JPWO2011080817A1 - ステータコアの固定構造およびそれを備えた回転電機 - Google Patents

Abstract

ステータコアの固定構造（５０）は、ステータコア（４１）と、ステータコア（４１）に嵌まり合うリング部材（７０）と、ステータコア（４１）およびリング部材（９０）を覆うケース（１０）とを備える。ケース（１０）は、リング部材（７０）を固定する固定部（１５）と、リング部材（７０）に嵌合する嵌合部（１３）とを備える。

Description

この発明は、ステータコアの固定構造およびそれを備えた回転電機に関し、より特定的には、ステータコアの外周部にリング部材が設けられ、そのリング部材がケースに取付けられるステータコアの固定構造およびそれを備えた回転電機に関するものである。

従来、ステータコアの固定構造は、たとえば特開２００８−２４５３５２号公報（特許文献１）、特開２００７−２２８７２５号公報（特許文献２）および特開２００７−３０６７５１号公報（特許文献３）に開示されている。

特開２００８−２４５３５２号公報 特開２００７−２２８７２５号公報 特開２００７−３０６７５１号公報

特許文献１で記載された回転電機は、ロータおよびステータを収容するハウジングと、ハウジングの開口部を閉塞するカバーとを備える。ステータの開口部側の端面には、端板部材が当接される。一方のボルトは端板部材に形成された穴の開口部側の開口から貫通穴の一方の開口に挿入され、貫通穴の他方の開口から突出した先端において、ハウジングの底部に固定される。他方のボルトは、カバーに形成された開口から挿入され、穴の他方の開口から突出した先端部において、端板部材に固定される。

特許文献２では、ステータの固定構造は、ステータコアを含むステータと、ステータコアを格納する開口部を有するハウジングとを備え、ハウジングは、開口部の内周面とステータコアとの隙間が相対的に小さく、かつ、開口部の内径が一定である第１部分と、ステータコアの軸方向に第１部分と並び、開口部の内周面とステータコアとの隙間が相対的に大きい第２部分とを含む。

特許文献３のステータコアの固定構造は、ハウジングの内周面との間に隙間が形成されるようにハウジングに収納されるステータの固定構造であって、リング状のステータコアと、ステータコアの軸方向にステータコアに挿入され、その一端がハウジングに固定されることによりステータコアをハウジングに締結する締結部材と、締結部材がハウジングに固定される側に対して軸方向反対側に位置するステータコアの軸方向端部に固定され、ハウジングの内周面に当接する当接部とを備える。

従来の技術では、ステータのボルト締結部が、剛性の低いステータ挿入口付近に配置されるためケースが変形してしまうおそれがある。これにより、組付け性が悪化し、軸心精度が悪くなり騒音が発生するという問題があった。

そこで、この発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、ケースの変形を抑制することが可能なステータコアの固定構造およびそれを用いた回転電機を提供することを目的とする。

この発明に従ったステータコアの固定構造は、軸方向に互いに離隔した一方端および他方端を有するステータコアと、ステータコアの外周側に位置してステータコアを保持するリング部材と、ステータコアおよびリング部材を収容する、リング部材を固定する固定部とリング部材が嵌合する嵌合部とを有するケースとを備え、リング部材は、ステータコアの一方端側から他方端側へ延びており、一方端側では固定部に固定され、他方端側は嵌合部に嵌合し、嵌合部の内径は固定部の内径よりも小さい。

このように構成されたステータコアの固定構造では、ステータコアの一方端が固定部に固定され、他方端が嵌合部に嵌合してステータコアの両端がケースに取付けられるため剛性の低い開口部でステータコアを固定する必要がなく、ケースの変形を防止することができる。

好ましくは、ケースはステータコアを挿入するための開口部を有し、固定部でのケースの径方向の厚みは開口部でのケースの径方向の厚みより大きい。

好ましくは、リング部材は、固定部にボルトにより固定される。
好ましくは、リング部材と当接する嵌合部の軸方向長さは、ケースに嵌合するボルトの部分の長さより短い。

好ましくは、リング部材は一方端側で半径方向に延在するフランジ部を有する。
この発明に従った回転電機は、上記のステータコアの固定構造を備える。

この発明の実施の形態１に従ったステータコアの固定構造を有する回転電機の断面図である。 この発明の実施の形態２に従ったステータコアの固定構造を有する回転電機の断面図である。

以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では同一または相当する部分については同一の参照符号を付し、その説明については繰返さない。また、各実施の形態を組合せることも可能である。

（実施の形態１）
図１は、この発明の実施の形態１に従ったステータコアの固定構造を有する回転電機の断面図である。図１を参照して、ステータコアの固定構造５０では、ケース１０内にリング部材７０が収納されている。リング部材７０は回転電機２を支持している。回転電機２はロータ３９と、そのロータ３９の外周側に設けられたステータ４９とを備える。ロータ３９は電磁鋼板を積層することで形成される。ロータ３９にはシャフト３１が取付けられる。シャフト３１は、ベアリング３２，３３により保持されて回転可能である。

ステータ４９は、ロータ３９の外周側に位置する。ステータ４９は、ステータコア４１と、ステータコア４１に巻かれたコイル４５とを有する。コイル４５の巻付け方法は、分布巻および集中巻のいずれであってもよい。
また、コイル４５を構成する銅線は、丸線または平角線のいずれであってもよい。

ステータコア４１は筒状であり、その内周側にロータ３９が設けられ、外周側はリング部材７０と接触する。ステータコア４１は電磁鋼板４２を積層することにより構成されている。

リング部材７０はステータコア４１を保持している。ステータコア４１の外周側に設けられたリング部材７０は、ステータコア４１の一方端４１ａから他方端４１ｂへ延びている。一方端４１ａおよび他方端４１ｂにより、ステータコア４１の軸方向の長さが決定される。

一方端４１ａおよび他方端４１ｂの端面にコイル４５が接触する。
リング部材７０は半径方向に延びるフランジ部７２を有しており、フランジ部７２には貫通穴７１が設けられる。貫通穴７１を貫通するように締結部としてのボルト６１が取付けられる。ボルト６１は複数箇所でフランジ部７２をケース１０に固定する。ボルト６１は、リベットなどの他の構成に置き換えられてもよい。

また、図１では、ボルト６１をケース１０側に挿入する構造を示しているが、これに限られず、ケース１０に埋込ボルトを設けられる、この埋込ボルトが貫通穴７１を貫通し、埋込ボルトにナットが締結されることでケース１０にリング部材７０が取付けられてもよい。

さらに、図１では、ボルト６１は軸方向に延びるように設けられているが、ボルト６１が径方向に延びるように取付けられていてもよい。

ボルト６１は、ケース１０の固定部１５に取付けられる。固定部１５にリング部材７０のフランジ部７２が接触する。ケース１０は開口部１１を有し、開口部１１にカバー２１が嵌まり合っている。開口部１１はステータコア４１およびリング部材７０を挿入するための部分である。開口部１１は蓋部としてのカバー２１により封止されている。開口部１１近辺でのケース１０の厚みＴ２は、固定部１５付近でのケース１０の厚みＴ１よりも薄い。ケース１０の外周面１２は、開口部１１から離れるに従ってその外径が小さくなる、いわゆるテーパ形状とされており、円錐形状の外周面を有する。なお、ケース１０の外周は、必ずしも円錐形状にする必要はなく、外周径が一定であってもよい。さらに、外周面１２に段差が設けられていてもよい。

嵌合部１３は、ケース１０の下側に設けられる径の小さい部分である。嵌合部１３にリング部材７０が嵌合している。嵌合部１３はリング部材７０と接触してリング部材７０を固定している。

筒状のケース１０は、開口部１１と、開口部１１と反対側の底部を有し、底部に近い側に嵌合部１３が設けられ、開口部１１に近い側に固定部１５が設けられている。

回転電機２は、ハイブリッド自動車および電気自動車などの車両１のトランスミッションのモータおよびジェネレータである。ステータ４９は、ステータコア４１とコイル４５とにより構成される。ステータ４９はステータアッシを構成し、一方端４１ａおよび他方端４１ｂの両端面付近で、ステータアッシがケース１０に支持される。ケース１０の開口部１１（ステータ挿入口）側でボルト６１によりリング部材７０がケース１０締結固定され、反対側はリング部材７０の外周側面が嵌合部１３に嵌合する。嵌合部１３の軸方向長さはボルト６１の締結部長さ、すなわちボルト６１がケース１０によりねじで嵌合する部分の長さ以下である。

これにより、ステータアッシが一方端４１ａと他方端４１ｂの両側で支えられ、ステータアッシの振動を抑制できる。さらにステータアッシの回転軸芯の精度を向上させることができる。ステータアッシをケース１０にボルト６１を用いて固定する際のケース１０の変形を抑制することができる。

これにより、ステータ４９の振動に起因した回転電機２の振動および騒音を低減することができる。シャフト３１の精度向上で回転電機２の振動が低減する。また、カバー２１およびステータ４９のケース１０への組付け性が向上する。さらにストレスを緩和することで強度および信頼性が向上する。

すなわち、ステータコア４１の固定構造５０は、軸方向に互いに離隔した一方端４１ａおよび他方端４１ｂを有するステータコア４１と、ステータコア４１の外周側に位置してステータコア４１を保持するリング部材７０と、ステータコア４１およびリング部材７０を収容する、リング部材７０を固定する固定部１５とリング部材７０が嵌合する嵌合部１３とを有するケース１０とを備え、リング部材７０は、ステータコア４１の一方端４１ａ側から他方端４１ｂ側へ延びており、一方端４１ａ側は固定部１５に固定され、他方端４１ｂ側は嵌合部１３に嵌合し、嵌合部１３の内径Ｒ１は固定部の内径Ｒ２よりも小さい。

ケースはステータコアを挿入するための開口部１１を有し、固定部１５でのケース１０の径方向の厚みＴ１は開口部１１でのケース１０の径方向の厚みＴ２より大きい。

固定部１５がボルト６１により固定される。リング部材７０と当接する嵌合部１３の軸方向長さは、ケース１０に嵌合する部分のボルト６１の長さより短い。

（実施の形態２）
図２は、この発明の実施の形態２に従ったステータの固定構造を有する回転電機の断面図である。図２を参照して、この発明の実施の形態２に従った回転電機２では、フランジ部７２が溶接部７９によりケース１０に固定されている点で、実施の形態１に従った回転電機２と異なる。すなわち、図１ではボルトを用いてリング部材７０をケース１０に固定したが、ボルトを用いずに溶接によりリング部材７０をケース１０に固定する。

以上、この発明の実施の形態について説明したが、ここで示した実施の形態はさまざまに変形することが可能である。まず、ケース１０の外形に関しては、円筒であることを説明したが、円筒形状であることは必ずしも必要でなく、角筒形状であってもよい。

さらに、この実施の形態に従った回転電機２は必ずしも車両に搭載されるものである必要はなく、車両以外のものに搭載される回転電機であってもよい。

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

１ 車両、２ 回転電機、１０ ケース、１１ 外周面、１２ 外周面、１３ 嵌合部、１５ 固定部、２１ カバー、３１ シャフト、３２，３３ ベアリング、３９ ロータ、４１ ステータコア、４１ａ 一方端、４１ｂ 他方端、４２ 電磁鋼板、４５ コイル、４９ ステータ、５０ 固定構造、６１ ボルト、７０ リング部材、７１ 貫通穴、７２ フランジ部、７９ 溶接部。

Claims (6)

1. 軸方向に互いに離隔した一方端（４１ａ）および他方端（４１ｂ）を有するステータコア（４１）と、
   前記ステータコアの外周側に位置して前記ステータコアを保持するリング部材（７０）と、
   前記ステータコアおよび前記リング部材を収容する、前記リング部材を固定する固定部（１５）と前記リング部材が嵌合する嵌合部（１３）とを有するケース（１０）とを備え、
   前記リング部材は、前記ステータコアの前記一方端側から前記他方端側へ延びており、前記一方端側は前記固定部に固定され、前記他方端側は嵌合部に嵌合し、前記嵌合部の内径は前記固定部の内径よりも小さい、ステータコアの固定構造。
2. 前記ケースは前記ステータコアを挿入するための開口部（１１）を有し、
   前記固定部での前記ケースの径方向の厚みは前記開口部での前記ケースの径方向の厚みより大きい、請求の範囲第１項に記載のステータコアの固定構造。
3. 前記固定部にボルトにより前記リング部材が固定される、請求の範囲第１項または第２項に記載のステータコアの固定構造。
4. 前記リング部材と当接する前記嵌合部の軸方向長さは、前記ケースに嵌合する前記ボルトの部分の長さより短い、請求の範囲第３項に記載のステータコアの固定構造。
5. 前記リング部材は前記一方端側で半径方向に延在するフランジ部（７２）を有する、請求の範囲第１項に記載のステータコアの固定構造。
6. 請求の範囲第１項に記載のステータコアの固定構造を備えた回転電機。

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