JP5264154B2 - 含フッ素化合物の製造方法 - Google Patents

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本発明は含フッ素化合物の製造方法に関し、更に詳しくは、炭化水素化合物のフッ素化によるペルフルオロ化合物の製造方法であって、具体的には、カプリル酸クロリドのフッ素化に関する。
含フッ素化合物、特に炭化水素化合物の水素原子のすべてをフッ素で置換したペルフルオロ化合物は、化学的安定性や撥水撥油性など特異な性質を有し、医薬、農薬、ポリマー、機能性製品、界面活性剤、洗浄剤その他各種の化成品やその合成中間体など様々な用途が期待される化合物である。
ペルフルオロ化合物の典型的な製造方法としては、電解フッ素化が知られている。電解フッ素化は電解槽中に原料化合物とフッ化水素とを装入し、電極間に通電し後者をフッ素源としてフッ素化反応を行う方法である。しかし、電解フッ素化は設備に大きな費用を要し、また、反応中に炭素-炭素結合の開裂や異性化を生じ易く、高純度、高収率で目的物を得ることが難しい。
また、ペルフルオロ化合物の製造方法としては、気相中でフッ素ガスを用いる方法、金属フッ化物とフッ素ガスからの高次フッ化金属を用いる方法も知られている。しかし、これら従来の液相フッ素化では、フッ素ガスの激しい反応性により、反応の制御や取扱いに困難があった。
これらのフッ素化方法の改良法として、溶媒にペルフルオロカーボン類を使用し、フッ素ガスを溶解し飽和させた状態で、溶媒に希釈した原料とフッ素ガスを連続的に供給する方法が提案されている(本願に於いて「液相フッ素化」という:特許文献1)。この方法によれば、原料の分解反応を抑えながらフッ素化が可能となる。しかし、溶媒にフッ素を溶解させて用いるため、溶媒はフッ素に安定なペルフルオロカーボンに限定され、この方法でフッ素化が可能な化合物はペルフルオロカーボンに溶解するものに限られる。このため、通常の炭化水素化合物は溶解度が乏しく適用が難しい。
そこで、アルコールとペルフルオロカルボニル化合物との反応によりペルフルオロカーボンに溶解しやすいエステル化合物を合成し(下記[I])、得られたエステル化合物を原料として液相でのフッ素化を行う(下記[II])方法も提案されている(特許文献2)。工程(II)で得られたペルフルオロ生成物を求核剤とともに加熱分解することにより、原料アルコール由来のペルフルオロアシル化合物を得ることができる(下記[III])。
[I]Cn2n+1CH2OH+Cm2m+1COF → Cm2m+1COOCH2n2n+1
[II]Cm2m+1COOCH2 n2n+1 → Cm2m+1COOCF2n2n+1
[III]Cm2m+1COOCF2n2n+1 → Cn2n+1COF+Cm2m+1COF
この方法によれば、ペルフルオロカーボンにそのままでは溶解しない高級アルコールであっても、ペルフルオロカルボン酸フルオライドとのエステル化により可溶化するため、液相フッ素化反応を適用できる。反面、この方法では、原料はエステル化が可能なアルコール類に限定される。また、高価なペルフルオロカルボニル化合物を使用する必要があり、エステルを合成する工程、フッ素化生成物を分離、更に分解、分離する工程が必要となる。
フッ素化反応溶媒に溶解しない原料を、単独で速やかにフッ素化反応が進行する基質(ベンゼン等)の存在下に、液相中でフッ素化する方法(特許文献3)も提案されている。この方法によれば、高価なペルフルオロカルボニル化合物を使用することなく、炭化水素化合物をそのまま原料としてフッ素化反応に供することができる。また、エステル化や分解等の前処理、後処理工程が不要となる。しかし、この方法が適用可能な原料化合物は、高度に塩素化された化合物など、反応雰囲気に無希釈で導入しても殆どフッ素ガスと反応しない化合物に限定される。。
米国特許5093432号 WOOO/56694号公報 特開2006−131620号公報
本発明は、従来の上記課題を解決したものであり、種々の有機化合物についてそのフッ素化、特にカプリル酸クロリドをその主構造を変換することなく、高収率でフッ素化する方法を提供することを目的とする。
上記課題を検討する過程で、有機化合物を液相フッ素化する際に、分子内に極性基を複数有するペルフルオロ化合物に溶解して用いれば炭化水素化合物原料の主構造を変換することなく、安全かつ高収率でペルフルオロ化を実現できることが見出された。本発明はこの知見に基づくものである。
本発明によれば、以下の構成を有する含フッ素化合物の製造方法が提供される。
〔1〕溶媒中に原料化合物とフッ素ガスとを導入して原料化合物の水素をフッ素に置換する液相フッ素化において、カプリル酸クロリドを原料化合物とし、これをFO 2 S(CF 2 3 SO 2 Fに溶解して原料溶液とし、一方、液体のペルフルオロ炭化水素化合物または極性基を複数有するペルフルオロ化合物を溶媒として用い、予め該溶媒にフッ素を溶解させて上記原料溶液を該溶媒に供給し、この原料溶液を含む溶媒にフッ素ガスを導入してカプリル酸クロリドの水素をフッ素に置換することを特徴とする含フッ素化合物の製造方法。
〔2〕ペルフルオロヘキサンまたはFO 2 S(CF 2 3 SO 2 Fを溶媒として用いる上記[1]に記載する含フッ素化合物の製造方法。
〔3〕原料溶液を含む溶媒にフッ素ガスを導入する工程において、原料化合物の水素量に対して0.5〜10倍モル量のフッ素を導入する上記[1]または上記[2]に記載する含フッ素化合物の製造方法。
〔4〕原料溶液または原料溶液と溶媒の混合溶液にベンゼンを添加して用いる上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する含フッ素化合物の製造方法。
本発明の方法によればカプリル酸クロリドを高収率でフッ素化することができる。また、本発明の方法によって製造した含フッ素化合物は異性体が殆ど生成しない。さらに本発明の方法は穏やかに反応を進めることができる。
さらに本発明の製造方法によれば、カプリル酸クロリドをそのまま原料としてフッ素化反応を行うことができ、従来方法のような事前のエステル化や分解の前処理および後処理の必要がなく、さらに余分な添加材料を加える必要がない。
本発明の製造方法は、溶媒中に原料化合物とフッ素ガスとを導入して原料化合物の水素をフッ素に置換する液相フッ素化において、カプリル酸クロリドを原料化合物とし、これをFO 2 S(CF 2 3 SO 2 Fに溶解して原料溶液とし、一方、液体のペルフルオロ炭化水素化合物または極性基を複数有するペルフルオロ化合物を溶媒として用い、予め該溶媒にフッ素を溶解させて上記原料溶液を該溶媒に供給し、この原料溶液を含む溶媒にフッ素ガスを導入してカプリル酸クロリドの水素をフッ素に置換することを特徴とする含フッ素化合物の製造方法である。
〔原料化合物〕
本発明の製造方法は、原料化合物を、分子内に極性基を複数有するペルフルオロ化合物(以下、原料溶解液と云う)に溶解して用いる。該原料溶解液に溶解し得る原料化合物の例としては、アルカン、シクロアルカン、芳香族炭化水素、アルコール、エーテル、有機酸、エステル、酸ハロゲン化物等が含まれる。アルコール、エーテル、有機酸、エステル、酸ハロゲン化物は、官能基を一分子中に複数(同一でも異なっていてもよい。)含んでもよい。カルボン酸、ジカルボン酸等のポリカルボン酸やそのハロゲン化物は、原料溶解液への溶解性が高く、本発明が特に好適に適用できる。また、フッ素との反応が許容される場合は、二重結合等の不飽和結合や窒素や硫黄等のヘテロ原子をさらに含んでもよい。原料化合物の炭素数は特に限定されないが、通常は炭素数2〜14であり、特に炭素数2〜10で常温において液体または固体の場合に好適に適用できる。
〔原料溶解液〕
原料溶解液の例としては、分子内に複数のカルボニル基またはスルホニル基を有する化合物が挙げられる。より具体的には以下の式に示す構造を有する化合物が含まれる(式中、Xはハロゲンを表し、Yは直鎖または分岐鎖のペルフルオロアルキレン基を表す)。
・XOCYCOX
・XO2SYCOX
・XO2SYSO2
原料溶解液はフッ素化反応温度において液体であればYは限定されない。通常は、炭素数1〜16個、好ましくは炭素数1〜12個、より好ましくは炭素数1〜8個の化合物が好ましい。Xの例としては塩素、フッ素等のハロゲンが挙げられる。なお、塩素化副生成物防止の点からフッ素が好ましい。このような化合物は電解フッ素化等により製造することが可能であり、本発明においてもこのような化合物を用いることができる。なお、本発明は、特に原料化合物としてカプリル酸クロリドを用い、原料溶解液としてFO 2 S(CF 2 ) 3 SO 2 Fを用いる例に関する。
〔原料溶解液への溶解〕
溶解は原料溶解液の沸点以下の温度に維持しつつ、原料化合物を全量混合するか、一方を他方に少量ずつ添加して行う。溶解および濃縮は一般的には原料溶解液に対して抵抗性のある材質の反応容器内で行う。
〔液相フッ素化溶媒〕
原料化合物の上記溶解液を液相フッ素化溶媒に添加する。液相フッ素化溶媒は、実質的にフッ素と反応しないがフッ素ガスの溶解度の比較的の高い、かつ、反応条件下で液体の有機溶媒であればよい。こうした溶媒の例としては、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロシクロアルカン等のペルフルオロ炭化水素化合物が挙げられる。また、極性基を複数有するペルフルオロ化合物を液相フッ素化溶媒として用いることもできる。
ペルフルオロアルカンは、例えば、炭素数4〜18程度、好ましくは常温で液体の炭素数5〜12程度の直鎖または分岐鎖を有するものを含み、具体例としては、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロノナン、ペルフルオロデカン等が挙げられる。
ペルフルオロシクロアルカンは、例えば、炭素数5〜18程度、好ましくは炭素数5〜12程度のものを含み、具体例としては、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロシクロヘプタン、ペルフルオロシクロオクタン等が挙げられる。これらの環は置換基(例えば、ペルフルオロアルキル基)を有してもよい。
これらのペルフルオロ炭化水素化合物は分子内に酸素や窒素等のヘテロ原子を含んでもよい。例えば、ペルフルオロトリブチルアミン等のペルフルオロアミン類、ペルフルオロブチルテトラヒドロフランやペルフルオロポリエーテル等のペルフルオロエーテル類、ペルフルオロ酸フルオリド等が挙げられる。
上記溶媒のうち、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロシクロアルカン、ペルフルオロエーテル、ペルフルオロアルキルアミン及びペルフルオロ酸フルオリドが好ましいが、具体的な溶媒は、目的化合物に応じて決めればよい。
溶媒の使用量は限定されない。溶媒量は原料の重量に対し0.1〜500倍が適当であり、好ましくは1〜500倍、より好ましくは3〜300倍、さらに好ましくは30〜200倍程度が良い。溶媒には予めフッ素を溶解させて置くことが好ましい。
〔液相フッ素化反応〕
液相フッ素化反応は、予めフッ素を溶媒に溶解させ、供給する原料溶液中の原料化合物の水素量に対応する量のフッ素ガスを吹き込む。フッ素ガスは希釈せずに用いてもよいが、安全性の点から不活性ガスと混合して用いることが好ましい。不活性ガスの例としては、窒素ガスやアルゴン、ヘリウムガス等が挙げられるが、コストの点から窒素ガスが好ましい。混合ガス中のフッ素ガスの濃度は特に限定されないが、50体積%以下が好ましく、より好ましくは10〜40体積%、さらに好ましくは20〜30体積%である。フッ素ガス濃度が高すぎると反応が急激に進行する場合があり、フッ素ガス濃度が低すぎると反応が十分に進行しない。
吹き込むフッ素の量は原料中の水素量に対し、0.5〜10倍モルが適当であり、好ましくは0.8〜5倍モル、より好ましくは1〜4倍モルが良い。フッ素量が少ない場合は原料の炭化水素の蓄積により副反応の増加があり、多い場合は一方の原料であるフッ素が無駄になる。
フッ素化反応温度は用いる溶媒の種類にもよるが、好ましくは−50〜50℃、より好ましくは−10〜40℃、さらに好ましくは0〜30℃が良い。反応に伴い副生するフッ酸は反応系外に除くことが好ましい。
原料の炭化水素化合物〔カプリル酸クロリド〕を上記原料溶解液〔FO 2 S(CF 2 ) 3 SO 2 〕に溶解し、この原料化合物を溶媒中でフッ素ガスと反応させることによって、例えば、次式に示すように、原料化合物の水素がフッ素に置換されたペルフルオロ化合物が得られる。
n2n+1COCl -→ Cn2n+1COF 〔1〕
なお、上記フッ素化のときに、分子内に1個以上の不飽和結合または1個以上のC−H結合を有する炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素化合物(但し、分子内に酸素、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。)を共存させてもよい。このような化合物の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘキセン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂肪族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル、酢酸エチル等のエステル、さらに、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
これらの化合物は部分的にフッ素置換されていてもよく、例えば、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル等の構成要素の一部がペルフルオロ化され、他方がフッ素置換されていないエーテルやエステル、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、4-フルオロトリメチルベンゼン等の環上の水素または置換基が部分的にフッ素化された芳香族炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素はヘキサフルオロベンゼンのように全ての水素がフッ素置換されていてもよい。
これらの添加物質の使用量は特に限定されないが、好ましくは、モル比で原料化合物の0.005〜5倍、より好ましくは0.05〜3倍、さらに好ましくは0.1〜1倍程度が良い。添加量が多すぎるとこれらの化合物との反応に消費されるフッ素ガスの量が多くなり、また副生成物が増加する。これらの添加物質は、液相フッ素化反応に先立ついずれかの時点で原料化合物の溶解液に添加してもよいし、液相フッ素化反応中に原料化合物の溶解液と液相フッ素化溶媒との反応混合液に添加してもよい。
液相フッ素化反応は通常はフッ素ガスに対して抵抗性のある材質で形成した反応容器内で行い、反応によって生じたフッ化水素はコンデンサー等で回収除去する。あるいは、反応系内にフッ化水素の捕捉剤を共存させるか、または、排ガス経路にフッ化水素捕捉剤を充填することにより除去してもよい。フッ化水素捕捉剤としてはフッ化ナトリウムやフッ化カリウムなどのアルカリ金属フッ化物が好ましく、フッ化ナトリウムが特に好ましい。反応終了後、不活性ガスの吹き込みなどによって反応系からフッ素ガスを除去し、分留等により反応生成物、原料溶解液、液相フッ素化溶媒を分離・回収し、溶媒類はそれぞれ再利用することも可能である。
本発明の製造方法は、様々な有機化合物を原料としてペルフルオロ化合物を生成する方法に適用することができる。例えば、Cm2m+1COX、あるいはCm2m+1COX’(式中、X、X'はハロゲンであり、X≠X')の異なったハロゲン化物を原料として、ペルフルオロ化合物Cm2m+1COFを生成し、これを加水分解することによってCm2m+1COOHを単一の生成物として得ることができる。
また、本発明の製造方法では、原料溶解液として複数基の全てがスルホニル基のペルフルオロ化合物を用いることができ、反応性の違いを利用して反応系からフッ素ガスをパージした後、アルコール(ROH)を添加して生成物をエステルに転換した後に反応系から蒸留分離してもよい。
本発明の製造方法は、種々の有機化合物について、そのフッ素化、特にペルフルオロ化を高収率で炭化水素化合物原料の構造を変換する方法として利用することができる。従って、医薬、農薬、ポリマー、機能性製品、界面活性剤、洗浄剤その他各種の化成品やその合成中間体の製造方法として幅広く利用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に示すが、本発明はこれらの例に限定されない。また、以下の例において反応生成物の同定はGC−MS(EI)、1H(270MHz、TMS基準)/19F(254MHz、CCl3F基準)−NMR、FT−IRにより行なった。

〔実施例1:カプリル酸クロリドC715COClのフッ素化〕
<液相フッ素化>C715COCl →C715COF
カプリル酸クロリド、1.63g(10mmol)をガラス容器に取り、これにFO2S(CF2)3SO2Fを加えて溶解し全量を6mlとした(原料溶液)。ガス出入口と原料導入口、間にNaFペレット充填管および反応液返送配管を設置した0℃と−78℃の2段のコンデンサー、フッ素樹脂被覆撹拌子、外部温度調節器を備えた180ml容量のPFA樹脂製の反応器に、ペルフルオロヘキサン100mlを仕込み、窒素ガスを3L/時の流量で0.5時間液中に吹き込んだ。次いで、窒素ガスを20%フッ素と80%窒素の混合ガスに代え、3.9L/時の流量で0.5時間液中に吹き込んで、ペルフルオロヘキサン中にフッ素ガスを飽和させた。20%フッ素と80%窒素の混合ガスの吹き込みを保った反応容器に、原料溶液をシリンジポンプを用いて6時間かけて供給した。反応液の温度は24〜26℃に調節した。次いで、ヘキサフルオロベンゼン0.93g(5mmol)をペルフルオロヘキサンで全量10mlに溶解し、20vol%フッ素と80vol%窒素の混合ガスを1.89L/時の流量で吹き込みながら1時間かけて供給した。反応液の温度は23〜24℃に調節し、この操作を2回行った。その後、上記混合ガスを窒素ガスに代え2.23L/時の流量で1時間液中に吹き込み反応液をパージした。
<エステル化>C715COF +(CH3)2CHOH → C715COOCH(CH3)2
反応液を20℃にし、脱水イソプロピルアルコール1.8g(30mmol)を投入して1時間撹拌し、エステル化を行った。反応液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、さらに残液を減圧蒸留し約90℃/15mmHgの留分を分画し、C715COOCH(CH3)23.67gを得た。ガスクロマトグラフによる純度は88.29%、収率は71%であった。同定の結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(溶媒CDCl3、ppm) 5.25(m、1H)、1.36(d、6H)、
19F−NMR(溶媒CDCl3、ppm) −81.4(t、3F)、−119.2(m、2F)、−122.0(d、2F)、−122.5(s、2F)、−123.1(q、4F)、−126.6(m、2F)
〔実施例2:カプリル酸クロリドC715COClのフッ素化〕
カプリル酸クロリド0.82g(5mmol)をFO2S(CF2)3SO2Fに溶解して全量で20mlとし、ペルフルオロヘキサンをFO2S(CF2)3SO2F80mlに替え、30%フッ素と70%窒素の混合ガスの流量を3L/時にし、ヘキサフルオロベンゼン0.47g(2.5mmol)はFO2S(CF2)3SO2Fに溶解して全量を5mlとし、フッ素化時の30%フッ素と70%窒素の混合ガスを流量2.23L/時で2時間供給し、アルコールとして脱水イソプロピルアルコール0.6g(10mmol)とした他は実施例1と同様の反応および操作を行った。反応液を濃縮後、減圧蒸留し、留分中に目的物〔C715COOCH(CH3)2〕が55%の収率で含まれていることを確認した。

Claims (4)

  1. 溶媒中に原料化合物とフッ素ガスとを導入して原料化合物の水素をフッ素に置換する液相フッ素化において、カプリル酸クロリドを原料化合物とし、これをFO 2 S(CF 2 3 SO 2 Fに溶解して原料溶液とし、一方、液体のペルフルオロ炭化水素化合物または極性基を複数有するペルフルオロ化合物を溶媒として用い、予め該溶媒にフッ素を溶解させて上記原料溶液を該溶媒に供給し、この原料溶液を含む溶媒にフッ素ガスを導入してカプリル酸クロリドの水素をフッ素に置換することを特徴とする含フッ素化合物の製造方法。
  2. ペルフルオロヘキサンまたはFO 2 S(CF 2 3 SO 2 Fを溶媒として用いる請求項1に記載する含フッ素化合物の製造方法。
  3. 原料溶液を含む溶媒にフッ素ガスを導入する工程において、原料化合物の水素量に対して0.5〜10倍モル量のフッ素を導入する請求項1または請求項2に記載する含フッ素化合物の製造方法。
  4. 原料溶液または原料溶液と溶媒の混合溶液にベンゼンを添加して用いる請求項1〜請求項3の何れかに記載する含フッ素化合物の製造方法。
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