JPWO2013108304A1 - 乗員保護構造および乗員保護方法 - Google Patents

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Abstract

ステアリングシャフト(11)に近い側の結合部(13)から入力される車体前後方向の荷重に対し、ステアリングシャフト支持部(16)とステアリングシャフト(11)に近い側の結合部(13)との間のインパネメンバ(12)が有する強度が、ステアリングシャフト支持部(16)とステアリングシャフト(11)から遠い側の結合部(14)との間のインパネメンバ(12)が有する強度よりも小さく設定される。これにより、車両の前突時に、ステアリングホイールの車幅方向内側への移動を抑制し、乗員をエアバッグで確実に拘束することができる。

Description

この発明は、車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、を備えた車両の乗員を保護するための構造および方法に関する。
一般に、車両のオフセット衝突によってヒンジピラーが後退または内倒れ変形した場合、ヒンジピラーに端部が結合されたインパネメンバは、車幅方向のほぼ中心部に位置するセンターステイの近傍を支点として車体後方へ屈曲する。
上記のようにしてインパネメンバが変形すると、インパネメンバに支持されたステアリングシャフトが車幅方向内側に移動し、これに伴いステアリングホイールも車幅方向内側に移動する。このことは、ステアリングホイールに設けられたエアバッグによる乗員の拘束位置が車幅方向内側にずれることを意味する。そこで、このような事態を防止するため、インパネメンバ自体の構造や、インパネメンバと周辺部品との締結構造、さらにはインパネメンバに対する周辺部品のレイアウト等を他の各種要件と両立させつつ設計する必要があった。しかしながら、むやみにインパネメンバの強度を高めようとすると車体の重量増加を招くし、周辺部材のレイアウト等を変更するのも設計上の制約から容易ではない。特に、近年では、車両のポール衝突やスモールオーバラップ衝突にも対応することが求められているため、上記のような問題を改善しつつ乗員の安全性を高めることのできる技術が必要とされている。
なお、エアバッグによる乗員の確実な拘束を目的とする技術として、下記の特許文献1、特許文献2のものが知られている。
特許文献1に開示された従来技術は、車両の前面衝突時にステアリングホイールが前方且つ上方に回動するのを防止し、エアバッグ装置等の的確な作動を確保するものである。しかしながら、インパネメンバやステアリングホイールの車幅方向への移動を抑制するものではなく、上記の問題を解決することはできない。
特許文献2で開示された従来技術は、エアバッグの展開方向を変更可能な回動装置を有する。この技術によれば、車両の前突時に、乗員の頭部がステアリング中心に対し左右方向(車幅方向)にずれた場合でも、上記回動装置を用いて当該ずれを補正する方向にエアバッグの展開方向を変更することにより、乗員の頭部を確実に拘束することができる。しかしながら、エアバッグの展開方向を変更するための回動装置が必要不可欠であるため、構造が複雑化するという問題点があった。
特開平8−113148号公報 特開2010−179674号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステアリングホイールの車幅方向内側への移動を簡単な構造で抑制し、乗員をエアバッグで確実に拘束することである。
上記目的を達成するための本発明の乗員保護構造は、車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、を備えた車両を対象としたものである。この乗員保護構造では、上記インパネメンバの車幅方向中心部よりも左右いずれかに片寄った位置に、ステアリングシャフトを支持するステアリングシャフト支持部が設けられている。上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部から入力される車体前後方向の荷重に対し、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部との間のインパネメンバが有する強度は、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバが有する強度よりも小さく設定されている。
この発明によれば、車両の前突時に、ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバが先に屈曲するので、ステアリングホイールの車幅方向内側への移動が抑制され、乗員をエアバッグで確実に拘束することができるという効果がある。
本発明の一実施例にかかる乗員保護構造を示す斜視図である。 図1の要部の拡大図である。 上記乗員保護構造を示す底面図である。 図3の要部拡大図である。 車両前突時の作用を示す平面図である。 本発明の他の実施例にかかる乗員保護構造を車室内側から見た状態で示す図である。 図7の要部の底面図である。 乗員保護構造のさらに他の実施例を示す底面図である。 乗員保護構造のさらに他の実施例を示す底面図である。 乗員保護構造のさらに他の実施例を示す平面図である。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。図1は本実施例の乗員保護構造を示す斜視図、図2は図1の要部の平面図である。なお、図中、矢印Fは車体前方を示し、矢印Rは車体後方を示す。
図1,図2において、車室の底面部にはフロアパネル1が設けられ、このフロアパネル1の車幅方向中央部には、車室内へ突出して車体前後方向に延びるトンネル部2が一体的に形成されている。
このトンネル部2は、左右の側壁2a,2bと、トップデッキ面2cとを有する断面略ハット形状に形成されている。該トンネル部2は、車体底部の剛性を高める中心的な役割を果たす部材である。
上述のフロアパネル1の左右両側には、車体前後方向に延びる左右一対のサイドシル3,3が接合固定されている。このサイドシル3は、車体前後方向に延びる閉断面を備えた車体強度部材であり、当該閉断面を挟んで互いに接合されるサイドシルインナとサイドシルアウタとを有している。
図1において、18はステアリングホイールであり、21は電動パワーステアリングユニットである。これらステアリングホイール18および電動パワーステアリングユニット21は、図外の運転席シートの前方に配置されている。なお、本実施例は左ハンドル車を前提としており、運転席シートは車室内の左寄りの位置に設けられている。
図2に示すように、車体側面には前席乗員が乗降するための開口部と後席乗員が乗降するための開口部とが設けられており、両者の間には、上下方向に延びるセンターピラー4が設けられている。センターピラー4の下端部はサイドシル3に結合されている。センターピラー4は、車体上下方向に延びる閉断面を備えた車体強度部材であり、当該閉断面を挟んで互いに接合されるセンターピラーインナとセンターピラーアウタとを有している。
また、図1,図2に示すように、上記左右一対のサイドシル3の前端部には、該サイドシル3から上方に立上がるヒンジピラー5がそれぞれ設けられている。左右一対のヒンジピラー5は、車体上下方向に延びる閉断面8を備えた車体強度部材であり、当該閉断面8を挟んで互いに接合されるヒンジピラーインナ6とヒンジピラーアウタ7とを有している。
上述のヒンジピラーアウタ7の車外側面には、フロントドアを開閉可能に支持する車体側ドアヒンジブラケット(図示せず)を取付けるための座面9,9が設けられている。座部9,9は、ヒンジピラーアウタ7の車外側面から一体に隆起するように形成されている。
さらに、図1に示すように、上述のヒンジピラー5の上部には、該ヒンジピラー5から上方かつ後方に向けて延びるフロントピラー10の下端部が連結されている。このフロントピラー10は、後上がりに傾斜して延びる閉断面を備えた車体強度部材であり、当該閉断面を挟んで互いに接合されるフロントピラーインナとフロントピラーアウタとを有している。
左右一対の車体構成部材としての上記ヒンジピラー5,5の間には、ステアリングシャフト11を支持する金属パイプ製のインパネメンバ12が、車幅方向に延びるように設置されている。
この実施例では、インパネメンバ12は運転席シート側(左側)に位置する大径部12Aと、助手席シート側(右側)に位置する小径部12Bとを備えている。該インパネメンバ12の車幅方向の両端部には、インパネサイドブラケット13,14が設けられている。このインパネサイドブラケット13,14は、上記ヒンジピラー5,5(車体構成部材)の内壁であるヒンジピラーインナ6にそれぞれ結合されており、一対の結合部に該当するものである。上記インパネメンバ12の車幅方向両端部は、上記インパネサイドブラケット13,14を介して左右一対のヒンジピラー5,5に連結されている。
ここで、上記インパネサイドブラケット13,14は、図3,図4に示すように、インパネサイドメンバ12の両端部に結合される筒部13a,14aと、ヒンジピラーインナ6,6に結合される結合フランジ部13b,14bとを備えている。
図3にステアリング支持構造を底面視で概略的に示すように、ステアリングシャフト11は、ステアリング支持ブラケット15を介してインパネメンバ12の大径部12Aに支持されている。
図3の要部を図4に拡大して示すように、上述のステアリング支持ブラケット15は、インパネメンバ12に結合固定された断面C字状の左右一対のサイドブラケット15A,15Bと、これら左右一対のサイドブラケット15A,15Bの前側上部を車幅方向に連結するフロントブラケット15Fと、左右一対のサイドブラケット15A,15Bの後側上部を車幅方向に連結するリヤブラケット15Rと、を備えている。なお、図4において、矢印INは車幅方向内方を示し、矢印OUTは車幅方向外方を示す。
上記のように、ステアリングシャフト11は、ステアリング支持ブラケット15を介してインパネメンバ12に支持されているので、以下では、上記ステアリング支持ブラケット15が取り付けられる部位、より詳しくは、ステアリング支持ブラケット15の車幅方向中心部を、ステアリングシャフト支持部16と称する。なお、ステアリングシャフト支持部16は、ステアリングホイール18およびステアリングシャフト11が運転席シートの前方に設けられることに対応して、インパネメンバ12の車幅方向中心部よりも左側に片寄った位置に設定される。
図1,図2に示すように、上記インパネメンバ12は、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11から遠い側のインパネサイドブラケット14(結合部)との間に取り付けられた支持部材としてのセンターステイ17を介して、トンネル部2の左側壁2aに支持されている。つまり、インパネメンバ12は、その左右両端部がインパネサイドブラケット13,14を介してヒンジピラー5,5(一対の車体構成部材)に連結されるだけでなく、車幅方向中間部がセンターステイ17を介してトンネル部2(他の車体構成部材)に連結されることにより、左右のヒンジピラー5,5の間に固定されている。
ステアリングシャフト11は、上記のようにして車体に強固に固定されたインパネメンバ12に、ステアリング支持ブラケット15およびステアリングコラムを介して回転自在に支持されており、ステアリングシャフト11の後端部には、前輪を操舵するステアリングホイール18が取付けられている。
このステアリングホイール18には、車両の前突時に該ステアリングホイール18をカバーするように展開する袋体であるエアバッグ19(図5参照)を備えた運転席用フロンタルエアバッグ装置が設けられている。
本実施例において、車体の前面がスモールオーバラップ衝突したと仮定すると、ステアリングシャフト11に近い側(本実施例では左側)のヒンジピラー5が車体後方側に押圧される。これに伴い、ステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13には車体前後方向の荷重が入力されるが、本実施例では、この入力荷重によりステアリングホイール18が車幅方向内側へ移動するのを抑制するために、次のような構成が採用されている。
すなわち、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間(図2にXで示す範囲)のインパネメンバ12に備わる上記入力荷重に対する強度が、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11から遠い側のインパネサイドブラケット14との間(図2にYで示す範囲)のインパネメンバ12に備わる強度よりも小さく設定されている。
詳しくは、上記スモールオーバラップ衝突時にステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13から入力される車体前後方向の荷重によって、センターステイ17が取り付けられる部位のインパネメンバ12よりも、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12が先に屈曲するように、上記インパネメンバ12の強度差が設定されている。
すなわち、スモールオーバラップ衝突時の入力荷重によって、図2の範囲Xに属する部分のインパネメンバ12が、図2に示すセンターステイ17の取付け部Zよりも先に屈曲するように、上記範囲Xの強度が範囲Yの強度よりも小さく設定されている。
具体的に、上記のような強度差をもたせるために、本実施例では、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12(上記範囲X内のいずれかの位置)に、脆弱部としての孔部20が設けられており、この孔部20の存在によって上記範囲Xの脆弱化が図られている。
上記孔部20(脆弱部)は、インパネメンバ12の外周部の上部、下部、後部のいずれかの位置に設けられることが好ましい。換言すれば、インパネメンバ12の断面中心を通って車体上下方向に延びる中心線によってインパネメンバ12を二分したと仮定したときに、上記中心線よりも車体前方側に位置する前側領域ではなく、上記中心線よりも車体後方側に位置する後側領域に、上記孔部20の形成位置が設定されることが好ましい。なお、本実施例では、図1〜図4に示すように、インパネメンバ12の大径部12Aの下部を貫通するように孔部20が形成されており、インパネメンバ12の外周部の下部に孔部20(脆弱部)の形成位置が設定されたことになる。
以下に、本実施例の構成に基づく作用を説明する。
インパネメンバ12は支持部材としてのセンターステイ17で支持されているので、車両の前突事故、特に図5に示すようなスモールオーバラップ衝突(車体前部に設けられた左右一対のフロントサイドフレームFSよりも更に車外側においてポール等の障害物Pが衝突する事故)が起きた場合には、本来、ステアリングホイール18の車幅方向位置が大きくずれることが懸念される。例えば、脆弱部としての孔部20が存在しない従来構造を想定し、このような従来構造において上記のようなスモールオーバラップ衝突が発生したと仮定する。この場合、障害物によってヒンジピラーが後退させられ、インパネメンバには大きな曲げモーメントが作用するので、インパネメンバは、通常、センターステイの取付け部を起点として屈曲変形する。このような変形が起きると、センターステイの取付け部と左側のインパネサイドブラケットとの間のインパネメンバが大きく車体後方側に移動するので、これに伴ってステアリングシャフトの後部およびステアリングホイールが車幅方向内側へ移動することになる。このような事態を防止するべく、インパネメンバの強度を高めることも考えられるが、それでは車体の重量増加を招いてしまう。また、インパネメンバと周辺部材との締結構造や周辺部材のレイアウトを変更することも考えられるが、設計上の制約からそれも容易ではない。
これに対して、本実施例では、脆弱部としての孔部20を設けるという比較的簡易な構造により、車両の前突時、特にスモールオーバラップ衝突時に、ステアリングホイール18が車幅方向に移動するのを抑制することができる。すなわち、本実施例の構造において、ポール等の障害物Pが左側のフロントサイドフレームFSの車幅方向外側に衝突すると、車体前面のバンパ(図示省略)などが障害物Pとの衝突によって破壊されたのち、バンパレインフォースメントBRの車幅方向左端近傍が障害物Pに当接し、さらに、前輪FWが障害物Pによって車体後方側に押圧されて、この前輪FWがヒンジピラー5を車体後方側に押圧する。このように、本実施例の構造においても、上述した従来構造の場合と同様に、ヒンジピラー5の後退が起きる。しかしながら、本実施例では、たとえヒンジピラー5が後退しても、インパネメンバ12が孔部20を起点として図5に仮想線αで示すように屈曲するため、インパネメンバ12におけるステアリングシャフト支持部16の車幅方向内側への変形量は、同図に仮想線β1で示すようなものとなる。この仮想線β1で示すステアリングシャフト支持部16の変形量は、仮にセンターステイ17の取付け部を支点にインパネメンバ12が変形した場合の変形量と比べれば僅かな量で済むので、ステアリングホイール18の後部およびエアバッグ19の車幅方向内側への変形量も、図5に仮想線β2で示すように、極僅かとなる。
つまり、本実施例の構造によれば、スモールオーバラップ衝突時に、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12が上記孔部20を起点として先に屈曲するので、ステアリングシャフト11およびステアリングホイール18の車幅方向内側への移動が抑制され(図5の仮想線β2参照)、ステアリングホイール18から展開したエアバッグ19によって乗員DR(衝突時の慣性により前のめりとなる仮想線β3で示す乗員)を確実に拘束することができる。
以上のとおり、図1〜図5に示した本実施例の乗員保護構造は、左右一対のヒンジピラー5(車体構成部材)と、一対のヒンジピラー5の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバ12と、インパネメンバ12の車幅方向の両端部に設けられ、上記各ヒンジピラー5のヒンジピラーインナ6(車体構成部材の内壁)に結合される一対のインパネサイドブラケット13,14(結合部)と、を備えた車両を対象にしている。この乗員保護構造では、上記ステアリングシャフト11に近い側(運転席シート側)のインパネサイドブラケット13から入力される車体前後方向の荷重に対し、上記ステアリングシャフト支持部16と上記ステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間(図2に示す範囲X)のインパネメンバ12が有する強度が、上記ステアリングシャフト支持部16と上記ステアリングシャフト11から遠い側(助手席シート側)のインパネサイドブラケット14との間(図2に示す範囲Y)のインパネメンバ12が有する強度よりも小さく設定されている。
この構成によれば、車両の前突時、特にスモールオーバラップ衝突時に、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12(インパネメンバの強度が脆弱な部分)が先に屈曲するので、ステアリングシャフト11の後部およびステアリングホイール18の車幅方向内側への移動が抑制される。この結果、ステアリングホイール18から展開するエアバッグ19によって乗員DR(詳しくは、乗員の頭部および胸部)を確実に拘束することができる。
ここで、本実施例では、上記ステアリングシャフト支持部16と上記ステアリングシャフト11から遠い側のインパネサイドブラケット14との間のインパネメンバ12に、車体底部のトンネル部2(別の車体構成部材)に結合されるセンターステイ17(支持部材)が取り付けられている。このセンターステイ17の取付け部位Zは、スモールオーバラップ衝突時に荷重が入力される部位(つまりステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13)から遠く離れており、しかも応力が集中し易いので、本来は、上記センターステイ17の取付け部位Zを起点にインパネメンバ12が屈曲することが多いと考えられる。しかしながら、ステアリングホイール18から展開するエアバッグ19によって乗員DRを確実に拘束するには、このような事態は避ける必要がある。
そこで、本実施例では、上記ステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13から入力される車体前後方向の荷重によって、上記ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間(図2に示す範囲X)のインパネメンバ12が、上記センターステイ17が取り付けられる部位のインパネメンバ12(取付け部位Z)よりも先に屈曲するように、上記インパネメンバ12の強度差が設定されている。
この構成によれば、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12が、センターステイ17が取り付けられる部位のインパネメンバ12よりも先に屈曲するので、上記センターステイ17の取付け部Zを起点にインパネメンバ12が変形するのを効果的に防止でき、ステアリングシャフト11およびステアリングホイール18の車幅方向内側への移動をより一層確実に抑制することができる。
また、本実施例では、上記ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12に、脆弱部としての孔部20が設けられている。
この構成によれば、簡易な構成で上述した作用効果を達成することができる。
加えて、本実施例では、インパネメンバ12の断面中心を通る上下方向の中心線よりも車体後方側に位置するインパネメンバ12の外周部(本実施例では特に外周部の下部)に、上記孔部20が設けられている(図4参照)。
このように、孔部20の形成位置を、インパネメンバ12の外周部の後側領域に特定した場合には、車両の前突時にインパネメンバ12を車体後方側に確実に屈曲させることができるので、ステアリングシャフト11およびステアリングホイール18の車幅方向内側への移動をより一層確実に抑制し、乗員DRをエアバッグ19で確実に拘束することができる。
特に、本実施例では、インパネメンバ12に形成された孔部20を脆弱部としたので、ドリル加工などの穿孔加工によって脆弱部を簡単に形成することができる。
ただし、インパネメンバ12に形成する脆弱部は、強度を低下させ得るものであればよく、上記のような孔部20に限定されない。例えば、凹溝部、縮径部等を脆弱部として形成してもよい。以下に、孔部20以外の脆弱部を設けた例を他の実施例として説明する。
図6、図7を用いて乗員保護構造の他の実施例を説明する。図6は車室内側から前方を見た状態で示す説明図、図7はその底面図である。
この実施例においては、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12に、脆弱部としての凹溝部22を設けたものである。
この凹溝部22は、インパネメンバ12の大径部12Aの一部を径方向内側に窪むように形成したものである。具体的に、凹溝部22は、インパネメンバ12の大径部12Aの外周部の後面、言い換えると、乗員に対向する背面部に一体に形成されており、大径部12Aの周方向の所定範囲に亘って延びるように形成されている。
このように脆弱部を凹溝部22により構成しても、脆弱部をインパネメンバ12への簡単な加工にて形成することができる。
なお、図6,図7に示す実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例と同様であるから、図6,図7において、前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図8は乗員保護構造のさらに他の実施例を示す要部拡大底面図である。
この実施例においては、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12に、脆弱部としての縮径部23を一体形成したものである。
この縮径部23は、インパネメンバ12の大径部12Aの一部を縮径加工して形成したものである。具体的には、大径部12Aにおいて車幅方向外側寄りに位置する一部の領域が、その他の領域よりも小さい外径を有するように加工されることにより、上記車幅方向外側寄りの領域が相対的に径の小さい縮径部23として形成されている。このため、縮径部23の車幅方向内側端部(縮径部23以外の大径部12Aとの境界部)には、外径が変化する段差部が形成されている。
このように、脆弱部を縮径部23により構成しても、脆弱部をインパネメンバ12への簡単な加工にて形成することができる。なお、脆弱部として上記縮径部23を採用する場合には、インパネメンバ12の一部領域の全周に亘って脆弱部が形成されていることになる。
図8に示す実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図8において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図9は乗員保護構造のさらに他の実施例を示す要部拡大底面図である。
この実施例においては、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12に、脆弱部としての薄肉部24を設けたものである。
インパネメンバを肉厚が異なる2種類のパイプ材で形成することにより薄肉部を形成することも可能であるが、この実施例では、インパネメンバ12における大径部12Aの所定部(ステアリングシャフト支持部16とインパネサイドブラケット13との間の特定箇所)を切削加工することにより、相対的に肉厚の薄い薄肉部24を形成している。薄肉部24は、大径部12Aの外周部の後面に、周方向の所定範囲に亘って形成されている。
このように、脆弱部を薄肉部24により構成しても、脆弱部をインパネメンバ12への簡単な加工にて形成することができる。
図9で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の各実施例とほぼ同様であるから、図9において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図10は乗員保護構造のさらに他の実施例を示す要部拡大平面図である。
この実施例においては、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13との間のインパネメンバ12に、脆弱部としてノッチ部25を設けたものである。
このノッチ部25は、インパネメンバ12における大径部12Aの後面の一部を前方に(径方向内側に)窪むように形成したものであり、凹溝部の一種ということができる。ただし、ノッチ部25は、断面がV字状に形成されており、この点が、上述した図6、図7の実施例における凹溝部22とは異なる。このように、断面V字状のノッチ部25を設けた場合、スモールオフセット衝突時には、ノッチ部25がインパネメンバ12の屈曲起点としてより確実に機能する。
このように、脆弱部をノッチ部25により構成しても、脆弱部をインパネメンバ12への簡単な加工にて形成することができる。
図10で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の各実施例とほぼ同様であるから、図10において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上記各実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、脆弱部は、孔部20、凹溝部22、縮径部23、薄肉部24、ノッチ部25から選ばれる2以上の組み合わせにより構成してもよい。
また上記各実施例の構成は左ハンドル車両を前提としたものであったが、本発明は右ハンドル車両に適用することもできる。
また、上記各実施例では、インパネメンバ12に脆弱部(例えば孔部20、凹溝部22、縮径部23、薄肉部24、ノッチ部25)を設けることにより、車両の前突時に、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11に近い側のインパネサイドブラケット13(結合部)との間のインパネメンバ12を、ステアリングシャフト支持部16とステアリングシャフト11から遠い側のインパネサイドブラケット14(結合部)との間のインパネメンバ12よりも先に屈曲させるようにしたが、同様の作用が得られるのであれば、脆弱部以外の構成をとることもできる。
最後に、上記各実施例の開示内容に基づいて、本発明の構成および作用効果についてまとめて説明する。
本発明の乗員保護構造は、車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、を備えた車両を対象としたものである。この乗員保護構造では、上記インパネメンバの車幅方向中心部よりも左右いずれかに片寄った位置に、ステアリングシャフトを支持するステアリングシャフト支持部が設けられている。上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部から入力される車体前後方向の荷重に対し、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部との間のインパネメンバが有する強度が、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバが有する強度よりも小さく設定されている。
なお、本発明において、一対の車体構成部材は、例えばヒンジピラーとすることができ、車体構成部材の内壁は、ヒンジピラーインナとすることができる。
上記構成によれば、車両の前突時、特にスモールオーバラップ衝突時に、ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の車体構成部材への結合部との間のインパネメンバ(インパネメンバの強度が脆弱な部分)が先に屈曲するので、ステアリングシャフトの後部およびステアリングホイールの車幅方向内側への移動が抑制される。この結果、ステアリングホイールから展開するエアバッグによって乗員(詳しくは、乗員の頭部および胸部)を確実に拘束することができる。
上記乗員保護構造において、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバに、上記一対の車体構成部材とは別の車体構成部材に結合される支持部材が取り付けられる場合、上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部から入力される車体前後方向の荷重によって、上記ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバが、上記支持部材が取り付けられる部位のインパネメンバよりも先に屈曲するように、上記インパネメンバの強度差が設定されることが好ましい。
上記構成によれば、ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバが、支持部材が取り付けられる部位のインパネメンバよりも先に屈曲するので、上記支持部材の取付け部を起点にインパネメンバが変形するのを効果的に防止でき、ステアリングシャフトおよびステアリングホイールの車幅方向内側への移動をより一層確実に抑制することができる。
上記乗員保護構造において、好ましくは、上記ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバに脆弱部が設けられる。
この構成によれば、簡易な構成で上述した作用効果を達成することができる。
上記乗員保護構造において、好ましくは、上記インパネメンバの断面中心を通る上下方向の中心線よりも車体後方側に位置するインパネメンバの外周部に上記脆弱部が設けられる。
このように、脆弱部の位置を、インパネメンバの外周部の後側領域に特定した場合には、車両の前突時にインパネメンバを車体後方側に確実に屈曲させることができるので、ステアリングシャフトおよびステアリングホイールの車幅方向内側への移動をより一層確実に抑制し、乗員をエアバッグで確実に拘束することができる。
上記乗員保護構造において、好ましくは、上記脆弱部は、インパネメンバに形成された孔部、凹溝部、縮径部のうち少なくとも何れか1つにより構成される。
この構成によれば、脆弱部を、孔部、凹溝部、縮径部のうちの1つ、または2以上の組合せで構成することができ、これら孔部、凹溝部、縮径部をインパネメンバへの簡単な加工によって形成することができる。
また、本発明は、車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、ステアリングシャフトを支持するために上記インパネメンバの車幅方向中心部よりも左右いずれかに片寄った位置に設けられたステアリングシャフト支持部と、上記ステアリングシャフトの後端部に取り付けられたステアリングホイールと、上記ステアリングホイールに設けられ、車両の前突時に上記ステアリングホイールをカバーするように展開するエアバッグとを備えた車両の乗員を保護する方法に関する。この方法には、車両の前突時に上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部に入力される車体前後方向の荷重によって、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部との間のインパネメンバが、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバよりも先に屈曲するように、上記ステアリングシャフトの強度をその車幅方向位置によって異ならせることが含まれる。
この方法によれば、展開したエアバッグの車幅方向内側への移動が抑制され、乗員を確実に拘束することができる。
以上説明したように、本発明は、車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、を備えた車両の乗員を保護するのに有用である。
上記目的を達成するための本発明の乗員保護構造は、車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、を備えた車両を対象としたものである。この乗員保護構造では、上記インパネメンバの車幅方向中心部よりも左右いずれかに片寄った位置に、ステアリングシャフトを支持するステアリングシャフト支持部が設けられている。ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバに、上記一対の車体構成部材とは別の車体構成部材に結合される支持部材が取り付けられている。上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部から入力される車体前後方向の荷重によって、上記ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバが、上記支持部材が取り付けられる部位のインパネメンバよりも先に屈曲するように、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバの外周面に脆弱部が設けられている。脆弱部は、上記インパネメンバの断面中心を通る上下方向の中心線よりも車体後方側の面にのみ設けられている
本発明の乗員保護構造は、車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、を備えた車両を対象としたものである。この乗員保護構造では、上記インパネメンバの車幅方向中心部よりも左右いずれかに片寄った位置に、ステアリングシャフトを支持するステアリングシャフト支持部が設けられている。ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバに、上記一対の車体構成部材とは別の車体構成部材に結合される支持部材が取り付けられている。上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部から入力される車体前後方向の荷重によって、上記ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバが、上記支持部材が取り付けられる部位のインパネメンバよりも先に屈曲するように、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバの外周面に脆弱部が設けられている。脆弱部は、上記インパネメンバの断面中心を通る上下方向の中心線よりも車体後方側の面にのみ設けられている
上記構成によれば、車両の前突時、特にスモールオーバラップ衝突時に、ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の車体構成部材への結合部との間のインパネメンバが、支持部材が取り付けられる部位のインパネメンバよりも先に屈曲するので、上記支持部材の取付け部を起点にインパネメンバが変形するのを効果的に防止でき、ステアリングシャフトの後部およびステアリングホイールの車幅方向内側への移動が抑制される。この結果、ステアリングホイールから展開するエアバッグによって乗員(詳しくは、乗員の頭部および胸部)を確実に拘束することができる。
また、上記ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバに脆弱部が設けられるので、簡易な構成で上述した作用効果を達成することができる。
特に、インパネメンバの断面中心を通る上下方向の中心線よりも車体後方側(インパネメンバの外周部の後側領域)に上記脆弱部が設けられるので、車両の前突時にインパネメンバを車体後方側に確実に屈曲させることができる。これにより、ステアリングシャフトおよびステアリングホイールの車幅方向内側への移動をより一層確実に抑制し、乗員をエアバッグで確実に拘束することができる。
上記乗員保護構造において、好ましくは、上記脆弱部は、インパネメンバに形成された孔部、凹溝部、薄肉部のうち少なくとも何れか1つにより構成される。
この構成によれば、脆弱部を、孔部、凹溝部、薄肉部のうちの1つ、または2以上の組合せで構成することができ、これら孔部、凹溝部、薄肉部をインパネメンバへの簡単な加工によって形成することができる。
また、本発明は、車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、ステアリングシャフトを支持するために上記インパネメンバの車幅方向中心部よりも左右いずれかに片寄った位置に設けられたステアリングシャフト支持部と、上記ステアリングシャフトの後端部に取り付けられたステアリングホイールと、上記ステアリングホイールに設けられ、車両の前突時に上記ステアリングホイールをカバーするように展開するエアバッグとを備えた車両の乗員を保護する方法に関する。この方法には、車両の前突時に上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部に入力される車体前後方向の荷重によって、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部との間のインパネメンバが、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバよりも先に屈曲するように、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバの外周面に脆弱部を設けるとともに、当該脆弱部を、上記インパネメンバの断面中心を通る上下方向の中心線よりも車体後方側の面にのみ設けることが含まれる。

Claims (6)

  1. 車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、を備えた車両の乗員保護構造であって、
    上記インパネメンバの車幅方向中心部よりも左右いずれかに片寄った位置に、ステアリングシャフトを支持するステアリングシャフト支持部が設けられ、
    上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部から入力される車体前後方向の荷重に対し、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部との間のインパネメンバが有する強度が、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバが有する強度よりも小さく設定された、
    ことを特徴とする乗員保護構造。
  2. 上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバに、上記一対の車体構成部材とは別の車体構成部材に結合される支持部材が取り付けられており、
    上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部から入力される車体前後方向の荷重によって、上記ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバが、上記支持部材が取り付けられる部位のインパネメンバよりも先に屈曲するように、上記インパネメンバの強度差が設定された、
    請求項1記載の乗員保護構造。
  3. 上記ステアリングシャフト支持部とステアリングシャフトに近い側の結合部との間のインパネメンバに脆弱部が設けられた、
    請求項1または2記載の乗員保護構造。
  4. 上記インパネメンバの断面中心を通る上下方向の中心線よりも車体後方側に位置するインパネメンバの外周部に上記脆弱部が設けられた、
    請求項3記載の乗員保護構造。
  5. 上記脆弱部は、インパネメンバに形成された孔部、凹溝部、縮径部のうち少なくとも何れか1つにより構成された、
    請求項3または4記載の乗員保護構造。
  6. 車体の左右に設けられた一対の車体構成部材と、一対の車体構成部材の間を車幅方向に延びるように設置されたインパネメンバと、上記インパネメンバの車幅方向の両端部に設けられ、上記各車体構成部材の内壁に結合される一対の結合部と、ステアリングシャフトを支持するために上記インパネメンバの車幅方向中心部よりも左右いずれかに片寄った位置に設けられたステアリングシャフト支持部と、上記ステアリングシャフトの後端部に取り付けられたステアリングホイールと、上記ステアリングホイールに設けられ、車両の前突時に上記ステアリングホイールをカバーするように展開するエアバッグとを備えた車両の乗員を保護する方法であって、
    車両の前突時に上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部に入力される車体前後方向の荷重によって、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトに近い側の上記結合部との間のインパネメンバが、上記ステアリングシャフト支持部と上記ステアリングシャフトから遠い側の上記結合部との間のインパネメンバよりも先に屈曲するように、上記ステアリングシャフトの強度をその車幅方向位置によって異ならせる、
    ことを特徴とする乗員保護方法。
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