第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、前記化学式(1)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含むポリイミド前駆体である。ただし、前記化学式(1)は、2つのノルボルナン環(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)の5位または6位の一方の酸基がアミノ基と反応してアミド結合(−CONH−)を形成しており、一方がアミド結合を形成していない−COOX1で表される基、または−COOY1で表される基であることを示し、前記化学式(1)には、4つの構造異性体、すなわち(i)5位に−COOX1で表される基を、6位に−CONH−で表される基を有し、5’’位に−COOY1で表される基を、6’’位に−CONH−A1−で表される基を有するもの、(ii)6位に−COOX1で表される基を、5位に−CONH−で表される基を有し、5’’位に−COOY1で表される基を、6’’位に−CONH−A1−で表される基を有するもの、(iii)5位に−COOX1で表される基を、6位に−CONH−で表される基を有し、6’’位に−COOY1で表される基を、5’’位に−CONH−A1−で表される基を有するもの、(iv)6位に−COOX1で表される基を、5位に−CONH−で表される基を有し、6’’位に−COOY1で表される基を、5’’位に−CONH−A1−で表される基を有するもの全てが含まれる。換言すれば、本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等(テトラカルボン酸類等とは、テトラカルボン酸と、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等のテトラカルボン酸誘導体を表す)を含むテトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミンまたは脂肪族ジアミン、好ましくは芳香族ジアミンを含むジアミン成分から得られるポリイミド前駆体である。
前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等の、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、前記化学式(1)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以上であり、すなわち、前記化学式(1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位中に、合計で、好ましくは50モル%以上、より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、特に好ましくは63モル%以上含むことが好ましい。
前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、A1が前記化学式(2)で表されるものを与える芳香族ジアミン、それ以外の、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。
A1が前記化学式(2)の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は、芳香環を有し、芳香環を複数有する場合は芳香環同士をそれぞれ独立に、直接結合、アミド結合、またはエステル結合で連結したものである。芳香環同士の連結位置は特に限定されないが、アミノ基もしくは芳香環同士の連結基に対して4位で結合することで直線的な構造となり、得られるポリイミドが低線熱膨張になることがある。また、芳香環にメチル基やトリフルオロメチル基が置換されていてもよい。なお、置換位置は特に限定されない。
A1が前記化学式(2)の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、特に限定するものではないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’−ジアミノ−ビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−p−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)、4−アミノフェノキシ−4−ジアミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)エステル、p−フェニレンビス(p−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジカルボキシレート、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルビス(4−アミノベンゾエート)等が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。これらのうち、p−フェニレンジアミン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェノキシ−4−ジアミノベンゾエート、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)エステルが好ましく、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンがより好ましい。ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを使用することで、得られるポリイミドが高耐熱性と高透過率を両立する。これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。ある実施態様においては、ジアミン成分が4,4’−ジアミノベンズアニリドの1種のみであるものは除くことができる。ある実施態様においては、ジアミン成分が4,4’−ジアミノベンズアニリドと、A1が前記化学式(2)以外の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分(A1が前記化学式(2)の構造のものを与えるジアミン成分以外の、他のジアミン)との組み合わせであるものは除くことができる。なお、o−トリジンは危険性が高いことから好ましくない。
前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、A1が前記化学式(2)の構造のものを与えるジアミン成分以外の、他のジアミンを併用することができる。他のジアミン成分としては、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。他のジアミン成分として、例えば、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、p−メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−プロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−sec−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−tert−ブチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノシクロへキサン等やこれらの誘導体が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、A1が前記化学式(2)で表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位を少なくとも1種含むことが好ましい。換言すれば、前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分が、A1が前記化学式(2)の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分を含むことが好ましい。前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分が前記化学式(2)の構造のものを与えるジアミン成分であることで、得られるポリイミドの耐熱性が向上する。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分100モル%中、前記化学式(2)の構造を与えるジアミン成分の割合が、合計で、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。換言すれば、A1が前記化学式(2)の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位1種以上の割合が、合計で、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。前記化学式(2)の構造を与えるジアミン成分の割合が、50モル%より小さい場合、得られるポリイミドの線熱膨張係数が大きくなることがある。ある実施態様においては、得られるポリイミドの機械的特性の点から、前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分100モル%中、前記化学式(2)の構造を与えるジアミン成分の割合が、合計で、好ましくは80モル%以下、より好ましくは90モル%以下または90モル%未満であることが好ましいことがある。例えば、4,4’−オキシジアニリン等の他の芳香族または脂肪族ジアミン類を、前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分100モル%中、好ましくは20モル%未満、より好ましくは10モル%以下、より好ましくは10モル%未満で使用することができる。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、A1が前記化学式(2)で表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位を少なくとも2種含むことが好ましい。換言すれば、前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分が、A1が前記化学式(2)の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分を少なくとも2種含むことが好ましい。前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分が前記化学式(2)の構造のものを与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含むことで、得られるポリイミドの高透明性と低線熱膨張性のバランスが取れる(すなわち、透明性が高く、且つ、低線熱膨張係数であるポリイミドが得られる)。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、
(i)A1が、m1および/またはn1が1〜3であり、Z1および/またはW1が、それぞれ独立に、−NHCO−、−CONH−、−COO−、または−OCO−のいずれかである前記化学式(2)の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位(1−1)を少なくとも1種含み、
(ii)A1が、m1およびn1が0である前記化学式(2)の構造であるか、または、m1および/またはn1が1〜3であり、Z1およびW1が直接結合である前記化学式(2)の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位(1−2)を少なくとも1種含むことがより好ましい。
前記繰り返し単位(1−1)としては、A1が下記化学式(D−1)〜(D−3)のいずれかで表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位が好ましく、A1が下記化学式(D−1)〜(D−2)のいずれかで表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位がより好ましい。なお、A1が下記化学式(D−1)または下記化学式(D−2)で表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は4,4’−ジアミノベンズアニリドであり、A1が下記化学式(D−3)で表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はビス(4−アミノフェニル)テレフタレートであり、これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
前記繰り返し単位(1−2)としては、A
1が下記化学式(D−4)〜(D−6)のいずれかで表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位が好ましく、A
1が下記化学式(D−4)〜(D−5)のいずれかで表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位がより好ましい。なお、A
1が下記化学式(D−4)で表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はp−フェニレンジアミンであり、A
1が下記化学式(D−5)で表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンであり、A
1が下記化学式(D−6)で表されるものである前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はm−トリジンであり、これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)において、前記繰り返し単位(1−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、30モル%以上70モル%以下であり、前記繰り返し単位(1−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、30モル%以上70モル%以下であることが好ましく、前記繰り返し単位(1−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、40モル%以上60モル%以下であり、前記繰り返し単位(1−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、40モル%以上60モル%以下であることが特に好ましい。ある実施態様においては、前記繰り返し単位(1−1)の割合が、合計で、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、60モル%未満であることがより好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、40モル%以下であることが特に好ましい。また、ある実施態様においては、前記繰り返し単位(1−1)及び前記繰り返し単位(1−2)以外の、他の前記化学式(1)で表される繰り返し単位(例えば、A
1が複数の芳香環を有し、芳香環同士がエーテル結合(−O−)で連結されているもの)を、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、好ましくは20モル%未満、より好ましくは10モル%以下、特に好ましくは10モル%未満で含むことが好ましいことがある。さらに、ある実施態様においては、前記繰り返し単位(1−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、20モル%以上80モル%以下であり、前記繰り返し単位(1−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(1)で表される全繰り返し単位中、20モル%以上80モル%以下であることが好ましいこともある。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分(前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)が前記化学式(2)の構造を与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含み、そのうちの1種が4,4’−ジアミノベンズアニリドであることが好ましい。前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分が前記化学式(2)の構造を与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含み、そのうちの1種が4,4’−ジアミノベンズアニリドであることで、高透明性と低線熱膨張性に加え、高い耐熱性も兼ね備えたポリイミドが得られる。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分(前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)が2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン及びp−フェニレンジアミンから選択される少なくとも1種類と、4,4’−ジアミノベンズアニリドを含むことが特に好ましい。これらのジアミン成分を組み合わせることで、高い透明性と低線熱膨張性、耐熱性を兼ね備えたポリイミドが得られる。
前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分(前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、好ましくは4,4’−ジアミノベンズアニリドを30モル%以上、70モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で30モル%以上、70モル%以下で含むことが好ましく、特に好ましくは4,4’−ジアミノベンズアニリドを40モル%以上、60モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で40モル%以上、60モル%以下で含むことがより好ましい。前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分として、4,4’−ジアミノベンズアニリドを30モル%以上、70モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で30モル%以上、70モル%以下で含むことにより、高い透明性と低線熱膨張性、耐熱性を兼ね備えたポリイミドが得られる。ある実施態様においては、前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分(前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、4,4’−ジアミノベンズアニリドを60モル%未満で含むことがより好ましく、50モル%以下で含むことがより好ましく、40モル%以下で含むことが特に好ましい。さらに、ある実施態様においては、前記化学式(1)中のA1を与えるジアミン成分(前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、4,4’−ジアミノベンズアニリドを20モル%以上、80モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で20モル%以上、80モル%以下で含むことも好ましいことがある。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)は、前記化学式(1)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を含むことができる。他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、他の芳香族または脂肪族テトラカルボン酸類を使用することができる。例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、m−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド、スルホニルジフタル酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−オキシビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−チオビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−スルホニルビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(テトラフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、オクタヒドロペンタレン−1,3,4,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、6−(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5−トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ−7−エン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、9−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2c,3c,6c,7c−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2t,3t,6c,7c−テトラカルボン酸等の誘導体や、これらの酸二無水物が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。これらのうちでは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2c,3c,6c,7c−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2t,3t,6c,7c−テトラカルボン酸等の誘導体や、これらの酸二無水物が、ポリイミドの製造が容易であり、得られるポリイミドの耐熱性に優れることからより好ましい。これらの酸二無水物は、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
また、他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分として、trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等以外の、他のノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等(例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物)の5種類の立体異性体、例えば、cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等を使用することもできる。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)において、前記化学式(1)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分は、前記化学式(2)の構造を与えるジアミン成分であってもよい。換言すれば、前記化学式(1)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分として、A1が前記化学式(2)の構造である前記化学式(1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分として例示した芳香族ジアミンを使用することができる。これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)において、前記化学式(1)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。例えば、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、p−メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−プロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−sec−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−tert−ブチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノシクロへキサン等やこれらの誘導体が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、前記化学式(3)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含むポリイミド前駆体である。ただし、前記化学式(3)は、2つのノルボルナン環(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)の5位または6位の一方の酸基がアミノ基と反応してアミド結合(−CONH−)を形成しており、一方がアミド結合を形成していない−COOX2で表される基、または−COOY2で表される基であることを示し、前記化学式(3)には、4つの構造異性体、すなわち(i)5位に−COOX2で表される基を、6位に−CONH−で表される基を有し、5’’位に−COOY2で表される基を、6’’位に−CONH−A2−で表される基を有するもの、(ii)6位に−COOX2で表される基を、5位に−CONH−で表される基を有し、5’’位に−COOY2で表される基を、6’’位に−CONH−A2−で表される基を有するもの、(iii)5位に−COOX2で表される基を、6位に−CONH−で表される基を有し、6’’位に−COOY2で表される基を、5’’位に−CONH−A2−で表される基を有するもの、(iv)6位に−COOX2で表される基を、5位に−CONH−で表される基を有し、6’’位に−COOY2で表される基を、5’’位に−CONH−A2−で表される基を有するもの全てが含まれる。換言すれば、本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等を含むテトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミンまたは脂肪族ジアミン、好ましくは芳香族ジアミンを含むジアミン成分から得られるポリイミド前駆体である。
前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等の、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、前記化学式(3)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、30モル%以上であり、すなわち、前記化学式(3)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位中に、合計で、好ましくは30モル%以上、より好ましくは32モル%以上、さらに好ましくは35モル%以上、特に好ましくは37モル%以上含むことが好ましい。
前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、A2が前記化学式(4)で表されるものを与える芳香族ジアミン、それ以外の、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。
A2が前記化学式(4)の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は、芳香環を有し、芳香環を複数有する場合は芳香環同士をそれぞれ独立に、直接結合、アミド結合、またはエステル結合で連結したものである。芳香環同士の連結位置は特に限定されないが、アミノ基もしくは芳香環同士の連結基に対して4位で結合することで直線的な構造となり、得られるポリイミドが低線熱膨張になることがある。また、芳香環にメチル基やトリフルオロメチル基が置換されていてもよい。なお、置換位置は特に限定されない。
A2が前記化学式(4)の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、特に限定するものではないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’−ジアミノ−ビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−p−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)、4−アミノフェノキシ−4−ジアミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)エステル、p−フェニレンビス(p−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジカルボキシレート、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルビス(4−アミノベンゾエート)等が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。これらのうち、p−フェニレンジアミン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェノキシ−4−ジアミノベンゾエート、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)エステルが好ましく、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンがより好ましい。ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを使用することで、得られるポリイミドが高耐熱性と高透過率を両立する。これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。ある実施態様においては、ジアミン成分が4,4’−ジアミノベンズアニリドの1種のみであるものは除くことができる。ある実施態様においては、ジアミン成分が4,4’−ジアミノベンズアニリドと、A2が前記化学式(4)以外の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分(A2が前記化学式(4)の構造のものを与えるジアミン成分以外の、他のジアミン)との組み合わせであるものは除くことができる。なお、o−トリジンは危険性が高いことから好ましくない。
前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、A2が前記化学式(4)の構造のものを与えるジアミン成分以外の、他のジアミンを併用することができる。他のジアミン成分としては、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。他のジアミン成分として、例えば、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、p−メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−プロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−sec−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−tert−ブチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノシクロへキサン等やこれらの誘導体が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、A2が前記化学式(4)で表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位を少なくとも1種含むことが好ましい。換言すれば、前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分が、A2が前記化学式(4)の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分を含むことが好ましい。前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分が前記化学式(4)の構造のものを与えるジアミン成分であることで、得られるポリイミドの耐熱性が向上する。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分100モル%中、前記化学式(4)の構造を与えるジアミン成分の割合が、合計で、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。換言すれば、A2が前記化学式(4)の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位1種以上の割合が、合計で、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。前記化学式(4)の構造を与えるジアミン成分の割合が、50モル%より小さい場合、得られるポリイミドの線熱膨張係数が大きくなることがある。ある実施態様においては、得られるポリイミドの機械的特性の点から、前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分100モル%中、前記化学式(4)の構造を与えるジアミン成分の割合が、合計で、好ましくは80モル%以下、より好ましくは90モル%以下または90モル%未満であることが好ましいことがある。例えば、4,4’−オキシジアニリン等の他の芳香族または脂肪族ジアミン類を、前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分100モル%中、好ましくは20モル%未満、より好ましくは10モル%以下、より好ましくは10モル%未満で使用することができる。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、A2が前記化学式(4)で表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位を少なくとも2種含むことが好ましい。換言すれば、前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分が、A2が前記化学式(4)の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分を少なくとも2種含むことが好ましい。前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分が前記化学式(4)の構造のものを与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含むことで、得られるポリイミドの高透明性と低線熱膨張性のバランスが取れる(すなわち、透明性が高く、且つ、低線熱膨張係数であるポリイミドが得られる)。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、
(i)A2が、m2および/またはn2が1〜3であり、Z2および/またはW2が、それぞれ独立に、−NHCO−、−CONH−、−COO−、または−OCO−のいずれかである前記化学式(4)の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位(3−1)を少なくとも1種含み、
(ii)A2が、m2およびn2が0である前記化学式(4)の構造であるか、または、m2および/またはn2が1〜3であり、Z2およびW2が直接結合である前記化学式(4)の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位(3−2)を少なくとも1種含むことがより好ましい。
前記繰り返し単位(3−1)としては、A2が前記化学式(D−1)〜(D−3)のいずれかで表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位が好ましく、A2が前記化学式(D−1)〜(D−2)のいずれかで表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位がより好ましい。なお、A2が前記化学式(D−1)または前記化学式(D−2)で表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は4,4’−ジアミノベンズアニリドであり、A2が前記化学式(D−3)で表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はビス(4−アミノフェニル)テレフタレートであり、これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
前記繰り返し単位(3−2)としては、A2が前記化学式(D−4)〜(D−6)のいずれかで表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位が好ましく、A2が前記化学式(D−4)〜(D−5)のいずれかで表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位がより好ましい。なお、A2が前記化学式(D−4)で表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はp−フェニレンジアミンであり、A2が前記化学式(D−5)で表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンであり、A2が前記化学式(D−6)で表されるものである前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はm−トリジンであり、これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)において、前記繰り返し単位(3−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、30モル%以上70モル%以下であり、前記繰り返し単位(3−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、30モル%以上70モル%以下であることが好ましく、前記繰り返し単位(3−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、40モル%以上60モル%以下であり、前記繰り返し単位(3−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、40モル%以上60モル%以下であることが特に好ましい。ある実施態様においては、前記繰り返し単位(3−1)の割合が、合計で、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、60モル%未満であることがより好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、40モル%以下であることが特に好ましい。また、ある実施態様においては、前記繰り返し単位(3−1)及び前記繰り返し単位(3−2)以外の、他の前記化学式(3)で表される繰り返し単位(例えば、A2が複数の芳香環を有し、芳香環同士がエーテル結合(−O−)で連結されているもの)を、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、好ましくは20モル%未満、より好ましくは10モル%以下、特に好ましくは10モル%未満で含むことが好ましいことがある。さらに、ある実施態様においては、前記繰り返し単位(3−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、20モル%以上80モル%以下であり、前記繰り返し単位(3−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(3)で表される全繰り返し単位中、20モル%以上80モル%以下であることが好ましいこともある。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分(前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)が前記化学式(4)の構造を与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含み、そのうちの1種が4,4’−ジアミノベンズアニリドであることが好ましい。前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分が前記化学式(4)の構造を与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含み、そのうちの1種が4,4’−ジアミノベンズアニリドであることで、高透明性と低線熱膨張性に加え、高い耐熱性も兼ね備えたポリイミドが得られる。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分(前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)が2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン及びp−フェニレンジアミンから選択される少なくとも1種類と、4,4’−ジアミノベンズアニリドを含むことが特に好ましい。これらのジアミン成分を組み合わせることで、高い透明性と低線熱膨張性、耐熱性を兼ね備えたポリイミドが得られる。
前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分(前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、好ましくは4,4’−ジアミノベンズアニリドを30モル%以上、70モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で30モル%以上、70モル%以下で含むことが好ましく、特に好ましくは4,4’−ジアミノベンズアニリドを40モル%以上、60モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で40モル%以上、60モル%以下で含むことがより好ましい。前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分として、4,4’−ジアミノベンズアニリドを30モル%以上、70モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で30モル%以上、70モル%以下で含むことにより、高い透明性と低線熱膨張性、耐熱性を兼ね備えたポリイミドが得られる。ある実施態様においては、前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分(前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、4,4’−ジアミノベンズアニリドを60モル%未満で含むことがより好ましく、50モル%以下で含むことがより好ましく、40モル%以下で含むことが特に好ましい。さらに、ある実施態様においては、前記化学式(3)中のA2を与えるジアミン成分(前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、4,4’−ジアミノベンズアニリドを20モル%以上、80モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で20モル%以上、80モル%以下で含むことも好ましいことがある。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)は、前記化学式(3)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を含むことができる。他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、他の芳香族または脂肪族テトラカルボン酸類を使用することができる。例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、m−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド、スルホニルジフタル酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−オキシビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−チオビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−スルホニルビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(テトラフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、オクタヒドロペンタレン−1,3,4,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、6−(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5−トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ−7−エン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、9−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2c,3c,6c,7c−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2t,3t,6c,7c−テトラカルボン酸等の誘導体や、これらの酸二無水物が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。これらのうちでは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2c,3c,6c,7c−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2t,3t,6c,7c−テトラカルボン酸等の誘導体や、これらの酸二無水物が、ポリイミドの製造が容易であり、得られるポリイミドの耐熱性に優れることからより好ましい。これらの酸二無水物は、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
また、他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分として、cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等以外の、他のノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等(例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物)の5種類の立体異性体、例えば、trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等を使用することもできる。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)において、前記化学式(3)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分は、前記化学式(4)の構造を与えるジアミン成分であってもよい。換言すれば、前記化学式(3)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分として、A2が前記化学式(4)の構造である前記化学式(3)の繰り返し単位を与えるジアミン成分として例示した芳香族ジアミンを使用することができる。これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)において、前記化学式(3)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。例えば、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、p−メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−プロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−sec−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−tert−ブチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノシクロへキサン等やこれらの誘導体が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含むポリイミド前駆体である。ただし、前記化学式(5)は、2つのノルボルナン環(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)の5位または6位の一方の酸基がアミノ基と反応してアミド結合(−CONH−)を形成しており、一方がアミド結合を形成していない−COOX3で表される基、または−COOY3で表される基であることを示し、前記化学式(5)には、4つの構造異性体、すなわち(i)5位に−COOX3で表される基を、6位に−CONH−で表される基を有し、5’’位に−COOY3で表される基を、6’’位に−CONH−A3−で表される基を有するもの、(ii)6位に−COOX3で表される基を、5位に−CONH−で表される基を有し、5’’位に−COOY3で表される基を、6’’位に−CONH−A3−で表される基を有するもの、(iii)5位に−COOX3で表される基を、6位に−CONH−で表される基を有し、6’’位に−COOY3で表される基を、5’’位に−CONH−A3−で表される基を有するもの、(iv)6位に−COOX3で表される基を、5位に−CONH−で表される基を有し、6’’位に−COOY3で表される基を、5’’位に−CONH−A3−で表される基を有するもの全てが含まれる。前記化学式(6)は、2つのノルボルナン環(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)の5位または6位の一方の酸基がアミノ基と反応してアミド結合(−CONH−)を形成しており、一方がアミド結合を形成していない−COOX4で表される基、または−COOY4で表される基であることを示し、前記化学式(6)には、4つの構造異性体、すなわち(i)5位に−COOX4で表される基を、6位に−CONH−で表される基を有し、5’’位に−COOY4で表される基を、6’’位に−CONH−A3−で表される基を有するもの、(ii)6位に−COOX4で表される基を、5位に−CONH−で表される基を有し、5’’位に−COOY4で表される基を、6’’位に−CONH−A3−で表される基を有するもの、(iii)5位に−COOX4で表される基を、6位に−CONH−で表される基を有し、6’’位に−COOY4で表される基を、5’’位に−CONH−A3−で表される基を有するもの、(iv)6位に−COOX4で表される基を、5位に−CONH−で表される基を有し、6’’位に−COOY4で表される基を、5’’位に−CONH−A3−で表される基を有するもの全てが含まれる。換言すれば、本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等の少なくも1種および/またはcis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等の少なくも1種を含むテトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミンまたは脂肪族ジアミン、好ましくは芳香族ジアミンを含むジアミン成分から得られるポリイミド前駆体である。
前記化学式(5)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等の、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用することもできる。前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等の、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用することもできる。なお、第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)においては、前記化学式(5)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分(trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等)の1種以上のみを使用してもよく、前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分(cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等)の1種以上のみを使用してもよく、前記化学式(5)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分(trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等)の1種以上と、前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分(cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等)の1種以上の両方を使用してもよい。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、80モル%以上であり、すなわち、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含み、その繰り返し単位を全繰り返し単位中に、合計で、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは99モル%以上含むことが好ましい。前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含み、その繰り返し単位を全繰り返し単位中に、合計で、好ましくは80モル%以上含むことで、得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなる。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、前記化学式(5)で表される繰り返し単位の1種以上及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位の1種以上を含むことが好ましく、前記化学式(5)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位中、合計で、好ましくは50モル%以上含み、且つ、前記化学式(6)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位中、合計で、好ましくは30モル%以上含むことが好ましい。換言すれば、前記化学式(5)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以上であり、且つ、前記化学式(6)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、30モル%以上であることが好ましい。前記化学式(5)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位中50モル%以上含み、且つ、前記化学式(6)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位中30モル%以上含むことで、得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなる。
前記化学式(5)の繰り返し単位を与えるジアミン成分、前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、A3が前記化学式(7)で表されるものを与える芳香族ジアミン、それ以外の、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。
A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は、芳香環を有し、芳香環を複数有する場合は芳香環同士をそれぞれ独立に、直接結合、アミド結合、またはエステル結合で連結したものである。芳香環同士の連結位置は特に限定されないが、アミノ基もしくは芳香環同士の連結基に対して4位で結合することで直線的な構造となり、得られるポリイミドが低線熱膨張になることがある。また、芳香環にメチル基やトリフルオロメチル基が置換されていてもよい。なお、置換位置は特に限定されない。
A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、特に限定するものではないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’−ジアミノ−ビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−p−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)、4−アミノフェノキシ−4−ジアミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)エステル、p−フェニレンビス(p−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジカルボキシレート、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルビス(4−アミノベンゾエート)等が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。これらのうち、p−フェニレンジアミン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェノキシ−4−ジアミノベンゾエート、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)エステルが好ましく、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンがより好ましい。ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを使用することで、得られるポリイミドが高耐熱性と高透過率を両立する。これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。ある実施態様においては、ジアミン成分が4,4’−ジアミノベンズアニリドの1種のみであるものは除くことができる。ある実施態様においては、ジアミン成分が4,4’−ジアミノベンズアニリドと、A3が前記化学式(7)以外の構造である前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分(A3が前記化学式(7)の構造のものを与えるジアミン成分以外の、他のジアミン)との組み合わせであるものは除くことができる。なお、o−トリジンは危険性が高いことから好ましくない。
前記化学式(5)の繰り返し単位及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、A3が前記化学式(7)の構造のものを与えるジアミン成分以外の、他のジアミンを併用することができる。他のジアミン成分としては、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。他のジアミン成分として、例えば、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、p−メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−プロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−sec−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−tert−ブチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノシクロへキサン等やこれらの誘導体が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、A3が前記化学式(7)で表されるものである前記化学式(5)の繰り返し単位を少なくとも1種、および/または、A3が前記化学式(7)で表されるものである前記化学式(6)の繰り返し単位を少なくとも1種含むことが好ましい。換言すれば、前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分が、A3が前記化学式(7)の構造のものを与えるジアミン成分を含むことが好ましい。前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分が前記化学式(7)の構造のものを与えるジアミン成分であることで、得られるポリイミドの耐熱性が向上する。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分100モル%中、前記化学式(7)の構造を与えるジアミン成分の割合が、合計で、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。換言すれば、A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位の1種以上の割合が、合計で、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。前記化学式(7)の構造を与えるジアミン成分の割合が、50モル%より小さい場合、得られるポリイミドの線熱膨張係数が大きくなることがある。ある実施態様においては、得られるポリイミドの機械的特性の点から、前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分100モル%中、前記化学式(7)の構造を与えるジアミン成分の割合が、合計で、好ましくは80モル%以下、より好ましくは90モル%以下または90モル%未満であることが好ましいことがある。例えば、4,4’−オキシジアニリン等の他の芳香族または脂肪族ジアミン類を、前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分100モル%中、好ましくは20モル%未満、より好ましくは10モル%以下、より好ましくは10モル%未満で使用することができる。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、A3が前記化学式(7)で表されるものである前記化学式(5)または前記化学式(6)の繰り返し単位を少なくとも2種含むことが好ましい。換言すれば、前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分が、A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分を少なくとも2種含むことが好ましい。前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分が前記化学式(7)の構造のものを与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含むことで、得られるポリイミドの高透明性と低線熱膨張性のバランスが取れる(すなわち、透明性が高く、且つ、低線熱膨張係数であるポリイミドが得られる)。なお、第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)の繰り返し単位を少なくとも2種含むものであってもよく、また、A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(6)の繰り返し単位を少なくとも2種含むものであってもよく、また、A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)の繰り返し単位を少なくとも1種と、A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(6)の繰り返し単位を少なくとも1種含むものであってもよい。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、
(i)A3が、m3および/またはn3が1〜3であり、Z3および/またはW3が、それぞれ独立に、−NHCO−、−CONH−、−COO−、または−OCO−のいずれかである前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位(5−1)を少なくとも1種含み、
(ii)A3が、m3およびn3が0である前記化学式(7)の構造であるか、または、m3および/またはn3が1〜3であり、Z3およびW3が直接結合である前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位(5−2)を少なくとも1種含むことがより好ましい。
前記繰り返し単位(5−1)としては、A3が前記化学式(D−1)〜(D−3)のいずれかで表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位が好ましく、A3が前記化学式(D−1)〜(D−2)のいずれかで表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位がより好ましい。なお、A3が前記化学式(D−1)または前記化学式(D−2)で表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は4,4’−ジアミノベンズアニリドであり、A3が前記化学式(D−3)で表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はビス(4−アミノフェニル)テレフタレートであり、これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
前記繰り返し単位(5−2)としては、A3が前記化学式(D−4)〜(D−6)のいずれかで表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位が好ましく、A3が前記化学式(D−4)〜(D−5)のいずれかで表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位がより好ましい。なお、A3が前記化学式(D−4)で表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はp−フェニレンジアミンであり、A3が前記化学式(D−5)で表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンであり、A3が前記化学式(D−6)で表されるものである前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はm−トリジンであり、これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)において、前記繰り返し単位(5−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、30モル%以上70モル%以下であり、前記繰り返し単位(5−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、30モル%以上70モル%以下であることが好ましく、前記繰り返し単位(5−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、40モル%以上60モル%以下であり、前記繰り返し単位(5−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、40モル%以上60モル%以下であることが特に好ましい。ある実施態様においては、前記繰り返し単位(5−1)の割合が、合計で、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、60モル%未満であることがより好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、40モル%以下であることが特に好ましい。また、ある実施態様においては、前記繰り返し単位(5−1)及び前記繰り返し単位(5−2)以外の、他の前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位(例えば、A3が複数の芳香環を有し、芳香環同士がエーテル結合(−O−)で連結されているもの)を、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、好ましくは20モル%未満、より好ましくは10モル%以下、特に好ましくは10モル%未満で含むことが好ましいことがある。さらに、ある実施態様においては、前記繰り返し単位(5−1)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、20モル%以上80モル%以下であり、前記繰り返し単位(5−2)1種以上の割合が、合計で、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される全繰り返し単位中、20モル%以上80モル%以下であることが好ましいこともある。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分(前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)が前記化学式(7)の構造を与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含み、そのうちの1種が4,4’−ジアミノベンズアニリドであることが好ましい。前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分が前記化学式(7)の構造を与えるジアミン成分の少なくとも2種類を含み、そのうちの1種が4,4’−ジアミノベンズアニリドであることで、高透明性と低線熱膨張性に加え、高い耐熱性も兼ね備えたポリイミドが得られる。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分(前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)が2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン及びp−フェニレンジアミンから選択される少なくとも1種類と、4,4’−ジアミノベンズアニリドを含むことが特に好ましい。これらのジアミン成分を組み合わせることで、高い透明性と低線熱膨張性、耐熱性を兼ね備えたポリイミドが得られる。
前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分(前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、好ましくは4,4’−ジアミノベンズアニリドを30モル%以上、70モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で30モル%以上、70モル%以下で含むことが好ましく、特に好ましくは4,4’−ジアミノベンズアニリドを40モル%以上、60モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で40モル%以上、60モル%以下で含むことがより好ましい。前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分として、4,4’−ジアミノベンズアニリドを30モル%以上、70モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で30モル%以上、70モル%以下で含むことにより、高い透明性と低線熱膨張性、耐熱性を兼ね備えたポリイミドが得られる。ある実施態様においては、前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分(前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、4,4’−ジアミノベンズアニリドを60モル%未満で含むことがより好ましく、50モル%以下で含むことがより好ましく、40モル%以下で含むことが特に好ましい。さらに、ある実施態様においては、前記化学式(5)及び前記化学式(6)中のA3を与えるジアミン成分(前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分)としては、4,4’−ジアミノベンズアニリドを20モル%以上、80モル%以下で含み、且つ、p−フェニレンジアミンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンのどちらか一方、又は両方で20モル%以上、80モル%以下で含むことも好ましいことがある。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)は、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を含むことができる。他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、他の芳香族または脂肪族テトラカルボン酸類を使用することができる。例えば、例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、m−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド、スルホニルジフタル酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−オキシビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−チオビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−スルホニルビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(テトラフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、オクタヒドロペンタレン−1,3,4,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、6−(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5−トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ−7−エン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、9−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2c,3c,6c,7c−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2t,3t,6c,7c−テトラカルボン酸等の誘導体や、これらの酸二無水物が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。これらのうちでは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2c,3c,6c,7c−テトラカルボン酸、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2t,3t,6c,7c−テトラカルボン酸等の誘導体や、これらの酸二無水物が、ポリイミドの製造が容易であり、得られるポリイミドの耐熱性に優れることからより好ましい。これらの酸二無水物は、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
また、他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分として、cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等、及びtrans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等以外の、他のノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等(例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物)の4種類の立体異性体を使用することもできる。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)において、前記化学式(5)で表される繰り返し単位、及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分は、前記化学式(7)の構造を与えるジアミン成分であってもよい。換言すれば、前記化学式(5)及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分として、A3が前記化学式(7)の構造である前記化学式(5)及び前記化学式(6)の繰り返し単位を与えるジアミン成分として例示した芳香族ジアミンを使用することができる。これらのジアミンは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)において、前記化学式(5)で表される繰り返し単位、及び前記化学式(6)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。例えば、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、p−メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−プロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−sec−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−tert−ブチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノシクロへキサン等やこれらの誘導体が挙げられ、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
本発明で用いるテトラカルボン酸成分は、特に限定されないが、純度(複数の構造異性体を含む場合は、それらを区別せず同一成分と見なした場合の純度であり、複数種のテトラカルボン酸成分を用いる場合には、最も純度の高いテトラカルボン酸成分の値、もしくは用いるすべてのテトラカルボン酸成分の純度を個別に求め、用いる質量比で重みをつけた純度の平均値、例えば、純度100%のテトラカルボン酸成分を70質量部、純度90%のテトラカルボン酸成分を30質量部使用したとき、使用されるテトラカルボン酸成分の純度は、97%と計算される。)が99%以上、好ましくは99.5%以上であることが好ましい。純度が98%未満の場合、ポリイミド前駆体の分子量が十分にあがらず、得られるポリイミドの耐熱性が劣ることがある。純度は、ガスクロマトグラフィー分析、液体クロマトグラフィー分析や1H−NMR分析等から求められる値であり、テトラカルボン酸二無水物の場合、加水分解の処理を行い、テトラカルボン酸として、その純度を求めることもできる。
本発明で用いるジアミン成分は、特に限定されないが、純度(複数種のジアミン成分を用いる場合には、最も純度の高いジアミン成分の値、もしくは用いるすべてのジアミン成分の純度を個別に求め、用いる質量比で重みをつけた純度の平均値、例えば、純度100%のジアミン成分を70質量部、純度90%のジアミン成分を30質量部使用したとき、使用されるジアミン成分の純度は、97%と計算される。)が99%以上、更に好ましくは99.5%以上であることが好ましい。純度が98%未満の場合、ポリイミド前駆体の分子量が十分にあがらず、得られるポリイミドの耐熱性が劣ることがある。純度は、ガスクロマトグラフィー分析、液体クロマトグラフィー分析や1H−NMR分析等から求められる値である。
ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等の合成方法は、特に限定されないが、特許文献6に記載の方法等で合成できる。非特許文献1に記載されているように、合成方法によっては立体異性体を数種類含むこともある。
ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等、もしくは、その中間体をカラム等で精製することで、立体異性体をそれぞれ単独で、もしくは、数種の混合物を分取することが出来る。
trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等、及びcis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等の単独物、もしくはそれらの混合物についても、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸類等、もしくは、その中間体をカラム等で精製することで得られる。
本発明のポリイミド前駆体〔ポリイミド前駆体(A−1)、(A−2)及び(A−3)〕は、テトラカルボン酸成分及びジアミン成分が異性体を含む場合、その異性体を単離して重合等に使用してもよく、また、異性体を混合物のまま重合等に使用してもよい。
本発明のポリイミド前駆体において、前記化学式(1)中のX1、Y1、前記化学式(3)中のX2、Y2、前記化学式(5)中のX3、Y3、及び前記化学式(6)中のX4、Y4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数3〜9のアルキルシリル基のいずれかである。X1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、X4、Y4は、後述する製造方法によって、その官能基の種類、及び官能基の導入率を変化させることができる。
X1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、X4、Y4が水素である場合、ポリイミドの製造が容易である傾向がある。
また、X1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、X4、Y4が炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である場合、ポリイミド前駆体の保存安定性に優れる傾向がある。この場合、X1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、X4、Y4はメチル基もしくはエチル基であることがより好ましい。
更に、X1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、X4、Y4が炭素数3〜9のアルキルシリル基である場合、ポリイミド前駆体の溶解性が優れる傾向がある。この場合、X1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、X4、Y4はトリメチルシリル基もしくはt−ブチルジメチルシリル基であることがより好ましい。
官能基の導入率は、特に限定されないが、アルキル基もしくはアルキルシリル基を導入する場合、X1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、X4、Y4はそれぞれ、25%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上をアルキル基もしくはアルキルシリル基にすることができる。X1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、X4、Y4のそれぞれの25%以上をアルキル基もしくはアルキルシリル基にすることで、ポリイミド前駆体の保存安定性が優れる。
本発明のポリイミド前駆体は、それぞれ独立に、X1とY1、X2とY2、X3とY3、X4とY4が取る化学構造によって、1)ポリアミド酸(X1とY1、X2とY2、X3とY3、X4とY4が水素)、2)ポリアミド酸エステル(X1、Y1の少なくとも一部がアルキル基、X2、Y2の少なくとも一部がアルキル基、X3、Y3の少なくとも一部がアルキル基、X4、Y4の少なくとも一部がアルキル基)、3)4)ポリアミド酸シリルエステル(X1、Y1の少なくとも一部がアルキルシリル基、X2、Y2の少なくとも一部がアルキルシリル基、X3、Y3の少なくとも一部がアルキルシリル基、X4、Y4の少なくとも一部がアルキルシリル基)に分類することができる。そして、本発明のポリイミド前駆体は、この分類ごとに、以下の製造方法により容易に製造することができる。ただし、本発明のポリイミド前駆体の製造方法は、以下の製造方法に限定されるものではない。
1)ポリアミド酸
本発明のポリイミド前駆体は、溶媒中でテトラカルボン酸成分としてのテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを略等モル、好ましくはテトラカルボン酸成分に対するジアミン成分のモル比[ジアミン成分のモル数/テトラカルボン酸成分のモル数]が好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05の割合で、例えば120℃以下の比較的低温度でイミド化を抑制しながら反応することによって、ポリイミド前駆体溶液組成物として好適に得ることができる。
本発明のポリイミド前駆体の合成方法は、限定するものではないが、より具体的には、有機溶剤にジアミンを溶解し、この溶液に攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。上記製造方法でのジアミンとテトラカルボン酸二無水物の添加順序は、ポリイミド前駆体の分子量が上がりやすいため、好ましい。また、上記製造方法のジアミンとテトラカルボン酸二無水物の添加順序を逆にすることも可能であり、析出物が低減することから、好ましい。
また、テトラカルボン酸成分とジアミン成分のモル比がジアミン成分過剰である場合、必要に応じて、ジアミン成分の過剰モル数に略相当する量のカルボン酸誘導体を添加し、テトラカルボン酸成分とジアミン成分のモル比を略当量に近づけることができる。ここでのカルボン酸誘導体としては、実質的にポリイミド前駆体溶液の粘度を増加させない、つまり実質的に分子鎖延長に関与しないテトラカルボン酸、もしくは末端停止剤として機能するトリカルボン酸とその無水物、ジカルボン酸とその無水物などが好適である。
2)ポリアミド酸エステル
テトラカルボン酸二無水物を任意のアルコールと反応させ、ジエステルジカルボン酸を得た後、塩素化試薬(チオニルクロライド、オキサリルクロライドなど)と反応させ、ジエステルジカルボン酸クロライドを得る。このジエステルジカルボン酸クロライドとジアミンを−20〜120℃、好ましくは−5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。また、ジエステルジカルボン酸とジアミンを、リン系縮合剤や、カルボジイミド縮合剤などを用いて脱水縮合することでも、簡便にポリイミド前駆体が得られる。
この方法で得られるポリイミド前駆体は、安定なため、水やアルコールなどの溶剤を加えて再沈殿などの精製を行うこともできる。
3)ポリアミド酸シリルエステル(間接法)
あらかじめ、ジアミンとシリル化剤を反応させ、シリル化されたジアミンを得る。必要に応じて、蒸留等により、シリル化されたジアミンの精製を行う。そして、脱水された溶剤中にシリル化されたジアミンを溶解させておき、攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。
ここで用いるシリル化剤として、塩素を含有しないシリル化剤を用いることは、シリル化されたジアミンを精製する必要がないため、好適である。塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。フッ素原子を含まず低コストであることから、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
また、ジアミンのシリル化反応には、反応を促進するために、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミンなどのアミン系触媒を用いることができる。この触媒はポリイミド前駆体の重合触媒として、そのまま使用することができる。
4)ポリアミド酸シリルエステル(直接法)
1)の方法で得られたポリアミド酸溶液とシリル化剤を混合し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。
ここで用いるシリル化剤として、塩素を含有しないシリル化剤を用いることは、シリル化されたポリアミド酸、もしくは、得られたポリイミドを精製する必要がないため、好適である。塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。フッ素原子を含まず低コストであることから、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
前記製造方法は、いずれも有機溶媒中で好適に行なうことができるので、その結果として、本発明のポリイミド前駆体のワニスを容易に得ることができる。
ポリイミド前駆体を調製する際に使用する溶媒は、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が好ましく、特にN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましいが、原料モノマー成分と生成するポリイミド前駆体が溶解すれば、どんな種類の溶媒であっても問題はなく使用できるので、特にその構造には限定されない。溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用できる。なお、溶媒は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
本発明において、ポリイミド前駆体の対数粘度は、特に限定されないが、30℃での濃度0.5g/dLのN,N−ジメチルアセトアミド溶液における対数粘度が0.2dL/g以上、より好ましくは0.8dL/g以上、特に好ましくは0.9dL/g以上であることが好ましい。対数粘度が0.2dL/g以上では、ポリイミド前駆体の分子量が高く、得られるポリイミドの機械強度や耐熱性に優れる。
本発明において、ポリイミド前駆体のワニスは、少なくとも本発明のポリイミド前駆体と溶媒とを含み、溶媒とテトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量に対して、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量が5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上の割合であることが好適である。なお、通常は60質量%以下、好ましくは50質量%以下であることが好適である。この濃度は、ポリイミド前駆体に起因する固形分濃度にほぼ近似される濃度であるが、この濃度が低すぎると、例えばポリイミドフィルムを製造する際に得られるポリイミドフィルムの膜厚の制御が難しくなることがある。
本発明のポリイミド前駆体のワニスに用いる溶媒としては、ポリイミド前駆体が溶解すれば問題はなく、特にその構造は限定されない。溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用できる。また、これらを複数種組み合わせて使用することもできる。
本発明において、ポリイミド前駆体のワニスの粘度(回転粘度)は、特に限定されないが、E型回転粘度計を用い、温度25℃、せん断速度20sec−1で測定した回転粘度が、0.01〜1000Pa・secが好ましく、0.1〜100Pa・secがより好ましい。また、必要に応じて、チキソ性を付与することもできる。上記範囲の粘度では、コーティングや製膜を行う際、ハンドリングしやすく、また、はじきが抑制され、レベリング性に優れるため、良好な被膜が得られる。
本発明のポリイミド前駆体のワニスは、必要に応じて、化学イミド化剤(無水酢酸などの酸無水物や、ピリジン、イソキノリンなどのアミン化合物)、酸化防止剤、フィラー、染料、顔料、シランカップリング剤などのカップリング剤、プライマー、難燃材、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤(流動補助剤)、剥離剤などを添加することができる。
本発明のポリイミド前駆体のワニスには、必要に応じて、シリカ等の無機粒子を混合することもできる。混合のさせ方としては特に限定されるものではないが、重合溶媒に無機粒子を分散させ、その溶媒中でポリイミド前駆体を重合する方法、ポリイミド前駆体溶液と無機粒子を混合する方法、ポリイミド前駆体溶液と無機粒子分散溶液を混合する方法、ポリイミド前駆体溶液に無機粒子を添加し混合する方法等がある。本発明のポリイミド前駆体のワニスには、例えば、シリカ粒子やシリカ粒子分散溶液を添加することが出来る。添加するシリカ粒子としては、粒子径が好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下であることが好ましい。添加するシリカ粒子の粒子径が100nmを超えるとポリイミドが白濁することがある。また、シリカ粒子分散溶液を添加する場合は、例えば、日産化学社製「オルガノシリカゾル DMAc−ST(一次粒子径:10〜15nm、分散溶媒:N,N−ジメチルアセトアミド)固形分:20〜21%」等を使用することができる。
第1の本発明のポリイミド(B−1)は、前記化学式(8)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含み、前記化学式(8)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以上である。すなわち、第1の本発明のポリイミド(B−1)は、第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)を得るために使用した、前記のテトラカルボン酸成分とジアミン成分を使用して得ることができる。この第1の本発明のポリイミド(B−1)は、前記のような第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)を脱水閉環反応(イミド化反応)することで好適に製造することができる。イミド化の方法は特に限定されず、公知の熱イミド化、または化学イミド化の方法を好適に適用することができる。
なお、この第1の本発明のポリイミド(B−1)は、B1が前記化学式(9)で表されるものである前記化学式(8)の繰り返し単位を少なくとも1種含むことが好ましく、この化学式(8)は第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)の前記化学式(1)に対応し、化学式(9)は第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)の前記化学式(2)に対応する。通常、イミド化後も立体構造は保持されるため、第1の本発明のポリイミド前駆体(A−1)をイミド化することで得られる第1の本発明のポリイミド(B−1)は、ポリイミド前駆体(A−1)と同様の立体構造を有し、前記化学式(8)の繰り返し単位は、前記化学式(1)の繰り返し単位と同様の立体構造を有する。
第2の本発明のポリイミド(B−2)は、前記化学式(10)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含み、前記化学式(10)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、30モル%以上である。すなわち、第2の本発明のポリイミド(B−2)は、第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)を得るために使用した、前記のテトラカルボン酸成分とジアミン成分を使用して得ることができる。この第2の本発明のポリイミド(B−2)は、前記のような第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)を脱水閉環反応(イミド化反応)することで好適に製造することができる。イミド化の方法は特に限定されず、公知の熱イミド化、または化学イミド化の方法を好適に適用することができる。
なお、この第2の本発明のポリイミド(B−2)は、B2が前記化学式(11)で表されるものである前記化学式(10)の繰り返し単位を少なくとも1種含むことが好ましく、この化学式(10)は第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)の前記化学式(3)に対応し、化学式(11)は第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)の前記化学式(4)に対応する。通常、イミド化後も立体構造は保持されるため、第2の本発明のポリイミド前駆体(A−2)をイミド化することで得られる第2の本発明のポリイミド(B−2)は、ポリイミド前駆体(A−2)と同様の立体構造を有し、前記化学式(10)の繰り返し単位は、前記化学式(3)の繰り返し単位と同様の立体構造を有する。
第3の本発明のポリイミド(B−3)は、前記化学式(12)及び前記化学式(13)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含み、前記化学式(12)及び前記化学式(13)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、80モル%以上である。すなわち、第3の本発明のポリイミド(B−3)は、第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)を得るために使用した、前記のテトラカルボン酸成分とジアミン成分を使用して得ることができる。この第3の本発明のポリイミド(B−3)は、前記のような第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)を脱水閉環反応(イミド化反応)することで好適に製造することができる。イミド化の方法は特に限定されず、公知の熱イミド化、または化学イミド化の方法を好適に適用することができる。
なお、この第3の本発明のポリイミド(B−3)は、B3が前記化学式(14)で表されるものである前記化学式(12)及び前記化学式(13)の繰り返し単位を少なくとも1種含むことが好ましく、この化学式(12)は第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)の前記化学式(5)に対応し、化学式(13)は第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)の前記化学式(6)に対応し、化学式(14)は第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)の前記化学式(7)に対応する。通常、イミド化後も立体構造は保持されるため、第3の本発明のポリイミド前駆体(A−3)をイミド化することで得られる第3の本発明のポリイミド(B−3)は、ポリイミド前駆体(A−3)と同様の立体構造を有し、前記化学式(12)の繰り返し単位は、前記化学式(5)の繰り返し単位と同様の立体構造を有し、前記化学式(13)の繰り返し単位は、前記化学式(6)の繰り返し単位と同様の立体構造を有する。
得られるポリイミドの形態は、フィルム、ポリイミドフィルムと他の基材との積層体、コーティング膜、粉末、ビーズ、成型体、発泡体およびワニスなどを好適に挙げることができる。
本発明において、ポリイミドの対数粘度は、特に限定されないが、30℃での濃度0.5g/dLのN,N−ジメチルアセトアミド溶液における対数粘度が0.2dL/g以上、より好ましくは0.4dL/g以上、特に好ましくは0.5dL/g以上であることが好ましい。対数粘度が0.2dL/g以上では、得られるポリイミドの機械強度や耐熱性に優れる。
本発明において、ポリイミドのワニスは、少なくとも本発明のポリイミドと溶媒とを含み、溶媒とポリイミドの合計量に対して、ポリイミドが5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上の割合であることが好適である。この濃度が低すぎると、例えばポリイミドフィルムを製造する際に得られるポリイミドフィルムの膜厚の制御が難しくなることがある。
本発明のポリイミドのワニスに用いる溶媒としては、ポリイミドが溶解すれば問題はなく、特にその構造は限定されない。溶媒としては、前記の本発明のポリイミド前駆体のワニスに用いる溶媒を同様に用いることができる。
本発明において、ポリイミドのワニスの粘度(回転粘度)は、特に限定されないが、E型回転粘度計を用い、温度25℃、せん断速度20sec−1で測定した回転粘度が、0.01〜1000Pa・secが好ましく、0.1〜100Pa・secがより好ましい。また、必要に応じて、チキソ性を付与することもできる。上記範囲の粘度では、コーティングや製膜を行う際、ハンドリングしやすく、また、はじきが抑制され、レベリング性に優れるため、良好な被膜が得られる。
本発明のポリイミドのワニスは、必要に応じて、酸化防止剤、フィラー、染料、顔料、シランカップリング剤などのカップリング剤、プライマー、難燃材、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤(流動補助剤)、剥離剤などを添加することができる。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、必要に応じて、シリカ等の無機粒子を混合することもできる。混合のさせ方としては特に限定されるものではないが、重合溶媒に無機粒子を分散させその溶媒中でポリイミド前駆体を重合する方法、ポリイミド前駆体溶液と無機粒子を混合する方法、ポリイミド前駆体溶液と無機粒子分散溶液を混合する方法、ポリイミド溶液に無機粒子を混合する方法、ポリイミド溶液に無機粒子分散溶液を混合する方法等がある。それらの方法で分散させたシリカ分散ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体をイミド化することで、または、ポリイミド溶液とシリカ粒子やシリカ分散溶液を混合させた後に加熱乾燥し溶媒を除去することで、シリカ含有ポリイミドが得られる。ポリイミドに分散させる無機粒子としては、シリカ粒子を添加することが出来る。添加するシリカ粒子としては、粒子径が好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下であることが好ましい。添加するシリカ粒子の粒子径が100nmを超えるとポリイミドが白濁することがある。また、シリカ粒子分散溶液を使用する場合は、例えば、日産化学社製「オルガノシリカゾル DMAc−ST(一次粒子径:10〜15nm、分散溶媒:N,N−ジメチルアセトアミド)固形分:20〜21%」等を使用することができる。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、特に限定されないが、フィルムにしたときの50℃から400℃までの線熱膨張係数が、好ましくは45ppm/K以下、より好ましくは30ppm/K以下、さらに好ましくは25ppm/K以下、さらに好ましくは24ppm/K以下、さらに好ましくは22ppm/K以下、特に好ましくは20ppm/K以下であり、高温まで極めて低い線熱膨張係数を有する。線熱膨張係数が大きいと、金属などの導体との線熱膨張係数の差が大きく、回路基板を形成する際に反りが増大するなどの不具合が生じることがある。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、特に限定されないが、厚さ10μmのフィルムでの波長400nmにおける光透過率が、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは77%以上、さらに好ましくは78%以上、さらに好ましくは79%以上、特に好ましくは80%以上であり、優れた光透過性を有する。ディスプレイ用途等で使用する場合、光透過率が低いと光源を強くする必要があり、エネルギーがかかるといった問題等を生じることがある。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、特に限定されないが、厚さ10μmのフィルムでの全光透過率(波長380nm〜780nmの平均光透過率)が、好ましくは85%以上、より好ましくは86%以上、さらに好ましくは87%以上、特に好ましくは88%以上であり、優れた光透過性を有する。ディスプレイ用途等で使用する場合、全光透過率が低いと光源を強くする必要があり、エネルギーがかかるといった問題等を生じることがある。
なお、本発明のポリイミドからなるフィルムは、用途にもよるが、フィルムの厚みとしては、好ましくは1μm〜250μm、より好ましくは1μm〜150μm、さらに好ましくは1μm〜50μm、特に好ましくは1μm〜30μmである。ポリイミドフィルムを光が透過する用途に使用する場合、ポリイミドフィルムが厚すぎると光透過率が低くなる恐れがある。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、特に限定されないが、5%重量減少温度が、好ましくは470℃を超え、より好ましくは480℃以上であり、さらに好ましくは490℃以上であり、特に好ましくは495℃以上である。ポリイミド上にトランジスタを形成する等で、ポリイミド上にガスバリア膜等を形成する場合、耐熱性が低いと、ポリイミドとバリア膜との間で、ポリイミドの分解等に伴うアウトガスにより膨れが生じることがある。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、高い透明性、折り曲げ耐性、高耐熱性などの優れた特性を有し、さらに高温まで極めて低い線熱膨張係数を有することから、ディスプレイ用透明基板、タッチパネル用透明基板、或いは太陽電池用基板の用途において、好適に用いることができる。
以下では、本発明のポリイミド前駆体を用いた、ポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムの製造方法の一例について述べる。ただし、以下の方法に限定されるものではない。
例えばセラミック(ガラス、シリコン、アルミナ)、金属(銅、アルミニウム、ステンレス)、耐熱プラスチックフィルム(ポリイミド)などの基材に、本発明のポリイミド前駆体のワニスを流延し、真空中、窒素等の不活性ガス中、或いは空気中で、熱風もしくは赤外線を用いて、20〜180℃、好ましくは20〜150℃の温度範囲で乾燥する。次いで、得られたポリイミド前駆体フィルムを基材上で、もしくはポリイミド前駆体フィルムを基材上から剥離し、そのフィルムの端部を固定した状態で、真空中、窒素等の不活性ガス中、或いは空気中で、熱風もしくは赤外線を用い、200〜500℃、より好ましくは250〜450℃程度の温度で加熱イミド化することでポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムを製造することができる。なお、得られるポリイミドフィルムが酸化劣化するのを防ぐため、加熱イミド化は、真空中、或いは不活性ガス中で行うことが望ましい。加熱イミド化の温度が高すぎなければ空気中で行なっても差し支えない。ここでのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルム/基材積層体の場合は、ポリイミドフィルム層)の厚さは、以後の工程の搬送性のため、好ましくは1〜250μm、より好ましくは1〜150μmである。
また、ポリイミド前駆体のイミド化反応は、前記のような加熱処理による加熱イミド化に代えて、ポリイミド前駆体をピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬するなどの化学的処理によって行うことも可能である。また、これらの脱水環化試薬をあらかじめ、ポリイミド前駆体のワニス中に投入・攪拌し、それを基材上に流延・乾燥することで、部分的にイミド化したポリイミド前駆体を作製することもでき、これを更に前記のような加熱処理することで、ポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムを得ることができる。
この様にして得られたポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムは、その片面もしくは両面に導電性層を形成することによって、フレキシブルな導電性基板を得ることができる。
フレキシブルな導電性基板は、例えば次の方法によって得ることができる。すなわち、第一の方法としては、ポリイミドフィルム/基材積層体を基材からポリイミドフィルムを剥離せずに、そのポリイミドフィルム表面に、スパッタ、蒸着、印刷などによって、導電性物質(金属もしくは金属酸化物、導電性有機物、導電性炭素など)の導電層を形成させ、導電性層/ポリイミドフィルム/基材の導電性積層体を製造する。その後必要に応じて、基材より導電性層/ポリイミドフィルム積層体を剥離することによって、導電性層/ポリイミドフィルム積層体からなる透明でフレキシブルな導電性基板を得ることができる。
第二の方法としては、ポリイミドフィルム/基材積層体の基材からポリイミドフィルムを剥離して、ポリイミドフィルムを得、そのポリイミドフィルム表面に、導電性物質(金属もしくは金属酸化物、導電性有機物、導電性炭素など)の導電層を、第一の方法と同様にして形成させ、導電性層/ポリイミドフィルム積層体、または導電性層/ポリイミドフィルム/導電性層積層体からなる透明でフレキシブルな導電性基板を得ることができる。
なお、第一、第二の方法において、必要に応じて、ポリイミドフィルムの表面に導電層を形成する前に、スパッタ、蒸着やゲル−ゾル法などによって、水蒸気、酸素などのガスバリア層、光調整層などの無機層を形成しても構わない。
また、導電層は、フォトリソグラフィ法や各種印刷法、インクジェット法などの方法によって、回路が好適に形成される。
本発明の基板は、本発明のポリイミドによって構成されたポリイミドフィルムの表面に、必要に応じてガスバリア層や無機層を介し、導電層の回路を有するものである。この基板は、フレキシブルであり、高い透明性、折り曲げ性、耐熱性が優れ、さらに高温までの極めて低い線熱膨張係数や優れた耐溶剤性を併せ有するので微細な回路の形成が容易である。したがって、この基板は、ディスプレイ用、タッチパネル用、または太陽電池用の基板として好適に用いることができる。
すなわち、この基板に、蒸着、各種印刷法、或いはインクジェット法などによって、さらにトランジスタ(無機トランジスタ、有機トランジスタ)が形成されてフレキシブル薄膜トランジスタが製造され、そして、表示デバイス用の液晶素子、EL素子、光電素子として好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例において評価は次の方法で行った。
<ポリイミド前駆体のワニスの評価>
[対数粘度]
重合に用いた溶媒で希釈し、濃度0.5g/dLのポリイミド前駆体溶液を調製し、ウベローデ粘度計を用いて、30℃で測定し、対数粘度を求めた。
<ポリイミドフィルムの評価>
[400nm光透過率、全光透過率]
大塚電子製MCPD−300を用いて、膜厚約10μmのポリイミド膜の400nmにおける光透過率と、全光透過率(380nm〜780nmにおける平均透過率)を測定した。測定した400nmにおける光透過率と、全光透過率を反射率を10%としてランベルト・ベール式を用いて、10μm厚の400nmにおける光透過率と、全光透過率を算出した。算出式を下記に示す。
Log10((T1+10)/100)=10/L×(Log10((T1’+10)/100))
Log10((T2+10)/100)=10/L×(Log10((T2’+10)/100))
T1:反射率を10%としたときの10μm厚のポリイミドフィルムの400nmにおける光透過率(%)
T1’:測定した400nmにおける光透過率(%)
T2:反射率を10%としたときの10μm厚のポリイミドフィルムの全光透過率(%)
T2’:測定した全光透過率(%)
L:測定したポリイミドフィルムの膜厚(μm)
[弾性率、破断伸度]
膜厚約10μmのポリイミドフィルムをIEC450規格のダンベル形状に打ち抜いて試験片とし、ORIENTEC社製TENSILONを用いて、チャック間長30mm、引張速度2mm/分で、初期の弾性率、破断伸度を測定した。
[線熱膨張係数(CTE)]
膜厚約10μmのポリイミドフィルムを幅4mmの短冊状に切り取って試験片とし、TMA/SS6100 (エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用い、チャック間長15mm、荷重2g、昇温速度20℃/分で500℃まで昇温した。得られたTMA曲線から、50℃から400℃までの線熱膨張係数を求めた。
[5%重量減少温度]
膜厚約10μmのポリイミドフィルムを試験片とし、TAインスツルメント社製 熱量計測定装置(Q5000IR)を用い、窒素気流中、昇温速度10℃/分で25℃から600℃まで昇温した。得られた重量曲線から、5%重量減少温度を求めた。
以下の各例で使用した原材料の略称、純度等は、次のとおりである。
[ジアミン成分]
DABAN: 4,4’−ジアミノベンズアニリド〔純度:99.90%(GC分析)〕
TFMB: 2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン〔純度:99.83%(GC分析)〕
PPD: p−フェニレンジアミン〔純度:99.9%(GC分析)〕
m−TD: m−トリジン〔純度:99.84%(GC分析)〕
BAPT: ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート〔純度:99.56%(LC分析)〕
4−APTP: N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド〔純度:99.95%(GC分析)〕
FDA: 9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
4,4’−ODA: 4,4’−オキシジアニリン〔純度:99.9%(GC分析)〕
BAPB: 4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
TPE−R: 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
MPD: m−フェニレンジアミン
3,4’−ODA: 3,4’−オキシジアニリン
ASD:ビス(4-アミノフェニル)スルフィド
[テトラカルボン酸成分]
CpODAt−en−en:trans−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸無水物
CpODAc−en−en:cis−endo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸無水物
CpODAt−ex−en:trans−exo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸無水物
CpODAt−ex−ex:trans−exo−exo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸無水物
CpODAc−ex−en:cis−exo−endo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸無水物
CpODAc−ex−ex:cis−exo−exo−ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸無水物
CpODA−en:CpODAt−en−en(63.0wt%)とCpODAc−en−en(37.0wt%)からなる混合体。
CpODA−en1:CpODAt−en−enとCpODAc−en−enとCpODAt−ex−enとCpODAt−ex−exとCpODAc−ex−enとCpODAc−ex−exからなり、CpODAt−en−enとCpODAc−en−enの合計含有量が83wt%、CpODAt−ex−enとCpODAt−ex−exとCpODAc−ex−enとCpODAc−ex−exの合計含有量が17wt%である混合体。
CpODA−en2:CpODAt−en−enとCpODAc−en−enとCpODAt−ex−enとCpODAt−ex−exとCpODAc−ex−enとCpODAc−ex−exからなり、CpODAt−en−enとCpODAc−en−enの合計含有量が97wt%、CpODAt−ex−enとCpODAt−ex−exとCpODAc−ex−enとCpODAc−ex−exの合計含有量が3wt%である混合体。
CpODA−en3:CpODAt−en−enとCpODAc−en−enとCpODAt−ex−enとCpODAt−ex−exとCpODAc−ex−enとCpODAc−ex−exからなり、CpODAt−en−enとCpODAc−en−enの合計含有量が98wt%、CpODAt−ex−enとCpODAt−ex−exとCpODAc−ex−enとCpODAc−ex−exの合計含有量が2wt%である混合体。
CpODA−en4:CpODAt−en−enとCpODAc−en−enとCpODAt−ex−enとCpODAt−ex−exとCpODAc−ex−enとCpODAc−ex−exからなり、CpODAt−en−enとCpODAc−en−enの合計含有量が99wt%、CpODAt−ex−enとCpODAt−ex−exとCpODAc−ex−enとCpODAc−ex−exの合計含有量が1wt%である混合体。
CpODA:CpODAt−en−en(49.8wt%)とCpODAc−en−en(29.2wt%)とCpODAt−ex−en(10.1wt%)とCpODAt−ex−ex(0.4wt%)とCpODAc−ex−en(10.1wt%)とCpODAc−ex−ex(0.4wt%)からなる混合体。
DNDAxx:(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン−2t,3t,6c,7c−テトラカルボン酸二無水物〔DNDAxxとしての純度:99.2%(GC分析)〕
[溶媒]
DMAc: N,N−ジメチルアセトアミド
NMP: N−メチル−2−ピロリドン
[溶媒の純度]
GC分析:
主成分の保持時間(分) 14.28
主成分の面積% 99.9929
短保持時間不純物のピーク面積% 0.0000
長保持時間不純物のピーク面積% 0.0071
不揮発分(質量%) <0.001
光透過率(光路長1cm 400nm):
加熱還流前光透過率(%) 92
窒素雰囲気下で3時間加熱還流後の光透過率(%) 92
金属分:
Na(ppb) 150
Fe(ppb) <2
Cu(ppb) <2
Mo(ppb) <1
表1に実施例、比較例で使用したテトラカルボン酸成分、ジアミン成分の構造式を記す。
〔実施例1〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 2.27g(10ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 22質量%となる量の21.66gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.4dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例2〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にm−TD 2.12g(10ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の27.15gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.0dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例3〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中BAPT 3.48g(10ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 14質量%となる量の44.97gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.8dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例4〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中に4−APTP 3.46g(10ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 13質量%となる量の48.85gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は2.2dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例5〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.14g(5ミリモル)とTFMB 1.60g(5ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 25質量%となる量の19.74gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.8dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例6〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.59g(7ミリモル)とTFMB 0.96g(3ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 25質量%となる量の19.17gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.9dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例7〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.59g(7ミリモル)とPPD 0.32g(3ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 23質量%となる量の19.25gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.0dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例8〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.14g(5ミリモル)とPPD 0.54g(5ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 17質量%となる量の26.95gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.9dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例9〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.65g(6ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 19質量%となる量の23.02gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.2dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例10〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.68g(3ミリモル)とPPD 0.76g(7ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 14質量%となる量の32.43gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.9dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例11〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.43g(4ミリモル)とTFMB 0.64g(2ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 17質量%となる量の28.42gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.8dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例12〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−enを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.14g(5ミリモル)とPPD 0.43g(4ミリモル)と4,4’−ODA 0.20g(1ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 21質量%となる量の21.10gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.1dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−1に示す。
〔実施例13〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en1を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中に4−APTP 3.46g(10ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 13質量%となる量の48.85gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en1 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−2に示す。
〔実施例14〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en1を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 2.05g(9ミリモル)とFDA 0.35g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の24.96gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en1 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−2に示す。
〔実施例15〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en1を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中に4−APTP 3.12g(9ミリモル)とFDA 0.35g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の33.30gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en1 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−2に示す。
〔実施例16〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en1を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.54g(5ミリモル)とFDA 0.35g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 19質量%となる量の24.04gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en1 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−2に示す。
〔実施例17〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en1を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.65g(6ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の26.60gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en1 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−2に示す。
〔実施例18〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en1を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.22g(2ミリモル)とTFMB 1.28g(4ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 22質量%となる量の22.16gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en1 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−2に示す。
〔実施例19〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en2を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.65g(6ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の26.60gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en2 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−2に示す。
〔実施例20〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en3を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.65g(6ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の26.60gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en3 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−2に示す。
〔実施例21〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.65g(6ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の26.60gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例22〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 2.27g(10ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 17質量%となる量の29.83gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例23〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.59g(7ミリモル)とPPD 0.32g(3ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 17質量%となる量の28.07gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例24〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.59g(7ミリモル)とTFMB 0.96g(3ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の25.56gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例25〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.14g(5ミリモル)とPPD 0.43g(4ミリモル)と4,4’−ODA 0.20g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 17質量%となる量の27.39gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例26〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.43g(4ミリモル)とTFMB 0.64g(2ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の23.28gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例27〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中に4−APTP 1.73g(5ミリモル)とTFMB 1.60g(5ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の28.68gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例28〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.54g(5ミリモル)とBAPB 0.37g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の22.64gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例29〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.54g(5ミリモル)とTPE−R 0.29g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の25.42gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例30〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.54g(5ミリモル)とMPD 0.11g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の24.60gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例31〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.32g(3ミリモル)とMPD 0.32g(3ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の24.55gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例32〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.54g(5ミリモル)と3,4’−ODA 0.20g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の25.01gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−3に示す。
〔実施例33〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.68g(3ミリモル)とPPD 0.65g(6ミリモル)とBAPB 0.37g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 16質量%となる量の29.09gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から410℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−4に示す。
〔実施例34〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.45g(2ミリモル)とPPD 0.76g(7ミリモル)とBAPB 0.37g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 16質量%となる量の28.46gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から410℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−4に示す。
〔実施例35〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4を用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.54g(5ミリモル)とASD 0.22g(1ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 16質量%となる量の28.93gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から410℃まで加熱して、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−4に示す。
〔実施例36〕
テトラカルボン酸成分として、CpODA−en4とDNDAxxを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.65g(6ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 16質量%となる量の27.93gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA−en4 3.46g(9ミリモル)とDNDAxx 0.30g(1ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から410℃まで加熱して、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−1−4に示す。
〔比較例1〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 2.27g(10ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 26質量%となる量の17.41gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.0dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例2〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にm−TD 2.12g(10ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の27.18gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.9dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例3〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にBAPT 3.48g(10ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 16質量%となる量の38.47gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は2.5dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例4〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.14g(5ミリモル)とTFMB 1.60g(5ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 25質量%となる量の16.34gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.2dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例5〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.59g(7ミリモル)とTFMB 0.96g(3ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 21質量%となる量の18.07gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.4dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例6〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.59g(7ミリモル)とPPD 0.32g(3ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 26質量%となる量の11.86gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.2dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例7〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.14g(5ミリモル)とPPD 0.54g(5ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 25質量%となる量の13.15gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.1dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例8〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.91g(4ミリモル)とPPD 0.65g(6ミリモル)を入れ、N−メチル−2−ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の24.60gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.8dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例9〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.68g(3ミリモル)とPPD 0.76g(7ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 19質量%となる量の19.61gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.1dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
〔比較例10〕
テトラカルボン酸成分として、CpODAを用意した。窒素ガスで置換した反応容器中に4,4’−ODA 2.00g(10ミリモル)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 21質量%となる量の21.97gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.84g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は1.6dL/gであった。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2−2に示す。
表2−1−1〜2−1−4および表2−2に示した結果から、本発明のポリイミドは、50℃から400℃という高温までの線熱膨張係数が小さくなる(実施例1、22と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例5と比較例4、実施例6、24と比較例5、実施例7、23と比較例6、実施例8と比較例7、実施例9、17、19、20、21と比較例8、実施例10と比較例9)ことが分かる。
特に、ジアミン成分としてDABAN、BAPT、4−APTPを用いると線熱膨張係数が極めて小さくなる(実施例1、3、4、13及び22)。また、TFMBおよび/またはPPDとDABANとを共重合することで高温まで極めて低熱膨張でかつ、高透明性を示す(実施例5〜12、14、16〜21、23〜26、28〜36)。
前記のとおり、本発明のポリイミド前駆体から得られたポリイミドは、優れた光透過性、折り曲げ耐性を有すると共に、高温までの低線熱膨張係数を有しており、本発明のポリイミドフィルムは、ディスプレイ用途などの無色透明で微細な回路形成可能な透明基板として好適に用いることができる。