JPWO2002026682A1 - 含フッ素ビニルエーテル化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、フッ素樹脂の原料モノマー等として有用な含フッ素ビニルエーテル化合物の製造方法に関する。さらに詳しくは、含フッ素ビニルエーテル化合物を短工程、かつ高収率で効率良く製造する方法に関する。
<背景技術>
従来より、炭化水素系化合物などのC−H含有化合物中のC−H部分の全てをC−Fにフッ素化する方法として、三フッ化コバルトを用いる方法、フッ素ガスを用いて直接フッ素化する方法、または、電解槽中で、フッ化水素を電気分解してフッ素化反応を行う方法(以下、ECF法(electro chemical fluorination)という。)が知られている。また、フッ素ガスを用いて直接フッ素化する方法を行う場合に、気相で行う方法と液相で行う方法が知られている。
非フッ素系の化合物類にフッ素ガスを作用させて液相でフッ素化する方法(USP5093432号)も報告されている。また、ペルフルオロ化されたエステル化合物の一種を熱分解反応に付して酸フルオリド化合物を得る方法も知られており、該化合物は、対応する構造の炭化水素系のエステル化合物をフッ素ガスを用いて液相で直接フッ素化することにより入手できると記載されている(J.Am.Chem.Soc.、120、7117(1998))。
ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)は、耐熱性かつ耐薬品性の優れたフッ素樹脂の原料モノマーとして有用である。該化合物は、ペルフルオロエポキシド類の二量化反応により、または、ペルフルオロアルカン酸フルオリドをアルカリ金属フッ化物の存在下にペルフルオロエポキシド類と反応させてペルフルオロ(2−アルコキシアルカン酸)フルオリド類とし、つぎに熱分解することにより、工業的に製造されている(USP3291843号)。
しかし、従来のペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)の製造方法は、二量化反応の反応の制御が難しく、原料の価格が高く、経済的に不利である問題があった。
本発明の目的は、上記問題を解決して、含フッ素ビニルエーテル化合物を短工程、かつ高収率で効率良く製造し得る方法を提供することにある。
<発明の開示>
本発明者らは、特定の原料化合物の混合物を、混合物のまま熱分解反応に付すことにより、目的とする含フッ素ビニルエーテル化合物が好適に製造できることを見いだした。また、該混合物を原料として用いることにより、工業的プロセスとして経済的に有利であり、かつ、効率的な連続プロセスとなりうることを見いだした。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記含フッ素ビニルエーテル化合物の製造方法、および、該製造方法における中間体として有用である新規化合物を提供する。
1.下記化合物(2F)および下記化合物(3F)の混合物において、熱分解反応を行うことを特徴とする下記含フッ素ビニルエーテル化合物(8)の製造方法。ただし、式中、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。
RAFOCF(CF3)COF(2F)
RAFO(CF2)2COF(3F)
RAFOCF=CF2(8)
2.下記化合物(6)、または、下記化合物(6)と下記化合物(7)との混合物において、エステル結合の分解反応を行って下記化合物(2F)および下記化合物(3F)の混合物を得て、次に該混合物において熱分解反応を行うことを特徴とする下記含フッ素ビニルエーテル化合物(8)の製造方法。ただし式中、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。
RAFO(CF2)3OCOCF(CF3)ORAF(6)
RAFO(CF2)3OCOCF2CF2ORAF(7)
RAFOCF(CF3)COF(2F)
RAFO(CF2)2COF(3F)
RAFOCF=CF2(8)
3.化合物(6)が、下記化合物(1)と下記化合物(2)とをエステル化反応させて下記化合物(4)を生成させ、次に該化合物(4)を液相中でフッ素と反応させた反応生成物であり、化合物(6)と化合物(7)の混合物が、下記化合物(1)と下記化合物(2)と下記化合物(3)との混合物を反応させて下記化合物(4)と下記化合物(5)の混合物を生成させ、該化合物(4)と化合物(5)の混合物を、液相中でフッ素と反応させた反応生成物である、請求項2に記載の製造方法。
ただし、式中、RA、RB、RCは、それぞれ独立に、RAFと同一の1価有機基、または液相中でフッ素と反応させることによってRAFになる1価有機基であり、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基であり、Xはハロゲン原子を示す。
RAO(CH2)3OH(1)
XCOCF(CF3)ORB(2)
XCO(CF2)2ORC(3)
RAO(CH2)3OCOCF(CF3)ORB(4)
RAO(CH2)3OCO(CF2)2ORC(5)
4.化合物(4)中のフッ素含有量が30質量%以上であり、化合物(5)中のフッ素含有量が30質量%以上である請求項3に記載の製造方法。
5.化合物(6)および化合物(7)の混合物が、下記化合物(1)と、下記化合物(2F)および下記化合物(3F)の混合物とをエステル化反応させて下記化合物(4F)および下記化合物(5F)の混合物を生成させ、次に該混合物を液相中でフッ素と反応させることにより得た反応生成物である請求項2に記載の製造方法。ただし。式中、RAは、RAFと同一の1価有機基、または液相中でフッ素と反応させることによってRAFになる1価有機基を示し、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。
RAO(CH2)3OH(1)
RAFOCF(CF3)COF(2F)
RAFO(CF2)2COF(3F)
RAO(CH2)3OCOCF(CF3)ORAF(4F)
RAO(CH2)3OCOCF2CF2ORAF(5F)
6.化合物(2F)および化合物(3F)の混合物が、下記化合物(6)および下記化合物(7)の混合物においてエステル結合の分解反応を行うことにより得た反応生成物の一部または全部である請求項5に記載の製造方法。ただし、式中、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。
RAFO(CF2)3OCOCF(CF3)ORAF(6)
RAFO(CF2)3OCOCF2CF2ORAF(7)
7.液相中でフッ素と反応させる際に、液相として、化合物(2F)、化合物(3F)、化合物(6)、および化合物(7)から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いる請求項3、4、5、または6に記載の製造方法。
8.RAFが、ペルフルオロ(1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(部分ハロゲン化1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、またはペルフルオロ(部分ハロゲン化ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
9.下記化合物(1a)を、下記化合物(2a)と下記化合物(3a)との混合物とエステル化反応させて下記化合物(4a)および下記化合物(5a)の混合物を得て、つぎに該化合物(4a)および(5a)の混合物を液相中でフッ素と反応させることにより下記化合物(6a)および下記化合物(7a)の混合物を得て、つぎに該化合物(6a)および(7a)の混合物においてエステルの結合の分解を行うことにより、前記化合物(2a)と化合物(3a)との混合物よりも多い量の化合物(2a)と化合物(3a)との混合物を得て、つぎに化合物(2a)と化合物(3a)との混合物の熱分解反応を行うことを特徴とする下記化合物(8a)の製造方法。
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OH (1a)
CF3CF2CF2OCF(CF3)COF (2a)
CF3CF2CF2OCF2CF2COF (3a)
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF
2CF3 (4a)
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF2CF2OCF2CF2
CF3 (5a)
CF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF2CF
2CF3 (6a)
CF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF2CF2OCF2CF2
CF3 (7a)
CF3CF2CF2OCF=CF2 (8a)
10.下記化合物(7A)。ただし、式中のnは、1〜10の整数を示す。
F(CF2)nO(CF2)3OCOCF2CF2O(CF2)nF(7A)
<発明を実施するための最良の形態>
本発明において、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。本明細書において、1価有機基とは、炭素原子を必須とする1価基をいい、飽和の有機基であっても、不飽和の有機基であってもよい。
本発明における熱分解反応により変化しない1価有機基(RAF)とは、基中に熱分解により変化する官能基や原子団を含まない基であって、化合物(2F)および化合物(3F)の混合物における熱分解反応の前後で、その化学構造が変化しない1価有機基をいう。該1価有機基としては、−COOCF2C−CXa−(ここで、Xaはハロゲン原子)、−CF2CF2COF、および−CF(CF3)COF等の部分構造が存在しない基、熱分解の反応条件で化学的に不安定な構造を持たない基、が挙げられる。たとえば、1価炭化水素基またはハロゲン化1価炭化水素基は、通常は熱分解反応により変化しない基である。ヘテロ原子含有1価炭化水素基またはハロゲン化(ヘテロ原子含有1価炭化水素)基は、該基中のヘテロ原子またはヘテロ原子団が熱分解反応により変化しないものである場合、通常は熱分解により変化しない基である。
本発明におけるRAFとしては、原料入手の容易さ、目的化合物の有用性、後述する効率的な連続プロセスの実施しやすさの点から、ペルフルオロ(1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(部分ハロゲン化1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、またはペルフルオロ(部分ハロゲン化ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基であるのが好ましく、特にペルフルオロ1価飽和炭化水素基、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(部分クロロ1価飽和炭化水素)基、またはペルフルオロ(部分クロロ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素))基であるのが好ましい。
本明細書における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基が好ましい。また、脂肪族炭化水素基中には、炭素−炭素結合として、単結合、二重結合、または三重結合が存在していてもよい。脂肪族炭化水素基は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または環構造を部分的に有する構造のいずれであってもよい。
飽和の炭化水素基とは、該基中の炭素−炭素結合が単結合のみからなる基をいう。該基中には炭素−炭素不飽和結合以外の不飽和結合(たとえば、C=OやSO2等)が存在していてもよい。
本明細書における1価飽和炭化水素基としては、アルキル基が挙げられ、その構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造(すなわち、シクロアルキル基)、または部分的に環である構造のいずれであってもよい。
アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。直鎖構造であるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。分岐構造であるアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。環構造であるアルキル基としては、たとえば、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、脂環式スピロ構造の基等が挙げられ、3〜6員環のシクロアルキル基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
環部分を有するアルキル基としては、上記環構造のアルキル基で置換された(直鎖構造または分岐構造の)アルキル基、または該アルキル基の環基部分がさらに(直鎖構造または分岐構造の)アルキル基で置換された基、ビシクロアルキル基、脂環式スピロ構造を有する基が挙げられ、アルキル基の水素原子の1個以上が3〜6員環のシクロアルキル基で置換された基が好ましく、シクロペンチルメチル基、シクロヘキチルエチル基、エチルシクロヘキシルメチル基等が特に好ましい。その他の基としては、芳香環を有するアルキル基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基)、複素環を有するアルキル基(たとえば、ピリジルメチル基、フルフリル基等)が挙げられる。
また、ハロゲン化基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子が好ましく、とりわけ化合物の有用性の観点からフッ素原子、またはフッ素原子と塩素原子が好ましい。
本明細書において、ハロゲン化とは水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換されたことをいう。部分ハロゲン化とは水素原子の一部がハロゲン原子に置換されたことをいい、該基中には、水素原子が存在する。ペルハロゲン化とは水素原子の全てがハロゲン化されたことをいい、該基中には水素原子が存在しない。ハロゲン化、部分ハロゲン化、ペルハロゲン化の用語の意味は、ハロゲン原子が特定される場合においても同様の意味を示す。ハロゲン化基およびペルハロゲン化基中に存在するハロゲン原子は、1種であっても2種以上であってもよい。
本明細書において、ハロゲン化1価飽和炭化水素基とは、1価飽和炭化水素基中に存在する水素原子の1個以上がハロゲン原子によって置換された基をいう。ハロゲン化1価飽和炭化水素基中には水素原子が存在していても存在しなくてもよい。ハロゲン化1価飽和炭化水素基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、またはフッ素原子と塩素原子が好ましい。
本明細書において、部分ハロゲン化1価飽和炭化水素基とは、上記1価飽和炭化水素基中に存在する水素原子の一部がハロゲン原子によって置換された基をいう。部分ハロゲン化1価飽和炭化水素基中には、水素原子が存在する。
本明細書において、ペルハロゲン化1価飽和炭化水素基とは、1価飽和炭化水素基中に存在する水素原子の実質的に全てがハロゲン原子によって置換された基をいう。ペルハロゲン化1価飽和炭化水素基中には水素原子は存在しない。
本明細書において、ハロゲン化1価飽和炭化水素基としては、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、環構造でも、環構造部分を有する構造であってもよい。ハロゲン化1価飽和炭化水素基としては、フルオロアルキル基またはフルオロ(部分クロロアルキル)基等が挙げられる。ハロゲン化1価飽和炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましい。
本明細書において、ペルハロゲン化1価飽和炭化水素基としては、ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロ(部分クロロアルキル)基(すなわち、部分クロロアルキル基中の水素原子の全てがフッ素化された基)が好ましい。なお、ペルフルオロ(部分フルオロアルキル)基は、ペルフルオロアルキル基と同じである。
本明細書において、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基としては、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子等のヘテロ原子と、炭素原子と、水素原子とからなる飽和基をいう。そして、ヘテロ原子は、ヘテロ原子そのものであっても、ヘテロ原子同士またはヘテロ原子と他の原子が結合してヘテロ原子団となっていてもよい。ヘテロ原子およびヘテロ原子団は、いずれも熱分解反応によって変化しないものが好ましい。ヘテロ原子としては、エーテル性酸素原子(C−O−CのO)、=O等が挙げられ、エーテル性酸素原子が特に好ましい。ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましい。ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基としては、前記飽和炭化水素基の炭素−炭素原子間に2価ヘテロ原子または2価ヘテロ原子団が挿入された基、または前記飽和炭化水素基中の炭素原子にヘテロ原子が結合した基、または前記飽和炭化水素基の結合末端の炭素原子に2価ヘテロ原子または2価ヘテロ原子団が結合した基が好ましい。
本明細書において、ヘテロ原子含有基としては、化合物の有用性の点からエーテル性酸素原子含有基が特に好ましい。特に入手しやすさ、製造しやすさ、および生成物の有用性の点から、エーテル性酸素原子を含むアルキル基(たとえば、アルコキシアルキル基等。)が好ましい。また、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された環部分を有する1価脂肪族炭化水素基としては、たとえば、ジオキソラン骨格を有するアルキル基等が挙げられる。
本明細書においてアルコキシアルキル基としては、前記1価脂肪族炭化水素基で挙げたアルキル基中に存在する水素原子の1個がアルコキシ基に置換された基が好ましい。該アルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましい。アルコキシアルキル基としては、エトキシメチル基、1−プロポキシエチル基、2−プロポキシエチル基等が挙げられる。
本明細書においてハロゲン化(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基としては、フルオロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基またはフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素))基が好ましい。ハロゲン化(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基の炭素数は1〜20が好ましい。
本明細書においてペルハロゲン化(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基としては、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基またはペルフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素))基が好ましく、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有アルキル)基またはペルフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有アルキル))基が特に好ましく、ペルフルオロ(アルコキシル)基またはペルフルオロ(部分クロロ(アルコキシル))基がとりわけ好ましい。
これらの基の具体例としては、以下の例示中に記載した基が挙げられる。
本発明においては、化合物(2F)および化合物(3F)の混合物を熱分解反応に付して含フッ素ビニルエーテル化合物(8)に変換する。化合物(2F)および化合物(3F)は、いずれも熱分解反応によって同一の含フッ素ビニルエーテル化合物(8)に変換される。すなわち、この方法では、化合物(2F)および化合物(3F)に対応する構造を有する1つの目的化合物(8)が生成する。含フッ素ビニルエーテル化合物(8)中のRAFは化合物(2F)および化合物(3F)のRAFと同一である。含フッ素ビニルエーテル化合物(8)の例としては下記化合物が挙げられ、化合物(8a)が好ましい。
CF3CF2CF2OCF=CF2(8a)
CF3OCF=CF2(8b)
CF3CF2OCF=CF2(8c)
CF3(CF2)5OCF=CF2(8d)
CF3(CF2)9OCF=CF2(8e)
また、化合物(2F)の例としては下記化合物が挙げられ、目的化合物の有用性から化合物(2a)が好ましい。
CF3CF2CF2OCF(CF3)COF(2a)
CF3OCF(CF3)COF(2b)
CF3CF2OCF(CF3)COF(2c)
CF3(CF2)5OCF(CF3)COF(2d)
CF3(CF2)9OCF(CF3)COF(2e)
化合物(3F)例としては下記化合物が挙げられ、目的化合物の有用性から化合物(3a)が好ましい。
CF3CF2CF2OCF2CF2COF(3a)
CF3OCF2CF2COF(3b)
CF3CF2OCF2CF2COF(3c)
CF3(CF2)5OCF2CF2COF(3d)
CF3(CF2)9OCF2CF2COF(3e)
また、本発明における化合物(2F)および化合物(3F)の混合物(以下、混合物(2F−3F)と記す。)において、化合物(2F)と化合物(3F)のそれぞれの量比は特に限定されず、いずれの量比であっても本発明の製造方法は実施できる。本発明の製造方法を後述する連続方法で実施する場合には、該方法の開始段階においては混合物(2F−3F)中に化合物(2F)が40〜60質量%であり、化合物(3F)が40〜60質量%であるのが好ましい。混合物(2F−3F)の各化合物の比率は特に限定されず、後述する連続製造方法を繰り返した場合には、化合物(2F)の含有量が徐々に減少し、化合物(3F)の含有量が徐々に増加する。
混合物(2F−3F)の熱分解反応は、気相反応または液相反応で実施でき、気相反応で実施するのが効率的であり好ましい。熱分解反応の方法および反応温度は、混合物(2F−3F)の沸点や安定性により選択するのが好ましい。そして、混合物(2F−3F)は、気相反応で熱分解反応を行い得るためには、常圧における沸点が350℃以下であるのが好ましい。また、混合物(2F−3F)の沸点は50℃以上であるのが好ましい。気相反応は、連続式反応で行うのが好ましい。連続式反応は、加熱した反応管中に気化させた混合物(2F−3F)を通し、生成した含フッ素ビニルエーテル化合物(8)を出口ガスとして得て、これを凝縮し、連続的に回収する方法により実施するのが好ましい。気相反応で熱分解を行う場合の反応温度は、化合物(2F)および化合物(3F)の構造により適宜変更され得るが、一般には150℃以上が好ましく、200℃〜500℃が特に好ましく、とりわけ250℃〜450℃が好ましい。反応温度が高くなり過ぎると、生成物の分解反応が起こり収率が低下する恐れがある。また、反応温度が低くすぎると、化合物(2F)および化合物(3F)のそれぞれの反応転化率が低下するおそれがある。
また、気相反応で熱分解反応を行う場合には、管型反応器を用いるのが好ましい。管型反応器を用いる場合の滞留時間は、空塔基準で0.1秒〜10分程度が好ましい。反応圧力は特に限定されない。また、混合物(2F−3F)が高沸点である場合には、減圧下で反応を実施するのが好ましい。また、混合物(2F−3F)が低沸点である場合には、生成物の分解が抑制され、かつ反応率が高くなることから、加圧下で反応を実施するのが好ましい。また、混合物(2F−3F)が高沸点の場合には、熱分解を液相反応で行ってもよい。
管型反応器を用いて気相反応を行う場合には、反応を促進させる目的で、反応管中にガラス、アルカリ金属の塩、またはアルカリ土類金属の塩を充填するのが好ましい。アルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属の塩としては、炭酸塩またはフッ化物が好ましい。ガラスとしては、一般的なソーダガラスが挙げられ、特にビーズ状にして流動性を上げたガラスビーズが好ましい。アルカリ金属の塩としては、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸リチウムが挙げられる。アルカリ土類金属の塩としては、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、炭酸バリウムまたは炭酸マグネシウム等が挙げられる。さらに、反応管中にガラス、アルカリ金属の塩、またはアルカリ土類金属の塩を充填させる場合に、ガラスビーズや、炭酸ナトリウムの軽灰等であって、粒径が100〜250μm程度であるものを用いると、流動層型の反応形式を採用できることから特に好ましい。
また、気相反応においては、混合物(2F−3F)の気化を促進する目的で、熱分解反応には直接は関与しない不活性ガスを存在させるのが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられる。不活性ガス量は混合物(2F−3F)に対して0.01〜50体積%程度が好ましい。不活性ガス量が多すぎると、生成物の回収量が低くなるおそれがあり好ましくない。
本発明の製造方法においては、熱分解反応による生成物が実質的に含フッ素ビニルエーテル化合物(8)のみとなる。生成物は目的に応じて通常の方法で分離精製するのが好ましい。分離精製法としては、蒸留法、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等が挙げられる。また、含フッ素ビニルエーテル化合物(8)は、化合物(2F)および化合物(3F)よりも低分子量であり、通常は低沸点の化合物となることから、未反応の化合物(2F)および化合物(3F)の混合物は蒸留法により効率的に除去するのが好ましい。
混合物(2F−3F)の入手方法としては特に限定されないが、本発明においては、化合物(6)、または、化合物(6)および(7)の混合物をエステル結合の分解反応に付して得られる反応生成物、であるのが好ましい。
化合物(6)のエステル結合の分解反応では、化合物(6)に対して化学量論的には2倍モルの化合物(2F)が生成する。また化合物(7)のエステル結合の分解反応では、化合物(7)に対して、化学量論的に等倍モルの化合物(2F)と化学量論的に等倍モルの化合物(3F)が生成する。
化合物(6)の例としては下記化合物が挙げられ、化合物(6a)が好ましい。
CF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(6a)、
CF3OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF3(6b)、
CF3CF2OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF2CF3(6c)、
CF3(CF2)5OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)O(CF2)5CF3(6d)、
CF3(CF2)9OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)O(CF2)9CF3(6e)。
また、化合物(7)の例としては下記化合物が挙げられ、また、この化合物(7)のうち、下記化合物(7A)は新規化合物である。下記化合物(7A)は、後述するプロセスによりフッ素樹脂の原料モノマーとして有用なペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に導くことができる有用な化合物である。化合物(7A)としては化合物(7a)が好ましい。ただし、式中、nは、1〜10の整数を示す。
F(CF2)nO(CF2)3OCOCF2CF2O(CF2)nF(7A)、
CF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF2CF2OCF2CF2CF3(7a)、
CF3OCF2CF2CF2OCOCF2CF2OCF3(7b)
CF3CF2OCF2CF2CF2OCOCF2CF2OCF2CF3(7c)、
CF3(CF2)5OCF2CF2CF2OCOCF2CF2O(CF2)5CF3(7d)、
CF3(CF2)9OCF2CF2CF2OCOCF2CF2O(CF2)9CF3(7e)、
化合物(6)または混合物(6−7)をエステル結合の分解反応に付す場合には、熱分解反応、または、液相中で求核剤もしくは求電子剤の存在下に行なう分解反応により実施するのが好ましい。
エステル結合の分解反応を熱分解反応で行う場合には、化合物(6)、または混合物(6−7)を加熱することにより実施できる。該熱分解反応の反応形式は、化合物(6)や混合物(6−7)の沸点とその安定性により選択するのが好ましい。例えば、気化しやすい混合物(6−7)をエステル熱分解反応に付する場合には、気相で連続的に分解させて、生成する混合物(2F−3F)を含む出口ガスを凝縮、回収する気相熱分解法を採用し得る。気相熱分解法の反応温度は50〜350℃が好ましく、50〜300℃が特に好ましく、とりわけ150〜250℃が好ましい。また、反応には直接は関与しない不活性ガスを反応系中に共存させてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。不活性ガスは、化合物(6)または混合物(6−7)に対して0.01〜50体積%程度を添加するのが好ましい。不活性ガスの添加量が多いと、生成物の回収量が低減することがある。
一方、化合物(6)、または混合物(6−7)の沸点が高い場合のエステル結合の熱分解反応は、反応器内で液のまま加熱する液相熱分解法で行うのが好ましい。この場合の反応圧力は限定されない。通常の場合、混合物(2F−3F)を含む生成物は、より低沸点であることから、該液相熱分解反応は蒸留塔を有する反応器で蒸留を行いながら反応を行い、生成物を気化させて連続的に抜き出す方法で行うのが好ましい。また、蒸留を行うことなく熱分解反応を行った後に、生成物から一括して生成物を抜き出してもよい。この液相熱分解法の反応温度は50〜300℃が好ましく、特に100〜250℃が好ましい。
液相熱分解法でエステル結合の分解反応を行う場合には、無溶媒で行っても、溶媒の存在下に行ってもよい。この溶媒としては、化合物(6)および化合物(7)の両方と反応せず、かつこれらの化合物と相溶性のあるもので、生成する化合物(2F)および化合物(3F)と反応しないものであれば特に限定されない。また、溶媒としては、化合物(2F)および化合物(3F)の混合物の精製時に分離し易いものを選定するのが好ましい。この溶媒の具体例としては、ペルフルオロトリアルキルアミン、ペルフルオロデカリンなどの不活性溶媒、クロロフルオロカーボン類等の中でも高沸点であるクロロトリフルオロエチレンオリゴマー(たとえば、商品名:フロンルーブ)、化合物(2F)、化合物(3F)等が好ましい。また、溶媒の量は混合物(6−7)に対して10〜1000質量%が好ましい。
また、化合物(6)または混合物(6−7)を液相中で求核剤または求電子剤と反応させることによりエステル結合の分解反応を行う場合、該反応は、無溶媒で行っても、溶媒の存在下に行ってもよい。この溶媒としては、上記液相熱分解法で用いられる溶媒と同一のものがよい。求核剤としては、F−が好ましく、特にアルカリ金属のフッ化物由来のF−が好ましい。アルカリ金属のフッ化物としては、NaF、NaHF2、KF、CsFがよく、これらのうち経済性の面からNaFが特に好ましい。F−等の求核剤の量は、化合物(6)または混合物(6−7)に対して1〜500モル%が好ましく、10〜100モル%が特に好ましく、とりわけ5〜50モル%が好ましい。反応温度の下限は、−30℃以上が好ましく、上限は溶媒の沸点、化合物(6)の沸点、および化合物(7)の沸点のうち一番低い温度が好ましく、−20℃〜+250℃が特に好ましい。
液相法でエステル結合の分解反応を行う場合においても、蒸留塔を有する反応器を用いて、蒸留を行いながら反応を行い、生成物を気化させて連続的に取り出すのが好ましい。
化合物(6)の入手方法としては、化合物(1)を化合物(2)とエステル化反応させて化合物(4)とし、次に該化合物(4)を液相中で反応させる方法によるのが好ましい。また、化合物(6)と化合物(7)との混合物(以下、混合物(6−7)と記す。)は、化合物(1)を、化合物(2)と化合物(3)の混合物(以下、混合物(2−3)と記す。)とエステル化反応させて、化合物(4)と化合物(5)との混合物(以下、混合物(4−5)と記す。)とし、次に該混合物(4−5)を液相中でフッ素と反応させることにより入手できる。ここで混合物(2−3)を用いる場合、化合物(2)と化合物(3)の量比は特に限定されない。
該方法における化合物(1)は、RAOCH2CH(CH3)OH[以下、化合物(1’)と記す]よりも安価に入手できる化合物である。よって、安価な化合物(1)を用いて、これをエステル化し、フッ素化、エステル結合の分解反応を行うことにより混合物(2F−3F)を得て、該混合物を熱分解することにより単一の有用な含フッ素ビニルエーテル化合物(8)を得る本発明の方法は、工業的製造方法として効率のよい優れた方法である。化合物(1)とのエステル化反応に用いる化合物を、化合物(2)とするか混合物(2F−3F)とするかは、入手のしやすさ、経済性等を考慮して決定すればよく、いずれを用いても本発明の効果は発揮される。
または、混合物(6−7)は、後述する混合物(4F−5F)のフッ素化反応により得てもよい。混合物(4F−5F)を用いる方法は、連続製造方法として実施する場合に有利な方法である。
混合物(2F−3F)の入手経路および後述する連続製造方法を含めた本発明の製造プロセスの概念は以下に示される。ただし[]中の化合物は、混合物(2−3)を用いた場合に生成し、化合物(2)を用いた場合には、生成しない化合物を示す。
ここで、RA、RBあるいはRCは、それぞれ独立に、RAFと同一の基、または液相中でフッ素と反応させることによってRAFになる1価基である。Xはハロゲン原子である。RAは、RAFに対応する炭素骨格を有する基であり、RAF中のフッ素原子の1個以上、好ましくは全てが、水素原子に置換された1価基であるのが好ましい。また、RB、RCはRAFと同一の基であるのが好ましい。
RA、RB、およびRCは、それぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲン化1価飽和炭化水素基、またはヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基であるのが好ましい。またこれらの基中の炭素−炭素単結合の一個以上が二重結合あるいは三重結合などの炭素−炭素不飽和結合になった不飽和の基であってもよい。該不飽和の基としては、1価不飽和炭化水素基、ハロゲン化1価不飽和炭化水素基、またはヘテロ原子含有1価不飽和炭化水素基等が挙げられる。該不飽和の基の具体例としては、アルケニル基、シクロアルケニル基、部分クロロアルケニル基、部分クロロアルケニルオキシアルキル基等が挙げられる。不飽和の基は、液相中でのフッ素化により該炭素−炭素二重結合にフッ素が付加して炭素−炭素単結合になりうる。また、有機基中に炭素−炭素三重結合が存在する場合には、液相中でのフッ素化により該炭素−炭素三重結合にフッ素が付加して、炭素−炭素単結合や炭素−炭素二重結合が形成される。
化合物(1)の例としては、下記化合物が挙げられ、化合物(1a)が好ましい。化合物(1)は、容易にかつ安価に入手可能であるか、または公知の方法により容易にかつ安価に合成できる化合物である。
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OH(1a)、
CH3OCH2CH2CH2OH(1b)、
CH3CH2OCH2CH2CH2OH(1c)、
CH3(CH2)5OCH2CH2CH2OH(1d)、
CH3(CH2)9OCH2CH2CH2OH(1e)。
化合物(2)の例としては前記化合物(2F)と同様の化合物、化合物(2F)中の−COFが−COClになった化合物、化合物(2F)中のC−FがC−Hになった化合物が挙げられ、下記化合物(2a)が好ましい。
FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(2a)。
化合物(3)の例としては前記化合物(3F)と同様の化合物、化合物(3F)中の−COFがCOClになった化合物、化合物(3F)中のC−FがC−Hになった化合物が挙げられ、下記化合物(3a)が好ましい。
FCOCF2CF2OCF2CF2CF3(3a)。
化合物(4)の例としては下記化合物が挙げられ、化合物(4a)が好ましい。
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(4a)、
CH3OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF3(4b)、
CH3CH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF3(4c)、
CH3(CH2)5OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)O(CF2)5CF3(4d)、
CH3(CH2)9OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)O(CF2)9CF3(4e)、
化合物(5)の例としては下記化合物が挙げられ、化合物(5a)が好ましい。
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF2CF2OCF2CF2CF3(5a)、
CH3OCH2CH2CH2OCOCF2CF2OCF3(5b)、
CH3CH2OCH2CH2CH2OCOCF2CF2OCF2CF3(5c)、
CH3(CH2)5OCH2CH2CH2OCOCF2CF2O(CF2)5CF3(5d)、
CH3(CH2)9OCH2CH2CH2OCOCF2CF2O(CF2)9CF3(5e)、
化合物(1)と、化合物(2)または混合物(2−3)とのエステル化反応は、公知のエステル化反応の反応方法および条件を適用して実施できる。また、エステル化反応は、溶媒の存在下に実施してもよいが、溶媒の不存在下に実施するのが容積効率の点から好ましい。溶媒を用いる場合には、ジクロロメタン、クロロホルム、トリエチルアミン、またはトリエチルアミンとテトラヒドロフランとの混合溶媒が好ましい。溶媒の使用量は、化合物(1)、化合物(2)、および化合物(3)の総量に対して50〜500質量%とするのが好ましい。
このエステル化反応では、HF等の酸が発生するため、HFの捕捉剤としてのアルカリ金属フッ化物(NaF、KFが好ましい)やトリアルキルアミンを反応系中に存在させてもよい。HFの捕捉剤は、化合物(1)、化合物(2)、および化合物(3)がそれぞれ酸に不安定な化合物である場合には、使用した方がよい。また、HFの捕捉剤を使用しない場合には、HFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出するのが好ましい。アルカリ金属フッ化物を用いる場合の量は、混合物(2−3)に対して1〜10倍モルとするのが好ましい。
また、化合物(1)のエステル化反応の反応温度は、通常の場合、−50℃以上であるのが好ましく、+100℃以下または溶媒の沸点温度以下が好ましい。また、該反応の反応時間は原料の供給速度と反応に用いる化合物量に応じて適宜変更され得る。反応圧力(ゲージ圧、以下同様)は0(大気圧)〜2MPaが好ましい。
上記反応で生成した化合物(4)または混合物(4−5)を含む反応粗生成物は、目的に応じて精製を行っても、そのまま次の反応等に用いてもよいが、次の工程におけるフッ素化反応を安全に行う観点から、該粗生成物中の化合物(4)および化合物(5)は他の化合物から分離精製するのが望ましい。この粗生成物の精製方法としては、粗生成物をそのまま蒸留する方法、粗生成物を希アルカリ水などで処理して分液する方法、粗生成物を適当な有機溶媒で抽出した後に蒸留する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等が挙げられる。
次いで、化合物(4)または混合物(4−5)は液相中でフッ素と反応させて混合物(6−7)とする。この反応はECF法やコバルトフッ素化法であっても実施できるが、本発明においては液相中でフッ素(F2)と反応させる液相フッ素化法により行う。
すなわち、コバルトフッ素化法やECF法によりフッ素化を行う場合には、化合物(4)や化合物(5)が異性化する反応、化合物(4)や化合物(5)中の炭素−炭素結合の切断反応、および炭素−酸素結合の切断反応、さらに、切断されたこれらの結合の再結合反応が起こり、目的とする混合物(6−7)の収率が低下するおそれがある。また、気相フッ素化反応によりフッ素化を行う場合には、反応の制御が困難であることや、化合物(4)や化合物(5)中の炭素−炭素結合の切断反応が起こり、目的とする混合物(6−7)の収率が低下するおそれがある。これに対して液相フッ素化法によれば、不都合な反応を防ぎながら収率よく混合物(6−7)を得られる。
液相フッ素化法で行う場合には、化合物(4)または混合物(4−5)とフッ素ガスを液相中に導入して反応させる方法が好ましい。フッ素ガスは、そのままを用いても、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、経済的な理由から窒素ガスが特に好ましい。不活性ガス中のフッ素ガス量は特に限定されず、10%以上とするのが効率の点で好ましく、20%以上とするのが特に好ましい。
液相フッ素化法における液相としては、フッ素化反応に不活性でありC−H結合を含まずC−F結合を必須とする溶媒が好ましく、さらに、ペルフルオロアルカン類、公知の有機溶剤をペルフルオロ化した有機溶剤が好ましい。さらに、この溶媒としては、化合物(4)および化合物(5)に対して溶解性が高い溶媒を用いるのが好ましく、特に化合物(4)および化合物(5)をそれぞれ1質量%以上溶解し得る溶媒、特には5質量%以上溶解し得る溶媒を用いるのが好ましい。
また、該液相はフッ素を溶解させ、かつ、混合物(2−3)を溶解させるものが好ましいことから、混合物(2−3)の液相への溶解性を向上させるために化合物(4)中のフッ素含有量も、化合物(5)中のフッ素含有量も、それぞれ30質量%以上とするのが好ましく、特に30〜76質量%とするのが好ましい。液相フッ素化法に用いる溶媒の例としては、ペルフルオロアルカン類(FC−72等)、ペルフルオロエーテル類(FC−75、FC−77等)、ペルフルオロポリエーテル類(商品名:クライトックス、フォンブリン、ガルデン、デムナム等。)、クロロフルオロカーボン類(商品名:フロンルーブ)、クロロフルオロポリエーテル類、ペルフルオロアルキルアミン(例えば、ペルフルオロトリアルキルアミン等)、不活性流体(商品名:フロリナート)等が挙げられる。これらの中では、ペルフルオロトリアルキルアミンが好ましい。
また、液相としては、本発明の反応に関与する化合物であって、溶媒としての機能を持つ化合物(2F)、化合物(3F)、化合物(6)、または化合物(7)の少なくとも一種を用いた場合には、反応後の後処理が容易になる利点がある。
液相フッ素化法によるフッ素化を行うための液相量は、化合物(4)および化合物(5)の総量に対して、5倍質量以上が好ましく、特に10〜100倍質量が好ましい。
液相フッ素化反応の反応形式は、バッチ方式または連続方式のいずれでもよい。また、該反応形式としては、下記フッ素化法1またはフッ素化法2によるのが好ましく、特に反応収率と選択率の点から、下記フッ素化法2によるのが好ましい。フッ素ガスは、バッチ方式で実施する場合においても、連続方式で実施する場合においても、窒素ガス等の不活性ガスで希釈したものを使用してもよい。
[フッ素化法1]反応器に、化合物(4)または混合物(4−5)と溶媒とを仕込み、撹拌を開始する。所定の反応温度と反応圧力下で、フッ素ガスを、連続的に供給しながら反応させる方法。
[フッ素化法2]反応器に溶媒を仕込み、撹拌を開始する。所定の反応温度と反応圧力下で、溶媒と、フッ素ガスと、化合物(4)または混合物(4−5)とを所定のモル比で連続的かつ同時に供給する方法。
フッ素化法2において、化合物(4)または混合物(4−5)を供給する際には、選択率を向上させ、副生成物量を抑制させることから、溶媒で希釈した混合物(4−5)を供給してもよい。また、フッ素化法2において、混合物(4−5)を溶媒で希釈する際には、該混合物に対する溶媒の量を5倍質量以上とするのが好ましく、特に10倍質量以上とするのが好ましい。
液相フッ素化反応においては、バッチ方式で反応を実施する場合にも連続方式で実施する場合にも、化合物(4)および化合物(5)の水素原子の総数に対して、フッ素量が常に過剰当量となるようにフッ素を存在させた状態で反応を行うのが好ましく、特に1.5倍当量以上(すなわち、1.5倍モル以上)となるようにフッ素ガスを存在させるのが選択率の点から好ましい。フッ素ガス量は、反応の開始時点から終了時点まで常に過剰量を維持し続けるのが好ましい。
液相フッ素化反応の反応温度は、通常は−60℃以上でありかつ化合物(4)と化合物(5)との混合物の沸点以下または化合物(4)の沸点以下が好ましく、反応収率、選択率、および工業的実施のし易さの点から−50℃〜+100℃が特に好ましく、−20℃〜+50℃がとりわけ好ましい。フッ素化反応の反応圧力は特に限定されず、0〜2MPaが、反応収率、選択率、工業的な実施のし易さの観点から特に好ましい。
さらに、液相フッ素化法を効率的に進行させるためには、反応系中にC−H結合含有化合物を添加する、または、紫外線照射を行う、のが好ましい。これにより、反応系中に存在する化合物(4)および化合物(5)を効率的にフッ素化でき、反応率を飛躍的に向上させ得る。紫外線照射時間は、0.1〜3時間であるのが好ましい。
C−H結合含有化合物としては、化合物(4)および化合物(5)以外の有機化合物であり、特に芳香族炭化水素が好ましく、とりわけベンゼン、トルエン等が好ましい。該C−H結合含有化合物の添加量は、化合物(4)および化合物(5)の水素原子総数に対して0.1〜10モル%であるのが好ましく、特に0.1〜5モル%であるのが好ましい。C−H結合含有化合物は、反応系中にフッ素ガスが存在する状態で添加するのが好ましい。さらに、C−H結合含有化合物を加えた場合には、反応系を加圧するのが好ましい。加圧時の圧力としては、0.01〜5MPaが好ましい。
フッ素化反応において、水素原子をフッ素原子に置換する反応が起きた場合には、HFが副生する。副生したHFを除去するには、反応系中にHFの捕捉剤を共存させる、または反応器ガス出口でHF捕捉剤と出口ガスを接触させるのが好ましい。このHF捕捉剤としては、前述の化合物(1)と混合物(2−3)との反応の際に用いたものと同様のものを用いられ、NaFが好ましい。
反応系中にHF捕捉剤を共存させる場合の量は、化合物(4)および化合物(5)中に存在する全水素原子の総量に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルが好ましい。反応器ガス出口にHF捕捉剤をおく場合には、(a)冷却器(10℃〜室温(25℃)に保持するのが好ましく、特には約20℃に保持するのが好ましい。)(b)NaFペレット充填層、および(c)冷却器(−78℃〜+10℃に保持するのが好ましく、特には−30℃〜0℃に保持するのが好ましい)を、(a)−(b)−(c)の順に直列に設置するのが好ましい。また、(c)冷却器からは凝集した液を反応器に戻すための液体返送ラインを設置してもよい。
フッ素化反応により、化合物(4)はフッ素化されて化合物(6)に、また、化合物(5)はフッ素化されて化合物(7)になる。フッ素化反応で得た、化合物(6)または混合物(6−7)を含む粗生成物は、そのまま次のエステル結合の分解工程に用いてもよく、精製して高純度のものにしてもよい。精製方法としては、粗生成物をそのまま常圧または減圧下に蒸留する方法等が挙げられる。化合物(6)または混合物(6−7)は、エステル結合の分解反応により、混合物(2F−3F)を生成させうる。
また、混合物(6−7)は、化合物(2F)と化合物(3F)との混合物(以下、混合物(2F−3F)と記す。)のエステル結合の分解反応によっても入手できる。すなわち混合物(6−7)は、化合物(1)を混合物(2F−3F)と反応させて対応する混合物(4F−5F)とし、次に該混合物(4F−5F)を液相中でフッ素と反応させて得られる。この方法において、化合物(1)と混合物(2F−3F)とのエステル化反応、および該反応で得られた混合物(4F−5F)の液相中でのフッ素化反応は、前記方法と同様に行うことができる。
ここで、化合物(4F)の具体例としては前記化合物(4)の例示中に記載する化合物が、化合物(5F)の具体例としては前記化合物(5)の例示中に記載する化合物が挙げられる。また、混合物(2F−3F)の入手方法としては、特に限定されず、本発明においては、化合物(6)、または、混合物(6−7)のエステル結合の分解反応で得た混合物(2F−3F)の一部を用いるのが好ましい。混合物(2F−3F)の一部を化合物(1)とのエステル化反応に循環使用する方法は、反応系外から化合物(1)を供給するだけで、合理的に効率良く含フッ素ビニルエーテル化合物(8)を製造する連続プロセスとなりうる。
該連続プロセスとはつぎのとおりである。すなわち、化合物(1)を出発原料として、化合物(2)または混合物(2−3)とのエステル化反応を行って化合物(4)または混合物(4−5)を得て、つぎに、化合物(4)または混合物(4−5)のフッ素化反応を行うことにより化合物(6)または混合物(6−7)を得て、つぎに該化合物(6)または混合物(6−7)のエステル結合を分解させて最初の混合物(2F−3F)を得る。この最初の混合物(2F−3F)においては、つぎに化合物(1)とエステル化反応させて混合物(4F−5F)を得て、該混合物(4F−5F)をフッ素化して混合物(6−7)を得て、つぎに該混合物(6−7)のエステル結合の分解反応を行うことによって最初の混合物(2F−3F)よりも多い量の混合物(2F−3F)が得られる。この混合物(2F−3F)において熱分解反応を行ってもよいが、再び化合物(1)との反応のプロセスを繰り返すことにより、より多い量の混合物(2F−3F)を連続的に得ることができる。この方法は、入手容易で安価な化合物(1)を用い、かつ、生成物の分離の手間を減らして、化合物(1)のRAに対応するRAF基を有する含フッ素ビニルエーテル化合物(8)を製造できる極めて効率的なプロセスである。
化合物(1)としては、市販されているか、市販されている多種多様な構造の化合物から容易に合成することができ、容易に入手できる。
本発明方法の目的化合物である含フッ素ビニルエーテル化合物(8)は、重合性のフッ化ビニル基を有することから、含フッ素ビニルエーテル化合物(8)の1種または2種以上、または含フッ素ビニルエーテル化合物(8)と含フッ素ビニルエーテル化合物(8)と重合しうる重合性単量体を重合させて有用な含フッ素重合体を製造できる。
含フッ素ビニルエーテル化合物(8)と重合しうる重合性単量体としては、特に限定されず、公知の重合性単量体の中から選択されうる。重合反応の手法も、公知の反応の手法をそのまま適用できる。たとえばCF2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CH2等のフルオロエチレン類、CF2=CFCF3等のフルオロプロピレン類、CF3CF2CF2CF2CH=CH2やCF3CF2CF2CF2CF=CH2等のペルフルオロアルキル基の炭素数が4〜12の(ペルフルオロアルキル)エチレン類、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン等が挙げられる。
重合反応により得た含フッ素重合体は、フッ素樹脂として有用である。フッ素樹脂は、耐熱性と耐薬品性に優れた性質を有することから、広い分野で使用される。
<実施例>
以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、以下においてガスクロマトグラフィをGCと、ガスクロマトグラフィ質量分析をGC−MSと記す。また、GCのピーク面積比より求まる純度をGC純度、収率をGC収率と記す、NMRスペクトルのピーク面積比より求まる収率をNMR収率と記す。また、テトラメチルシランをTMS、CCl2FCClF2をR−113と記す。また、NMRスペクトルデータは、みかけの化学シフト範囲として示した。13C−NMRにおける基準物質CDCl3の基準値は、76.9ppmとした。19F−NMRによる定量ではC6F6を内部標準に用いた。
[例1]CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造例
GC純度99%のCH2=CHCH2OCH2CH2CH2OH(13.9g)とトリエチルアミン(25.4g)をフラスコに入れ、氷浴下で撹拌した。FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(41.7g)を内温を10℃以下に保ちながら2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温にして1時間撹拌し、氷水50mLに加えた。
得られた粗液を分液し、下層を水50mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。減圧蒸留でCH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(30.3g)を89〜90℃/1.2kPaの留分として得た。GC純度は99%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.95〜2.03(m,2H),3.48(t,J=6.0Hz,2H),3.94(dt,J=1.5,6.0Hz,2H),4.42〜4.55(m,2H),5.16(d,J=10.5Hz,1H),5.24(d,J=17.1Hz,1H),5.80〜5.93(m,1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−79.9(1F),−81.3(3F),−82.2(3F),−86.6(1F),−129.5(2F),−131.5(1F)。
[例2]CF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造例
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113(312g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−10℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを、流速6.47L/hで1時間吹き込んだ。
次に、フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例1で得たCH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(4.99g)をR−113(100g)に溶解した溶液を8.0時間かけて注入した。
次に、フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるR−113溶液を25℃から40℃にまで昇温しながら9mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、0.6時間撹拌を続けた。次に圧力を常圧にし、反応器内温度を40℃に保ちながら、上記のベンゼン溶液を6mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、0.8時間撹拌を続けた。さらに、同様の操作を1回繰り返した。
ベンゼンの注入総量は0.219g、R−113の注入総量は21mLであった。さらに、窒素ガスを1.5時間吹き込んだ。目的物を19F−NMRで定量したところ、標準化合物の収率は85.8%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
19F−NMR(376.0MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−79.9(1F),−82.1(6F),−82.3(3F),−83.9(2F),−84.7(2F),−86.9(1F),−87.4(2F),−129.6(2F),−130.2(2F),−130.5(2F),−132.2(1F)。
[例3]CF3CF2CF2OCF2CF2COFの製造例
例2で得たCF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(8g)をNaF粉末(0.1g)と共にフラスコに仕込み、激しく撹拌を行いながらオイルバス中で120℃で10時間加熱した。フラスコ上部には20℃に温度調節した還流器を設置した。冷却後、液状サンプル(7g)を回収した。GC−MSにより、CF3CF(OCF2CF2CF3)COFおよび標記化合物が主生成物であり、かつ1:1の混合物であることを確認した。標記化合物のNMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
19F−NMR(376.0MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):24.4(1F),−81.9(3F),−84.7(2F),−85.9(2F),−121.7(2F),−130.4(2F)。
[例4]CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3およびCH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF2CF2OCF2CF2CF3の混合物の製造例
例3で得たCF3CF2CF2OCF(CF3)COFおよびCF3CF2CF2OCF2CF2COFの一部を取りだし、これを例1におけるCF3CF2CF2OCF(CF3)COFのかわりに用いて同様に反応を行った。減圧蒸留によって標記混合物を得た。
[例5]CF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3およびCF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF2CF2OCF2CF2CF3の混合物の製造例
例4で得た混合物を例2におけるCH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3のかわりに用いて同様に反応を行うことにより標記混合物を得た。
混合物中のCF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF2CF2OCF2CF2CF3の存在をGC−MSで確認した。GC−MS:645(M+−F)。
[例6]CF3CF2CF2OCF2CF2COFおよびCF3CF2CF2OCF(CF3)COFの混合物の製造例
例5で得た混合物を例3におけるCF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3のかわりに用いて同様に反応を行うことにより標記混合物を得た。
[例7]CF3CF2CF2OCF=CF2の製造例
内径20mm、長さ1mのSUS製カラムと平均粒径160μmのNa2CO3を280g充填した内径45mm、高さ400mmのSUS製流動層反応器を直列に接続して塩浴内に設置し、塩浴内を270℃に温度調節した。反応器には窒素ガスを1520mL/minで流し、例6で得たCF3CF(OCF2CF2CF3)COFおよびCF3CF2CF2OCF2CF2COFの混合物を定量ポンプにて60.2g/1.8時間フィードした。反応器出口にはドライアイス/エタノールトラップを設置し、生成物を回収した。CF3CF2CF2OCF=CF2が収率80%生成した。生成物の19F−NMR(564.6MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)のピークは標品のそれと一致した。
<産業上の利用の可能性>
本発明方法によれば、フッ素樹脂原料として有用な含フッ素ビニルエーテル化合物を、安価で入手し易い原料化合物(1)、混合物(2F−3F)から、短工程、かつ高収率で効率良く製造することができる。本発明の方法は、各工程における生成物を分離することなく実施できる有利な方法である。また各工程における生成物を分離せずに連続的な製造プロセスが達成できる工業的に有用な方法である。また、含フッ素ビニルエーテル化合物の製造原料として有用な新規化合物が提供される。
Claims (10)
- 下記化合物(2F)および下記化合物(3F)の混合物において、熱分解反応を行うことを特徴とする下記含フッ素ビニルエーテル化合物(8)の製造方法。ただし、式中、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。
RAFOCF(CF3)COF(2F)
RAFO(CF2)2COF(3F)
RAFOCF=CF2(8) - 下記化合物(6)、または、下記化合物(6)と下記化合物(7)との混合物において、エステル結合の分解反応を行って下記化合物(2F)および下記化合物(3F)の混合物を得て、次に該混合物において熱分解反応を行うことを特徴とする下記含フッ素ビニルエーテル化合物(8)の製造方法。ただし式中、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。
RAFO(CF2)3OCOCF(CF3)ORAF(6)
RAFO(CF2)3OCOCF2CF2ORAF(7)
RAFOCF(CF3)COF(2F)
RAFO(CF2)2COF(3F)
RAFOCF=CF2(8) - 化合物(6)が、下記化合物(1)と下記化合物(2)とをエステル化反応させて下記化合物(4)を生成させ、次に該化合物(4)を液相中でフッ素と反応させた反応生成物であり、化合物(6)と化合物(7)の混合物が、下記化合物(1)と下記化合物(2)と下記化合物(3)との混合物を反応させて下記化合物(4)と下記化合物(5)の混合物を生成させ、該化合物(4)と化合物(5)の混合物を、液相中でフッ素と反応させた反応生成物である、請求項2に記載の製造方法。
ただし、式中、RA、RB、RCは、それぞれ独立に、RAFと同一の1価有機基、または液相中でフッ素と反応させることによってRAFになる1価有機基であり、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基であり、Xはハロゲン原子を示す。
RAO(CH2)3OH(1)
XCOCF(CF3)ORB(2)
XCO(CF2)2ORC(3)
RAO(CH2)3OCOCF(CF3)ORB(4)
RAO(CH2)3OCO(CF2)2ORC(5) - 化合物(4)中のフッ素含有量が30質量%以上であり、化合物(5)中のフッ素含有量が30質量%以上である請求項3に記載の製造方法。
- 化合物(6)および化合物(7)の混合物が、下記化合物(1)と、下記化合物(2F)および下記化合物(3F)の混合物とをエステル化反応させて下記化合物(4F)および下記化合物(5F)の混合物を生成させ、次に該混合物を液相中でフッ素と反応させることにより得た反応生成物である請求項2に記載の製造方法。ただし。式中、RAは、RAFと同一の1価有機基、または液相中でフッ素と反応させることによってRAFになる1価有機基を示し、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。
RAO(CH2)3OH(1)
RAFOCF(CF3)COF(2F)
RAFO(CF2)2COF(3F)
RAO(CH2)3OCOCF(CF3)ORAF(4F)
RAO(CH2)3OCOCF2CF2ORAF(5F) - 化合物(2F)および化合物(3F)の混合物が、下記化合物(6)および下記化合物(7)の混合物においてエステル結合の分解反応を行うことにより得た反応生成物の一部または全部である請求項5に記載の製造方法。ただし、式中、RAFは、熱分解反応により変化しない1価有機基を示す。
RAFO(CF2)3OCOCF(CF3)ORAF(6)
RAFO(CF2)3OCOCF2CF2ORAF(7) - 液相中でフッ素と反応させる際に、液相として、化合物(2F)、化合物(3F)、化合物(6)、および化合物(7)から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いる請求項3、4、5、または6に記載の製造方法。
- RAFが、ペルフルオロ(1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(部分ハロゲン化1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、またはペルフルオロ(部分ハロゲン化ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 下記化合物(1a)を、下記化合物(2a)と下記化合物(3a)との混合物とエステル化反応させて下記化合物(4a)および下記化合物(5a)の混合物を得て、つぎに該化合物(4a)および(5a)の混合物を液相中でフッ素と反応させることにより下記化合物(6a)および下記化合物(7a)の混合物を得て、つぎに該化合物(6a)および(7a)の混合物においてエステルの結合の分解を行うことにより、前記化合物(2a)と化合物(3a)との混合物よりも多い量の化合物(2a)と化合物(3a)との混合物を得て、つぎに化合物(2a)と化合物(3a)との混合物の熱分解反応を行うことを特徴とする下記化合物(8a)の製造方法。
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OH (1a)
CF3CF2CF2OCF(CF3)COF (2a)
CF3CF2CF2OCF2CF2COF (3a)
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF(CF3)OCF2CF
2CF3 (4a)
CH2=CHCH2OCH2CH2CH2OCOCF2CF2OCF2CF2
CF3 (5a)
CF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF(CF3)OCF2CF
2CF3 (6a)
CF3CF2CF2OCF2CF2CF2OCOCF2CF2OCF2CF2
CF3 (7a)
CF3CF2CF2OCF=CF2 (8a) - 下記化合物(7A)。ただし、式中のnは、1〜10の整数を示す。
F(CF2)nO(CF2)3OCOCF2CF2O(CF2)nF(7A)
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