JP4285000B2 - 含フッ素エステル、含フッ素アシルフルオリドおよび含フッ素ビニルエーテルの製造方法 - Google Patents

含フッ素エステル、含フッ素アシルフルオリドおよび含フッ素ビニルエーテルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素エステルの製造方法、および該含フッ素エステルを用いる含フッ素アシルフルオリドおよび含フッ素ビニルエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
含フッ素エステルは、含フッ素アシルフルオリドや含フッ素ビニルエーテル等の合成中間体として有用な化合物である。本出願人らは、含フッ素エステル、および含フッ素アシルフルオリドの製造方法として、エステル化反応、フッ素化反応、およびエステル結合の分解反応を組み合わせた一連のプロセスを提供している。そして該プロセスで製造した含フッ素アシルフルオリドを、これを再びエステル化反応に再利用した連続的なプロセスを提供している(WO00/56694号公報)。
【0003】
該プロセスは、エステル化工程、フッ素化工程、エステル結合の分解工程の3工程を必須とするプロセスである。すなわち、下記含フッ素アシルフルオリド(4)と水酸基を有する下記化合物(2)とをエステル化反応させて下記エステル化合物(3)を得て、これをフッ素化して下記含フッ素エステル(1)を得るプロセス、そして、該含フッ素エステル(1)のエステル結合を分解させて含フッ素アシルフルオリド(4)を得て、これを前記化合物(2)とのエステル化反応に用いて同様のプロセスを行う方法である(ただし、下式中の記号の意味は、後述する記号の意味と同義である。)。
【0004】
【化1】
Figure 0004285000
【0005】
また、含フッ素エステル(1)をより効率的に大量に入手する方法として、エステル化反応によって分子の両末端に同一の基(RAF)を有する含フッ素ジエステルを合成し、該ジエステルの2つのエステル結合を分解して2倍モルの含フッ素アシルフルオリドを得る方法も提供している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記方法よりもより少ない工程で効率的に含フッ素エステル(1)、含フッ素アシルフルオリド(4)を大量に製造できる方法の提供を目的とする。本発明は、また、該方法により得た含フッ素エステル(1)および含フッ素アシルフルオリド(4)を利用した、含フッ素ビニルエーテルの製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、含フッ素エステルのエステル交換工程と、フッ素化工程を組み合わせることにより、上記目的を達成して含フッ素エステルが量産できることを見い出した。また、該方法により製造された含フッ素エステルを用いて、含フッ素アシルフルオリドや含フッ素ビニルエーテルを製造できることを見い出した。
【0008】
すなわち本発明は、下記含フッ素エステル(1)と、該含フッ素エステル(1)に対して1倍モルを超え2倍モル以下の下記化合物(2)とを反応させてエステル交換反応を行うことにより、下記化合物(3)を得るエステル交換工程を行い、次に該化合物(3)を液相中でフッ素と反応させてフッ素化することにより、エステル交換反応前のモル数を超える下記含フッ素エステル(1)を得るフッ素化工程を行うことを特徴とする下記含フッ素エステル(1)の製造方法を提供する。
RAF-COOCF2-RAF (1)
RA-CH2OH (2)
RAF-COOCH2-RA (3)
[式中、Rは1価有機基、RAFはRと同一の基、またはRがフッ素化された1価有機基、を示す。]
【0009】
また本発明は、含フッ素エステル(1)に対して、1.5〜2倍モルの化合物(2)を反応させることによりエステル交換工程を行う上記製造方法を提供する。
【0010】
また本発明は、フッ素化工程において、液相中にフッ素ガスを導入することにより化合物(3)のフッ素化を行う上記製造方法を提供する。
【0011】
また本発明は、フッ素化工程において、含フッ素エステル(1)または下記含フッ素アシルフルオリド(4)に化合物(3)を溶解してなる液相中にフッ素ガスを導入することにより化合物(3)のフッ素化を行う上記製造方法を提供する。
R AF -COF (4)
[式中、R AF は、前記と同義である。]
【0012】
また本発明は、フッ素化工程において、エステル交換工程で生成した下記含フッ素アシルフルオリド(4)および/または含フッ素エステル(1)を含むままで、化合物(3)のフッ素化を行う記製造方法を提供する。
RAF-COF (4)
[式中、R AF は、前記と同義である。]
【0013】
また本発明は、エステル交換工程を、溶媒の不存在下に行う上記製造方法を提供する。
【0014】
また本発明は、エステル交換工程における含フッ素エステル(1)がフッ素化工程で得た含フッ素エステル(1)である上記製造方法を提供する。
【0015】
また本発明は、下記含フッ素アシルフルオリド(4)と下記化合物(2)とを反応させて得られる下記化合物(3)を液相中でフッ素化して下記含フッ素エステル(1)を得る工程を実施し、該工程で得られた該含フッ素エステル(1)を前記エステル交換工程における含フッ素エステル(1)として用いる上記製造方法を提供する。
RAF-COF (4)
RA-CH2OH (2)
RAF-COOCH2-RA (3)
RAF-COOCF2-RAF (1)
[式中、R およびR AF は、前記と同義である。]
【0016】
また本発明は、R が、炭素数1〜20の、1価飽和炭化水素基、部分クロロ1価飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基または部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基であり、R AF が、炭素数1〜20の、ペルフルオロ1価飽和炭化水素基、ペルフルオロ(部分クロロ1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基またはペルフルオロ[部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)]基である上記製造方法を提供する。
【0017】
また本発明は、上記製造方法により下記含フッ素エステル(1)を得た後、該含フッ素エステル(1)のエステル結合を分解させることを特徴とする下記含フッ素アシルフルオリド(4)の製造方法を提供する。
RAF-COOCF2-RAF (1)
RAF-COF (4)
[式中、RAFは前記と同義である。]
【0018】
また本発明は、含フッ素エステル(1)が下記化合物(1a)であり、化合物(2)が下記化合物(2a)であり、化合物(3)が下記化合物(3a)である記製造方法を提供する。
RAF1O-CF(CF3)-COOCF2-CF(CF3)-ORAF1 (1a)
RA1O-CX1(CX2X3X4)-CH2OH (2a)
RAF1O-CF(CF3)-COOCH2-CX1(CX2X3X4)-ORA1 (3a)
[式中、RA1は1価有機基、RAF1は前記RA1と同一の基、または前記RA1がフッ素化された1価有機基を示し、X、X、X、Xは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子またはフッ素原子を示す。]
【0019】
また本発明は、R A1 が、炭素数1〜20の、1価飽和炭化水素基、部分クロロ1価飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基または部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基であり、R AF1 が、炭素数1〜20の、ペルフルオロ1価飽和炭化水素基、ペルフルオロ(部分クロロ1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基またはペルフルオロ[部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)]基である上記製造方法を提供する。
【0020】
さらに本発明は、上記製造方法により下記化合物(1a)を得た後、該化合物(1a)のエステル結合を分解させることにより下記化合物(4a)を得て、該化合物(4a)を熱分解させることを特徴とする下記含フッ素ビニルエーテル(5a)の製造方法を提供する。
RAF1O-CF(CF3)-COOCF2-CF(CF3)-ORAF1 (1a)
RAF1O-CF(CF3)-COF (4a)
RAF1O-CF=CF2 (5a)
[式中、RAF1は前記と同義である。]
【0021】
また本発明は上記製造方法により下記化合物(1a)を得た後、該化合物(1a)を250℃以上で熱分解させることを特徴とする下記含フッ素ビニルエーテル(5a)の製造方法を提供する。
RAF1O-CF(CF3)-COOCF2-CF(CF3)-ORAF1 (1a)
RAF1O-CF=CF2 (5a)
[式中、RAF1は前記と同義である。]
【0022】
【発明の実施の形態】
含フッ素エステル(1)に対して2倍モルの化合物(2)を反応させてエステル交換反応を行う典型的なエステル交換反応は、下式で示される。ただし、式中、RAおよびRAFは、前記と同義である。
【化2】
Figure 0004285000
【0023】
エステル交換反応の機構は、まず、含フッ素エステル(1)に対して等モルの化合物(2)が反応することにより等モルの化合物(3)とともに、等モルの含フッ素アシルフルオリド(4)(RAFCOF)が生成し、つぎに含フッ素アシルフルオリド(4)は、さらに等モルの化合物(2)と反応して等モルの化合物(3)が生成することにより進行すると考えられる。すなわち、含フッ素エステル(1)に対して2倍モルの化合物(2)が反応して、2倍モルの化合物(3)が生成する。つぎに、エステル交換反応により生成した2倍モルの化合物(3)をフッ素化することにより、2倍モルの含フッ素エステル(1)が生成する。
【0024】
この一連の反応は下式で示される。すなわち、含フッ素エステル(1)に対して2倍モルの化合物(2)を用いて、エステル交換反応、次いでフッ素化反応を行った場合には、理論的には含フッ素エステル(1)が2倍モルに増加する(ただし、式中RAおよびRAFは、前記と同義である。)。
【化3】
Figure 0004285000
【0025】
以下、この反応機構を参照しつつ本発明を説明する。
【0026】
本発明の化合物において、RおよびRA1は1価有機基である。本発明において、「有機基」とは炭素原子を1個以上含む基をいい、有機基は、直鎖構造、分岐構造、環構造のいずれを有していてもよい。
【0027】
およびRA1は、炭素数1〜20の1価有機基が好ましい。1価有機基としては、1価炭化水素基、ハロゲノ1価炭化水素基、ヘテロ原子含有1価炭化水素基、ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価炭化水素)基が好ましい。これらの基における1価炭化水素基としては、1価脂肪族炭化水素基が好ましい。1価脂肪族炭化水素基中には、不飽和結合が存在していてもよい。1価有機基としては、1価飽和炭化水素基、部分ハロゲノ1価飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基、または部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基がより好ましい。なお、「飽和」基とは炭素−炭素結合が単結合のみからなる基をいい、「ヘテロ原子含有」基とは、基中に酸素原子、窒素原子、またはイオウ原子等のヘテロ原子を含む基をいう。ヘテロ原子としては、エーテル性酸素原子(−O−)、=O等が好ましく、なかでもエーテル性酸素原子が特に好ましい。
【0028】
1価飽和炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、3〜6員環のシクロアルキル基、または該シクロアルキル基の水素原子の1個以上がアルキル基で置換された基が好ましい。シクロアルキルアルキル基としては、炭素数が1〜3であるアルキル基の水素原子の1個が前記シクロアルキル基で置換された基が好ましい。
【0029】
ハロゲノ1価飽和炭化水素基としては、上記1価飽和炭化水素基の水素原子の1個以上がハロゲン化された基が挙げられ、フルオロアルキル基またはフルオロ(部分クロロアルキル)基が好ましい。エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基としては、アルコキシアルキル基またはアルコキシル基が特に好ましい。
【0030】
ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基としては、上記エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基の水素原子の1個以上がハロゲン化された基が挙げられ、フルオロアルコキシル基、フルオロアルコキシアルキル基、クロロアルコキシル基、クロロアルコキシアルキル基、フルオロ(部分クロロアルコキシル)基、フルオロ(部分クロロアルコキシアルキル)基が好ましい。
【0031】
およびRA1は、化合物(2)の入手しやすさ、および経済性の点から、フッ素原子を含まない1価有機基であり、かつ液相中でフッ素と反応させることによりフッ素化されうる基が好ましい。該基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、部分クロロアルキル基、部分クロロアルコキシ基、部分クロロアルコキシアルキル基が特に好ましい。
【0032】
上記化合物におけるRAFは、Rと同一の基、またはRがフッ素化された1価有機基であり、RAF1は、RA1と同一の基、またはRA1がフッ素化された1価有機基である。本発明において、「フッ素化」とは、フッ素原子を導入する反応をいう。本発明におけるフッ素化は、通常、炭素原子に結合した水素原子をフッ素原子に置換する反応であるが、炭素−炭素不飽和二重結合(−CH=CH−)が存在する場合は、水素原子がフッ素原子に置換する反応と付加反応とが起こる。RおよびRA1がフッ素化されない基であったり、フッ素化されうる基であったとしてもフッ素化されなかった場合には、RAFおよびRAF1は、それぞれRおよびRA1と同一の基である。例えば、RおよびRA1が、ペルハロゲノ1価飽和炭化水素基やペルハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基である場合は、これらの基におけるハロゲン原子は、液相中でフッ素と反応させても変化をしないため、RAFおよびRAF1は、それぞれ上記RおよびRA1と同一の基となる。
【0033】
AFおよびRAF1は、後述する連続プロセスを実施できることから、フッ素化反応によって変化しない基であることが好ましい。このような基としては、ペルフルオロ1価有機基が好ましく、ペルフルオロ1価飽和炭化水素基、ペルフルオロ(部分クロロ1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基、またはペルフルオロ[部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)]基が特に好ましく、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロ(部分クロロアルキル)基、ペルフルオロアルコキシ基、ペルフルオロ(部分クロロアルコキシ)基、ペルフルオロアルコキシアルキル基、ペルフルオロ(部分クロロアルコキシアルキル)基がとりわけ好ましい。
【0034】
化合物(2a)よび化合物(3a)におけるX〜Xは、それぞれ水素原子またはフッ素原子であり、化合物(2a)の入手しやすさの観点から、X〜Xは全てが水素原子であるのが好ましい。
【0035】
本明細書における「ハロゲノ」基とは、炭素原子に結合した水素原子の1個以上がハロゲン原子で置換された基をいい、「ペルハロゲノ」基とは、炭素原子に結合した水素原子の実質的に全てがハロゲン原子で置換された基をいい、「部分ハロゲノ」基とは、炭素原子に結合した水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基をいう。ハロゲン原子がフッ素原子である場合は、「ペルフルオロ」、「部分フルオロ」等のように記載する。なお、「ペルハロゲノ」基および「部分ハロゲノ」基は、ハロゲン原子を1種のみ含んでも2種以上含んでもよい。「ペルハロゲノ」基としては、炭素原子に結合した水素原子の全部がハロゲン原子に置換された基が好ましいが、非置換の水素原子が残っている場合であっても、基としての性質が「ペルハロゲノ」基と実質的に同等である場合には、本発明においては、「ペルハロゲノ」基の概念に含める。
【0036】
含フッ素エステル(1)および化合物(1a)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF3
CF3(CF2)kOCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)O(CF2)kCF3(ただしkは0〜9の整数を示す。)。
【0037】
化合物(2)および化合物(2a)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
CH3CH2CH2OCH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2OH、
CH3(CH2)kOCH(CH3)CH2OH(ただしkは0〜9の整数を示す。)。
【0038】
化合物(3)および化合物(3a)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
CH3CH2CH2OCH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF3
CH3(CH2)kOCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)O(CF2)kCF3(ただしkは0〜9の整数を示す。)。
【0039】
含フッ素アシルフルオリド(4)および化合物(4a)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COF、
CF3(CF2)kOCF(CF3)COF(ただしkは0〜9の整数を示す。)。
【0040】
含フッ素ビニルエーテル(5a)の具体例としては、下式で表される化合物が挙げられる。
CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF3(CF2)kOCF=CF2(ただしkは0〜9の整数を示す。)。
【0041】
本発明におけるエステル交換工程は、含フッ素エステル(1)と化合物(2)とを反応させてエステル交換反応を行うことにより、化合物(3)を得る工程である。
【0042】
エステル交換工程において、含フッ素エステル(1)に反応させる化合物(2)の割合(モル比)は特に限定されず、任意のモル比であるが、化合物(2)のモル比が2倍モルを超えると、エステル交換反応の生成物中に未反応の化合物(2)が残存する。そして未反応の化合物(2)の存在は、フッ素化工程において望ましくない反応をひきおこす原因になりうるため、未反応の化合物(2)は次のフッ素化工程前に分離する手間が必要になる。また化合物(2)を2倍モル超で反応させても、化学量論的には、含フッ素エステル(1)に対して2倍モル以上の化合物(3)を得ることはできない。したがって、含フッ素エステル(1)に反応させる化合物(2)の割合は含フッ素エステル(1)に対して2倍モル以下とする。
【0043】
また、含フッ素エステル(1)に反応させる化合物(2)のモル比が少なすぎると、化合物(3)の生成量が減少する。また生成物中に反応中間体である含フッ素アシルフルオリド(4)および/または未反応の含フッ素エステル(1)が混入する。さらに化合物(2)の割合が1倍モル以下では含フッ素アシルフルオリド(1)を量産する目的は達成できない。以上のことから含フッ素エステル(1)に反応させる化合物(2)の割合は、含フッ素エステル(1)に対して1倍モルを超え2倍モル以下であり、1.5倍モル〜2倍モルとするのが好ましく、とりわけ2倍モルとするのが好ましい。
【0044】
エステル交換工程で用いられる含フッ素エステル(1)、化合物(2)、化合物(3)としては、それぞれ、化合物(1a)、化合物(2a)、化合物(3a)が好ましい。
【0045】
含フッ素エステル(1)と化合物(2)とのエステル交換反応は、公知の反応条件により実施できる。該反応は、溶媒(以下、「溶媒1」という。)の存在下に実施してもよいが、溶媒1の不存在下に実施するのが、粗液をそのまま次のフッ素化工程に用いることができる理由から特に好ましい。溶媒1を用いる場合には、ジクロロメタン、クロロホルム、トリエチルアミン、またはトリエチルアミンとテトラヒドロフランとの混合溶媒が好ましい。溶媒1の使用量は、含フッ素エステル(1)と化合物(2)の総量に対して50〜500質量%とするのが好ましい。
【0046】
含フッ素エステル(1)と化合物(2)との反応では、HFが発生するため、HF捕捉剤としてアルカリ金属フッ化物(NaF、KFが好ましい。)やトリアルキルアミン等を反応系中に存在させてもよいが、HF捕捉剤の不存在下にHFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出するのが、粗液をそのまま次のフッ素化工程に用いることができる点から好ましい。アルカリ金属フッ化物を用いる場合の量は、含フッ素エステル(1)に対して1〜10倍モルとするのが好ましい。
【0047】
含フッ素エステル(1)と化合物(2)との反応温度は、通常の場合、−50℃以上であるのが好ましく、+100℃以下または溶媒の沸点温度以下が好ましい。HF捕捉剤の不存在下にHFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出する場合には、+20℃以上であり、かつ、+100℃以下または溶媒の沸点温度以下、であるのが好ましい。また、該反応の反応時間は原料の供給速度と反応に用いる化合物量に応じて適宜変更されうる。反応圧力(ゲージ圧、以下同様。)は常圧〜2MPaが好ましい。
【0048】
エステル交換工程の反応生成物中に含まれる化合物の組成は、反応に消費された化合物量や、化合物の反応性に応じて適宜変化しうる。すなわち、エステル交換工程の反応生成物は、化合物(3)とともに未反応の含フッ素エステル(1)、化合物(2)、反応中間体として存在しうる含フッ素アシルフルオリド(4)を含有しうる。これらのうち、反応生成物中に化合物(2)が含まれる場合にはこれを除去するのが好ましい。一方、反応生成物中の含フッ素アシルフルオリド(4)の存在は、エステル交換工程に続くフッ素化工程において悪影響を及ぼさず、むしろフッ素化工程における液相となりうることから除去しないのが好ましい。ここで、含フッ素アシルフルオリド(4)を含むままフッ素化工程を実施した場合には、フッ素化工程の生成物中にも含フッ素アシルフルオリド(4)が存在しうるが、これを存在させたまま後述する連続プロセスを実施した場合には、2サイクル目のエステル交換工程において化合物(2)と含フッ素アシルフルオリド(4)が反応して化合物(3)を生成させうる。また、エステル交換工程の反応粗生成物中に未反応の含フッ素エステル(1)が存在する場合には、含フッ素エステル(1)もフッ素化工程における液相となりうることから除去しないのが好ましい。すなわち、エステル交換工程における反応生成物が、化合物(3)以外に含フッ素アシルフルオリド(4)や含フッ素エステル(1)を含んでいる場合は、これをそのままフッ素化工程において用いることができる。
【0049】
本発明においては、有利なフッ素化法である液相フッ素化を実施しやすい点から、化合物(3)のフッ素含量は30質量%以上であることが好ましい。化合物(3)のフッ素含量が30質量%未満である場合には、液相フッ素化法の液相への溶解性が不十分になる傾向がある。化合物(3)のフッ素含量は、液相の種類に応じて適宜調整することが可能であるが、フッ素含量は30〜86質量%がより好ましく、30〜76質量%がさらに好ましい。
【0050】
また、化合物(3)の分子量は200〜1000であることが好ましい。化合物(3)の分子量が200未満である場合は、化合物(3)の沸点が低くなりフッ素化の過程で化合物(3)が揮発してフッ素化物の収率が低下する傾向がある。また、分解反応が起こるおそれもある。一方、分子量が1000を超える場合には、液相フッ素化法を行う場合の液相への溶解性が低下し、または、精製が困難になる傾向がある。
【0051】
上記エステル交換工程で得られた化合物(3)は、フッ素化工程においてフッ素化され、含フッ素エステル(1)が生じる。含フッ素エステル(1)は、化合物(3)が部分的にフッ素化された化合物であってもよいが、フッ素化反応におけるフッ素原子の導入位置を制御するのが難しいこと、また、本発明の製造方法を後述する連続プロセスとして実施できることから、化合物(3)は含フッ素エステル(1)が完全にフッ素化された化合物であるのが好ましい。しかし、フッ素化工程の生成物中に未反応の化合物(3)や部分フッ素化された化合物(3)を含む場合には、これらを含んだまま連続プロセスを行い、化合物(3)のフッ素導入率を増加させることができる。
【0052】
フッ素化工程におけるフッ素化反応は、反応の操作性および収率の点から液相中で実施することが好ましい。該フッ素化反応は、ECF法、コバルトフッ素化法、気相でフッ素と反応させる方法でも実施できるが、反応収率、反応操作の容易さ等の点から液相中でフッ素と反応させる液相フッ素化法が格段に有利な方法であり好ましい。
【0053】
液相フッ素化法は、化合物(3)が存在する液相中にフッ素ガスを導入することにより実施するのが好ましい。この場合において、フッ素ガスをそのまま用いても、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、経済的な理由から窒素ガスが特に好ましい。窒素ガス中のフッ素量は特に限定されず、10vol%以上とすることが効率の点で好ましく、20vol%以上とすることが特に好ましい。
【0054】
液相としては、C−H結合を含まずC−F結合を必須とする溶媒から形成されるのが好ましい。該溶媒(以下、「溶媒2」という。)は、化合物(3)を1質量%以上溶解しうる溶媒、特には5質量%以上溶解しうる溶媒を用いることが好ましい。さらに、溶媒2としては、フッ素化工程の生成物である含フッ素エステル(1)または含フッ素アシルフルオリド(4)であるのが好ましい。含フッ素エステル(1)を溶媒2として用いた場合には、反応後の後処理が容易である利点がある。また、含フッ素アシルフルオリド(4)を溶媒として反応を行った場合において、後述する熱分解工程を実施する場合には、フッ素化工程の生成物から含フッ素アシルフルオリド(4)を分離することなく該工程を実施できる。
【0055】
溶媒2として含フッ素エステル(1)および含フッ素アシルフルオリド(4)以外の溶媒を用いる場合には、ペルフルオロアルカン類、ペルフルオロエーテル類、ペルフルオロポリエーテル類、クロロフルオロカーボン類、クロロフルオロポリエーテル類、ペルフルオロアルキルアミン、不活性流体等が挙げられる。溶媒2の量は、化合物(3)に対して、5倍質量以上が好ましく、特に10〜100倍質量が好ましい。
【0056】
フッ素化反応の反応方式としては、バッチ方式または連続方式が挙げられる。連続方式としては、以下に示す連続方式1および連続方式2が挙げられるが、反応収率と選択率の点から連続方式2が好ましい。またフッ素ガスは、バッチ方式で実施する場合においても連続方式で実施する場合においても、窒素ガス等の不活性ガスで希釈したものを使用してもよい。なお、以下の説明におけるフッ素ガスは、希釈したフッ素ガスであってもよい。
【0057】
[連続方式1]
反応器に化合物(3)と溶媒2とを仕込み撹拌を開始して、所定の反応温度と反応圧力に制御した後、フッ素ガスまたはフッ素ガスと溶媒2とを連続的に供給しながら反応させる方法。
【0058】
[連続方式2]
反応器に溶媒2を仕込み撹拌を開始して、所定の反応温度と反応圧力に制御した後、化合物(3)とフッ素ガスとを所定のモル比で連続的かつ同時に供給する方法。
【0059】
連続方式2において化合物(3)を供給する際には、選択率を向上させ、副生成物量を抑制させることから、溶媒2で希釈した化合物(3)を供給することが好ましい。また、連続方式2において化合物(3)を溶媒で希釈する際には、化合物(3)に対する溶媒2の量を5倍質量以上とすることが好ましく、特に10倍質量以上とすることが好ましい。かかる条件は連続方式2において化合物(3a)を用いる場合も同様である。
【0060】
フッ素化反応に用いるフッ素量は、バッチ方式で反応を実施する場合にも連続方式で実施する場合にも、フッ素化されうる水素原子に対して、フッ素の量が常に過剰当量となるようにフッ素ガスを存在させることが好ましく、特に1.5倍当量以上(すなわち、1.5倍モル以上)となるようにフッ素ガスを使用することが選択率の点から好ましい。
【0061】
フッ素化反応の反応温度は、通常は−60℃以上かつ化合物(3)の沸点以下が好ましく、反応収率、選択率、および工業的実施のしやすさの点から−50℃〜+100℃が特に好ましく、−20℃〜+50℃が特に好ましい。フッ素化反応の反応圧力は特に限定されず、常圧〜2MPaが、反応収率、選択率、工業的な実施のしやすさの観点から特に好ましい。
【0062】
さらに、フッ素化反応を効率的に進行させるためには、反応の後期にC−H結合含有化合物を反応系中に添加したり、紫外線照射を行うことが好ましい。例えば、バッチ方式反応においては、フッ素化反応後期にC−H結合含有化合物を反応系中に添加するか、もしくは紫外線照射を行うことが好ましい。連続方式反応においては、化合物(3)の導入が終了した時点で、フッ素ガスの供給を続けながらC−H結合含有化合物を供給するか、もしくは紫外線を照射することが好ましい。これにより、反応系中に存在する化合物(3)を効率的にフッ素化でき、反応率を飛躍的に向上させうる。
【0063】
C−H結合含有化合物としては、芳香族炭化水素が好ましく、ベンゼン、トルエン等が特に好ましい。該C−H結合含有化合物の添加量は、化合物(3)中の水素原子に対して0.1〜10モル%であることが好ましく、特に0.1〜5モル%であることが好ましい。
【0064】
C−H結合含有化合物は、反応系中にフッ素ガスが存在する状態で添加する。さらに、C−H結合含有化合物を加えた場合には、反応系を加圧することが好ましい。加圧時の圧力としては、0.01〜5MPaが好ましい。
【0065】
フッ素化工程において、水素原子をフッ素原子に置換する反応がおきた場合には、HFが副生する。副生したHFを除去するには、反応系中にHFの捕捉剤を共存させる、または反応器ガス出口でHF捕捉剤と出口ガスを接触させることが好ましい。該HF捕捉剤としては、前述のものと同様のものが用いられ、NaFが好ましい。
【0066】
反応系中にHF捕捉剤を共存させる場合の量は、化合物(3)中に存在する全水素原子量に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルが特に好ましい。反応器ガス出口にHF捕捉剤をおく場合には、(a)冷却器(10℃〜室温に保持することが好ましく、特には約20℃に保持することが好ましい。)(b)NaFペレット充填層、および(c)冷却器(−78℃〜+10℃に保持することが好ましく、−30℃〜0℃に保持することが好ましい)を(a)−(b)−(c)の順に直列に設置することが好ましい。なお、(c)の冷却器からは凝集した液を反応器に戻すための液体返送ラインを設置してもよい。
【0067】
フッ素化工程で得た含フッ素エステル(1)を含む粗生成物は、そのままを目的に応じて用いてもよく、精製して高純度のものにしてもよい。精製方法としては、粗生成物をそのまま常圧または減圧下に蒸留する方法等が挙げられる。
【0068】
本発明の含フッ素エステル(1)の製造方法においては、1モルの含フッ素エステル(1)を用いてエステル交換工程とフッ素化工程を1回行うことにより、最大で2モルの含フッ素エステル(1)を得ることができる。さらに得られた2モルの含フッ素エステル(1)から同様の工程を行うことにより最大で4モルの含フッ素エステル(1)を得ることができる。すなわち、エステル交換工程とフッ素化工程をn回繰り返すことにより、最大で2倍モルの含フッ素エステル(1)を得ることができる。このように、エステル交換工程とフッ素化工程で得られた含フッ素エステル(1)を用いて目的の量になるまで同工程を繰り返すことにより、連続的かつ効率的に含フッ素エステル(1)を量産できる。この反応のスキームは以下の化学式で表すことができる。
【0069】
【化4】
Figure 0004285000
【0070】
本発明においては、エステル交換工程とフッ素化工程を1回実施して製造した含フッ素エステル(1)を回収してもよく、エステル交換工程およびフッ素化工程を複数回実施した後に、含フッ素エステル(1)を回収してもよい。
【0071】
含フッ素エステル(1)はそのまま目的とする用途に用いてもよく、または、他の化合物に変換してもよい。たとえば、含フッ素エステル(1)はエステル分解反応を行うことにより、含フッ素エステル(1)に対して化学量論量的には2倍モルの含フッ素アシルフルオリド(4)を生成させる。
【0072】
本発明の含フッ素エステルの製造方法によれば、WO00/56694号公報に記載される方法よりも少ない工程で含フッ素アシルフルオリド(4)が製造できる。また、本発明のエステル交換工程の温度条件は、従来法におけるエステル化工程の温度条件よりも通常は低温であることも有利な点である。
【0073】
本発明の製造方法の出発物質である含フッ素エステル(1)は、分子の両末端に同一の基(RAF)を有する化合物である。この含フッ素エステル(1)はWO00/56694号公報等に記載される方法により合成するのが好ましい。
【0074】
すなわち、含フッ素エステル(1)は、含フッ素アシルフルオリド(4)と化合物(2)とを反応させて得られる化合物(3)を液相中でフッ素化することによりを得るのが好ましい。含フッ素アシルフルオリド(4)と化合物(2)との反応は、溶媒の存在下に実施してもよいが、溶媒の不存在下に実施することが容積効率の点から好ましい。
【0075】
化合物(2)と含フッ素アシルフルオリド(4)との反応ではHFが発生するため、HFの捕捉剤を反応系中に存在させてもよく、または、HFの捕捉剤を使用せずに、HFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出してもよい。HFの捕捉剤は前記と同様のものが使用できる。化合物(2)と含フッ素アシルフルオリド(4)との反応温度は、−50℃以上が好ましく、+100℃以下または溶媒の沸点温度以下が好ましい。また、該反応の反応時間は原料の供給速度と反応に用いる化合物量に応じて適宜変更されうる。反応圧力は常圧〜2MPaが好ましい。
【0076】
化合物(2)と含フッ素アシルフルオリド(4)との反応で生成した化合物(3)を含む粗生成物は、目的に応じて精製を行っても、そのまま、つぎの反応等に用いてもよい。粗生成物が未反応の化合物(2)を含む場合には、フッ素化反応を円滑に進行させうる点から、精製して除去することが望ましい。該粗生成物の精製方法としては、粗生成物をそのまま蒸留する方法、粗生成物を希アルカリ水などで処理して分液する方法、粗生成物を適当な有機溶媒で抽出した後に蒸留する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等が挙げられる。
【0077】
このようにして化合物(2)と含フッ素アシルフルオリド(4)とから化合物(3)を得た後に、該化合物(3)を液相中でフッ素化して含フッ素エステル(1)を得る。この場合フッ素化反応条件は、上述した含フッ素エステルの製造方法におけるフッ素化工程と同様に実施できる。
【0078】
以上説明した本発明の製造方法により得られる含フッ素エステル(1)からはさらに含フッ素アシルフルオリド(4)および含フッ素ビニルエーテル(5a)を製造することが可能である。
【0079】
含フッ素エステル(1)から含フッ素アシルフルオリド(4)を製造する方法としてはWO00/56694号公報に記載されるエステル結合の分解反応が挙げられる。エステル結合の分解反応は下式に示す反応であり、1モルの含フッ素エステル(1)から理論的に2モルの含フッ素アシルフルオリド(4)を得ることができる。
AFCOOCFAF(1)→2RAFCOF(4)
【0080】
液相法でエステル結合の分解反応を行う場合には、無溶媒で行っても、溶媒(以下、「溶媒3」という。)の存在下に行ってもよい。溶媒3の具体例としては、ペルフルオロトリアルキルアミン、ペルフルオロデカリンなどの不活性溶媒、クロロフルオロカーボン類等のなかでも高沸点であるクロロトリフルオロエチレンオリゴマーが好ましい。また、溶媒3の量は含フッ素エステル(1)に対して10〜1000質量%が好ましい。
【0081】
含フッ素エステル(1)である化合物(1a)から含フッ素ビニルエーテル(5a)を製造する方法としては、化合物(1a)から下記化合物(4a)を経由して含フッ素ビニルエーテル(5a)を得る方法(以下、「熱分解工程1」という。)と、化合物(1a)から直接含フッ素ビニルエーテル(5a)を得る方法(以下、「熱分解工程2」という。)とが挙げられる。
【0082】
下式で示されるように、熱分解工程1は、化合物(1a)のエステル結合を分解させることにより化合物(4a)を得るエステル結合の分解工程と、化合物(4a)を熱分解させる工程とを実施することにより、含フッ素ビニルエーテル(5a)を製造する工程である。熱分解工程2は、化合物(1a)を250℃以上で直接熱分解させることにより含フッ素ビニルエーテル(5a)を得る工程である。
【0083】
【化5】
Figure 0004285000
【0084】
熱分解工程1は、上述した含フッ素エステル(1)のエステル結合の分解の条件と同様の条件で行うことができ、これにより1モルの含フッ素エステル(1a)から理論的には2モルの化合物(4a)が得られる。さらに化合物(4a)を熱分解させる工程は、化合物(4a)の気相熱分解反応、化合物(4a)とアルカリ金属水酸化物を反応させたカルボン酸アルカリ金属塩の熱分解反応等により行うことができる。
【0085】
化合物(4a)の気相熱分解反応における反応温度は、250〜400℃であることが好ましく、250〜350℃であることがより好ましい。また、上記カルボン酸アルカリ金属塩の熱分解反応における反応温度は、150〜350℃であることが好ましく、200〜280℃であることがより好ましい。気相熱分解反応における反応温度が250℃未満である場合、カルボン酸アルカリ金属塩の熱分解反応における反応温度が150℃未満である場合は、含フッ素ビニルエーテル(5a)への変換率が低くなる傾向にある。また、気相熱分解反応における反応温度が400℃を超える場合、カルボン酸アルカリ金属塩の熱分解反応における反応温度が350℃を超える場合は、化合物(4a)から得られる熱分解物として、含フッ素ビニルエーテル(5a)以外の熱分解物が増加する傾向にある。
【0086】
化合物(4a)の気相熱分解反応は、連続式反応で行うことが好ましい。連続式反応は、加熱した反応管中に気化させた化合物(4a)を通し、生成した含フッ素ビニルエーテル(5a)を出口ガスとして得て、これを凝縮し、連続的に回収する方法により実施することが好ましい。気相反応で熱分解反応を行う場合には、管型反応器を用いることが好ましい。管型反応器を用いる場合の滞留時間は、空塔基準で0.1秒〜10分程度が好ましい。反応圧力は特に限定されない。また、化合物(4a)が高沸点化合物の場合には、減圧下で反応を実施することが好ましい。特に化合物(4a)が低沸点化合物である場合には、生成物の分解が抑制され、かつ反応率が高くなることから、加圧下で反応を実施するのが好ましい。
【0087】
管型反応器を用いて気相熱分解反応を行う場合には、反応を促進させる目的で、反応管中に、ガラス、アルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩を充填することが好ましい。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、炭酸塩またはフッ化物が好ましい。ガラスとしては、一般的なソーダガラスが挙げられ、特にビーズ状にして流動性を上げたガラスビーズが好ましい。アルカリ金属塩としては、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の塩としては、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムまたは炭酸マグネシウム等が挙げられる。さらに、反応管中にガラス、アルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩を充填させる場合に、ガラスビーズや、炭酸ナトリウムの軽灰等であって、粒径が100〜250μm程度であるものを用いると、流動層型の反応形式を採用できることから特に好ましい。
【0088】
気相熱分解反応においては、化合物(4a)の気化を促進する目的で、熱分解反応には直接は関与しない不活性ガスの存在下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。不活性ガス量は化合物(4a)に対して0.01〜50vol%程度が好ましい。不活性ガス量が多すぎると、生成物の回収量が低くなるおそれがあり好ましくない。一方、化合物(4a)の沸点が高い場合には、熱分解を液相反応で行ってもよい。
【0089】
熱分解工程2は、気相熱分解反応または液相熱分解反応により実施可能である。常圧における化合物(1a)の沸点が50℃以上350℃以下であるような場合は、気相熱分解反応を採用することが好ましい。ただし、熱分解温度は、気相、液相のいずれの場合であっても250℃以上とする必要があり、好ましくは250〜450℃である。熱分解温度が450℃を超す場合は、熱分解反応の生成物である含フッ素ビニルエーテル(5a)がさらに熱分解を起こし、収率が低下する傾向がある。
【0090】
熱分解工程2を気相反応で行う場合には、化合物(4a)の気相熱分解反応と同様に管型反応器を用いて同様に実施するのが好ましい。化合物(1a)が高沸点化合物である場合は、減圧下で熱分解反応を行うのが好ましく、低沸点化合物である場合は加圧下で熱分解反応を行うのが好ましい。
【0091】
フッ化ビニル基にRAF1O−基が結合した化合物(5a)は、優れた重合性を有することから、フッ素樹脂原料として有用な化合物である。該化合物(5a)は、これを重合させて、または化合物(5a)と化合物(5a)と重合しうる重合性単量体を共重合させて、有用な重合体を製造できる。
【0092】
化合物(5a)と重合しうる重合性単量体としては、特に限定されず、公知の重合性単量体の中から選択されうる。重合反応の手法も、公知の反応の手法をそのまま適用できる。たとえば化合物(5a)がペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)である場合、化合物(5a)と重合しうる重合性単量体としては、CF2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CH2等のフルオロエチレン類、CF2=CFCF3等のフルオロプロピレン類、CF3CF2CF2CF2CH=CH2やCF3CF2CF2CF2CF=CH2等のペルフルオロアルキル基の炭素数が4〜12の(ペルフルオロアルキル)エチレン類、CH3OC(=O)CF2CF2CF2OCF=CF2やFSO2CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2等のカルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を有するビニルエーテル類、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン等が挙げられる。重合反応により得た重合体は、フッ素樹脂として有用である。フッ素樹脂は、耐熱性と耐薬品性に優れた性質を有する有用な機能材料である。
【0093】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、以下においてガスクロマトグラフィをGCと、ガスクロマトグラフィ質量分析をGC−MSと記す。
【0094】
[例1]CH3CH2CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(3b)の製造例(エステル交換工程)
CH3CH2CH2OCH(CH3)CH2OH(以下、化合物(2b)という。20.0g、0.17モル)をフラスコに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。ここに、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(以下、化合物(1b)という。67.4g、0.10モル)を内温が28〜35℃となるように保ちながら30分かけて滴下した。滴下終了後、50℃で2時間撹拌し、さらに化合物(1b)(22.5g、0.034モル)を加えた。添加終了後35℃で3時間撹拌して、粗液を90.0g得た。
【0095】
得られた粗液をGC、1H−NMRおよび19F−NMRにより分析した結果、CH3CH2CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(以下、「化合物(3b)」という。)の生成が確認された。1H−NMRにより算出した化合物(2b)基準の収率は99%であった。
【0096】
[例2]CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(1b)の製造例(フッ素化工程)
例1で得た化合物(3b)(200.0g)を、CF3CF2CF2OCF(CF3)COF(以下、化合物(4b)という。1000.0g)に溶解した。一方、3000mLのニッケル製オートクレーブに、NaF粉末(260.5g)を入れ、化合物(4b)(2000.0g)を加えて撹拌し、−10℃に冷却した。窒素ガスを1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを、流速22.59L/時で1時間吹き込み、同じ流速を保って吹き込みながら、前記留分溶液を60時間かけて注入した。
【0097】
つぎに、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを、上記の流速を保ちつつ吹き込みながらベンゼンの化合物(4b)溶液(0.01g/mL)を20ml注入し、オートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.12MPaになったところでオートクレーブの入口バルブを閉めて、1時間撹拌を続ける操作を行った。さらに、該操作を−10℃から室温にまで昇温する間に4回、その後室温で5回くり返した。この間に、ベンゼンを合計1,800g、化合物(4b)を合計281.0g注入した。その後、窒素ガスを2時間吹き込み、反応混合物をデカンテーションで取り出した。得られた粗液をエバポレータで濃縮して19F−NMRで生成物を定量したところ、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(化合物(1b))を収率69%で含んでいた。粗液の一部をとって減圧蒸留して、化合物(1b)を得た。化合物(1b)の沸点は46〜51℃/5.2kPaであった。
【0098】
[例3]連続プロセスによる化合物(1b)の製造例
化合物(2b)(75.5g、0.640モル)と、例2で得た化合物(1b)(213.1g、0.321モル)を用いて、例1と同様に反応を行い、化合物(3b)(収量272.4g、0.634モル)を得た。1H−NMRにより定量した化合物(3b)の収率は99%であった。次に、該化合物(3b)を例2と同様にフッ素と反応させ、化合物(1b)(収量294.0g、0.44モル)を得た。同様の操作を繰り返して最終的に3000gの化合物(1b)を得た。
【0099】
[例4]エステル分解によるCF3CF2CF2OCF(CF3)COF(4b)の製造例(液相エステル分解反応)
2L容量の撹拌機付きステンレス製オートクレーブに例2で得た化合物(1b)の粗液を1800g、さらにスプレードライ法で製造したKF粉末(30g)を仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温した。所定温度に達したところで反応器に化合物(1b)の粗液を115g/時で連続フィードした。発生するガスは、反応器上部に備え付けた60℃で加温したステンレス製のジャケット付きカラムを通して連続的に抜き出し、ドライアイストラップで捕捉した。捕捉した生成物の重量とGCによる分析からCF3CF2CF2OCF(CF3)COF(化合物(4b))が110g/時で生成していた。化合物(4b)の収率は99%であった。
【0100】
[例5]化合物(1b)のエステル結合の分解物(4b)の製造例(気相エステル分解反応)
空塔のインコネル600製U字型反応器(内容量200mL)を250℃に保温した塩浴炉中に浸漬した。窒素ガスを1L/時で、および例2で得た化合物(1b)を15g/時で反応器入口より供給した。滞留時間は10〜12秒に保持した。反応器出口側にドライアイス/メタノールおよび液体窒素トラップをつけて反応粗ガスを回収した。2時間反応後、トラップから液状サンプル(23g)を回収した。GC−MSにより、化合物(4b)が主生成物であることを確認した。NMR収率は73%であった。
【0101】
[例6]気相熱分解工程2によるCF3CF2CF2OCF=CF2(5b)の製造例
ステンレス製カラム(内径20mm、長さ1m)と平均粒径160μmのNa2CO3粉末を280g充填した内径45mm、高さ400mmのステンレス製流動層反応器を直列に接続して塩浴内に設置し、塩浴内を270℃に温度調節した。反応器には窒素ガスを1520mL/分で流し、例5で得た化合物(4b)を定量ポンプを用いて60.2g/時で1.8時間供給した。反応器出口にはドライアイス/エタノールトラップを設置し、生成物を回収した。化合物(4b)は検出されず、CF3CF2CF2OCF=CF2(以下、化合物(5b)という。)が収率80%で生成していた。生成物の19F−NMR(564.6MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)のピークは標品のそれと一致した。
【0102】
[例7]気相熱分解工程2によるCF3CF2CF2OCF=CF2(5b)の製造例
上下に多孔板(ろ過精度0.5μm、ステンレス製)を取り付けたステンレス製空筒容器(内径51mm、長さ400mm)からなる流動床反応器にNa2CO3粉末を390gを充填した。Na2CO3は粒径が100〜250μmの範囲にあるものを使用した。この反応器を260℃に加熱した溶融塩浴内に設置し、反応器底部より窒素ガスを234NL/時で8時間流してNa2CO3を脱水処理した。その後、反応器温度を260℃に保ったまま、純度95%の化合物(1b)粗液を窒素ガスで希釈して反応器底部から連続フィードし、反応器上部から出るガスをドライアイストラップで液化回収した。フィード速度は化合物(1b)粗液を160g/時、窒素ガスを205L/時に調節した。反応開始2時間後の、反応器出口ガスをGCにより分析した結果、化合物(1b)の転化率は83.2%であり、化合物(5b)の選択率は95.2%であった。また、化合物(4b)の選択率は0.8%であった。さらに反応開始3時間後では化合物(1b)の転化率は96.7%であり、化合物(5b)の選択率は95.4%であった。また、化合物(4b)の選択率は1.8%であった。
【0103】
[例8]化合物(2b)と化合物(4b)とを用いた化合物(1b)の合成例
化合物(2b)(620g)を2LハステロイC製オートクレーブに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。これに対して化合物(4b)(1830g)を内温を25〜35℃に保ちながら8時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに窒素ガスのバブリングを続けて、HFと、過剰の化合物(4b)を除き、化合物(3b)を2245g得た。化合物(3b)(1800g)を用いて例2と同様にフッ素化反応を行い、化合物(1b)を収率69%で得た。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、より少ない反応工程数で含フッ素エステルを製造できる。また、本発明の方法は反応収率が高くコストを低減できる有効な方法である。また、かかる方法により得た含フッ素エステルを使って、有用な含フッ素アシルフルオリドおよび有用な含フッ素ビニルエーテルを大量に製造できる。

Claims (13)

  1. 下記含フッ素エステル(1)と、該含フッ素エステル(1)に対して1倍モルを超え2倍モル以下の下記化合物(2)とを反応させてエステル交換反応を行うことにより、下記化合物(3)を得るエステル交換工程を行い、次に該化合物(3)を液相中でフッ素と反応させてフッ素化することにより、エステル交換反応前のモル数を超える下記含フッ素エステル(1)を得るフッ素化工程を行うことを特徴とする下記含フッ素エステル(1)の製造方法。
    RAF-COOCF2-RAF (1)
    RA-CH2OH (2)
    RAF-COOCH2-RA (3)
    [式中、Rは1価有機基、RAFはRと同一の基、またはRがフッ素化された1価有機基、を示す。]
  2. 含フッ素エステル(1)に対して、1.5〜2倍モルの化合物(2)を反応させることによりエステル交換工程を行う請求項1に記載の製造方法。
  3. フッ素化工程において、含フッ素エステル(1)または下記含フッ素アシルフルオリド(4)に化合物(3)を溶解してなる液相中にフッ素ガスを導入することにより化合物(3)のフッ素化を行う請求項1または2に記載の製造方法。
    RAF-COF (4)
    [式中、RAFは、前記と同義である。]
  4. フッ素化工程において、エステル交換工程で生成した下記含フッ素アシルフルオリド(4)および/または含フッ素エステル(1)を含むままで、化合物(3)のフッ素化を行う請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
    RAF-COF (4)
    [式中、RAFは、前記と同義である。]
  5. エステル交換工程を、溶媒の不存在下に行う請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. エステル交換工程における含フッ素エステル(1)がフッ素化工程で得た含フッ素エステル(1)である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  7. 下記含フッ素アシルフルオリド(4)と下記化合物(2)とを反応させて得られる下記化合物(3)を液相中でフッ素化して下記含フッ素エステル(1)を得る工程を実施し、該工程で得られた該含フッ素エステル(1)を前記エステル交換工程における含フッ素エステル(1)として用いる請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
    RAF-COF (4)
    RA-CH2OH (2)
    RAF-COOCH2-RA (3)
    RAF-COOCF2-RAF (1)
    [式中、RおよびRAFは、前記と同義である。]
  8. が、炭素数1〜20の、1価飽和炭化水素基、部分クロロ1価飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基または部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基であり、RAFが、炭素数1〜20の、ペルフルオロ1価飽和炭化水素基、ペルフルオロ(部分クロロ1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基またはペルフルオロ[部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)]基である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法により下記含フッ素エステル(1)を得た後、該含フッ素エステル(1)のエステル結合を分解させることを特徴とする下記含フッ素アシルフルオリド(4)の製造方法。
    RAF-COOCF2-RAF (1)
    RAF-COF (4)
    [式中、RAFは前記と同義である。]
  10. 含フッ素エステル(1)が下記化合物(1a)であり、化合物(2)が下記化合物(2a)であり、化合物(3)が下記化合物(3a)である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
    RAF1O-CF(CF3)-COOCF2-CF(CF3)-ORAF1 (1a)
    RA1O-CX1(CX2X3X4)-CH2OH (2a)
    RAF1O-CF(CF3)-COOCH2-CX1(CX2X3X4)-ORA1 (3a)
    [式中、RA1は1価有機基、RAF1は前記RA1と同一の基、または前記RA1がフッ素化された1価有機基を示し、X、X、X、Xは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子またはフッ素原子を示す。]
  11. A1が、炭素数1〜20の、1価飽和炭化水素基、部分クロロ1価飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基または部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基であり、RAF1が、炭素数1〜20の、ペルフルオロ1価飽和炭化水素基、ペルフルオロ(部分クロロ1価飽和炭化水素)基、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基またはペルフルオロ[部分ハロゲノ(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)]基である請求項10に記載の製造方法。
  12. 請求項10または11に記載の製造方法により下記化合物(1a)を得た後、該化合物(1a)のエステル結合を分解させることにより下記化合物(4a)を得て、該化合物(4a)を熱分解させることを特徴とする下記含フッ素ビニルエーテル(5a)の製造方法。
    RAF1O-CF(CF3)-COOCF2-CF(CF3)-ORAF1 (1a)
    RAF1O-CF(CF3)-COF (4a)
    RAF1O-CF=CF2 (5a)
    [式中、RAF1は前記と同義である。]
  13. 請求項10または11に記載の製造方法により下記化合物(1a)を得た後、該化合物(1a)を250℃以上で熱分解させることを特徴とする下記含フッ素ビニルエーテル(5a)の製造方法。
    RAF1O-CF(CF3)-COOCF2-CF(CF3)-ORAF1 (1a)
    RAF1O-CF=CF2 (5a)
    [式中、RAF1は前記と同義である。]
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