JPWO2011040586A1 - 熱可塑性エラストマー組成物、成形体および医療用シーリング材 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、成形体および医療用シーリング材 Download PDF

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Abstract

芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロック(A)と、イソプレンまたはイソプレンおよびブタジエンの混合物に由来する構造単位を含有し、3,4−結合単位および1,2−結合単位の含有量の合計が45%以上である重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体の水素添加物であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン換算で求めたピークトップ分子量(Mp)が250,000〜500,000であり、かつ嵩密度が0.10〜0.40g/mlの粉末である水添ブロック共重合体(a)100質量部、軟化剤(b)10〜300質量部、およびポリオレフィン樹脂(c)5〜200質量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物、および該熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体および医療用シーリング材を提供する。

Description

本発明は、柔軟性、成形加工性、視覚的な透明性、制振性、軟化剤の保持性および高温での圧縮永久歪みに優れ、かつこれらの物性をバランス良く有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物、および該スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体に関する。さらに、前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなり、酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性に優れる医療用シーリング材に関する。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを主体とする重合体ブロックを有するブロック共重合体の水素添加物は、耐熱性、耐候性、耐衝撃性、柔軟性に優れるだけでなく、加硫することなしに従来の加硫ゴムと同等の強度および弾性特性を示す。かかる特性を有することから、該ブロック共重合体の水素添加物は、単独のみならず、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂や、軟化剤などの各種添加剤を配合した熱可塑性樹脂組成物として、近年、医療用部材、自動車用部品、家電部品、玩具、スポーツ用品、日用雑貨品などの幅広い分野で使用されている。
例えば、特許文献1には、一般式A−(B−A)n(Aはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックであり、nは1〜5の整数)で表されるブロック共重合体の水素添加誘導体100重量部、非芳香族系ゴム用軟化剤150〜300重量部、プロピレンと、プロピレン以外の1−オレフィンの1種または2種以上との共重合体で、密度が0.883〜0.901g/cm3のプロピレン系共重合体30〜400重量部および無機充填剤0〜900重量部からなる、安価でかつ柔軟性に富み、耐熱変形性および機械的強度に優れるエラストマー状組成物が開示されている。
特許文献2には、特許文献1と同様のブロック共重合体の水素添加誘導体100重量部、非芳香族系ゴム用軟化剤150〜300重量部、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂30〜400重量部および無機充填剤0〜900重量部からなる配合物を予め混練した後、有機パーオキサイド、架橋助剤及び必要により酸化防止剤を加えて部分架橋させるエラストマー状組成物の製造方法が開示されており、得られるエラストマー状組成物は柔軟性に富み、高温圧縮永久歪み、機械的強度、耐油性および成形加工性に優れ、かつ成形品表面のベタツキが少ないとされている。
特許文献3には、数平均分子量が2,500〜40,000のビニル芳香族モノマーからなるブロック(A)と、イソプレンまたはイソプレン−ブタジエン混合物からなり、数平均分子量が10,000〜200,000で、3,4−結合および1,2−結合含有量が40%以上であり、0℃以上にtanδの主分散のピークを有し、その鎖中の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部が水添されたブロック(B)より構成され、ブロックの結合の形態がA−(B−A)n、または(A−B)n(nは1以上の整数)で表される、分子量が3,000〜300,000であるブロック共重合体および該ブロック共重合体を含有してなる組成物が開示されており、制振性能に優れ、かつ耐熱性、耐候性に優れるとされている。
特許文献4には、少なくとも1個のビニル芳香族モノマーからなり、数平均分子量が2,500〜40,000のブロック(A)と、イソプレン、ブタジエンもしくはイソプレン−ブタジエンからなり、3,4−結合および1,2−結合含有量が30%以上で、tanδのピーク温度が−20℃以上であり、かつtanδのピーク値が0.3以上であるブロック(B)より構成される数平均分子量が30,000〜300,000であるブロック共重合体、またはその水添物100重量部、軟化剤10〜2000重量部、および粘着付与樹脂10〜2,000重量部を含んでなる柔軟性組成物が開示されており、衝撃吸収性に優れるとされている。
特許文献5には、(イ)重量平均分子量が20万〜45万のブロック共重合体の水素添加物であって、該ブロック共重合体の水素添加物中の分子量40万以上の重合体の割合が5重量%以上、かつ分子量20万以下の重合体の割合が20重量%以下である、式A−(B−A)nまたは(A−B)n(Aはモノビニル芳香族炭化水素単位からなる重合体ブロック、Bは共役ジエン単位からなる重合体ブロック、nは1〜5の整数)で示されるブロック共重合体の水素添加物、(ロ)ゴム用軟化剤、(ハ)オレフィン系重合体の三成分を含有し、かつ(イ)/(ロ)の割合が20/80〜80/20(重量比)であって、(イ)と(ロ)の合計量100重量部に対して、(ハ)を1〜300重量部含む混合物を、架橋剤の存在下で、混練機を用いて、100〜400℃で熱処理することを含む、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法が開示されている。得られる熱可塑性エラストマー組成物は柔軟性、ゴム弾性、耐候性、機械的強度および成形加工性に優れ、かつ軟化剤のブリードが少ないとされている。
特許文献6には、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部に、非芳香族系ゴム用軟化剤20〜500重量部、ポリオレフィン系樹脂20〜500重量部、およびオレフィン系共重合体ゴム5〜150重量部からなる水添ブロック共重合体組成物100重量部あたり、特定式で表される反応型アルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂0.5〜30重量部を配合し加熱混練して得られる動加硫された水添ブロック共重合体組成物が開示されている。かかる水添ブロック共重合体組成物は、改善された柔軟性、高温下でのゴム弾性(圧縮永久歪み)、高温クリープ性能、機械的強度、成形加工性、耐油性を与えるとされている。
ところで、従来、医療用シーリング材などの医療用部材に用いる高分子材料としては、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴムまたはジエン系重合体ゴムやオレフィン系重合体ゴム(例えばエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム)などの合成ゴムに、架橋剤、補強剤、加工助剤などを配合して、高温高圧下で架橋したものが汎用されてきた。
しかしながら、これらの材料は、高温・高圧下で長時間にわたって架橋および成形を行う工程が必要であり、取り扱い性や生産性に劣る。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように熱プレス成形、射出成形、押出成形などの汎用の溶融成形技術を利用して成形品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマー組成物が開発されている。
特に、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを主体とする重合体ブロックを有するブロック共重合体の水素添加物は、耐熱性、耐候性、耐衝撃性、柔軟性に優れるだけでなく、加硫することなしに従来の加硫ゴムと同等の強度および弾性特性を示す。かかる特性を有することから、該ブロック共重合体の水素添加物は、単独のみならず、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂や、軟化剤などの各種添加剤を配合した熱可塑性樹脂組成物として用いられ、医療用部材として提案されているものもある。
例えば、特許文献7には、一般式A−(B−A)n(Aはモノビニル置換芳香族炭化水素からなり、分子量が15,000〜60,000の重合体ブロック、Bは共役ジエンからなる分子量60,000〜180,000の重合体ブロック、nは1〜5の整数)で表される共重合体の水素添加誘導体100重量部、パラフィン系ゴム用軟化剤100〜185重量部、および結晶性プロピレン重合体樹脂20〜60重量部とからなり、かつ硬度(JIS−K6301)が30〜60の熱可塑性エラストマー組成物により一部または全体が構成されている輸液用止栓が開示されている。かかる輸液用止栓は、従来の加硫ゴムのような残留溶媒、添加物などの経時的な溶出がなく、成形性が良好で、成形後の洗浄処理などが不要で、さらに注射針の差込みが容易で、注射針の差込み、抜取り時のコアリング現象の発生、抜取り後の輸液の漏れだしなどを防止し得るとされている。
特開昭58−206644号公報 特開昭59−131613号公報 特開平2−300218号公報 特開平6−293853号公報 特開2005−281706号公報 特開昭63−112649号公報 特開昭61−37242号公報
特許文献1で開示されている組成物は、JIS−A硬度が80以下の柔軟性を有し、引張強度および引張伸度においてバランスが優れているが、透明性、制振性、成形加工性および70℃以上の圧縮永久歪み、さらには酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性については何ら言及されておらず、かかる点で改良の余地を有する。
特許文献2に開示されているエラストマー状組成物は、100℃、22時間での圧縮永久歪み、耐油性、射出成形性に優れるものの、視覚的な透明性、制振性、成形加工性、さらには酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性に関しては何らの言及もなく、用途が限定され、なお改良の余地がある。
特許文献3で開示されているブロック共重合体を含有する組成物は、25℃で優れた制振性能を示すことが示されているものの、それ以外の物性がどのようなものであるのかにつき言及がなされておらず、幅広い用途への適用という観点からなお検討の余地がある。
特許文献4に記載されている柔軟性組成物はJIS−A硬度の値が小さく、かつ反発弾性率がゼロであり、低硬度で衝撃吸収性に優れるが、高温、特に70℃以上の圧縮永久歪み特性や軟化剤保持性、さらには酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性については何ら言及されておらず、検討の余地がある。
特許文献5に記載されている熱可塑性エラストマー組成物は、70℃、100℃、130℃における22時間での圧縮永久歪みに優れ、高温時の変形(成形歪み)がないものの、視覚的な透明性、制振性、成形加工性、さらには酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性に関しては何ら言及されておらず、これらの特性を満足させるためには、なお改良の余地がある。
特許文献6に開示されている熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形体は、成形性、耐油性および高温での圧縮永久歪みなどの点では改良が認められるが、未だ不十分である。
また、特許文献7に開示されている熱可塑性エラストマー組成物から得られる輸液用止栓は、成形性、耐油性および高温での圧縮永久歪みなどの点では改良が認められるが、未だ不十分であり、さらに酸素ガスバリア性や、栓体としたときの密封性などについては何ら言及されていない。
したがって、従来要求されている成形性、高温での圧縮歪み特性などの特性に加え、特に酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性を要求される医療用シーリング材用途へこれらの材料をそのまま適用するには、依然として技術改良の余地があった。
しかして本発明の課題は、柔軟性、成形加工性、視覚的な透明性、制振性、軟化剤の保持性および高温(例えば70〜120℃)での圧縮永久歪みに優れ、かつこれらの物性をバランス良く有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物、および該スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体を提供することと、該スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなり、酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性に優れる医療用シーリング材を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。本発明者の検討により、例えば特許文献3に開示されているブロック共重合体は軟化剤の吸収性に劣り、かかる欠点により、柔軟性や成形加工性(流動性)を求められる分野に適用できず、改良の余地があることが判明した。
そこで、本発明者は、特許文献3に開示されたブロック共重合体における、イソプレンまたはイソプレン−ブタジエン混合物からなり、3,4−結合および1,2−結合含有量が40%以上であるブロック(B)を重合する際に、テトラヒドロフランなどのルイス塩基をビニル化剤として添加して反応を行う際の副反応の抑制について検討した。その結果、ビニル化剤の存在に伴い、イソプレンなどの共役ジエン重合時にバックバイティングと称されるアニオン重合における重合末端の安定化が起こり、現実的にはブロック共重合体の分子量を高めることに限界があることを突き止めた。
かかる問題点は、共重合の際に、イソプレンなどの共役ジエンの供給速度を厳密に制御して重合温度を緻密にコントロールし、かつビニル化剤および共役ジエン中に微量含まれる不純物を徹底的に除去することにより解決できることが本発明者の検討により判明した。その結果、特許文献3に開示されたブロック共重合体において、特にブロックBの重合度を、特許文献3に開示されている範囲よりも高水準に引き上げることができ、高い分子量のブロック共重合体を得ることが可能となった。また、かかる高分子量のブロック共重合体は、本明細書で後述する方法により、特定の嵩密度を有する粉末として得られることも判明し、粉末状であると軟化剤の吸収性に優れることも確認できた。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、前記した特定の分子量を有する特定構造のブロック共重合体の水素添加物に対して、軟化剤とポリオレフィン樹脂をそれぞれ特定の割合で含有させることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[4]に関する。
[1]芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロック(A)と、イソプレンまたはイソプレンおよびブタジエンの混合物に由来する構造単位を含有し、3,4−結合単位および1,2−結合単位の含有量の合計が45%以上である重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体の水素添加物であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン換算で求めたピークトップ分子量(Mp)が250,000〜500,000であり、かつ嵩密度が0.10〜0.40g/mlの粉末である水添ブロック共重合体(a)100質量部、
軟化剤(b)10〜300質量部、および
ポリオレフィン樹脂(c)5〜200質量部
を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物。
[2]前記重合体ブロック(B)がイソプレンに由来する構造単位からなる、上記[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3]上記[1]または[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
[4]上記[1]または[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる医療用シーリング材。
本発明により、柔軟性、成形加工性、視覚的な透明性、制振性、軟化剤の保持性および高温(例えば70〜120℃)での圧縮永久歪みに優れ、かつこれらの物性をバランス良く有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物および該スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体を提供することができる。さらに、前記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなり、酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性に優れる医療用シーリング材を提供することができる。
[スチレン系熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、後述する特定の水添ブロック共重合体(a)100質量部、軟化剤(b)10〜300質量部およびポリオレフィン樹脂(c)5〜200質量部を含有してなるものである。以下、各成分につき詳細に説明する。
(水添ブロック共重合体(a))
本発明に用いる水添ブロック共重合体(a)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロック(A)と、イソプレンまたはイソプレンおよびブタジエンの混合物に由来する構造単位を含有し、3,4−結合単位および1,2−結合単位の含有量の合計(ビニル結合含有量の合計)が45%以上である重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体の水素添加物であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン換算で求めたピークトップ分子量(Mp)が250,000〜500,000であり、かつ嵩密度が0.10〜0.40g/mlの粉末である。
なお、本明細書では、イソプレンに由来する構造単位における3,4−結合単位および1,2−結合単位、ブタジエンに由来する構造単位における1,2−結合単位を「ビニル結合単位」と称し、その合計量を「ビニル結合含有量」と称する。
水添ブロック共重合体(a)の重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(芳香族ビニル化合物単位)を主として含有する。ここで言う「主として」とは、重合体ブロック(A)の質量に基づいて、芳香族ビニル化合物単位が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%であることを意味する。
該重合体ブロック(A)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。
該重合体ブロック(A)は、前記した芳香族ビニル化合物の1種に由来する構造単位のみを含んでいてもよいし、2種以上に由来する構造単位を含んでいてもよい。その中でも、重合体ブロック(A)は、スチレンに由来する構造単位から主として構成されていることが好ましい。ここで言う「主として」とは、重合体ブロック(A)の質量に基づいて、スチレンに由来する構造単位が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%であることを意味する。
重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と共に、他の共重合性単量体に由来する構造単位を少量含有していてもよい。このとき、他の共重合性単量体に由来する構造単位の割合は、重合体ブロック(A)の質量に基づいて、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。かかる他の共重合性単量体としては、例えば、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどの、イオン重合し得る共重合性単量体が挙げられる。芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と共に他の共重合性単量体に由来する構造単位を含有する場合、それらの結合形態は、ランダム状、テーパード状などのいずれであってもよい。
水添ブロック共重合体(a)が有する重合体ブロック(B)は、イソプレン単独、またはイソプレンとブタジエンの混合物に由来する構造単位を主として含有する。ここで言う「主として」とは、重合体ブロック(B)の質量に基づいて、イソプレン単独、またはイソプレンとブタジエンの混合物に由来する構造単位が、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%であることを意味する。
イソプレン単独、またはイソプレンとブタジエンの混合物以外の共役ジエンに由来する構造単位、例えばブタジエン単独に由来する構造単位では、1,2−結合単位の含有量を増やしても、視覚的な透明性、制振性、成形加工性、高温での圧縮永久歪みの改善に乏しく、さらには酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性の改善に乏しく、実用上の意義は少ない。
重合体ブロック(B)がイソプレンのみに由来する構造単位を主として含有する場合は、その構造単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH2−C(CH3)=CH−CH2−;1,4−結合単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(CH3)=CH2)−CH2−;3,4−結合単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH3)(CH=CH2)−CH2−;1,2−結合単位]を含有する。本発明では、重合体ブロック(B)の全構造単位において、ビニル結合含有量が45%以上である必要がある。該ビニル結合含有量は、好ましくは47%以上、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは53%以上である。ビニル結合含有量の上限に特に制限はないが、通常、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下、特に好ましくは70%以下である。以上より、ビニル結合含有量は、好ましくは47〜90%、より好ましくは50〜90%、より好ましくは50〜80%、より好ましくは50〜70%、より好ましくは53〜90%、より好ましくは53〜80%、さらに好ましくは53〜70%である。
かかるビニル結合含有量であることにより、そのような水添ブロック共重合体(a)と、特定量の軟化剤(b)および特定量のポリオレフィン樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性(流動性)が優れたものとなり、該熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形体の酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性が向上する。
なお、本明細書において、ビニル結合含有量は、実施例に記載の方法に従って、1H−NMRスペクトルの測定によって求めた値である。
また、重合体ブロック(B)がイソプレンとブタジエンの混合物に由来する構造単位を主として含有する場合は、その構造単位は、イソプレンに由来する2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチレン基、ならびにブタジエンに由来する2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH2−CH=CH−CH2−;1,4−結合単位]およびビニルエチレン基[−CH(CH=CH)−CH2−;1,2−結合単位]を含有する。本発明では、重合体ブロック(B)の全構造単位において、ビニル結合含有量が45%以上である必要がある。該ビニル結合含有量は、好ましくは47%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは53%以上である。ビニル結合含有量の上限に特に制限はないが、通常、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下、特に好ましくは70%以下である。以上より、ビニル結合含有量は、好ましくは47〜90%、より好ましくは50〜90%、より好ましくは50〜80%、より好ましくは50〜70%、より好ましくは53〜90%、より好ましくは53〜80%、さらに好ましくは53〜70%である。
該共重合体ブロックでは、イソプレンに由来する構造単位とブタジエンに由来する構造単位の結合形態は、ランダム状、ブロック状、テーパード状のいずれであってもよい。
重合体ブロック(B)が、イソプレンとブタジエンの混合物に由来する構造単位からなる場合は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の透明性、制振性および成形加工性、並びに本発明の成形体の酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性を良好に保つ観点から、イソプレン単位とブタジエン単位の合計に対するイソプレン単位の割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上である。
該重合体ブロック(B)は、本発明の目的を損なわない範囲内で、イソプレン、またはイソプレンとブタジエンに由来する構造単位と共に他の共重合性単量体に由来する構造単位を少量有していてもよい。このとき、他の共重合性単量体に由来する構造単位の割合は、重合体ブロック(B)の質量に基づいて、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。かかる他の共重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ジフェニルエチレン、1−ビニルナフタレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなどの芳香族ビニル化合物などのアニオン重合可能な共重合性単量体が挙げられる。これら他の共重合性単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。重合体ブロック(B)がイソプレン、またはイソプレンとブタジエンに由来する構造単位以外に、上記した他の共重合性単量体に由来する構造単位を有する場合、それらの結合形態は、ランダム状、テーパード状のいずれでもよい。
本発明に用いられる水添ブロック共重合体(a)は、耐熱性および耐候性が良好なものとなる点から、その重合体ブロック(B)における不飽和二重結合(炭素−炭素二重結合)の一部または全部が水素添加(「水添」と略称することもある。)されている。その際の重合体ブロック(B)の水素添加率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。なお、該水素添加率は、「水添ブロック共重合体(a)の水素添加率」として記載することもある。
なお、本明細書において、重合体ブロック(B)における不飽和二重結合の水素添加率は、実施例に記載のとおり、重合体ブロック(B)における不飽和二重結合の含有量を、水素添加の前後において、核磁気共鳴(1H−NMR)分光計によって測定し、その測定値から求めた値である。
水添ブロック共重合体(a)は、本発明の効果を著しく損なわない限り、場合により、分子鎖中および/または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基などの官能基の1種または2種以上を有していてもよい。
水添ブロック共重合体(a)は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)をそれぞれ少なくとも1個含むブロック共重合体の水素添加物である。好ましくは、水添ブロック共重合体(a)は、重合体ブロック(A)を2個以上及び重合体ブロック(B)を1個以上含むブロック共重合体の水素添加物である。重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組み合わさった結合形態のいずれであってもよいが、直線状に結合した形態が好ましく、重合体ブロック(A)を‘A’、重合体ブロック(B)を‘B'で表したときに、(A−B)l、A−(B−A)m、B−(A−B)n(式中、l、mおよびnはそれぞれ独立して1以上の整数を表す)の結合形態であるのが好ましく、ゴム弾性、力学的特性および取り扱い性などの観点から、(A−B)lまたはA−(B−A)mで表される結合形態であるのがより好ましく、A−Bで表されるジブロック構造またはA−B−Aで表されるトリブロック構造の結合形態であるのがさらに好ましい。
また、水添ブロック共重合体(a)が重合体ブロック(A)を2個以上または重合体ブロック(B)を2個以上有する場合には、それぞれの重合体ブロック(A)およびそれぞれの重合体ブロック(B)は互いに同じ構成のブロックであっても異なる構成のブロックであってもよい。例えば、〔A−B−A〕で表されるトリブロック構造における2個の重合体ブロック(A)は、それらを構成する芳香族ビニル化合物の種類が、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
水添ブロック共重合体(a)における重合体ブロック(A)の含有量は、水添ブロック共重合体(a)に対して、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。重合体ブロック(A)の含有量が上記の範囲であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物がゴム弾性および柔軟性に優れる。なお、上記した水添ブロック共重合体(a)における重合体ブロック(A)の含有量は、実施例に記載した方法により求めた値である。
水添ブロック共重合体(a)において、重合体ブロック(A)のピークトップ分子量は好ましくは10,000〜60,000であり、より好ましくは15,000〜45,000であり、さらに好ましくは30,000〜40,000である。重合体ブロック(B)のピークトップ分子量は、水素添加前の状態で、好ましくは130,000〜450,000であり、より好ましくは180,000〜430,000である。
また、水添ブロック共重合体(a)の全体のピークトップ分子量(Mp)は、水素添加後の状態で250,000〜500,000であり、好ましくは280,000〜500,000であり、より好ましくは300,000〜500,000であり、より好ましくは310,000〜500,000であり、さらに好ましくは310,000〜400,000であり、特に好ましくは310,000〜350,000である。水添ブロック共重合体(a)のピークトップ分子量(Mp)が上記の範囲内であると、嵩密度が0.10〜0.40g/mlの粉末の水添ブロック共重合体(a)が容易に得られ、該ブロック共重合体(a)は軟化剤(b)の吸収性に優れる。さらに得られる熱可塑性エラストマー組成物は高温での圧縮永久歪みおよび軟化剤(b)の保持性に優れる。
なお、本明細書でいうピークトップ分子量(Mp)は、実施例に記載したとおり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算で求めた値である。
水添ブロック共重合体(a)は、軟化剤(b)の吸収性の観点から、嵩密度が0.10〜0.40g/mlの粉末であることが重要であり、嵩密度は0.15〜0.35g/mlであることがより好ましい。嵩密度が0.10g/ml未満の場合には、取り扱い性が悪くなり、0.40g/mlを超える場合には、軟化剤(b)の吸収性が悪くなり、所望の物性および特性が得られない。なお、本明細書でいう嵩密度とは、実施例に記載したとおり、秤量した粉末状の水添ブロック共重合体(a)をメスシリンダーに入れてその容積を測定し、該水添ブロック共重合体(a)の質量をその容積で除することにより算出した値である。
<水添ブロック共重合体(a)の製造方法>
水添ブロック共重合体(a)の製造方法は、例えば、アニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重合法などの重合方法が挙げられる。アニオン重合法による場合は、例えば、アルキルリチウム化合物などを重合開始剤として用いて、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの重合反応に不活性な有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物と、イソプレン(またはイソプレンとブタジエンの混合物)とを逐次重合させ、所望の分子構造および分子量を有するブロック共重合体を製造した後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加して重合を停止させることによりブロック共重合体を製造することができる。重合は、通常、0〜80℃の温度で、0.5〜50時間行われる。
そして得られたブロック共重合体を単離した後、または好ましくは単離せずに引き続き、重合反応に不活性な有機溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加反応を行うことにより、水添ブロック共重合体(a)を得ることができる。
重合開始剤である前記アルキルリチウム化合物の例としては、アルキル残基の炭素原子数が1〜10のアルキルリチウム化合物が挙げられるが、特にメチルリチウム、エチルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウムが好ましい。これらのアルキルリチウム化合物などの開始剤の使用量は、目的とする水添ブロック共重合体(a)のピークトップ分子量(Mp)により決定されるものであるが、重合に用いられる全モノマー100質量部に対し、好ましくは、概ね0.01〜0.2質量部である。
水添ブロック共重合体(a)が有する重合体ブロック(B)において、イソプレン、またはイソプレンとブタジエンの混合物に由来する構造単位が、45%以上のビニル結合含有量を有するためには、重合の際に共触媒としてルイス塩基を用いる。ルイス塩基としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N−メチルモルホリンなどのアミン系化合物;ピリジンなどの含窒素複素環式芳香族化合物;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンなどが挙げられる。これらのルイス塩基は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ルイス塩基としては、エーテル類、アミン系化合物が好ましく、THF、TMEDAがより好ましい。
ルイス塩基の使用量は、アルキルリチウム化合物のリチウム原子1モルに対して、好ましくは、概ね0.1〜1000モルであり、より好ましくは0.1〜100モル、さらに好ましくは1〜100モルである。この範囲内で適宜調整することによって、任意にビニル結合含有量を制御すればよい。
水添反応としては、水添触媒の存在下、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの反応および水添触媒に対して不活性な有機溶媒に未水添状態のブロック共重合体を溶解させた状態で、分子状水素を反応させる方法が好ましく用いられる。水添触媒としては、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Niなどの金属をカーボン、アルミナ、珪藻土などの単体に担持させたものなどの不均一触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物などの組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒などが用いられる。反応は、通常、水素圧力が好ましくは0.1〜20MPa、より好ましくは0.1〜10MPa、反応温度が好ましくは20〜250℃、より好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは100〜200℃の条件で、好ましくは0.1〜100時間行われる。
本発明で規定する嵩密度0.10〜0.40g/mlの粉末である水添ブロック共重合体(a)は、例えば以下の方法により製造することができる。上記の水素添加反応後に濾過により水添触媒を除去した反応溶液を好ましくは40〜150℃、より好ましくは60〜150℃に加熱し、必要に応じて脂肪酸塩やポリオキシアルキレン誘導体などの界面活性剤を混和した状態で、100質量部/時の速度で80〜130℃の熱水中に供給し、また同時に1MPaのスチームを40〜60質量部/時の速度で供給し、飽和炭化水素などの不活性有機溶媒の沸点または不活性有機溶媒と水とが共沸する場合はその共沸温度以上から150℃以下の温度でスチームストリッピングした後、圧縮水絞機で好ましくは含水率55質量%(ウェットベース(WB)基準であり、以下同様である。)以下、より好ましくは45質量%以下まで脱水し、スクリュー押出機型乾燥機、エキスパンダー乾燥機、伝導伝熱型乾燥機、熱風乾燥機などを用いて60〜100℃で乾燥することにより、含水率0.1質量%以下の所望の粉末状の水添ブロック共重合体(a)を製造できる。
(軟化剤(b))
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、成形加工性などを付与する目的から、軟化剤(b)を含有してなるものである。軟化剤(b)としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系のプロセスオイル;ジオクチルフタレート、ジブチルフタレートなどのフタル酸誘導体;ホワイトオイル;ミネラルオイル;エチレンとα−オレフィンとの液状コオリゴマー;流動パラフィン;ポリブテン;低分子量(ピークトップ分子量400〜90,000程度)ポリイソブチレン;液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状ポリ(イソプレン−ブタジエン)共重合体、液状ポリ(スチレン−ブタジエン)共重合体、液状ポリ(スチレン−イソプレン)共重合体などの液状ポリジエンおよびその水添物などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、水添ブロック共重合体(a)との相容性の観点から、パラフィン系プロセスオイル;エチレンとα−オレフィンとの液状コオリゴマー;流動パラフィン;低分子量(ピークトップ分子量5,000〜80,000程度)ポリイソブチレン;液状ポリジエンおよびその水添物が好ましい。特に、液状ポリジエン(中でも、液状ポリ(スチレン−イソプレン)共重合体)およびその水添物や低分子量ポリイソブチレンであれば、本発明の成形体の酸素ガスバリア性の向上効果に一層優れ、また、パラフィン系プロセスオイルであれば、高温での圧縮永久歪みの改善効果に一層優れる。
軟化剤(b)の含有量は、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して10〜300質量部であり、成形加工性の観点から、好ましくは30〜300質量部、より好ましくは50〜300質量部、さらに好ましくは50〜270質量部である。
(ポリオレフィン樹脂(c))
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性などを向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂(c)を含有してなるものである。ポリオレフィン樹脂(c)としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ホモポリプロピレンなどのプロピレンの単独重合体、プロピレンおよびエチレンのブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)またはランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンまたはエチレンとα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数20以下のα−オレフィンが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリオレフィン樹脂(c)の中でも、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性の観点から、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンが好ましい。さらに柔軟性の観点からはホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンがより好ましく、透明性の観点からはホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂(c)の含有量は、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して5〜200質量部であり、好ましくは10〜180質量部、より好ましくは20〜150質量部、さらに好ましくは20〜120質量部である。ポリオレフィン樹脂(c)の含有量が5質量部未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の力学的強度が低下し、200質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなり柔軟性が乏しく、さらに高温での圧縮永久歪みが劣る。
(添加剤)
本発明では、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、必要に応じ、各種添加剤を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物としてもよい。かかる添加剤としては、例えば滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐光剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、銅害防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、防菌剤、防かび剤、分散剤、着色剤や、イソブチレン・イソプレン共重合体、シリコーンゴム等のゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
中でも、滑剤は本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性を向上させると共に、熱劣化を抑制する作用を有する。本発明で用いることのできる滑剤としては、例えばシリコンオイル;パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸ステアリルなどが挙げられる。
また、上記充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、ガラス繊維、カーボン繊維などが挙げられる。
(その他の添加剤;架橋剤および架橋助剤)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、所望の効果の発現を阻害しない限り、架橋を行ったものであってもよい。架橋を行う場合は、ラジカル発生剤、硫黄または硫黄化合物などの架橋剤、さらに必要に応じて架橋助剤を熱可塑性エラストマー組成物に添加して混練を行う。架橋を行う方法としては、この他、樹脂架橋法、キノイド架橋法、活性エネルギー線を用いる方法などが挙げられる。
前記ラジカル発生剤としては、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド;ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3などの過酸化ジアルキル;アセチルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどの過酸化ジアシル;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなどの過酸化エステル、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシドなどの有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸塩、金属酸化物などの無機過酸化物、アゾ化合物、モノ及びジスルフィド、金属キレート、レドックス開始剤など挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのラジカル発生剤を用いる場合は、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.05〜10質量部が使用される。
ラジカル発生剤を用いる架橋方法としては、例えば、該熱可塑性エラストマー組成物、ラジカル発生剤、および必要に応じ他の熱可塑性樹脂を加熱下で溶融混練する方法などが挙げられる。加熱温度は好ましくは140〜230℃であり、溶融混練は、押出機、ニーダー、ロール、プラストグラフなどの装置でバッチ式または連続式で行うことができる。かかる溶融混練工程により架橋反応が進行する。
前記硫黄化合物としては、例えば一塩化硫黄、二塩化硫黄などが挙げられる。硫黄または硫黄化合物を用いる場合、その添加量は、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部である。硫黄または硫黄化合物を用いて架橋を行う場合は、加硫促進剤を併用するのが極めて好ましい。
該加硫促進剤としては、例えばN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール類;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジンなどのグアニジン類;ブチルアルデヒド−アニリン反応物、ヘキサメチレンテトラミン−アセトアルデヒド反応物などのアルデヒド−アミン系反応物またはアルデヒド−アンモニア系反応物;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン類;チオカルバニリド、ジエチルウレア、ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジオルソトリルチオウレアなどのチオウレア類;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラムモノスルフィドまたはチウラムポリスルフィド類;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのチオカルバミン酸塩類;ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサントゲン酸塩類;有機過酸化物;亜鉛華などが挙げられる。これらの加硫促進剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤を併用する場合、その添加量は、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して、好ましくは0.05〜30質量部、より好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10質量部である。
硫黄を用いる架橋方法としては、例えば、熱可塑性エラストマー組成物、硫黄または硫黄化合物、加硫促進剤、および必要に応じて、他の熱可塑性樹脂をロール、バンバリーミキサーなどのミキサー類を用いて、好ましくは50〜250℃、より好ましくは80〜200℃で混練した後、好ましくは60℃以上で、より好ましくは90〜250℃で、通常好ましくは1分〜2時間、より好ましくは5分〜1時間維持することによって架橋を形成する方法が挙げられる。
樹脂架橋による架橋方法は、アルキルフェノール樹脂、臭素化アルキルフェノール樹脂などのフェノール系樹脂を架橋剤とし、塩化第一錫、塩化第二鉄、有機スルホン酸、ポリクロロプレン、クロルスルホン化ポリエチレンなどの架橋触媒を用いる。かかる方法で架橋を行う場合、架橋剤としてのフェノール樹脂の添加量は、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。一方架橋触媒の添加量は、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。架橋温度については、好ましくは100〜250℃であり、より好ましくは130〜220℃である。
キノイド架橋による架橋方法は、架橋剤としてp−キノンジオキシムと二酸化鉛、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムと四酸化三鉛の組み合わせなどを用いる。かかる方法で架橋を行う場合、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して、キノンオキシム類を好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部添加し、酸化鉛類を好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部添加する。架橋温度については、90〜250℃であるのが好ましく、より好ましくは110〜220℃である。
活性エネルギー線による架橋方法は、使用する活性エネルギー線として、α線、β線、γ線、X線、電子線、陽子線、中性子線、紫外線(UV)等の放射線が挙げられ、γ線及び電子線が好ましく、電子線がより好ましい。なお、これらの放射線を組み合わせて使用してもよい。電子線照射の照射条件は特に制限されず、加速エネルギーが通常、好ましくは150keV以上、より好ましくは300keV以上であり、照射線量が通常、好ましくは20〜600kGy、より好ましくは100〜600kGy、さらに好ましくは200〜450kGyである。また、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下又は真空中で照射を行うのが好ましい。なお、活性エネルギー線による架橋を行うに際して、有機過酸化物、硫黄または硫黄化合物、加硫促進剤を併用してもよい。
(その他の添加剤;粘着付与樹脂)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、必要に応じて、粘着付与樹脂を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物としてもよい。粘着付与樹脂としては、従来より粘着性を付与する樹脂として使用されているものを特に制限なく用いることができる。例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、これらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステルなどのロジン系樹脂;α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなどを主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などテルペン系樹脂;(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5−C9共重合系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂などの水素添加されていてもよい石油樹脂;ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン−スチレン共重合体、スチレン系モノマー−脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー−α−メチルスチレン−脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー−芳香族系モノマー(スチレン系モノマーを除く。)共重合体などのスチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン樹脂;クマロン−インデン系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性エラストマー組成物の着色抑制の観点から、水添テルペン樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂、(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂が好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に粘着付与樹脂を含有させる場合、その量は水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、耐熱性の観点から、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。なお、粘着付与樹脂の軟化点については、耐熱性の観点から、好ましくは50℃〜150℃、より好ましくは100℃〜150℃である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば(i)水添ブロック共重合体(a)、軟化剤(b)、ポリオレフィン樹脂(c)、および必要に応じて前記添加剤を予備混合してから、一軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、オープンロール、ニーダーなどの押出機または混練機を用いて溶融混練する方法、(ii)水添ブロック共重合体(a)、軟化剤(b)、ポリオレフィン樹脂(c)、および必要に応じて前記添加剤を、上記押出機または混練機の別々の仕込み口から供給して溶融混練する方法などが挙げられる。
なお、予備混合する方法としては、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダーなどの混合機を用いる方法が挙げられる。
(熱可塑性エラストマー組成物の物性・特性)
こうして得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、実施例に記載の方法に従って測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは10g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上、さらに好ましくは50g/10分以上であり、成形加工性に優れる。同様に、実施例に記載の方法に従って測定した硬度が、3〜95であり、好ましいものは3〜90、さらに好ましいものは3〜85、特に好ましいものは3〜80であり、柔軟性に優れる。実施例に記載の方法に従って測定したヘイズ値が、30〜70%であり、好ましいものは30〜60%、より好ましいものは30〜50%であり、視覚的な透明性に優れる。実施例に記載の方法に従って測定した反発弾性率が、30〜50%であり、好ましいものでは30〜45%、より好ましいものでは30〜40%であり、制振性に優れる。実施例に記載の方法に従って測定した圧縮永久歪みが、70℃、100℃、120℃のすべての条件下において、10〜65%であり、好ましいものでは10〜60%、より好ましいものでは10〜55%、さらに好ましいものでは15〜50%であり、高温での圧縮永久歪みに優れる。
[成形体]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、押出成形、射出成形、中空(ブロー)成形、圧縮成形、プレス成形、カレンダー成形などの従来公知の方法を用いて、シート、フィルム、チューブ、中空成形体、型成形体、その他の各種成形体に成形することができる。また、医療用シーリング材として用いられる各種成形体に成形することができる。
さらに、他の部材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系エラストマー、ABS樹脂、ポリアミドなどの高分子材料、金属、木材、布、不織布、石材など)と複合化することもでき、該複合体は、熱融着、溶剤接着、超音波接着、誘電接着、レーザー接着などの手法によって製造することができる。
(発泡成形体)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体は、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、発泡成形体であってもよい。発泡成形体とする場合には、各種成形体を成形する際に、熱可塑性エラストマー組成物に発泡剤を添加して成形を行う。
かかる発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などの無機系発泡剤;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのN−ニトロソ系化合物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ系化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのスルホニルヒドラジン系化合物、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのスルホニルセミカルバジド系化合物、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物などの有機系発泡剤;イソブタン、ペンタンなどの加熱膨張性化合物が、塩化ビニリデン、アクロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの熱可塑性樹脂からなるマイクロカプセルに封入された熱膨張性微粒子などを挙げることができる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱膨張性微粒子の市販品としては、松本油脂製薬株式会社製の「マイクロスフェア」(商品名、エポキシ樹脂内包マイクロカプセル)、日本フィライト株式会社製の「フィライト」(商品名、無機系マイクロバルーン)、AKZO NOBEL社製の「EXPANCEL」(商品名、有機系マイクロバルーン)などが挙げられる。前記発泡剤の中でも、人体に対する安全性の観点から、無機系発泡剤、アゾ系化合物またはスルホニルヒドラジン系化合物が好ましい。
発泡成形体を成形する場合、発泡剤の使用量は、通常、熱可塑性エラストマー組成物全体の質量に対して、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.3〜2.8質量%である。発泡剤の配合割合が0.1質量以上であれば、得られる発泡成形体の発泡倍率が十分となってゴム弾性に優れ、3質量%以下であれば、発泡セルが肥大化して、適度な独立発泡セルを有する成形体が得られなくなることを防止できる。なお、発泡剤として、上記した発泡剤をポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂によりマスターバッチ化されたものも市販されており、かかるマスターバッチを使用することもできる。その場合には、発泡剤の配合量は、マスターバッチの質量に発泡剤の配合割合を乗じた量により計算される。
また、発泡成形体を成形する場合には、必要に応じて造核剤を使用してもよい。かかる造核剤としては、例えばタルク、シリカ、アルミナ、マイカ、チタニア、酸化亜鉛、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、複合酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属水酸化物などを用いることができる。これらの造核剤を用いる場合、熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して通常、好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部含有させることにより、発泡成形体の発泡セルのセル径を容易に調整することができ、適度な柔軟性を有する発泡成形体を得ることができる。
上記造核剤の添加方法について特に制限はなく、例えば、上記熱可塑性エラストマー組成物にドライブレンドする方法、熱可塑性エラストマー組成物を製造する際に各成分と一緒に溶融混練する方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必須成分である水添ブロック共重合体(a)が軟化剤(b)の吸収性に優れるため、流動性(MFR)に優れることに由来して成形加工性に優れ、溶融混練時のハンドリング性に優れる。
該組成物からなる成形体は、柔軟性、視覚的な透明性、制振性、軟化剤の保持性、高温(例えば70〜120℃)での圧縮永久歪みに優れ、かつこれらの物性をバランス良く有する。さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体は、酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性に優れるため、医療用シーリング材として特に有用である。
酸素ガスバリア性については、具体的には、実施例に記載の方法に従って測定した酸素透過係数(単位:ml・20μm/m2・day・atm)が、3,000〜80,000の範囲内であり、好ましいものでは4,000〜80,000、より好ましいものでは4,000〜70,000、さらに好ましいものでは4,000〜60,000、特に好ましいものでは4,000〜55,000の範囲内である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、参考例、実施例、比較例における物性・特性評価は、以下に示す方法で行った。
(1)水添ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量
水素添加後のブロック共重合体(a)、(a’)をCDCl3に溶解して1H−NMRスペクトルを測定[装置:JNM−Lambda 500(日本電子株式会社製)、測定温度:50℃]し、スチレンに由来するピーク強度から重合体ブロック(A)の含有量を算出した。
(2)ピークトップ分子量(Mp)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により、水素添加前の重合体ブロック(A)と、水素添加後の水添ブロック共重合体(a)、(a’)それぞれについて、ポリスチレン換算のピークトップ分子量(Mp)を求めた。
機器:ゲルパーミエーションクロマトグラフ「HLC−8020」(東ソー株式会社製)
カラム:G4000HXL(東ソー株式会社製)×2本
溶離液:テトラヒドロフラン、流量:1ml/分
注入量:150μl
濃度:5mg/10ml(ブロック共重合体/テトラヒドロフラン)
カラム温度:40℃
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
検出方法:示差屈折率(RI)
(3)水添ブロック共重合体(a)、(a’)の水素添加率
水素添加前後におけるブロック共重合体のヨウ素価を測定し、その測定値により水添ブロック共重合体(a)または(a’)の水素添加率(%)を算出した。

水素添加率(%)={1−(水素添加後のブロック共重合体のヨウ素価/水素添加前のブロック共重合体のヨウ素価)}×100
(4)重合体ブロック(B)のビニル結合含有量
水素添加前のブロック共重合体をCDCl3に溶解して1H−NMRスペクトルを測定[装置:JNM−Lambda 500(日本電子株式会社製)、測定温度:50℃]し、イソプレン、ブタジエン、またはイソプレンとブタジエンの混合物由来の構造単位の全ピーク面積と、イソプレン構造単位における3,4−結合単位および1,2−結合単位、ブタジエン構造単位における1,2−結合単位、またイソプレンとブタジエンの混合物の場合にはそれぞれの前記結合単位に対応するピーク面積の比からビニル結合含有量(3,4−結合単位と1,2−結合単位の含有量の合計)を算出した。
(5)嵩密度
秤量した粉末状の水添ブロック共重合体(a)または(a’)をメスシリンダーに入れてその容積を測定し、該水添ブロック共重合体(a)または(a’)の質量をその容積で除することにより算出した。
(6)軟化剤(b)の吸収性
以下の実施例または比較例に記載の熱可塑性エラストマー組成物を構成する各成分をプレブレンドした状態の混合物15kgを、スーパーミキサー「XEM−B−554」(商品名、株式会社カワタ製、内容積:100l)を用いて、1000rpmで5分間予備混合し、取り出してから10分後に安息角60°のホッパーに投入し、その状態を観察し、下記評価基準に従って評価した。
○:水添ブロック共重合体(a)または(a’)と軟化剤(b)とが分離せずにホッパーから自然落下した。
×:水添ブロック共重合体(a)または(a’)と軟化剤(b)とが分離したこと、若しくはホッパーから自然落下しなかったこと、またはその両方が確認された。
(7)硬度(柔軟性)
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、射出成形機(「IS−55EPN」、東芝機械株式会社製)により200℃で射出成形して、縦110mm、横110mm、厚み2mmのシート状試験片を作製し、JIS K 6253に準拠し、該射出成形シートを3枚重ねて厚み6mmの硬度を測定した。硬度計はタイプAデュロメータを用い、測定値は瞬間の数値を記録した。タイプA硬度が好ましくは95以下、より好ましくは90以下、さらに好ましくは85以下であると、得られる成形体は柔軟性に優れる。
(8)メルトフローレート[MFR](成形加工性)
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、JIS K 7210に準拠し、キャピラリーから吐出される単位時間当たりの熱可塑性エラストマー組成物の重量を計測して、成形加工性の指標とした。なお、測定温度は230℃、荷重は49.0Nで行った。
かかる条件で測定したMFRが好ましくは10g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上であることにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物が成形加工性に優れることを示す。
(9)軟化剤(b)の保持性
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、射出成形機(「IS−55EPN」、東芝機械株式会社製)により200℃で射出成形して、縦110mm、横110mm、厚み2mmのシート状試験片を作製し、箱型乾燥機(「PO−50」、株式会社松井製作所製)中に50℃で10日間静置した後、試験片の表面のオイルブリードの有無を目視にて確認した。かかる条件でオイルブリードがなければ、得られる成形体は軟化剤(b)の保持性に優れる。
○:オイルブリードなし。
×:オイルブリードあり。
(10)ヘイズ値(視覚的な透明性)
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、射出成形機(「IS−55EPN」、東芝機械株式会社製)により200℃で射出成形して、縦110mm、横110mm、厚さ2mmのシート状試験片を作製し、透明性測定に関するJIS K 7105に規定された方法に準拠して、当該厚さ2mmのシートのヘイズ値を反射・透過率計(「HR−100型」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。ヘイズ値が、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。ヘイズ値が前記範囲内であることにより、得られる成形体は視覚的な透明性に優れる。
(11)反発弾性率(制振性)
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、圧縮成形機により200℃、3分間圧縮成形し、直径29.0±0.5mm、厚さ12.5±0.5mmの円柱状試験片を作製した。この試験片を用い、JIS K 6255に準拠して、リュプケ式反発弾性試験機によって25℃の反発弾性率を測定した。反発弾性率の値が小さいほど制振性に優れる。反発弾性率は、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。反発弾性率が前記範囲内であることにより、得られる成形体は制振性に優れる。
(12)酸素透過係数(酸素ガスバリア性)
JIS K 7126−1(差圧法)に準拠し、差圧式のガスクロ法により、酸素透過係数(ml・20μm/m2・day・atm)を測定した。
具体的には、以下の実施例および比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物を圧縮成形機により230℃、2分間圧縮成形し、厚さ300μmのフィルム状試験片を作製し、該試験片を用いて、ガス透過率測定装置(「GTR−10」、柳本製作所製)を用いて酸素圧0.25MPa、測定温度35℃、測定湿度0%RHにて測定を行った。なお、測定値は20μmに換算した値である。
酸素透過係数が、好ましくは80000ml・20μm/m2・day・atm以下、より好ましくは70000ml・20μm/m2・day・atm以下、さらに好ましくは60000ml・20μm/m2・day・atm以下であると、酸素ガスバリア性に優れる。
(13)圧縮永久歪み
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、圧縮成形機により200℃、3分間圧縮成形し、直径13.0±0.5mm、厚さ6.3±0.3mmの円柱状試験片を作製した。この円柱状試験片を用い、JIS K 6262に準拠し、70℃、100℃および120℃の3点の温度それぞれにおける、25%圧縮変形を22時間保った後の圧縮永久歪みを測定した。この値が小さいほど高温での圧縮永久歪みに優れる。好ましくは70℃、100℃、120℃全ての条件下で65%以下、より好ましくは70℃、100℃、120℃の全ての条件下で60%以下、さらに好ましくは70℃、100℃、120℃の全ての条件下で55%以下である。圧縮永久歪みが前記範囲内であることにより、得られる成形体が高温での圧縮永久歪みに優れる。なお、測定中に円柱状試験片に亀裂が発生し破損した場合は、「×」と表記した。
(14)栓体の性能評価
(i)耐液漏れ性(密封性)
以下の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、溶融温度200℃、プレス圧力10MPaの条件下にプレス成形を行って、直径2.1cm×長さ2.0cmの円柱状の栓体を製造した。
内容積500mlの透明なガラス製のボトルに水500mlを充填した後、ボトルの口部(直径2.0cm×長さ2.0cm)に栓体を差し込んで密封し、加圧釜に入れて120℃で60分間加熱した後取り出して、ボトルの口部における液漏れの有無を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
○:液漏れがない
×:液漏れが生じた
(ii)耐コアリング性
上記(i)と同様にして直径2.1cm×長さ2.0cmの円柱状の栓体を製造した。上記の(i)で用いたのと同様の透明なガラス製のボトルに水500mlを充填した後、ボトルの口部(直径2.0cm×長さ2.0cm)に栓体を該栓体の上面部が該ボトル口部と平面を形成するまで差し込んで密封した。さらにその上にアルミキャップを巻き締めて被せ、アルミキャップの中央部分を取り除いてから、栓体の中央より標準注射針(22G)を、針を回転させることなく、かつ栓体の上面に対して垂直に差し込み場所をずらして10回貫通させた。
注射針の貫通によって栓体から切り離されて水中に浮いている熱可塑性エラストマー組成物細片の数を数えてコアリング性の評価を行った。水中に浮いている細片の数が少ないほど、耐コアリング性が良好である。
(iii)針刺し後の耐液漏れ性
上記の(i)と同様にして直径2.1cm×長さ2.0cmの円柱状の栓体を製造した。上記の(i)で用いたのと同様の透明なガラス製のボトルに水500mlを充填した後、ボトルの口部(直径2.0cm×長さ2.0cm)に栓体を該栓体の上面部が該ボトル口部と平面を形成するまで差し込んで密封し、栓体の表面外側から注射針(22G)を刺し、それとは別にエアー抜き用の針を栓体に刺して、ボトルを倒立させ、ボトル内の水が150mlになるまで注射針を通してボトル内の水を外部に流出させ、次いで注射針を抜いて、その際に水の流出の有無を目視により観察し、下記評価基準に従って評価した。
○:液漏れがない
×:液漏れが生じた
参考例1(水添ブロック共重合体(a)−1の製造)
乾燥した窒素で置換された耐圧容器に、スチレン1.84kgおよび溶媒としてシクロヘキサン55.8kgを仕込んだ。この溶液に、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)45mlを加え、60℃で1時間重合させた。次いで、この反応混合物にルイス塩基としてテトラヒドロフラン305gを加えた後、イソプレン8.57kgを加えて2時間重合を行い、さらにスチレン1.84kgを加えて1時間重合することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応液を得た。分析用にごく少量をサンプリングした後、該反応液に、水素添加触媒としてパラジウムカーボン(パラジウム担持量:5質量%)を該共重合体に対して5質量%添加し、水素圧力2MPa、150℃の条件で5時間、水添反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去した後、濾液を再び80℃に加温し、これを110℃の熱水に100kg/時の速度で供給した。また同時に1MPaのスチームを50kg/時の速度で供給し、反応容器内温度110±2℃でスチームストリッピングを行った。得られたスラリーを圧縮水絞機により45%にまで脱水し、120℃のプレートドライヤーで加熱乾燥して、含水率0.1質量%の粉末状のポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、水添ブロック共重合体(a)−1と称する)を得た。得られた水添ブロック共重合体(a)−1の水素添加率は97.2%であり、重合体ブロック(A)含有量は29.4質量%、重合体ブロック(A)のピークトップ分子量は37,500、水添ブロック共重合体(a)−1のピークトップ分子量(Mp)は315,000、重合体ブロック(B)のビニル結合含有量は55.2%、嵩密度は0.22g/mlであった。
水添ブロック共重合体(a)−1の物性データを表1にまとめる。
参考例2(水添ブロック共重合体(a’)−2の製造)
参考例1において、溶媒としてシクロヘキサンを55.8kg、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)59ml、ルイス塩基としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン99g、重合させるモノマーとしてスチレン1.84kg、ブタジエン8.57kg、スチレン1.84kgを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応、水添反応、脱触媒および乾燥を行い、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物を得た(以下、水添ブロック共重合体(a’)−2と称する)。得られた水添ブロック共重合体(a’)−2の水素添加率は98.8%であり、重合体ブロック(A)含有量は29.3質量%、重合体ブロック(A)のピークトップ分子量は28,500、水添ブロック共重合体(a’)−2のピークトップ分子量(Mp)は309,000、重合体ブロック(B)のビニル結合含有量は73.2%、嵩密度は0.20g/mlであった。
水添ブロック共重合体(a’)−2の物性データを表1にまとめる。
参考例3(水添ブロック共重合体(a’)−3の製造)
参考例1において、溶媒としてシクロヘキサンを55.8kg、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)53ml、ルイス塩基を加えず、重合させるモノマーとしてスチレン1.59kg、イソプレンとブタジエンの混合物[イソプレン/ブタジエン=55/45(モル比)]7.44kg、スチレン1.59kgを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応、水添反応、脱触媒および乾燥を行い、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物を得た(以下、水添ブロック共重合体(a’)−3と称する)。得られた水添ブロック共重合体(a’)−3の水素添加率は98.9%であり、重合体ブロック(A)含有量は29.4質量%、重合体ブロック(A)のピークトップ分子量は27,500、水添ブロック共重合体(a’)−3のピークトップ分子量(Mp)は303,000、重合体ブロック(B)のビニル結合含有量は8.1%、嵩密度は0.22g/mlであった。
水添ブロック共重合体(a’)−3の物性データを表1にまとめる。
参考例4(水添ブロック共重合体(a’)−4の製造)
参考例1において、溶媒としてシクロヘキサンを55.8kg、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)26ml、ルイス塩基を加えず、重合させるモノマーとしてスチレン1.25kg、イソプレンとブタジエンの混合物[イソプレン/ブタジエン=55/45(モル比))]5.83kg、スチレン1.25kgを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応、水添反応、脱触媒および乾燥を行い、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物を得た(以下、水添ブロック共重合体(a’)−4と称する)。得られた水添ブロック共重合体(a’)−4の水素添加率は98.7%であり、重合体ブロック(A)含有量は29.4質量%、重合体ブロック(A)のピークトップ分子量は45,800、水添ブロック共重合体(a’)−4のピークトップ分子量(Mp)は495,000、重合体ブロック(B)のビニル結合含有量は7.4%、嵩密度は0.23g/mlであった。
水添ブロック共重合体(a’)−4の物性データを表1にまとめる。
参考例5(水添ブロック共重合体(a’)−5の製造)
参考例1において、溶媒としてシクロヘキサンを55.8kg、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)65ml、ルイス塩基としてテトラヒドロフラン312g、重合させるモノマーとしてスチレン2.02kg、イソプレン9.90kg、スチレン2.02kgを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応、水添反応、脱触媒および乾燥を行い、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物を得た(以下、水添ブロック共重合体(a’)−5と称する)。得られた水添ブロック共重合体(a’)−5の水素添加率は97.0%であり、重合体ブロック(A)含有量は28.5質量%、重合体ブロック(A)のピークトップ分子量は26,000、水添ブロック共重合体(a’)−5のピークトップ分子量(Mp)は225,000、重合体ブロック(B)のビニル結合含有量は58.2%、嵩密度は0.44g/mlであった。
水添ブロック共重合体(a’)−5の物性データを表1にまとめる。
Figure 2011040586
参考例6(軟化剤(b)−3の製造)
参考例1において、溶媒としてシクロヘキサンを55.8kg、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)5971ml、ルイス塩基を加えず、重合させるモノマーとしてスチレン12.55kg、イソプレン71.10kgを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応および水添反応を行い、ポリスチレン−ポリイソプレンジブロック共重合体の水素添加物を液状物質として得た(以下、軟化剤(b)−3と称する)。
得られた軟化剤(b)−3の水素添加率は98.7%であり、スチレン重合体ブロック含有量は14.5質量%、ピークトップ分子量は31,500であった。
実施例1〜10および比較例1〜18
各成分を、表2〜4に示す配合(単位:質量部)で予備混合した後、二軸押出機(東芝機械株式会社製「TEM−35B」)に供給して、シリンダー温度210℃およびスクリュー回転数200rpmの条件下に溶融混練し、ストランド状に押出し、次いで二軸押出機に接続したペレタイザーにより切断して、熱可塑性エラストマー組成物のペレットをそれぞれ製造した。
得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、上記方法によりMFRを測定し、さらにそれぞれの該ペレットを用いて各試験片をそれぞれ作製し、前記方法により軟化剤の吸収性、硬度、軟化剤の保持性、ヘイズ値、反発弾性率、酸素透過係数、圧縮永久歪み、栓体の性能(耐液漏れ性、耐コアリング性、針刺し後の耐液漏れ性)を測定した結果を、表2〜4に示す。
なお、表2〜4に記載されている各成分は、下記のとおりである。
・軟化剤(b)−1:ダイアナプロセスオイルPW−90(パラフィン系プロセスオイル、出光興産株式会社製)
・軟化剤(b)−2:低分子量ポリイソブチレン、エクソンモービル・ケミカル社製 Vistanex LM−MS−LC、ピークトップ分子量=51,700
・ポリオレフィン樹脂(c)−1:ランダムポリプロピレン、株式会社プライムポリマー製 F327〔MFR7g/10分(230℃、21.2N荷重)〕
・ポリオレフィン樹脂(c)−2:ホモポリプロピレン、株式会社プライムポリマー製 J107G〔MFR30g/10分(230℃、21.2N荷重)〕
Figure 2011040586
Figure 2011040586
Figure 2011040586
表2より、実施例1〜10で得られた熱可塑性エラストマー組成物は、軟化剤(b)の吸収性、硬度、成形加工性、軟化剤(b)の保持性、視覚的な透明性、制振性および高温での圧縮永久歪みに優れ、かつこれらの物性がバランス良く優れた値を有することがわかる。さらに、実施例1〜10で得られた熱可塑性エラストマー組成物から成形した成形体は酸素ガスバリア性に優れ、かつ栓体は、耐液漏れ性、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性のいずれにも優れていることがわかる。
これに対して、表3より、比較例1で得られた熱可塑性エラストマー組成物は、その成分である水添ブロック共重合体(a')−2を構成する重合体ブロック(B)がブタジエン単位のみから構成されていることに起因して、反発弾性率および120℃での圧縮永久歪みが悪化していることがわかる。
表3および4より、比較例2〜9、16および17では、水添ブロック共重合体(a')−3を構成する重合体ブロック(B)のビニル結合含有量が8.1%と、本発明の規定よりも小さい値であることに起因して、硬度、MFR、ヘイズ値、反発弾性率、高温での圧縮永久歪みなどが悪化していることがわかる。
具体的には、比較例2および3では、MFR、ヘイズ値および反発弾性率が悪化している。特に、比較例2では、栓体の耐コアリング性が悪い。比較例4では、ヘイズ値が悪化し、栓体の耐コアリング性も満足のいくものではない。比較例5では、ヘイズ値が悪化しており、栓体の耐液漏れ性が悪い。比較例6では、硬度、ヘイズ値および120℃での圧縮永久歪みが悪化し、かつ栓体の耐液漏れ性および針刺し後の耐液漏れ性が悪化している。比較例7では、反発弾性率、酸素透過係数および120℃での圧縮永久歪みが悪化し、かつ栓体の耐コアリング性が悪化している。比較例8では、反発弾性率、酸素透過係数および120℃での圧縮永久歪みが悪化しており、栓体の耐コアリング性と針刺し後の耐液漏れ性が悪い。比較例9では、ヘイズ値および反発弾性率が悪化し、栓体の耐コアリング性も満足のいくものではない。比較例16では、ヘイズ値および反発弾性率が悪化し、100℃および120℃での圧縮永久歪みが悪化している。比較例17では、ヘイズ値および反発弾性率が悪化し、MFRが悪化し、栓体の耐コアリング性も満足のいくものではなく、針刺し後の耐液漏れ性は悪い。
比較例10では、その成分である水添ブロック共重合体(a')−4を構成する重合体ブロック(B)のビニル結合量が7.4%と、本発明の規定よりも小さい値であることに起因して、MFR、ヘイズ値および反発弾性率が悪化し、栓体の耐コアリング性も満足のいくものではない。
比較例11および12では、その成分である水添ブロック共重合体(a')−5のピークトップ分子量(Mp)が225,000で本発明の規定よりも小さい値であり、かつ嵩密度が0.44g/mlと本発明の規定の範囲外であることに起因して、軟化剤(b)の吸収性および保持性、ならびに各測定温度での圧縮永久歪みが悪化している。特に、比較例11では、栓体の耐液漏れ性が悪く、比較例12では、栓体の耐液漏れ性、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性の全てが悪い。なお、比較例12の組成物においては、予備混合した時点で軟化剤(b)の吸収状態が悪く、さらに二軸押出機で溶融混練したが、明らかに分散不良が発生し、妥当なペレットが得られず、各物性測定用試験片を成形することができなかった(表4では「測定不可」と記した)。
比較例13では、軟化剤(b)およびポリオレフィン樹脂(c)の配合量が、本発明の規定を外れていることに起因して、酸素透過係数が悪化し、さらに、100℃、120℃での圧縮永久歪み測定において試験片が破損し、耐熱性が著しく悪化している。また、栓体の耐コアリング性と針刺し後の耐液漏れ性が悪い。
比較例18では、軟化剤(b)の配合量が本発明の規定を外れていることに起因して、酸素透過係数が悪化し、さらに、100℃、120℃での圧縮永久歪み測定において試験片が破損し、耐熱性が著しく悪化している。また、栓体の耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性が悪い。
比較例14では、軟化剤(b)を含有していないことに起因して、硬度、MFR、ヘイズ値および100℃、120℃での圧縮永久歪みが悪化している。
比較例15では、その成分である水添ブロック共重合体(a')−5のピークトップ分子量(Mp)が225,000で本発明の規定よりも小さい値であり、かつ嵩密度が0.44g/mlと本発明の規定の範囲外であること、および軟化剤(b)を含有していないことに起因して、硬度および70℃、100℃、120℃での圧縮永久歪みが悪化している。また、栓体の耐液漏れ性が悪い。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、成形加工性、視覚的な透明性、制振性、軟化剤の保持性および高温での圧縮永久歪みに優れ、かつこれらの物性をバランス良く有することから、シート、フィルム、板状体、チューブ、ホース、ベルトなどの様々な成形品に用いることができる。
例えば、防振ゴム、マット、シート、クッション、ダンパー、パッド、マウントゴムなどの各種防振・制振部材;スポーツシューズ、ファッションサンダルなどの履物用途;テレビ、ステレオ、掃除機、冷蔵庫などの家電用品用途;建築物の扉、窓枠に使用するシーリング用パッキンなどの建材用途;バンパー部品、ボディーパネル、ウェザーストリップ、グロメット、インパネなどの表皮、エアバッグカバーなどの自動車内装・外装部品用途;はさみ、ドライバー、歯ブラシ、スキーストックなどにおける各種グリップ類;食品ラップフィルム等の食品用包装材;保護フィルム;輸液バッグ、シリンジ、カテーテルなどの医療用具;食品、飲料、薬などを貯蔵する容器用の栓、キャップライナーなどの広範囲の用途に有効に使用することができる。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体は、酸素ガスバリア性、耐液漏れ性(密封性)、耐コアリング性および針刺し後の耐液漏れ性に優れるため、医療用シール材、例えば医薬品を内容物とする容器の栓体、輸液バッグにおける輸液システム接続部分のシーリング材、輸液用止栓、減圧採血管用のシール材またはパッキング材、シリンジ用ガスケットなどの医療分野で内容物を密封するために用いられる部材として有用である。

Claims (4)

  1. 芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロック(A)と、イソプレンまたはイソプレンおよびブタジエンの混合物に由来する構造単位を含有し、3,4−結合単位および1,2−結合単位の含有量の合計が45%以上である重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体の水素添加物であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン換算で求めたピークトップ分子量(Mp)が250,000〜500,000であり、かつ嵩密度が0.10〜0.40g/mlの粉末である水添ブロック共重合体(a)100質量部、
    軟化剤(b)10〜300質量部、および
    ポリオレフィン樹脂(c)5〜200質量部
    を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記重合体ブロック(B)がイソプレンに由来する構造単位からなる、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
  4. 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる医療用シーリング材。
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