分子中に配位していることを特徴とする触媒電極である。
また、本発明は、遷移金属またはその合金が、電極基板表面の少なくとも一部に形成された導電性高分子中に分散、担持されていることを特徴とする触媒電極である。
また、本発明は、有機金属錯体が、電極基板表面の少なくとも一部に形成された導電性高分子中に分散、担持されていることを特徴とする触媒電極である。
また、本発明は上記の触媒電極、もしくは導電性高分子が不活性ガスなどのガス下、もしくは減圧下にて加熱処理されたことを特徴とする触媒電極である。
さらに、本発明は上記いずれかに記載の触媒電極を備えた色素増感型太陽電池である。
本発明によれば、電解質中に含まれる酸化還元対の酸化体を速やかに還元することのできる触媒電極が得られ、優れた光電変換効率を有する色素増感型太陽電池を提供することができる。本発明の触媒電極において、還元反応速度を増大させることができる理由について、明確には解明されてないが、導電性に優れた導電性高分子層を集電体、および触媒の担体として用いることにより、酸化還元対と触媒との接触面積が増大し、かつ酸化還元対の拡散性が向上し、触媒と酸化還元対の酸化体との反応性が著しく向上し触媒の単位量当たりの利用率を向上できるからであると本発明者らは推察する。また、触媒として有機金属錯体が分散、担持された場合、および遷移金属を導電性高分子に配位させた場合においても、触媒が分子サイズで導電性高分子と相互作用できるため、触媒の導入量およびその利用率を向上することができるためと考えられる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面をもとに詳細に説明する。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の断面模式図である。透明基板2とその上に形成された透明導電膜3からなる電極基板1の表面に、多孔質金属酸化物半導体層4が形成され、さらに該多孔質金属酸化物半導体層4の表面には、増感色素層5が吸着されている。そして、電解質層6を介して、本発明の触媒電極7が対向して設置されている。
図2は、本発明における触媒電極7の断面模式図である。図2に示す触媒電極7は、電極基板8の表面に導電膜層9が形成されており、さらに導電膜層9の上に導電性高分子層10が形成されている。また、図3に示す触媒電極のように、導電膜層9として導電性高分子を用いる場合は、電極基板8の上に導電性高分子層10を直接形成しても良い。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の各構成材料について、好適な形態を説明する。
[透明基板]
透明基板2は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、半透明なすりガラス状のものも使用できる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等が使用できる。
[透明基板]
透明基板2は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、半透明なすりガラス状のものも使用できる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等が使用できる。
[透明導電膜]
透明導電膜3としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用でき、このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化インジウム、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、酸化亜鉛などが好適に用いることができる。また、分散させるなどの処理により可視光が透過すれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレンなどが挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。したがって、透明導電膜3としては、上述の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなる導電材料を電極基板表面および/または内部に含む、ガラスもしくは板状またはフィルム状の有機物からなることが望ましい。また、これらの材料を直接透明基板2の表面および表面近傍中に含有させ、透明基板と透明導電膜を一体化することも可能である。
透明導電膜3としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用でき、このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化インジウム、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、酸化亜鉛などが好適に用いることができる。また、分散させるなどの処理により可視光が透過すれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレンなどが挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。したがって、透明導電膜3としては、上述の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなる導電材料を電極基板表面および/または内部に含む、ガラスもしくは板状またはフィルム状の有機物からなることが望ましい。また、これらの材料を直接透明基板2の表面および表面近傍中に含有させ、透明基板と透明導電膜を一体化することも可能である。
[多孔質金属酸化物半導体]
多孔質金属酸化物半導体4としては、特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどが挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。また、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましい。また、増感色素をより多く吸着させるために、多孔質になっていることが望ましい。
多孔質金属酸化物半導体4としては、特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどが挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。また、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましい。また、増感色素をより多く吸着させるために、多孔質になっていることが望ましい。
[増感色素]
増感色素層5としては、太陽光により励起されて前記金属酸化物半導体層4に電子注入できるものであればよく、一般的に色素増感型太陽電池に用いられている色素を用いることができるが、変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。特に限定はされないが、ルテニウム錯体、特にルテニウムポリピリジン系錯体が望ましく、さらに望ましいのは、Ru(L)2(X)2で表されるルテニウム錯体が望ましい。ここでLは4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、もしくはその4級アンモニウム塩、およびカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、また、XはSCN、Cl、CNである。他の色素としては、ルテニウム以外の金属錯体色素、例えば鉄錯体、銅錯体などが挙げられる。さらに、シアン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリン酸系色素、スチリル系色素、エオシン系色素などの有機色素が挙げられる。これらの色素には、該金属酸化物半導体層への電子注入効率を向上させるため、該金属酸化物半導体層との結合基を有していることが望ましい。該結合基としては、特に限定はされないが、カルボキシル基、スルホン酸基などが望ましい。
増感色素層5としては、太陽光により励起されて前記金属酸化物半導体層4に電子注入できるものであればよく、一般的に色素増感型太陽電池に用いられている色素を用いることができるが、変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。特に限定はされないが、ルテニウム錯体、特にルテニウムポリピリジン系錯体が望ましく、さらに望ましいのは、Ru(L)2(X)2で表されるルテニウム錯体が望ましい。ここでLは4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、もしくはその4級アンモニウム塩、およびカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、また、XはSCN、Cl、CNである。他の色素としては、ルテニウム以外の金属錯体色素、例えば鉄錯体、銅錯体などが挙げられる。さらに、シアン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリン酸系色素、スチリル系色素、エオシン系色素などの有機色素が挙げられる。これらの色素には、該金属酸化物半導体層への電子注入効率を向上させるため、該金属酸化物半導体層との結合基を有していることが望ましい。該結合基としては、特に限定はされないが、カルボキシル基、スルホン酸基などが望ましい。
[電解質層]
電解質層6は、支持電解質と、酸化された増感色素を還元することのできる酸化還元対、およびそれらを溶解させる溶媒からなる。この溶媒としては、特に限定はされないが、非水性有機溶媒、常温溶融塩、水やプロトン性有機溶媒などから任意に選択でき、ヨウ素、ヨウ化リチウム、t−ブチルピリジンを含むことができるアセトニトリルなどが好適に用いることができる。また、溶媒としての常温溶融塩をゲル化して用いることもできる。
電解質層6は、支持電解質と、酸化された増感色素を還元することのできる酸化還元対、およびそれらを溶解させる溶媒からなる。この溶媒としては、特に限定はされないが、非水性有機溶媒、常温溶融塩、水やプロトン性有機溶媒などから任意に選択でき、ヨウ素、ヨウ化リチウム、t−ブチルピリジンを含むことができるアセトニトリルなどが好適に用いることができる。また、溶媒としての常温溶融塩をゲル化して用いることもできる。
[触媒電極−電極基板]
触媒電極7は、電極基板8と導電膜9および、導電性高分子層10からなるが、該電極基板8としては、電極や太陽電池の各層を形成する際に変性して劣化することがなく、導電性高分子層を保持できるものであればよい。例えば、金属、プラスチック、ガラス、金属酸化物などが好適に用いられ、板状でもフィルム状で湾曲できるものでも構わない。また、該電極基板は透明でも不透明でも構わないが、増感色素層への入射光量を増加させるため透明または半透明であることが望ましい。
触媒電極7は、電極基板8と導電膜9および、導電性高分子層10からなるが、該電極基板8としては、電極や太陽電池の各層を形成する際に変性して劣化することがなく、導電性高分子層を保持できるものであればよい。例えば、金属、プラスチック、ガラス、金属酸化物などが好適に用いられ、板状でもフィルム状で湾曲できるものでも構わない。また、該電極基板は透明でも不透明でも構わないが、増感色素層への入射光量を増加させるため透明または半透明であることが望ましい。
[触媒電極−導電膜]
前記導電膜9としては、導電性を有していればよく、例えば、金属、金属酸化物、炭素材料、導電性高分子等が挙げられる。金属としては、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。また、FTO、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛などの金属酸化物を用いた場合、透明または半透明であるため増感色素層への入射光量を増加させることができ、好適に用いることができる。また、導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリンやこれらの誘導体等が利用できる。また、導電膜9を導電性高分子で構成する時は、導電性高分子層10と一体化することもできる。
前記導電膜9としては、導電性を有していればよく、例えば、金属、金属酸化物、炭素材料、導電性高分子等が挙げられる。金属としては、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。また、FTO、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛などの金属酸化物を用いた場合、透明または半透明であるため増感色素層への入射光量を増加させることができ、好適に用いることができる。また、導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリンやこれらの誘導体等が利用できる。また、導電膜9を導電性高分子で構成する時は、導電性高分子層10と一体化することもできる。
導電膜9の形成方法としては特に限定はされないが、例えば金属を用いる場合、メッキや電析などの溶液法、また、スパッタ法や真空蒸着等の気相法が挙げられ、金属酸化物を用いる場合はゾルゲル法などが用いることができる。また、金属、金属酸化物、炭素材料、および導電性高分子の粉末を、一種もしくは複数用いて樹脂中や高分子バインダー中に分散させて導電膜を形成させることもできる。
[触媒電極−導電性高分子層]
本発明の導電性高分子層10は、以下(1)〜(3)に記載したいずれかであることを特徴としている。(1)導電性高分子に、遷移金属が直接配位している。(2)遷移金属またはその合金が導電性高分子中に分散、担持されている。(3)有機金属錯体が導電性高分子中に分散、担持されている。
本発明の導電性高分子層10は、以下(1)〜(3)に記載したいずれかであることを特徴としている。(1)導電性高分子に、遷移金属が直接配位している。(2)遷移金属またはその合金が導電性高分子中に分散、担持されている。(3)有機金属錯体が導電性高分子中に分散、担持されている。
該導電性高分子としては、導電性を有する高分子であれば特に限定されないが、遷移金属を直接配位させる場合は、配位能を有する原子である、窒素、酸素、硫黄、セレン、またはリンのうち少なくとも1種類以上の原子が高分子鎖に含まれることが望ましい。もしくは、配位能を有する原子である、窒素、酸素、硫黄、セレン、またはリンのうち少なくとも1種類以上の原子が、導電性などの向上を図るために添加されるドーパントイオン分子中に含まれることが望ましい。そのような導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、および、これらの誘導体等が挙げられる。
前記導電性高分子層10は、電極基板8上に、もしくは電極基板8上に形成された導電膜9上に形成される。形成方法は特に限定されないが、例えば、導電性高分子を溶融状態もしくは溶解させた溶液から成膜する方法が挙げられる。該溶液に用いる溶媒としては導電性高分子を溶解できるものであれば特に限定はされないが、例えばトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトニトリルなどが挙げられる。また、他の形成方法としては、導電性高分子のモノマーを含む溶液と、電極基板8、または電極基板8上に形成された導電膜9とを接触させた状態で、モノマーを化学的もしくは電気化学的に酸化重合する方法が挙げられる。また、導電性高分子粉末を、ペースト状、もしくはエマルジョン状、もしくは高分子溶液およびバインダーを含む混合物形態に処理した後に、該電極基板、もしくは該導電膜上へスクリーン印刷、スプレー塗布、刷毛塗りなどにより形成させる方法も可能である。
前記(2)における遷移金属またはその合金としては、元素周期表第8族、9族、10族の金属の他、レニウム、マンガン、モリブデン、またはタングステンのうち少なくとも1種類以上から選ばれる金属原子であることが望ましい。さらに、前記遷移金属またはその合金が、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン、またはタングステンのうち少なくとも1種類から選ばれることがより望ましい。また、前記遷移金属およびその合金を前記導電性高分子に分散、担持させる場合、酸化還元対との反応をより効率よく行なうために微粒子状であることが望ましく、粒径としては1μm以下が望ましく、2nm〜250nmであることがより望ましい、さらには2nm〜25nmであると最も望ましい。一方で、粒径が1μmより大きいと、担持量に対する実効表面積が減少して変換効率が低下するため、使用量を低減することができなくなる。また、担持された金属の凝集が進行してしまう場合もある。
前記(3)における、有機金属錯体の中心金属としては、元素周期表第5族、6族、7族、8族、9族、10族および第11族の遷移金属原子のうち少なくとも1種類以上から選ばれる金属元素であることが望ましい。このような金属元素としては、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、またはニッケルなどの周期律表第8族、9族、10族、または第11族を中心とする遷移金属元素の他、レニウム、マンガン、モリブデン、またはタングステンであることがより望ましい。
前記(3)における有機金属錯体は太陽電池の発電時においても安定して機能することが求められるため、配位子は安定して配位していることが望ましい。そのため、配位子は窒素、酸素、硫黄、リン、セレンなどの原子にて中心金属に配位していることが望ましく、さらに、より安定して配位するために多座配位子であることが望ましい。特に限定はされないが、このような配位子としては、ジアミン、ジオール、ジチオール、ジフォスフィンなどの2座配位子や、ビピリジン、フェナントロリンなどのポリピリジン配位子など、ヘテロ原子を有する芳香族化合物が挙げられる。
さらに、該有機金属錯体においては中心金属が酸化還元対と相互作用して電子の授受を行なう反応点として機能しているため、酸化還元対との反応時には該中心金属には配位不飽和である空サイトが必要となる。したがって、発電時にも安定して機能しつつ触媒能を発現するためには、配位サイトのうちの一部が反応サイトとして空サイトを形成し、残りの配位サイトには上述の安定した配位子が配位していることが望ましい。さらに、酸化還元対が近傍に存在できるよう立体障害が少ないことが望ましい。
このような配位子として、平面的で4配位構造、もしくは環状構造をなす化合物は立体障害が少なく、かつ空サイトを有しつつ安定に配位することができるため、好ましく使用できる。例えばサレン配位子や、ポルフィリン、フタロシアニンなどの大環状配位子、クラウンエーテルなどが挙げられるが、一般式(1)記載のポルフィリン誘導体、および一般式(2)記載のフタロシアニン誘導体が好適である。
しかし、配位不飽和で空サイトを形成している場合も、実際は酸化還元対とともに電解質に含まれている極性溶媒が近傍に存在しているため、通常空サイトには極性溶媒が配位しており、酸化還元対との反応時には速やかに脱離して反応サイトを形成している。したがって、必ずしも該有機金属錯体は常に配位不飽和である必要はなく、容易に脱離して空サイトを形成でき、かつ立体障害の小さい配位子であれば問題はない。このような配位子としては、特に限定はされないが、ハロゲンアニオン、オキソなどの単原子で配位するものが挙げられる。
前記(2)における、遷移金属またはその合金、および/または前記(3)における有機金属錯体を導電性高分子層へ分散、担持させる場合、導電性高分子膜に直接担持させてもよいが、有機物または、無機物、もしくは有機物と無機物との混合体からなる担体に遷移金属またはその合金、および/または有機金属錯体を予め担持させ、該担体を導電性高分子膜へ分散、担持させるなどの方法も可能である。このような担体としては、有機高分子膜、層間化合物、または炭素材料などが挙げられる。このとき、担体は1種類に限らず、複数の担体を併用しても良い。
前記有機高分子膜としては、太陽電池の発電中においても、分解することなく安定して担持できるものであればよい。例えば、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。
前記層間化合物としては、特に限定はされず、例えば、ベントナイト、カオリン、モンモリナイトなどの粘土や、ゼオライト、テトラチタン酸、ニオブ酸などが挙げられる。
前記炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば、黒鉛(グラファイト)、活性炭、カーボンナノチューブやフラーレンなどが挙げられる。
前記(1)、(2)における、遷移金属またはその合金、および/または前記(3)における有機金属錯体を導電性高分子膜、および/または担体へ分散、担持させる方法としては、従来公知の方法が利用できる。例えば、物理的混合法、熱分解法や蒸着などの気相法などが利用できる。また、前記遷移金属またはその合金、および/または前記有機金属錯体を溶解あるいは分散させた溶媒中に導電性高分子膜、および担体を浸漬、乾燥させる方法や、溶液中で電気分解反応により析出させるなどの溶液法も可能である。その他には、該有機金属錯体を可溶性の溶媒に溶解させた後、導電性高分子膜に塗布し、蒸発乾固させる方法も利用できる。
前記(1)、(2)における、遷移金属またはその合金、および/または前記(3)における有機金属錯体を担持させた担体を導電性高分子膜に分散、担持させる方法も、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、遷移金属またはその合金、および/または該有機金属錯体を担持させた担体を、ペースト状、もしくはエマルジョン状、もしくは高分子溶液およびバインダーを含む混合物形態に処理した後に、該導電性高分子層へスクリーン印刷、スプレー塗布、刷毛塗りなどにより分散させる方法も可能である。
さらに、前記導電性高分子層を形成させる方法として、予めこれらの導電性高分子膜を形成させた後に電極基板8、もしくは該電極基板上に形成された導電膜9上に張り合わせる方法も可能である。
前記(1)または(3)における導電性高分子層において、該有機金属錯体もしくは、直接配位させた遷移金属が電解質層側へ溶出することを防止するために、もしくは、酸化還元対の還元触媒能を向上させるために、導電性高分子層を形成後に不活性ガスなどのガス下、もしくは減圧下熱処理してもよい。また、該有機金属錯体を担持した担体を用いる場合には、該有機金属錯体の担持後に熱処理し、その後導電性高分子層に分散・担持させても構わない。熱処理の温度については、遷移金属またはその合金が含まれる場合、この熱処理過程により粒径が増大してしまう可能性があるため、また、導電性高分子の熱劣化を防止する意味からも低温での熱処理が望ましい。したがって、その熱処理温度は200℃から1000℃であり、好ましくは200℃〜800℃である。熱処理時の雰囲気ガスとしては、アルゴン、窒素などが使用できる。
以上説明したような各構成要素材料を準備した後、従来公知の方法で金属酸化物半導体電極と触媒電極とを電解質を介して対向させるように組み上げ、色素増感型太陽電池を完成させる。
以下、本発明を実施例に基づいて、より詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
実施例1
[多孔質金属酸化物半導体]
FTOガラス(日本板ガラス製25mm×50mm)の表面に二酸化チタンペースト(Soralonix社製)をバーコーターで塗布し、乾燥後450℃で30分焼成し、室温まで放置し、10μmの厚さの多孔質酸化チタン半導体電極を形成した。
[多孔質金属酸化物半導体]
FTOガラス(日本板ガラス製25mm×50mm)の表面に二酸化チタンペースト(Soralonix社製)をバーコーターで塗布し、乾燥後450℃で30分焼成し、室温まで放置し、10μmの厚さの多孔質酸化チタン半導体電極を形成した。
[増感色素の吸着]
増感色素として、一般にN3dyeと呼ばれるビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体を使用した。一旦150℃まで加熱した前記多孔質酸化チタン半導体電極を色素濃度0.5mmol/Lのエタノール溶液中に浸漬し、遮光下1晩静置した。その後エタノールにて余分な色素を洗浄してから風乾することで太陽電池の半導体電極を作製した。
増感色素として、一般にN3dyeと呼ばれるビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体を使用した。一旦150℃まで加熱した前記多孔質酸化チタン半導体電極を色素濃度0.5mmol/Lのエタノール溶液中に浸漬し、遮光下1晩静置した。その後エタノールにて余分な色素を洗浄してから風乾することで太陽電池の半導体電極を作製した。
[触媒電極の作製]
[Pt(NH3)4]Cl2・nH2Oとグラファイト粒子(粒径1〜2μm、Aldrich社製)とを重量比1:8の割合で混合し、分散溶剤としてエタノールを用い、メノウ乳鉢を使って十分に混合した後、空気中100℃で乾燥させ、さらに、空気中400℃で4時間加熱処理することにより白金担持グラファイト粒子を得た。さらに該グラファイト粒子を、ポリエチレンジオキシチオフェン分散溶液(Aldrich社製)に混合させてから、超音波処理を行なって分散させた。得られた該グラファイト粒子上の白金粒子の粒径は5〜10nmであった。
[Pt(NH3)4]Cl2・nH2Oとグラファイト粒子(粒径1〜2μm、Aldrich社製)とを重量比1:8の割合で混合し、分散溶剤としてエタノールを用い、メノウ乳鉢を使って十分に混合した後、空気中100℃で乾燥させ、さらに、空気中400℃で4時間加熱処理することにより白金担持グラファイト粒子を得た。さらに該グラファイト粒子を、ポリエチレンジオキシチオフェン分散溶液(Aldrich社製)に混合させてから、超音波処理を行なって分散させた。得られた該グラファイト粒子上の白金粒子の粒径は5〜10nmであった。
導電膜層付の電極基板としてFTOガラス(日本板ガラス製25mm×50mm)を用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した電極基板の上に、前記グラファイト粒子混合ポリエチレンジオキシチオフェン分散溶液をスピンコート法にて塗膜し、空気中100℃にて乾燥し、触媒電極を得た。
[太陽電池セルの組み立て]
前記のように作製した半導体電極と触媒電極を対向するよう設置し、電解質を毛管現象にて両電極間に含浸させた。電解質としては、溶媒をメトキシアセトニトリル、還元剤としてヨウ化リチウム、酸化剤としてヨウ素、添加剤としてt−ブチルピリジン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドを含む溶液を用いた。
前記のように作製した半導体電極と触媒電極を対向するよう設置し、電解質を毛管現象にて両電極間に含浸させた。電解質としては、溶媒をメトキシアセトニトリル、還元剤としてヨウ化リチウム、酸化剤としてヨウ素、添加剤としてt−ブチルピリジン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドを含む溶液を用いた。
[太陽電池セルの光電変換特性の測定]
上記の太陽電池セルについて、光量100mW/cm2の擬似太陽光を照射して開路電圧(以下、「Voc」と略記する。)、短絡電流(以下、「Isc」と略記する。)、形状因子(以下、「FF」と略記する。)、および光電変換効率を評価したところ、以下の結果を得た。
上記の太陽電池セルについて、光量100mW/cm2の擬似太陽光を照射して開路電圧(以下、「Voc」と略記する。)、短絡電流(以下、「Isc」と略記する。)、形状因子(以下、「FF」と略記する。)、および光電変換効率を評価したところ、以下の結果を得た。
[実施例1の測定結果]
開放電圧(Voc):0.79V
短絡電流(Isc):11.2mA/cm2
形状因子(FF):70%
光電変換効率:6.2%
開放電圧(Voc):0.79V
短絡電流(Isc):11.2mA/cm2
形状因子(FF):70%
光電変換効率:6.2%
実施例2
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した電極基板を、アニリンを含む硫酸水溶液中に浸漬し、電気化学的に酸化することでFTOガラス表面にポリアニリン膜を形成させた。このポリアニリン膜付FTOガラスを、純水で洗浄し空気中100℃で乾燥後、5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリンルテニウム(II)を溶解させたジクロロメタン溶液に浸漬させてから、空気中100℃にて乾燥させることにより触媒電極を得た。
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した電極基板を、アニリンを含む硫酸水溶液中に浸漬し、電気化学的に酸化することでFTOガラス表面にポリアニリン膜を形成させた。このポリアニリン膜付FTOガラスを、純水で洗浄し空気中100℃で乾燥後、5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリンルテニウム(II)を溶解させたジクロロメタン溶液に浸漬させてから、空気中100℃にて乾燥させることにより触媒電極を得た。
[実施例2の測定結果]
開放電圧(Voc):0.75V
短絡電流(Isc):12.8mA/cm2
形状因子(FF):59%
光電変換効率:5.7%
開放電圧(Voc):0.75V
短絡電流(Isc):12.8mA/cm2
形状因子(FF):59%
光電変換効率:5.7%
実施例3
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した電極基板を、ピロールおよびドーパントとしてp−トルエンスルホン酸を含有させた水溶液中に浸漬し、電気化学的に酸化し、純水で洗浄してから空気中100℃で乾燥させることによりFTOガラス表面にポリピロール膜を形成させた。このポリピロール膜付FTOガラスを、酢酸コバルトを溶解させたメタノール溶液中、遮光・アルゴン雰囲気下4時間加熱還流させることでコバルトをポリピロールに配位させた。その後メタノールで洗浄してから、さらに空気中100℃で乾燥して触媒電極を得た。
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した電極基板を、ピロールおよびドーパントとしてp−トルエンスルホン酸を含有させた水溶液中に浸漬し、電気化学的に酸化し、純水で洗浄してから空気中100℃で乾燥させることによりFTOガラス表面にポリピロール膜を形成させた。このポリピロール膜付FTOガラスを、酢酸コバルトを溶解させたメタノール溶液中、遮光・アルゴン雰囲気下4時間加熱還流させることでコバルトをポリピロールに配位させた。その後メタノールで洗浄してから、さらに空気中100℃で乾燥して触媒電極を得た。
[実施例3の測定結果]
開放電圧(Voc):0.70V
短絡電流(Isc):13.5mA/cm2
形状因子(FF):65%
光電変換効率:6.1%
開放電圧(Voc):0.70V
短絡電流(Isc):13.5mA/cm2
形状因子(FF):65%
光電変換効率:6.1%
実施例4
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。実施例3において酢酸コバルトに換えて、酢酸ロジウムを用いて同様の作製を行なった後、さらにこのロジウム配位ポリピロールをアルゴンガス雰囲気下にて600℃で2時間熱処理することにより熱処理済み触媒電極を得た。
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。実施例3において酢酸コバルトに換えて、酢酸ロジウムを用いて同様の作製を行なった後、さらにこのロジウム配位ポリピロールをアルゴンガス雰囲気下にて600℃で2時間熱処理することにより熱処理済み触媒電極を得た。
[実施例4の測定結果]
開放電圧(Voc):0.81V
短絡電流(Isc):12.0mA/cm2
形状因子(FF):62%
光電変換効率:6.5%
開放電圧(Voc):0.81V
短絡電流(Isc):12.0mA/cm2
形状因子(FF):62%
光電変換効率:6.5%
比較例1
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。スパッタリング法によりFTOガラス上に白金層を形成した。白金層の厚みは約150nmであった。
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。スパッタリング法によりFTOガラス上に白金層を形成した。白金層の厚みは約150nmであった。
[比較例1の測定結果]
開放電圧(Voc):0.60V
短絡電流(Isc):12.2mA/cm2
形状因子(FF):60%
光電変換効率:4.4%
開放電圧(Voc):0.60V
短絡電流(Isc):12.2mA/cm2
形状因子(FF):60%
光電変換効率:4.4%
比較例2
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した電極基板を、アニリンを含む硫酸水溶液中に浸漬し、電気化学的に酸化することでFTOガラス表面にポリアニリン膜を形成させた。このポリアニリン膜付FTOガラスを、純水で洗浄し空気中100℃で乾燥し触媒電極を得た。
触媒電極の作製方法以外は実施例1と同様に太陽電池セルを作製し、評価した。触媒電極において、電極基板にFTOガラスを用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した電極基板を、アニリンを含む硫酸水溶液中に浸漬し、電気化学的に酸化することでFTOガラス表面にポリアニリン膜を形成させた。このポリアニリン膜付FTOガラスを、純水で洗浄し空気中100℃で乾燥し触媒電極を得た。
[比較例2の測定結果]
開放電圧(Voc):0.58V
短絡電流(Isc):10.9mA/cm2
形状因子(FF):63%
光電変換効率:4.0%
開放電圧(Voc):0.58V
短絡電流(Isc):10.9mA/cm2
形状因子(FF):63%
光電変換効率:4.0%
以上の結果から、本発明の触媒電極を備えた色素増感型太陽電池が優れた光電変換効率を有していることを示している。
1 電極基板
2 透明基板
3 透明導電膜
4 多孔質金属酸化物半導体層
5 増感色素層
6 電解質層
7 触媒電極
8 電極基板
9 導電膜
10 導電性高分子層
2 透明基板
3 透明導電膜
4 多孔質金属酸化物半導体層
5 増感色素層
6 電解質層
7 触媒電極
8 電極基板
9 導電膜
10 導電性高分子層
Claims (15)
- 光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を少なくとも含む電解質層と、を少なくとも有する色素増感型太陽電池に備えられており、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置される触媒電極であって、電極基板と、導電性高分子と、遷移金属と、を少なくとも含んでおり、遷移金属が導電性高分子に配位されていることを特徴とする触媒電極。
- 前記導電性高分子の骨格中に、N、O、S、P、Seから少なくとも1種の原子が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の触媒電極。
- 前記遷移金属が、元素周期表第8族から第11族の金属、レニウム、マンガン、モリブデン、タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種類であること特徴とする請求項1または請求項2に記載の触媒電極。
- 前記遷移金属が、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン、タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の触媒電極。
- 光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を少なくとも含む電解質層と、を少なくとも有する色素増感型太陽電池に備えられており、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置される触媒電極であって、電極基板と、導電性高分子と、遷移金属またはその合金と、を少なくとも含んでおり、遷移金属またはその合金が導電性高分子中に分散、担持されていることを特徴とする触媒電極。
- 前記遷移金属またはその合金が、元素周期表第8族〜第11族の金属、レニウム、マンガン、モリブデン、タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の原子を含むこと特徴とする請求項5に記載の触媒電極。
- 前記遷移金属またはその合金が、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン、タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の原子を含むことを特徴とする請求項5に記載の触媒電極。
- 光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を少なくとも含む電解質層と、を少なくとも有する色素増感型太陽電池に備えられており、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置される触媒電極であって、電極基板と、導電性高分子と、有機金属錯体と、を少なくとも含んでおり、有機金属錯体が導電性高分子中に分散、担持されていることを特徴とする触媒電極。
- 前記有機金属錯体が、金属原子を中心金属とし、配位子がN、O、S、P、のうち少なくとも1種類以上の原子にて前記中心金属に配位したものであることを特徴とする請求項8に記載の触媒電極。
- 前記有機金属錯体の配位子が、下記一般式(1)で表される(一般式(1)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基を示し、R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フェニル基、または、置換フェニル基を示す。)ポルフィリン化合物、および下記一般式(2)で表される(一般式(2)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基を示す。)フタロシアニン化合物のうち少なくとも1種類であり、該配位子を少なくとも含む有機金属錯体であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の触媒電極。
- 前記有機金属錯体の中心金属原子が、元素周期表第5族〜第11族の金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の触媒電極。
- 前記有機金属錯体の中心金属原子が、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン、タングステンのうち少なくとも1種類であることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の触媒電極。
- 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の触媒電極において、前記導電性高分子が、下記一般式(3)で表される(一般式(3)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基を示す。)ピロール化合物、下記一般式(4)で表される(一般式(4)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基を示す。)チオフェン化合物、3,4−エチレンジオキシチオフェン、アニリンからなる群から少なくとも1種の化合物の重合体であることを特徴とする触媒電極。
- 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の触媒電極において、触媒電極または導電性高分子が不活性ガス下、または減圧下にて加熱処理されたものであることを特徴とする触媒電極。
- 光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を少なくとも含む電解質層と、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置される触媒電極とを少なくとも有する色素増感型太陽電池であって、該触媒電極が、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の触媒電極であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
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- 2005-01-19 JP JP2005011521A patent/JP2006202562A/ja active Pending
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