JP4691075B2 - 能動型防振支持装置、及びその制御方法 - Google Patents

能動型防振支持装置、及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両のエンジンを支持する能動型防振支持装置、及びその制御方法に関する。
クランクパルスセンサを使用してエンジン振動の位相及びエンジン振動の大きさを推定し、その推定結果にもとづいてアクチュエータを駆動して、エンジンの振動を抑制する能動型防振支持装置が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される従来の技術によると、クランクパルスの変動をサンプリングしてエンジン振動を推定し、その推定結果に基づいて、アクチュエータを駆動するため、アイドル状態や一定走行等、定常状態の振動に対しては、効果的な防振性能を有することができる。
しかしながら、短期間の振動(過渡振動)に対しては、クランクパルスの変動でエンジン振動を判定しようとしても制御が間に合わず、過渡振動を抑制できないという問題がある。そこで、たとえば特許文献2には、エンジンが全筒運転から休筒運転に切り換わるときの過渡振動に対して効果的な防振性能を有する能動型防振支持装置の技術が開示されている。
特開2007−107579号公報(段落0022〜0025参照) 特開2006−017288号公報(段落0026、図7参照)
特許文献1及び特許文献2に開示された技術は、エンジンが定常運転をしているときに、エンジン振動による車体振動の緩和には効果的であるが、その制御は一定の周期で行われており、最初の周期でクランクパルスをサンプリングしたその結果は、次の周期での制御のための演算に用いられ、更に演算の結果は次の周期におけるアクチュエータの伸縮制御に用いられるというものであり、エンジン始動時に発生する過渡振動を、効果的に抑制するにはアクチュエータの伸縮制御の開始が間に合わないという課題があった。
そこで、本発明は、エンジン始動時に発生する過渡振動を効果的に抑制できる能動型防振支持装置、及びその制御方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、エンジンを車体に支承するとともに、前記エンジンの回転変動の大きさに基づいて前記エンジンの振動状態を推定する制御手段がアクチュエータを伸縮駆動して、前記エンジンの振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置とした。そして、前記制御手段は、前記エンジンの最初の点火を検出する初爆検出手段と、前記エンジンの回転変動の大きさを検出する変動検出手段を備え、前記エンジンの最初の点火から所定の回転速度に達するまでの時間を計測し、その時間に基づき前記エンジンの固有振動周波数における振動の大きさ及び期間を推定することを特徴とした。
請求項1に係る発明によると、エンジンの最初の点火後の回転変動の大きさによって、最初の点火後のエンジンの過渡振動の大きさ及び期間を推定することができる。
なお、車両のエンジンは、例えばエンジン始動時などの低いエンジン回転速度による振動による振動の振動数が固有振動周波数になるように構成される。したがって、最初の点火後に発生する固有振動周波数における振動は、エンジン始動時に発生する過渡振動を示す。
また、請求項2に係る発明は、エンジンを車体に支承するとともに、前記エンジンの回転変動の大きさに基づいて前記エンジンの振動状態を推定する制御手段がアクチュエータを伸縮駆動して、前記エンジンの振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置の制御方法とした。そして、前記制御手段は、前記エンジンの最初の点火を検出する初爆検出手段を介して前記エンジンの最初の点火を検出するステップと、前記エンジンの最初の点火を検出してから、前記エンジンが所定の回転速度に達するまでの時間を計測するステップと、前記計測された時間に基づいて、前記エンジンの回転変動の大きさを検出するステップと、前記検出されたエンジンの回転変動の大きさに基づいて、前記エンジンの固有振動周波数における振動の大きさ及び期間を推定するステップと、を有することを特徴とした。
請求項2に係る発明によると、エンジンの最初の点火の検出と、最初の点火後の回転変動の大きさとを算出でき、回転変動の大きさに基づいてエンジン始動時の過渡振動の大きさ及び期間を推定することができる。
本発明によると、エンジン始動時に発生する過渡振動を効果的に抑制できる能動型防振支持装置、及びその制御方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
(能動型防振支持装置の全体構成)
図1は本発明の実施形態に係る能動型防振支持装置を適用した車両におけるエンジン搭載状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。図2は、本発明に係わる能動型防振支持装置の構造を示す断面図である。
本実施形態にかかる能動型防振支持装置1は、上下方向に駆動することが可能で、図1の(a)、(b)に示すように、車両Vのエンジン2を車体フレームに弾性的に支承するために用いられるアクティブ・コントロール・マウント(以下、ACMと略称する)10を、エンジン2の前後方向に2つ配置してなる。
ここで、エンジン2は、クランク軸(図示せず)の一端にトランスミッション3が結合されるとともに、クランク軸が車両Vの本体に横向きに配置される、いわゆる横置きのV型6気筒エンジンである。したがって、エンジン2はクランク軸方向が車両Vの左右方向に配置され、ACM10は、エンジン2によるロール方向の振動を抑制するため、エンジン2を挟んで車両Vの前後に1対備える。以降、車両Vに対してエンジン2の前方向に備わるACM10を前方ACM10a、後方向に備わるACM10を後方ACM10bと称する。
前方ACM10a及び後方ACM10bは、エンジン2の重心の高さより低い位置に取り付けられ、エンジン2の前後方向のロール振動を抑制するとともに、エンジン2を車両Vの車体に弾性支持する機能を有する。
図1の(b)に示すように、能動型防振支持装置1は、エンジン2を車両Vに弾性支持する機能を有し、エンジン2の前方もしくは後方を上下動する機能を有する。このため、たとえば図2に示す構成を有する。
図2に示すように、能動型防振支持装置1(図1参照)には、ACM10を制御するアクティブコントロール・マウント制御ECU(Electric Control Unit、以下ACMECUと称する)62を備え、ACMECU62はエンジン2(図1の(b)参照)の回転速度や出力トルク等を制御するエンジン制御ECU(以下、エンジンECUと称する)61と通信回線で接続されている。
なお、ACMECU62は、エンジンECU61からエンジン回転速度NE信号、クランクパルスセンサ60が検出するクランクパルス信号、各気筒の上死点のタイミングを示すTDC信号、V型6気筒のエンジン2を全気筒運転しているのか、半気筒運転をしているのか示すシリンダ・オフ信号、イグニッション・スイッチ信号(以下、IG−SW信号と称する)が入力される。
なお、クランクパルスは、V型6気筒エンジンの場合、クランクシャフトの1回転につき24回、つまりクランクアングルの15°毎に1回出力される。
(ACMの構成)
図2に示すように、ACM10は、軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、主に、概略円筒状の上部ハウジング11と、その下側に配置された概略円筒状の下部ハウジング12と、下部ハウジング12内に収容された上面が開放した概略カップ状のアクチュエータケース13と、上部ハウジング11の上側に接続したダイヤフラム22と、上部ハウジング11内に格納された環状の第1弾性体支持リング14と、第1弾性体支持リング14の上側に接続した第1弾性体19等から構成されている。
上部ハウジング11下端のフランジ部11aと、下部ハウジング12の上端のフランジ部12aとの間に、アクチュエータケース13の外周のフランジ部13aと、第1弾性体支持リング14の外周部と、アクチュエータケース13内の上部側に配置された環状の第2弾性体支持リング15の外周部とが重ね合わされてカシメにより結合される。このとき、フランジ部12aとフランジ部13aとの間に環状の第1フローティングラバー16を介在させ、かつアクチュエータケース13の上部と第2弾性体支持リング15の内面との間に環状の第2フローティングラバー17を介在させることで、アクチュエータケース13は上部ハウジング11及び下部ハウジング12に対して上下方向に相対移動可能にフローティング支持される。
第1弾性体支持リング14と、第1弾性体19の上面側に設けられた凹部内に配置された第1弾性体支持ボス18とは、厚肉のラバー等の弾性部材で形成された第1弾性体19の下端及び上端が、加硫接着によって接合されている。さらに、第1弾性体支持ボス18の上面にダイヤフラム支持ボス20が図示しないボルト等で固定されており、ダイヤフラム支持ボス20に内周部を加硫接着等によって接合されたダイヤフラム22の外周部が、上部ハウジング11に加硫接着により接合されている。
ダイヤフラム支持ボス20の上面にはエンジン取付部20aが一体に形成され、エンジン2(図1の(b)参照)に固定される。また下部ハウジング12の下端の車体取付部12bが車体フレームFに固定される。
上部ハウジング11の上端のフランジ部11bには、ストッパ部材23の下端のフランジ部23aが図示しないボルト及びナットの締結等によって固定されており、ストッパ部材23の上部内面に取り付けたストッパラバー26に、エンジン取付部20aが当接可能に対向する。
このような構造によって、ACM10にエンジン2(図1の(b)参照)から大きな荷重が入力したとき、エンジン取付部20aがストッパラバー26に当接することで、エンジン2の過大な変位が抑制される。
第2弾性体支持リング15には、膜状のラバー等からなる弾性体で形成された第2弾性体27の外周部が加硫接着により接合されており、第2弾性体27の中央部に埋め込むように可動部材28が加硫接着により接合される。
そして、第2弾性体支持リング15の上面と第1弾性体19の外周部との間に円板状の隔壁部材29が固定されており、隔壁部材29及び第1弾性体19により区画された第1液室30と、隔壁部材29及び第2弾性体27により区画された第2液室31とが、隔壁部材29の中央に開口している連通孔29aを介して相互に連通する。
また、第1弾性体支持リング14と上部ハウジング11との間に環状の連通路32が形成されている。連通路32は連通孔33を介して第1液室30に連通するとともに、連通孔34を介して、第1弾性体19とダイヤフラム22により区画された第3液室35に連通する。
次に、アクチュエータケース13内に格納された破線枠内で示した駆動部(アクチュエータ)41の詳細構造を説明する。
図2に示すように駆動部41は、主に透磁率が高い金属又は合金からなる固定コア42、ヨーク44、可動コア54と、外周をコイルカバー47で覆われた電磁石のコイル46と、から構成されている。固定コア42は、下端部に受け座面のフランジ部を有する略円筒状で、円筒部の外周は円錐の周面形状をしている。可動コア54は略円筒状で上端が内周方向に突き出てばね座を形成し、円筒部の内周は円錐の周面形状をしている。
コイルカバー47には、アクチュエータケース13及び下部ハウジング12に開口する開口部を貫通して外部に延出するコネクタ部47aが一体に形成され、そこにコイル46に給電する図示しない給電線が接続される。
ヨーク44は、コイルカバー47の上面側に環状の鍔部を持ち、その鍔部の内周から下方に伸びる円筒部を有する、謂わば、フランジ付き円筒の形状である。ヨーク44の円筒部の内周面には、薄肉円筒状の軸受け部材51が上下方向に摺動自在に嵌合しており、この軸受け部材51の上端には径方向内向きに折り曲げられた上部フランジが形成されるとともに、下端には径方向外向きに折り曲げられた下部フランジ51aが形成されている。
下部フランジ51aとヨーク44の円筒部の下端との間には、セットばね52が圧縮状態で配置されており、このセットばね52の弾性力で軸受け部材51の下部フランジ51aを下方に付勢して、下部フランジ51aの下面と固定コア42との間に配された弾性体53を介して、固定コア42の上面に押し付けることで、軸受け部材51がヨーク44にて支持される。
軸受け部材51の内周面には、略円筒状の可動コア54が上下方向に摺動自在に嵌合する。更に、固定コア42及び可動コア54はそれぞれ軸線L上の中心部が中空になっており、可動部材28が配置されている。可動部材28はロッド28aとその上端部のロッド28aより外径の大きいヘッド部28bからなる。ロッド28aの下端部にはナット部材56が締結される。ナット部材56は、中心部に上端が開口した中空部を有し、その中空部にロッド28aの下端側を収容し、その上端がやや外径が大きく上面が可動コア54の後記するばね座の下面と当接するようになっている。
また、可動コア54の上面が内周側に突き出て形成されるばね座とヘッド部28bの下面との間には、セットばね58が圧縮状態で配置され、このセットばね58の弾性力で可動コア54は下方に付勢され、可動コア54の前記ばね座の下面がナット部材56の上端面に押し付けられて固定される。この状態で、可動コア54の下面と固定コア42の上面とが、円錐状のエアギャップgを介して対向する。
ロッド28a及びナット部材56は、固定コア42の中心に形成された開口部に緩く嵌合し、この開口部は下方がプラグ42aで閉塞されている。
以上のように構成されるACM10の作用について説明する(以下、適宜図1、図2参照)。
車両Vの走行中に低周波数(例えば、7〜20Hz)のエンジン、車体、サスペンションの連成系において車体の剛体振動とエンジン系の共振により発生する低周波振動であるエンジンシェーク振動が発生したとき、エンジン2からダイヤフラム支持ボス20及び第1弾性体支持ボス18を介して入力される荷重で第1弾性体19が変形して第1液室30の容積が変化すると、連通路32を介して接続された第1液室30及び第3液室35の間で液体が行き来する。この状態で、第1液室30の容積が拡大・縮小すると、それに応じて第3液室35の容積は縮小・拡大するが、この第3液室35の容積変化はダイヤフラム22の弾性変形により吸収される。このとき、連通路32の形状及び寸法、並びに第1弾性体19のばね定数は、前記エンジンシェーク振動の周波数領域で低ばね定数及び高減衰力を示すように設定されているため、エンジン2から車体フレームFに伝達される振動を効果的に低減することができる。
なお、前記エンジンシェーク振動の周波数領域では、ACM10の駆動部41は駆動しない非作動状態に保たれる。
前記エンジンシェーク振動よりも周波数の高い振動、すなわちエンジン2の図示しないクランクシャフトの回転に起因するアイドル時の振動や気筒休止時の振動が発生した場合、第1液室30及び第3液室35を接続する連通路32内の液体はスティック状態になって振動を抑制できなくなるため、ACM10の駆動部41を駆動してエンジン2の振動を抑制する。ちなみに、アイドル振動は、アイドル回転状態でフロア、シート及びステアリング・ホイールが低周波振動を起こすもので、ブルブル振動は4気筒エンジンで、例えば20〜35Hz、V型6気筒エンジンで、例えば30〜50Hzであり、ユサユサ振動は5〜10Hzで燃焼不均一にて発生し、エンジンのロール振動が主な要因である。
そこで、駆動部41を駆動するため、図2に示すACM10を含む能動型防振支持装置1(図1参照)には、エンジン2のクランクパルスを検出するクランクパルスセンサ60、エンジンECU61、及びACMECU62が備わる。
図3は、クランクパルスセンサ、エンジンECU及びACMECUの接続を示すブロック図である。
クランクパルスセンサ60は、エンジン2の図示しないクランク軸が発生するクランクパルスを検出するセンサである。V型6気筒エンジンの場合、クランクパルスは、エンジン2におけるクランク角が15°ごとに発生し、クランクパルスセンサ60はこのクランクパルスを検出してエンジンECU61に入力する。
エンジンECU61は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えるマイクロコンピュータ及び周辺回路等から構成され、エンジン2の回転速度を制御したり、エンジン2に備わる図示しない回転速度センサを介してエンジン2の回転速度を検出したりする。そして、検出した回転速度やクランクパルスセンサ60から入力されるクランクパルスをACMECU62に入力する機能を有する。
ACMECU62は、CPU62b、ROM62c、RAM62d等を備えるマイクロコンピュータ及び周辺回路等から構成される。そして、エンジンECU61から入力されるエンジン回転速度やクランクパルス等の信号を入力する信号入力部62aが備わる。
さらに、ACMECU62は、前方ACM10a及び後方ACM10bがそれぞれ備えるコイル46(図2参照)に電流を通電する図示しないスイッチング回路を含む給電部62fを備える。給電部62fの前記スイッチング回路はCPU62bに制御され、給電部62fが図示しないバッテリから供給される直流電源を、コネクタ部47a(図2参照)を介してコイル46(図2参照)に供給可能となっている。そして、ACMECU62は、例えばROM62cに格納されるプログラムによって動作する。
また、ACMECU62にはフラッシュメモリ等の記憶部62eが備わり、ACM10を制御するために必要なデータ62e1等が記憶される。
図2に示すように構成されるACM10の駆動部41は、コイル46に電流が通流されていない状態のとき、可動部材28は、第2弾性体27の自己の弾性復元力によって上動する。そして、ナット部材56が可動コア54を押し上げ、可動コア54と固定コア42との間にエアギャップgが形成される。
一方、ACMECU62からコイル46に電流が通電されると、エアギャップgを上下に貫通する磁束によって可動コア54が下方に引き寄せられて下方に移動する。このとき、可動コア54は可動部材28に固定されるナット部材56を介して、可動部材28を下方に移動させ、第2弾性体27が下向きに変形する。その結果、第2液室31(図2参照)の容積が増加するため、エンジン2(図1参照)からの荷重で圧縮された第1液室30の液体が隔壁部材29の連通孔29aを通過して第2液室31に流入し、エンジン2から車両V(図1の(a)参照)に伝達される荷重を低減することができる。
以上のように、ACMECU62は、コイル46へ通電する電流をON/OFFすることで可動部材28の上下動を制御でき、エンジン2の振動を抑制することができる。
図1の(a)に示すように、車両Vに備わるエンジン2は、前方ACM10aと後方ACM10bとに支持される。したがって、ACM10の動作によって、エンジン2の車両Vに対する前後方向に発生する振動を抑制することができる。
また、前記のように、本実施形態にかかるエンジン2は、車両Vに対して横置きされるため、前方ACM10a及び後方ACM10bはエンジン2の側面に配置される。したがって、クランク軸の回転方向に沿って発生するロール振動を抑制することができる。
次に本発明の特徴であるエンジン2の起動時に発生する振動の抑制について説明する。これまでの能動型防振支持装置では、エンジン2のアイドリング時や6気筒運転から3気筒運転に切り換えた場合等、エンジン2が定常回転をしている場合のエンジン振動を吸収することに着目されたものであった。
本実施形態にかかる能動型防振支持装置1(図1の(a)参照)は、ACM10(図1の(a)参照)でエンジン2(図1の(a)参照)を支持し、特にエンジン始動時に発生するロール振動を、ACM10のアクチュエータを駆動することで抑制するものである。
エンジン2(図1の(a)参照)をスタータで起動すると、エンジン2が発動(点火による気筒爆発により自力回転力を得始めることを、ここではそのように称することとする)した直後から、回転速度がアイドリング状態の回転速度に上がるまでは、エンジン2の振動は、エンジン2の重量(ここでは、図1の(b)に示すエンジン2と変速機3の重量を含む)と、ACM10(図1の(b)参照)のばね定数によって決まる固有振動周波数(ロール固有値)による振動が大半を占めることが分かった。
そして、V型6気筒エンジンの場合、クランク軸の1回転で3回気筒の爆発があるので、エンジン回転速度NEに応じた振動を「エンジン振動3次」と称するが、エンジン振動3次の振動周波数は、エンジン回転速度NEが増加するに連れて増加し、かつ、振動の大きさも増加する。これに対し、前記した固有振動数によるロール振動は低減していき、アイドリング状態のエンジン回転速度に近づくと、エンジン振動3次の振動が支配的となることが分かった。
なお、ロール振動は、クランク軸の回転方向に発生する振動であって、横置きエンジンの場合、車両の前後方向に発生する。
そして、ロール振動は、例えばエンジン始動時等クランク軸が不安定な回転をしている場合に発生する振動である。
ちなみに、直列4気筒エンジンの場合はクランク軸の1回転で2回気筒爆発があるので、エンジン回転速度NEに応じた振動をエンジン振動2次と称し、V型6気筒エンジンにおける3気筒での運転状態、つまり、休筒運転時の場合は1回転に1.5回気筒爆発があるので、エンジン回転速度NEに応じた振動をエンジン振動1.5次と称する。
図4はエンジン始動時のエンジン振動特性の時間推移を示す解析結果である。図4において横軸は時間(sec)であり、縦軸は振動周波数(Hz)を示している。そして、振動の大きさをハッチングの種類を変えた領域で示してある。
破線で示すように、エンジン振動3次(図中、「ENG振動3次」と表示)の振動成分は、エンジン2が発動した時間t以降、アイドリング状態のエンジン回転速度NEよりやや低い所定のエンジン回転速度NEmに達する時間tまでの間では、前記固有振動周波数(ロール固有値)での振動とエンジン振動3次成分の混成振動域である。そして、時間t以降は、エンジン振動3次成分が主成分になるのが分かる。
本実施形態においては、エンジン始動時のエンジン回転変動の大きさ、すなわちエンジン回転速度の上昇率に基づいて、ACMECU62が、ロール振動の大きさ及び振動期間(図4におけるtからtの時間に相当)を推定することを特徴とする。
なお、以降においては、ロール振動の大きさ及び振動期間をまとめて、ロール振動の振動状態と称する場合がある。
図5は、エンジンの始動時におけるエンジン回転速度の上昇率とロール振動の振動状態の相関関係を示すグラフである。図5は、エンジン回転速度の上昇率を、エンジンの始動時におけるエンジン回転速度の立ち上がり時間として計測し、エンジン2(図1の(b)参照)の回転速度が低い回転速度から上昇して、所定の高い回転速度に達するまでにかかる時間(立ち上がり時間)に対応する、ロール振動の大きさ(図中、破線で示す)及びロール振動期間(図中、実線で示す)を示す。そして、横軸は右の方ほど立ち上がり時間が長い、すなわち、緩やかに立ち上がることを示す。
図5に示すように、エンジン回転速度の立ち上がり時間が短いほど、すなわち、急激に立ち上がるほど、発生するロール振動の大きさが小さく、ロール振動期間が短いという相関関係がある。このことは、エンジン回転速度の上昇率が大きいほど発生するロール振動の大きさが小さく、ロール振動期間が短いということを示している。そこで、エンジン回転速度の上昇率と、発生するロール振動の振動状態との相関関係を測定し、マップ化することができる。そして、図3に示すACMECU62の記憶部62eに、例えばテーブルデータ形式のデータ62e1として記憶することができる。
このように作成されるマップを、ACMECU62(図3参照)の記憶部62e(図3参照)に記憶しておくことで、ACMECU62は、このマップを参照して、エンジン回転速度の上昇率に対応した、エンジン2(図1の(b)参照)の始動時におけるロール振動の振動状態を推定できる。
または、エンジン回転速度の上昇率から、ロール振動の振動状態を算出する計算式を設定してもよい。
このような計算式を設定することで、エンジン回転速度の上昇率に基づいた、エンジン2(図1の(b)参照)の始動時におけるロール振動の振動状態を、ACMECU62(図3参照)は計算式によって算出(推定)することができる。
図6は、エンジンの始動時におけるエンジン回転速度とクランクパルスの状態を示す図である。図6に示すように、エンジン2(図1の(b)参照)の始動時においては、スタータ(セルモータなど)によりエンジン2のクランク軸が回転されてエンジン回転速度が徐々に上昇する(スタータ駆動期間)。そして、所定のエンジン回転速度に達すると最初の点火(以下、初爆と称する場合がある)が発生し、エンジン2が発動する。ロール振動は、初爆が発生してからエンジン回転速度が安定するまでの期間(ロール固有期間)で発生する。
本実施形態においては、ACMECU62(図3参照)が初爆を検出した、図6に示すA点からの時間、すなわち振動状態算出期間で、ACMECU62(図2参照)がエンジン2(図1の(b)参照)のエンジン回転速度の上昇率を計測し、計測されたエンジン回転速度の上昇率に基づいて、ロール振動の振動状態を推定する。そして、推定されたロール振動の振動状態に基づいて、ACMECU62がACM10の駆動部41を制御することで、ロール振動を抑制する。
本実施形態において、ACMECU62(図3参照)は、回転変動によって初爆を検出する構成とした。
図6に示すように、クランクパルスCpは、スタータ駆動期間においては、エンジン回転速度が小さいことから周期が長いが、初爆の発生によるエンジン回転速度の上昇に伴って周期が短くなる。したがって、クランクパルス1周期あたりの平均値が小さくなると、ACMECU62(図3参照)は、エンジン回転速度が大きくなったことを判定できる。図6に示すように初爆の発生後は、エンジン回転速度が急速に大きくなることから、エンジン回転速度が大きくなったことを判定することで、ACMECU62は初爆を検出できる。
そこで、本実施形態においては、クランクパルスセンサ60(図3参照)が検出するクランクパルスをACMECU62に入力し、ACMECU62は入力される8個のクランクパルスの時間間隔を計測する。そして、ACMECU62は、8個のクランクパルスの時間間隔を8で除してクランクパルス1周期あたりの平均値を算出する。このように算出したクランクパルス1周期あたりの平均値が、あらかじめ設定されている閾値より小さくなった時点で、ACMECU62は初爆を検出したと判定する。
なお、ACMECU62で算出される、8個のクランクパルスの1周期あたりの平均値の大きさが、請求項に記載の回転変動の大きさに相当する値である。
また、本実施形態においては8個のクランクパルス1周期あたりの平均値を算出したが、8個のクランクパルスは限定される個数ではない。
図6に示すように、クランクパルスCpはエンジン回転速度の上昇に伴って周期が短くなる。そこで、ACMECU62(図3参照)は、算出するクランクパルスCpの1周期あたりの平均が、あらかじめ設定されている閾値以下になった時点で、初爆を検出したと判定する。図6おいては、P1で示される8個のクランクパルスCpの時間間隔の平均が閾値以下になった場合、ACMECU62は、A点において初爆が発生したと判定する。
なお、初爆の検出方法は、エンジン回転速度の変動を計測する前記の方法に限定されず、例えば、初爆を検出可能な内部圧センサなどを備えて検出する方法であってもよい。
そして本実施形態においては、ACMECU62が初爆を検出した、図6に示すA点からの時間、すなわち、図6に振動状態算出期間として示される時間で、ACMECU62(図2参照)がエンジン2(図1の(b)参照)のエンジン回転速度の上昇率を計測し、計測されたエンジン回転速度の上昇率に基づいてロール振動の振動状態を推定する。さらに、推定したロール振動の振動状態に基づいて、ACMECU62がACM10を制御することで、ロール振動を抑制する。
図6に示すように、ACMECU62(図2参照)は、初爆を検出したA点直前の8個のクランクパルスCpの時間間隔をP1(sec)として例えばRAM62d(図3参照)に一時記憶しておく。さらにACMECU62は、A点直後の8個のクランクパルスCpの時間間隔をP2(sec)とする。前記したように、V型6気筒エンジンにおいてクランクパルスCpは、クランク角15°ごとに発生するため、8個のクランクパルスCpは120°になる。すなわち、8個のクランクパルスCpの時間間隔はクランク軸が1/3回転するのに要する時間を示す。
そこで、ACMECU62(図3参照)は、初爆が発生する直前、すなわち図6においてA点直前のエンジン回転速度NE1(rpm)を、次式(1)で算出する。
NE1=(1/3)/(P1/60) ・・・(1)
また、ACMECU62は、初爆が発生した直後、すなわち図6においてA点直後のエンジン回転速度NE2(rpm)を次式(2)で算出する。
NE2=(1/3)/(P2/60) ・・・(2)
このようにして、ACMECU62は、初爆直前のエンジン回転速度NE1と初爆直後のエンジン回転速度NE2とを算出する。そして、ACMECU62は、NE2−NE1を、初爆直後のエンジン回転速度の上昇として算出する。
また初爆直後に、エンジン回転速度がNE1(rpm)からNE2(rpm)に上昇するのに要する時間は、P2/60(min)で表される。
したがって、初爆直後の単位時間あたりのエンジン回転速度の上昇率NErは、次式(3)で算出される。
NEr=(NE2−NE1)/(P2/60)・・・(3)
前記のように、エンジン回転速度の上昇率NErと、ロール振動の振動状態の間には、所定の相関関係が認められることから、あらかじめ実験等によって、エンジン回転速度の上昇率NErと、ロール振動の振動状態の相関関係を計測し、マップ化することができる。そして、マップ化されたデータは、ACMECU62の記憶部62e(図3参照)に、例えばテーブルデータ形式のデータ62e1(図3参照)として記憶できる。このことによってACMECU62は、記憶部62eに記憶されるマップを参照して、算出したエンジン回転速度の上昇率NErに対応する、ロール振動の振動状態を推定することができる。
なお、初爆直後のクランクパルスCpを計測して時間間隔を算出することは、請求項に記載されている、最初の点火から所定の回転速度に達するまでの時間を計測ことに相当する。前記のようにV型6気筒エンジンの場合、クランクパルスCpはクランク軸が1/24回転するごとに発生するパルスであって、同じ個数(本実施形態においては8個)のパルスの時間間隔を計測することは、クランク軸が所定の回転(本実施形態においては1/3回転)をするのに要する時間を計測することになる。したがって、初爆の前後における、クランク軸の所定の回転に要する時間の変化から、クランク軸が所定の回転速度に達するまでの時間を推定できる。このことから、初爆直後のクランクパルスCpを計測して時間間隔を算出することは、最初の点火から所定の回転速度に達するまでの時間を計測することになる。
もちろん、初爆前後におけるエンジン2(図1の(b)参照)の回転速度を測定し、初爆からエンジン2の回転速度が所定の回転速度に達するまでの時間を計測してもよい。しかしながら、この場合はエンジン2の回転速度を2回測定する必要があり、最低でも2回転、クランク軸を回転させる時間を要する。
これに対して、本実施形態のように8個のクランクパルスCpを測定する場合、前記のようにクランク軸が1/3回転すればよく、初爆の前後でそれぞれ8個のクランクパルスCpを測定する場合であっても、クランク軸が2/3回転する時間で測定できる。したがって、エンジン2の回転速度を測定するよりも短時間で測定できるという優れた効果を奏する。
以上のようにして、ロール振動の振動状態が推定されたら、ACMECU62(図3参照)は、前方ACM10a(図3参照)及び後方ACM10b(図3参照)に、推定したロール振動の大きさに基づいて算出する制御信号を送信して、ロール振動を抑制するように前方ACM10a及び後方ACM10bの駆動部41(図2参照)を制御する。そして、ACMECU62は、推定したロール振動期間の間、前記のようにACM10を制御することで、エンジン2(図3参照)の始動時に発生するロール振動を抑制する。
図7は、ACMECUの機能ブロック図である。前記のようにACMECU62は、データ62e1として記憶部62eに記憶されるマップを参照して、ロール振動の振動状態を推定し、その結果に基づいてACM10の駆動部41(図2参照)を制御する。そのため、図7に示すように、ACMECU62は、振動状態推定手段620、アクチュエータ駆動制御手段621、エンジン始動判定手段622、及び位相算出手段623、を備える。
エンジン始動判定手段622は、前記のようにクランクパルスに基づいて初爆を検出して、エンジン2(図1の(b)参照)が始動したことを判定する。そして、初爆を検出したことを振動状態推定手段620に通知する機能を有する。このことから、エンジン始動判定手段622が請求項に記載の初爆検出手段となる。また、エンジン始動判定手段622がクランクパルス1周期あたりの平均値を算出することで回転変動を検出することから、エンジン始動判定手段622が請求項に記載の変動検出手段となる。
振動状態推定手段620は、エンジン始動判定手段622から、初爆の検出を通知されると、前記のように初爆直後のエンジン回転速度の上昇率NErを算出する。そして、記憶部62eにデータ62e1として記憶されるマップを参照して、算出した上昇率NErに対応する、エンジン2(図1の(b)参照)のロール振動の振動状態を推定する。そして、推定したロール振動の振動状態をアクチュエータ駆動制御手段621に通知する機能を有する。
位相算出手段623は、アイドリング状態や、全気筒運転状態、半気筒運転状態の場合、振動状態推定手段620からのクランク軸の回転変動のP−P値、回転変動のピークのタイミングと、クランクパルスセンサ60が検出するクランクパルス信号、図示しないセンサが検出する各気筒のTDCパルス信号と、に基づいて、クランク軸の回転変動のピークのタイミングとTDCのタイミングを比較し、位相の算出を行い、アクチュエータ駆動制御手段621に出力する。
アクチュエータ駆動制御手段621は、振動状態推定手段620から通知されたエンジン2のロール振動の振動状態と、位相算出手段623が算出した位相とに基づいて、前方ACM10と後方ACM10bそれぞれを振動の周期毎にエンジン振動波形を相殺できるマウント動作となるように、駆動周期内にデューティ信号の集合体を用いて組み合わせ、TDC毎の基準パルスから求めた位相により出力制御を行う。
ちなみに、このアクチュエータ駆動制御手段621による駆動周期内にデューティ信号の集合体を用いて行なう制御は、特開2002−139095号公報の発明の詳細な説明の段落[0030],[0031]及び図5、図6を参照されたい。
次に、エンジン始動判定手段622からの回転モードの判定がエンジン起動状態(エンジン2が発動直後からアイドリング状態に入るまでの間の期間)の場合の、位相算出手段623及びアクチュエータ駆動制御手段621の機能を説明する。
その場合、位相算出手段623は、振動状態推定手段620からの所定の固有振動周波数(ロール固有値)の振動周期と、クランクパルスセンサ60が検出するクランクパルス、図示しないセンサが検出する各気筒のTDCパルス信号、とに基づいて、エンジン2(図1の(b)参照)が発動したと判定したタイミングから所定の時間差だけ位相を遅らせて、例えば、後方ACM10bに、そして、半周期遅れて前方ACM10aに出力するようにアクチュエータ駆動制御手段621に出力する。
アクチュエータ駆動制御手段621は、それを受けて、前方ACM10aと後方ACM10bそれぞれを振動の周期毎にエンジン振動波形を相殺できるマウント動作となるように、駆動周期内にデューティ信号の集合体を用いて組み合わせ、以後固定された周期により出力制御を行う。
なお、ACMECU62に備わる振動状態推定手段620、アクチュエータ駆動制御手段621、エンジン始動判定手段622、及び位相算出手段623は、例えば、ACMECU62を駆動するプログラムに組み込んだソフトウェアロジックで構成することができるが、これに限定されず、ハードウェアロジックによって構成してもよい。
図8は、ロール振動の振動状態を推定するステップを示すフローチャートである。以下、図8を参照して、ACMECU62が、ロール振動の振動状態を推定するステップを説明する(以下、適宜図1〜図7参照)。
図8に示すように、ACMECU62のエンジン始動判定手段622は、クランクパルスセンサ60が検出するクランクパルスCpを入力して、8個のクランクパルスCpの時間間隔の平均値を算出する(ステップS1)。
算出された平均値が、あらかじめ設定されている閾値より大きい場合は(ステップS2→No)、ACMECU62は制御をステップS1に戻すが、移動平均の値が閾値以下の場合は(ステップS2→Yes)、ACMECU62のエンジン始動判定手段622は初爆を検出したと判定する(ステップS3)。そして、ACMECU62のエンジン始動判定手段622は、初爆の検出を振動状態推定手段620に通知する。さらに、初爆の検出を通知された振動状態推定手段620は、前記した式(1)によって、初爆直前のエンジン回転速度NE1を算出する(ステップS4)。
なお、エンジン始動判定手段622は、クランクパルスCpの時間間隔の平均値を連続して算出する場合、1パルス分ずつシフトしながら、連続した8個のクランクパルスCpの時間間隔の平均値を算出する。すなわち、移動平均を算出する。
次にACMECU62の振動状態推定手段620は、初爆直後の8個のクランクパルスCpの時間間隔P2を計測する(ステップS5)。具体的には、図6に示すA点直後に発生する8個のクランクパルスCpの時間間隔P2を計測する。そして、ACMECU62の振動状態推定手段620は、前記した式(2)によって、初爆直後のエンジン回転速度NE2を算出する(ステップS6)。さらに、前記した式(3)によって、初爆直後のエンジン回転速度の上昇率NErを算出する(ステップS7)。
ACMECU62の振動状態推定手段620は、記憶部62eにデータ62e1として記憶されている、エンジン回転速度の上昇率NErと、発生するロール振動の振動状態との相関関係を示すマップを参照して、算出したエンジン回転速度の上昇率NErに対応するロール振動の振動状態を推定する(ステップS8)。さらに振動状態推定手段620は、推定したロール振動の振動状態を、アクチュエータ駆動制御手段621に通知する。
そしてACMECU62のアクチュエータ駆動制御手段621は、通知されたロール振動の振動状態と、位相算出手段623が算出した位相とに基づいて、コイル46に通電する電流を制御することでACM10の駆動部41を制御し(ステップS9)、エンジン2の始動時におけるロール振動を抑制する。
アクチュエータ駆動制御手段621は、推定したロール振動のロール振動期間が経過するまでは(ステップS10→No)ステップS9に制御を戻して、ACM10の駆動部41を制御し、推定したロール振動のロール振動期間が経過したら(ステップS10→Yes)、ACMECU62は制御を終了する。
以上のように、本実施形態にかかる能動型防振支持装置は、初爆直後の8個のクランクパルスに基づいてエンジン回転速度の上昇率を算出し、算出された上昇率に対応したデータを参照することで、ロール振動の振動状態を推定する。
初爆直後のエンジンは約400rpmであることから、V型6気筒エンジンの場合、初爆直後における8個のクランクパルスの時間間隔は約0.05秒になる。換言すると、本実施形態にかかる能動型防振支持装置及び制御方法においては、初爆後0.05秒程度でエンジン始動時に発生するロール振動の振動状態を推定でき、能動型防振支持装置の制御を開始できる。
したがって、エンジン始動時の過渡振動において、能動型防振支持装置の制御が間に合わないという従来の問題を解決することができ、エンジン始動時の過渡振動を効果的に抑制できるという優れた効果を奏する。
本発明の実施形態に係る能動型防振支持装置を適用した車両におけるエンジン搭載状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。 能動型防振支持装置の構造を示す断面図である。 クランクパルスセンサ、エンジンECU及びACMECUの接続を示すブロック図である。 エンジン始動時のエンジン振動特性の時間推移を示す解析結果である。 エンジンの始動時におけるエンジン回転速度の上昇率とロール振動の振動状態の相関関係を示すグラフである。 エンジンの始動時におけるエンジン回転速度とクランクパルスの状態を示す図である。 ACMECUの機能ブロック図である。 ロール振動の振動状態を推定するステップを示すフローチャートである。
符号の説明
1 能動型防振支持装置
2 エンジン
10 ACM
41 駆動部(アクチュエータ)
60 クランクパルスセンサ
61 エンジンECU
62 ACMECU(制御手段)
620 振動状態推定手段
621 アクチュエータ駆動制御手段
622 エンジン始動判定手段(初爆検出手段、変動検出手段)
F 車体フレーム(車体)
V 車両

Claims (2)

  1. エンジンを車体に支承するとともに、前記エンジンの回転変動の大きさに基づいて前記エンジンの振動状態を推定する制御手段がアクチュエータを伸縮駆動して、前記エンジンの振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置であって、
    前記制御手段は、前記エンジンの最初の点火を検出する初爆検出手段と、前記エンジンの回転変動の大きさを検出する変動検出手段を備え、前記エンジンの最初の点火から所定の回転速度に達するまでの時間を計測し、その時間に基づき前記エンジンの固有振動周波数における振動の大きさ及び期間を推定することを特徴とする能動型防振支持装置。
  2. エンジンを車体に支承するとともに、前記エンジンの回転変動の大きさに基づいて前記エンジンの振動状態を推定する制御手段がアクチュエータを伸縮駆動して、前記エンジンの振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置の制御方法であって、
    前記制御手段は、
    前記エンジンの最初の点火を検出する初爆検出手段を介して前記エンジンの最初の点火を検出するステップと、
    前記エンジンの最初の点火を検出してから、前記エンジンが所定の回転速度に達するまでの時間を計測するステップと、
    前記計測された時間に基づいて、前記エンジンの回転変動の大きさを検出するステップと、
    前記検出されたエンジンの回転変動の大きさに基づいて、前記エンジンの固有振動周波数における振動の大きさ及び期間を推定するステップと、
    を有することを特徴とする能動型防振支持装置の制御方法。
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