JPWO2009154135A1 - 含フッ素エーテルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

不飽和結合を生成する副反応を抑制し、低コストでかつ簡易な工程で高純度の含フッ素エーテルを製造する方法を提供する。塩基性化合物の存在下に含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンを反応させて含フッ素エーテルを製造する際に、含フッ素アルキルアルコールの転化率が75%までの段階で反応を停止する。

Description

本発明は、含フッ素エーテルを高純度で容易に製造する方法に関する。
含フッ素エーテルの合成法としては、アルカリ金属化合物などの塩基性化合物の存在下に含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンを水中で反応させて収率91%以上で得る方法が知られている(特許文献1〜2)。しかし、これらの反応では、反応系中に塩基性化合物が存在するため、目的生成物の含フッ素エーテルからの脱ハロゲン化水素反応が副反応として不可避的に同時に進行し、その結果、不飽和結合を有する化合物が0.1〜10質量%程度副生してしまう。さらに、この不飽和結合を有する副生成物の沸点が目的とする含フッ素エーテルの沸点と近いため、蒸留操作では分離が困難という問題がある。
そこで、この副反応を少なくする方法として、特許文献3では、層間移動触媒を併用することが提案されており、転化率99.99%で純度97.8%の含フッ素エーテルを得ている。しかし、この方法では高価な層間移動触媒を使用するため、コストが高くなる。
また、特許文献4では、第二級アルコールまたは第三級アルコールの共存下で反応を行い、転化率99.99%で純度99.0%の含フッ素エーテルを得ている。しかし、この方法では第2級アルコールまたは第3級アルコールを使用するためコスト高になってしまう。
一方、この不飽和結合を有する副生成物の分離の観点から含フッ素エーテルの純度を高める方法として、たとえば不飽和結合を有する化合物に塩素を付加させて塩素付加体とした後分離する方法が提案されている(特許文献5)。しかしこの方法では、光や高温を要するため、高圧水銀灯などの設備が必要になるほか工程数も増えるという問題がある。
特開平9−263559号公報 特開2002−201152号公報 特開2004−345967号公報 特開2005−132826号公報 国際公開第2006−123563号パンフレット
本発明者らは不飽和結合を有する化合物を変性して分離を容易にする方向ではなく、また、副反応を抑制する方向でもなく、逆に、反応を最後まで進めない、すなわち転化率が低い段階で反応を停止することで不飽和結合を生成する副反応を抑制し、低コストでかつ簡易な工程で高純度の含フッ素エーテルを製造する方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、塩基性化合物の存在下に含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンを反応させて含フッ素エーテルを製造する際に、含フッ素アルキルアルコールの転化率が75%までの段階で反応を停止することを特徴とする高純度含フッ素エーテルの製造方法に関する。
本発明の製造方法は、水中で行なうことが、反応の進行が良好で、また、含フッ素エーテルの回収が容易な点から好ましい。
また、本発明は、
(A)塩基性化合物の存在下に含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンを水中で反応させる工程、
(B)含フッ素アルキルアルコールの転化率が75%までの段階で反応を停止する工程、および
(C)生成した含フッ素エーテルを含む有機層を回収する工程
を含む高純度含フッ素エーテルの製造方法に関する。
本発明においてさらに、
(D)反応生成混合物の水層に消費された量と同量以上の塩基性化合物を追加する工程、および/または
(E)反応生成混合物の水層に消費された量と同量以上の含フッ素アルキルアルコールを追加する工程
を含み、工程(B)の終了後、工程(C)および工程(D)および/または工程(E)を順不同で実施した後、再び工程(A)、工程(B)および工程(C)を繰り返すことにより、連続的に高純度含フッ素エーテルを製造することができる。
さらに、回収工程(C)で回収した含フッ素エーテルを含む有機層を蒸留に供して含フッ素エーテルを回収する工程(F)を含んでいてもよい。
反応の停止は、含フッ素アルキルアルコールの転化率が25%以上で65%以下の範囲になった時点で反応を停止することが、反応時間も短く、リサイクルにも適しており、また副反応が進まず、含フッ素エーテルの純度を高くできる点から好ましい。
出発物質である含フッ素アルキルアルコールとしては、式(1):
RfCH2OH (1)
(式中、Rfは含フッ素アルキル基)で示される化合物であることが好ましい。
他方の出発物質であるフッ素化オレフィンとしては、式(2):
CF2=CXY
(式中、XおよびYは同じかまたは異なり、いずれも水素原子、塩素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基)で示される化合物であることが好ましい。
また、反応は絶対圧0.4〜1.0MPaの範囲で行うことが、副反応が進まず、含フッ素エーテルの純度を高くできる点から好ましい。
さらには、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する塩基性化合物の比率を0.3〜1.0モルとするときは、反応速度や含フッ素エーテルの選択性が良好な点から好ましい。
本発明の製造方法によれば、不飽和結合を生成する副反応を抑制し、低コストでかつ簡易な工程で高純度の含フッ素エーテルを製造する方法を提供することができる。
また反応後に得られる含フッ素エーテル層と未反応の出発物質が含まれている水層とを容易に分離でき、しかも水層中の未反応出発物質を再利用できることから、コスト面、量産面からみても有益である。
また副反応が進んでいない段階で反応を停止するため、分離が困難な不飽和結合を有する化合物の割合は小さく、したがって、単蒸留で精製して、さらに含フッ素エーテルを高純度化することもできる。
本発明の高純度含フッ素エーテルの製造方法は、塩基性化合物の存在下に含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンを反応させて含フッ素エーテルを製造する際に、含フッ素アルキルアルコールの転化率が75%までの段階で反応を停止することを特徴とする。
本発明における反応の停止時期は、含フッ素アルキルアルコールの転化率が75%までの段階である。転化率が75%を超えると、目的生成物の含フッ素エーテルからの脱ハロゲン化水素反応が進み、分離が困難な不飽和結合を有する副生成物の割合が増加する。
本発明によれば、使用する出発物質や塩基性化合物の種類や量にもよるが、転化率が75%までの場合、特に70%までの場合、不飽和結合を有する副生成物の割合は0.3%以下であり、他の分離可能な不純物(たとえばフッ化カリウムやジフロロ酢酸カリウムなど)はたとえば水層に留まり、有機層における含フッ素エーテルの純度は99.6%以上であり、単蒸留により容易に高純度の含フッ素エーテルを得ることができる。
本発明においては、転化率が大きくなるとオレフィン生成などの分離が困難な副反応が進行するという点からは低い方がよいが、一方、収率を上げ、反応速度、さらには生産性を高めるという観点からは、高い方が好ましい。これらの観点から、好ましい反応の停止時期は、含フッ素アルキルアルコールの転化率が73%以下、さらには65%以下、なかでも55%以下、特に50%以下であり、また、25%以上、さらには30%以上、特に40%以上である。
一方の出発物質である含フッ素アルキルアルコールとしては、式(1):
RfCH2OH (1)
(式中、Rfは含フッ素アルキル基)で示される第1級含フッ素アルキルアルコールであることが、フッ素化オレフィンへの求核付加反応性が良好な点から好ましい。
Rfで示される含フッ素アルキル基は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がフッ素原子に置換された基である。該含フッ素アルキル基は直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜8の含フッ素アルキル基があげられる。炭素数は1〜6であることが好ましく、炭素数1〜4であることがより好ましい。
具体的には、たとえばCF3−、CF3CF2−、CF3(CF22−、CF3(CF23−、CF3(CF24−、CF3(CF25−、CHF2CF2−、CHF2(CF23−、CHF2(CF25−、(CF32CF−、(CF32CH−などが例示でき、好ましくはCF3−、CF3CF2−またはCHF2CF2−である。
他方の出発物質であるフッ素化オレフィンとしては、式(2):
CF2=CXY (2)
(式中、XおよびYは同じかまたは異なり、いずれも水素原子、塩素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基)で示される化合物であることが、反応性が良好な点から好ましい。
具体的には、たとえばCF2=CF2、CF2=CHF、CF2=CH2、CF2=CFCl、CF2=CFCF3などが例示され、反応性が良好な点からCF2=CF2が好ましい。
フッ素化オレフィンは含フッ素アルキルアルコールと等モル量で反応するが、含フッ素アルキルアルコールの転化率を75%までに抑えるために、反応系内に実際に導入するフッ素化オレフィンの添加量は、未反応物として反応後放出される量を考慮して、含フッ素アルキルアルコール1モルに対して1.0モル以下、さらには0.8モル以下、特に0.7モル以下が好ましく、また0.3モル以上、さらには0.5モル以上が好ましい。
本発明の製造方法で用いる塩基性化合物は触媒として作用し、含フッ素アルキルアルコールと容易にアルコキシドを形成する点から無機の塩基性化合物が好ましく、NaOH、KOH、CsOH、LiOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2などのアルカリ金属水酸化物;KF、CsF、LiFなどの金属フッ化物などが例示できる。解離性が良好な点からアルカリ金属水酸化物がより好ましい。塩基性化合物の使用量は、反応速度や含フッ素エーテルの選択性が良好な点から、含フッ素アルキルアルコール1モルに対して0.01モル以上、さらには0.2モル以上、特に0.3モル以上が好ましく、1.0モル以下、さらには0.8モル以下が好ましい。この塩基性化合物は、含フッ素アルキルアルコールとの反応熱による異常な温度上昇や形成されるアルコキシドの爆発性を考慮し、安全性の観点から、5〜40質量%、好ましくは15〜25質量%の水溶液として用いることが好ましい。
含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンとの反応は、通常溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、水のほか、ジエチルエーテル、グライム類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどの極性有機溶媒をあげることができる。本発明では、不飽和結合を有する副生成物の生成が抑制しやすい点、および目的物である含フッ素エーテルの分離が簡便な点などから、水を用いることが好ましい。水は不純物の混入が少ないイオン交換水または蒸留水を用いることが好ましい。
出発物質であるフッ素化オレフィンは常温で気体であるため、反応は常圧〜加圧下で行う。反応圧力は副反応の進行が遅く含フッ素エーテルの純度を高くすることができる点から、絶対圧力で、0.05MPa以上、さらには0.2MPa以上、特に0.4MPa以上が好ましく、また、1.0MPa以下、さらには0.85MPa以下、特に0.8MPa以下が好ましい。また、反応温度は25〜90℃、好ましくは50〜85℃である。
本発明で製造される含フッ素エーテルは、式(1)と式(2)を出発物質として使用した場合、式(3):
RfCH2OCF2CHXY (3)
(式中、Rf、XおよびYは前記と同じ)で示される含フッ素アルキルエーテルである。また、得られた含フッ素アルキルエーテル反応生成液には、上記のとおり、反応系中の塩基性化合物によりさらに脱ハロゲン化水素反応を起こした結果物である不飽和結合を有する副生成物(4)が含まれるが、本発明の製造方法によれば、その量は極めて少量である。
不飽和結合を有する副生成物(4)としては、たとえばフッ素化オレフィンとしてCF2=CF2、CF2=CHFまたはCF2=CH2を用いた場合は、それぞれ式(4a)〜(4d):
RfCH2OCF=CF2 (4a)
RfCH2OCF=CHF (4b)
RfCH2OCF=CH2 (4c)
RfCH2OCF=CFCl (4d)
(式中、Rfは前記と同じ)
であり、また、フッ素化オレフィンとしてCF2=CFCF3を用いた場合は、式(4e)〜(4e’):
RfCH2OCF=CFCF3 (4e)
RfCH2OCF2CF=CF2 (4e’)
(式中、Rfは前記と同じ)
である。
生成した含フッ素エーテルおよび副生成物は水に対してほとんど溶解性を示さないため、反応生成液は、含フッ素エーテルおよび副生成物からなる有機層と、出発物質である未反応の含フッ素アルキルアルコールおよび塩基性化合物を含む水層の2層に分離する。したがって、含フッ素エーテルを高純度で含む有機層を容易に回収できる。
すなわち本発明の好ましい実施形態の1つは、
(A)塩基性化合物の存在下に含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンを水中で反応させる工程、
(B)含フッ素アルキルアルコールの転化率が75%までの段階で反応を停止する工程、および
(C)生成した含フッ素エーテルを含む有機層を回収する工程
を含む高純度含フッ素エーテルの製造方法である。
また、水層に含まれる未反応の含フッ素アルキルアルコールおよび塩基性化合物を再利用することにより、最終的な収率を高め、かつ連続的に含フッ素エーテルの製造を継続することができる。
すなわち本発明のさらなる好ましい実施形態の1つは、上記工程(A)〜(C)に加えて、さらに、
(D)反応生成混合物の水層に消費された量と同量以上の塩基性化合物を追加する工程、および/または
(E)反応生成混合物の水層に消費された量と同量以上の含フッ素アルキルアルコールを追加する工程
を含み、工程(B)の終了後、工程(C)および工程(D)および/または工程(E)を順不同で実施した後、再び工程(A)、工程(B)および工程(C)を繰り返すことにより、連続的に高純度含フッ素エーテルを製造する方法である。
さらに、回収工程(C)で回収した含フッ素エーテルを含む有機層を蒸留に供して含フッ素エーテルを回収する工程(F)を含んでいてもよい。
工程(B)での反応停止後、反応生成液は、含フッ素エーテルおよび副生成物からなる有機層と、出発物質である未反応の含フッ素アルキルアルコールおよび塩基性化合物を含む水層との2層からなるが、工程(C)で、反応生成液から有機層を回収する。回収方法は特に限定されず、分液法など、通常の方法で容易に水層と分離回収できる。
回収された有機層中には含フッ素エーテルとごく少量の不純物(副生した不飽和結合含有化合物や未反応の含フッ素アルキルアルコールなど)が含まれているだけである。したがって、有機層を蒸留に供して含フッ素エーテルを回収する工程(F)を経ることにより、高純度(たとえば99.7%以上)の含フッ素エーテルを製造することができる。
工程(D)は工程(A)の反応で消費された塩基性化合物を水層に補充する工程であり、工程(E)は工程(A)の反応で消費された含フッ素アルキルアルコールを水層に補充する工程である。補充する量はいずれも、工程(A)で消費された量と同量以上であれば、工程(A)→工程(E)を繰り返すことができる。好ましくは、工程(A)で消費された量の1.0倍量、さらには1.05倍量である。なお、工程(D)および工程(E)は補充するための工程であるから、必ずしも毎回行う必要はない。
工程(C)、(D)および(E)の順序は特に限定されない。すなわち、つぎの順序でよい。
(1)有機層を回収(工程(C))した後、工程(D)ついで工程(E)を実施する。
(2)有機層を回収(工程(C))した後、工程(E)ついで工程(D)を実施する。
(3)有機層を回収(工程(C))した後、工程(D)と工程(E)を同時に実施する。
(4)塩基性化合物を水層に補充(工程(D))した後、工程(C)ついで工程(E)を実施する。
(5)塩基性化合物を水層に補充(工程(D))した後、工程(E)ついで工程(C)を実施する。
(6)水層への塩基性化合物の補充(工程(D))と含フッ素アルキルアルコールの補充(工程(E))を同時にした後、工程(C)を実施する。
(7)含フッ素アルキルアルコールを水層に補充(工程(E))した後、工程(C)ついで工程(D)を実施する。
(8)含フッ素アルキルアルコールを水層に補充(工程(E))した後、工程(D)ついで工程(C)を実施する。
これらの順序のうち、有機層にごく微量含まれる含フッ素アルキルアルコールを完全に回収できる点から、(4)の順序が有利である。また、上記のとおり、工程(D)および工程(E)は必ずしも毎回行う必要はない。
これらの工程(C)〜(E)を実施した後、フッ素化オレフィンを追加して工程(A)、ついで工程(B)を実施していくことで、転化率を抑えたために残存する未反応出発物質の再利用が可能になり、最終的な収率を高めることができる。
つぎに本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
なお、本発明で採用した測定法は以下のとおりである。
(1)NMR:BRUKER社製のAC−300を使用。
19F−NMR:
測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
1H−NMR:
測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
(2)ゲルクロマトグラフィ(GC):SHIMADZU社製のGC−17Aを使用。カラム:DB624(Length60、I.D 0.32、Film1.8μm)
実施例1
工程(A)
ステンレススチール製の6Lオートクレーブの系内を真空状態にし、水酸化カリウム(546g:9.75モル)、水(2184mL)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアルコール(含フッ素アルキルアルコール):
HCF2CF2CH2OH
(1716g、13モル)を注入した後、室温で減圧−窒素置換を20回行った。系内を減圧にした後、テトラフルオロエチレンを系内の圧力が0.1MPaとなるように圧入し、反応系内が75℃になるよう加熱した。内温が75℃に達してから、反応圧が0.7〜0.8MPaを保つようにテトラフルオロエチレンを少しずつ加えていった。系内温は75〜95℃を保つように調節した。
工程(B)
テトラフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率として0.7モル量になった時点でテトラフルオロエチレンの供給を止め、攪拌しながら反応を継続した。オートクレーブ内の圧力低下が見られなくなった時点でオートクレーブの内温を室温に戻し、未反応のテトラフルオロエチレンを放出して反応を終了した。
オートクレーブ内には下層の有機層(エーテル層。比重約1.6)と上層の水層とに分離した反応生成液が形成されており、上層の水層からサンプリングを行い、19F−NMRにてテトラフルオロエチレンと水酸化カリウムの副反応生成物であるフッ化カリウムとジフロロ酢酸カリウム、さらに未反応の含フッ素アルキルアルコールを定量したところ、フッ化カリウムは3.0モルであり、ジフロロ酢酸カリウムは1.4モルであり、未反応含フッ素アルキルアルコールは7.1モルであった。
工程(D)
上記で定量したフッ化カリウムとジフロロ酢酸カリウムの量から、消費した水酸化カリウム量を算出し(3.0モル+1.4モル=4.4モル)、反応生成液中に残存する水層に消費した水酸化カリウム(246g:4.4モル)を補充した。
工程(C)
ついで、反応生成液の下層の有機層を1回水洗した後、有機層を分離回収した。
回収した有機層の量は1369gであり、19F−NMRおよび1H−NMRにて分析した結果、HCF2CF2CH2OCF2CF2Hで示される含フッ素エーテルを含んでおり、GCで測定した純度は99.72%であった。この含フッ素エーテルの生成量(1369g×0.9972=1365g:5.9モル)は、含フッ素アルキルアルコールの転化率に換算すると47.4%に相当する量である。この時点での収率は42.3%であった。
工程(E)
上記で定量した未反応の含フッ素アルキルアルコールの量から、消費した含フッ素アルキルアルコールの量を算出し(仕込んだ含フッ素アルキルアルコール(13モル)−未反応の含フッ素アルキルアルコール(7.1モル)=5.9モル)、反応生成液中に残存する水層に消費した含フッ素アルキルアルコール(779g:5.9モル)を補充した。
工程(F)
工程(C)で得られた有機層の1357gを単蒸留精製に供したところ、純度(GC分析)99.73%の含フッ素エーテルを収率95%で得た。
工程(A)以降の繰返し
工程(E)の完了後、前記工程(A)の手順を繰返し、ついで前記工程(B)と同じ条件(転化率45%)で反応を停止し、生成した有機層を分離回収した(工程(C))ところ、含フッ素エーテルを純度(GC分析)99.76%で1290g回収でき、さらに単蒸留精製した(工程(F))ところ、純度(GC分析)99.77%の含フッ素エーテルを収率97.0%で得た。
実施例2
工程(A)において、表1に示す反応圧力とし、工程(B)において、テトラフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が1.0モル量となった時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めて反応を終了した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
実施例3
工程(A)において、表1に示す反応圧力とし、工程(B)において、テトラフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.5モル量となった時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めて反応を終了した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
実施例4
工程(A)において、水酸化カリウムの添加量を、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.3モル量である218g(3.90モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
実施例5
工程(A)において、水酸化カリウムの添加量を、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が1.0モル量である728g(13.0モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
実施例6
工程(A)において、水酸化カリウムに代えて水酸化ナトリウムを使用し、その添加量を含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.75モル量である390g(9.75モル)に変更し、水(1950mL)を加えた以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
実施例7
工程(A)において、水酸化カリウムに代えて水酸化ナトリウムを使用し、その添加量を含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.3モル量である156g(3.90モル)に変更し、水(390mL)を加え、さらに工程(B)において、テトラフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が1.0モル量となった時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めて反応を終了した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
実施例8
工程(A)において、表1に示す反応圧力とし、水酸化カリウムの添加量を、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.55モル量である400g(7.15モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
実施例9
工程(A)において、テトラフルオロエチレンの添加量を、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.83モル量である1100g(11モル)に変更した以外は、実施例8と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
実施例10
工程(A)において、水酸化カリウムに代えてフッ化カリウムを使用し、その添加量を含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.2モル量である151g(2.60モル)に変更し、水に代えてアセトニトリルを(2184mL)加え、さらに工程(B)において、テトラフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が1.0モル量となった時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めて反応を終了した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
比較例1
工程(A)において、水酸化カリウムの添加量を、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.3モル量である218g(3.90モル)に変更し、水(31mL)を加え、さらに工程(B)において、テトラフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が1.0モル量となった時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めて反応を終了した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
比較例2
工程(A)において、水酸化カリウムの添加量を、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が0.3モル量である218g(3.90モル)に変更し、水(105mL)を加え、さらに工程(B)において、テトラフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率が1.0モル量となった時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めて反応を終了した以外は、実施例1と同様にして工程(A)〜(F)を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2009154135
表1から、アルコールの転化率が28〜73%の間では、含フッ素エーテルの純度は99.7%以上であり、塩基性化合物としてはKOH、NaOHおよびKFをいずれも用いることができ、溶媒としても水以外の極性有機溶媒でも効果があることが分かる。比較例1〜2の結果は、転化率が75%を超えると選択性に劣り、かつ、反応時間もかかり、非効率的であることを示している。
またリサイクルの観点からは、収率と反応時間の関係から、含フッ素アルキルアルコールの転化率が40〜73%であるときに特に適しているといえる。
実施例11
工程(A)
ステンレススチール製の3Lオートクレーブの系内を真空状態にし、水酸化カリウム(85g:1.5モル)、水(800mL)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアルコール(含フッ素アルキルアルコール):
HCF2CF2CH2OH
(600g、4.5モル)を注入した後、室温で減圧−窒素置換を3回行った。系内を減圧にした後、ヘキサフルオロプロピレン(CF2=CFCF3)を系内の圧力が0.1MPaとなるように圧入し、反応系内が50℃になるよう加熱した。内温が50℃に達してから、反応圧が0.4〜0.5MPaを保つようにヘキサフルオロプロピレンを少しずつ加えていった。系内温は50〜60℃を保つように調節した。
工程(B)
ヘキサフルオロプロピレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率として0.6モル量になった時点でヘキサフルオロプロピレンの供給を止め、攪拌しながら反応を継続した。オートクレーブ内の圧力低下が見られなくなった時点でオートクレーブの内温を室温に戻し、未反応のヘキサフルオロプロピレンを放出して反応を終了した。
オートクレーブ内には下層の有機層(エーテル層)と上層の水層とに分離した反応生成液が形成されており、上層の水層からサンプリングを行い、19F−NMRにて未反応の含フッ素アルキルアルコールを定量したところ7.1モルであった。また、不純物の確認を行ったところ、フッ化カリウムおよびジフロロ酢酸カリウムは検出されなかった。
工程(C)
ついで、反応生成液の下層の有機層を1回水洗した後、有機層を分離回収した。
回収した有機層の量は761gであり、1回水洗した後、19F−NMRおよび1H−NMRにて分析した結果、
Figure 2009154135
で示される含フッ素エーテルを含んでおり、GCで測定した純度は99.83%であった。この含フッ素エーテルの生成量(761g×0.9983=760g:2.69モル)は、含フッ素アルキルアルコールの転化率に換算すると60%に相当する量である。この時点での収率は59.8%であった。
工程(D)
水酸化カリウム(塩基性化合物)は追加しなかった。
工程(E)
上記で定量した未反応の含フッ素アルキルアルコールの量から、消費した含フッ素アルキルアルコールの量を算出し(仕込んだ含フッ素アルキルアルコール(4.5モル)−未反応の含フッ素アルキルアルコール(1.85モル)=2.65モル)、反応生成液中に残存する水層に消費した含フッ素アルキルアルコール(245g:1.85モル)を補充した。
工程(F)
工程(C)で得られた有機層の761gを単蒸留精製に供したところ、純度(GC分析)99.85%の含フッ素エーテルを収率99.8%で得た。
実施例12
工程(A)
ステンレススチール製の3Lオートクレーブの系内を真空状態にし、水酸化カリウム(101g:1.8モル)、水(410mL)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアルコール(含フッ素アルキルアルコール):
CF3CF2CH2OH
(900g、6.0モル)を注入した後、室温で減圧−窒素置換を20回行った。系内を減圧にした後、テトラフルオロエチレンを系内の圧力が0.1MPaとなるように圧入し、反応系内が75℃になるよう加熱した。内温が75℃に達してから、反応圧が0.7〜0.8MPaを保つようにテトラフルオロエチレンを少しずつ加えていった。系内温は75〜85℃を保つように調節した。
工程(B)
テトラフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率として0.6モル量になった時点でテトラフルオロエチレンの供給を止め、攪拌しながら反応を継続した。オートクレーブ内の圧力低下が見られなくなった時点でオートクレーブの内温を室温に戻し、未反応のテトラフルオロエチレンを放出して反応を終了した。
オートクレーブ内には下層の有機層(エーテル層)と上層の水層とに分離した反応生成液が形成されており、上層の水層からサンプリングを行い、19F−NMRにてテトラフルオロエチレンと水酸化カリウムの副反応生成物であるフッ化カリウムとジフロロ酢酸カリウム、さらに未反応の含フッ素アルキルアルコールを定量したところ、フッ化カリウムは1.84モルであり、ジフロロ酢酸カリウムは0.86モルであり、未反応含フッ素アルキルアルコールは2.55モルであった。
工程(C)
ついで、反応生成液の下層の有機層を分離回収した。
回収した有機層の量は570gであり、19F−NMRおよび1H−NMRにて分析した結果、CF3CF2CH2OCF2CF2Hで示される含フッ素エーテルを含んでおり、GCで測定した純度は99.91%であった。この含フッ素エーテルの生成量(570g×0.9991=569g:2.27モル)は、含フッ素アルキルアルコールの転化率に換算すると38%に相当する量である。この時点での収率は37.8%であった。
工程(D)
上記で定量したフッ化カリウムとジフロロ酢酸カリウムの量から、消費した水酸化カリウム量を算出し(1.84モル+0.86モル=2.7モル)、反応生成液中に残存する水層に消費した水酸化カリウム(151g:2.7モル)を補充した。
工程(E)
上記で定量した未反応の含フッ素アルキルアルコールの量から、消費した含フッ素アルキルアルコールの量を算出し(仕込んだ含フッ素アルキルアルコール(6.0モル)−未反応の含フッ素アルキルアルコール(3.72モル)=2.28モル)、反応生成液中に残存する水層に消費した含フッ素アルキルアルコール(342g:2.28モル)を補充した。
工程(F)
工程(C)で得られた有機層の570gを単蒸留精製に供したところ、純度(GC分析)99.91%の含フッ素エーテルを収率99.8%で得た。
実施例13
工程(A)
ステンレススチール製の3Lオートクレーブの系内を真空状態にし、水酸化カリウム(240g:4.26モル)、水(960mL)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアルコール(含フッ素アルキルアルコール):
HCF2CF2CH2OH
(750g、5.7モル)を注入した後、室温で減圧−窒素置換を20回行った。系内を減圧にした後、クロロトリフルオロエチレン(CF2=CFCl)を系内の圧力が0.1MPaとなるように圧入し、反応系内が75℃になるよう加熱した。内温が75℃に達してから、反応圧が0.4MPa(クロロトリフルオロエチレンの蒸気圧)を保つようにクロロトリフルオロエチレンを少しずつ加えていった。系内温は75〜85℃を保つように調節した。
工程(B)
クロロトリフルオロエチレンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率として0.6モル量になった時点でクロロトリフルオロエチレンの供給を止め、攪拌しながら反応を継続した。オートクレーブ内の圧力低下が見られなくなった時点でオートクレーブの内温を室温に戻し、未反応のクロロトリフルオロエチレンを放出して反応を終了した。
オートクレーブ内には下層の有機層(エーテル層)と上層の水層とに分離した反応生成液が形成されており、上層の水層からサンプリングを行い、19F−NMRにてクロロトリフルオロエチレンと水酸化カリウムの副反応生成物であるフッ化カリウムとジフロロ酢酸カリウム、さらに未反応の含フッ素アルキルアルコールを定量したところ、フッ化カリウムは1.30モルであり、ジフロロ酢酸カリウムは0.61モルであり、未反応含フッ素アルキルアルコールは3.11モルであった。
工程(C)
ついで、反応生成液の下層の有機層を分離回収した。
回収した有機層の量は638gであり、19F−NMRおよび1H−NMRにて分析した結果、HCF2CF2CH2OCF2CFClHで示される含フッ素エーテルを含んでおり、GCで測定した純度は99.85%であった。この含フッ素エーテルの生成量(638g×0.9985=637g:2.56モル)は、含フッ素アルキルアルコールの転化率に換算すると45.2%に相当する量である。この時点での収率は45.1%であった。
工程(D)
上記で定量したフッ化カリウムとジフロロ酢酸カリウムの量から、消費した水酸化カリウム量を算出し(1.30モル+0.61モル=1.91モル)、反応生成液中に残存する水層に消費した水酸化カリウム(107g:1.91モル)を補充した。
工程(E)
上記で定量した未反応の含フッ素アルキルアルコールの量から、消費した含フッ素アルキルアルコールの量を算出し(仕込んだ含フッ素アルキルアルコール(5.68モル)−未反応の含フッ素アルキルアルコール(3.11モル)=2.57モル)、反応生成液中に残存する水層に消費した含フッ素アルキルアルコール(340g:2.57モル)を補充した。
工程(F)
工程(C)で得られた有機層の638gを単蒸留精製に供したところ、純度(GC分析)99.91%の含フッ素エーテルを収率98.0%で得た。
実施例14
工程(A)
ステンレススチール製の100mLオートクレーブの系内を真空状態にし、水酸化カリウム(6.4g:0.12モル)、水(25mL)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアルコール(含フッ素アルキルアルコール):
HCF2CF2CH2OH
(20g、0.15モル)を注入した後、室温で減圧−窒素置換を3回行った。系内を減圧にした後、フッ化ビニリデン(CF2=CH2)を系内の圧力が0.1MPaとなるように圧入し、反応系内が80℃になるよう加熱した。内温が80℃に達してから、反応圧が0.8MPaを保つようにフッ化ビニリデンを少しずつ加えていった。系内温は75〜80℃を保つように調節した。
工程(B)
フッ化ビニリデンの添加量が、含フッ素アルキルアルコール1モルに対する比率として0.6モル量(5.8g)になった時点でフッ化ビニリデンの供給を止め、攪拌しながら反応を継続した。オートクレーブ内の圧力低下が見られなくなった時点でオートクレーブの内温を室温に戻し、未反応のフッ化ビニリデンを放出して反応を終了した。
オートクレーブ内には下層の有機層(エーテル層)と上層の水層とに分離した反応生成液が形成されており、上層の水層からサンプリングを行い、19F−NMRにてフッ化ビニリデンと水酸化カリウムの副反応生成物であるフッ化カリウムとジフロロ酢酸カリウム、さらに未反応の含フッ素アルキルアルコールを定量したところ、フッ化カリウムおよびジフロロ酢酸カリウムは検出されなかった。未反応含フッ素アルキルアルコールは0.10モルであった。
工程(C)
ついで、反応生成液の下層の有機層を分離回収した。
回収した有機層の量は9.8gであり、19F−NMRおよび1H−NMRにて分析した結果、HCF2CF2CH2OCF2CH3で示される含フッ素エーテルを含んでおり、GCで測定した純度は99.85%であった。この含フッ素エーテルの生成量(9.8g×0.9985=9.78g:0.05モル)は、含フッ素アルキルアルコールの転化率に換算すると30%に相当する量である。この時点での収率は30%であった。
工程(D)
水酸化カリウムは補充しなかった。
工程(E)
上記で定量した未反応の含フッ素アルキルアルコールの量から、消費した含フッ素アルキルアルコールの量を算出し(仕込んだ含フッ素アルキルアルコール(0.15モル)−未反応の含フッ素アルキルアルコール(0.10モル)=0.05モル)、反応生成液中に残存する水層に消費した含フッ素アルキルアルコール(6.6g:0.05モル)を補充した。
工程(F)
工程(C)で得られた有機層の9.8gを単蒸留精製に供したところ、純度(GC分析)99.93%の含フッ素エーテルを収率99.8%で得た。

Claims (10)

  1. 塩基性化合物の存在下に含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンを反応させて含フッ素エーテルを製造する際に、含フッ素アルキルアルコールの転化率が75%までの段階で反応を停止することを特徴とする高純度含フッ素エーテルの製造方法。
  2. 水中で行なう請求項1記載の製造方法。
  3. (A)塩基性化合物の存在下に含フッ素アルキルアルコールとフッ素化オレフィンを水中で反応させる工程、
    (B)含フッ素アルキルアルコールの転化率が75%までの段階で反応を停止する工程、および
    (C)生成した含フッ素エーテルを含む有機層を回収する工程
    を含む請求項2記載の製造方法。
  4. (D)反応生成混合物の水層に消費された量と同量以上の塩基性化合物を追加する工程、および/または
    (E)反応生成混合物の水層に消費された量と同量以上の含フッ素アルキルアルコールを追加する工程
    を含み、工程(B)の終了後、工程(C)および工程(D)および/または工程(E)を順不同で実施した後、再び工程(A)、工程(B)および工程(C)を繰り返すことを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. さらに、回収工程(C)で回収した含フッ素エーテルを含む有機層を蒸留に供して含フッ素エーテルを回収する工程(F)を含む請求項3または4記載の製造方法。
  6. 含フッ素アルキルアルコールの転化率が25%以上で65%以下の範囲になった時点で反応を停止する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  7. 含フッ素アルキルアルコールが、式(1):
    RfCH2OH (1)
    (式中、Rfは含フッ素アルキル基)で示される化合物である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. フッ素化オレフィンが、式(2):
    CF2=CXY
    (式中、XおよびYは同じかまたは異なり、いずれも水素原子、塩素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基)で示される化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 反応を絶対圧0.4〜1.0MPaの範囲で行う請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 含フッ素アルキルアルコール1モルに対する塩基性化合物の比率が0.3〜1.0モルである請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
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