JP4489445B2 - 熱収縮性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、熱収縮性フィルムに関する。本発明で得られる熱収縮性フィルムは収縮性に優れ、かつ処理温度(熱)による収縮率の変化(差)が小さいという特性を有すると共に、透明性、印刷性、ヒートシール性、溶剤接着性、延伸性に優れており、熱収縮性フィルムが用いられている包装、ラベルなどの用途に有効に使用することができる。
収縮包装用、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂製ボトルの被覆ラベル用などの用途に用いられる熱収縮性フィルムは、従来、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステルを主成分としている。
ポリ塩化ビニル系熱収縮性フィルムは、力学的強度、光沢、透明性に優れ、比較的低温で目的とする収縮率を達成することができ、かつ処理可能な温度範囲が広く、安価であることから広く使用されていた。しかしながら、ポリ塩化ビニル系熱収縮性フィルムはヒートシール強度が低く、また溶断シールの際に有毒ガス(例えば塩化水素などの塩素系ガス)を発生して包装用の機械を腐食すること、ポリ塩化ビニル樹脂中の可塑剤等の添加剤が経時的にブリードアウトし塵埃の付着等により汚れが生ずると共に、安全性の点でも好ましくないこと、さらに廃棄後、燃焼させると有毒ガスを発生することなどの問題点を有する。
この様な環境問題の観点から、近年は、塩素を含まない、ポリエステルまたはポリオレフィンを主成分とした熱収縮性フィルムが使用されている。
ポリエステル系熱収縮性フィルムは、良好な力学的強度を有するが、処理温度による熱収縮率の変化が大きいため、シワ、歪みなどの収縮ムラが発生しやすく、ボトル等の容器に被覆させて収縮する際に、フィルムに印刷した文字や模様が歪んだり、容器に対するフィルムの密着性が十分でなかったりするなどの問題点を有する。このような収縮ムラを改善するべく、例えば特定の構造のジオール成分を有するポリエステルを用いた熱収縮性ポリエステルフィルムが開示されている(特許文献1参照)。
また、ポリオレフィン系熱収縮性フィルム、中でもポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、比較的透明性や光沢が良好で、他の材料からなる熱収縮性フィルムと比較して耐熱性、力学的強度に優れている。また、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂製ボトル等の容器の被覆ラベル用途としてポリプロピレン系熱収縮性フィルムを使用する場合、廃棄後の粉砕物からポリプロピレン系樹脂を分別する際に、ポリプロピレン系樹脂の比重は1.0未満、一方ポリエステル系樹脂の比重は1.3〜1.5であるので、比重差を利用して高精度の分離が可能となることが開示されている(特許文献2参照)。
なお、ポリオレフィン系フィルム、中でも比較的透明性や光沢が良好なポリプロピレン系フィルムは熱収縮を必要としない包装フィルム用途にも以前から用いられて、その透明性と柔軟性を改良すべく、例えばポリプロピレン系樹脂と水添イソプレン系ブロック共重合体との混合物からなるシート状物成型用組成物が開示されている(特許文献3参照)。
特開平5−261816号公報 特開2002−166472号公報 特開平6−73246号公報
特許文献1で開示されている熱収縮性ポリエステルフィルムは、特別な構造をもつモノマーを用いる必要があるという問題点を有する。
一方、特許文献2で開示されているポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、一般のポリエステル系熱収縮性フィルムと同様に処理温度による収縮率の変化が大きいため、シワ、歪みなどの収縮ムラが発生しやすく、ボトル等の容器に被覆させて収縮する際に、フィルムに印刷した文字や模様が歪んだり、容器に対するフィルムの密着性が十分でなかったりするなどの問題点を有する。
また、ポリプロピレン系樹脂は高融点であるため、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムをヒートシールで接合する際に、シール温度領域を比較的高く設定する必要があり、被覆物への熱による悪影響などの問題が生じやすい。同様に、フィルムを延伸する際にも延伸温度を高く設定する必要があり、低温での延伸が困難などの問題点を有する。さらに、ポリ塩化ビニル系熱収縮性フィルムやポリエステル系熱収縮性フィルムは溶剤接着が可能であるが、その際に使用されるテトラヒドロフラン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、塩化メチレン、酢酸メチルなどにポリプロピレン系樹脂は溶解しないため、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムをこれらの溶剤で接着するのは困難であるなどの問題がある。
そして、ポリプロピレン系熱収縮性フィルムは印刷性が悪く、印刷面に予めコロナ放電処理などの表面処理を施す必要があるなどの問題を有する。
しかして、本発明の目的は、収縮性に優れ、温度による熱収縮率変化が小さく、透明性、印刷性、ヒートシール性、溶剤接着性、延伸性に優れる熱収縮性フィルムを提供することにある。
本発明によれば、上記の目的は、(a)ポリプロピレン系重合体100質量部に対し、(b)芳香族ビニル化合物を主体とするブロックAと共役ジエン系化合物を主体とするブロックBより構成され、ブロックAの含有量が5〜55質量%であり、ブロックB中に含有される共役ジエン化合物に基づく炭素−炭素二重結合の水素添加率が50%以上であり、−40℃〜60℃の範囲にガラス転移点を有するブロック共重合体5〜200質量部;を含有する樹脂組成物からなるフィルムを少なくとも1軸方向に延伸してなる熱収縮性フィルム、を提供することにより達成される。
本発明の好適な実施態様は、
・上記ブロック共重合体(b)が、芳香族ビニル化合物を主体とするブロックAと共役ジエン系化合物を主体とするブロックBより構成されるA−B型ジブロック共重合体であることを特徴とする上記の熱収縮性フィルム;
・延伸後のヘイズが3%以下であり、80℃で3分処理した後の延伸方向への収縮率が20%以上であることを特徴とする上記の熱収縮性フィルム;である。
本発明によれば、収縮性に優れ、処理温度による収縮率の変化が小さく、透明性、印刷性、ヒートシール性、溶剤接着性、延伸性に優れる熱収縮性フィルムを得ることができる。
本発明の熱収縮性フィルムを構成する樹脂組成物に用いるポリプロピレン系重合体(a)としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンのブロックまたはランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンのブロックまたはランダム共重合体が挙げられる。かかる共重合体におけるα−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの好ましくは炭素数20以下のα−オレフィンが挙げられる。ポリプロピレン系重合体(a)は、エチレンおよび/または上記したα−オレフィンの1種または2種以上をその構成単位に含んでいてもよい。中でも、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体などを好ましく用いることができる。
本発明の熱収縮性フィルムを構成する樹脂組成物に用いるブロック共重合体(b)の、ブロックAを構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらの中でもスチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましい。ブロックAは、これらの芳香族ビニル化合物の1種類のみで構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。
ブロックAは、本発明の目的および効果の妨げにならない限り、他の重合性単量体、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン系化合物などを少量(好ましくはブロックA全体の質量の20質量%以下)含んでもよい。
ブロック共重合体(b)のブロックBを構成する共役ジエン系化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。ブロックBは、これらの共役ジエン系化合物の1種類のみで構成されていてもよいし、2種以上の共役ジエン系化合物で構成されていてもよい。これらの中でも1,3−ブタジエン、イソプレンまたは1,3−ブタジエンおよびイソプレンの混合物が好ましい。ブロックBが2種以上の共役ジエン系化合物(例えば1,3−ブタジエンおよびイソプレン)の混合物で構成されている場合、その混合比や重合形態(ブロック、ランダムなど)に特に制限はない。
ブロックBは、本発明の目的および効果の妨げにならない限り、他の重合性単量体、例えばスチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物などを少量(好ましくはブロックB全体の質量の10質量%以下)含んでもよい。
ブロック共重合体(b)におけるブロックAの割合は5〜55質量%の範囲である必要があり、5〜50質量%の範囲であるのが好ましく、10〜40質量%の範囲であるのがより好ましい。ブロック共重合体(b)におけるブロックAの割合が55質量%を超える場合には、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの処理温度による収縮率の変化が大きくなり、また透明性が不十分となる。一方、5質量%未満の場合は調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムをロールなどに巻き取った際、該フィルム自身が膠着を起こしやすくなる。
ブロック共重合体(b)におけるブロックBは、そのブロック中に含まれる共役ジエン系化合物に基づく炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加されている必要があり、70%以上が水素添加されているのが好ましく、80%以上が水素添加されているのがより好ましい。ブロック共重合体(b)におけるブロックBの水素添加率が50%に満たない場合は、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの透明性、延伸性および耐熱性が不十分となる。
ブロック共重合体(b)は、−40〜60℃の温度範囲にガラス転移点を有する必要があり、−35〜35℃の温度範囲であるのが好ましく、−35〜25℃の温度範囲であるのがより好ましい。ブロック共重合体(b)のガラス転移点が−40℃未満であると、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの処理温度による収縮率の変化が大きくなり、また透明性が十分に得られず、ヒートシール性、延伸性が劣る。またガラス転移点が60℃を超える場合は、熱収縮性フィルムの透明性が不十分となる。
ブロック共重合体(b)の重量平均分子量は30000〜800000の範囲であるのが好ましく、50000〜400000の範囲であるのがより好ましく、70000〜200000の範囲であるのがさらに好ましい。ブロック共重合体(b)の重量平均分子量が30000より小さい場合には、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの力学的強度が低下する傾向となり、一方、800000を越えるとブロック共重合体(b)の溶融粘度が高くなり、加工性が悪化する傾向となる。
なお、本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
また、ブロック共重合体(b)の芳香族ビニル化合物を主体とするブロックAの重量平均分子量は2500〜50000の範囲であるのが好ましく、3000〜40000の範囲であるのがより好ましく、3500〜35000の範囲であるのがさらに好ましい。
ブロック共重合体(b)における芳香族ビニル化合物を主体とするブロックAと共役ジエン系化合物を主体とするブロックBの結合様式は、線状、分岐状、放射状、あるいはこれらの任意の組み合わせであってよい。例えばブロックAをAで、ブロックBをBで表したとき、A−Bで表されるジブロック共重合体、A−B−A、B−A−Bで表されるトリブロック共重合体、A−B−A−Bで表されるテトラブロック共重合体、B−A−B−A−B、A−B−A−B−Aで表されるペンタブロック共重合体、(A−B)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表し、nは2以上の整数を表す)、およびそれらの混合物などが挙げられる。
これらの中でも、ブロック共重合体(b)として、A−Bで表されるジブロック共重合体を用いるのが、処理温度による収縮率の変化が小さく、かつ透明性、ヒートシール性、溶剤接着性、延伸性に優れる熱収縮性フィルムが得られるという観点から特に好ましい。
ブロック共重合体(b)は、例えばアニオン重合法により得られる。具体的には、(イ)アルキルリチウム化合物を開始剤として芳香族ビニル化合物、共役ジエン系化合物を逐次重合させる方法;(ロ)アルキルリチウム化合物を開始剤として芳香族ビニル化合物、共役ジエン系化合物を逐次重合させ、次いでカップリング剤を加えてカップリングする方法;(ハ)ジリチウム化合物を開始剤として共役ジエン系化合物、次いで芳香族ビニル化合物を逐次重合させる方法などが挙げられる。
アルキルリチウム化合物としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウムなどが挙げられる。カップリング剤としてはジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジブロモベンゼンなどが挙げられる。また、ジリチウム化合物としてはナフタレンジリチウム、ジリチオヘキシルベンゼンなどが挙げられる。
これらのアルキルリチウム化合物、ジリチウム化合物などの開始剤およびカップリング剤の使用量は、求めるブロック共重合体(b)の重量平均分子量により決定されるものであるが、重合に用いる芳香族ビニル化合物および共役ジエン系化合物の合計量の100質量部あたり、アルキルリチウム化合物、ジリチウム化合物などの開始剤は、通常、0.01〜0.2質量部の範囲の量で、一方、カップリング剤を使用する場合は、通常、0.001〜0.8質量部の範囲で用いられる。
重合は、溶媒の存在下で行うのが好ましい。溶媒としては、開始剤に対して不活性で、反応に悪影響を及ぼさなければ特に制限はなく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの飽和脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素が挙げられる。
重合は、上記したいずれの方法による場合も、通常、0〜80℃の温度範囲で、0.5〜50時間の範囲で行うことができる。
なお、−40℃〜60℃の温度範囲にガラス転移点を有するブロック共重合体(b)を得るため、重合の際に共触媒としてルイス塩基、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどのアミン類などを添加して、ブロック共重合体(b)のブロックBを構成する共役ジエン化合物単位の結合様式、具体的には1,2−結合単位および3,4−結合単位の含有量を30%以上、好ましくは45%以上、より好ましくは55%以上に制御する。
これらのルイス塩基は、1種類を単独で添加しても、2種以上を混合して添加してもよい。ルイス塩基の添加量は、上記した、ブロックBを構成する共役ジエン化合物単位の結合様式をどの程度制御するかにより決定される量であり、厳密な意味での制限はないが、通常、開始剤として用いるアルキルリチウム化合物またはジリチウム化合物に含有されるリチウム1グラム原子あたり0.1〜1000モルの範囲であり、1〜100モルの範囲であるのがより好ましい。
上記した方法により重合を行なった後、重合反応液に含まれるブロック共重合体を、メタノールなどのこれらのブロック共重合体の貧溶媒に注いで凝固させるか、または重合反応液をスチームと共に熱水中に注いで溶媒を共沸によって除去(スチームストリッピング)した後、乾燥させることにより、ブロック共重合体を単離することができる。
続いて、上記で得られたブロック共重合体を水素添加することでブロック共重合体(b)を得る。水素添加反応は、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Niなどの金属をカーボン、アルミナ、珪藻土などの担体に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物などとの組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒などの水素添加触媒の存在下、反応および水素添加触媒に対して不活性な溶媒に上記で得られたブロック共重合体を溶解させ、水素と反応させる方法を好ましく行うことができる。なお、上記で得られたブロック共重合体を含む重合反応液からブロック共重合体を単離せず、該重合反応液をそのまま水素添加反応に付すことも可能である。水素添加反応は、通常、水素圧力0.1〜20MPa、反応温度20〜250℃、反応時間0.1〜100時間の範囲で行なうことができる。
上記した方法による水素添加反応により得られるブロック共重合体(b)は、水素添加反応液を、メタノールなどのブロック共重合体(b)の貧溶媒に注いで凝固させるか、または水素添加反応液をスチームと共に熱水中に注いで溶媒を共沸によって除去(スチームストリッピング)した後、乾燥することにより単離することができる。
ブロック共重合体(b)の配合量はポリプロピレン系重合体(a)100質量部に対して5〜200質量部の範囲であり、10〜160質量部の範囲であるのが好ましく、20〜140質量部の範囲であるのがより好ましい。ブロック共重合体(b)の配合量がポリプロピレン系重合体(a)100質量部に対して5質量部以下では、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの処理温度による収縮率の変化が大きくなり、また印刷性、ヒートシール性、溶剤接着性、延伸性が劣る。一方、200質量部を超えると、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの室温での自然収縮が激しく、シワ、歪みなどが発生する。また、処理後の収縮率が低下し、熱収縮性フィルムとして適さないものとなる。
本発明の熱収縮性フィルムを構成する樹脂組成物には、本発明の主旨を損なわない範囲で他のポリマーを含有させてもよい。かかるポリマーとしては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋樹脂(アイオノマー)、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーなどのアセタール系樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂などのアクリル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が好ましい。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル単位の含有量が30質量%以下であるものが好ましい。酢酸ビニル単位の含有量が30質量%を超えると、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの透明性が不十分となる傾向にある。また、係るエチレン−酢酸ビニル共重合体をさらに含有させる場合、その配合量は、樹脂組成物中のポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり50質量部以下であることが好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体の配合量がポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり50質量部を越えると、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの透明性が不十分となる傾向にある。
一方、上記エチレン−アクリル酸エチル共重合体としては、アクリル酸エチル単位の含有量が30質量%以下であることが好ましい。アクリル酸エチル単位の含有量が30質量%を超えると、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの透明性が不十分となる傾向にある。また、エチレン−アクリル酸エチル共重合体をさらに含有させる場合、その配合量は、樹脂組成物中のポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり50質量部以下であることが好ましい。エチレン−アクリル酸エチル共重合体の配合量がポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり50質量部を越えると、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの透明性が不十分となる傾向にある。
本発明の熱収縮性フィルムを構成する樹脂組成物には、本発明の目的および効果に支障をきたさない範囲で、粘着付与樹脂、軟化剤、無機フィラーを添加することができる。
粘着付与樹脂としては、例えばロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環式系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。粘着付与樹脂を添加する場合、その配合量は、樹脂組成物中のポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり100質量部以下であることが好ましい。粘着付与樹脂の配合量がポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり100質量部を越えると、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムの収縮率が不十分となる傾向にある。
軟化剤としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、芳香族系のプロセスオイル;ジオクチルフタレート、ジブチルフタレートなどのフタル酸誘導体;ホワイトオイル、ミネラルオイル、エチレンとα−オレフィンのオリゴマー、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレンなどが挙げられる。軟化剤を添加する場合、その配合量は、樹脂組成物中のポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり100質量部以下であることが好ましい。軟化剤の配合量がポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり100質量部を超えると、調製した樹脂組成物から得られる熱収縮性フィルムがべとつく傾向となる。
無機フィラーとしては、例えばタルク、クレー、マイカ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどが挙げられる。無機フィラーを添加する場合、その配合量は、ポリプロピレン系重合体(a)およびブロック共重合体(b)の合計量100質量部あたり3質量部以下の範囲であるのが好ましく、3質量部を超えると、調製した重合体組成物から得られる熱収縮性フィルムの表面がざらついたり、透明性が低下する傾向となる。
また、本発明の熱収縮性フィルムを構成する樹脂組成物には、必要に応じて他の添加剤、例えば、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、撥水剤、防水剤、親水性付与剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、電磁波シールド性付与剤、透光性調整剤、蛍光剤、摺動性付与剤、透明性付与剤、アンチブロッキング剤、金属不活性化剤、防菌剤などをさらに添加してもよい。
本発明の熱収縮性フィルムには、本発明の主旨を損なわない範囲で他のポリマーからなるフィルムを積層してもよい。かかるポリマーとしては、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタアクリレート系樹脂等のアクリル系樹脂などが挙げられる。
本発明の熱収縮性フィルムの製造方法は特に限定されず、ポリプロピレン系重合体(a)、ブロック共重合体(b)および必要に応じて各種の添加剤を溶融混練して樹脂組成物を調製した後、押出機を用いて、Tダイ法、チューブラ法などフィルムを製造するに際して一般的に用いられる方法を採用できる。フィルム状に溶融押出された樹脂組成物は、冷却ロール、空気、水などで冷却された後、熱風、温水、赤外線、マイクロウェーブなどの適当な方法で再加熱され、さらに、フィルムを周速差のある2個のロール間で延伸するロール法、テンターを用いてクリップでフィルムを保持してクリップ列の列間隔を拡大させて延伸するテンター法などにより一軸または二軸延伸することで、本発明の熱収縮性フィルムを得ることができる。なお、積層フィルムを製造する場合は、別々の押出機により成形したフィルムをダイ内で積層させて押し出す共押出成型法などが好ましい。
上記した延伸の工程における延伸温度は、40〜130℃の範囲が好ましく、60〜110℃の範囲がより好ましい。延伸温度が40℃未満の場合は、延伸時にフィルムに破断が生じやすくなる傾向にあり、一方、130℃を超える場合には、延伸時にフィルムの弾性率が低下することで、フィルムがロール間やクリップ間で垂れ下がって延伸が不可能となる傾向になる。
上記した延伸の工程における延伸倍率は、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態に応じて異なり得るが、通常、2〜8倍の範囲とするのが好ましく、3〜5倍の範囲とするのがより好ましい。延伸倍率が2倍未満の場合は、所定の温度で処理したときのフィルムの収縮率が小さくなる傾向となり、一方、8倍を超えると、延伸時にフィルムに破断が生じやすくなる傾向にあり好ましくない。
なお、本発明の熱収縮性フィルムの厚さは、通常10〜300μmの範囲であるのが好ましく、30〜100μmの範囲であるのがより好ましい。
本発明の範囲となる熱収縮性フィルムの中でも、延伸後のヘイズが3%以下であり、80℃で3分処理した後に測定した収縮率が20%以上である熱収縮性フィルムは、本発明の目的を達成する上で特に好適である。
以下、実施例によって、本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。なお、参考例および実施例中の各種測定値は以下の方法により求めた。
〈1〉ブロック共重合体(b)のガラス転移点
セイコー電子工業社製 示差走差熱量計 DSC200を用い、10℃/分の昇温速度にて、測定曲線の変曲点の温度を読みとり、ガラス転移点とした。
〈2〉ブロック共重合体(b)のスチレン含有量
H NMRスペクトル測定により算出した。
〈3〉ブロック共重合体(b)の水素添加率
水素添加反応前後のブロック共重合体のヨウ素価を測定し、その比より算出した。
〈4〉透明性
後述する実施例および比較例で得られた熱収縮性フィルムを用い、ASTM D−1003に準拠して、村上色彩技術研究所製HR−100を用いて各々のフィルムのヘイズ(%)を測定し、透明性の指標とした。ヘイズの値が小さいほど透明性に優れる。
〈5〉収縮率
後述する実施例および比較例で得られた熱収縮性フィルムより、フィルムの幅方向を試験片の横方向となるように、縦100mm×横200mmの試験片を作製し、それぞれの試験片を所定温度に設定した恒温槽に入れて3分間処理した。恒温槽の設定温度は80℃、100℃および120℃の3種とし、それぞれの温度における横方向の収縮率を測定した。収縮率は次式により求めた。
収縮率(%)=100×(200−L)/200
:収縮後の試験片の横の長さ(mm)
〈6〉印刷性
後述する実施例および比較例で得られた熱収縮性フィルムに、インダストリアルサプライヤーズ社製 印刷インキ(商品名、KIインキ9714)を100μmの厚みに塗布して、3時間風乾した後、インキの塗布面にセロテープ(登録商標、ニチバン(株)製)を貼付し、180度の角度で剥離速度10mm/secで剥がし、インキの剥離状態を下記基準により評価した。
○:ほとんど剥離しない。
△:部分的に剥離する。
×:容易に剥離する。
〈7〉ヒートシール性
後述する実施例および比較例で得られた熱収縮性フィルムより、フィルムの幅方向を試験片の横方向となるように、縦100mm×横200mmの試験片を作製し、この試験片2枚を4隅が重なるように合わせて、志賀包装機製ヒートシーラーSGにより3kg荷重、120℃、1秒の条件にて、フィルムの縦方向に帯状3cm幅で融着させた後、試験片2枚をそれらの横方向に180度の角度で開き、3kgの荷重をかけて剥離させ、下記基準で評価した。
○:広げても剥離しない。
△:広げても容易に剥がせない。
×:広げると容易に剥離する。
〈8〉溶剤接着性
後述する実施例および比較例で得られた熱収縮性フィルムより、フィルムの幅方向を試験片の横方向となるように、縦50mm×横25mmの試験片を2枚作製し、これら試験片の一方の片面における一部分(縦40mm×横25mm)にテトラヒドロフラン0.1mlを均一に塗布して、もう一方の試験片を4隅が重なるように合わせて、3kg荷重、25℃、5時間の条件にて、溶剤接着させた後、試験片2枚をそれらの横方向に180度の角度で開き、3kgの荷重をかけて剥離させ、下記基準で評価した。
◎:広げても全く剥離しない。
○:広げても完全には剥離せず、接着している部分が残る。
△:広げるとゆっくりと完全に剥離する。
×:広げるとすぐに剥離する。
〈9〉延伸性
後述する実施例および比較例において、50℃にてフィルムを延伸した際のフィルムの外観を下記基準により評価し、延伸性の指標とした。
○:フィルム厚が一定で延伸ムラがない。
△:延伸時にフィルムの破断はしないが延伸ムラが生じる。
×:延伸時にフィルムの破断が生じる。
参考例1
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン60L、開始剤としてsec−ブチルリチウム0.13L、ルイス塩基としてテトラヒドロフラン0.4Lを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン4.3Lを加えて3時間重合させ、引き続いてイソプレン6.7Lおよびブタジエン7.3Lの混合物を加えて4時間重合を行い、合計で7時間重合させた。得られた重合反応液をメタノール80L中に注ぎ、析出した固体を濾別して50℃で20時間乾燥することによりポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ジブロック共重合体13kgを得た。
続いて、得られたポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ジブロック共重合体13kgをシクロヘキサン100Lに溶解し、水素添加触媒としてパラジウムカーボン(パラジウム担持量:5質量%)を該共重合体に対して5質量%添加し、水素圧力2MPa、150℃の条件で10時間反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、濾液を濃縮し、さらに真空乾燥することにより、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ジブロック共重合体の水素添加物(以下、これを共重合体(1)と略称する)を得た。
得られた共重合体(1)のガラス転移点は−20℃、スチレン含有量は30質量%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの含有する炭素−炭素二重結合の水素添加率は90%、重量平均分子量は130000であった。
参考例2
参考例1において、重合させるモノマーとしてスチレン2.2L、イソプレン6.7Lおよびブタジエン7.3Lの混合物、ならびにスチレン2.1Lを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応および単離操作を行い、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体を得た。さらに、得られた該トリブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水素添加することによりポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これを共重合体(2)と略称する)を得た。
得られた共重合体(2)のガラス転移点は−20℃、スチレン含有量は30質量%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの含有する炭素−炭素二重結合の水素添加率は90%、重量平均分子量は130000であった。
参考例3
参考例1において、開始剤としてsec−ブチルリチウム0.15L、重合させるモノマーとしてスチレン1.4L、イソプレン15.3Lおよびスチレン1.4Lを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応および単離操作を行い、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体を得た。さらに、得られた該トリブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水素添加することによりポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これを共重合体(3)と略称する)を得た。
得られた共重合体(3)のガラス転移点は−10℃、スチレン含有量は20質量%、ポリイソプレンブロックの含有する炭素−炭素二重結合の水素添加率は80%、重量平均分子量は115000であった。
参考例4
参考例1において、開始剤としてsec−ブチルリチウム0.12L、ルイス塩基としてN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン0.1L、重合させるモノマーとしてスチレン0.7L、イソプレン17.2Lおよびスチレン0.7Lを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応および単離操作を行い、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体を得た。さらに、得られた該トリブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水素添加することによりポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これを共重合体(4)と略称する)を得た。
得られた共重合体(4)のガラス転移点は10℃、スチレン含有量は10質量%、ポリイソプレンブロックの含有する炭素−炭素二重結合の水素添加率は60%、重量平均分子量は140000であった。
参考例5
参考例1において、開始剤としてsec−ブチルリチウム0.14L、ルイス塩基としてN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン0.3L、重合させるモノマーとしてスチレン4.3Lおよびブタジエン14.7Lを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応および単離操作を行い、ポリスチレン−ポリブタジエンジブロック共重合体を得た。さらに、得られた該ジブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水素添加することによりポリスチレン−ポリブタジエンジブロック共重合体の水素添加物(以下、これを共重合体(5)と略称する)を得た。
得られた共重合体(5)のガラス転移点は−32℃、スチレン含有量は30質量%、ポリブタジエンブロックの含有する炭素−炭素二重結合の水素添加率は80%、重量平均分子量は120000であった。
参考例6
参考例1において、開始剤としてsec−ブチルリチウム0.19L、ルイス塩基としてN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン0.3L、重合させるモノマーとしてスチレン3.6L、ブタジエン10.5Lおよびスチレン3.6Lを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応および単離操作を行い、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体を得た。さらに、得られた該トリブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水素添加することによりポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これを共重合体(6)と略称する)を得た。
得られた共重合体(6)のガラス転移点は−34℃、スチレン含有量は50質量%、ポリブタジエンブロックの含有する炭素−炭素二重結合の水素添加率は80%、重量平均分子量は90000であった。
参考例7
参考例1において、ルイス塩基は添加せず、開始剤としてsec−ブチルリチウム0.12L、重合させるモノマーとしてスチレン2.2Lおよびイソプレン13.4Lを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応および単離操作を行い、ポリスチレン−ポリイソプレンジブロック共重合体を得た。さらに、得られた該ジブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水素添加することによりポリスチレン−ポリイソプレンジブロック共重合体の水素添加物(以下、これを共重合体(7)と略称する)を得た。
得られた共重合体(7)のガラス転移点は−63℃、スチレン含有量は30質量%、ポリイソプレンブロックの含有する炭素−炭素二重結合の水素添加率は90%、重量平均分子量は140000であった。
参考例8
参考例1において、ルイス塩基は添加せず、開始剤としてsec−ブチルリチウム0.21L、重合させるモノマーとしてスチレン5.0L、ブタジエン6.3Lおよびスチレン5.0Lを逐次添加して重合させた以外は参考例1と同様の方法で重合反応および単離操作を行い、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体を得た。さらに、得られた該ジブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水素添加することによりポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これを共重合体(8)と略称する)を得た。
得られた共重合体(8)のガラス転移点は−57℃、スチレン含有量は70質量%、ポリブタジエンブロックの含有する炭素−炭素二重結合の水素添加率は95%、重量平均分子量は80000であった。
実施例1〜11および比較例1〜5
プロピレン−エチレンランダム共重合体(「F226D」(商品名)、グランドポリマー製、MFR=7(g/10分、230℃、21.2N);融点145℃)、共重合体(1)〜共重合体(8)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(「EVAFLEX460」(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製;酢酸ビニル単位含有量19質量%)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(「EVAFLEX−EEA A710」(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製;アクリル酸エチル単位含有量15質量%)、および粘着付与樹脂(「アルコンP150」(商品名)荒川化学製;軟化点150℃)を、表1および表2に示した配合に基づき、27mmφの二軸押出機を用いて230℃で混練してTダイで押出し、25℃のロールで急冷して未延伸フィルムを得た。続いて、フィルムを幅方向に50℃で3倍に延伸して厚さ約50μmの熱収縮性フィルムを作製した。得られた熱収縮性フィルムについて、透明性、収縮率、印刷性、ヒートシール、溶剤接着性、延伸性を評価した。得られた熱収縮性フィルムの物性を表1および表2に示す。
Figure 0004489445
Figure 0004489445
表1および表2より、実施例1〜11で得られた熱収縮性フィルムは、透明性が良好で80℃での熱収縮性に優れ、処理温度による収縮率の変化が小さく、さらに印刷性、ヒートシール性、溶剤接着性、延伸性に優れることが判る。
これに対し、比較例1で得られた熱収縮性フィルムでは処理温度による収縮率の変化が大きく、印刷性、ヒートシール性、溶剤接着性、延伸性にいずれも劣る。比較例2および比較例3で得られた熱収縮性フィルムでは十分な収縮率が得られない。また、比較例4および比較例5で得られた熱収縮性フィルムではヒートシール性、溶剤接着性、および延伸性に劣る。
本発明の熱収縮性フィルムは、収縮性に優れ、かつ処理温度による収縮率の変化が小さく、さらに透明性、印刷性、ヒートシール性、溶剤接着性、および延伸性に優れるので、それらの特性を活かして、例えば熱可塑性樹脂製の成型品、金属、磁器、ガラス、紙などの包装用またはラベル用の熱収縮性フィルムに好適に利用できる。
また、本発明の熱収縮性フィルムは、従来の塩化ビニル樹脂系の熱収縮性フィルムに比べ衛生上優れており、生鮮食品類、菓子類、衣類、文具類などの包装にも使用できる。

Claims (2)

  1. (a)ポリプロピレン系重合体100質量部に対し、(b)芳香族ビニル化合物を主体とするブロックAと共役ジエン系化合物を主体とするブロックBより構成され、ブロックAの含有量が5〜55質量%であり、ブロックB中に含有される共役ジエン化合物に基づく炭素−炭素二重結合の水素添加率が50%以上であり、−40℃〜60℃の範囲にガラス転移点を有するブロック共重合体5〜200質量部;
    を含有する樹脂組成物からなるフィルムを少なくとも1軸方向に延伸してなる熱収縮性フィルム。
  2. 上記ブロック共重合体(b)が、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロックBより構成されるA−B型ジブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1記載の熱収縮性フィルム。
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