JP6053021B2 - エンジンマウント制御装置及び車両 - Google Patents
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Description
δ1=S1F×((C3)/4)+P’1F ・・・(1)
1.構成
[1−1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10の概略構成図である。図1に示すように、車両10は、駆動源としてエンジン12及び走行モータ14を有するいわゆるハイブリッド車両である。後述するように、車両10は、走行モータ14を有さないいわゆるエンジン車両であってもよい。
エンジン制御系100は、エンジン12に関連する構成要素として、クランクセンサ102と、上死点センサ104(以下「TDCセンサ104」ともいう。)と、スタータモータ106と、燃料噴射電子制御装置108(以下「FI ECU108」という。)とを有する。
図1に示すように、モータ制御系200は、走行モータ14に関連する構成要素として、レゾルバ202と、SOCセンサ204と、モータ電子制御装置206(以下「モータECU206」又は「MOT ECU206」という。)とを有する。
前述のように、能動型防振支持装置300は、エンジンマウント302f、302r及びACM ECU304を有する。
以下では、振動抑制制御に関連してACM ECU304が行う制御について説明する。本実施形態のACM ECU304は、振動抑制制御に関連して始動時制御と通常制御の両方を行う。始動時制御は、エンジン12の始動時又は再始動時に発生するいわゆるロール固有振動(ロール共振)を抑制するための制御である。通常制御は、エンジン12が爆発工程を伴って作動中である際のエンジン振動を抑制するための制御である。以下では、通常制御におけるACM302f、302rへの電流出力開始タイミング(ACM302f、302rの作動開始タイミング)の設定方法を中心に説明する。
図2は、通常制御の各エンジン振動周期CにおけるACM302f、302rへの電流出力開始タイミングを設定するための制御を説明するためのタイムチャートである。図2では、エンジン振動周期C、TDCパルス信号Stdc、ステージSTG、クランクパルス信号Scrk、ACM ECU304の処理及び目標ACM電流Iacmft、Iacmrtが示されている。
TDCパルスPtdcは、上死点センサ104が検出した上死点タイミングをパルス(以下「TDCパルスPtdc」という。)として示す信号である。各気筒が作動している場合、TDCパルスPtdcの間隔(以下「TDCパルス間隔Ttdc」という。)[sec]は、エンジン12の各気筒が上死点に位置する間隔、すなわち、爆発工程の間隔を示す。
エンジン振動は、爆発工程毎に発生する。このため、爆発工程の間隔は、エンジン振動の周期(以下「エンジン振動周期C」又は「振動周期C」という。)を意味する。図2では、個別のエンジン振動周期Cを「C1〜C5」と番号付けしている。また、本実施形態では、ACM ECU304における演算周期(以下「演算周期Cc」という。)を、エンジン振動周期Cに一致させて行う。ACM ECU304は、TDCパルス間隔Ttdcを検出することにより、演算周期Cc(=エンジン振動周期C)を判定することができる。或いは、ACM ECU304は、後述するクランクパルスPcrkの間隔を検出することにより、演算周期Cc(=エンジン振動周期C)を判定してもよい。
本実施形態では、ACM ECU304の演算負荷(以下「演算負荷Lacm」という。)を考慮して、演算周期Ccを複数(ここでは4つ)に分割したステージSTGという単位を用いる。
さらに、本実施形態では、クランクパルス信号Scrkに含まれるクランクパルスPcrkの間隔(以下「クランクパルス間隔Tcrk」という。)[sec]をACM ECU304で用いる演算単位として用いる。本実施形態におけるクランクセンサ102の角度分解能は、例えば6°である。この場合、各演算周期Cc(=120°)に含まれるクランクパルスPcrkの数は20となる。また、各ステージSTG(=30°)に含まれるクランクパルスPcrkの数は5となる。各クランクパルスPcrkは、後述する位相遅れ補償第1制御で利用する単位であるが、詳細については、図4及び図6を参照して後述する。
目標ACM電流Iacmft、Iacmrtは、ACM302f、302rに対して出力する電流の目標値である。目標ACM電流Iacmft、Iacmrtの設定は、後述する演算処理において行う。
図2に示すように、本実施形態のACM ECU304は、クランクパルス間隔読取り処理、演算処理及び電流出力処理の3つの処理(工程)をそれぞれ1つ又は複数の演算周期Cc(=エンジン振動周期C)に対応させて実行する。
クランクパルス間隔読取り処理では、クランクセンサ102からのクランクパルス信号Scrkを受信して、クランクパルス信号Scrkの立ち上がりから立ち下がりまでの間隔又は立ち下がりから立ち上がりまでの間隔(以下「クランクパルス間隔Tcrk」という。)を読み取る。なお、クランクパルス間隔読取り処理としては、例えば、特許文献1の段落[0073]、[0104]等と同様の方法を用いてもよい。
演算処理では、ACM302f、302rを制御するための各種設定を演算する。例えば、演算処理では、ACM302f、302rに対して電流を出力するための設定(例えば、目標電流波形の周波数、振幅及び出力開始タイミング)を算出する。
電流出力処理は、演算処理で算出した設定に基づいてACM302f、302rに対して電流を出力してACM302f、302rを作動させる。
(2−3−1.概要)
上記のように、本実施形態のACM ECU304は、通常制御におけるACM302f、302rの作動開始タイミング(電流出力開始タイミング)を設定するための制御として、位相遅れ補償第1制御と位相遅れ補償第2制御とを切り替えて実行する。
図3は、位相遅れ補償第2制御を説明するためのタイムチャートである。図3では、車両10が加速していく場面において、エンジン振動周期C(C1〜C5)と、ステージSTGと、位相遅れP(P1〜P3)、P’(P1’〜P3’)と、前側のACM302fに対する目標ACM電流Iacmftの波形(目標電流波形Pi)とが示されている。
図4は、位相遅れ補償第1制御を説明するためのタイムチャートである。図3では、位相遅れ補償第2制御との相違点を示すことで位相遅れ補償第1制御の説明をする。
(2−4−1.制御の選択)
図5は、通常制御において位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御を選択するフローチャートである。位相遅れ補償第1制御では、クランクパルス数Ncrkを用いて位相遅れPを補償するのに対し、位相遅れ補償第2制御では、ステージ数Nstgを用いて位相遅れPを補償する。上記のように、位相遅れPは、エンジン振動周期Cの開始時点(すなわち、エンジン振動の発生時点)からエンジン振動がアクチュエータ306に到達するまでの時間を意味する。
図6は、位相遅れ補償第1制御のフローチャート(図5のS3の詳細)である。ステップS11において、ACM ECU304は、第1振動周期C1においてクランクパルス間隔Tcrkを読み取る(クランクパルス間隔読取り処理。図2〜図4参照)。ここにいうクランクパルス間隔Tcrkとしては、例えば、第1振動周期C1における各クランクパルス間隔Tcrkの平均値を用いることができる。或いは、クランクパルス間隔Tcrkは、第1振動周期C1における任意のクランクパルス間隔Tcrkを代表値として用いることも可能である。
Ncrk=[P1/Tcrk] ・・・(1−1)
Tr1=P1−[P1/Tcrk]・Tcrk ・・・(1−2)
図7は、位相遅れ補償第2制御のフローチャート(図5のS4の詳細)である。ステップS21〜S23は、図6のS11〜S13と同様である。
Nstg=[P1/(Tcrk・n)] ・・・(2−1)
Tr2=P1−[P1/(Tcrk・n)]・Tcrk・n ・・・(2−2)
次に、位相遅れ補償第1制御(図6)及び位相遅れ補償第2制御(図7)についての比較を行う。上記のように、位相遅れ補償第1制御では、位相遅れP1をクランクパルス間隔Tcrkで割り切れる部分K1と余り時間Tr1とに分ける。このため、余り時間Tr1は、クランクパルス間隔Tcrk未満となる(図4)。一方、位相遅れ補償第2制御では、位相遅れP1をステージ間隔Tstgで割り切れる部分S1と余り時間Tr2とに分ける(図3及び図4)。このため、余り時間Tr2は、ステージ間隔Tstg未満となる。
以上説明したように、本実施形態の位相遅れ補償第1制御によれば、第1エンジン振動周期C1における位相遅れP1を、電流出力処理を行う第3エンジン振動周期C3に反映する際、クランクパルス数Ncrkと余り時間Tr1を用いる(図4及び図6)。クランクパルス間隔Tcrkは、ステージ間隔Tstgよりも短い。これに伴い、位相遅れ補償第2制御(図3及び図7)の場合よりも、余り時間Tr1(固定値)が取り得る範囲を狭くすることが可能となる。このため、ステージSTG単位で位相遅れP1を反映する場合と比較して、第1エンジン振動周期C1における位相遅れP1を、電流出力処理を行う第3エンジン振動周期C3に反映し易くなる。従って、アクチュエータ306の作動開始タイミングの精度を向上させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
上記実施形態では、能動型防振支持装置300(ACM ECU304)をハイブリッド車両である車両10に適用したが、例えば、位相遅れ補償第1制御に着目すれば、走行モータ14を有さないエンジン車両としての車両10に能動型防振支持装置300を適用してもよい。或いは、能動型防振支持装置300の適用対象は、車両10に限らず、エンジン12を備える移動体(船舶や航空機等)に用いることもできる。或いは、能動型防振支持装置300を、エンジン12を備える製造装置、ロボット又は家電製品に適用してもよい。
上記実施形態では、エンジン12を走行用(車両10の走行駆動力を生成するもの)としたが、例えば、走行モータ14を駆動力生成手段とする車両10であれば、エンジン12は、図示しない発電機を作動させるためのみに用いられるものであってもよい。
上記実施形態では、走行モータ14及びスタータモータ106の両方をモータリング用の電動機として用いたが、例えば、スタータモータ106を省略することも可能である。また、走行モータ14を有さないエンジン車両として車両10を構成する場合、スタータモータ106のみを前記電動機として用いることができる。
上記各実施形態では、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202よりも低いものとした。しかしながら、クランクセンサ102の角度分解能は、レゾルバ202と同じ又はそれ以上としてもよい。
[5−1.制御の選択]
上記実施形態では、図5のステップS1、S2を用いて、位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御の選択を行った。しかしながら、例えば、位相遅れ補償第1制御に着目すれば、ステップS1、S2の一方を省略してもよい。或いは、ステップS1、S2以外の判定を用いて、位相遅れ補償第1制御又は位相遅れ補償第2制御を選択してもよい。例えば、位相遅れ補償第1制御の実行を許可するか否かを判定するためのエンジン回転数変化量閾値THΔneを設定しておき、エンジン回転数変化量ΔNe[rpm/s]が閾値THΔneを下回る場合、位相遅れ補償第1制御の実行を許可し、エンジン回転数変化量ΔNeが閾値THΔneを上回る場合、位相遅れ補償第1制御の実行を禁止してもよい。
上記実施形態では、位相遅れ補償第1制御及び位相遅れ補償第2制御のいずれにおいてもクランクパルス間隔Tcrkを用いた(図6のS11、S13、S14、図7のS21、S23、S24)。しかしながら、エンジン12と走行モータ14の両方が駆動している場合(エンジン12と走行モータ14とが連結している場合)、レゾルバ202が検出したモータ回転位置θmot_dに基づくモータパルス間隔Tmotをクランクパルス間隔Tcrkの代わりに用いてもよい。
上記実施形態では、余り時間Tr1を固定時間[sec]として算出した(図6のS14)。しかしながら、エンジン12及び走行モータ14の両方が作動し且つレゾルバ202の方がクランクセンサ102よりも角度分解能が高い場合、余り時間Tr1を固定時間として算出した後、当該固定時間に含まれるモータパルスPmotの数を算出して用いてもよい。
上記実施形態の位相遅れ補償第2制御では、1つのステージSTGが5つのクランクパルスPcrkに対応すること、換言すると、ステージSTGの長さ(ステージ間隔Tstg)に対応するクランクパルスPcrkの数nが固定であることを前提としていた。しかしながら、ステージ間隔Tstgに対応するクランクパルスPcrkの数nを可変としてもよい。
上記実施形態では、第1振動周期C1で行ったクランクパルス間隔読取り処理に対応する演算処理を第2振動周期C2で行った(図2)。しかしながら、例えば、第1振動周期C1の前半でクランクパルス間隔読取り処理を実行し、第1振動周期C1の後半で演算処理を実行するように割り当てれば、演算処理を第1振動周期C1で行うことも可能である。
14…走行モータ(電動機) 16…車体
102…クランクセンサ 104…上死点センサ
202…レゾルバ
302f、302r…ACM(エンジンマウント)
304…ACM ECU(エンジンマウント制御装置)
306…アクチュエータ C…エンジン振動周期
C1…第1エンジン振動周期 Lacm…ACM ECUの演算負荷
Ncrk…位相遅れに含まれるクランクパルス数
Ne…エンジン回転数
Nstg…位相遅れに含まれるステージ数 P…位相遅れ
Scrk…クランクパルス信号 Smot…モータパルス信号
Stdc…TDCパルス信号(上死点信号)
STG…ステージ
Tcrk…クランクパルス間隔(クランクパルスの間隔)
THlacm…演算負荷閾値 THne…エンジン回転数閾値
Tr1…位相遅れ補償第1制御における余り時間
Tr2…位相遅れ補償第2制御における余り時間
Tstg…ステージ間隔
Claims (6)
- エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、
第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、
前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理と
を実行し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、
前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理を行うか否かを判定するエンジン回転数閾値を設定し、
エンジン回転数が前記エンジン回転数閾値を下回ると判定した場合、前記位相遅れ算出処理を実行し、
前記エンジン回転数が前記エンジン回転数閾値を上回ると判定した場合、前記位相遅れ算出処理を中止する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、
第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、
前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理と
を実行し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、
前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
運転者の加速意図を示す加速操作の有無を判定し、
前記加速操作があったと判定したとき、前記位相遅れ算出処理を実行し、
前記加速操作がないと判定したとき、前記位相遅れ算出処理を中止する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、
第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、
前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理と
を実行し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、
前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジンに動力を伝達する電動機の回転位置を示すモータパルス信号を、前記クランクセンサよりも高い角度分解能を有するレゾルバから受信し、
前記位相遅れ算出処理で算出する前記余り時間を、前記レゾルバからの前記モータパルス信号におけるモータパルスの数に対応させてカウントし、
前記モータパルスの数をNmotとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk番目のクランクパルスを検出した後、第Nmot番目のモータパルスを受信したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - エンジンを車体に支持させるエンジンマウントに組み込まれたアクチュエータを駆動させることで前記車体へのエンジン振動の伝達を抑制する振動抑制制御を行うエンジンマウント制御装置であって、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジン振動が発生する周期であるエンジン振動周期を、上死点センサからの上死点信号及びクランクセンサからのクランクパルス信号の少なくとも一方に基づいて判定する振動周期判定処理と、
第1エンジン振動周期において前記クランクパルス信号を取得する信号取得処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記アクチュエータに対する目標電流波形を設定する目標電流波形設定処理と、
前記信号取得処理よりも後の又は前記信号取得処理と同じエンジン振動周期において、前記第1エンジン振動周期の開始時点から前記エンジン振動が前記アクチュエータに到達するまでの時間に対応する位相遅れを算出する位相遅れ算出処理と、
前記信号取得処理、前記目標電流波形設定処理及び前記位相遅れ算出処理よりも後のエンジン振動周期において、前記目標電流波形に基づく電流を前記アクチュエータに対して出力する電流出力処理と
を実行し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記位相遅れ算出処理では、前記第1エンジン振動周期におけるクランクパルスの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるクランクパルスの数及び余り時間を算出し、
前記クランクパルスの数をNcrkとするとき、前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Ncrk+1番目のクランクパルスの受信開始時点から前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力し、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記第1エンジン振動周期におけるn個(nは2以上の自然数)の前記クランクパルス信号からなるステージの間隔で前記位相遅れを割り、前記位相遅れに含まれるステージの数及び余り時間を算出する第2位相遅れ算出処理と前記位相遅れ算出処理とを切り替えて用い、
さらに、前記エンジンマウント制御装置は、
前記エンジンマウント制御装置の演算負荷を検出し、
前記位相遅れ算出処理又は前記第2位相遅れ算出処理を選択するための演算負荷閾値を設定し、
前記演算負荷が前記演算負荷閾値を下回るとき、前記位相遅れ算出処理を選択し、
前記演算負荷が前記演算負荷閾値を上回るとき、前記第2位相遅れ算出処理を選択し、
前記ステージの数をNstgとするとき、前記第2位相遅れ算出処理が選択された場合の前記電流出力処理では、前記電流出力処理を行うエンジン振動周期において第Nstg×n+1番目のクランクパルスの受信開始時点から、前記ステージの間隔で前記位相遅れを割ったことにより算出される前記余り時間が経過したとき、前記目標電流波形に対応する電流を前記アクチュエータに対して出力する
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - 請求項4記載のエンジンマウント制御装置において、
前記第2位相遅れ算出処理では、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを可変とし、
前記エンジンマウント制御装置は、
前記第1エンジン振動周期における前記位相遅れが大きいほど、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを減少させ、
前記第1エンジン振動周期における前記位相遅れが小さいほど、各ステージに含まれる前記クランクパルスの数nを増加させる
ことを特徴とするエンジンマウント制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジンマウント制御装置を備える車両。
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