JP2022117264A - 光電変換素子用対向電極、色素増感型太陽電池及び太陽電池モジュール - Google Patents

光電変換素子用対向電極、色素増感型太陽電池及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】色素増感型太陽電池の変換効率及び高温耐久性を高め得る光電変換素子用電極を提供する。【解決手段】光電変換素子用対向電極は、支持体と、支持体上に形成された触媒層とを有する。触媒層は、高分子化合物と、導電性炭素材料とを含み、高分子化合物は、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する。【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子用対向電極、色素増感型太陽電池及び太陽電池モジュールに関するものである。
近年、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子として、太陽電池が注目されている。中でも、色素増感型太陽電池は、広い照射範囲で安定して発電できることや、大掛かりな設備を必要とすることなく、比較的安価な材料を用いて製造し得ることから、注目されている。
例えば、特許文献1では、安価な材料及び簡便な製造法により作製でき、かつ、電解質中に含まれる酸化還元対の酸化体を速やかに還元することのできる触媒電極、及びこれを備えた色素増感型太陽電池が提案されている。ここで、特許文献1の触媒電極は、光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を少なくとも含む電解質層と、を少なくとも有する色素増感型太陽電池に備えられており、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置される。そして、該触媒電極の一態様として、電極基板と、導電性高分子と、有機金属錯体と、を少なくとも含んでおり、有機金属錯体が導電性高分子中に分散、担持されている触媒電極が記載されている。
特開2006-202562号公報
しかしながら、従来の色素増感型太陽電池は、エネルギー変換効率(以下、単に「変換効率」と称することがある。)に一層の向上の余地があった。また、特許文献1に記載の色素増感型太陽電池では、電解質層は一般に酸化還元対等が溶解した溶媒からなるが、有機金属錯体が該溶媒に溶出し、特に高温耐久性が著しく劣化するという問題があることが明らかになった。
そこで、本発明は、色素増感型太陽電池の変換効率及び高温耐久性を高め得る光電変換素子用対向電極の提供を目的とする。
また、本発明は、変換効率及び高温耐久性に優れた色素増感型太陽電池と、この色素増感型太陽電池を用いた太陽電池モジュールの提供を目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する高分子化合物と、導電性炭素材料と、を含む触媒層を有する光電変換素子用対向電極を用いれば、色素増感型太陽電池の変換効率及び高温耐久性を高め得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の光電変換素子用対向電極は、支持体と、前記支持体上に形成された触媒層とを有し、前記触媒層は、高分子化合物と、導電性炭素材料とを含み、前記高分子化合物は、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有することを特徴とする。このように、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する高分子化合物と、導電性炭素材料とを含む触媒層を有する光電変換素子用対向電極を用いれば、色素増感型太陽電池に優れた変換効率及び高温耐久性を発揮させることができる。
ここで、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記有機金属錯体の配位子が、下記一般式(1)で表されるポルフィリン化合物及び下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。有機金属錯体の配位子が下記一般式(1)で表されるポルフィリン化合物及び下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であれば、色素増感型太陽電池の変換効率及び高温耐久性を高めることができる。
Figure 2022117264000001
なお、上記一般式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を示し、R~R10はそれぞれ独立に、水素原子、又はフェニル基を示す。
上記一般式(2)中、R~Rは、上記一般式(1)中のR~Rと同様である。
また、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記有機金属錯体の中心金属原子が、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。有機金属錯体の中心金属原子が、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種であれば、色素増感型太陽電池の変換効率及び高温耐久性を更に高めることができる。
さらに、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記高分子化合物が、親水性の単量体単位及び/又は炭素親和性の単量体単位をさらに有することが好ましい。親水性の単量体単位及び/又は炭素親和性の単量体単位をさらに有する高分子化合物を用いれば、色素増感型太陽電池の変換効率をより一層高めることができる。
そして、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記高分子化合物が、(A)アミノ基若しくはアミド基を有する有機金属錯体と、エポキシ基を有する高分子化合物前駆体とを、又は、(B)アミノ基若しくはアミド基を有する高分子化合物前駆体と、エポキシ基を有する有機金属錯体とを、前記アミノ基若しくは前記アミド基と前記エポキシ基とを反応させて結合してなるものであることが好ましい。高分子化合物が、(A)アミノ基若しくはアミド基を有する有機金属錯体と、エポキシ基を有する高分子化合物前駆体とを、又は、(B)アミノ基若しくはアミド基を有する高分子化合物前駆体と、エポキシ基を有する有機金属錯体とを、アミノ基若しくはアミド基とエポキシ基とを反応させて結合してなるものであれば、得られる光電変換素子用対向電極の変換効率を更に一層高めることができる。
また、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記導電性炭素材料が、カーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブ以外の導電性炭素材料とからなることが好ましい。導電性炭素材料としてカーボンナノチューブとカーボンナノチューブ以外の導電性炭素材料とを用いれば、触媒層の膜状態が良好に維持され、色素増感型太陽電池の曲線因子をより一層優れたものとすることができる。
そして、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記カーボンナノチューブが、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示すカーボンナノチューブであることが好ましい。t-プロットが上に凸な形状を示すカーボンナノチューブを用いれば、色素増感型太陽電池の変換効率をより一層高めることができる。
また、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記導電性炭素材料がカーボンブラックであることが好ましい。カーボンナノチューブとカーボンブラックとからなる導電性炭素材料を用いれば、触媒層の膜状態が良好に維持され、色素増感型太陽電池の曲線因子を更に一層優れたものとすることができる。
さらに、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記カーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブ以外の導電性炭素材料との含有割合が、質量比(カーボンナノチューブ/カーボンナノチューブ以外の導電性炭素材料)で35/65~90/10であることが好ましい。カーボンナノチューブとカーボンナノチューブ以外の導電性炭素材料との含有割合が質量比で上記範囲内であれば、触媒層での電子の授受が効率的に行われるとともに、触媒層の膜状態が良好に維持され、色素増感型太陽電池の極性因子を更に良好にすることができる。
また、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記有機金属錯体からなる構造単位の含有量が、前記導電性炭素材料の含有量100質量部当たり30質量部以下であることが好ましい。触媒層中の有機金属錯体からなる構造単位の含有量が、導電性炭素材料100質量部当たり30質量部以下であれば、短絡電流を良好にするとともに、色素感型太陽電池の曲線因子及び高温耐久性を一層優れたものとすることができる。
なお、本発明において、有機金属錯体かなる構造単位の含有量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリマー成分の抽出と、熱分解ガスクロマトグラフィーと、中心金属の元素分析とを組み合わせることにより測定することができる。
また、本発明の光電変換素子用対向電極は、前記支持体が透明樹脂からなることが好ましい。透明樹脂からなる支持体を用いれば、変換効率に優れる色素増感型太陽電池を効率よく形成することができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の色素増感型太陽電池は、光電極、電解質層、及び対向電極をこの順に有する色素増感型太陽電池であって、前記対向電極が、上述したいずれかの光電変換素子用対向電極であることを特徴とする。上述した本発明の光電変換素子用対向電極を対向電極として備える色素増感型太陽電池は、変換効率及び高温耐久性に優れる。
さらに、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の太陽電池モジュールは、上述した色素増感型太陽電池が直列及び/又は並列に接続されてなることを特徴とする。本発明によれば、変換効率及び高温耐久性に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明によれば、色素増感型太陽電池の変換効率及び高温耐久性を高め得る光電変換素子用対向電極を提供することができる。
また、本発明によれば、変換効率及び高温耐久性に優れた色素増感型太陽電池と、当該色素増感型太陽電池を用いた太陽電池モジュールを提供することができる。
色素増感型太陽電池の一例の概略構成を示す図である。
本発明の光電変換素子用対向電極は、色素増感型太陽電池、有機薄膜太陽電池、又はペロブスカイト太陽電池等の光電変換素子の対向電極として用いることができる。中でも、色素増感型太陽電池の対向電極として用いるのが好適である。本発明の色素増感型太陽電池は、光電極、電解質層及び対向電極をこの順に有する色素増感型太陽電池であって、対向電極として本発明の光電変換素子用対向電極を有するものである。また、本発明の太陽電池モジュールは、本発明の色素増感型太陽電池が直列及び/又は並列に接続されてなるものである。
以下、本発明の一実施形態を、光電変換素子用対向電極、色素増感型太陽電池及び太陽電池モジュールの順に、詳細に説明する。
(光電変換素子用対向電極)
本発明の光電変換素子用対向電極(以下、単に「対向電極」ともいう。)は、支持体と、この支持体上に形成された触媒層とを有する。
-支持体-
支持体は、触媒層を担持する役割を担うものである。本発明において触媒層を構成する導電性炭素材料は導電性を有するため、支持体と触媒層との間には必ずしも導電層は必要ではない。ただし、より良好な通電を確保する観点からは、少なくとも触媒層と接し得る支持体の表面部分には導電膜が形成されていることが好ましい。
対向電極の支持体としては、既知のものを用いることができる。具体的には、対向電極の支持体としては、透明樹脂からなる支持体やガラスからなる支持体を用いることができる。中でも、変換効率に優れる色素増感型太陽電池を効率よく形成することができることから、透明樹脂からなる支持体を用いることが好ましい。透明樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)等の合成樹脂が挙げられる。
支持体の厚みは、用途に応じて適宜決定すればよいが、通常、10μm以上10000μm以下である。
また、支持体の光透過率(測定波長:500nm)は、好ましくは60%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上である。
-触媒層-
触媒層は、色素増感型太陽電池において、対向電極から電解質層に電子を渡すときの触媒として機能する。そして、本発明にかかる触媒層は、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する高分子化合物と、導電性炭素材料とを含むことを必要とする。
本発明の対向電極が、色素増感型太陽電池の変換効率及び高温耐久性を高め得る理由は定かではないが、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する高分子化合物と導電性炭素材料との相互作用により、触媒層中、有機金属錯体が均一に分散し、有機金属錯体の還元活性の利用効率が向上することから、電解質中の酸化還元対(例えば、I3-/I等)の酸化体を還元体に還元する還元反応(I3-をIに還元する還元反応)を速やかに進行させることができ、その結果、触媒層に含まれる有機金属錯体の量が少ない場合でも、色素増感型太陽電池の変換効率が相乗的に高まり、一方、有機金属錯体の電解質層への溶出が抑えられ、高温耐久性が高まるものと推察される。
なお、本発明にかかる触媒層は、任意に、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する高分子化合物及び導電性炭素材料以外の成分(以下、「その他の成分」という。)を含み得る。
<高分子化合物>
触媒層に含まれる高分子化合物は、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する。なお、本発明で用いる高分子化合物は、ポリマー鎖に付加していない遊離の有機金属錯体を一部含むものであってもよい。したがって、本発明で用いる高分子化合物は、精製処理されたものであってもよく、精製処理されていないものであってもよい。
[有機金属錯体からなる構造単位]
高分子化合物が分子中に有する有機金属錯体の配位子は、特に限定されないが、色素増感型太陽電池の変換効率を高める観点から、下記一般式(1)で表されるポルフィリン化合物及び下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、当該一般式(1)及び(2)は、1価の化合物として記載されている。
Figure 2022117264000002
上記一般式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を示し、R~R10はそれぞれ独立に、水素原子、又はフェニル基を示す。
上記一般式(2)中、R~Rは、上記一般式(1)中のR~Rと同様である。
前記アルキル基としては、炭素数1~6のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、炭素数1~6のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。前記アリール基としては、炭素数6~12のものが好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。前記アリールオキシ基としては、炭素数6~12のものが好ましく、例えば、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
なお、上記一般式(1)又は一般式(2)においてR~R10で示される各基は、例えば、炭素数1~3のアルキル基等で置換されていてもよい。
有機金属錯体の中心金属原子は、特に限定されず、例えば、マグネシウム、スズ、鉛、プラチナ、水素、ナトリウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン及びタングステンなどを挙げることができ、中でも、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。そして、色素増感型太陽電池の変換効率を更に向上させる観点からは、中心金属原子は、鉄であることがより好ましい。
なお、本発明にかかる触媒層において、有機金属錯体からなる構造単位の含有量は、導電性炭素材料の含有量100質量部当たり、0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが更に好ましく、30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。有機金属錯体からなる構造単位の含有量が上記下限値以上であれば、色素増感型太陽電池の短絡電流がより一層向上する。また、有機金属錯体からなる構造単位の含有量が上記上限値以下であれば、色素増感型太陽電池の曲線因子及び高温耐久性が向上する。
[高分子化合物の調製方法]
本発明で用いる高分子化合物の調製方法は、特に限定されず、公知の方法に従い調製することができる。例えば、上述の一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物を有機金属錯体の配位子として有する高分子化合物は、以下に説明する第1~第3の方法に従い調製することができる。なお、上述の一般式(1)で表されるポルフィリン化合物を有機金属錯体の配位子として有する高分子化合物は、以下で説明する方法において、フタロシアニン化合物に関する部分をポルフィリン化合物の場合に置き換えることで調製することができる。
[[高分子化合物の第1の製造方法]]
高分子化合物の第1の製造方法は、反応性フタロシアニンと反応性ポリマーとの反応により、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する高分子化合物を調製する方法である。
・反応性フタロシアニン
高分子化合物の第1の方法で用いる反応性フタロシアニンは、反応性基が付加したフタロシアニンである。この反応性基は、有機連結基を介してフタロシアニンに付加してもよい。また、第1の方法で用いるフタロシアニンとしては、反応性基が付加した金属含有フタロシアニン、反応性基が付加した金属非含有フタロシアニンのいずれも用いることができる。なお、以下では、反応性基が付加した金属含有フタロシアニンを用いた場合について説明するが、反応性基が付加した金属非含有フタロシアニンを用いた場合には、フタロシアニンを分子中に有する高分子化合物を調製した後、公知の方法により金属原子を導入すればよい。
ここで、反応性フタロシアニンが有する反応性基としては、求電子性反応性基及び求核性反応性基が挙げられる。求電子性反応性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、オキサゾリン基、アジリジン基、無水カルボン酸基、α,β-不飽和カルボニル基等が、求核性反応性基としては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸塩基、アミノ基、アミド基、チオール基、ウレタン基、水酸基等が挙げられる。中でも、反応性の観点からは、求電子性反応性基としては、エポキシ基、オキサゾリン基が好ましく、求核性反応性基としては、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、水酸基が好ましい。
反応性フタロシアニンは、1分子中に上記反応性基を任意に複数個有しても良いが、通常、1個が好ましい。なお、反応性フタロシアニンが1分子中に複数の反応性基を有する場合、それらの種類は同じでもよく、互いに異なっていてもよい。
反応性フタロシアニンが有し得る有機連結基としては、鎖状の2価の有機連結基が挙げられる。当該有機連結基の主鎖の原子数(ただし、水素原子を除く)の数としては1~10であることが好ましく、1~8であることがより好ましい。有機連結基の具体例としては、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基や、置換されていてもよいフェニレン基が挙げられる。
反応性フタロシアニンの具体例としては、特に限定されないが、下記一般式(3)又は一般式(4)で表される金属フタロシアニン錯体などが挙げられる。
Figure 2022117264000003
なお、上記一般式(3)及び一般式(4)中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~6のアルキル基であり、Mは金属を示す。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。また、前記炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
・反応性ポリマー
また、高分子化合物の第1の製造方法で用いる反応性ポリマーは、下記一般式(5)で表されるモノマーに由来する単量体単位を含み、任意に、下記一般式(5)で表されるモノマー以外のモノマーに由来する単量体単位(以下、「その他の単量体単位」という。)を含み得る。
Figure 2022117264000004
上記一般式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表す。Rは、単結合、又は2価の連結基を表す。Yは、-CO-、-C(=O)O-、-CONH-、-OC(=O)-、又はフェニレン基を表す。Yは反応性基を表す。
上記一般式(5)中、Rにおけるアルキル基は、炭素数が1以上12以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、4以下であることが更に好ましい。好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、2-メトキシエチル基などが挙げられる。
上記一般式(5)中、Rにおける2価の連結基としては、ヘテロ原子を介していてもよい炭素数1以上12以下の置換若しくは無置換のアルキレン基が挙げられ、中でも、連結基の炭素数は、8以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。好ましいアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などが挙げられる。また、Rにおける2価の連結基は、上記アルキレン基がさらに-O-、-S-、-C(=O)O-、-CONH-、-C(=O)S-、-NHCONH-、-NHC(=O)O-、-NHC(=O)S-、-OC(=O)-、-OCONH-、及び-NHCO-からなる群より選択されるいずれかを介して連結されたものでもよい。
上記式(5)中、Yで表される反応性基としては、求電子性反応性基及び求核性反応性基が挙げられる。そして、求電子性反応性基及び求核性反応性基としては、「・反応性フタロシアニン」の項で挙げた求電子性反応性基及び求核性反応性基と同様のものが挙げられる。
前記一般式(5)で表されるモノマーの具体例としては、特に限定されるものではないが、クリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するビニルモノマー;2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等のオキサゾリン基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル等のカルボン酸基を有するビニルモノマー;N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-エチル-N-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するビニルモノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー;などが挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及び/又はメタクリルを、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及び/又はメタクリレートを、意味する。
高分子化合物の第1の製造方法で用いる反応性ポリマーは、上記一般式(5)で表されるモノマー由来の単量体単位を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
反応性ポリマー中における上記一般式(5)で表されるモノマー由来の単量体単位の含有量は、特に限定されないが、反応性ポリマーを構成する全単量体単位を100質量%として、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、50質量%以下であることが好ましい。反応性ポリマー中における上記一般式(5)で表されるモノマー由来の単量体単位の含有量が5質量%以上50質量%以下であれば、触媒層中における高分子化合物の分散性及び分散安定性が優れたものとなる。
反応性ポリマーが任意に含み得るその他の単量体単位としては、特に限定されないが、親水性の単量体単位及び/又は炭素親和性の単量体単位が好ましい。このような単量体単位をさらに有する高分子化合物を用いれば、本発明の対向電極を用いて得られる色素増感型太陽電池の変換効率をより一層高めることができる。
なお、前記一般式(5)で表されるモノマーに由来する単量体単位、その他の単量体単位としての、親水性の単量体単位及び炭素親和性の単量体単位は、互いに単量体単位としての特性が重複しうるため、単量体単位としての特性の観点から、互いに他の単量体単位を兼ねてもよい。
ここで、高分子化合物に親水性の単量体単位を提供し得るモノマーとしては、例えば、以下に例示するような、アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー、ノニオン性ビニルモノマーが挙げられる。これらの一種を単独でまたは2種以上を使用できる。
アニオン性ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸;又はこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
カチオン性ビニルモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミン、若しくはトリアリルアミンなどの第三級アミノ基を有するビニルモノマー又はそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸若しくは有機酸の塩類、又は該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーが挙げられる。
ノニオン性ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール、酢酸ビニル、メチルビニルエーテルなどが挙げられる。
そして、色素増感型太陽電池において、電解液中の酸化還元対の反応抵抗を下げる観点から、ノニオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマーが好ましく、ノニオン性ビニルモノマーがより好ましい。
また、高分子化合物に炭素親和性の単量体単位を提供し得るモノマーとしては、例えば、フェニル基を有するビニルモノマー、スチレン類が挙げられる。
フェニル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、N-フェニル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
そして、高分子化合物のポリマー鎖を導電性炭素材料に良好に吸着させて高分子化合物が有する有機金属錯体を均一に分散させ、その還元活性を効率的に利用する観点からは、炭素親和性の単量体単位を提供し得るモノマーの中でも、特にスチレンが好ましい。
そしてさらに、高分子化合物の第1の製造方法で用いる反応性ポリマーは、上述した単量体単位(5)及びその他の単量体単位に加えて、さらに、末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーを共重合体単位として含むグラフト重合体であってもよい。なお、このような重合性オリゴマーは、所定の分子量を有する化合物であることから、以下では「マクロモノマー」と称する。
ここで、上記マクロモノマーは、ポリマー鎖と、このポリマー鎖の末端に有りエチレン性不飽和二重結合を有する官能基とからなる。そして、所望のグラフト重合体が得られ易いという観点からは、上記マクロモノマーは、ポリマー鎖の一方端にのみ上記官能基を有することが好ましい。ここで、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などが挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記ポリマー鎖としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、酢酸ビニル並びにブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーから形成される単独重合体若しくは共重合体などが挙げられる。
また、上記マクロモノマーは、ポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が1000以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましく、10000以下であることが好ましく、9000以下であることがより好ましい。マクロモノマーの数平均分子量が上記範囲内であれば、触媒層中における高分子化合物の分散性及び分散安定性を更に高めることができる。
高分子化合物の第1の製造方法において好適に用いられるマクロモノマーとしては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ-n-ブチル(メタ)アクリレート、ポリ-イソブチル(メタ)アクリレート、ポリスチレンの分子末端の1個に(メタ)アクリロイル基が結合したポリマーなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、このマクロモノマーは、特に、上述したポリマー鎖がポリスチレンの場合、炭素親和性部分として機能する。
上述の反応性ポリマーは、特に限定されず、上述したビニルモノマー等を用い、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法などの公知の方法により調製することができる。そのようにして得られる反応性ポリマーのポリマー鎖としては、特に限定されないが、ポリアクリレート又はポリスチレンであることが好ましく、環境負荷が少ないことから、水溶性を有するポリアクリレートであることがより好ましい。
上記反応性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は8000以上であることが好ましく、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましく、20,000以下であることがより好ましい。反応性ポリマーの重量平均分子量が上記下限値以上であれば、高分子化合物を触媒層の表面に効果的に配置でき、色素増感型太陽電池の性能を高めることができる。また、反応性ポリマーの重量平均分子量が上記上限値以下であれば、膜強度に優れた対向電極を得ることができる。
なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができる。
上記反応性ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、上述した反応性フタロシアニンと反応性ポリマーとを含む組成物を反応させることで反応性フタロシアニンと反応性ポリマーとが共有結合を形成し、これにより、本発明で用いる高分子化合物が得られる。
上記反応性フタロシアニンと反応性ポリマーとを含む組成物中における反応性ポリマーの含有量は、組成物の全量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
また、上記組成物中の反応性フタロシアニンと反応性ポリマーとの反応温度は、特に限定されないが、0℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
ここで、反応性基の組み合わせとしては、例えば、求電子性反応性基であるエポキシ基又はオキサゾリン基と、求核性反応性基であるカルボン酸基、アミノ基、アミド基、又は水酸基との組合せが好ましく、求電子性反応性基であるエポキシ基と、求核性反応性基であるアミノ基又はアミド基との組合せがより好ましい。
したがって、本発明で用いる高分子化合物としては、特に限定されないが、(A)アミノ基若しくはアミド基を有する有機金属錯体(例えば、前記反応性フタロシアニン)と、エポキシ基を有する高分子化合物前駆体(例えば、前記反応性ポリマー)との反応物、又は、(B)アミノ基若しくはアミド基を有する高分子化合物前駆体(例えば、前記反応性ポリマー)と、エポキシ基を有する有機金属錯体(例えば、前記反応性フタロシアニン)との反応物であることが好ましく、この反応物は、上記アミノ基若しくは上記アミド基と、上記エポキシ基とが結合してなることが好ましい。
[[高分子化合物の第2の製造方法]]
高分子化合物の第2の製造方法では、ポリマーの末端にフタロシアニンを形成可能な重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いてモノマーを重合することで、末端にフタロシアニンが形成されたポリマーが得られる。フタロシアニンは金属含有又は金属非含有のいずれであってもよく、金属非含有であれば、高分子化合物の調製後、公知の方法により金属原子を導入すればよい。
ここで、ポリマーの末端にフタロシアニンを形成可能な重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(2-シアノプロパノール)、2,2’-アゾビス(2-シアノペンタノール)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸クロライド)、2,2’-アゾビス〔2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン〕、2,2’-アゾビス〔2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン〕、2,2’-アゾビス〔2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン〕、2,2’-アゾビス{2-〔1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル〕プロパン}、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕、又はこれらの誘導体等が挙げられる。
また、ポリマーの末端にフタロシアニンを形成可能な連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸、N-(2-メルカプトプロピオニル)グリシン、2-メルカプトニコチン酸、3-〔N-(2-メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3-〔N-(2-メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N-(3-メルカプトプロピオニル)アラニン、2-メルカプトエタンスルホン酸、3-メカルプトプロパンスルホン酸、4-メルカプトブタンスルホン酸、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-2-ブタノール、メルカプトフェノール、2-メルカプトエチルアミン、2-メカルプルイミダゾール、2-メルカプト-3-ピリジノール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、メルカプトアセトフェノン、ナフタレンチオール、ナフタレンメタンチオール等)又はこれらメルカプト化合物の酸化体であるジスルフィド化合物、及びハロゲン化合物(例えば、2-ヨードエタンスルホン酸、3-ヨードプロパンスルホン酸など)が挙げられる。
そして、上記重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いた重合は、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法などの公知の方法により行うことができる。
また、重合に用いるモノマーとしては、特に限定されず、例えば、上述した任意のビニルモノマーを用いることができる。
[[高分子化合物の第3の製造方法]]
高分子化合物の第3の製造方法は、ポリマー上でフタロシアニンを合成してフタロシアニンを有するポリマーを形成し、次いで、このフタロシアニンに公知の方法により金属原子を導入する方法である。具体的には、以下の(i)~(iv)の工程を経て高分子化合物を製造する。
(i)はじめに、ヒドロキシル基を有するモノマーを重合し、ヒドロキシル基を有するポリマーを得る。ここで、ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどを用いることができる。
(ii)次に、上記(i)の工程で得られたポリマーが有するヒドロキシル基と、脱離基を有するフタロニトリルとを反応させて、エーテル結合を介してフタロニトリルをポリマーのヒドロキシル基に導入する。
(iii)それから、ヒドロキシル基を有するポリマーに導入されたフタロニトリルを反応させて、フタロシアニン環を形成する。
(iv)上記(iii)の工程後、フタロシアニンに金属を導入する。
<導電性炭素材料>
触媒層に含まれる導電性炭素材料としては、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」という。)、フラーレン、グラフェン等のグラファイト系炭素材料;カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラックなど)、フラーレン煤等のアモルファス系炭素材料などが挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、導電性炭素材料として、CNTを含むことが好ましく、CNTと、CNT以外の導電性炭素材料とを含むことがより好ましい。
[CNT]
触媒層に含まれ得るCNTは、得られる色素増感型太陽電池の変換効率を高める観点から、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。中でも、開口処理が施されておらず、かつ、t-プロットが上に凸な形状を示すことがより好ましい。
ここで、一般に、吸着とは、ガス分子が気相から固体表面に取り去られる現象であり、その原因から、物理吸着と化学吸着に分類される。そして、t-プロットの取得に用いられる窒素ガス吸着法では、物理吸着を利用する。なお、通常、吸着温度が一定であれば、CNTに吸着する窒素ガス分子の数は、圧力が大きいほど多くなる。また、横軸に相対圧(吸着平衡状態の圧力Pと飽和蒸気圧P0の比)、縦軸に窒素ガス吸着量をプロットしたものを「等温線」といい、圧力を増加させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「吸着等温線」、圧力を減少させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「脱着等温線」という。
そして、t-プロットは、窒素ガス吸着法により測定された吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得られる。すなわち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、CNTのt-プロットが得られる(de Boerらによるt-プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する試料では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)~(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)~(3)の過程によって、t-プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt-プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となり、上に凸な形状を示す。かかるt-プロットの形状は、CNTの全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、CNTに多数の開口が形成されていることを示している。
なお、CNTのt-プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0を満たす範囲にあることが更に好ましい。t-プロットの屈曲点の位置が上記範囲であると、CNTの特性(特に、導電性)が更に向上するため、CNTの配合量が少量であっても触媒層に十分な導電性を付与することができる。したがって、柔軟性の低下を抑制しつつ、導電性を十分に向上させことができる。ここで、「屈曲点の位置」とは、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
さらに、CNTは、t-プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。S2/S1が0.05以上0.30以下であれば、CNTの特性(特に、導電性)を更に向上させることができるので、触媒層の柔軟性の低下を抑制しつつ、導電性を十分に向上させことができる。
また、CNTの全比表面積S1及び内部比表面積S2は、特に限定されないが、個別には、S1は、600m/g以上1400m/g以下であることが好ましく、800m/g以上1200m/g以下であることが更に好ましい。一方、S2は、30m/g以上540m/g以下であることが好ましい。
ここで、CNTの全比表面積S1及び内部比表面積S2は、そのt-プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、CNTの吸着等温線の測定、t-プロットの作成、及び、t-プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
なお、CNTとしては、特に限定されることなく、単層CNT及び/又は多層CNTを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのCNTであることが好ましく、単層CNTであることがより好ましい。単層CNTを使用すれば、多層CNTを使用した場合と比較し、導電性を更に向上させることができるからである 。
また、CNTとしては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.80未満のCNTを用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超のCNTを用いることがより好ましく、3σ/Avが0.40超のCNTを用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.80未満のCNTを使用すれば、CNTの配合量が少量であっても導電性を十分に高めることができる。したがって、CNTの配合により触媒層の硬度が上昇する(すなわち、柔軟性が低下する)のを抑制して、導電性及び柔軟性を十分に高いレベルで両立させた触媒層を得ることができる。
なお、「CNTの平均直径(Av)」及び「CNTの直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択したCNT100本の直径(外径)を測定して求めることができる。そして、CNTの平均直径(Av)及び標準偏差(σ)は、CNTの製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られたCNTを複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、CNTとしては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
さらに、CNTは、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層CNTのみからなるCNTのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上20以下であることが好ましい。G/D比が1以上20以下であれば、CNTの配合量が少量であっても導電性を十分に高めることができる。したがって、CNTの配合により触媒層の硬度が上昇する(すなわち、柔軟性が低下する)のを抑制して、導電性及び柔軟性を十分に高いレベルで両立させた触媒層を得ることができる。
さらに、CNTの平均直径(Av)は、2nm以上であることが好ましく、2.5nm以上であることがより好ましく、10nm以下であることが好ましく、6nm以下であることがより好ましい。CNTの平均直径(Av)が2nm以上であれば、CNTの凝集を抑制してCNTの分散性を高めることができる。また、CNTの平均直径(Av)が10nm以下であれば、触媒層の導電性及び柔軟性を十分に高めることができる。
また、CNTは、合成時におけるCNTの平均長さが100μm以上であることが好ましい。なお、合成時のCNTの長さが長いほど、分散時にCNTに破断や切断などの損傷が発生し易いので、合成時のCNTの平均長さは5000μm以下であることが好ましい。
そして、CNTのアスペクト比(長さ/直径)は、10を超えることが好ましい。CNTのアスペクト比が10を超えていれば、触媒層の膜状態を効果的に維持することができる。なお、CNTのアスペクト比は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択したCNT100本の直径及び長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
さらに、CNTのBET比表面積は、600m/g以上であることが好ましく、800m/g以上であることが更に好ましく、2500m/g以下であることが好ましく、1200m/g以下であることが更に好ましい。CNTのBET比表面積が600m/g以上であれば、触媒層での電子授受が効率的に行われる。また、CNTのBET比表面積が2500m/g以下であれば、CNTの凝集を抑制して触媒層中のCNTの分散性を高めることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
また、CNTは、後述するスーパーグロース法によれば、CNT成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(配向集合体)として得られるが、当該集合体としてのCNTの質量密度は、0.002g/cm以上0.2g/cm以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm以下であれば、CNT同士の結びつきが弱くなるので、触媒層中でCNTを均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm以上であれば、CNTの一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
さらに、CNTは、複数の微小孔を有することが好ましい。CNTは、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。CNTが上記のようなマイクロ孔を有することで、CNTの凝集が抑制され、CNTが高度に分散した触媒層を得ることができる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、CNTの調製方法および調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、CNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を使用して求めることができる。
そして、上述した性状を有するCNTは、例えば、CNT製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物及びキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行うことで、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるCNTを「SGCNT」と称することがある。
なお、スーパーグロース法により製造したCNTは、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTと、導電性を有する非円筒形状のCNTとから構成されていてもよい。具体的には、CNTには、内壁同士が近接又は接着したテープ状部分を全長に亘って有する単層又は多層の扁平筒状のCNT(以下、「グラフェンナノテープ(GNT)」と称することがある。)が含まれていてもよい。
なお、本明細書において「テープ状部分を全長に亘って有する」とは、「長手方向の長さ(全長)の60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%に亘って連続的に又は断続的にテープ状部分を有する」ことを指す。
ここで、GNTは、その合成時から内壁同士が近接又は接着したテープ状部分が全長に亘って形成されており、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成された物質であると推定される。そして、GNTの形状が扁平筒状であり、かつ、GNT中に内壁同士が近接又は接着したテープ状部分が存在していることは、例えば、GNTとフラーレン(C60)とを石英管に密封し、減圧下で加熱処理(フラーレン挿入処理)して得られるフラーレン挿入GNTを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、GNT中にフラーレンが挿入されない部分(テープ状部分)が存在していることから確認することができる。
[CNT以外の導電性炭素材料]
触媒層に含まれ得るCNT以外の導電性炭素材料としては、カーボンブラックが好ましく、アセチレンブラックがより好ましい。前記のとおり、本発明に用いられる支持体には導電層を設けても良いが、導電性炭素材料としてカーボンブラックを用いると、触媒層と導電層との界面抵抗を低くすることができ、また、触媒層の膜状態が良好に維持され、色素増感型太陽電池の曲線因子を更に一層優れたものとすることができる。
また、CNT以外の導電性炭素材料の平均1次粒子径は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましく、70nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。CNT以外の導電性炭素材料の平均1次粒子径が上記下限値以上であれば、光電変換素子用対向電極の成形性が優れたものとなる。また、CNT以外の導電性炭素材料の粒子平均1次粒子径が上記上限値以下であれば、色素増感型太陽電池の接触抵抗を効率的に低下させることができる。
なお、CNT以外の導電性炭素材料の平均1粒子径は、透過型電子顕微鏡で観察し、無作為に選択された100個のCNT以外の導電性炭素材料の画像に基づいて粒子径を測定し、その平均値から求めることができる。
また、CNT以外の導電性炭素材料の比表面積は、20m/g以上であることが好ましく、30m/g以上であることがより好ましく、900m/g以下であることが好ましく、150m/g以下であることがより好ましく、70m/g以下であることが更に好ましい。CNT以外の導電性炭素材料の比表面積が上記下限値以上であれば、対向電極の成形性を更に優れたものとすることができる。また、CNT以外の導電性炭素材料の比表面積が上記上限値以下であれば、色素増感型太陽電池の接触抵抗を更に効率的に低下させることができる。
なお、CNT以外の導電性炭素材料の比表面積は、CNTと同様にBET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
そして、触媒層中の導電性炭素材料の含有割合は、特に限定されないが、20質量%以上であることが好ましく、80質量%以下であることが好ましい。
また、CNTとCNT以外の導電性炭素材料との含有割合は、質量比(CNT/CNT以外の導電性炭素材料)で、35/65~90/10であることが好ましく、40/60~80/20であることがより好ましく、45/55~55/45であることが更に好ましい。CNTとCNT以外の導電性炭素材料との含有割合が上記範囲内であれば、触媒層での電子の授受が効率的に行われるとともに、触媒層の膜状態が良好に維持され、色素増感型太陽電池の曲線因子を更に良好にすることができる。
<その他の成分>
触媒層に任意に含まれ得るその他の成分としては、特に限定されず、例えば、分散剤や増粘剤等が挙げられる。
分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、スチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン=アルキルエーテル(アルキル基の炭素数は、好ましくは8以上20以下である。)、ポリオキシエチレン=アルキルフェニルエーテル(アルキル基の炭素数は、好ましくは8以上9以下である。)が挙げられる。なお分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、触媒層の膜強度を高めるとともに、得られる色素増感型太陽電池の変換効率を一層高める観点からは、分散剤としては、非イオン性ポリマーが好ましく、スチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体、ポリビニルピロリドンがより好ましく、スチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体が更に好ましい。
なお、スチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体は、触媒層の導電性及び触媒活性を一層向上させつつ、色素増感型太陽電池の変換効率を更に高める観点から、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートに由来する繰り返し単位のエチレングリコール鎖の部分「(CH-CH-O))」のn(整数)が5以上50以下であることが好ましく、20以上30以下であることがより好ましい。
また、スチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体は、触媒層の導電性及び触媒活性を一層向上させつつ、太陽電池の変換効率を更に高める観点から、重量平均分子量が10000以上30000以下であることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、セルロース系ポリマー(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコールが挙げられる。増粘剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、導電膜の膜強度、及び、色素増感型太陽電池の変換効率を更に向上させる観点から、増粘剤としては、非イオン性ポリマー(ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロースなど)が好ましい。
そして、触媒層中のその他の成分の含有量は、特に限定されないが、導電性炭素材料100質量部当たり100質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることが好ましい。その他の成分の含有量が上記上限値以下であれば、触媒層の導電性、膜強度、及び触媒活性を一層向上させつつ、色素増感型太陽電池の変換効率を更に高めることができる。
-対向電極の製造方法-
本発明の対向電極の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述した有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する高分子化合物と、導電性炭素材料と、任意のその他の成分とを含む分散液を支持体上に塗布する工程と、塗布した分散液を乾燥させて触媒層を形成する工程を経て製造することができる。
前記分散液に用いられる溶媒としては、特に限定されないが、水を含むのが好ましく、水の他、水と混和する溶媒が用いられる。水と混和する溶媒としては、例えば、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル等)、エーテルアルコール(エトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、ケトン類(アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジアセトンアルコール、フェノール等)、低級カルボン酸(酢酸等)、アミン類(トリエチルアミン、トリメタノールアミン等)、窒素含有極性溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N-メチルピロリドン、アセトニトリル等)、硫黄化合物類(ジメチルスルホキシド等)を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記分散液の調製方法は特に限定されず、例えば、水を含む溶媒に上述した各種成分を添加し、既知の混合・分散処理を施すことで調製することができる。既知の混合・分散処理としては、例えば、ナノマイザーやアルティマイザーなど湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミルなどを用いる方法が挙げられる。
混合・分散処理を行う際の温度は、特に限定されないが、好ましくは60℃以下、より好ましくは40℃以下である。
(色素増感型太陽電池)
本発明の色素増感型太陽電池は、光電極、電解質層、及び対向電極をこの順に有し、この対向電極として、本発明の光電変換素子用対向電極を有する。本発明の色素増感型太陽電池は、上述した本発明の光電変換素子用対向電極を有しているので、優れた変換効率及び高温耐久性を発揮することができる。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の概略構造について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示すように、本発明に係る色素増感型太陽電池100は、光電極10と、電解質層20と、対向電極30とを有している。
光電極10は、支持体10aと、支持体10a上に形成された導電層10bと、半導体微粒子よりなる多孔質半導体微粒子層10cと、多孔質半導体微粒子層10cの半導体微粒子の表面に吸着した増感色素よりなる増感色素層10dとを備えており、多孔質半導体微粒子層10c及び増感色素層10dは導電層10b上に形成されている。また、対向電極30は、支持体30aと、支持体30a上に任意に形成された導電層30bと、導電層30b上に形成された触媒層30cとを備えている。さらに、光電極10の導電層10bと、対向電極30の導電層30bとは外部の回路40を介して接続されている。
<光電極>
光電極10は、光を受けることで、外部の回路に電子を放出し得る電極である。
光電極の支持体10aとしては、既知のものを用いることができる。具体的に、光電極の支持体10aとしては、「対向電極の支持体」として上述したものと同様のものを用いることができる。
光電極の導電層10bとしては、既知の導電膜を用いることができる。既知の導電膜としては、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の酸化物よりなる導電膜、PEDOT〔ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)〕/PSS(ポリスチレンスルホン酸)などの、ポリチオフェン類やポリアニリン類などの導電性高分子よりなる導電膜、天然黒鉛、活性炭、人造黒鉛、グラフェン、CNTなどの導電性カーボンを含有する導電膜を用いることができる。
光電極の多孔質半導体微粒子層10cは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物の粒子(半導体微粒子)を用いて形成することができる。金属酸化物の粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、多孔質半導体微粒子層10cは、プレス法、水熱分解法、泳動電着法、バインダーフリーコーティング法等により、形成することができる。
さらに、多孔質半導体微粒子層10cの半導体微粒子の表面に吸着して増感色素層10dを形成する増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、キサンテン色素、スクワリリウム色素、ポリメチン色素、クマリン色素、リボフラビン色素、ペリレン色素等の有機色素;鉄、銅、ルテニウム等の金属のフタロシアニン錯体やポルフィリン錯体等の金属錯体色素;等が挙げられる。増感色素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、増感色素層10dは、例えば、増感色素の溶液中に多孔質半導体微粒子層10cを浸漬する方法や、増感色素の溶液を多孔質半導体微粒子層10c上に塗布する方法等により、形成することができる。
<電解質層>
電解質層20は、通常、支持電解質、酸化還元対(酸化還元反応において可逆的に酸化体及び還元体の形で相互に変換しうる一対の化学種)、溶媒等を含有している。
ここで、支持電解質としては、リチウムイオン、イミダゾリウムイオン、4級アンモニウムイオン等の陽イオンを含む塩が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、酸化還元対としては、酸化された増感色素を還元し得るものであればよく、塩素化合物-塩素、ヨウ素化合物-ヨウ素、臭素化合物-臭素、タリウムイオン(III)-タリウムイオン(I)、ルテニウムイオン(III)-ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)-銅イオン(I)、鉄イオン(III)-鉄イオン(II)、コバルトイオン(III)-コバルトイオン(II)、バナジウムイオン(III)-バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン-過マンガン酸イオン、フェリシアン化物-フェロシアン化物、キノン-ヒドロキノン、フマル酸-コハク酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、溶媒としては、特に限定されるものではないが、非プロトン性極性物質を用いることができる。非プロトン性極性物質としては、例えば、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート(炭酸プロピレン)等の5員環環状カーボネート;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の5員環環状エステル;アセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、及びメトキシアセトニトリル等の脂肪族ニトリル;ジメトキシエタン及びトリエチレングリコールモノメチルエーテル等の脂肪族鎖状エーテル;テトラヒドロフラン及びジオキサン等の脂肪族環状エーテル;エチルイソプロピルスルホン等の脂肪族スルホン;スルホラン等の環状スルホン;ジメチルスルホキシド等の脂肪族スルホキシド;ジメチルホルムアミド;エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド;が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。そしてこれらの中でも、アセトニトリル、γ-ブチロラクトン、3-メトキシプロピオニトリル、及びトリエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
電解質層の溶媒として非プロトン性極性物質を用いると、対向電極の触媒層に分散剤として前記例示した物質が含まれた場合、分散剤が電解液中に溶出し、抵抗成分となる分散剤が触媒層から除去され得るため、色素増感型太陽電池の変換効率が高まり好ましい。一方、対向電極の触媒層に増粘剤として前記例示した物質が含まれた場合、分散剤と異なり電解液中に溶出せず触媒層中に留まるため、結着能を発揮して触媒層の支持体からの脱離を抑制し、結果的に、色素増感型太陽電池の変換効率を向上させることができ好ましい。
なお、少なくともアセトニトリル、γ-ブチロラクトン、3-メトキシプロピオニトリルに対して溶解性の分散剤としては、例えば、上述したスチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン=アルキルエーテル(アルキル基の炭素数は、好ましくは8以上20以下である。)、ポリオキシエチレン=アルキルフェニルエーテル(アルキル基の炭素数は、好ましくは8以上9以下である。)が挙げられる。
また、少なくともトリエチレングリコールモノメチルエーテルに対して溶解性の分散剤としては、例えば、スチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体、ポリビニルピロリドンが挙げられる。
また、少なくともアセトニトリルに対して非溶解性の増粘剤としては、例えば、セルロース系ポリマー(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、少なくともγ-ブチロラクトン、3-メトキシプロピオニトリルに対して非溶解性の増粘剤としては、例えば、セルロース系ポリマー(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコールが挙げられる。
さらに、少なくともトリエチレングリコールモノメチルエーテルに対して非溶解性の増粘剤としては、例えば、セルロース系ポリマー(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ポリエチレンオキサイドが挙げられる。
なお、本明細書において、ある化合物(分散剤、増粘剤)が溶媒(非プロトン性極性物質)に対して「溶解性」であるとは、温度23℃において当該溶媒に1質量%の濃度で溶解する(不溶分が目視で確認できない)ことをいい、「非溶解性」であるとは、温度23℃において当該溶媒に1質量%の濃度で、24時間撹拌後も溶解しない(不溶分が目視で確認できる)ことをいう。
電解質層20は、その構成成分を含有する溶液(電解液)を光電極10上に塗布したり、光電極10と対向電極30とを有するセルを作製し、その隙間に電解液を注入したりすることで形成することができる。
<対向電極>
対向電極30は、本発明の光電変換素子用対向電極であり、支持体30a上に任意に形成された導電層30bと、導電層30b上に形成された触媒層30cとからなる。
対向電極の支持体30aとしては、「対向電極の支持体」として上述したものと同様のものを用いることができる。また、対向電極の導電層30bとしては、「光電極の導電層」として上述したものと同様のものを用いることができる。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法としては、特に限定されるものではないが、変換効率に優れた色素増感型太陽電池を効率的に製造可能であることから、本発明の対向電極を用い、光電極と対向電極との間に、非プロトン性極性物質を溶媒として含有する電解液を用いて、電解質層を形成する工程を含む方法が好ましい。
(太陽電池モジュール)
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の色素増感型太陽電池が直列及び/又は並列に接続されてなるものである。
ここで、太陽電池モジュールは、例えば、本発明の色素増感型太陽電池を平面状又は曲面状に配列し、各電池間に非導電性の隔壁を設けるとともに、各電池の光電極や対向電極を導電性の部材を用いて電気的に接続することで得ることができる。
なお、太陽電池モジュールの形成に用いる色素増感型太陽電池の数は特に限定されず、目的の電圧に応じて適宜決定することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。本実施例における測定及び評価は、以下の方法によって行った。
<有機金属錯体からなる構造単位の含有量>
高分子化合物の調製に用いた原料の配合量から、高分子化合物が分子中に有する有機金属錯体からなる構造単位の含有量を求めた。
<ペースト分散性>
ペースト分散性はペースト作製24時間後にJIS K5600-2-5による粒ゲージ法により評価した。粒ゲージ法で評価した値が低いほど、ペーストの分散性が高いことを示す。
A:10μm未満
B:10μm以上20μm未満
<電極膜強度>
対向電極の触媒層の電極膜強度について、電極膜の粉落ち試験により、評価した。具体的には摩擦運動試験機のすり部分にザヴィーナミニマックス(KBセーレン社製)を1枚付け、ザヴィーナミニマックスと電極を1000gの荷重をかけ接触させ、45rpmの速度で1往復擦る試験を行った。そして、目視評価にて以下の基準に従って評価した。
A:剥がれ無し
B:剥がれはあるが電極膜の残留がある
C:電極膜の残留がない
<変換効率>
光源として、150Wキセノンランプ光源にAM1.5Gフィルタを装着した擬似太陽光照射装置(PEC-L11型、ペクセル・テクノロジーズ社製)を用いた。光量は、1sun(AM1.5G、100mW/cm(JIS C8912のクラスA))に調整した。作製した色素増感型太陽電池をソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続し、以下の電流電圧特性の測定を行なった。
1sunの光照射下、バイアス電圧を0Vから0.8Vまで0.01V単位で変化させながら出力電流を測定した。出力電流の測定は、各電圧ステップにおいて、電圧を変化させた後、0.05秒後から0.15秒後までの値を積算することで行った。バイアス電圧を、逆方向に0.8Vから0Vまで変化させる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値を光電流とした。
上記の電流電圧特性の測定結果より、開放電圧(Voc;単位は[V])、短絡電流密度(Jsc;単位は[mA/cm])、曲線因子(FF;無単位量)、及びエネルギー変換効率(η;単位は%)を算出し、特に、短絡電流、曲線因子及びエネルギー変換効率について、それぞれ以下の基準に従って評価した。
<<短絡電流>>
A:10.0以上
<<曲線因子>>
A:0.60以上
B:0.55以上0.60未満
C:0.55未満
<<変換効率>>
A:4.0以上
B:3.5以上4.0未満
C:3.5未満
<高温耐久性>
作製した色素増感型太陽電池の高温耐久性は、アルミラミジップ内に電池を封入した後に60℃で168h後の短絡電流値を初期値と比較することによって評価した。
SS:93%以上
S :90%以上93%未満
A :90%未満
(実施例1)
<フタロシアニン鉄含有高分子化合物1>
[反応性ポリマー(a)の合成]
100mLガラスアンプルにモノマー成分としてスチレン2.2g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製、「M-230G」)10.2g、グリシジルメタクリレート2.5g、溶媒としてメトキシプロパノール31.0gを加え密栓した。
200mL/分で10分間、N流入を行った後、90℃に加温した。
加温後、攪拌しながら重合開始剤としてのt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油社製、製品名「パーブチルO」)0.375gをメトキシプロパノール3.75gで希釈したものを3時間30分かけて滴下し、その後3時間の熟成工程を経て重合を行い、反応性ポリマー(a)を得た。重合反応率はガスクロマトグラフィーを用いて、スチレン及びグリシジルメタクリレートの残存率より計算し、100%であることを確認した。
[反応性フタロシアニンの合成]
特許5629473号を参考にして、反応性フタロシアニンを合成した。具体的には以下の操作を行った。
・4-アセトアミドフタロニトリルの合成
文献(J. Heterocyclic Chem. 18, 1613 (1981))記載の方法で4-アセトアミドフタロニトリルの合成を行った。
300mL4つ口フラスコをArで不活性雰囲気下とし、4-アミノフタロニトリル(10.00g、69.9mmоl)、ピリジン(70.0mL)を投入し、撹拌翼で撹拌した。内温10℃に氷冷し、塩化アセチル(7.71g、98.2mmоl)を滴下してピリジン(37.0mL)で洗い込みを行った。滴下による発熱が見られ、内温25.7℃まで上昇した。室温で6時間後、塩化アセチル(1.83g、23.3mmоl)を追添加した。追添加15時間後、反応溶液をイオン交換水(1.3L)に注ぎ、10分間撹拌した。固体をろ取して、60℃で12時間減圧乾燥し、4-アセトアミドフタロニトリルを得た(収量:12.5g、収率:96%)。
・Fe(II)tris-(tert-ブチル)アセトアミドフタロシアニンの合成
2L4つ口フラスコをArで不活性雰囲気下とし、2-ジメチルアミノエタノール(640mL)、上記のようにして得た4-アセトアミドフタロニトリル(6.28g、33.9mmоl)、4-tert-ブチルフタロニトリル(6.25g、33.9mmоl)を投入し、撹拌翼で撹拌した。酸化鉄(11.8g、67.8mmоl)を加え、2-ジメチルアミノエタノール(130.0mL)で洗い込み、内温135℃まで加熱した。2時間加熱後、室温まで放冷し、反応溶液をイオン交換水(8.0L)に20分かけて滴下した。滴下後、240rpmで30分間撹拌し、得られた溶液を遠心分離(9000rpm、15760G、30min)により固体成分を沈降させた。乾燥後クロロホルムに懸濁させ不溶物を除去し、濃縮し乾燥させることで粗体を得た。その後、塩基性アルミナを用いて、反応性フタロシアニンとしてFe(II)tris-(tert-ブチル)アセトアミドフタロシアニンを単離した。
[フタロシアニン鉄含有高分子化合物1の合成]
100mLガラスアンプルに、上記のようにして得た反応性ポリマー(a)10g、反応性フタロシアニン溶液40.2g(Fe(II)tris-(tert-ブチル)アセトアミドフタロシアニン:0.40g、メトキシプロパノール:39.8g)、を加え、密栓した。
90℃に加温後、攪拌しながら7時間反応させ、反応を完了させてフタロシアニン鉄含有高分子化合物1を含む溶液を得た。この溶液中のフタロシアニン鉄含有高分子化合物1は、質量換算で、1.1%のフタロシアニン鉄を含んでいた。
<ペーストの調製>
500mLのポリビンに、単層CNT(日本ゼオン社製SGCNT、製品名「SG101」;BET比表面積:1264m/g)50g、アセチレンブラック(デンカ社製、デンカブラック(登録商標)、「HS-100」、平均1次粒子径:35nm、BET比表面積:68m/g)50g、分散剤としてのスチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体(楠本化成社製、製品名「ディスパロン(登録商標)AQ-380」(以下、「AQ-380」と称する。)、アセトニトリルに対して溶解性、重量平均分子量15000、エチレングリコール鎖の部分「(CH-CH-O))」のn=23)の純分として83g(単層CNT100部当たり166部)、増粘剤としてのヒドロキシエチルセルロース(ダイセルファインケム社製、製品名「SP600」、アセトニトリルに対して非溶解性)25g(単層CNT100部当たり50部)、上記のようにして得たフタロシアニン鉄含有高分子化合物1を含む混合物を固形分相当で17g、及び純水269gを投入し、混合物を得た。
得られた混合物を、ホモミキサーで6000rpm、30分間、水浴でポリビンを25℃に冷却しながら撹拌して粗分散液を得た。
得られた粗分散液を湿式ジェットミル(吉田機械興業社製、製品名「ナノヴェイタ(登録商標)」)で、分散液を25℃に冷却しながら、100MPaで10Pass処理をし、ペーストを得た。得られたペーストについてペースト分散性を評価した。結果を表1に示す。
<対向電極の作製>
上述のようにして調製したペーストを、ITO-PENフィルム(50mm×50mm、15Ω/□)上に、100メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷法により塗布して、イナートオーブン(ヤマト科学社製)で、大気雰囲気にて、125℃で15分間乾燥させて、塗膜を形成した。この塗膜を60℃、減圧下、2時間の条件で乾燥して、支持体上に厚さ3μmの触媒層が形成された対向電極を得た。この対向電極を用いて、触媒層の外観(膜強度)を評価した。結果を表1に示す。
<光電極の作製>
増感色素としてルテニウム錯体(ソラロニクス社製:商品名N719)を用い、溶媒としてエタノールを用いて、増感色素溶液(濃度0.3mM)を準備した。
ITO-PENフィルム(50mm×50mm 15Ω/□)上に、濃度5mMのチタンイソプロポキシドのイソプロピルアルコール溶液をバーコート法により塗布し、イナートオーブン(ヤマト科学社製)で、150℃、15分間乾燥させた。熱硬化性のAgペースト(トーヨーケム株式会社製)を用いて、スクリーン印刷機(セリア製SFA-PC610CTN)を用いて印刷し、イナートオーブン(ヤマト科学社製)で、130℃、30分間加熱し取り出し電極(厚み8μm)を形成し、さらに、水系の酸化チタンペースト(ペクセル・テクノロジーズ株式会社製、PECC-AW1-01)を使用し、スクリーン印刷機で、塗布し、イナートオーブン(ヤマト科学株式会社製)で150℃、15分間乾燥させ、多孔質半導体層を形成した(酸化チタン層の厚みは、8μm、面積は38.47cmであった)。
この多孔質半導体層を形成したITO-PENフィルムを、上述のようにして調製した増感色素溶液(50cm各のバット)に入れ、40℃、2時間浸漬した。浸漬後、エタノール溶液で洗浄し、40℃/24時間、減圧下で乾燥をして、光電極を作製した。
<太陽電池の製造>
ヨウ素0.05mol/L、ヨウ化リチウム0.1mol/L、t-ブチルピリジン0.5mol/L、及び1,2-ジメチル-3プロピルイミダゾリウムヨージド0.6mol/Lとなるように、これらを溶媒としてのアセトニトリルに溶解して、電解液を得た。
真空貼り合せ装置にて、上記光電極上に、シール剤(ポリブチレン系光硬化性樹脂と8質量%の25μmの絶縁性スペーサー樹脂)を貼り合せ後のシール剤幅が0.9mm、高さが30μmになるようにディスペンサーで、1周囲むように塗布した後、上述のようにして得られた電解液を光電極に塗布した。上記対向電極を真空貼り合せ装置に設置し、真空中で重ねあわせを行い、メタルハライドランプによりUV照射を積算光量3000mJ/cmで行って封止材を硬化させて、貼り合せを行った。真空中から大気圧に開放して、太陽電池としての色素増感型太陽電池を製造した。そして、この色素増感型太陽電池を用いて短絡電流、曲線因子、変換効率及び高温耐久性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
<フタロシアニン鉄含有高分子化合物2>
[フタロシアニン鉄含有重合開始剤の合成]
色材協会誌1965年38巻3号100-108ページに記載の方法を参考に、中心金属をFeに変更し、テトラ(4)ジアゾ鉄フタロシアニンを得た。
[フタロシアニン鉄含有高分子化合物2の合成]
100mLガラスアンプルにモノマー成分としてスチレン1.9g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製、「M-230G」)8.8g、溶媒としてメトキシプロパノール29.8gを加え密栓した。
200mL/分で10分間、N流入を行った後、90℃に加温した。
加温後、攪拌しながら重合開始剤としてテトラ(4)ジアゾ鉄フタロシアニン0.87gをメトキシプロパノール8.73gで希釈したものを3時間30分かけて滴下し、その後3時間の熟成工程を経て重合を行い、フタロシアニン鉄含有高分子化合物2を得た。重合反応率はガスクロマトグラフィーを用いて、スチレン及びグリシジルメタクリレートの残存率より計算し、100%であることを確認した。この混合物中のフタロシアニン鉄含有高分子化合物2は、質量換算で、1.8%のフタロシアニン鉄を含んでいた。
ペーストの調製に際し、フタロシアニン鉄含有高分子化合物1に替えて上記のようにして得たフタロシアニン鉄含有高分子化合物2を6g、AQ-380を純分で94g、水371gに変更した以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
<フタロシアニン鉄含有高分子化合物3>
[反応性ポリマー(b)の合成]
100mLガラスアンプルにモノマー成分としてスチレン2.2g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製、「M-230G」)10.2g、ヒドロキシエチルアクリレート2.5g、溶媒としてメトキシプロパノール31.0gを加え密栓した。
200mL/分で10分間、N流入を行った後、90℃に加温した。
加温後、攪拌しながら重合開始剤としてのt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油社製、製品名「パーブチルO」)0.375gをメトキシプロパノール3.75gで希釈したものを3時間30分かけて滴下し、その後3時間の熟成工程を経て重合を行い、反応性ポリマー(b)を得た。重合反応率はガスクロマトグラフィーを用いて、スチレン及びヒドロキシルエチルアクリレートの残存率より計算し、100%であることを確認した。この混合物中のフタロシアニン鉄含有高分子化合物3は、質量換算で、0.6%のフタロシアニン鉄を含んでいた。
[フタロシアニン鉄含有高分子化合物3の合成]
得られた反応性ポリマー(b)を用いて、特許6752588号を参考にヒドロキシル基を変性しフタロシアニン鉄含有高分子化合物3を得た。
ペーストの調製に際し、フタロシアニン鉄含有高分子化合物1に替えて上記のようにして得たフタロシアニン鉄含有高分子化合物3を17g、AQ-380を純分で83g、水274gに変更した以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
<フタロシアニン亜鉛含有高分子化合物4>
[反応性ポリマー(c)の合成]
100mLガラスアンプルにモノマー成分としてスチレン2.2g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製、「M-230G」)10.2g、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン2.5g、溶媒としてメトキシプロパノール31.0gを加え密栓した。
200mL/分で10分間、N流入を行った後、90℃に加温した。
加温後、攪拌しながら重合開始剤としてのt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油社製、製品名「パーブチルO」)0.375gをメトキシプロパノール3.75gで希釈したものを3時間30分かけて滴下し、その後3時間の熟成工程を経て重合を行い、反応性ポリマー(c)を得た。重合反応率はガスクロマトグラフィーを用いて、スチレン及び2-イソプロペニル-2-オキサゾリンの残存率より計算し、100%であることを確認した。
[フタロシアニン亜鉛含有高分子化合物4の合成]
フタロシアニン亜鉛含有高分子化合物4の調製に際し、反応性ポリマー(a)に替えて反応性ポリマー(c)を使用し、前記反応性フタロシアニンに替えて以下の構造式で示される「SK121」を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フタロシアニン亜鉛含有高分子化合物4を得た。この混合物中のフタロシアニン亜鉛含有高分子化合物4は、質量換算で、1.5%のフタロシアニン亜鉛を含んでいた。
Figure 2022117264000005
ペーストの調製に際し、フタロシアニン鉄含有高分子化合物1に替えて上記のようにして得たフタロシアニン亜鉛含有高分子化合物4を17g、AQ-380を純分で83g、水274gに変更した以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
ペーストの調製に際し、アセチレンブラックを用いなかった以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
ペーストの調製に際し、単層CNTとアセチレンブラックとの配合比が質量比(単層CNT/アセチレンブラック)で90/10になるように調整した以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
ペーストの調製に際し、単層CNTとアセチレンブラックとの配合比が質量比(単層CNT/アセチレンブラック)で35/65になるように調整した以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
ペーストの調製に際し、分散剤としてポリアクリル酸を使用した以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
<フタロシアニン鉄含有高分子化合物5>
[反応性ポリマー(d)の合成]
100mLガラスアンプルにモノマー成分としてスチレンスルホン酸6.2g、マレイン酸6.2g、グリシジルメタクリレート2.5g、溶媒として水31.0gを加え密栓した。
200mL/分で10分間、N流入を行った後、90℃に加温した。
加温後、攪拌しながら重合開始剤としてのt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油社製、製品名「パーブチルO」)0.375gをメトキシプロパノール3.75gで希釈したものを3時間30分かけて滴下し、その後3時間の熟成工程を経て重合を行い、反応性ポリマー(d)を得た。重合反応率はガスクロマトグラフィーを用いて、スチレンスルホン酸及びグリシジルメタクリレートの残存率より計算し、100%であることを確認した。
[フタロシアニン鉄含有高分子化合物5の合成]
フタロシアニン鉄含有高分子の調製に際し、反応性ポリマー(a)に替えて反応性ポリマー(d)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、フタロシアニン鉄含有高分子化合物5を得た。
ペーストの調製に際し、フタロシアニン鉄含有高分子化合物1に替えて上記のようにして得たフタロシアニン鉄含有高分子化合物5を用いた以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
ペーストの調製に際し、高分子化合物1に替えてフタロシアニン鉄を使用した以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
ペーストの調製に際し、導電性炭素材料を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして対向電極、光電極及び太陽電池を製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022117264000006
表1中、
「SWCNT」は単層カーボンナノチューブを示し、
「St」はスチレンを示し、
「PcFe」はフタロシアニン鉄を示し、
「PcZn」はフタロシアニン亜鉛を示す。
表1より、実施例1~9の対向電極を用いれば、変換効率及び高温耐久性に優れた色素増感型太陽電池が得られることがわかる。
本発明によれば、色素増感型太陽電池の変換効率及び高温耐久性を高め得る光電変換素子用対向電極を提供することができる。
また、本発明によれば、変換効率及び高温耐久性に優れた色素増感型太陽電池と、当該色素増感型太陽電池を用いた太陽電池モジュールを提供することができる。
10 光電極
30 対向電極
20 電解質層
10a,30a 支持体
10b,30b 導電層
10c 多孔質半導体微粒子層
10d 増感色素層
30c 触媒層
40 回路
100 色素増感型太陽電池

Claims (13)

  1. 支持体と、前記支持体上に形成された触媒層とを有し、
    前記触媒層は、高分子化合物と、導電性炭素材料とを含み、
    前記高分子化合物は、有機金属錯体からなる構造単位を分子中に有する、光電変換素子用対向電極。
  2. 前記有機金属錯体の配位子が、下記一般式(1)で表されるポルフィリン化合物及び下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の光電変換素子用対向電極。
    Figure 2022117264000007
    上記一般式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を示し、R~R10はそれぞれ独立に、水素原子、又はフェニル基を示す。
    上記一般式(2)中、R~Rは、上記一般式(1)中のR~Rと同様である。
  3. 前記有機金属錯体の中心金属原子が、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、レニウム、マンガン、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の光電変換素子用対向電極。
  4. 前記高分子化合物が、親水性の単量体単位及び/又は炭素親和性の単量体単位をさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光電変換素子用対向電極。
  5. 前記高分子化合物が、(A)アミノ基若しくはアミド基を有する有機金属錯体と、エポキシ基を有する高分子化合物前駆体とを、又は、(B)アミノ基若しくはアミド基を有する高分子化合物前駆体と、エポキシ基を有する有機金属錯体とを、前記アミノ基若しくは前記アミド基と前記エポキシ基とを反応させて結合してなるものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の光電変換素子用対向電極。
  6. 前記導電性炭素材料が、カーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブ以外の導電性炭素材料とからなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換素子用対向電極。
  7. 前記カーボンナノチューブが、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示すカーボンナノチューブである、請求項6に記載の光電変換素子用対向電極。
  8. 前記導電性炭素材料がカーボンブラックである、請求項6又は7に記載の光電変換素子用対向電極。
  9. 前記カーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブ以外の導電性炭素材料との含有割合が、質量比(カーボンナノチューブ/カーボンナノチューブ以外の導電性炭素材料)で35/65~90/10である、請求項6~8のいずれか1項に記載の光電変換素子用対向電極。
  10. 前記有機金属錯体からなる構造単位の含有量が、前記導電性炭素材料の含有量100質量部当たり30質量部以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の光電変換素子用対向電極。
  11. 前記支持体が透明樹脂からなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の光電変換素子用対向電極。
  12. 光電極、電解質層、及び対向電極をこの順に有する色素増感型太陽電池であって、前記対向電極が、請求項1~11のいずれか1項に記載の光電変換素子用対向電極である色素増感型太陽電池。
  13. 請求項12に記載の色素増感型太陽電池が直列及び/又は並列に接続されてなる太陽電池モジュール。
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