JP4513485B2 - 防振支持装置 - Google Patents
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そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであって、任意の周波数の高調波成分を抑制することの可能な防振支持装置を提供することを目的としている。
なお、圧力変動の基本次数成分とは、圧力変動に含まれる周波数毎の成分のうち、最も低い周波数における成分をいい、N次高調波成分とは、基本次数成分の周波数の整数倍(N倍)の周波数における成分をいう。
図1は、本発明を適用した内燃機関支持装置の一例を示す概略構成図である。
図中、1は車体であって、例えば直列4気筒のガソリンエンジンで構成された内燃機関2が、振動制御型支持機構3を介して支持されている。
内燃機関2は、本体となるエンジンブロック4と、エンジンブロック4内に形成されたシリンダ5と、シリンダ5内を上下に摺動するピストン6と、ピストン6に連結されたコネクティングロッド7と、コネクティングロッド7に連結され、内燃機関2の動力を取出すクランクシャフト8とを備えている。
そして、振動制御型支持機構3は、図2に示すように、略円筒型の本体ケース17を有し、振動制御型支持機構3は、本体ケース17がブラケット17aを介して車体1に固定されることにより、車体1に固定されるようになっている。
一方、本体ケース17の内側底部には、ゴム等の弾性体からなる緩衝部材20が充填されている。また、本体ケース17の内部における弾性部材18と緩衝部材20との間には、オイル等の流体が充填される液室21a及び21bが形成されている。液室21a及び21bは、本体ケース17の内側に嵌め込まれたゴム等の弾性体からなる隔離部材22によって、上下2つに区画されている。これら2つの液室21a及び21bは、図示しない小径の通路によって連通されており、両液室21a及び21b間を流体が往来可能になっている。
さらに、これら2つの液室21a及び21bを区画する隔離部材22の上面には、シート状のダイヤフラム23が設けられ、このダイヤフラム23は、固定具24によってその縁部を隔離部材22に固定されている。そして、ダイヤフラム23と隔離部材22の上面との間には空気室25が形成されている。
前記変動気圧導入路26は、前記空気室25と連通する側と反対側の端部は、図1に示すように2方に分岐され、その一方の分岐路26aは切換弁28aに接続され、他方の分岐路26bは切換弁28bに接続されている。
なお、振動制御型支持機構3の緩衝材としての特性、すなわち、そのばね特性や減衰特性等は、上記空気室25に対する空気の給排に基づき、その容積を変更する事で可変となる。すなわち、切換弁28a、28bをオン状態に保持することで空気室25に負圧を導入して空気室25を減圧し、切換弁28a、28bをオフ状態とすることで空気室25に大気圧を導入して減圧された圧力を解放し、振動制御型支持機構3の伸縮力を発生する。このように、振動制御型支持機構3の緩衝材としての特性を、内燃機関2の運転状態に応じて変化させることにより、機関振動の発生態様の変化に応じて、車体1への振動伝達を適切に抑制することができることになる。
この気圧制御用コントローラ35は、内燃機関2が運転状態にあるときに、図3に示した変動気圧導入処理を予め設定した所定周期で実行して、前述した切換弁28a、28bに駆動信号を出力してオンオフ制御するように構成されている。
この変動気圧導入処理では、まず、ステップS1で、クランクシャフト8のクランク角信号と、インジェクタ16aに対して噴射制御用コントローラ16から出力される燃料噴射信号とを読込む。クランク角信号は、図4(a)に示すように、クランクシャフト8の回転に応じて、10°CA毎に1パルスが出力されると共に、この1パルスが180°CA毎に非出力となる。また、燃料噴射信号は、図4(b)に示すように、インジェクタ16aに対する開弁時間を指示するパルス信号であり、HiからLoに立下りLoを維持している間、燃料が噴射されるように構成されている。なお、燃料噴射信号は、実際には#1〜#4の4気筒分出力されるが、各気筒に噴射される燃料は略同等であるため1気筒分の燃料噴射信号を読み込めばよい。
前記内燃機関回転速度NEは、クランクシャフト8のクランク角信号における180°毎の欠歯部に対応する信号を検出し、その周期から算出する。また、燃料噴射時間TINJは、燃料噴射信号のLoを維持する時間をカウントして算出する。
次にステップS3に移行し、内燃機関2の振動に応じて、主駆動信号Smのデューティ比A/B及び位相Cを特定する。この主駆動信号Smは、内燃機関2の振動に応じて空気室25に変動気圧を供給するための負圧及び大気圧の導入期間を規定する信号であって、後述の切換弁駆動信号を生成するために用いられる信号である。
ここで、内燃機関2の振動の起振力は、燃焼爆発の圧力変動に起因する燃焼起振力と、ピストン6、コンロッド7等の回転部材が上下に運動することによって発生する慣性加振力とで構成されている。
まず、デューティ比A/Bは、気圧制御用コントローラ35に予め記憶された、内燃機関回転速度NEと燃料噴射時間TINJとの関係でデューティ比A/Bが決定される、図5のデューティ比算出用制御マップを参照して、前記ステップS2で算出された内燃機関回転速度NEと燃料噴射時間TINJとに基づいて算出する。また、位相Cは、気圧制御用コントローラ35に予め記憶された、内燃機関回転速度NEと燃料噴射時間TINJとの関係で位相Cが決定される、図6の位相算出用制御マップを参照して、前記ステップS2で算出された内燃機関回転速度NEと燃料噴射時間TINJとに基づいて算出する。なお、図5及び図6の制御マップはその一部のみを示している。
例えば、予め設定した評価点において、内燃機関2の振動が伝達されて発生する振動又は騒音が最小となるように実験等により求めた値を用いる。前記評価点は、例えば、振動制御型支持機構3の車体側取付け点の振動、又はフロア振動、ステアリング振動、車室内騒音等であり、内燃機関回転速度NE、内燃機関2の負荷、車両速度等の運転状態に応じて評価点を使い分けたり、複数の評価点に重み付けし、これらの和をとったものを用いて評価するようにしてもよい。このようにすることによって、予め設定された車体評価点における振動伝達を良好に低減することができる。
図7(a)は、主駆動信号Smのデューティ比を横軸とした配列で、主駆動信号Smのデューティ比D1〜Dmに対応する切換弁駆動信号のデューティ比d1〜dmが設定されている。この切換弁駆動信号のデューティ比d1〜dmは具体的には、主駆動信号のデューティ比(A/B)×100〔%〕に対し、(1/2)×(A/B)×100〔%〕となるように設定される。
ここで、切換弁駆動信号の位相は、主駆動信号Smの位相に対するずれ量J〔sec〕を表している。このずれ量Jは、主駆動信号Smの周期をTとしたとき、T/(4×N)〔sec〕で表される。なお、Nは、2以上の整数であって、空気室25内の気圧変動のN次高調波成分の“N”に相当する。なお、“N”は予め抑制したい高調波成分を実験的に、もしくは、解析的に決定するようにすればよい。
具体的には、切換弁28a、28bの切換弁駆動信号Sa、Sbは、図4(d)及び(g)に示すように、そのデューティ比は、共にステップS4で特定したデューティ比に設定される。また、切換弁駆動信号Sa、Sbの空気室25に負圧を供給する期間の1/2となる位置を切換弁駆動信号の位相基準Pa、Pbとしたとき、切換弁駆動信号Saは、主駆動信号Smの位相Cで特定される信号生成用位相基準Scに対し、その位相基準PaがステップS4で特定した位相Jだけ進むように設定され、すなわち、位相基準Pmに対し、位相基準PaはC−J〔sec〕で表される。また、切換弁駆動信号Sbは、信号生成用位相基準Scに対し、その位相基準Pbが位相Jだけ遅れるように設定され、すなわち、位相基準Pmに対し、位相基準PbはC+J〔sec〕で表される。
なお、各切換弁駆動信号Sa、Sbに対し、振動制御型支持機構3が制振力を発生するまでの応答特性、つまりは空気室25と吸気配管9の上流側の配管9aとを連通するための経路、また、空気室25と吸気配管9の下流側の配管9bとを連通するための経路による管路抵抗及び位相変化等に応じてそれぞれの切換弁駆動信号Sa、Sbのデューティ比及び位相を補正するようにしてもよい。
今、例えば、空気室25内の圧力変動の3次高調波成分を抑制するものとする。
予め、実験或いは空気室25内の圧力変動を解析すること等により、3次高調波成分を抑制するための、切換弁駆動信号Sa、Sbの位相及びデューティ比を、上述のようにして設定し、デューティ比マップ及び位相マップを生成しておく。
これにより、図4(c)に示すように、位相基準Pmから位相Cだけずれた位置を、信号生成用位相基準Sc、すなわち空気室25を負圧にする期間Aの1/2の位置とし、前後(図では左右)にデューティ比A/Bを振り分けた、デューティ比が(A/B)×100〔%〕の主駆動信号Smが生成される。
つまり、切換弁駆動信号Saは、図4(d)に示すように、主駆動信号Smの位相基準Pmに対し、位相基準PaがC−J〔sec〕となり、且つそのデューティ比を、位相基準Paを基準に前後(図では左右)に振り分け、デューティ比が主駆動信号Smのデューティ比の1/2となるように設定される。また、他方の切換弁駆動信号Sbは、図4(g)に示すように、主駆動信号Smの位相基準Pmに対し、位相基準PbがC+J〔sec〕となり、且つそのデューティ比を、位相基準Pbを基準に前後(図では左右)に振り分け、デューティ比が主駆動信号Smのデューティ比の1/2となるように設定される。
前記空気室25には、切換弁28a及び切換弁28bの双方により導入される気圧が作用することになるから、空気室25の圧力変動は、図4(d)に破線で示す切換弁28aによる圧力変動と図4(g)に破線で示す切換弁28bによる圧力変動との和となる。
なお、上記実施の形態においては、3次高調波成分を抑制するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、任意の次数の高調波成分を抑制することができる。この場合には、抑制対象の次数の高調波成分について、予め切換弁駆動信号の位相マップを生成しておき、これに基づいて位相のずれ量を特定するようにすればよい。
また、上記実施の形態においては、車両用の内燃機関を防振支持するようにした内燃機関支持装置に適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、車両用以外の内燃機関を防振支持する支持装置であっても適用することができまた、内燃機関に限るものではなく他の振動体の防振装置に適用することも可能である。
また、上記実施の形態においては、切換弁28a、28bを、ソレノイドを有する電磁式の切換弁で構成した場合について説明したがこれに限るものではなく例えば機械式の切換弁であっても適用することができる。
また、上記実施の形態においては、負圧源として吸気通路9のスロットルバルブ15の下流側の発生する負圧を利用した場合について説明したが、別途負圧を作る装置等を適用してもよい。
ここで、切換弁28a、28bが第1の切換手段及び第2の切換手段に対応し、気圧制御用コントローラ35が制御手段に対応し、図3のステップS3の処理で主駆動信号Smのデューティ比を算出する処理がデューティ比予測手段に対応している。
2 内燃機関
3 振動制御型支持機構
4 エンジンブロック
5 シリンダ
6 ピストン
7 コネクティングロッド
8 クランクシャフト
9 吸気通路
10 排気通路
11 エアクリーナ
15 スロットルバルブ
16a インジェクタ
16 噴射制御用コントローラ
25 空気室
26 変動気圧導入路
28a、28b 切換弁
29 大気圧導入路
30 負圧導入路
34 クランク角センサ
35 気圧制御用コントローラ
Claims (3)
- 供給される気圧の変動に応じて膨張及び収縮する空気室を備え、振動体を支持すると共に前記空気室が膨張及び収縮することにより前記振動体の振動に対する制振力を発生する振動制御型支持機構と、
大気圧と異なる圧力を発生する圧力源と、
前記圧力源の圧力とは異なる圧力と前記圧力源の圧力との何れか一方を切り換えて、前記空気室に作用させる第1の切換手段と、
前記第1の切換手段とは独立して設けた、前記圧力源の圧力とは異なる圧力と前記圧力源の圧力との何れか一方を切り換えて前記空気室に作用させる第2の切換手段と、
前記空気室内に圧力の異なる空気を給排して前記振動体の振動を抑制する制振力を発生するように前記第1の切換手段及び第2の切換手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1の切換手段の給排動作により前記空気室内に発生する第1の圧力変動の基本次数成分と前記第2の切換手段の給排動作により前記空気室内に発生する第2の圧力変動の基本次数成分との和が前記振動体の振動に対して逆位相又は略逆位相となり、且つNを2以上の整数としたとき前記第1の圧力変動及び前記第2の圧力変動の基本次数成分のN次高調波成分どうしが逆位相又は略逆位相となるように、前記振動体の振動に対して、逆位相又は略逆位相となる位相を有し、且つ、前記振動体の振動を抑制可能な大きさを有する前記空気室内に発生する圧力変動を基準圧力変動としたとき、前記第1の圧力変動のN次高調波成分と前記第2の圧力変動のN次高調波成分とのうち何れか一方の位相が前記基準圧力変動の位相に対して前記N次高調波成分の1/4周期に相当する量だけ進み、他方の位相基準が前記基準圧力変動の位相に対して前記N次高調波成分の1/4周期に相当する量だけ遅れるように前記第1の切換手段及び第2の切換手段を制御し、
さらに、前記基準圧力変動を一つの切換手段により発生させると仮定した場合の当該切換手段に対する駆動信号のデューティ比を予測するデューティ比予測手段を有し、
当該デューティ比予測手段で予測した仮想デューティ比に基づいて前記N次高調波成分の次数Nを決定することを特徴とする防振支持装置。 - 前記制御手段は、前記第1の切換手段に対する駆動信号及び前記第2の切換手段に対する駆動信号のデューティ比が、前記デューティ比予測手段で予測した仮想デューティ比の1/2となるように、前記第1の切換手段及び前記第2の切換手段を制御することを特徴とする請求項1記載の防振支持装置。
- 前記デューティ比予測手段は、前記内燃機関の回転数及び燃料噴射時間に基づいて前記仮想デューティ比を予測することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の防振支持装置。
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JPH11241749A (ja) * | 1998-02-25 | 1999-09-07 | Tokai Rubber Ind Ltd | 空気圧加振式の能動型防振装置 |
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