JP2007107579A - 能動型防振支持装置の制御装置 - Google Patents

能動型防振支持装置の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 エンジンの振動状態を検出して能動型防振支持装置の作動を制御するためのセンサの異常時に振動や騒音が増加するのを防止する。
【解決手段】 エンジンの振動状態を検出するクランクパルスセンサおよびTDCパルスセンサの出力に基づいて、能動型防振支持装置のアクチュエータを周期的に伸縮駆動して振動の伝達を抑制する。センサの出力に基づいて算出されるVAPP(エンジン振動)の変動量が基準値を越え、かつそのときにエンジン回転数の変動量が下限値および上限値間に納まっていれば、センサに異常が発生したと判断して能動型防振支持装置のアクチュエータの作動を禁止するので、エンジンの振動状態を精度良く検出できない状態で能動型防振支持装置が不適切に制御されて振動や騒音が増加する事態を未然に回避することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、振動体の荷重を支承するとともに、振動体の振動状態を検出するセンサの出力に基づいて制御手段がアクチュエータを周期的に伸縮駆動して振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置の制御装置に関する。
エンジンを支持する一対の能動型防振支持装置をエンジン回転センサおよび一対の振動センサの出力に基づいて制御するものにおいて、エンジン回転センサが故障して信号を出力できなくなると一方の能動型防振支持装置の作動を停止し、停止した能動型防振支持装置に対応する一方の振動センサの出力を用いて前記エンジン回転信号に対応する信号を生成し、その信号に基づいて他方の能動型防振支持装置の作動を続行するものが、下記特許文献1により公知である。
特開平11−210816号公報
ところで上記従来のものは、エンジン回転センサが故障して信号を出力できなくなると、別の振動センサの出力を用いて能動型防振支持装置の作動を続行するので、その制御が複雑になってコストが増加する問題があり、しかもエンジン回転センサが故障して異常な信号を出力した場合には、その異常な信号に基づいて能動型防振支持装置が作動することで振動および騒音が悪化してしまう可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、振動体の振動状態を検出して能動型防振支持装置の作動を制御するためのセンサの異常時に振動や騒音が増加するのを防止することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、振動体の荷重を支承するとともに、振動体の振動状態を検出するセンサの出力に基づいて制御手段がアクチュエータを周期的に伸縮駆動して振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置の制御装置において、前記制御手段は、前記センサの異常が検出されたときにアクチュエータの作動を禁止することを特徴とする能動型防振支持装置の制御装置が提案される。
尚、実施例のクランクパルスセンサSaおよびTDCパルスセンサSbは本発明のセンサに対応し、実施例の電子制御ユニットUは本発明の制御手段に対応する。
請求項1の構成によれば、振動体の振動状態を検出するセンサの異常が検出されたときに能動型防振支持装置のアクチュエータの作動を禁止するので、振動体の振動状態を精度良く検出できない状態で能動型防振支持装置が不適切に制御されて振動や騒音が増加する事態を未然に回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の一実施例を示すもので、図1は能動型防振支持装置の縦断面図、図2は図1の2部拡大図、図3は能動型防振支持装置の制御ルーチンのフローチャート、図4はアクチュエータの作動禁止ルーチンのフローチャートである。
図1および図2に示すように、自動車のエンジンを車体フレームに弾性的に支持するために用いられる能動型防振支持装置M(アクティブ・コントロール・マウント)は、軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、概略円筒状の上部ハウジング11の下端のフランジ部11aと、概略円筒状の下部ハウジング12の上端のフランジ部12aとの間に、上面が開放した概略カップ状のアクチュエータケース13の外周のフランジ部13aと、環状の第1弾性体支持リング14の外周部と、環状の第2弾性体支持リング15の外周部とが重ね合わされてカシメにより結合される。このとき、下部ハウジング12のフランジ部12aとアクチュエータケース13のフランジ部13aとの間に環状の第1フローティングラバー16を介在させ、かつアクチュエータケース13の上部と第2弾性体支持部材15の内面との間に環状の第2フローティングラバー17を介在させることで、アクチュエータケース13は上部ハウジング11および下部ハウジング12に対して相対移動可能にフローティング支持される。
第1弾性体支持リング14と、軸線L上に配置された第1弾性体支持ボス18とに、厚肉のラバーで形成した第1弾性体19の下端および上端がそれぞれが加硫接着により接合される。第1弾性体支持ボス18の上面にダイヤフラム支持ボス20がボルト21で固定されており、ダイヤフラム支持ボス20に内周部を加硫接着により接合されたダイヤフラム22の外周部が上部ハウジング11に加硫接着により接合される。ダイヤフラム支持ボス20の上面に一体に形成されたエンジン取付部20aがエンジンに固定される。また下部ハウジング12の下端の車体取付部12bが車体フレームに固定される。
上部ハウジング11の上端のフランジ部11bにストッパ部材23の下端のフランジ部23aがボルト24…およびナット25…で結合されており、ストッパ部材23の上部内面に取り付けたストッパラバー26にダイヤフラム支持ボス20の上面に突設したエンジン取付部20aが当接可能に対向する。能動型防振支持装置Mに大荷重が入力したとき、エンジン取付部20aがストッパラバー26に当接することで、エンジンの過大な変位が抑制される。
第2弾性体支持リング15に膜状のラバーで形成した第2弾性体27の外周部が加硫接着により接合されており、第2弾性体27の中央部に埋め込むように可動部材28が加硫接着により接合される。第2弾性体支持リング15の上面と第1弾性体19の外周部との間に円板状の隔壁部材29が固定されており、隔壁部材29および第1弾性体19により区画された第1液室30と、隔壁部材29および第2弾性体27により区画された第2液室31とが、隔壁部材29の中央に形成した連通孔29aを介して相互に連通する。
第1弾性体支持リング14と上部ハウジング11との間に環状の連通路32が形成されており、連通路32の一端は連通孔33を介して第1液室30に連通し、連通路32の他端は連通孔34を介して、第1弾性体19およびダイヤフラム22により区画された第3液室35に連通する。
次に、前記可動部材28を駆動するアクチュエータ41の構造を説明する。
アクチュエータケース13の内部に固定コア42、コイル組立体43およびヨーク44が下から上に順次取り付けられる。コイル組立体43は、円筒状のコイル46と、コイル46の外周を覆うコイルカバー47とで構成される。コイルカバー47には、アクチュエータケース13および下部ハウジング12に形成した開口13b,12cを貫通して外部に延出するコネクタ48が一体に形成される。
コイルカバー47の上面とヨーク44の下面との間にシール部材49が配置され、コイルカバー47の下面とアクチュエータケース13の上面との間にシール部材50が配置される。これらのシール部材49,50によって、アクチュエータケース13および下部ハウジング12に形成した開口13b,12cからアクチュエータ41の内部空間61に水や塵が入り込むのを阻止することができる。
ヨーク44の円筒部44aの内周面に薄肉円筒状の軸受け部材51が上下摺動自在に嵌合しており、この軸受け部材51の上端には径方向内向きに折り曲げられた上部フランジ51aが形成されるとともに、下端には径方向外向きに折り曲げられた下部フランジ51bが形成される。下部フランジ51bとヨーク44の円筒部44aの下端との間にセットばね52が圧縮状態で配置されており、このセットばね52の弾発力で下部フランジ51bを弾性体53を介して固定コア42の上面に押し付けることで、軸受け部材51がヨーク44に支持される。
軸受け部材51の内周面に概略円筒状の可動コア54が上下摺動自在に嵌合する。前記可動部材28の中心から下向きに延びるロッド55が可動コア54の中心を緩く貫通し、その下端にナット56が締結される。可動コア54の上面に設けたばね座57と可動部材28の下面との間に圧縮状態のセットばね58が配置されており、このセットばね58の弾発力で可動コア54はナット56に押し付けられて固定される。この状態で、可動コア54の下面と固定コア42の上面とが、円錐状のエアギャップgを介して対向する。ロッド55およびナット56は固定コア42の中心に形成された開口42aに緩く嵌合しており、この開口42aはシール部材59を介してプラグ60で閉塞される。
エンジンのクランクシャフトの回転に伴って出力されるクランクパルスを検出するクランクパルスセンサSaと、各気筒のTDCパルスを検出するTDCパルスセンサSbとが接続された電子制御ユニットUは、能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41に対する通電を制御する。本実施例のエンジンでは、クランクパルスはクランクシャフトの1回転につき24回、つまりクランクアングルの15°毎に1回出力され、またTDCパルスはクランクシャフトの2回転につき6回、つまりクランクアングルの120°毎に1回出力される。
次に、上記構成を備えた能動型防振支持装置Mの作用について説明する。
自動車の走行中に低周波数のエンジンシェイク振動が発生したとき、エンジンからダイヤフラム支持ボス20および第1弾性体支持ボス18を介して入力される荷重で第1弾性体19が変形して第1液室30の容積が変化すると、連通路32を介して接続された第1液室30および第3液室35間で液体が行き来する。第1液室30の容積が拡大・縮小すると、それに応じて第3液室35の容積が縮小・拡大するが、この第3液室35の容積変化はダイヤフラム22の弾性変形により吸収される。このとき、連通路32の形状および寸法、並びに第1弾性体19のばね定数は前記エンジンシェイク振動の周波数領域で低ばね定数および高減衰力を示すように設定されているため、エンジンから車体フレームに伝達される振動を効果的に低減することができる。
尚、上記エンジンシェイク振動の周波数領域では、アクチュエータ41は非作動状態に保たれる。
前記エンジンシェイク振動よりも周波数の高い振動、即ちエンジンのクランクシャフトの回転に起因するアイドル時の振動や気筒休止時の振動が発生した場合、第1液室30および第3液室35を接続する連通路32内の液体はスティック状態になって防振機能を発揮できなくなるため、アクチュエータ41を駆動して防振機能を発揮させる。
能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41を作動させて防振機能を発揮させるべく、電子制御ユニットUはクランクパルスセンサSaおよびTDCパルスセンサSbからの信号に基づいて能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41のコイル46に対する通電を制御する。
次に、能動型防振支持装置Mの制御を具体的に説明する。
図3のフローチャートにおいて、先ずステップS1でクランクパルスセンサSaからクランクアングルの15°毎に出力されるクランクパルスを読み込むとともに、TDCパルスセンサSbからクランクアングルの120°毎に出力されるTDCパルスを読み込み、ステップS2で前記読み込んだクランクパルスを基準となるTDCパルスと比較することでクランクパルスの時間間隔を演算する。続くステップS3で前記15°のクランクアングルをクランクパルスの時間間隔で除算することでクランク角速度ωを演算し、ステップS4でクランク角速度ωを時間微分してクランク角加速度dω/dtを演算する。続くステップS5でエンジンのクランクシャフト62回りのトルクTqを、エンジンのクランクシャフト62回りの慣性モーメントをIとして、
Tq=I×dω/dt
により演算する。このトルクTqはクランクシャフトが一定の角速度ωで回転していると仮定すると0になるが、膨張行程ではピストンの加速により角速度ωが増加し、圧縮行程ではピストンの減速により角速度ωが減少してクランク角加速度dω/dtが発生するため、そのクランク角加速度dω/dtに比例したトルクTqが発生することになる。
続くステップS6で時間的に隣接するトルクの最大値および最小値を判定し、ステップS7でトルクの最大値および最小値の偏差、つまりトルクの変動量としてエンジンを支持する能動型防振支持装置Mの位置における振幅を演算する。この振幅はエンジン振動の大きさVAPPに対応する。そしてステップS8でアクチュエータ41のコイル46に印加する電流のデューティ波形を決定するとともに、前記振幅のボトム位置をTDCパルスと比較することで電流のデューティの出力タイミングを決定する。
その結果、能動型防振支持装置Mは以下のようにして防振機能を発揮する。
即ち、エンジンが車体フレームに対して下向きに移動し、第1弾性体19が下向きに変形して第1液室30の容積が減少したとき、それにタイミングを合わせてアクチュエータ41のコイル46を励磁すると、エアギャップgに発生する吸着力で可動コア54が固定コア42に向けて下向きに移動し、可動コア54にロッド55を介して接続された可動部材28に引かれて第2弾性体27が下向きに変形する。その結果、第2液室31の容積が増加するため、エンジンからの荷重で圧縮された第1液室30の液体が隔壁部材29の連通孔29aを通過して第2液室31に流入し、エンジンから車体フレームに伝達される荷重を低減することができる。
続いてエンジンが車体フレームに対して上向きに移動し、第1弾性体19が上向きに変形して第1液室30の容積が増加したとき、それにタイミングを合わせてアクチュエータ41のコイル46を消磁すると、エアギャップgに発生する吸着力が消滅して可動コア54が自由に移動できるようになるため、下向きに変形した第2弾性体27が自己の弾性復元力で上向きに復元する。その結果、第2液室31の容積が減少するため、第2液室31の液体が隔壁部材29の連通孔29aを通過して第1液室30に流入し、エンジンが車体フレームに対して上向きに移動するのを許容することができる。
ところで、クランクパルスセンサSaあるいはTDCパルスセンサSbが故障して異常な信号を出力をすると、クランクパルス信号やTDC信号に基づいて算出されるエンジン振動(以下、VAPPという)の値が不正確になり、このVAPPに基づいて能動型防振支持装置Mを作動を制御すると、振動の伝達を充分に抑制できないばかりか、振動の伝達を促進してしまう可能性もある。
そこで本実施例では、クランクパルスセンサSaあるいはTDCパルスセンサSbの故障をVAPP変動量から推定し、故障の発生時に能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41の作動を禁止することで振動や騒音の増加を抑制している。
即ち、図4のフローチャートにおいて、先ずステップS11でVAPP変動量を算出する。VAPP変動量は、エンジン振動の前回値VAPP(n-1) 、前々回値VAPP(n-2) 、前々々回値VAPP(n-3) ・・・・をm個加算し、その加算値をmで除した平均値を、エンジン振動の今回値VAPP(n) から減算することで算出される。続くステップS12でVAPP変動量の絶対値が基準値を越えていなければ、クランクパルスセンサSaおよびTDCパルスセンサSbが正常であると判断し、ステップS13で能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41を駆動するデューティの出力を許可する。
一方、前記ステップS12でVAPP変動量の絶対値が基準値を越えていれば、クランクパルスセンサSaあるいはTDCパルスセンサSbが異常である可能性があり、更にステップS14でエンジン回転数NEが安定しているか否かを確認する。エンジン回転数NEの変動が下限値および上限値間に納まっていなければ、クランクパルスセンサSaおよびTDCパルスセンサSbが正常であり、エンジン回転数NEの変動が原因でVAPP変動量の絶対値が基準値を越えた可能性が高いので、前記ステップS13で能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41を駆動するデューティの出力を許可する。一方、前記ステップS14でエンジン回転数NEの変動が下限値および上限値間に納まっていれば、クランクパルスセンサSaあるいはTDCパルスセンサSbの異常が原因でVAPP変動量の絶対値が基準値を越えたと判断し、ステップS15で能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41を駆動するデューティの出力を禁止する。
このように、クランクパルスセンサSaあるいはTDCパルスセンサSbの故障によっってエンジン振動が精度良く推定できない場合に能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41の作動を禁止するので、精度の低いエンジン振動に基づいて能動型防振支持装置Mが不適切に制御されて振動や騒音が増加する事態を未然に回避することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施例では振動体としてエンジンを例示したが、本発明はエンジン以外の任意の振動体に対して適用することができる。
能動型防振支持装置の縦断面図 図1の2部拡大図 能動型防振支持装置の制御ルーチンのフローチャート アクチュエータの作動禁止ルーチンのフローチャート
符号の説明
M 能動型防振支持装置
Sa クランクパルスセンサ(センサ)
Sb TDCパルスセンサ(センサ)
U 電子制御ユニット(制御手段)
41 アクチュエータ

Claims (1)

  1. 振動体の荷重を支承するとともに、振動体の振動状態を検出するセンサ(Sa,Sb)の出力に基づいて制御手段(U)がアクチュエータ(41)を周期的に伸縮駆動して振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置の制御装置において、
    前記制御手段(U)は、前記センサ(Sa,Sb)の異常が検出されたときにアクチュエータ(41)の作動を禁止することを特徴とする能動型防振支持装置の制御装置。
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