JP2017226617A - 酸フルオリド及びパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ安全に特定の構造を有する酸フルオリドを高収率及び高純度で製造するための製造方法を提供する。【解決手段】一般式:ICF2CF2ORfで示されるパーフルオロアルキルアイオダイドを発煙硫酸により酸化させて、一般式:FCOCF2ORfで示される酸フルオリドを得た後、この酸フルオリドとヘキサフルオロプロピレンオキシドとを反応させて、一般式FCOCF(CF3)OCF2CF2ORfで示される酸フルオリドを得る製造方法。【選択図】 なし
Description
本発明は、酸フルオリド及びパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法に関する。
パーフルオロアルキルカルボン酸フルオリドは、パーフルオロアルキルビニルエーテルを合成するための中間体として有用である。上記パーフルオロアルキルビニルエーテルは、フルオロポリマーを合成するための原料モノマーとして使用される。上記パーフルオロアルキルカルボン酸フルオリドの中でRfOCF2CF2OCF(CF3)COF(Rfはフッ素化アルキル基)の製造方法としては、次のような方法が知られている。
特許文献1には、炭化水素化合物をF2によりフッ素化して目的の酸フルオリドを生成する手法が記載されている。また、当該酸フルオリドを用いてパーフルオロビニルエーテル(CF2=CFOCF2CF2OCF3)を生成する手法も記載されている。しかしながら当該手法ではF2を用いるため危険な反応を行う必要があり、また収率が低く、また除去が困難な不純物が生成物に混じってしまうという問題点を抱えていた。特にRfの炭素数が多くなった場合に顕著な問題であった。
本発明は、簡便かつ安全に特定の構造を有する酸フルオリドを高収率及び高純度で製造するための製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、また、簡便かつ安全に特定の構造を有するパーフルオロアルキルビニルエーテルを高収率及び高純度で製造するための製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、また、原料モノマーとして有用な新規パーフルオロアルキルビニルエーテルを提供することを目的とする。
本発明は、一般式(2):
上記発煙硫酸中の三酸化硫黄と化合物(2)とのモル比が1.0〜10.0であることが好ましい。
工程(II)における反応を30〜200℃で実施することが好ましい。
工程(III)における反応を、溶媒中で、触媒の存在下で実施することが好ましい。
本発明の酸フルオリドの製造方法は、更に、一般式(1):
Rfは、炭素数1〜5の過フッ素化アルキル基であることが好ましい。
本発明は、上述の製造方法により酸フルオリド(4)を得た後、酸フルオリド(4)に無機塩基を作用させ、加熱することにより、一般式(5):
本発明は、上述の製造方法により酸フルオリド(4)を得た後、酸フルオリド(4)に、一般式:ROH(式中、Rはアルキル基)で示されるアルコールを作用させることにより、一般式(6):
本発明は、一般式(8):
本発明の酸フルオリドの製造方法は、上記構成を有することから、簡便かつ安全に、特定の構造を有する酸フルオリドを高収率及び高純度で製造することができる。
本発明のパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法は、上記構成を有することから、簡便かつ安全に、特定の構造を有するパーフルオロアルキルビニルエーテルを高収率及び高純度で製造することができる。
本発明の新規パーフルオロアルキルビニルエーテルは、フルオロポリマーを合成するための原料モノマーとして有用である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の酸フルオリドの製造方法は、工程(II)及び工程(III)を含むことを特徴とする。
工程(II)では、一般式(2):
Rfは、直鎖状又は分岐鎖状の過フッ素化アルキル基であってよい。Rfとしては、炭素数1〜10の過フッ素化アルキル基が好ましく、炭素数1〜5の過フッ素化アルキル基がより好ましく、−CF3、−CF2−CF3及び−CF2−CF2−CF3からなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、−CF2−CF3及び−CF2−CF2−CF3からなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
工程(II)における反応では、上記発煙硫酸中の三酸化硫黄と化合物(2)とのモル比(三酸化硫黄/化合物(2))が1.0〜10.0であることが好ましい。上記モル比としては、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましく、8.0以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましい。
上記発煙硫酸は、三酸化硫黄の含有率が15〜100質量%であるものが好ましい。上記含有率は、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
工程(II)における反応は、硫酸亜鉛、五酸化リン、五塩化リン等の添加剤の存在下に実施してもよい。
工程(II)における反応は、30〜200℃で実施できる。好ましくは40〜180℃であり、より好ましくは50〜140℃である。温度が高すぎる場合は分解が進行してしまうおそれがある。また、上記反応の圧力は、0.1〜4.0MPaであってよい。上記反応の時間は、1〜96時間であってよい。本明細書に記載の圧力は全て絶対圧である。
工程(II)では、上記反応の終了後、更に、得られた反応混合物を、化合物(3)が含まれる有機相と、発煙硫酸が含まれる無機相とに分離させ、上記有機相を回収し、蒸留することができ、これらの操作によって、高純度の化合物(3)を得ることができる。
工程(III)では、工程(II)で得られた化合物(3)と、ヘキサフルオロプロピレンオキシドとを反応させることにより、一般式(4):
ヘキサフルオロプロピレンオキシドの使用量としては、化合物(3)に対して、0.2〜4.0当量が好ましく、0.6〜2.0当量がより好ましく、0.8〜1.5当量が更に好ましい。本明細書において、「当量」とは「モル当量」のことである。
工程(III)における反応は、溶媒中で実施することができる。上記溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、ニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、N,N−ジアルキル置換アミド系溶媒、及び、エーテル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、エーテル系溶媒が更に好ましい。
上記エーテル系溶媒としては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、モノグライム、ジグライム、トリグライム及びテトラグライムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ジグライム、トリグライム及びテトラグライムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
工程(III)における反応は、触媒の存在下に実施することができる。上記触媒としては、金属フッ化物、テトラ鎖状アルキル尿素、環状アルキル尿素、3級アミン、3級ジアミン、及び、ピリジン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、金属フッ化物及びテトラ鎖状アルキル尿素からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
上記金属フッ化物としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)、11族の金属、12族の金属のフッ化物等が挙げられ、より具体的には、フッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化銀等が挙げられる。上記金属フッ化物としては、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記テトラ鎖状アルキル尿素としては、テトラメチル尿素、テトラブチル尿素等が挙げられ、テトラメチル尿素が好ましい。
上記環状アルキル尿素としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジノン等が挙げられる。
上記3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。
上記3級ジアミンとしては、アルカンジイル鎖中に10個以下の炭素原子を有し、アルキル基中に6個以下の炭素原子を有する第3級テトラアルキル置換脂肪族ジアミン化合物、ヘテロ環式ジアミン類等が挙げられ、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラプロピルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルイソプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキシリデンジアミン、ビス(3−メチルピペリジノ)メタン、N,N’−ジメチルピペラジン等が挙げられる。
上記触媒の使用量は、化合物(3)に対して、0.0001〜1.0当量が好ましく、0.01当量以上がより好ましく、0.5当量以下がより好ましい。
工程(III)における反応は、−20〜100℃で実施できる。また、上記反応の圧力は、0〜2.0MPaであってよい。上記反応の時間は、0.1〜72時間であってよい。
工程(III)では、上記反応の終了後、更に、得られた反応混合物を、分離させ、酸フルオリド(4)が含まれる相を回収し、蒸留することができ、これらの操作によって、高純度の酸フルオリド(4)を得ることができる。
上記製造方法は、更に、一般式(1):
上記フッ化ヨウ素としては、IF5が好ましい。
上記フッ化ヨウ素の使用量としては、化合物(1)に対して、0.1〜5.0当量が好ましく、0.2〜3.0当量がより好ましく、0.3〜2.0当量が更に好ましい。
上記フッ化ヨウ素を還元させる化合物としては、I2、ICl、KI、ハイドロキノン、カテコール、t−ブチルカテコール等が挙げられ、I2が好ましい。
上記フッ化ヨウ素を還元させる化合物の使用量としては、化合物(1)に対して、0.1〜1.0当量が好ましく、0.3当量以上がより好ましく、0.8当量以下がより好ましい。
工程(I)における反応は、20〜150℃で実施できる。また、上記反応の圧力は、0.1〜2.0MPaであってよい。上記反応の時間は、0.1〜96時間であってよい。
工程(I)では、上記反応の終了後、更に、得られた反応混合物を、水に添加して、2相に分離させ、化合物(2)が含まれる相を回収できる。更に、回収した相に、例えば、KOH及びハイドロサルファイトを含む水溶液を加えて、分液することにより、高純度の化合物(2)を得ることができる。もしくは反応混合物を蒸留することにより、高純度の化合物(2)を得ることもできる。
上記製造方法により得られた酸フルオリドは、パーフルオロアルキルビニルエーテルを製造するための原料として好適に利用可能である。
次に、本発明のパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法について説明する。上記製造方法は、上述の酸フルオリドの製造方法により得られた酸フルオリド(4)から、特定の構造を有するパーフルオロアルキルビニルエーテルを製造する方法である。
すなわち、本発明のパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法は、上述の製造方法により酸フルオリド(4)を得た後、酸フルオリド(4)に無機塩基を作用させ、加熱することにより、一般式(5):
上記無機塩基の使用量は、酸フルオリド(4)に対して、0.8〜4.0当量が好ましく、0.9当量以上がより好ましく、2.4当量以下がより好ましい。
上記無機塩基としては、一般式:MaXb
(式中、Mは1〜3価の金属、Xはアニオン、a及びbはMの価数とXの価数で決まる整数)で表される無機塩基が好ましい。
Mとしては、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Zn、Cd、Al、Ga、In、Yb、B等が例示される。
Xとしては、CO3、HCO3、ハロゲン原子、OH、O等が例示される。
上記無機塩基としては、アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、炭酸ナトリウムが更に好ましい。
(式中、Mは1〜3価の金属、Xはアニオン、a及びbはMの価数とXの価数で決まる整数)で表される無機塩基が好ましい。
Mとしては、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Zn、Cd、Al、Ga、In、Yb、B等が例示される。
Xとしては、CO3、HCO3、ハロゲン原子、OH、O等が例示される。
上記無機塩基としては、アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、炭酸ナトリウムが更に好ましい。
工程(IV)における反応は、無溶媒でも実施できるが、溶媒中で実施することもでき、溶媒を使用すると反応温度の制御が容易である。上記溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、ニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、N,N−ジアルキル置換アミド系溶媒、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、エーテル系溶媒が更に好ましい。
上記エーテル系溶媒としては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、モノグライム、ジグライム、トリグライム及びテトラグライムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、トリグライム及びテトラグライムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
工程(IV)では、60〜400℃まで加熱することが好ましい。また、上記反応の圧力は、0〜1.0MPaであってよい。上記反応の時間は、0.1〜96時間であってよい。
工程(IV)では、上記反応の終了後、更に、得られた反応混合物を、分離させ、パーフルオロアルキルビニルエーテル(5)を含む相を回収し、蒸留することができ、これらの操作によって、高純度のパーフルオロアルキルビニルエーテル(5)を得ることができる。上記蒸留前に、パーフルオロアルキルビニルエーテル(5)を含む相に水を添加し、分液してもよい。もしくは開放系にてパーフルオロアルキルビニルエーテル(5)の沸点以上の反応温度にて加熱反応することにより適宜パーフルオロアルキルビニルエーテル(5)を抜き出す方法を実施してもよい。
本発明のパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法は、また、工程(V)〜(VII)を含むものであってよい。上述した工程(IV)を含む製造方法では、副生成物が生成しやすく、特に溶媒中で実施した場合に副生成物が生成しやすい傾向がある。しかし、工程(V)〜(VI)を含む製造方法によれば、副生成物の生成が少なく、容易に高純度のパーフルオロアルキルビニルエーテル(5)が得られる。
工程(V)は、上述の製造方法により酸フルオリド(4)を得た後に実施する。工程(V)では、上述の製造方法により得られた酸フルオリド(4)に、一般式:ROH(式中、Rはアルキル基)で示されるアルコールを作用させることにより、一般式(6):
Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であってよい。Rとしては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、CH3−、C2H5−及びC3H7−からなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
上記アルコールの使用量は、酸フルオリド(4)に対して、0.8〜50当量が好ましく、1.0当量以上がより好ましく、20.0当量以下がより好ましい。
工程(V)における反応は、−10〜60℃で実施できる。また、上記反応の圧力は、0.1〜1.0MPaであってよい。上記反応の時間は、0.1〜24時間であってよい。
工程(V)では、上記反応の終了後、更に、得られた反応混合物に水を添加し、2相に分離させ、エステル(6)が含まれる相を回収し、回収した相を蒸留することができる。この操作により、後述の工程(VI)及び(VII)における副生成物の生成を一層抑制することができる。その理由は、回収した相が水、副生成するカルボン酸、副生成するフッ化水素等をほとんど含まないからであると推測される。
工程(VI)では、エステル(6)にアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属化合物を作用させることにより、一般式(7):
上記アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、水酸化ナトリウムが更に好ましい。Mとしては、Na又はKが好ましい。
上記アルカリ金属化合物の使用量は、エステル(6)に対して、0.8〜1.5当量が好ましく、0.9当量以上がより好ましく、1.2当量以下がより好ましい。
上記アルカリ金属化合物をアルコールに溶解させ、得られたアルコール溶液をエステル(6)に添加することにより、エステル(6)に上記アルカリ金属化合物を作用させることもできる。この方法によれば、反応が容易に進行することに加え、高純度の固体のカルボン酸塩(7)を回収できる。
工程(VI)における反応は、−20〜100℃で実施できる。また、上記反応の圧力は、0.1〜1.0MPaであってよい。上記反応の時間は、0.1〜24時間であってよい。
工程(VI)では、上記反応の終了後、カルボン酸塩(7)を乾燥させることも好ましい。
工程(VII)では、カルボン酸塩(7)を加熱することにより、一般式(5):
工程(VII)における加熱は、溶媒中で実施することができる。上記溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、ニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、N,N−ジアルキル置換アミド系溶媒、エステル系溶媒、及び、エーテル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、エーテル系溶媒及びエステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、エーテル系溶媒が特に好ましい。また溶媒なしで実施することもできる。
上記エーテル系溶媒としては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、モノグライム、ジグライム、トリグライム及びテトラグライムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、トリグライム及びテトラグライムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
上記エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
上記加熱の温度は、60〜400℃であってよい。
工程(VII)では、比較的高純度のパーフルオロアルキルビニルエーテル(5)が生成するが、水を使用した分液操作や蒸留を実施することもできる。
上述の製造方法により得られるパーフルオロアルキルビニルエーテルは、フルオロポリマーを合成するための原料モノマーとして好適に利用可能である。例えば、上記パーフルオロアルキルビニルエーテルとフルオロオレフィンとを共重合させることにより、フルオロポリマーを製造できる。
本発明は、また、一般式(8):
本発明のパーフルオロアルキルビニルエーテルは、上述したパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法により製造することができる。
本発明のパーフルオロアルキルビニルエーテルは、フルオロポリマーを合成するための原料モノマーとして好適に利用可能である。例えば、上記パーフルオロアルキルビニルエーテルとフルオロオレフィンとを共重合させることにより、フルオロポリマーを製造できる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
工程(I)
室温下にてオートクレーブにI2(34g、134mmol)およびCF2=CF−O−C3F7(68g、254mmol)、IF5(57g、254mmol)を加えた。オートクレーブを密閉にし、80℃にて4h加熱撹拌した。室温まで冷却後、オートクレーブを解体し、反応液を水(100ml)にゆっくり添加した。分液後、下層をKOH及びハイドロサルファイトを含む水溶液で分液し、1を得た(81g、197mmol、収率78%、GC純度95%、無色〜薄ピンク色液体、沸点86℃)。
工程(I)
室温下にてオートクレーブにI2(34g、134mmol)およびCF2=CF−O−C3F7(68g、254mmol)、IF5(57g、254mmol)を加えた。オートクレーブを密閉にし、80℃にて4h加熱撹拌した。室温まで冷却後、オートクレーブを解体し、反応液を水(100ml)にゆっくり添加した。分液後、下層をKOH及びハイドロサルファイトを含む水溶液で分液し、1を得た(81g、197mmol、収率78%、GC純度95%、無色〜薄ピンク色液体、沸点86℃)。
工程(II)
室温下にてオートクレーブに1(60g、146mmol),ZnSO4(2.4g、15mmol),50%発煙硫酸(SO3/H2SO4=1.2(mol/mol)、70g,438mmol)を加え、オートクレーブを密閉にし、120℃にて4h加熱撹拌した。その後、オートクレーブのバルブをゆっくり開放し、硫酸を加えたナスフラスコにトラップさせた。上層(36g)を分取したのちに、常圧蒸留(760mmHg、釜温度80℃)にて、2を得た(29g、102mmol、収率70%、GC純度91%、無色透明液体、沸点27℃)。
室温下にてオートクレーブに1(60g、146mmol),ZnSO4(2.4g、15mmol),50%発煙硫酸(SO3/H2SO4=1.2(mol/mol)、70g,438mmol)を加え、オートクレーブを密閉にし、120℃にて4h加熱撹拌した。その後、オートクレーブのバルブをゆっくり開放し、硫酸を加えたナスフラスコにトラップさせた。上層(36g)を分取したのちに、常圧蒸留(760mmHg、釜温度80℃)にて、2を得た(29g、102mmol、収率70%、GC純度91%、無色透明液体、沸点27℃)。
工程(III)
室温下にてオートクレーブにCsF(6.4g,42mmol),テトラグライム(27ml),2(27g,96mmol)を加え、室温下にて0.2h撹拌した。その後、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(17.4g,105mmol)を加えたのちに80℃にて2h加熱撹拌した。氷浴下にて冷却後、オートクレーブを解体し、3を含む下層を分取した(29g,65mmol,収率68%,GC純度75%、無色透明液体、沸点80℃)。
室温下にてオートクレーブにCsF(6.4g,42mmol),テトラグライム(27ml),2(27g,96mmol)を加え、室温下にて0.2h撹拌した。その後、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(17.4g,105mmol)を加えたのちに80℃にて2h加熱撹拌した。氷浴下にて冷却後、オートクレーブを解体し、3を含む下層を分取した(29g,65mmol,収率68%,GC純度75%、無色透明液体、沸点80℃)。
工程(IV)
室温下にてナスフラスコにNa2CO3(13g,125mmol),テトラグライム(45ml),3(28g,63mmol)を加え、室温下にて0.2h撹拌した。その後、70℃にて0.5h加熱撹拌した。その後、130℃にて加熱撹拌し、目的物を分取した。その後、水分液したのちに減圧蒸留(458mmHg,釜温度90℃)にて目的物4を得た(6.9g,18mmol,収率29%,GC純度90%、無色透明液体、沸点62℃)。
室温下にてナスフラスコにNa2CO3(13g,125mmol),テトラグライム(45ml),3(28g,63mmol)を加え、室温下にて0.2h撹拌した。その後、70℃にて0.5h加熱撹拌した。その後、130℃にて加熱撹拌し、目的物を分取した。その後、水分液したのちに減圧蒸留(458mmHg,釜温度90℃)にて目的物4を得た(6.9g,18mmol,収率29%,GC純度90%、無色透明液体、沸点62℃)。
工程(V)〜(VII)
室温下にてナスフラスコにMeOH(126mmol),3(28g、63mmol)を加え、室温下にて2h撹拌した。そののちに水を加えて、2層に分離させ、MeOH及び水を含む上層を除去して、下層のメチルエステル体を得た(25g、54mmol、収率87%)。その後、メチルエステル体(23g、48.5mmol)を室温下にてNaOH(2.1g、51.8mmol),MeOH(16.6g)を滴下した。その後、60℃にて0.5h加熱撹拌下のちに乾燥させる。その後、トリグライム(50g)を加えて130℃にて加熱撹拌し、目的物4を得た(13.7g、36mmol、収率81%、GC純度94%、無色透明液体、沸点80℃)。
室温下にてナスフラスコにMeOH(126mmol),3(28g、63mmol)を加え、室温下にて2h撹拌した。そののちに水を加えて、2層に分離させ、MeOH及び水を含む上層を除去して、下層のメチルエステル体を得た(25g、54mmol、収率87%)。その後、メチルエステル体(23g、48.5mmol)を室温下にてNaOH(2.1g、51.8mmol),MeOH(16.6g)を滴下した。その後、60℃にて0.5h加熱撹拌下のちに乾燥させる。その後、トリグライム(50g)を加えて130℃にて加熱撹拌し、目的物4を得た(13.7g、36mmol、収率81%、GC純度94%、無色透明液体、沸点80℃)。
実施例2
CF2=CF−O−C3F7に代えて、CF2=CF−O−CF3を使用したこと以外は、実施例1の工程(I)〜(IV)と同様にして、次の各化合物を製造した。
CF2=CF−O−C3F7に代えて、CF2=CF−O−CF3を使用したこと以外は、実施例1の工程(I)〜(IV)と同様にして、次の各化合物を製造した。
工程(I):5の収率 83%
工程(II):6の収率 60%
工程(III):7の収率 58%
工程(IV):8の収率 43%、8の沸点 46℃
工程(II):6の収率 60%
工程(III):7の収率 58%
工程(IV):8の収率 43%、8の沸点 46℃
実施例3
CF2=CF−O−C3F7に代えて、CF2=CF−O−C2F5を使用したこと以外は、実施例1の工程(I)〜(III)及び工程(V)〜(VII)と同様にして、次の各化合物を製造した。
CF2=CF−O−C3F7に代えて、CF2=CF−O−C2F5を使用したこと以外は、実施例1の工程(I)〜(III)及び工程(V)〜(VII)と同様にして、次の各化合物を製造した。
工程(I):9の収率 87%
工程(II):10の収率 87%
工程(III):11の収率 60%
工程(V)〜(VII):12の収率 56%、12の沸点 63℃
工程(II):10の収率 87%
工程(III):11の収率 60%
工程(V)〜(VII):12の収率 56%、12の沸点 63℃
Claims (9)
- 発煙硫酸中の三酸化硫黄と化合物(2)とのモル比が1.0〜10.0である請求項1記載の製造方法。
- 工程(II)における反応を30〜200℃で実施する請求項1又は2記載の製造方法。
- 工程(III)における反応を、溶媒中で、触媒の存在下で実施する請求項1、2又は3記載の製造方法。
- Rfは、炭素数1〜5の過フッ素化アルキル基である請求項1、2、3、4又は5記載の製造方法。
- 請求項1、2、3、4、5又は6記載の製造方法により酸フルオリド(4)を得た後、酸フルオリド(4)に、一般式:ROH(式中、Rはアルキル基)で示されるアルコールを作用させることにより、一般式(6):
エステル(6)にアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属化合物を作用させることにより、一般式(7):
カルボン酸塩(7)を加熱することにより、一般式(5):
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016123649A JP2017226617A (ja) | 2016-06-22 | 2016-06-22 | 酸フルオリド及びパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法 |
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JP2016123649A JP2017226617A (ja) | 2016-06-22 | 2016-06-22 | 酸フルオリド及びパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022071363A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | ダイキン工業株式会社 | フッ素化有機化合物の製造方法 |
JP2022058182A (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-11 | ダイキン工業株式会社 | フッ素化有機化合物の製造方法 |
WO2022138659A1 (ja) * | 2020-12-25 | 2022-06-30 | Agc株式会社 | フルオロビニルエーテル化合物の製造方法 |
-
2016
- 2016-06-22 JP JP2016123649A patent/JP2017226617A/ja active Pending
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JP2022058182A (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-11 | ダイキン工業株式会社 | フッ素化有機化合物の製造方法 |
JP7273332B2 (ja) | 2020-09-30 | 2023-05-15 | ダイキン工業株式会社 | フッ素化有機化合物の製造方法 |
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