WO2023026764A1 - 太陽電池用導電性組成物、太陽電池用電極、太陽電池、及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用導電性組成物、太陽電池用電極、太陽電池、及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

本発明は、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できる、太陽電池用導電性組成物を提供することを目的とする。本発明は、金属粒子と、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含有する有機バインダー樹脂と、を含む、太陽電池用導電性組成物であって、前記熱硬化性樹脂の数平均分子量が、500以上2500以下である、太陽電池用導電性組成物である。

Description

太陽電池用導電性組成物、太陽電池用電極、太陽電池、及び太陽電池モジュール
 本発明は、太陽電池用導電性組成物、太陽電池用電極、太陽電池、及び太陽電池モジュールに関する。
 従来、導電性ペーストを用いて電子デバイスの電極等の導電パターンを形成する技術が知られている。
 近年では、良好な電気的特性等を得ることができる導電パターンを形成するために、種々の導電性ペーストが提案されている。例えば、特許文献1には、所定の銀粉末と、有機バインダー樹脂と、有機溶剤と、を含有し、有機バインダー樹脂が、分子中に水酸基又はカルボキシル基を含む熱可塑性樹脂及び分子中に水酸基又はカルボキシル基を含む熱乾燥性樹脂の少なくとも一種の樹脂と、熱可塑性樹脂又は熱乾燥性樹脂の官能基との反応性を有する架橋剤としての熱硬化性樹脂とを含有することを特徴とする導電性ペーストが提案されている。このような導電性ペーストによれば、良好な印刷特性を有し、高温プロセスを用いることなく良好な電気的特性を得ることができるパターンを形成することが可能となる。また、このような導電性ペーストによれば、得られるパターンの耐溶剤性、密着性を向上できる。
特許第5899022号公報
 ここで、太陽電池の電極の集電配線も、上記のような導電性ペーストを用いて形成できる。しかしながら、太陽電池においては電解液等に溶剤が使用されたり、製造過程において溶剤が集電配線と接触したりすることがあり得るところ、特許文献1の導電性ペーストを用いて形成された太陽電池用電極の集電配線は、耐溶剤性が不十分であり、改善の余地があった。
 また、近年、太陽電池はフレキシブル化が進められているところ、集電配線には優れた可とう性が要求される。
 そこで、本発明は、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できる、太陽電池用導電性組成物を提供することを目的とする。
 また、本発明は、溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制された太陽電池用電極、太陽電池、及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
 本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、有機バインダー樹脂に含まれる熱硬化性樹脂において、その数平均分子量を所望の範囲内にすることにより、上記課題を解決できることを新たに見出し、本発明を完成させた。
 即ち、この発明は上記課題を解決することを目的とするものであり、本発明は、金属粒子と、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含有する有機バインダー樹脂と、を含む、太陽電池用導電性組成物であって、前記熱硬化性樹脂の数平均分子量が、500以上2500以下である、太陽電池用導電性組成物である。このような太陽電池用導電性組成物であれば、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できる。
 本明細書において、数平均分子量(以下、「Mn」と略記することがある。)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用い、溶離液として例えばテトラヒドロフランを用いたときの標準ポリスチレン換算の値である。
 有機バインダー樹脂が2種以上の熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂の数平均分子量とは、有機バインダー樹脂に含まれる全熱硬化性樹脂のMnの平均値である。なお、2種以上の熱硬化性樹脂を含む有機バインダー樹脂をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したときに、分子量分布のピークが重なる場合には、各ピークを波形分離して各熱硬化性樹脂のMnを算出し、その各熱硬化性樹脂のMnから全熱硬化性樹脂のMnの平均値を算出できる。
 本発明の太陽電池用導電性組成物において、前記熱可塑性樹脂は、分子中に水酸基を含み、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。
 熱可塑性樹脂が分子中に水酸基を含み、且つ、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であれば、耐溶剤性及び可とう性により優れる集電配線を形成できる。
 本発明の太陽電池用導電性組成物において、前記熱硬化性樹脂の含有量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましい。
 熱硬化性樹脂の含有量が上記下限以上であれば、集電配線の耐溶剤性を向上できる。また、熱硬化性樹脂の含有量が上記下限以上であれば、光電変換効率の低下を抑制でき、この結果、長期信頼性に優れる太陽電池を得ることができる。
 本発明の太陽電池用導電性組成物において、前記金属粒子は銀粒子であることが好ましい。
 金属粒子が銀粒子であれば、光電変換効率の低下を抑制でき、この結果、長期信頼性に優れる太陽電池を得ることができる。
 また、この発明は上記課題を解決することを目的とするものであり、本発明は、上記太陽電池用導電性組成物を用いて形成された集電配線を備える、太陽電池用電極である。このような太陽電池用電極は、溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制される。
 また、この発明は上記課題を解決することを目的とするものであり、本発明は、上記太陽電池用電極を備える、太陽電池である。このような太陽電池は、電極の溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制される。
 本発明の太陽電池は、色素増感型太陽電池又はペロブスカイト型太陽電池であることが好ましい。
 太陽電池が、色素増感型太陽電池又はペロブスカイト型太陽電池であれば、電気抵抗値の上昇を効果的に抑制できる。
 本発明の太陽電池は、非プロトン性極性溶媒を含む電解質層を備えることが好ましい。
 太陽電池が、非プロトン性極性溶媒を含む電解質層を備えるものであれば、電気抵抗値の上昇を効果的に抑制できる。
 本発明の太陽電池において、前記非プロトン性極性溶媒は、アセトニトリル、γ-ブチロラクトン、3-メトキシプロピオンニトリル、及びトリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
 非プロトン性極性溶媒がこれらの溶媒であれば、電気抵抗値の上昇をより効果的に抑制できる。
 また、この発明は上記課題を解決することを目的とするものであり、本発明は、上記太陽電池が直列及び/又は並列に接続されてなる、太陽電池モジュールである。このような太陽電池モジュールは、電極の溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制される。
 本発明によれば、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できる、太陽電池用導電性組成物を提供できる。
 また、本発明によれば、溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制された太陽電池用電極、太陽電池、及び太陽電池モジュールを提供できる。
本発明の一実施形態である色素増感型太陽電池の一例の構造を模式的に示す図である。 図1のA-A断面を示す図である。 実施例において光電極基板上に形成した集電配線及び電流取り出し部の形状を示す図である。 実施例において作製した色素増感型太陽電池素子の構成を示す図である。
 以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
 ここで、本発明の導電性組成物は、太陽電池の集電配線の形成に用いられるもの、即ち、太陽電池用導電性組成物(以下、単に「導電性組成物」と称することがある。)である。本発明の導電性組成物は、細い線幅としても可とう性に優れる集電配線を形成可能であることから、フレキシブルな集電配線形成用の導電性組成物として好適に用いられる。
(太陽電池用導電性組成物)
 本発明の導電性組成物は、金属粒子と、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含有する有機バインダー樹脂と、を含む。
<金属粒子>
 金属粒子としては、特に限定されることなく、金、銀、銅、パラジウム、白金、ニッケル、並びに、これらの合金又は複合金属等の粒子が使用できる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
 上記した中でも、金属粒子としては、安価であると共に、導電性に優れていることから、銀粒子又は銅粒子を用いることが好ましい。また、金属粒子としては、光電変換効率の低下を抑制でき、この結果、長期信頼性に優れる太陽電池を得ることができることから、特に銀粒子を用いることが好ましい。
 金属粒子の平均粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、10μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましい。
 金属粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、金属粒子の凝集による集電配線の導電性の低下を抑制できる。一方、金属粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、集電配線の厚みを薄くでき、この結果、太陽電池の電極間距離を近くでき、光電変換効率を向上できる。
 金属粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択された100個の金属粒子の粒子径を測定することで、算出できる。
 金属粒子の形状としては、球状、フレーク状、デントライト状等の種々の形状のものを用いることができる。金属粒子は、印刷適性及びペースト中の分散性の観点から、アスペクト比が1以上1.5以下の球状のものを主体として用いることが好ましい。
 金属粒子の含有割合は、導電性組成物の不揮発分(乾燥により組成物中から揮発せず、形成された集電配線に残存する成分)を基準として、85質量%以上であることが好ましく、88質量%以上であることがより好ましく、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
 金属粒子の含有割合が上記下限以上であれば、導電性に優れる集電配線を形成できる。一方、金属粒子の含有割合が上記上限以下であれば、導電性組成物の流動性が良好に保たれ、集電配線を容易に形成できる。
<有機バインダー樹脂>
 有機バインダー樹脂は、集電配線の形成特性を付与するために用いられる。また、有機バインダー樹脂は、導電性組成物を塗布し、乾燥し、硬化した後も残存し、基板に対する集電配線の良好な密着性、耐屈曲性、硬度等の物性を得るために用いられる。
 本発明の導電性組成物において、有機バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含む。
 有機バインダー樹脂の含有割合は、導電性組成物の不揮発分を基準として、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましい。
 有機バインダー樹脂の含有割合が上記下限以上であれば、基板に対する集電配線の密着性、耐屈曲性及び硬度を向上できる。一方、有機バインダー樹脂の含有割合が上記上限以下であれば、形成された集電配線の抵抗を低減でき、この結果、集電配線の導電性を向上できる。
〔熱可塑性樹脂〕
 熱可塑性樹脂は、集電配線の形成特性を付与し得るものであれば特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリアミドイミド、ポリアミド、ニトロセルロース、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)等の変性セルロース類等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
 基板に樹脂フィルムを用いる場合は、耐屈曲性及び基板に対する密着性の観点から、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
 熱可塑性樹脂は、耐溶剤性及び可とう性により優れる集電配線を形成できることから、分子中に3次元架橋可能な官能基(例えば、カルボキシル基及び水酸基等)を含むことが好ましく、分子中に水酸基を含むことがより好ましく、1分子中に2つ以上の水酸基を含むことが更に好ましく、フェノキシ樹脂であることが特に好ましい。
 熱可塑性樹脂が分子中に水酸基を含む場合、その水酸基価は、100mgKOH/g以上であることが好ましく、130mgKOH/g以上であることがより好ましく、170mgKOH/g以上であることが更に好ましく、300mgKOH/g以下であることが好ましく、270mgKOH/g以下であることがより好ましく、230mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
 上記水酸基価が上記下限以上であれば、導電性組成物の凝集力が向上し、集電配線を容易に形成できる。また、上記水酸基価が上記下限以上であれば、耐溶剤性に更に優れる集電配線を形成できる。一方、上記水酸基価が上記上限以下であれば、導電性組成物の流動性が良好に保たれ、集電配線を容易に形成できる。また、上記水酸基価が上記上限以下であれば、可とう性に更に優れる集電配線を形成できる
 熱可塑性樹脂のMnは、5000以上であることが好ましく、8000以上であることがより好ましく、10000以上であることが更に好ましく、30000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましく、17000以下であることが更に好ましい。
 熱可塑性樹脂のMnが上記下限以上であれば、導電性組成物の流動性が良好に保たれ、集電配線を容易に形成できる。一方、熱可塑性樹脂のMnが上記上限以下であれば、集電配線の形成時に導電性組成物の糸引きに起因するヒゲ欠陥及びラインのうねり等の発生を抑制できる。
 バインダー樹脂における熱可塑性樹脂の含有割合は、例えば10質量%以上であり、25質量%以上でもよく、40質量%以上でもよい。一方、バインダー樹脂における熱可塑性樹脂の含有割合は、例えば75質量%以下であり、60質量%以下でもよく、50質量%以下でもよい。
〔熱硬化性樹脂〕
 本発明の導電性組成物において、熱硬化性樹脂は、集電配線の形成特性を付与し得るものである。そして、本発明の導電性組成物において、熱硬化性樹脂のMnは、500以上2500以下である。熱硬化性樹脂の数平均分子量がこの範囲内であれば、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できる。また、熱硬化性樹脂の数平均分子量がこの範囲内であれば、光電変換効率の低下を抑制でき、この結果、長期信頼性により優れる太陽電池を得ることができる。
 熱硬化性樹脂のMnは、可とう性により優れる集電配線を形成できることから、900以上であることが好ましく、1200以上であることがより好ましく、1300以上であることが更に好ましい。
 一方、熱硬化性樹脂のMnは、耐溶剤性により優れる集電配線を形成でき、且つ、長期信頼性により優れる太陽電池を得ることができることから、2200以下であることが好ましく、1700以下であることがより好ましく、1400以下であることが更に好ましい。
 熱硬化性樹脂は、耐溶剤性及び可とう性により優れる集電配線を形成できることから、熱可塑性樹脂の官能基と反応して架橋構造を形成し得る官能基を含む樹脂であることが好ましい。このような熱硬化性樹脂は、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、及びそれらの変性樹脂等が挙げられる。その他、分子中になくとも2個のオキセタニル基を有するオキセタン化合物等も挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
 熱可塑性樹脂が分子中に水酸基を含む場合、熱硬化性樹脂は、耐溶剤性及び可とう性に特に優れる集電配線を形成できることから、1分子中にグリシジル基を2個以上含むエポキシ樹脂であることが好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールAのノボラック型、ビフェノール型、ビキシレノール型、トリスフェノールメタン型、N-グリシジル型、N-グリシジル型のエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、公知のエポキシ樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
 熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、300g/eq.以上であることが好ましく、450g/eq.以上であることがより好ましく、550g/eq.以上であることが更に好ましく、1500g/eq.以下であることが好ましく、1000g/eq.以下であることがより好ましく、800g/eq.以下であることが更に好ましい。
 エポキシ当量が上記範囲内であれば、良好な架橋点密度が得られ、その結果、耐溶剤性及び可とう性により優れる集電配線を形成できる。
 本明細書において、エポキシ当量は、1g当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数(g/eq.)を表し、JIS K 7236に従って測定できる。
 なお、有機バインダー樹脂が2種以上のエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量とは、有機バインダー樹脂に含まれる全エポキシ樹脂のエポキシ当量の平均値である。
 有機バインダー樹脂が2種以上の熱硬化性樹脂を含む場合、Mnが最も小さい熱硬化性樹脂のMn(Mnmin)と、Mnが最も大きい熱硬化性樹脂のMn(Mnmax)との差(Mnmax-Mnmin)は、2700以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、800以下であることは更に好ましい。Mnmax-Mnminが該上限以下であれば、可とう性により優れる集電配線を形成できる。
 Mnmax-Mnminは、特に限定されないが、例えば100以上であり、200以上でもよい。
 熱硬化性樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましく、110質量部以上であることが更に好ましく、300質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましく、150質量部以下であることが更に好ましい。
 熱硬化性樹脂の含有量が上記下限以上であれば、耐溶剤性により優れる集電配線を形成できる。また、熱硬化性樹脂の含有量が上記下限以上であれば、光電変換効率の低下を抑制でき、この結果、長期信頼性により優れる太陽電池を得ることができる。一方、熱硬化性樹脂の含有量が上記上限以下あれば、可とう性により優れる集電配線を形成できる。
<添加剤>
 本発明の目的を損なわない範囲において、本発明の導電性組成物は添加剤を含んでもよい。添加剤としては、特に限定されることなく、接着性向上剤、濡れ性向上剤、分散剤、消泡剤、イオントラップ剤等の既知の添加剤が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
 有機バインダー樹脂中の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が架橋構造を形成し得る官能基を含む場合、架橋反応を促進させるために、添加剤として、硬化触媒、例えばアミン化合物、イミダゾール誘導体等を用いてもよい。
<導電性組成物の調製方法>
 本発明の導電性組成物は上記各成分を混合することにより得られるが、各成分を分散媒と混合することにより、導電性ペーストとして調製するのが好ましい。上記各成分の混合方法としては、特に限定されないが、例えば、金属粒子を予め分散媒に分散した金属粒子の分散液と有機バインダー樹脂とを混合する方法、有機バインダー樹脂と金属粒子とを分散媒に添加し、直接混合する方法等が挙げられる。各成分を混合に供する順番に特に制限はない。
 導電性ペーストの固形分濃度は、通常、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。一方、導電性ペーストの固形分濃度は、通常、99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
 上記混合は、公知の混合装置を使用して行うことができる。混合装置としては、例えば、超音波分散機及びジェットミル等の、キャビテーション効果が得られる混合装置、並びにビーズミル、ボールミル、三本ロール等のロールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー及びフィルミックス等の、解砕効果が得られる混合装置等が挙げられる。
 上記分散媒としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂が官能基を含む場合には、これらの官能基と化学反応することなく、且つ、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を溶解できるものであればよい。具体的には、例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、1-ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テルピネオール、メチルエチルケトン、カルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトール等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
 更に、集電配線の形成過程でのペーストの乾燥を防ぎ、形成特性を保つ目的で、0.1013MPa(絶対圧)における沸点が240℃以上330℃以下の範囲である高沸点溶剤を併用してもよい。
 高沸点溶剤としては、ジアミルベンゼン(沸点:260℃以上280℃以下)、トリアミルベンゼン(沸点:300℃以上320℃以下)、n-ドデカノール(沸点:255℃以上259℃以下)、ジエチレングリコール(沸点:245℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点:247℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:255℃)、ジエチレングリコールモノアセテート(沸点:250℃)、トリエチレングリコール(沸点:276℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:249℃)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:256℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:271℃)、テトラエチレングリコール(沸点:327℃)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:304℃)、トリプロピレングリコール(沸点:267℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:243℃)、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(沸点:253℃)等が挙げられる。また、高沸点溶剤として石油系炭化水素類も使用でき、石油系炭化水素類としては、新日本石油社製のAFソルベント4号(沸点:240℃以上265℃以下)、5号(沸点:275℃以上306℃以下)、6号(沸点:296℃以上317℃以下)、7号(沸点:259℃以上282℃以下)、0号ソルベントH(沸点:245℃以上265℃以下)等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
 上記分散媒は、導電性ペーストが、集電配線の形成に適した粘度となるように適宜使用される。
<集電配線の体積抵抗率>
 本発明の導電性組成物によれば、体積抵抗率が、好ましくは5.0×10-2Ω・cm以下、より好ましくは5.0×10-3Ω・cm以下、更に好ましくは5.0×10-4Ω・cm以下、特に好ましくは1.0×10-4Ω・cm以下の、電気抵抗の低い集電配線(すなわち、導電性の集電配線)を形成可能である。集電配線の体積抵抗率が該上限以下であれば、電極の電気抵抗を十分に低減し、太陽電池の光電変換効率を十分に高めることができる。
 本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線の体積抵抗率は、特に限定されないが、例えば1.0×10-6Ω・cm以上であり、3.0×10-6Ω・cm以上でもよい。
 なお、集電配線の体積抵抗率は、実施例に記載の方法により算出できる。
<集電配線のサイズ>
 本発明の導電性組成物によれば、可とう性及び導電性が良好な、線幅が、通常10μm以上、好ましくは100μm以上、通常1cm以下、好ましくは5mm以下の集電配線を形成可能である。
 集電配線の厚みは、通常1μm以上、好ましくは3μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは15μm以下である。集電配線の厚みは、膜厚計又は段差計で測定できる。
<集電配線の可とう性>
 本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線は、上記したような細い線幅においても、優れた可とう性を示す。具体的には、後述の実施例に記載の<折り曲げ前後の体積抵抗率の測定及び可とう性の評価>に従って試験を行った場合、R1/R0が通常2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下となる集電配線を形成可能である。R1/R0の大きさが小さいほど、折り曲げによる集電配線の破断等が生じ難いと言え、集電配線の耐屈曲性が良好である、即ち、可とう性に優れていることを示す。
 本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線のR1/R0は、特に限定されないが、例えば0.01以上であり、0.1以上でもよい。
<集電配線の耐溶剤性>
 本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線は、優れた耐溶剤性、特に電解液に対する優れた耐溶剤性を示す。具体的には、後述の実施例に記載の<電解液浸漬前後の体積抵抗率の測定及び耐溶剤性の評価>に従って試験を行った場合、R2/R0が通常2.5以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下となる集電配線を形成可能である。R2/R0の大きさが小さいほど、溶剤による集電配線の剥離等が生じ難いと言え、集電配線が耐溶剤性に優れていることを示す。
 本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線のR2/R0は、特に限定されないが、例えば0.01以上であり、0.1以上でもよい。
 本発明の導電性組成物によれば、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できる。また、導電性組成物を導電性ペーストの形態で用いることで、例えば、スクリーン印刷方式により低コストで細い線幅の集電配線を形成可能である。かかる特徴を有することから、本発明の導電性組成物は、太陽電池の各種電子部品の高密度化に非常に有用である。中でも、本発明の導電性組成物は、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できることから、色素増感型太陽電池用電極及びペロブスカイト型太陽電池用電極に好適に用いることができる。
 そして、本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線は、線幅が細いため入射光を遮ることがなく、しかも、耐溶剤性及び可とう性に優れ、低電気抵抗であるため、色素増感型太陽電池用電極に特に好適に用いることができる。かかる電極を用いることで、内部抵抗が低く、光電変換効率に優れたフレキシブルな色素増感型太陽電池が得られる。
(太陽電池用電極)
 本発明の太陽電池用電極は、色素増感型太陽電池及びペロブスカイト型太陽電池等の太陽電池の電極(例えば、色素増感型太陽電池の場合には光電極及び/又は対向電極等)として用いられるものである。本発明の太陽電池用電極は、本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線を備える。上記の通り、本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線は、耐溶剤性及び可とう性に優れるため、この集電配線を備える本発明の太陽電池用電極は、色素増感型太陽電池及びペロブスカイト型太陽電池に用いることが好ましい。また、本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線は耐溶剤性に優れているため、電解液にアセトニトリル、γ-ブチロラクトン、3-メトキシプロピオンニトリル、及びトリエチレングリコールモノメチルエーテル等の非プロトン性極性溶媒を用いた場合や、これらの非プロトン性極性溶媒を用いて電極を製造する場合でも、溶剤による集電配線の劣化を抑制できる。
 なお、本明細書において、ペロブスカイト型太陽電池及びその電極としては、特開2015-185836号公報及び特開2015-119102号公報に開示されたもの等が挙げられる。
 本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線は、線幅が細いため入射光を遮ることがなく、しかも、耐溶剤性及び可とう性に優れ、低電気抵抗であるため、この集電配線を備える本発明の太陽電池用電極は、色素増感型太陽電池に用いることが特に好ましい。
 以下、本発明の太陽電池用電極を、色素増感型太陽電池用電極を例示して説明する。
 色素増感型太陽電池用電極は、可とう性を有するフレキシブル電極であり、特に限定されることなく、支持体と、導電層を介して支持体上に形成された集電配線と、電極を光電極として機能させるための多孔質半導体微粒子層及び増感色素層、又は、電極を対向電極として機能させるための触媒層と、を有している。そして、色素増感型太陽電池用電極は、集電配線が本発明の導電性組成物を用いて形成されているものである。
<支持体>
 支持体としては、特に限定されることなく、可とう性を有するフレキシブル基材を用いることができる。具体的に、支持体としては、フレキシブルガラス基材又は透明樹脂基材を用いることができ、特に透明樹脂基材を用いることが好ましい。透明樹脂基材の形成に用いる透明樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)等の合成樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
<導電層>
 導電層としては、インジウム-スズ酸化物(ITO)及びインジウム-亜鉛酸化物(IZO)等の複合金属酸化物、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)及びグラフェン等の炭素材料、或いは、金属箔等の金属材料等からなる既知の導電膜を用いることができる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
<集電配線>
 本発明の太陽電池用電極の集電配線は、上記した本発明の導電性組成物を用いて形成される。集電配線は本発明の導電性組成物を用いて形成されているため、耐溶剤性及び可とう性に優れている。従って、この集電配線を使用すれば、溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制された太陽電池用電極が得られる。
 なお、集電配線の配設形状は、例えば櫛型、格子状等の任意の形状とすることができる。
<多孔質半導体微粒子層>
 光電極に設けられる多孔質半導体微粒子層は、半導体微粒子を含有する多孔質状の層である。多孔質状の層であることで、増感色素の吸着量が増え、変換効率が高い色素増感型太陽電池が得られやすくなる。
 半導体微粒子としては、特に限定されることなく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物の粒子が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
 半導体微粒子の粒子径(一次粒子の平均粒子径)は、好ましくは2nm以上、より好ましくは2nm以上であり、好ましくは80nm以下、より好ましくは60nm以下である。粒子径が小さいことで、抵抗を低下させることができる。
<増感色素層>
 光電極に設けられる増感色素層は、光によって励起されて多孔質半導体微粒子層に電子を渡し得る化合物(増感色素)が、多孔質半導体微粒子層の表面に吸着されてなる層である。
 増感色素としては、特に限定されることなく、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、キサンテン色素、スクワリリウム色素、ポリメチン色素、クマリン色素、リボフラビン色素、ペリレン色素等の有機色素;鉄、銅、ルテニウム等の金属のフタロシアニン錯体及びポルフィリン錯体等の金属錯体色素;等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用できる。
<触媒層>
 対向電極に設けられる触媒層は、色素増感型太陽電池の電解質層における酸化還元反応を促進させるためのものである。そして、触媒層としては、特に限定されることなく、白金薄膜、並びに導電性ポリマー及び/又はCNT等の導電性カーボンを含む薄膜等を用いることができる。
 触媒層として、CNTを含む薄膜を用いる場合、CNTのBET比表面積は、未開口の状態で600m/g以上であることが好ましく、800m/g以上であることがより好ましく、2600m/g以下であることが好ましく、1200m/g以下であることがより好ましい。更に、CNTが主として開口したものにあっては、BET比表面積が1300m/g以上であることが好ましい。
 なお、カーボンナノチューブの「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
 カーボンナノチューブの製造方法としては、特に限定されることなく、二酸化炭素の接触水素還元による方法、アーク放電法、化学的気相成長法(CVD法)、レーザー蒸発法、気相成長法、気相流動法、及び、HiPCO法等が挙げられる。例えば、CNTは、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物及びキャリアガスを供給して、CVD法によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガス(例えば、アセチレンを50体積%以上含むガス)を用いることにより、効率的に製造できる。
<色素増感型太陽電池用電極の製造方法>
 上記した色素増感型太陽電池用電極の製造に用いられる色素増感型太陽電池用電極の製造方法は、本発明の導電性組成物を用いて集電配線を形成する工程(集電配線形成工程)を含む。そして、色素増感型太陽電池用電極の製造方法は、特に限定されることなく、支持体上に導電層を形成する導電層形成工程と、集電配線形成工程と、多孔質半導体微粒子層及び増感色素層を形成する機能層形成工程、或いは、触媒層を形成する触媒層形成工程と、を含む。
〔導電層形成工程〕
 導電層形成工程では、特に限定されることなく、スパッタリング法、真空蒸着法、ゾル・ゲル法等の既知の方法を用いて支持体等の表面上に導電層を形成できる。
〔集電配線形成工程〕
 集電配線形成工程では、本発明の導電性組成物を導電性ペーストの形態で用いて集電配線を形成するのが好ましい。当該導電性ペーストは、金属粒子と、有機バインダー樹脂と、分散媒とを少なくとも含み、任意に、添加剤等を更に含む。
 導電性組成物を用いた集電配線の形成は、特に限定されることなく、集電配線を形成する部材(支持体又は導電層等)に対して導電性組成物を所望のパターンで塗布し、塗布した導電性組成物を乾燥させることにより行うことができる。ここで、導電性組成物の塗布は、例えば、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法、スプレー法、グラビア印刷法等を用いて行うことができる。また、導電性ペーストの乾燥は、特に限定されることなく、熱風乾燥法、真空乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等を用いて行うことができる。
 なお、集電配線形成工程では、導電性組成物を乾燥して形成した集電配線に対し、任意に加熱硬化処理を施してもよい。
〔機能層形成工程〕
 機能層形成工程では、まず、プレス法、水熱分解法、泳動電着法、バインダーフリーコーティング法、ダイコート法、スクリーン印刷法等の公知の方法により多孔質半導体微粒子層を形成する。その後、例えば、増感色素の溶液中に多孔質半導体微粒子層を浸漬する方法、及び増感色素の溶液を多孔質半導体微粒子層上に塗布する方法等の公知の方法により、増感色素層を形成できる。
〔触媒層形成工程〕
 触媒層形成工程では、特に限定されることなく、スパッタリング法、真空蒸着法、ゾル・ゲル法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法、インクジェット法、噴霧法等の既知の方法を用いて触媒層を形成できる。
(太陽電池)
 本発明の太陽電池は、上記した本発明の太陽電池用電極を備えるものである。本発明の太陽電池用電極は、溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制されているため、この電極を備える本発明の太陽電池も電極の溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制されている。そのため、本発明の太陽電池は、色素増感型太陽電池又はペロブスカイト型太陽電池であることが好ましい。
 そして、本発明の太陽電池用電極が備える集電配線は、線幅が細いため入射光を遮ることがなく、しかも、耐溶剤性及び可とう性に優れ、低電気抵抗であるため、この太陽電池用電極を備える本発明の太陽電池は、色素増感型太陽電池であることが特に好ましい。
 以下、本発明の太陽電池を、色素増感型太陽電池を例示して説明する。
 色素増感型太陽電池は、光電極と、電解質層と、対向電極とを備え、光電極及び対向電極の少なくとも一方が、本発明の太陽電池用電極である。
 なお、光電極及び対向電極のうち、いずれか一方のみを本発明の太陽電池用電極とする場合には、他方の電極としては公知の光電極又は対向電極を用いることができる。
 以下、一例として、光電極及び対向電極の双方に本発明の太陽電池用電極を用いた色素増感型太陽電池について、図面を参照して説明する。
 図1及び図2に示す色素増感型太陽電池は、光電極10、電解質層20、対向電極30がこの順に並んでなる構造を有する。また、色素増感型太陽電池は、図1に示すように、光電極10と対向電極30とを接続する回路40を有している。なお、図1中、矢印は電子の動きを示している。
<光電極>
 図1に示すように、光電極10は、光電極基板10aと、その光電極基板10a上に形成された多孔質半導体微粒子層10bと、多孔質半導体微粒子層10bの表面に増感色素が吸着されて形成された増感色素層10cとを有する。また、光電極10は、図2に示すように、光電極基板10a上に形成された集電配線10fを有する。
 図1及び図2に示すように、光電極基板10aは、フレキシブル基材よりなる支持体10dと、支持体10dの一方の表面上に形成された導電層10eとを備えている。
 図1及び図2に示すように、導電層10eの表面(支持体10d側とは反対側の面)には、集電配線10fと、多孔質半導体微粒子層10bと、多孔質半導体微粒子層10bの表面に増感色素が吸着されて形成された増感色素層10cとが形成されている。なお、集電配線10fは、本発明の導電性組成物を用いて形成される。
<電解質層>
 図1及び図2に示すように、電解質層20は、通常、支持電解質、酸化還元対(酸化還元反応において可逆的に酸化体及び還元体の形で相互に変換しうる一対の化学種)、溶媒等を含有している。
 ここで、支持電解質としては、リチウムイオン、イミダゾリウムイオン、4級アンモニウムイオン等の陽イオンを含む塩が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 酸化還元対としては、酸化された増感色素を還元し得るものであればよく、塩素化合物-塩素、ヨウ素化合物-ヨウ素、臭素化合物-臭素、タリウムイオン(III)-タリウムイオン(I)、ルテニウムイオン(III)-ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)-銅イオン(I)、鉄イオン(III)-鉄イオン(II)、コバルトイオン(III)-コバルトイオン(II)、バナジウムイオン(III)-バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン-過マンガン酸イオン、フェリシアン化物-フェロシアン化物、キノン-ヒドロキノン、フマル酸-コハク酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 溶媒としては、非プロトン性極性溶媒を用いることができる。色素増感型太陽電池は、本発明の導電性組成物を用いて形成された集電配線を備えるため、電解質層が非プロトン性極性物質を含む場合に好適である。色素増感型太陽電池は、非プロトン性極性溶媒が、アセトニトリル、γ-ブチロラクトン、3-メトキシプロピオンニトリル、及びトリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である場合に特に好適である。
 電解質層20は、その構成成分を含有する溶液(電解液)を光電極10上に塗布したり、光電極10と対向電極30とを有するセルを作製し、その隙間に電解液を注入したりすることで形成できる。
<対向電極>
 図1に示すように、対向電極30は、支持体30aと、その支持体30a上に形成された導電層30cと、その導電層30c上に形成された触媒層30bとを有する。また、対向電極30は、図2に示すように、導電層30c上に形成された集電配線30dを有する。
 図1及び図2に示すように、導電層30cの表面(支持体30a側とは反対側の面)には、集電配線30dと、触媒層30bとが形成されている。なお、集電配線30cは、本発明の導電性組成物を用いて形成される。
 図1及び図2に示す色素増感型太陽電池においては、次のようなサイクルが繰り返されることで、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。すなわち、(i)増感色素が光を受けて励起されると、増感色素の電子が取り出される。(ii)この電子は、導電層10e及び集電配線10fを介して光電極10から出て、外部の回路40を通って対向電極30に移動し、導電層30c、集電配線30d及び触媒層30bを介して電解質層20に移動する。(iii)電解質層20に含まれる酸化還元対(還元剤)により、酸化状態の増感色素が還元され、増感色素が再生され、再び光を吸収できる状態に戻る。
 以上、色素増感型太陽電池及び色素増感型太陽電池用電極を一例として説明したが、本発明の太陽電池及び太陽電池用電極の構成は、色素増感型太陽電池及び色素増感型太陽電池用電極に限定されず、また、図1及び図2に示すもの限定されるものでもない。また、本発明の太陽電池は、太陽を光源とするものに限定されず、例えば屋内照明を光源とするものでもよい。
(太陽電池モジュール)
 本発明の太陽電池モジュールは、上記した本発明の太陽電池が直列及び/又は並列に接続されてなるものである。モジュール構造としては、Z型、W型、並列型、集電配線型、モノリシック型等の公知の構造がある。
 本発明の太陽電池は、電極の溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制されているため、この太陽電池が直列及び/又は並列に接続されてなる本発明の太陽電池モジュールも電極の溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇が良好に抑制されている。
 本発明の太陽電池モジュールは、例えば、本発明の太陽電池を平面状又は曲面上に配列し、各電池間に非導電性の隔壁を設けるとともに、各電池の光電極及び対向電極を導電性の部材を用いて電気的に接続することで得ることができる。
 太陽電池モジュールの製造に使用する太陽電池の数は特に限定されず、目的の電圧に応じて適宜決定できる。
 以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
 実施例及び比較例における各種の測定及び評価については、以下の方法に従って行った。
<BET比表面積の測定>
 CNTのBET比表面積は、JIS Z8830に準拠し、BET比表面積測定装置((株)マウンテック製、HM model-1210)を用いて測定した。
<体積抵抗率の測定>
 実施例及び比較例で作製した導電性ペーストをスクリーン印刷により支持体(厚み0.3mmの樹脂フィルム基材)上に塗布し、150℃で15分間加熱乾燥することで5本の集電配線(幅:1mm、厚み:10μm、長さ:60mm)を形成した。この5本の集電配線それぞれの両端間の抵抗値を34410Aデジタルマルチメーター(アジレント・テクノロジー社製)により測定し、集電配線の膜厚から体積抵抗率を算出し、その平均値を集電配線の体積抵抗率R0とした。
<折り曲げ前後の体積抵抗率の測定及び可とう性の評価>
 実施例及び比較例で作製した導電性ペーストをスクリーン印刷により支持体(厚み0.3mmの樹脂フィルム基材)上に塗布し、150℃で15分間加熱乾燥することで5本の集電配線(幅:1mm、厚み:10μm、長さ:60mm)を形成した。そして、集電配線形成部の中心をサンプル中心として各集電配線形成部の周囲を10mm×80mmにカットして5つのサンプルを得た(なお、集電配線はサンプルの長辺と平行である)。各サンプルについて、支持体側の中央部に直径2mmの金属円柱をサンプルの短辺と並行になるように固定し、この円柱に沿って、円柱の抱き角0°(サンプルが平面の状態)から、円柱の抱き角が180°(円柱を中心にしてサンプルを折り返した状態)となる範囲で、60回折り曲げ動作を行った。この折り曲げ後の集電配線の両端間の抵抗値と膜厚から算出される体積抵抗率の、5つのサンプルの平均値をR1とした。R1/R0で表される体積抵抗率変化の割合を算出した。そして、以下の基準で、集電配線の可とう性を評価した。R1/R0の値が小さいほど、折り曲げによる集電配線の破断等が生じ難く、集電配線及び当該集電配線を備える電極の耐屈曲性が良好である(即ち、可とう性に優れている)ことを示す。
 A:R1/R0が1.2以下
 B:R1/R0が1.2超1.5以下
 C:R1/R0が1.5超2.0以下
 D:R1/R0が2.0超
 E:集電配線が断線し、評価不能
<電解液浸漬前後の体積抵抗率の測定及び耐溶剤性の評価>
 まず、上記した折り曲げ前後の体積抵抗率の測定及び可とう性の評価と同様にして、5つのサンプルを得た。各サンプルを、このサンプルが十分に収まる遮光ガラス瓶に入れ、サンプル全体が浸かるまで電解液を充填し、ガラス瓶を密閉し、60℃の環境で168時間浸漬した。この電解液浸漬後の集電配線の両端間の抵抗値と膜厚から算出される体積抵抗率の、5つのサンプルの平均値をR2とした。R2/R0で表される体積抵抗率変化の割合を算出した。そして、以下の基準で、集電配線の耐溶剤性を評価した。R2/R0の値が小さいほど、電解液による集電配線の剥離等が生じ難く、集電配線及び当該集電配線を備える電極の電解液への耐性が良好である(即ち、耐溶剤性に優れている)ことを示す。
 A:R2/R0が1.5以下
 B:R2/R0が1.5超2.0以下
 C:R2/R0が2.0超2.5以下
 D:R2/R0が2.5超
<太陽電池の長期信頼性の評価>
 光源としては、150Wキセノンランプ光源にAM1.5Gフィルタを装着した擬似太陽光照射装置(PEC-L11型、ペクセル・テクノロジーズ社製)を用いた。光量は、1sun(AM1.5G、100mW/cm(JIS C8912のクラスA))に調整した。実施例及び比較例で作製した太陽電池をソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続し、以下の電流電圧特性の測定を行なった。
 まず、1sunの光照射下、バイアス電圧を0Vから0.8Vまで0.01V単位で変化させながら出力電流を測定した。出力電流の測定は、各電圧ステップにおいて、電圧を変化させた後、0.05秒後から0.15秒後までの値を積算することで行った。バイアス電圧を、逆方向に0.8Vから0Vまで変化させる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値を光電流とした。
 上記の電流電圧特性の測定結果より、光電変換効率(%)を算出した。この光電変換効率をη0とした。
 次いで、実施例及び比較例で作製した太陽電池をガスバリア性を有するアルミ袋に入れ、アルミ袋を密閉した。次いで、密閉したアルミ袋を恒温恒湿槽(60℃)に500時間放置した後、アルミ袋を開封し、太陽電池を取り出した。この太陽電池を用いて、上記と同様にして光電変換効率(%)を算出した。この光電変換効率をη1とした。η1/η0で表される光電変換効率の変化の割合を求めた。そして、以下の基準で、太陽電池の信頼性を評価した。η1/η0の値が大きいほど、太陽電池の光電変換効率の低下を抑制でき、この結果、長期信頼性に優れることを示す。
 A:η1/η0が0.95以上
 B:η1/η0が0.90以上0.95未満
 C:η1/η0が0.90未満
(実施例1)
<導電性ペーストの調製>
 金属粒子(銀粉(表1中では「Ag」)、平均一次粒子径1.4μm)1500部、熱可塑性樹脂(フェノキシ樹脂、商品名「PKHH」(Mn13000、水酸基価201mgKOH/g)、GabrielPhenoxies社製)45部、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂A、商品名「jER1003」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Mn1300、エポキシ当量720g/eq)、三菱化学社製)55部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート350部、及びエポキシ樹脂の理論当量分のイミダゾール系硬化剤とを混合し、3本ロールミルで混練し、導電性ペースト得た。
 当該導電性ペーストを用いて、体積抵抗率の測定、折り曲げ前後の体積抵抗率の測定及び可とう性の評価、並びに電解液浸漬前後の体積抵抗率の測定及び耐溶剤性の評価を行った。結果を表1に示す。
<色素増感型太陽電池用光電極の作製>
〔集電配線の形成〕
 インジウム-スズ酸化物(ITO)をスパッタ処理したポリエチレンナフタレートフィルム(ITO-PENフィルム、フィルム厚み200μm、ITO厚み200nm、シート抵抗15Ω/□)よりなる光電極基板上に、図3に示すパターンに従い、スクリーン印刷法により導電性ペーストを塗布し、150℃で15分間加熱乾燥して、互いに隣接する中心線の間隔が7mmである集電配線(幅:1mm、厚み8μm)と、電流取り出し部とを形成した。
 なお、図3において、符号1は光電極基板を示し、符号3は多孔質半導体層を示し、符号6は電流取り出し部を示し、符号9は集電配線を示している。
〔多孔質半導体層の作製〕
 バインダーフリーの酸化チタンペースト(商品名「PECC-AW1-01」、ペクセル・テクノロジーズ社製)を使用し、スクリーン印刷機で開口部(長さ:60mm、幅:5mm)に塗布し、イナートオーブン(ヤマト科学株式会社製)で150℃、15分間乾燥させ、多孔質半導体層(酸化チタン膜パターン)を短冊状(長さ:60mm、幅:5mm)に形成した。
〔増感色素の吸着〕
 増感色素としてルテニウム錯体(商品名「N719」、ソラロニクス社製)を用い、溶媒としてエタノールを用いて、増感色素溶液(濃度0.3mM)を準備した。この増感色素溶液(50cm各のバット)に多孔質半導体層を形成したITO-PENフィルムを入れ、40℃で2時間浸漬した。浸漬後、多孔質半導体層を形成したITO-PENフィルムを増感色素溶液から取り出してエタノール溶液で洗浄し、エタノール溶液で洗浄し、40℃で24時間、減圧下で乾燥して光電極(負極)を作製した。
<色素増感型太陽電池用対向電極の作製>
 500mLのポリビンに、単層CNT(日本ゼオン社製、製品名「SG101」;BET比表面積:1264m/g)2.0g、アセチレンブラック(デンカ社製、デンカブラック(登録商標)、「HS-100」、平均粒子径:48nm、BET比表面積:39m/g)2.0g、分散剤としてのスチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートの共重合体(製品名「ディスパロン(登録商標)AQ-380」(アセトニトリルに対して溶解性、重量平均分子量15000、エチレングリコール鎖の部分「(CH-CH-O))」のn=23)、楠本化成社製)の純分として5.0g(単層CNT100部当たり250部)、増粘剤としてのヒドロキシエチルセルロース(製品名「SP600」(アセトニトリルに対して非溶解性)、ダイセルファインケム社製)1.0g(単層CNT100部当たり50部)、及び純水400gを投入し、混合物を得た。
 次いで、得られた混合物を、ホモミキサーを用いて、6000rpmで、30分間、ポリビンを水浴で25℃に冷却しながら撹拌し、粗分散液を得た。
 次いで、得られた粗分散液を、湿式ジェットミル(製品名「ナノヴェイタ(登録商標)」、吉田機械興業社製)を用いて、25℃に冷却しながら、100MPaで10Pass処理をし、CNT水分散液を得た。
 上記の酸化チタンペーストをCNT水分散液に変え、色素溶液に浸漬する手順を除くこと以外は、光電極と同様の手順で電極作製を行い、ITO膜上にCNT層(触媒層)と集電配線等とを形成し、対向電極(正極)を得た。
<電解液の作製>
 ヨウ素0.05mol/L、ヨウ化リチウム0.1mol/L、t-ブチルピリジン0.5mol/L、及び1,2-ジメチル-3プロピルイミダゾリウムヨージド0.6mol/Lとなるように、これらを溶媒としてのアセトニトリルに溶解して、電解液を得た。
<色素増感型太陽電池の作製>
 対向電極の触媒層形成面を表とし、液状の光硬化型封止材をCNT膜パターンの外周部分に塗布した。更に、CNT層を形成した部分(CNT膜パターン)に電解液を所定量塗布し、自動貼り合せ装置を用いて、図4に示すように電流取り出し部の位置を反対にした。そして、同じ形状のCNT膜パターンと酸化チタン膜パターンとが対向するように重ね合わせ、減圧下でUV光の照射を行って、封止材を硬化させた。その後、貼り合わせ後の電流取り出し部に導電性銅箔テープを貼り、端子とした。そして、色素増感型太陽電池の信頼性を評価した。結果を表1に示す。
 なお、図4において、符号1は光電極基板(ポリエチレンナフタレートフィルム)を示し、符号2は透明導電膜(ITO膜)を示し、符号3は多孔質半導体層を示し、符号4は触媒層を示し、符号5は封止材を示し、符号6は電流取り出し部を示し、符号7は端子を示し、符号8は電解質層(電解液)を示す。
(実施例2~9、比較例1~3)
 導電性ペーストの調製時に、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び金属粒子の種類及び配合割合を表1に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例2の導電性ペーストを用いて形成された集電配線は、折り曲げにより破断し、体積抵抗率の測定ができなかったため、表1において、体積抵抗率R1及び「R1/R0」は「-」で示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1におけるエポキシ樹脂B~E及びCuは、それぞれ以下のものを意味する。
・エポキシ樹脂B:商品名「jER1001」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Mn=900、エポキシ当量=475g/eq)、三菱化学社製
・エポキシ樹脂C:商品名「jER1004」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Mn=1650、エポキシ当量=925g/eq)、三菱化学社製
・エポキシ樹脂D:商品名「jER828」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Mn=365、エポキシ当量=190g/eq)、三菱化学社製
・エポキシ樹脂E:商品名「jER1007」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Mn=2900、エポキシ当量=2000g/eq)、三菱化学社製
・Cu:銅紛、平均一次粒子径1.1μm
 表1より、熱硬化性樹脂の数平均分子量が500以上2500以下である、実施例1~9の導電性組成物は、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できることが分かる。
 また、表1より、実施例1~9の太陽電池は、光電変換効率の低下を抑制でき、この結果、長期信頼性に優れることが分かる。
 本発明によれば、耐溶剤性及び可とう性に優れる集電配線を形成できる、太陽電池用導電性組成物を提供できる。
 また、本発明によれば、溶剤への接触又は折り曲げによる電気抵抗値の上昇を良好に抑制できる、太陽電池用電極、太陽電池、及び太陽電池モジュールを提供できる。
1 光電極基板
2 透明導電膜
3 多孔質半導体層
4 触媒層
5 封止材
6 電流取り出し部
7 端子
8 電解質層
9 集電配線
10 光電極
30 対向電極
20 電解質層
10a 光電極基板
10b 多孔質半導体微粒子層
10c 増感色素層
10d 支持体
10e 導電層
10f 集電配線
30a 支持体
30b 触媒層
30c 導電層
30d 集電配線
40 回路
100 色素増感型太陽電池

Claims (10)

  1.  金属粒子と、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含有する有機バインダー樹脂と、を含む、太陽電池用導電性組成物であって、
     前記熱硬化性樹脂の数平均分子量が、500以上2500以下である、太陽電池用導電性組成物。
  2.  前記熱可塑性樹脂は、分子中に水酸基を含み、
     前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である、請求項1に記載の太陽電池用導電性組成物。
  3.  前記熱硬化性樹脂の含有量が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、50質量部以上である、請求項1又は2に記載の太陽電池用導電性組成物。
  4.  前記金属粒子が銀粒子である、請求項1~3のいずれかに記載の太陽電池用導電性組成物。
  5.  請求項1~4のいずれかに記載の太陽電池用導電性組成物を用いて形成された集電配線を備える、太陽電池用電極。
  6.  請求項5に記載の太陽電池用電極を備える、太陽電池。
  7.  色素増感型太陽電池又はペロブスカイト型太陽電池である、請求項6に記載の太陽電池。
  8.  非プロトン性極性溶媒を含む電解質層を備える、請求項6又は7に記載の太陽電池。
  9.  前記非プロトン性極性溶媒が、アセトニトリル、γ-ブチロラクトン、3-メトキシプロピオンニトリル、及びトリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の太陽電池。
  10.  請求項6~9のいずれかに記載の太陽電池が直列及び/又は並列に接続されてなる、太陽電池モジュール。
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