JPWO2011004792A1 - 能動型防振支持装置及びその防振制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
エンジンの振動の第3の振動周期において、エンジン回転速度により定まる商に係わる第2の所定時間を位相遅れ基準として、更に、余りの時間を経過後に、算出された目標電流値波形を出力することを特徴とする。
従って、請求の範囲第6項に記載の発明によれば、エンジン回転速度により定まる第1の所定時間は、エンジン振動の周期を所定の整数で割った値に対応させることができる。例えば、前記エンジンの型式で決まるエンジン振動の周期に相当するクランク角に対して、予め実験的に得られたエンジン振動の位相遅れより短めのクランク角であって、かつ、前記エンジン振動の周期に相当するクランク角を整数で除して得られるクランク角(以下、「1つのステージに対応するクランク角」と称する)に要した時間に対応させることができる。そして、エンジン回転速度により定まる前記商に係わる第2の所定時間は、アクチュエータの駆動タイミングにおける前記した1つのステージに対応するクランク角に要する時間として検出できる。その結果、振動状態を推定する制御手段において推定された振幅及びセンサからの出力データを用いて算出されたエンジンの振動の位相遅れを、駆動タイミングにおけるエンジン振動の実際の位相遅れに近づけて設定変更可能となる。
演算処理において、読取処理を行う周期の時間長を、各周期を分割するステージの数であるnで割って、読取処理のときの1つのステージの平均の時間長を算出し、演算された仮の位相遅れを、算出された1つのステージの平均の時間長で割って商であるステージ個数と余りである余りの時間とを算出し、出力処理において、出力処理における位相遅れを、当該出力処理を行う周期に属する前記ステージ個数分の時間が経過し、更に、前記余りの時間が経過したときとすることを特徴とする。
(能動型防振支持装置の全体構成)
図1は、本実施形態に係わる能動型防振支持装置のアクティブ・コントロール・マウントの構造を示す縦断面図であり、図2は図1のA部拡大図である。
なお、以下ではアクティブ・コントロール・マウントMF,MRを特に区別する必要がない場合は、単にアクティブ・コントロール・マウントMと記載する。
ACM_ECU200はエンジン回転速度Neや出力トルク等を制御するエンジン制御ECU(以下、「エンジンECU」と称する)100とCAN通信等で接続されている。ここで、ACM_ECU200が請求の範囲に記載の「制御手段」に対応する。
図1に示すように、アクティブ・コントロール・マウントMは、軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、略円筒状の上部ハウジング11と、その下側に配置された略円筒状の下部ハウジング12と、下部ハウジング12内に収容されて上面が開放した略カップ状のアクチュエータケース13と、上部ハウジング11の上側に接続したダイヤフラム22と、上部ハウジング11内に格納された環状の第1弾性体支持リング14と、第1弾性体支持リング14の上側に接続した第1弾性体19と、アクチュエータケース13に収容された環状の第2弾性体支持リング15と、第2弾性体支持リング15の内周側に接続した第2弾性体27と、アクチュエータケース13に収容され第2弾性体支持リング15及び第2弾性体27の下方に配置された駆動部(アクチュエータ)41等から構成されている。
ダイヤフラム支持ボス20の上面にはエンジン取付部20aが一体に形成され、エンジンに固定される(詳細な固定方法は、図示省略してある)。また、下部ハウジング12の下端の車体取付部12bが図示しない車体フレームに固定される。
このような構造によって、アクティブ・コントロール・マウントMにエンジンから大きな荷重が入力したとき、エンジン取付部20aがストッパラバー26に当接することで、エンジンの過大な変位が抑制される。
また、第1弾性体支持リング14と上部ハウジング11との間に環状の連通路32が形成されている。連通路32は連通孔33を介して第1液室30に連通するとともに、環状の連通間隙34を介して、第1弾性体19とダイヤフラム22により区画された第3液室35に連通する。
下部フランジ51bとヨーク44の円筒部44aの下端との間には、セットばね52が圧縮状態で配置されており、このセットばね52の弾性力で軸受け部材51の下部フランジ51bを下方に付勢して、下部フランジ51bの下面と固定コア42との間に配された弾性体53を介して、固定コア42の上面に押し付けることで、軸受け部材51がヨーク44にて支持される。
ロッド55に対し、ナット56は固定コア42の中心に形成された開口42a内で上下位置を調整されて締結されており、この開口42aは、ゴム製のキャップ60で閉塞される。
駆動部41のコイル46は、ACM_ECU200からの給電制御により励磁され、可動コア54を吸引して可動部材28を下方側に移動させる。この可動部材28の移動に伴い、第2液室31を区画する第2弾性体27が下方に変形して第2液室31の容積が増加する。逆に、コイル46を消磁すると、第2弾性体27が自己の弾性により上方に変形し、可動部材28及び可動コア54が上昇し、第2液室31の容積が減少する。
なお、前記エンジンシェイク振動の周波数領域では、エンジンが定常回転の場合は、駆動部41は駆動しない非作動状態に保たれる。
以下に、エンジンECU100とACM_ECU200の機能構成を詳細に説明する。
次に、図3を参照し、適宜、図1、図2を参照しながらエンジンECUの構成を説明する。
図3は、能動型防振支持装置の構成を示す機能ブロック図である。
エンジンECU100は、ECU電源回路100a、マイクロコンピュータ100b、ROM(図示せず)、各種センサからの信号接続用のインタフェース回路や、気筒休止ソレノイド111A,111B,111Cを駆動する駆動回路(図示せず)や、ACM電源スイッチ112を通電させるリレースイッチ100c、CAN通信部100d等の各種インタフェース回路を含んで構成されている。
そして、エンジンECU100は、ACM_ECU200との専用信号線である、クランクパルス信号線105、TDCパルス信号線106、気筒休止信号線107で接続され、更に、ACM_ECU200及び他のECU、例えば、操舵トルクを電動機の補助力でアシスト制御する電動パワステアリングECU等と、バス型のCAN通信線104で接続されている。
要求出力演算部211は、主に、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジション・センサS8からの信号や車速を検出する車速センサS1Vからの信号、エンジン回転速度演算部210で算出されたエンジン回転速度Ne等に基づいて、減速段を推定し、現在のエンジン出力トルクを推定し、要求トルクを算出したり、それに応じた吸気量を算出し、スロットルバルブ・アクチュエータAC1を制御したりする。
また、気筒数切替判定部212は、気筒休止状態にしたとき、気筒休止対象の気筒を示す信号である気筒休止信号を、気筒休止信号線107を介してACM_ECU200の後記するエンジン回転モード判定部233に出力する。
燃料噴射制御部213は、O2センサS2からの排気ガス中の酸素濃度の信号に基づいて、燃料噴射量を調節し、排気ガス規制に適合するような燃焼状態に調節する。
また、バッテリBからの電源が、イグニッション・スイッチ113(以下「IG−SW113」と称する)が、イグニッション・オンの位置にターンされて、ECU電源回路100aに給電された後、マイクロコンピュータ100bが動作開始して、ACM電源スイッチ112のソレノイドを通電状態にするリレースイッチ100cを動作させるACM電源リレー信号出力部215を含んでいる。
図3に示すようにIG−SW113がイグニッション・オンの位置にターンされると、エンジンECU100、ACM_ECU200にも通電され、ACM電源リレー信号出力部215がリレースイッチ100cをオン状態にし、ACM電源スイッチ112が通電状態となる。その結果、後記する駆動回路121A,121BにバッテリBからの直流電源が接続される。
次に、図3から図5を参照しながらACM_ECU200について説明する。
先ず、図4を参照しながらTDCパルス信号及びクランクパルス信号と同期させたACM_ECU200のマイクロコンピュータ200bにおけるアクティブ・コントロール・マウントMの制御(以下、「ACM制御」と称する)の演算処理サイクルについて説明する。
図4は、TDCパルス信号及びクランクパルス信号と同期させたACM_ECUのマイクロコンピュータにおけるACM制御の演算処理サイクルの説明図であり、(a)は、演算処理のサイクルのタイムチャートであり、(b)は、各演算処理サイクル内をクランクパルス信号に基づいて4つのステージSTGに分割する方法を説明するタイミングチャートであり、(c)は、(a)における演算処理サイクル番号「0」の演算処理サイクルCUCYLにおいて取得されたクランクパルス信号に対する、続く2つの演算処理サイクルにおける演算処理の内容を説明するタイミングチャートであり、(d)は、出力された目標電流値波形に応じた電流に対するフィードバック制御を説明するタイミングチャートである。
ここで、「目標電流出力処理サイクル」が、請求の範囲に記載の「アクチュエータの駆動タイミング」に対応する。
以下、「ENG振動推定演算&目標電流演算処理サイクル」にて行う処理を「ENG振動推定演算&目標電流演算処理」と称し、「目標電流出力処理サイクル」で行う処理を「目標電流出力処理」と称する。
なお、駆動制御部239A,239Bの間では、TDCパルス信号を基準とした位相遅れδ1とδ2があるので、実際の目標電流出力処理サイクルは、位相遅れδ1、δ2だけ延長される。図4の(c)は、前記したように「CRKパルス間隔読取処理サイクル」の長さで模式的に説明したものであり、「ENG振動推定演算&目標電流演算処理サイクル」も、1つの演算処理サイクルCUCYLの期間に演算処理を行うように制御されるが、「目標電流出力処理サイクル」だけは、1つの演算処理サイクルCUCYLを超えて位相遅れδ1、δ2を考慮した制御がなされる。
このような演算処理サイクルCUCYL、ステージSTGの分割の制御は、前記したタイミング制御部230においてなされるがその詳細は後記する。
次に、図3に戻って、図3を参照しながら適宜、図1、図4、図7を参照して、前記した各機能ブロックの詳細な機能を説明する。
タイミング制御部230は、図3に示すようにクランクパルス信号及びTDCパルス信号を読み込み、TDCパルス信号とクランクパルス信号に基づいてクランクパルスカウントの演算、演算処理サイクルCUCYLの更新、ステージトリガ信号を発生させてステージSTGの分割等をする。
この一連の処理が請求の範囲に記載の「サイクル」に対応する。
CRKパルス読取時刻一時記憶部231は、タイミング制御部230に制御されて、前記した「CRKパルス間隔読取処理サイクル」毎に、TDCパルス信号を受信した時点を起点に連続するクランクパルス信号20個それぞれに対応させて、TDCパルス信号を受信した時点を基準に計数したマイクロコンピュータ200bのクロックパルスの各計数結果を読み込み、一時記憶する。
CRKパルス間隔演算部232は、タイミング制御部230に制御されて、CRKパルス読取時刻一時記憶部231によって一時記憶されたクランクパルス信号に対応させられた各クロックパルスの計数結果を読み出し、クランクパルス間隔時間を演算し、振動状態推定部234に出力する。
クロックパルスは一定の周期でマイクロコンピュータ200bの中で発生されているので、クロックパルスの計数結果からクランクパルス間隔時間を演算することは容易にできる。
振動状態推定部234は、タイミング制御部230に制御されて、CRKパルス間隔演算部232で算出されたクランク角6deg.に対応する一連の時系列のクランクパルス間隔時間からクランク角速度を19個算出し、それを受けて、一連の時系列のクランク角加速度を算出する。
Tq=IE×(dω/dt) ・・・・・・・・・・・(1)
このトルクTqは、クランク軸が一定の回転角速度ωで回転していると仮定すると、0になるが、エンジンの気筒の膨張行程では、ピストンの加速により回転角速度ωが増加し、圧縮行程ではピストンの減速により回転角速度ωが減少して、クランク角加速度dω/dtが発生するため、そのクランク角加速度dω/dtに比例したトルクTqが発生することになる。
このとき、エンジン回転モード判定部233から入力されたエンジン振動モード情報に示された振動モードが複数ある場合は、そのモードに対応する周期の振幅を演算する。
エンジン回転速度Neに対する何次の振動モードであるかは、エンジン振動モード情報に示されている。また、そのときのエンジン回転速度Neから平均のクランクパルス間隔が分かる。そこで、一連の時系列のトルクTqからエンジン振動モードに対応するクランクパルス数の周期内でのトルクTqの最大値及び最小値を判定することにより、クランク角120deg.周期より短い周期の振動モードのトルクTqの変動量がわかり、エンジンを支持するアクティブ・コントロール・マウントMの位置における振幅を演算することができる。
算出された各エンジン振動モードに対する振幅[トルクTqの最大側ピーク値と最小側ピーク値の幅(以下、「トルクTqのP−P値」と称する)]と、トルクTqのピークのタイミングは、位相検出部235及び目標電流演算部236に出力されるとともに、位相検出部235に一連の時系列のトルクTqを出力する。
エンジン回転モード判定部233は、タイミング制御部230に制御されて、CRKパルス読取時刻一時記憶部231が、前記したようにクランクパルス信号等を一時記憶処理している期間に、全筒運転状態か、2筒休止運転状態か、3筒休止運転状態かを判定し、また、アイドリング状態と判定したりし、判定結果に応じたエンジン振動モード情報を振動状態推定部234、位相検出部235に出力する。この、全筒運転状態か、2筒休止運転状態か、3筒休止運転状態かの判定や、アイドリング状態の判定は、エンジンECU100の気筒数切替判定部212から受信している休止気筒信号、エンジン回転速度信号、アクセルポジション・センサ信号等に基づいて、行うことができる。
このエンジン振動モード情報は、全筒運転状態、2筒休止運転状態、3筒休止運転状態のエンジンの運転状態と、エンジン回転速度をパラメータにして、マップの形で予めROMに格納されている。
また、直列4気筒エンジンの場合は、1回転に2回気筒爆発があるので、エンジン回転速度に応じた基本モードの振動を「エンジン振動2次」と称し、V型6気筒エンジンにおける3気筒での運転状態、つまり、休筒運転時の場合は、1回転に1.5回気筒爆発があるので、エンジン回転速度に応じた基本モードの振動を「エンジン振動1.5次」と称する。
前記したように本実施形態の作用説明では、全筒運転の場合を例に説明するので、気筒休止運転の場合のエンジン振動に対するACM制御についての詳細な説明は、省略する。
位相検出部235は、振動状態推定部234からのトルクTqのP−P値、トルクTqのピークのタイミング、一連の時系列のトルクTq、CRKパルス読取時刻一時記憶部231から読み出したクランクパルス信号、それに対応させた各気筒のTDCパルス信号を起点として計数したクロックパルスの計数の結果に基づいて、トルクTqのピークのタイミングとTDCのタイミングを比較し、前方側のアクティブ・コントロール・マウントMFに対するACM制御のための時間ベースの位相遅れ(仮の位相遅れ)P1F(図7参照)の算出を行う。以下、位相遅れP1Fを「Fr側の位相遅れ」と称する。
また、算出された位相遅れP1Fを、振動状態推定部234で算出したエンジン振動の一周期分の平均のSTG時間(=(T1)/4)(図7参照)で割り、その商S1F(図7参照)及びその余りの時間P’1F(図7参照)を算出する。前記算出された商S1Fは、ステージSTGの個数(以下、以下「STG個数」と称する)を意味する。
目標電流演算部236は、振動状態推定部234から入力された、エンジン回転モード判定部233が指定したエンジン振動モードに対するアクティブ・コントロール・マウントMの位置における振幅に基づいて、前後のアクティブ・コントロール・マウントMF,MRそれぞれに対する目標電流値波形を算出する。
これは、エンジン回転モード判定部233が出力する振動モード情報に対応させた複数の目標電流値波形のパターンが、予めROMに格納されており、振動モード情報を参照して特定の目標電流値波形のパターンを選択し、それをベースに、各振動モードの振幅に対応する電流値波形のゲインをそれぞれ設定し、合成して1つの電流値波形を設定する。電流値波形の長さは、振動状態推定部234において算出したエンジン振動の周期長さT1に合わせた時間長さに設定する。
ちなみに、目標電流演算部236で生成するアクティブ・コントロール・マウントMF用の目標電流値波形ITFrと、アクティブ・コントロール・マウントMR用の目標電流値波形ITRrとは、一般に異なる目標電流値波形である。目標電流演算部236では、アクティブ・コントロール・マウントMF,MR用の2つの目標電流値波形ITFr,ITRrのみが設定される。
また、図5中、二点鎖線で示した目標電流値波形ITFr,ITRrは、次の処理サイクルで目標電流演算部236が設定する目標電流値波形ITFr,ITRrを示したものである。
次に、図3から図5を参照しながら、駆動用パルス制御信号生成部237について説明する。駆動用パルス制御信号生成部237は、前記した目標電流演算部236で設定された、目標電流値波形ITFr,ITRrを、ACM_ECU200側の後記する駆動制御部239A及び駆動回路121A、並びに駆動制御部239B及び駆動回路121Bにおいて実際に目標電流をPWM制御する一定の周期長さTPWM、例えば、500μsecの周期間隔でサンプリングして、アクティブ・コントロール・マウントMFのPWM制御用の目標電流値Fr_ICMDのデータの集合体とアクティブ・コントロール・マウントMRのPWM制御用の目標電流値Rr_ICMDのデータの集合体を設定する。
ここで、一定の周期長さTPWMでサンプリングされた、アクティブ・コントロール・マウントMF,MRのPWM制御用の目標電流値Fr_ICMDのデータの集合体と目標電流値Rr_ICMDのデータの集合体が、請求の範囲に記載の「目標電流値波形に応じた電流」に対応する。
従って、エンジン回転速度が高速になれば、目標電流値波形ITFr,ITRrの時間幅は短くなり、それを一定の周期長さTPWMでサンプリングして、目標電流値Fr_ICMD,Rr_ICMDのデータの集合体を設定するので、その目標電流値のデータの集合体を構成する目標電流値Fr_ICMD,Rr_ICMDのそれぞれのデータの個数は少なくなる。
駆動用パルス制御信号生成部237は、目標電流値Fr_ICMDのデータの集合体と、目標電流値Rr_ICMDのデータの集合体とを駆動用パルス制御信号出力時補正部238に出力する。
再び、図3に戻って駆動用パルス制御信号出力時補正部238について説明する。
駆動用パルス制御信号出力時補正部238は、「ENG振動推定演算&目標電流演算処理サイクル」において位相検出部235で算出されたFr側及びRr側それぞれの2組のデータ、(STG個数S1F及び余りの時間P’1F)と(STG個数S1R及び余りの時間P’1R)が、入力される。また、「ENG振動推定演算&目標電流演算処理サイクル」において駆動用パルス制御信号生成部237から目標電流値Fr_ICMDのデータの集合体と、目標電流値Rr_ICMDのデータの集合体が入力される。
また、駆動用パルス制御信号出力時補正部238は、タイミング制御部230に制御されて、「目標電流出力処理サイクル」において、タイミング制御部230から入力されるTDCパルス信号とクランクパルス信号に基づいてSTG個数S1R分のクランクパルス間隔を計数し、STG個数S1R分のクランク角が経過した時をRr側の「位相遅れ基準」として、アクティブ・コントロール・マウントMRに対して、目標電流値Rr_ICMDのデータの集合体を、Rr側の「位相遅れ基準」から余りの時間P’1R経過後に、駆動制御部239Bに出力する。
なお、STG個数S1F分のクランク角の経過及びSTG個数S1R分のクランク角の経過を検出するに当たって、TDCパルス信号とクランクパルス信号を用いる代わりに、タイミング制御部230から入力されるステージトリガ信号を用いて、STG個数S1F分のクランク角の経過(つまり、STG個数S1F分のSTG時間の経過)及びSTG個数S1R分のクランク角の経過(つまり、STG個数S1R分のSTG時間の経過)を検出するようにしても良い。
前記した「目標電流出力処理サイクル」におけるSTG個数S1F分のクランク角の経過及びSTG個数S1R分のクランク角の経過が、請求の範囲に記載の「エンジン回転速度により定まる前記商に係わる第2の所定時間」に対応する。
駆動制御部239Aは、駆動用パルス制御信号出力時補正部238から位相遅れδ1で出力された目標電流値Fr_ICMDのデータの集合体に対応するPWMデューティ指令を生成して駆動回路121Aへ出力する。駆動回路121AはPWMデューティ指令に応じて通電制御し、アクティブ・コントロール・マウントMFの駆動部41(図1参照)に給電する。電流センサ123Aは、駆動回路121Aから給電される電流値を計測して、駆動制御部239Aに入力する。
駆動制御部239Aは、目標電流値Fr_ICMDと計測された電流値の偏差を取り、偏差に応じて、次のPWM制御の周期長さTPWMの新たな目標電流値Fr_ICMDに対するPWMデューティ指令を補正して駆動回路121Aへ出力する。
このように、駆動制御部239Aは、目標電流値Fr_ICMDに対するPWMデューティ指令をフィードバックして出力することにより、アクティブ・コントロール・マウントMFの駆動部41に給電する。
駆動制御部239Bは、目標電流値Rr_ICMDと計測された電流値の偏差を取り、偏差に応じて、次のPWM制御の周期長さTPWMの新たな目標電流値Rr_ICMDに対するPWMデューティ指令を補正して駆動回路121Bへ出力する。
このように、駆動制御部239Bは、目標電流値Rr_ICMDに対するPWMデューティ指令をフィードバックして出力することにより、アクティブ・コントロール・マウントMRの駆動部41に給電する。
次に、図6を参照しながら、適宜、図3、図7、図8を参照して能動型防振支持装置301の防振制御の方法について説明する。図6は、防振制御の流れを示すフローチャートである。図7は、エンジン回転速度が加速する場合のクランクパルス間隔読み取り処理サイクルにおいて取得されたクランクパルス信号に基づき算出された位相遅れP1Fと、目標電流出力処理サイクルにおける位相遅れの調整処理の説明図であり、(a)は、クランクパルス信号のタイムチャートとエンジン振動の周期の対応関係説明図、(b)は、演算処理サイクルのタイムチャート、(c)は、Fr側の目標電流値波形を出力する際の位相遅れの調整処理の説明図である。図8は、目標電流出力処理サイクルにおける目標電流値波形の出力制御の詳細説明図である。
エンジン振動の周期C2のクランクパルス信号の間隔は、エンジン振動の周期C1のクランクパルス信号の間隔よりも短くなっており、エンジン振動の周期長さT3のクランクパルス信号の間隔は、エンジン振動の周期長さT2のクランクパルス信号の間隔よりも更に短くなっている。それに伴い、エンジン振動の第2の周期C2の周期長さT2は、エンジン振動の第1の周期C1の周期長さT1よりも短くなっており、エンジン振動の第3の周期C3の周期長さT3は、周期長さT2よりも更に短くなっている。
ステップS2では、図7の(a),(b)に示すようにエンジン振動の第2の周期C2に対応する「ENG振動推定演算&目標電流演算処理サイクル」の演算処理サイクルにて、タイミング制御部230に制御されて、振動状態推定部234において、ステップS1にて読み取ったクランクパルス間隔からエンジン振動の周期長さT1を演算する。ちなみに、前記したようにエンジン振動の振幅も演算する。
具体的には、振動状態推定部234は、「CRK間隔読取処理サイクル」にてCRKパルス読取時刻一時記憶部231に記憶されたクランクパルス信号20個に対応したクロックパルス数の計数結果を読み出し、図7の(a),(b)に示すエンジン振動の第2の周期C2に対応する「ENG振動推定演算&目標電流演算処理サイクル」の演算処理サイクルに、クランクパルス間隔20個分の時間を演算し、エンジン振動の第1の周期C1の時間ベースの周期長さT1を演算する。
ここで、位相遅れP1は、位相検出部235において算出した前記した位相遅れP1Fと位相遅れP1Rを両方とも含めて、総称して「位相遅れP1」と称している。
ステップS6では、駆動用パルス制御信号出力時補正部238は、エンジン振動の第3の周期C3の所定角度(STG個数S1)分のクランクパルス間隔を読み取る。具体的には、例えば、STG個数S1F分のクランク角に対応するクランクパルス間隔を計数し、また、STG個数S1R分のクランク角に対応するクランクパルス間隔を計数し、STG個数S1F分またはSTG個数S1R分のステージSTGが終了したのを検出する。この処理は、図7の(a),(b)に示すエンジン振動の第3の周期C3に対応する「目標電流処理サイクル」の演算処理サイクルにおいてなされる。
具体的には、駆動用パルス制御信号出力時補正部238は、前方側のアクティブ・コントロール・マウントMFに対して、STG個数S1F分のステージSTGが終了(つまり、STG個数S1F分のSTG時間を経過)したのを検出した時を、位相遅れ基準とし、余りの時間P’1F経過後に目標電流値波形を駆動制御部239Aに出力する。また、駆動用パルス制御信号出力時補正部238は、後方側のアクティブ・コントロール・マウントMRに対してSTG個数S1R分のステージSTGが終了(つまり、STG個数S1R分のSTG時間を経過)したのを検出した時を、位相遅れ基準とし、余りの時間P’1R経過後に目標電流値波形を駆動制御部239Bに出力する。
ちなみに、図7の(c)及び図8では、STG個数S1F=1の場合を例示している。
そして、位相遅れ基準から、余りの時間P’1F経過後に目標電流値波形を出力して、第3の周期C3の周期長さT3に対応した遅れ時間δ1として位相遅れの調整処理ができている。
具体的には、エンジン回転速度が増加しているので、STG個数S1Fと第1の周期C1の平均のSTG時間((T1)/4)との積の結果よりも、第3の周期C3におけるSTG個数S1F分のSTG時間の方が短い時間になっている。そのため、エンジン回転速度の増加にあわせて、位相遅れが補正される。
以上で、能動型防振支持装置の処理が完了する。
フローチャートにおけるステップS1が請求の範囲に記載の「読取処理」に対応し、ステップS2〜S5が請求の範囲に記載の「演算処理」に対応し、ステップS6,S7が請求の範囲に記載の「出力処理」に対応し、ステップS7が請求の範囲に記載の「位相調整処理」に対応する。
周期長さT1であるエンジン振動の第1の周期C1における位相検出部235において算出された位相遅れP1F(図7参照)を、前記したように、アクチュエータの駆動タイミングであるエンジン振動の第3の周期C3における周期長さT3に適合させた位相遅れに補正して出力しているので、連続する目標電流値波形が重なることが防止できていることが示されている。
つまり、エンジン回転速度の加速時には、位相検出部235において算出した位相遅れP1F(図7参照)よりも、短い時間遅れで目標電流値波形が出力されることになる。
ちなみに、本実施形態では、第1の周期C1の平均のSTG時間((T1)/4)をSTG個数S1Fと余りの時間P’1F、STG個数S1Rと余りの時間P’1Rを算出するときに用いることにより、エンジン回転速度が加速している場合、減速している場合のいずれの場合にも、安定なSTG個数S1Fと余りの時間P’1F、STG個数S1Rと余りの時間P’1Rを算出することができる。
次に、図10、図11を参照しながら、適宜、図3、図7を参照して本実施形態の変形例について説明する。前記した実施形態と本変形例との差異は、駆動用パルス制御信号出力時補正部238において余りの時間P’1F,P’1Rも補正する点である。
図10は、変形例における防振制御の流れを示すフローチャートであり、図11は、変形例における目標電流出力処理サイクルでのFr側の目標電流値波形の出力制御の詳細説明図である。図10のフローチャートにおいて実施形態と同じステップについては同じステップ符号を付し、重複する説明を省略する。後記するステップS5a,S5b,S5c,S6,S7Aの処理は、全て図7の(a),(b)に示すエンジン振動の第3の周期C3に対応する「目標電流出力処理サイクル」の演算処理サイクルにおいて、駆動用パルス制御信号出力時補正部238にて行われる。
ステップS5bでは、エンジン振動の第3の周期C3の最初のSTG時間を演算する。ここで、最初のSTG時間とは、第3の周期C3のステージ番号「0」の最初のステージSTGに対応する時間長である(図7参照)。この最初のSTG時間は、マイクロコンピュータ200b(図3参照)において、発生させているクロックパルスを用いて容易に計数できる。
ここで、最初のSTG時間が請求の範囲に記載の「エンジン回転速度により定まる第3の所定時間」に対応する。
ステップS5cでは、駆動用パルス制御信号出力時補正部238は、ステップS4で算出された余りの時間P’1を補正し、補正された余りの時間P”1を算出する。つまり、P”1=(P’1)/[(T1)/4)]×(最初のSTG時間)を算出する。
ステップS6では、エンジン振動の第3の周期C3の所定角度(STG個数S1)分のクランクパルス間隔を読み取る。
具体的には、駆動用パルス制御信号出力時補正部238は、前方側のアクティブ・コントロール・マウントMFに対して、STG個数S1F分のステージSTGが終了(つまり、STG個数S1F分のSTG時間を経過)したのを検出した時を、位相遅れ基準とし、補正された余りの時間P”1F経過後に目標電流値波形を駆動制御部239Aに出力する(図11参照)。
また、駆動用パルス制御信号出力時補正部238は、後方側のアクティブ・コントロール・マウントMRに対してSTG個数S1R分のステージSTGが終了(つまり、STG個数S1R分のSTG時間を経過)したのを検出した時を、位相遅れ基準とし、余りの時間P”1R経過後に目標電流値波形を駆動制御部239Bに出力する。
また、エンジン回転速度の加減速に合わせて、位相遅れδ1、δ2(図4参照)がより精度良く補正される。
100 エンジンECU(エンジン制御装置)
100a,200a ECU電源回路
100b マイクロコンピュータ
200 ACM_ECU(制御手段)
200b マイクロコンピュータ
230 タイミング制御部(位相遅れ補正手段)
231 CRKパルス読取時刻一時記憶部
232 CRKパルス間隔演算部
233 エンジン回転モード判定部
234 振動状態推定部(振動状態推定手段)
235 位相検出部(位相遅れパラメータ算出手段)
236 目標電流演算部(目標電流算出手段)
237 駆動用パルス制御信号生成部
238 駆動用パルス制御信号出力時補正部(位相遅れ補正手段)
239A,239B 駆動制御部
301 能動型防振支持装置
M,MF,MR アクティブ・コントロール・マウント
Sa クランクパルスセンサ
Sb TDCセンサ
Claims (8)
- エンジンを車体に支承するとともに、前記エンジンの回転変動を検出するセンサからの出力に基づいて前記エンジンの振動状態を推定する制御手段がアクチュエータを伸縮駆動して、振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置において、
前記制御手段は、
前記センサからの出力データを用いて前記エンジンの振動の伝達を抑制する目標電流値波形を算出するとともに、
前記センサからの出力データを用いて算出される前記エンジンの振動の位相遅れをエンジン回転速度により定まる第1の所定時間で割り、その商と、その余りの時間とを算出し、
前記アクチュエータの駆動タイミングにおけるエンジン回転速度により定まる前記商に係わる第2の所定時間を位相遅れ基準として、更に前記余りの時間を経過後に、前記算出された目標電流値波形を出力することを特徴とする能動型防振支持装置。 - 前記制御手段は、
前記エンジンの回転変動を検出する前記センサからの前記出力データを用いて、エンジン振動の振幅及び周期を推定する振動状態推定手段と、
前記振動状態推定手段で推定された前記振幅及び前記周期に基づいて、前記アクチュエータを駆動する目標電流値波形を算出する目標電流算出手段と、
前記振動状態推定手段で推定された前記振幅及び前記センサからの出力データを用いて、前記エンジン振動の位相遅れを算出する位相遅れ算出手段と、
前記位相遅れ算出手段で算出された前記エンジン振動の位相遅れをエンジン回転速度により定まる前記第1の所定時間で割り、その商と、その余りの時間とを算出する位相遅れパラメータ算出手段と、
前記アクチュエータの駆動タイミングにおけるエンジン回転速度により定まる前記商に係わる前記第2の所定時間を位相遅れ基準として、更に前記余りの時間を経過後に、前記算出された目標電流値波形を出力させる位相遅れ補正手段と、
を備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の能動型防振支持装置。 - 前記制御手段は
前記エンジンの回転に基づく前記センサからのクランクパルス信号を計測し、前記エンジンの振動の周期における第1の振動周期に属する前記クランクパルス信号のデータを用いて、次の第2の振動周期において防振用の前記アクチュエータに流す前記目標電流値波形を算出し、次の第3の振動周期において前記算出された目標電流値波形を用いて前記アクチュエータを駆動制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の能動型防振支持装置。 - 前記制御手段は、
前記エンジンの振動の前記第2の振動周期において、
前記エンジンの振動の前記第1の振動周期に属する前記クランクパルス信号のデータを用いて、前記エンジン振動の前記第1の振動周期における前記エンジンの振動の位相遅れを算出するとともに、エンジン回転速度により定まる前記第1の所定時間を算出し、
更に、前記算出された前記第1の振動周期における前記エンジンの振動の位相遅れを、前記第1の所定時間で割り、その商とその余りの時間とを算出し、
前記エンジンの振動の前記第3の振動周期において、
前記エンジン回転速度により定まる前記商に係わる前記第2の所定時間を位相遅れ基準として、更に前記余りの時間を経過後に、前記算出された目標電流値波形を出力することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の能動型防振支持装置。 - 前記制御手段は、
前記エンジンの振動の前記第2の振動周期において、
前記エンジンの振動の前記第1の振動周期に属する前記クランクパルス信号のデータを用いて、前記エンジン振動の前記第1の振動周期における前記エンジンの振動の位相遅れを算出するとともに、エンジン回転速度により定まる前記第1の所定時間を算出し、
更に、前記算出された前記第1の振動周期における前記エンジンの振動の位相遅れを、前記第1の所定時間で割り、その商とその余りの時間とを算出し、
前記エンジンの振動の前記第3の振動周期において、
前記エンジン回転速度により定まる第3の所定時間を算出し、前記算出された余りの時間を、前記エンジン回転速度により定まる前記第3の所定時間と前記算出されたエンジン回転速度により定まる前記第1の所定時間との比で補正し、
前記エンジン回転速度により定まる前記商に係わる前記第2の所定時間を位相遅れ基準として、更に前記補正された余りの時間を経過後に、前記算出された目標電流値波形を出力することを特徴とする請求の範囲第4項に記載の能動型防振支持装置。 - 前記エンジン回転速度により定まる前記第1の所定時間は、エンジン振動の周期を所定の整数で割った値に対応し、
前記エンジン回転速度により定まる前記商に係わる前記第2の所定時間は、所定数のクランクパルス信号を検出するのに要する時間に対応することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の能動型防振支持装置。 - 周期的に繰り返されるエンジンの振動周期のうちの1つの周期において、前記エンジンの回転変動を検出するセンサからの当該周期における出力値を読み取る読取処理と、
次の周期において、前の周期で読み取った前記センサからの出力値に基づいて防振用のアクチュエータに給電するための目標電流値波形及び仮の位相遅れ時間を演算する演算処理と、
その次の周期において、前の周期で算出した前記目標電流値波形に応じた電流を前記アクチュエータに出力して前記エンジンの振動を抑制する出力処理と、をサイクルとして繰り返して行うとともに、
前記エンジンの回転速度の加減速に基づいて各サイクルでの前記出力処理における前記目標電流値波形に応じた電流の出力のタイミングを決める位相遅れを調整する位相遅れ調整処理を、前記各周期をそれぞれn個のステージに分割して行う能動型防振支持装置における防振制御方法であって、
前記演算処理において、
前記読取処理を行う周期の時間長を、各周期を分割するステージの数であるnで割って、前記読取処理のときの1つのステージの平均の時間長を算出し、
前記演算された仮の位相遅れを、前記算出された1つのステージの平均の時間長で割って商であるステージ個数と余りである余りの時間とを算出し、
前記出力処理において、
前記出力処理における前記位相遅れを、当該出力処理を行う周期に属する前記ステージ個数分の時間が経過し、更に、前記余りの時間が経過したときとすること
を特徴とする防振制御方法。 - 前記出力処理において、
前記演算処理において算出された余り時間を、前記出力処理を行う周期に属する最初のステージの時間長と、前記算出された前記読取処理のときの1つのステージの平均の時間長との比で補正し、
前記出力処理における前記位相遅れを、当該出力処理を行う周期に属する前記ステージ個数分の時間が経過し、更に、前記補正された余りの時間が経過したときとすることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の防振制御方法。
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