JP4956856B2 - フルオリド化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素樹脂原料モノマーの製造中間体として有用なvic−ジクロロ構造を有するフルオリド化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルキル鎖の末端にvic−ジクロロ構造(炭素原子とその炭素原子に隣接する炭素原子に、それぞれ塩素原子が1個結合した構造)を有し、かつフルオロカルボニル基(−COF)を併有する化合物は、フッ素樹脂原料モノマーの製造中間体として有用な化合物である。すなわち、該化合物は、亜鉛と反応させ、つぎに脱塩素化することにより、ペルフルオロビニル基(CF2=CF−)を有するフルオリド化合物が製造できる。該化合物のペルフルオロビニル基は重合性基であり、これを重合させることにより種々のフッ素樹脂が製造できる。フッ素樹脂は耐熱性および耐薬品性に優れた有用な樹脂である。
【0003】
これらのフッ素樹脂のうち、ペルフルオロ(3−ブテニル ビニル エーテル)[CF2=CFCF2CF2OCF=CF2]の単独重合体は、透明なフッ素樹脂として種々の用途に用いられている。従来より、ペルフルオロ(3−ブテニル ビニル エーテル)は、つぎの製造ルートで合成されている(特開平1−143843)。
【0004】
【化5】
Figure 0004956856
【0005】
すなわち、CF2=CFClと塩化ヨウ素とを反応させて化合物(A)とし、つぎに化合物(A)とCF2=CF2とを反応させて化合物(B)とし、化合物(B)と発煙硫酸とを反応させて化合物(C)とする。さらに化合物(C)をKF等のフッ化アルカリの存在下にヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)と反応させて化合物(5A−1)とし、さらに化合物(5A−1)をソーダ灰またはガラスビーズの存在下に250℃以上に加熱して、または、化合物(5A−1)と水酸化アルカリとを反応させて得られるカルボン酸アルカリ塩の熱分解により、COF2を脱離して化合物(D)とする。さらに化合物(D)を亜鉛と反応させて脱塩素化することにより、ペルフルオロ(3−ブテニル ビニル エーテル)を得る方法である。
【0006】
また、炭化水素系化合物中のC−H部分の全てをC−Fにフッ素化する方法としては、フッ素を用いてフッ素化する方法、または、フッ化水素を電解槽中で電気分解した生成物をフッ素源としてフッ素化反応を行う方法(一般に電解フッ素化反応といわれる方法)が知られている。そして、フッ素を用いた反応には、気相中でフッ素化する反応(以下、気相反応という。)と、液相中でフッ素する反応(以下、液相反応という。)が知られている。
【0007】
また、ペルフルオロアルキル基を有するペルフルオロ化されたエステル化合物を熱分解してフルオリド化合物を得る方法も知られている。このフルオリド化合物は、対応する炭素骨格を有する炭化水素系のエステル化合物を原料とし、これをフッ素を用いて液相で直接フッ素化することにより入手できると記載されている(J.Am.Chem.Soc.,120,7117(1998))。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のペルフルオロ(3−ブテニル ビニル エーテル)の製造方法は、化合物(A)を製造する工程において、化合物(A)とともに、その異性体であるCF2ICFCl2が副生する問題があった。そして該異性体量を制御することが困難であった。また、該製造方法は、反応工程が多く、原料の価格も高く、経済的に不利であった。また、塩化ヨウ素や発煙硫酸等を使用することから、装置が腐食する問題や、反応試薬の取り扱いが難しい問題があった。
【0009】
電解フッ素化反応は、異性化反応や、C−C結合の切断および再結合反応等が起こりやすく、目的とする化合物を純度よく得られない欠点があった。また、直接フッ素化法を気相反応で行った場合には、フッ素化反応中にC−C単結合の切断が起こり、多種類の副生成物が生じる問題があった。
【0010】
液相反応は、気相反応の問題を解決する方法であることが報告されている(USP5093432)。液相反応では、溶媒としてフッ素を溶解しうる溶媒を用いる必要があり、該溶媒としてペルフルオロ化された溶媒が通常使用される。このペルフルオロ化された溶媒に対する炭化水素系化合物の溶解性は低いため、フッ素化反応がうまく進まない問題や、フッ素化反応の生産効率が低い問題があった。一方、炭化水素系化合物をペルフルオロ化された溶媒中に高濃度で存在させてフッ素化しようとすると、反応には不利な懸濁系での反応になる問題があった。また、低分子の炭化水素系化合物で液相反応でフッ素化を行うと、反応収率が著しく低くなる問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来方法が有する問題を解決する目的でなされ、安価で入手容易な原料化合物から短工程でvic−ジクロロ構造を有するフルオリド化合物を製造しうる方法を提供する。
【0012】
すなわち本発明は、化合物(1)と化合物(2)とを反応させて化合物(3)とし、該化合物(3)に塩素化剤を反応させることにより化合物(4)とし、該化合物(4)を液相中でフッ素と反応させて化合物(5)を得ることを特徴とするフルオリド化合物の製造方法を提供する。
CH=CHCHRCHOCH(CH)CHOH ・・・(1)
FCOR ・・・(2)
CH=CHCHRCHOCH(CH)CHOCOR ・・・(3)
CHClCHClCHRCHOCH(CH)CHOCOR・・・(4)
CFClCFClCFRAFCFOCF(CF)COF ・・・(5)
ただし、Rは水素原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、Rが水素原子である場合のRAFはフッ素原子であり、Rがアルキル基またはアルコキシ基である場合のRAFは該基中の水素原子の1個以上がフッ素化された基であり、R炭素数1〜20の、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化された(エーテル性酸素原子含有1価炭化水素)基である。
【0013】
さらに本発明は、化合物(1)が化合物(1A)であり、化合物(2)が化合物(2A)であり、化合物(3)が化合物(3A)であり、化合物(4)が化合物(4A)であり、化合物(5)が化合物(5A)である上記製造方法を提供する。
【0014】
【化6】
Figure 0004956856
【0015】
ただし、RA1は水素原子またはアルコキシ基であり、RA1が水素原子である場合のRAF1はフッ素原子であり、RA1がアルコキシ基である場合のRAF1はペルフルオロアルコキシ基である。
【0016】
さらに本発明は、化合物(4)を液相中でフッ素と反応させて化合物(5)を得ることを特徴とするフルオリド化合物の製造方法を提供する。
CH2ClCHClCHRACH2OCH(CH3)CH2OCORB ・・・(4)
CF2ClCFClCFRAFCF2OCF(CF3)COF ・・・(5)
ただし、RA、RAFおよびRBは上記と同じ意味を示す。
【0017】
さらに本発明は、化合物(5)を、上記製造方法で得て、該化合物(5)を熱分解して化合物(6)とし、さらに該化合物(6)を脱塩素化することを特徴とする化合物(7)の製造方法を提供する。
CFClCFClCFRAFCFOCF=CF・・・(6)
CF=CFCFRAFCFOCF=CF ・・・(7)
ただし、RAFは上記と同じ意味を示す。
【0018】
さらに本発明は、化合物(7)を、上記製造方法で得て、該化合物(7)の1種以上を重合させる、または、化合物(7)を、上記製造方法で得て、該化合物(7)の1種以上と該化合物(7)と共重合可能な重合性単量体の1種以上を重合させる、ことを特徴とするフッ素樹脂の製造方法を提供する。
【0019】
さらに本発明は、化合物(3A)、化合物(4A)または化合物(5B)を提供する。
【0020】
【化7】
Figure 0004956856
【0021】
ただし、RA1は上記と同じ意味であり、nは0〜9の整数である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本明細書においては、(1)式で表される化合物を化合物(1)と表記する。
他の式で表される化合物においても同様に表記する。また、本明細書における有機基とは、炭素原子を必須とする基をいい、飽和、不飽和のいずれの構造のものも含む。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が好ましい。
【0023】
[化合物(1)について]
化合物(1)は、公知の化合物または公知の化合物から容易に合成できる化合物である。化合物(1)としては、化合物(1A)が好ましい。たとえば、化合物(1A)は公知化合物であり、化合物(10)と化合物(11)とを反応させて化合物(12)とし、該化合物(12)に化合物(13)(ただし、Xは1価対イオンを示す)を反応させて化合物(14)とし、該化合物(14)のヒドリド還元反応により合成できる。ただし、下式中のRA1は、水素原子またはアルコキシ基であり、水素原子またはメトキシ基が好ましい。
【0024】
【化8】
Figure 0004956856
【0025】
上記反応において、化合物(10)と化合物(11)とを反応させて化合物(12)とする反応は、カルボン酸のエステル化反応の通常の手法および条件が採用できる。たとえば、硫酸などの酸触媒の存在下に、化合物(10)と化合物(11)とを加熱して反応させる方法が挙げられる。
【0026】
次に化合物(12)に化合物(13)を反応させて化合物(14)とする。化合物(13)におけるX+としては、アルカリ金属カチオンが好ましく、Na+、K+等が特に好ましい。X+がNa+である場合の化合物(13)は、化合物(11)を水素化ナトリウムなどの塩基と反応させる、または、化合物(11)にナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加えた後にメタノールを留去する、方法で得られる。化合物(12)と化合物(13)との反応は、反応溶媒の存在下に行うのが好ましい。反応溶媒としては、化合物(11)、テトラヒドロフラン、またはN,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。該反応の反応温度は、25℃〜反応溶媒の還流温度が好ましく、50〜100℃が好ましい。
【0027】
次に化合物(14)をヒドリド還元して化合物(1A)を得る。ヒドリド還元反応における還元剤としては、リチウムアルミニウムヒドリドやビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリドなどのヒドリド類が好ましい。該還元反応では、化合物(1A)とともに理論上化合物(1A)と等モルの化合物(11)が生成する。この化合物(11)は、その一部または全部を回収して再び化合物(10)との反応に用いることにより、化合物(1A)を連続的に製造するのが好ましい。該還元反応は、反応溶媒の存在下に行うのが好ましい。反応溶媒としては、テトラヒドロフランやトルエン等が好ましい。また該還元反応の反応温度は、−78℃〜溶媒の還流温度が好ましい。
【0028】
[化合物(2)について]
化合物(2)は、公知の化合物または公知の化合物から容易に合成できる化合物である。化合物(2)中のRB(1価有機基)としては、1価炭化水素基、ヘテロ原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化された(ヘテロ原子含有1価炭化水素)基が好ましい。RBとしては、フッ素化反応時に用いる液相への溶解性の点から、その炭素数が1〜20であるのが好ましく、特に炭素数が1〜10であるのが好ましい。また、ハロゲン化された基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子から選ばれる1種以上のハロゲン原子が好ましく、とりわけ化合物の有用性の点からハロゲン原子としてフッ素原子のみを有するか、または、ハロゲン原子としてフッ素原子と塩素原子とを有することが好ましい。
【0029】
ここで、1価炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、1価炭化水素基としては、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、スピロアルキル基等が挙げられる。
【0030】
ヘテロ原子含有1価炭化水素基としては、エーテル性酸素原子(C−O−CのO)含有アルキル基が好ましく、特に入手しやすさ、製造しやすさ、および生成物の有用性の点から、アルコキシアルキル基が好ましい。アルコキシアルキル基としては、前記アルキル基中の水素原子の1個がアルコキシ基に置換された基が好ましい。該アルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましい。
【0031】
さらに、化合物(2)としては、含フッ素化合物であるのが好ましいことから、RBはフルオロアルキル基、フルオロ(部分クロロアルキル)基、フルオロ(ヘテロ原子含有アルキル)基、またはフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有アルキル))基が特に好ましく、とりわけペルフルオロ化されたこれらの基が好ましい。
【0032】
化合物(2)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。このうち化合物(2A)が入手しやすさの点で好ましい。
CF3CF2COF、
CF3CF2CF2OCF(CF3)COF・・・(2A)、
CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COF、
CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COF。
【0033】
[化合物(1)と化合物(2)との反応]
化合物(1)と化合物(2)との反応は、公知の反応の手法が適用できる。たとえば、化合物(1A)と化合物(2A)とを反応させて化合物(3A)とする場合、該反応は、溶媒(以下、溶媒1という。)の存在下に実施してもよいが、溶媒1の不存在下に実施するのが容積効率の点から好ましい。溶媒1としては、ハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく、たとえば、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。溶媒1の使用量は、化合物(1A)と化合物(2A)の総質量に対して0.5〜5倍量とするのが好ましい。
【0034】
化合物(1)と化合物(2)との反応では、HFが発生するため、HF捕捉剤としてアルカリ金属フッ化物(たとえばフッ化ナトリウム等)やトリアルキルアミン、ピリジンなどの塩基を反応系中に存在させてもよい。HF捕捉剤としてアルカリ金属フッ化物を用いる場合の量は、化合物(2)に対して1〜10倍モルとするのが好ましい。HF捕捉剤を使用しない場合には、HFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出するのが好ましい。
【0035】
化合物(1)と化合物(2)との反応温度は、通常の場合、−50℃〜(+100℃または溶媒1の沸点温度)が好ましい。また、化合物(1)と化合物(2)との反応時間は、原料の供給速度と反応に用いる化合物量に応じて適宜変更され、反応圧力(ゲージ圧、以下同様)は0〜2MPaが好ましい。
【0036】
[化合物(3)について]
化合物(1)と化合物(2)との反応では化合物(3)が生成する。化合物(3)中のRBは、化合物(2)中のRBに対応する。化合物(3)としては化合物(3A)が好ましい。化合物(3)のうちいくつかの化合物は新規な化合物であり、化合物(3A)は新規な化合物である。
【0037】
該化合物(3A)は後述する反応により、フッ素樹脂原料として有用なペルフルオロ(3−ブテニル ビニル エーテル)、ペルフルオロ(2−アルコキシ−3−ブテニル ビニル エーテル)、ペルフルオロ(プロピル ビニル エーテル)、ペルフルオロ(2−アルコキシプロピル ビニル エーテル)に導かれうる。化合物(3A)中のRA1がアルコキシ基である場合の炭素数は1〜10が好ましく、特に1〜6が好ましい。RA1は、水素原子またはメトキシ基であることが化合物の有用性の点で特に好ましい。化合物(3A)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0038】
【化9】
Figure 0004956856
【0039】
化合物(3)を含む反応粗生成物は、目的に応じて精製を行い高純度のものとしてもよく、そのまま次の反応等に用いてもよい。精製方法としては、粗生成物をそのまま蒸留する方法、粗生成物を希アルカリ水などで処理して分液する方法、粗生成物を適当な有機溶媒で抽出した後に蒸留する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製する方法、等が挙げられる。
【0040】
[化合物(3)と塩素化剤との反応]
化合物(3)に塩素化剤を反応させて化合物(4)を得る反応は、通常の塩素化反応の操作および反応条件で実施できる。塩素化剤としては、塩素(Cl2)が好ましい。塩素を使用する場合の量は、化合物(3)に対して1〜10倍モルが好ましく、1〜5倍モルが特に好ましい。化合物(3)と塩素化剤との反応は、溶媒(以下、溶媒2という。)の存在下に実施してもよいが、溶媒2の不存在下に実施するのが容積効率の点から好ましい。溶媒2を用いる場合には、ハロゲン化炭化水素系溶媒を用いるのが好ましい。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。溶媒2の使用量は、化合物(3)の質量に対して0.5〜5倍量であるのが好ましい。また、反応温度は−78℃〜+200℃が好ましい。
【0041】
[化合物(4)について]
塩素化反応により生成した化合物(4)を含む反応粗生成物は、目的に応じて精製を行い高純度のものとしてもよく、そのまま次の反応に用いてもよい。化合物(4)を含む粗生成物を精製する方法としては、粗生成物をそのまま蒸留する方法、粗生成物を希アルカリ水などで処理して分液する方法、粗生成物を適当な有機溶媒で抽出した後に蒸留する方法、等が挙げられる。
【0042】
化合物(4)としては化合物(4A)が好ましい。化合物(4)のうちいくつかの化合物は新規な化合物である。たとえば化合物(3A)の塩素化により得られた化合物(4A)は新規な化合物である。化合物(4A)の有用性および好ましいRA1の態様は化合物(3A)と同じである。化合物(4A)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0043】
【化10】
Figure 0004956856
【0044】
[化合物(4)のフッ素化]
化合物(4)を液相中でフッ素と反応させる際に用いるフッ素(F2)は、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスとして反応系中に導入するのが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、経済的な理由から窒素ガスが特に好ましい。不活性ガスで希釈されたフッ素ガスとしては、不活性ガスとフッ素ガスからなる混合ガス中のフッ素ガス量が5〜95体積%であるのが好ましく、10〜60体積%であるのが特に好ましい。なお、以下の反応におけるフッ素ガスは、希釈されたフッ素ガスであってもよく、希釈されていないフッ素ガスであってもよく、希釈されたフッ素ガスが好ましい。
【0045】
本発明のフッ素化反応はアルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物の存在下に実施するのが好ましく、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムの存在下に実施するのが特に好ましく、とりわけ経済性の面からフッ化ナトリウムの存在下に実施するのが好ましい。アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物を存在させることにより、フッ素化反応とそれと同時に起こるエステル分解反応をきわめて効率的に進行させることができる。
【0046】
アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物の量は、触媒量であってもよく、過剰に用いてもよい。通常は、化合物(4)に対して1〜500モル%が好ましく、10〜100モル%がより好ましく、5〜50モル%が特に好ましい。
【0047】
フッ素化反応においては、HFが副生するため、このHFを除去するために反応系中にHF捕捉剤を共存させる、または反応器ガス出口でHF捕捉剤と出口ガスを接触させるのが好ましい。また、HF捕捉剤は本発明の反応を促進する作用も有する。HF捕捉剤としては、前述のものと同様のものが用いられ、フッ化ナトリウムが好ましい。
【0048】
反応系中にHF捕捉剤を共存させる場合の量は、化合物(4)の全水素原子数に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルが好ましい。反応器ガス出口にHF捕捉剤をおく場合には、(a)冷却器(10℃〜室温に保持するのが好ましく、特には約20℃に保持するのが好ましい。)、(b)フッ化ナトリウムなどのHF捕捉剤のペレットを充填した層、および(c)冷却器(−78℃〜+10℃に保持するのが好ましく、−30℃〜0℃に保持するのが好ましい)を、(a)−(b)−(c)の順に直列に設置するのが好ましい。なお、凝集した液を(c)の冷却器から反応器に戻すための液体返送ラインを設置してもよい。
【0049】
液相としては、フッ素を溶解させうる溶媒からなるのが好ましい。化合物(4)は液相に溶解性が高いことから、フッ素含有量が30%(質量基準。以下、特記しないかぎり同じ。)以上である化合物が好ましく、特に30〜84%である化合物が好ましく、とりわけ50〜84%である化合物が好ましい。また、化合物(4)の分子量は気相での反応を抑制できる理由から200以上であるのが好ましく、特に200〜1000であるのが好ましい。特にRBがペルフルオロ1価有機基である化合物(4)は、フッ素を溶解させうる溶媒に溶解しやすい化合物である。フッ素を溶解させうる溶媒としては、C−H結合を含まずC−F結合を必須とする有機溶媒(以下、溶媒3という。)を必須成分とするのが好ましく、後述するC−H結合含有化合物以外は、溶媒3のみからなるのが好ましい。
【0050】
溶媒3としては、塩素原子、窒素原子および酸素原子からなる群から選ばれる1種以上の原子を構造中に有する有機溶剤中の水素原子を、ペルフルオロ化した化合物からなる有機溶剤であるのが好ましく、化合物(4)を1%以上溶解しうる溶媒が特に好ましい。
【0051】
溶媒3の例としては、FCOR1(R1はペルハロゲノアルキル基またはペルハロゲノ(アルコキシアルキル)基。)、R2CF2OCOR3(R2はペルフルオロ1価有機基、R3はペルハロゲノアルキル基。)、ペルフルオロエーテル類(商品名:クライトックス、フォンブリン、ガルデン、デムナム等)、クロロフルオロカーボン類(1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、クロロトリフルオロエチレンの低重合体(商品名:フロンルーブ等)、ペルフルオロアルキルアミン(たとえば、ペルフルオロトリアルキルアミン等)、不活性流体(商品名:フロリナート)等が挙げられる。さらに溶媒3としては、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、ペルフルオロトリアルキルアミン、後述する化合物(5A)、または化合物(2A)が好ましい。溶媒3の量は、化合物(4)の質量に対して、5倍量以上が好ましく、10〜100倍量が特に好ましい。
【0052】
フッ素との反応は、フッ素を仕込んだ後に反応を行ってもよく、フッ素を供給しながら行ってもよい。前者の反応を行う場合に仕込むフッ素量、および、後者の反応を行う場合に供給するフッ素量は、それぞれ、選択率の点から、化合物(4A)中の水素原子に対して、過剰当量とするのが好ましく、特に1.5倍当量以上とするのが好ましく、とりわけ1.5〜5倍当量とするのが好ましい。
【0053】
フッ素との反応は、反応収率と選択率の点から以下に説明する連続方式(その1)または連続方式(その2)で行うのが好ましく、特に連続方式(その2)で行うのが好ましい。
【0054】
連続方式(その1);反応器に、化合物(4)と溶媒3とを仕込んで撹拌し、フッ素ガスのみまたはフッ素ガスと溶媒3とを、連続供給しながら反応させる方法。該方法における反応温度は、−60℃以上かつ化合物(4)の沸点以下が好ましく、反応収率、選択率、および工業的実施の諸事情の点から−50℃〜+100℃がより好ましく、−20℃〜+50℃が特に好ましい。反応圧力は0〜2MPaが、反応収率、選択率、工業的な製造のしやすさ等の点から好ましい。
【0055】
連続方式(その2);反応器に溶媒3を仕込み、撹拌し、化合物(4)と溶媒3とフッ素ガスとを所定のモル比で連続的かつ同時に供給する方法。該反応の反応温度は−50℃〜+100℃が好ましく、−20℃〜+50℃が特に好ましい。反応圧力は特に限定されず、0〜2MPaが、反応収率、選択率、工業的な製造のしやすさ等の点から好ましい。また、化合物(4)は、溶媒3で希釈して供給するのが、選択率が上がり、副生成物量が減少するため好ましい。化合物(4)を溶媒3で希釈する場合には、化合物(4)の質量に対する溶媒3の量は、5倍量以上が好ましく、特に5〜20倍量が好ましい。
【0056】
さらに、フッ素との反応においては、C−H結合含有化合物を反応系中に添加し、または、紫外線照射を行う、のが好ましい。たとえば、フッ素ガスをはじめに仕込んでから反応を行う場合には、フッ素化反応の後期に、C−H結合含有化合物を反応系中に添加する、または、紫外線照射を行う、のが好ましい。フッ素ガスを供給しながら反応を行う場合には、化合物(4)の供給を終了した時点で、C−H結合含有化合物を供給する、または、紫外線照射を行う、のが好ましい。これにより、反応系中に存在する化合物(4)を効率的にフッ素化でき、反応率を飛躍的に向上させうる。紫外線照射時間は、0.1〜3時間とするのが好ましい。
【0057】
C−H結合含有化合物としては、化合物(4)以外の有機化合物であればよく、芳香族炭化水素が好ましく、ベンゼン、トルエン等が特に好ましい。該C−H結合含有化合物の添加量は、化合物(4)に対して0.1〜5モル%であるのが好ましい。
【0058】
C−H結合含有化合物は、反応系中にフッ素が存在する状態で添加するのが好ましい。さらに、C−H結合含有化合物を加えた場合には、反応系を加圧するのが好ましい。加圧時の圧力としては0.01〜5MPaが好ましい。
【0059】
[化合物(5)について]
本発明においては、液相中で化合物(4)をフッ素と反応させると、化合物(4)がフッ素化されるだけでなく、エステル部分の分解反応が起こり、化合物(5)が得られる点が特徴である。該反応は、特にアルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物の存在下に実施した場合に促進される反応である。フッ素化において、フッ素は炭素原子に結合する水素原子をフッ素原子に置換し、炭素−炭素不飽和結合に付加する。また、フッ素は、炭素原子に結合する水素原子や炭素−炭素不飽和結合の全部に作用しても一部に作用してもよく、全部に作用(すなわち完全フッ素化)するのが好ましい。
【0060】
化合物(5)としては化合物(5A)が好ましい。化合物(5)のうちいくつかの化合物は新規な化合物である。たとえばRA1がアルコキシ基である化合物(4A)のフッ素化により得られる化合物(5B)は新規な化合物である。化合物(5A)の有用性および好ましいRA1の態様は化合物(3A)と同じである。また化合物(5B)のnは0〜5が好ましい。化合物(5B)の具体例としては、化合物(5B−1)が挙げられる。
CF2ClCFClCF(OCF3)CF2OCF(CF3)COF・・(5B−1)
さらに、化合物(4)のフッ素化においては、通常の場合には、化合物(5)とともに化合物(2F)が生成する。化合物(4A)のフッ素化においては、化合物(5A)とともに化合物(2A)が生成する。
FCORBF ・・・(2F)
ただし、RBがフッ素と反応しない基である場合のRBFはRBと同一の1価有機基であり、RBがフッ素と反応する基である場合のRBFはRBがフッ素化された1価有機基である。
【0061】
化合物(5)と化合物(2F)とは、通常の分離方法により分離できる。たとえば、蒸留することにより、それぞれを単離できる。また、化合物(5)と化合物(2F)が同一構造になるように化合物(2)のRBの構造を選択した場合には、分離の工程を省略できることから、きわめて有利である。
【0062】
上記の方法で得た化合物(2F)は、その一部または全部を再び化合物(1)との反応に用いることにより化合物(5)を連続的に製造しうる。たとえば、化合物(1A)と化合物(2A)を反応させて化合物(3A)とし、該化合物(3A)に塩素化剤を反応させて化合物(4A)とし、該化合物(4A)を液相中でフッ素と反応させることにより化合物(5A)と化合物(2A)とを含む反応粗生成物を得て、該反応粗生成物から分離した化合物(2A)の一部または全部を再び化合物(1A)との反応に用いることにより化合物(5A)の連続製造方法が提供されうる。
【0063】
[化合物(5)の有用性]
化合物(5)は、種々の含フッ素機能性化合物の原料として有用な化合物である。たとえば、本発明の製造方法により得られる化合物(5)は、ソーダ灰またはガラスビーズの存在下250℃以上に加熱してCOF2を脱離させることにより、または、化合物(5)と水酸化アルカリとを反応させて得られるカルボン酸アルカリ塩を150〜300℃で熱分解することにより、化合物(6)とし、さらに化合物(6)を亜鉛等と反応させて脱塩素化することにより、フッ素樹脂製造用モノマーとして有用な化合物(7)を得ることができる。
【0064】
たとえば、化合物(5)はペルフルオロ(2−アルコキシ−3−ブテニル ビニル エーテル)に導かれうる。これらのモノマーを重合させたフッ素樹脂は、耐熱性と耐薬品性に優れ、かつ透明である有用なフッ素樹脂として有用である。
【0065】
また、たとえば、化合物(2A)はソーダ灰またはガラスビーズの存在下に250℃以上(好ましくは250〜350℃)に加熱してCOF2を脱離させることにより、または、水酸化カリウムと反応させて得られるカルボン酸カリウム塩を150〜300℃で熱分解することにより、ペルフルオロ(プロピル ビニルエーテル)に導かれうる。ペルフルオロ(プロピル ビニル エーテル)[CF3CF2CF2OCF=CF2]もまた、フッ素樹脂の原料モノマーとして有用な化合物である。
【0066】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、以下においてガスクロマトグラフィをGC、テトラメチルシランをTMS、N,N−ジメチルホルムアミドをDMF、ジクロロペンタフルオロプロパンをAK−225、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンをR113、リットルをLと記す。また、GC純度とはガスクロマトグラフィによるピーク面積比から求めた純度をいう。
【0067】
[例1]CH2=CHCH2CH2OCH(CH3)COOCH2CH2CH=CH2(RA1が水素原子である化合物(14))の製造例
CH3CHClCOOH(50g)とCH2=CHCH2CH2OH(75mL)をフラスコに入れ、濃硫酸(10mL)を滴下し室温で10分撹拌した。反応液を飽和炭酸ナトリウム水(250mL)に注いだ。水(150mL)とtert−ブチルメチルエーテル(150mL)を加えて分液し、tert−−ブチルメチルエーテル相を有機相として得た。有機相を水(150mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液を濃縮してCH3CHClCOOCH2CH2CH=CH2を得た。
【0068】
CH2=CHCH2CH2OH(16.6g)とDMF(120mL)とをフラスコに入れ、内温が8〜9℃に保たれるように冷却した。水素化ナトリウム(10g)を30分かけて添加し、室温で30分撹拌した後、再び冷却した。つぎにCH3CHClCOOCH2CH2CH=CH2(50g)をDMF30mLに溶かし、1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、内温を80〜85℃に保ちながら3時間加熱した。室温(25℃)に戻し、2mol/Lの塩酸200mLを加えた。
【0069】
へキサン/酢酸エチル=2/1の混合液400mLで4回抽出して有機相を得た。有機相を濃縮後、水500mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、再度濃縮し、CH2=CHCH2CH2OCH(CH3)COOCH2CH2CH=CH2(36g)を得た。GC純度は83%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
【0070】
1H−NMR(399.8MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.39(d,J=7.0Hz,3H),2.33〜2.45(m,4H),3.41(dt,J=7.0,9.1Hz,1H),3.63(dt,J=7.0,9.1Hz,1H),3.96(q,J=7.0Hz,1H),4.15〜4.27(m,2H),5.02〜5.14(m,4H),5.73〜5.88(m,2H)。
【0071】
[例2]CH2=CHCH2CH2OCH(CH3)CH2OH(RA1が水素原子である化合物(1A))の製造例
アルゴン雰囲気下、水素化リチウムアルミニウム(6.9g)と脱水ジエチルエーテル(240mL)をフラスコに入れ、氷浴下で撹拌した。ここに例1で得たGC純度83%のCH2=CHCH2CH2OCH(CH3)COOCH2CH2CH=CH2(36g)を45分かけて滴下した後、室温(25℃)で3.5時間撹拌した。氷浴下で氷水(100mL)を滴下し、さらに水(100mL)を加えて室温(25℃)にした後、ろ過した。ジエチルエーテル(450mL)で洗浄し、ろ液を分液した。水相をさらにジエチルエーテル(200mL)で2回抽出し、集めたジエチルエーテル相を有機相として得た。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液を35gまで濃縮した後、減圧蒸留で28〜49℃/9.33kPaの留分(6.6g)を取り除き、残った留分からCH2=CHCH2CH2OCH(CH3)CH2OH(19.2g)を得た。GC純度は98%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
【0072】
1H−NMR(399.8MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.12(d,J=6.2Hz,3H),2.35(tq,J=1.3,6.7Hz,2H),3.42〜3.48(m,2H),3.51〜3.59(m,2H),3.64〜3.69(m,1H),5.04〜5.15(m,2H),5.79〜5.89(m,1H)。
【0073】
[例3]CH2=CHCH2CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(RA1が水素原子である化合物(3A))の製造例
例2で得たGC純度98%のCH2=CHCH2CH2OCH(CH3)CH2OH(19.2g)をフラスコに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(50g)を、内温を25〜30℃に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水(80mL)を内温15℃以下で加えた。
【0074】
水(50mL)とクロロホルム(100mL)とを加え、分液し、クロロホルム相を有機相として得た。さらに有機相を水(100mL)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製した後、再度シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で精製してCH2=CHCH2CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(37g)を得た。GC純度は99%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
【0075】
1H−NMR(399.8MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.2(dd,J=1.2,6.4Hz,3H),2.29(q,J=6.7Hz,2H),3.45〜3.51(m,1H),3.53〜3.59(m,1H),3.67〜3.73(m,1H),4.25〜4.29(m,1H),4.35〜4.41(m,1H),5.01〜5.10(m,2H),5.75〜5.85(m,1H)。
【0076】
19F−NMR(376.2MHz,溶媒CDCl3,基準:CFCl3)δ(ppm):−80.5(d,J=150Hz,1F),−81.9(s,3F),−82.7(s,3F),−86.9(dd,J=31,150Hz,1F),−130.3(s,2F),−132.2(d,J=18Hz,1F)。
【0077】
[例4]CH2ClCHClCH2CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(RA1が水素原子である化合物(4A))の製造例
例3で得たGC純度99%のCH2=CHCH2CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(36g)をフラスコに入れ、氷浴下で撹拌した。塩素ガス(9.5g)を内温を0〜5℃に保ちながら3時間かけて吹き込んだ。室温にして窒素ガスをバブリングさせながら1時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で精製し、CH2ClCHClCH2CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(22g)を得た。GC純度は88%であった。
【0078】
1H−NMR(399.8MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.21(dd,J=1.3,6.3Hz,3H),1.81〜1.93(m,1H),2.19〜2.26(m,1H),3.59〜3.65(m,1H),3.68〜3.80(m,4H),4.20〜4.46(m,3H)。
【0079】
19F−NMR(376.2MHz,溶媒CDCl3,基準:CFCl3)δ(ppm):−80.3(d,J=150Hz,1F),−81.6(d,J=5Hz,3F),−82.4(d,J=7Hz,3F),−86.7(d,J=150Hz,1F),−130.0(s,2F),−132.0(s,1F)。
【0080】
[例5]CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COF(RAF1がフッ素原子である化合物(5A))の製造例
500mLのニッケル製オートクレーブに、R113(312g)とフッ化ナトリウム粉末(19g)を加えて撹拌し、−10℃に冷却した。窒素ガスを1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20体積%に希釈したフッ素ガス(以下、このフッ素ガスを単に希釈フッ素ガスという。)を、流量5.77L/hで1時間吹き込み、反応器圧力を0.15MPaに調節した。希釈フッ素ガスを同じ流量で吹き込み、反応器圧力を0.15MPaに保ちながら、例4で得たGC純度88%のCH2ClCHClCH2CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(4.99g)をR113(102g)に溶解した溶液を7時間かけて注入した。
【0081】
つぎに、希釈フッ素ガスを同じ流量で吹き込み、反応器を同じ圧力に保ちながら、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるベンゼンとR113との混合溶液を、−10℃で90mL、つぎに−10℃から40℃にまで昇温しながら4mL注入した。さらに40℃でベンゼン(4mL)を注入し、オートクレーブのベンゼン注入口バルブを閉め、希釈フッ素ガスを同じ流量で吹き込み、反応器を同じ圧力と温度に保ちながら20分間撹拌を続けた。さらにベンゼンの注入操作を同様に4回くり返した。ベンゼンの注入総量は1.272g、R113の注入総量は125mLであった。さらに、希釈フッ素ガスを同じ流量で吹き込み、反応器を同じ圧力と温度に保ちながら2時間撹拌を続け、さらに窒素ガスを2時間吹き込み、CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COFを得た。19F−NMRで定量(内部標準:C66)した収率は58%であった。
【0082】
19F−NMR(376.2MHz,溶媒CDCl3,基準:CFCl3)δ(ppm):26.0(1F),−64.7(2F),−77.1〜−77.7(1F),−82.5(3F),−83.9〜−84.7(1F),−117.9〜−119.7(2F),−131.3(1F),−132.3(1F)。
【0083】
[例6]CH2=CHCH2CH2OCH(CH3)CH2OH(RA1が水素原子である化合物(1A))の連続製造例
例2において得た、28〜49℃/9.33kPaの留分は、NMRスペクトルにより、CH2=CHCH2CH2OHであることを確認した。該留分(75mL)を用いて例1および例2と同様の反応を行い、CH2=CHCH2CH2OCH(CH3)CH2OHを得た。
【0084】
[例7]CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COF(RAF1がフッ素原子である場合の化合物(5A))の連続製造例
例5で得たCF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COFを常圧で蒸留精製し、55℃の留分を分取することにより、FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(40g)を得た。残った高沸分は保存した。得られたFCOCF(CF3)OCF2CF2CF3を用いて、例3〜例5の反応を同様に行った後、常圧で蒸留精製し、55℃の留分を分取してFCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(32g)を得た。残った高沸分を、先の保存しておいた高沸分と併せ、常圧で蒸留精製して138〜139℃の留分を分取することにより、CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COFを得た。
【0085】
[例8]CH3CHClCOOCH2CH(OCH3)CH=CH2(RA1がメトキシ基である化合物(12))の製造例
500mLの3つ口フラスコに、CH2=CHCH(OCH3)CH2OH(70g)およびトリエチルアミン(139g)を仕込み撹拌した。氷浴で内温を20℃以下に保ちながら、CH3CHClCOCl(132g)を2時間かけて滴下した。
【0086】
反応混合物を水(700mL)に加えた後、塩化メチレン(150mL)を加え二相分離した。水相から塩化メチレン(150mL)で抽出し、有機相を併せて硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、塩化メチレンを留去して、粗生成物(142.2g)を得た。これを減圧蒸留して、GC純度94%以上の留分としてCH3CHClCOOCH2CH(OCH3)CH=CH2(98.7g)を得た。
【0087】
沸点:102〜104℃/2.7kPa。
1H−NMR(300.40MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.70(dd,J=1.1,5.8Hz,3H),3.37(d,J=0.64Hz,3H),3.83〜3.90(m,1H),4.18〜4.21(m,2H),4.43(dq,J=1.3,6.9,7.1Hz,1H),5.31〜5.40(m,2H),5.63〜5.76(m,1H)。
【0088】
[例9]CH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)COOCH2CH(OCH3)CH=CH2の製造例(RA1がメトキシ基である化合物(14))の製造例
500mLの4つ口フラスコにDMF(200mL)、水素化ナトリウム(60%鉱油分散液、22.4g)を仕込み撹拌し、氷冷下、CH2=CHCH(OCH3)CH2OH(57.2g)を滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した。次に、例8で得たCH3CHClCOOCH2CH(OCH3)CH=CH2(98g)を、内温が40℃以下に保たれるように適宜冷却しながら、30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で一晩撹拌した。
【0089】
反応混合物を水(1L)に加えた後、2mol/Lの塩酸を加えpH3に調整した。得られた溶液を、ヘキサン/酢酸エチル=2/1の混合液200mLで3回抽出し、有機相を水(100mL)で2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して残渣(115g)を得た。これを減圧蒸留して、GC純度98.6%のCH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)COOCH2CH(OCH3)CH=CH2(80.2g)を得た。
【0090】
CH2=CHCH(OCH3)CH2OH(40g)を用いて同様の反応を行い、 CH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)COOCH2CH(OCH3)CH=CH2(46g)を得た。
【0091】
沸点:130〜131℃/1.2〜1.3kPa。
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.40〜1.45(m,3H),3.31〜3.43(m,6H),3.36〜3.48(m,1H),3.61〜3.69(m,1H),3.76〜3.85(m,2H),4.05〜4.15(m,2H),4.18〜4.25(m,1H),5.25〜5.38(m,4H),5.63〜5.79(m,2H)。
【0092】
[例10]CH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OH(RA1がメトキシ基である化合物(1A))の製造例
窒素気流下、2Lの4つ口フラスコにトルエン(750mL)、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム(65%トルエン溶液、384mL)を仕込んで撹拌し、内温20℃以下で、例9で得たCH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)COOCH2CH(OCH3)CH=CH2(110g)を50分かけて滴下した。内温50℃で4.5時間撹拌した後、氷浴で内温を20℃以下に保ちながら、2mol/Lの塩酸100mLを滴下した。
【0093】
反応混合物を2mol/Lの塩酸3.2mLに加え、沈殿物をろ過で除去した。得られたろ液を塩化メチレン(900mL)で抽出した。分液した水相からさらに塩化メチレン(900mL)で抽出し、有機相を併せて水(150mL)で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去して粗生成物(92.9g)を得た。これを減圧蒸留して、GC純度96%のCH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OH(47g)を得た。
【0094】
沸点:100〜103℃/2.1kPa。
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.12,1.12(d,J=6.0Hz,d,J=6.2Hz,3H),3.33,3.35(s,3H),3.42〜3.71(m,5H),3.76〜3.84(m,1H),5.26〜5.36(m,2H),5.62〜5.80(m,1H)。
【0095】
[例11]CH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(RA1がメトキシ基である化合物(3A))の製造例
例10で得たGC純度96%のCH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OH(47g)をフラスコに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(109g)を、内温を25〜30℃に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、30℃で2時間撹拌し、トリエチルアミン(8.7g)を内温15℃以下で加えた。
【0096】
得られた粗液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で精製して、GC純度99%のCH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(124g)を得た。
【0097】
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.21,1.22(d,J=6.3,6.6Hz,3H),3.31,3.32(s,3H),3.42〜3.59(m,2H),3.67〜3.81(m,2H),4.24〜4.43(m,2H),5.24〜5.31(m,2H),5.62〜5.77(m,1H)。
【0098】
19F−NMR(282.7MHz,溶媒:CDCl3,基準:CFCl3)δ(ppm):−80.0(1F),−81.3(3F),−82.1(3F),−86.4(1F),−129.5(2F),−131.5(1F)。
【0099】
[例12]CH2ClCHClCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(RA1がメトキシ基である化合物(4A))の製造例
例11で得たGC純度99%のCH2=CHCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(123g)をフラスコに入れ、−20℃の浴温下で撹拌した。塩素ガス(21.8g)を、内温を0℃以下に保ちながら1.5時間かけて吹き込んだ。室温にして窒素ガスをバブリングさせながら1時間撹拌し、得られた粗液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で精製してCH2ClCHClCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(88g)を得た。
【0100】
1H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl3,基準:TMS)δ(ppm):1.22〜1.30(m,3H),3.46,3.47,3.50,3.51,3.53(each s,total 3H),3.50〜4.02(m,6H),4.19〜4.50(m,3H)。
【0101】
19F−NMR(282.7MHz,溶媒:CDCl3,基準:CFCl3)δ(ppm):−80.0(1F),−81.3(3F),−82.1(3F),−86.3(1F),−129.5(2F),−131.5(1F)。
【0102】
[例13]CF2ClCFClCF(OCF3)CF2OCF(CF3)COF(RAF1がトリフルオロメトキシ基である化合物(5A))の製造例
500mLのニッケル製オートクレーブに、R113(312g)とフッ化ナトリウム粉末(8.0g)を加えて撹拌し、−5℃に保った。オートクレーブガス出口には−10℃に保持した冷却器を設置した。窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、希釈フッ素ガスを流量8.20L/hで1時間吹き込んだ。つぎに、希釈フッ素ガスを同じ流量で吹き込みながら、例12で得たCH2ClCHClCH(OCH3)CH2OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(3.81g)をR113(76.2g)に溶解させた溶液を3.8時間かけて注入した。
【0103】
つぎに、反応器圧力を0.15MPaに保ちながら希釈フッ素ガスを同じ流量で吹き込み、さらにベンゼン濃度が0.01g/mLであるベンゼンとR113との混合溶液を、25℃から40℃にまで昇温しながら9mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入バルブを閉め、0.3時間撹拌を続けた。つぎに反応器圧力を0.15MPaに、反応器内温度を40℃に保ちながら、上記のベンゼン溶液を6mL注入し、0.3時間撹拌を続けた。さらに、同様の操作を3回くり返した。ベンゼンの注入総量は0.34g、R113の注入総量は33mLであった。さらに希釈フッ素ガスを0.7時間、次に窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。GC−質量分析法により分析した結果、CF2ClCFClCF(OCF3)CF2OCF(CF3)COF(収率39%)、CF3CF(OCF2CF2CF3)COF(収率41%)の生成を確認した。反応生成物中には、CF3CF[OCF2CF(OCF3)CFClCF2Cl)]CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(収率24%)も含まれていた。
【0104】
[例14]CF2=CFCF2CF2OCF=CF2(RAFがフッ素原子である化合物(7))の製造例
例7で得たCF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COFを用いて公知の方法(特開平2−42038)にしたがって標記化合物を合成した。すなわち、CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COF(133g)を、氷冷したメタノール(300mL)中にゆっくり滴下した。さらに、水酸化カリウムのメタノール溶液を、反応液がアルカリ性になるまで加えた。その後、メタノールを留出させ、充分に乾燥させた後、190℃で熱分解してCF2ClCFClCF2CF2OCF=CF2(80g)を得た。
【0105】
500mLの4つ口フラスコに亜鉛(60g)および1,4−ジオキサン(200mL)を入れた後、上記で得たCF2ClCFClCF2CF2OCF=CF2(80g)をゆっくり滴下した。滴下終了1時間後に亜鉛をろ別し、蒸留によりCF2=CFCF2CF2OCF=CF2(31.9g、収率50%)を得た。
【0106】
[例15]重合体の製造例
例14で得たCF2=CFCF2CF2OCF=CF2を用いて公知の方法と同様の方法で重合を行った。すなわち、CF2=CFCF2CF2OCF=CF2(35g)、イオン交換水(150g)、および重合開始剤[((CH32CHOCOO)2、90mg]を200mLの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。これを3回窒素置換した後、40℃で22時間懸濁重合を行った。その結果重合体を得た。
【0107】
重合体の固有粘度[η](ペルフルオロ(2―ブチルテトラヒドロフラン)中、30℃で測定)は、0.5dL/gであった。重合体のガラス転移点は108℃であり、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であった。また、10%熱分解温度は460℃であり、屈折率は1.34、光線透過率は95%以上であり、従来の方法で得た重合体と同等のものが生成していた。
【0108】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、安価で入手が容易な化合物(1)から短工程かつ高収率でvic−ジクロロ構造を有するフルオリド化合物(5)が製造できる。フルオリド化合物(5)はフッ素樹脂製造用モノマーの原料として有用な化合物である。また、本発明によれば、該モノマーの原料として有用な新規な化合物が提供される。また化合物(5)とともに得られる化合物(2)を再び化合物(1)との反応に用いることによる化合物(1)の連続製造方法も提供されうる。

Claims (17)

  1. 化合物(1)と化合物(2)とを反応させて化合物(3)とし、該化合物(3)に塩素化剤を反応させることにより化合物(4)とし、該化合物(4)を液相中でフッ素と反応させて化合物(5)を得ることを特徴とするフルオリド化合物の製造方法。
    CH=CHCHRCHOCH(CH)CHOH ・・・(1)
    FCOR ・・・(2)
    CH=CHCHRCHOCH(CH)CHOCOR ・・・(3)
    CHClCHClCHRCHOCH(CH)CHOCOR・・・(4)
    CFClCFClCFRAFCFOCF(CF)COF ・・・(5)
    ただし、Rは水素原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、Rが水素原子である場合のRAFはフッ素原子であり、Rがアルキル基またはアルコキシ基である場合のRAFは該基中の水素原子の1個以上がフッ素化された基であり、R炭素数1〜20の、1価炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化された1価炭化水素基、またはハロゲン化された(エーテル性酸素原子含有1価炭化水素)基である。
  2. 化合物(5)とともに化合物(2F)を得る請求項1に記載の製造方法。
    FCORBF・・・(2F)
    ただし、RBがフッ素と反応しない基である場合のRBFはRBと同一の1価有機基であり、RBがフッ素と反応する基である場合のRBFはRBがフッ素化された1価有機基である。
  3. 化合物(2F)を、請求項2に記載の製造方法で得て、該化合物(2F)を、化合物(1)と反応させる化合物(2)として用いる請求項に記載の製造方法。
  4. が、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロ(部分クロロアルキル)基、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有アルキル)基、またはペルフルオロ(部分クロロ(エーテル性酸素原子含有アルキル))基である請求項1、2、または3に記載の製造方法。
  5. 化合物(1)が化合物(1A)であり、化合物(2)が化合物(2A)であり、化合物(3)が化合物(3A)であり、化合物(4)が化合物(4A)であり、化合物(5)が化合物(5A)である請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0004956856
    ただし、RA1は水素原子またはアルコキシ基であり、RA1が水素原子である場合のRAF1はフッ素原子であり、RA1がアルコキシ基である場合のRAF1はペルフルオロアルコキシ基である。
  6. A1が水素原子またはメトキシ基であり、RA1が水素原子である場合のRAF1はフッ素原子であり、RA1がメトキシ基である場合のRAF1はトリフルオロメトキシ基である請求項5に記載の製造方法。
  7. 化合物(5A)とともに化合物(2A)を得て、該化合物(2A)の一部または全部を化合物(1A)と反応させる化合物(2A)として用いる請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 化合物(4)を液相中でフッ素と反応させて化合物(5)を得ることを特徴とするフルオリド化合物の製造方法。
    CH2ClCHClCHRACH2OCH(CH3)CH2OCORB ・・・(4)
    CF2ClCFClCFRAFCF2OCF(CF3)COF ・・・(5)
    ただし、RAは水素原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、RAが水素原子である場合のRAFはフッ素原子であり、RAがアルキル基またはアルコキシ基である場合のRAFは該基中の水素原子の1個以上がフッ素化された基であり、RBは1価有機基である。
  9. Bが、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロ(部分クロロアルキル)基、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有アルキル)基、またはペルフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有アルキル))基である請求項8に記載の製造方法。
  10. 化合物(4)が化合物(4A)であり、化合物(5)が化合物(5A)である請求項8または9に記載の製造方法。
    Figure 0004956856
    ただし、RA1は水素原子またはアルコキシ基であり、RA1が水素原子である場合のRAF1はフッ素原子であり、RA1が水素原子である場合のRAF1はペルフルオロアルコキシ基である。
  11. 液相が、C−H結合を含まずC−F結合を必須とする有機溶媒を必須成分とする請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 化合物(4)中の水素原子に対して過剰当量のフッ素を液相中に供給しながら反応させる請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 化合物(5)を、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法で得て、該化合物(5)を熱分解して化合物(6)とし、さらに該化合物(6)を脱塩素化することを特徴とする化合物(7)の製造方法。
    CFClCFClCFRAFCFOCF=CF ・・・(6)
    CF=CFCFRAFCFOCF=CF ・・・(7)
    ただし、RAFはフッ素原子、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素化された基、またはアルコキシ基の水素原子の1個以上がフッ素化された基である。
  14. 化合物(7)を、請求項13に記載の製造方法で得て、該化合物(7)の1種以上を重合させる、または、化合物(7)を、請求項13に記載の製造方法で得て、該化合物(7)の1種以上と該化合物(7)と共重合可能な重合性単量体の1種以上を重合させる、ことを特徴とするフッ素樹脂の製造方法。
  15. アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物の存在下でフッ素と反応させる請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
  16. 化合物(3A)、化合物(4A)または化合物(5B)。
    Figure 0004956856
    ただし、RA1は水素原子またはアルコキシ基であり、nは0〜9の整数である。
  17. 化合物(3A−1)、化合物(3A−2)、化合物(4A−1)、化合物(4A−2)または化合物(5B−1)。
    Figure 0004956856
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