JP4626118B2 - vic−ジクロロ酸フルオリド化合物の製造方法 - Google Patents

vic−ジクロロ酸フルオリド化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、フッ素樹脂原料モノマーの製造中間体として有用な、vic−ジクロロ構造を有する酸フルオリド化合物の新規な製造方法に関する。
【0002】
【背景の技術】
ペルフルオロアルキル鎖の末端にvic−ジクロロ構造(2つの隣接する炭素に、塩素原子が1個結合した構造)を有し、かつフルオロカルボニル基(−COF)を併有する化合物は、フッ素化樹脂またはフッ素樹脂原料モノマーの製造中間体として有用である。たとえば、−CF2ClCFClを有する化合物は、亜鉛と反応させ、次に脱塩素化することにより、ペルフルオロビニル基(CF2=CF−)を有する酸フルオリド化合物を生成させることができる。該化合物のペルフルオロビニル基は重合性基であり、これを重合させることにより種々のフッ素化樹脂が製造できる。フッ素化樹脂は耐熱性および耐薬品性に優れた有用な樹脂である。
【0003】
例えば、上記のフッ素化樹脂のうち、ペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)[CF2=CFCF2CF2OCF=CF2]の単独重合体は、透明なフッ素化樹脂として種々の分野に用いられている。かかるフッ素化樹脂のモノマーである、ペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)は、従来、次の製造ルートで合成されている。
【0004】
CF2=CFCl + ICl → CF2ClCFClI(A) → CF2ClCFClCF2CF2I(B)
CF2=CF2
(B)+発煙硫酸→CF2ClCFClCF2COF(C) → CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COF(D)
KF,HFPO
(D)+ソーダ灰/ガラスビーズ → CF2ClCFClCF2CF2OCF=CF2(E)
250℃以上
(E)+亜鉛 → CF2=CFCF2CF2OCF=CF2
【0005】
すなわち、CF2=CFClと塩化ヨウ素とを反応させて化合物(A)を生成し、該化合物(A)とテトラフルオロエチレンとを反応させて化合物(B)を生成し、該化合物(B)と発煙硫酸とを反応させて化合物(C)を生成する。さらに化合物(C)をKF等のフッ化アルカリの存在下にヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)と反応させて化合物(D)を生成し、さらに化合物(D)をソーダ灰またはガラスビーズの存在下、250℃以上に加熱して化合物(E)とし、さらに化合物(E)を亜鉛と反応させて脱塩素化することにより、ペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)を得る方法である。
【0006】
しかし、従来のペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)などの製造方法は、化合物(A)を製造する工程において、化合物(A)とともに、その異性体であるCF2ICFCl2が副生する問題があった。そして該異性体量を制御することが困難であった。また、これら従来の製造方法は、反応工程が多く、原料の価格も高いので、経済的に不利であった。また、塩化ヨウ素や発煙硫酸等を使用することから、装置が腐食する問題や、反応試薬の取り扱いが難しい問題があった。
【0007】
一方、炭化水素系化合物中のC−H部分の全てをC−Fにフッ素化する方法としては、元素状フッ素を用いて直接フッ素化する方法(以下、直接フッ素化法という。)及び、電解槽中でフッ化水素を電気分解し、発生する生成物を用いてフッ素化反応を行う方法(いわゆる電解フッ素化反応)が知られている。そして、直接フッ素化反応には、気相中でフッ素化する反応(以下、気相反応という。)と、液相中でフッ素化する反応(以下、液相反応という。)が知られている。
【0008】
また、炭素数16以上のペルフルオロ化されたエステル化合物を熱分解して酸フルオリド化合物を得る方法も知られている。該酸フルオリド化合物は、対応する炭素骨格を有する炭化水素系のエステル化合物を原料とし、これをフッ素を用いて液相で直接フッ素化することにより生成できると記載されている(J.Am.Chem.Soc.,120,7117(1998))。
【0009】
また、塩素原子を有しないペルフルオロアルキルエステルを、求核剤と溶媒の存在下に反応させてペルフルオロ酸フルオリドを生成する方法も提案されている。(米国特許5466877号)
しかし、上記した直接フッ素化法や電解フッ素化反応などにより、ペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)の前駆体である、パーフルオロ(3,4−ジクロロブチルビニルエーテル)などのvic−ジクロロ構造を有する酸フルオリド化合物(1)を製造しようとすることは、従来、考えられてもいないし、また提案されてもいない。
【0010】
本発明の目的は、ペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)の前駆体である、パーフルオロ(3,4−ジクロロブチルビニルエーテル)などのvic−ジクロロ構造を有する酸フルオリド(III)を、安価で入手容易な原料化合物から短工程で製造しうる方法を提供することにある。従来の方法は、反応工程が多く、原料の価格も高く、経済的に不利であり、また、塩化ヨウ素や発煙硫酸等を使用することから、装置が腐食する問題や、反応試薬の取り扱いが難しい問題を含んでいた。
【0011】
【発明の開示】
本発明は、下記化合物(I)を液相中でフッ素化して下記化合物(II)を生成させ、該化合物(II)のエステル結合を分解して下記化合物(III)、または、下記化合物(III)および下記化合物(IV)を生成させることを特徴とするvic−ジクロロ酸フルオリド化合物の製造方法を提供する。
(RH1−EH1−)CRH2H3CH2−OCORHB(I)
(CF2ClCFCl−EF1−)CRF2F3CF2−OCORFB(II)
(CF2ClCFCl−EF1−)CRF2F3COF(III)
FCORFB(IV)
ただし、
H1:CX12ClCX3Cl−またはCClX4=CCl−。ただし、X1〜X4は、それぞれ独立して水素原子またはフッ素原子。
H2、RH3:それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、またはハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基。
H1:2価連結基または単結合。
F1:EH1に対応する基であり、EH1が単結合である場合は、EF1は単結合であり、EH1が1つまたはそれ以上の水素原子を有する2価連結基である場合には、EF1は該水素原子の1個以上がフッ素化された基であり、EH1が水素原子を有しない2価連結基である場合にはEF1はEH1と同一の基。
HB:1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、またはハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基。
F2、RF3、RHB:RF2はRH2がフッ素化された基、RF3はRH3がフッ素フッ素化された基、RFBはRHBがフッ素化された基であり、RH2、RH3、RHB中に水素原子が存在する場合は、該水素原子の1個以上がフッ素化された基であり、RH2、RH3、RHB中に水素原子が存在しない場合には、RH2、RH3、RHBと同一の基。
【0012】
本発明によれば、後に詳記されるように、安価で入手が容易な化合物(I)を用いて、短い工程かつ高い収率でvic−ジクロロ構造を有する酸フルオリド化合物(III)が製造できる。
また、本発明の製造方法は、塩化ヨウ素や発煙硫酸等を使用しないことから、装置が腐食する問題や、反応試薬の取り扱いなどが難しい問題もない。
さらに、vic−ジクロロ構造を有する酸フルオリド化合物(III)とともに得られる化合物(IV)を原料製造工程にリサイクルすることによる化合物(III)の連続製造方法も提供される。
さらに、本発明では、上記反応工程を通じて従来にない新規な化合物も提供される。
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
[本発明で使用される用語の説明]
本明細書における1価飽和炭化水素基としては、直鎖構造、分岐構造、環構造(すなわちシクロアルキル基)、または部分的に環構造を有する構造の基が挙げられる。1価飽和炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましく、特に1〜10が好ましい。
【0014】
本明細書におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子が好ましい。また、本明細書における「ハロゲノ」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子により、基中に存在する水素原子の1個以上が置換されたことをいう。ハロゲノ基の基中には、水素原子が存在していても、存在しなくてもよい。なお、「フルオロ」などの用語の意味も同様である。
「部分ハロゲノ」とは、ハロゲノ基の基中にハロゲン原子に置換されない水素原子が存在することをいう。なお、「部分フルオロ」、「ペルフルオロ」などの用語の意味も同様である。
【0015】
本明細書におけるハロゲノ1価飽和炭化水素基としては、前記1価飽和炭化水素基中の水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換された基である。ハロゲノ1価飽和炭化水素基中のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子が好ましい。ペルハロゲノ1価飽和炭化水素基中のハロゲン原子としては、フッ素原子のみであるか、フッ素原子とフッ素原子以外のハロゲン原子からなるのが好ましい。なお、これらの基の具体例は、下記化合物の例示中に記載する基が挙げられる。
【0016】
本明細書におけるヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基としては、前記1価飽和炭化水素基中にフッ素化反応により変化しないヘテロ原子またはフッ素化反応により変化しないヘテロ原子を含む基が挙げられる。特に1価飽和炭化水素基中に、フッ素化反応により変化しない2価ヘテロ原子または2価ヘテロ原子団を含む基、が好ましい。
ここで、フッ素化反応により変化しない2価ヘテロ原子としては、エーテル性酸素原子が好ましく、フッ素化反応により変化しない2価ヘテロ原子団としては、−C−C(=O)−C−、−C−SO2−C−が挙げられる。
【0017】
ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基としては、エーテル性酸素原子を含むアルキル基、または、シクロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基、またはシクロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された1価飽和炭化水素基が好ましい。
また、ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基としては、前記ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基中の水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換された基であり、ハロゲノ(アルコキシアルキル)基、またはハロゲノアルコキシ基が挙げられる。
【0018】
[化合物(I)の説明]
化合物(I)中のRH1は、CX12ClCX3Cl−またはCClX4=CCl−(ただし、X1〜X4は、それぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を示す。)であり、原料の入手しやすさ、および、本発明の方法の経済性を考慮するとX1〜X4の全てが水素原子であるのが好ましい。
【0019】
H1が単結合であるとは、RH1と、RH2とRH3とが結合する炭素原子とが直接結合することをいう。EH1が2価連結基である場合、2価飽和炭化水素基、2価ハロゲノ飽和炭化水素基、2価(ヘテロ原子含有飽和炭化水素基)または、2価ハロゲノ(ヘテロ原子含有飽和炭化水素基)基が好ましい。2価連結基は、直鎖構造であっても、分岐構造であっても、環構造を含む構造であってもよい。
【0020】
H2およびRH3の構造は、目的化合物の構造に応じて適宜変更すればよく、入手しやすさの点から水素原子、アルキル基、ハロゲノアルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有ハロゲノアルキル基が好ましい。また、後述するフッ素化反応によりRH2およびRH3中にフッ素原子が導入されうることから、RH2およびRH3がハロゲノ基である場合には、フッ素原子以外のハロゲン原子を含む基であるのが経済性の点から好ましい。
【0021】
H1、RH2、およびRH3はそれぞれ、目的化合物(III)に対応する構造のものを適宜選択すればよく、入手しやすさ、および、製造方法の経済性等を考慮すると、フッ素原子を含まない基が好ましい。さらに、EH1は、アルキレン基またはヘテロ原子含有アルキレン基が好ましく、RH2およびRH3は、水素原子、アルキル基、またはヘテロ原子含有アルキル基が好ましい。
【0022】
HBは、化合物(I)がフッ素化時に用いる液相に溶解しやすいように、その構造を調節するのが好ましい。RHBは、ハロゲノアルキル基またはハロゲノ(ヘテロ原子含有アルキル)基であるのが好ましく、フッ素原子を必須とするこれらの基が特に好ましく、とりわけペルフルオロアルキル基、ペルフルオロ(部分クロロアルキル)基、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有アルキル)基、またはペルフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有アルキル))基が好ましい。RHBがフッ素原子を必須とする基である場合には、化合物(I)を次に液相中でフッ素化する際に、液相中への溶解性が良好になり、フッ素化反応を均一な系で実施しうることから特に好ましい。
【0023】
さらに、化合物(I)中のフッ素含量(分子中のフッ素原子の割合)は、フッ素化反応に用いる液相の種類に応じて適宜変更するのが好ましい。通常はフッ素含量(化合物の分子量に対するフッ素原子の割合)の下限は10質量%が好ましく、特に30質量%が好ましい。また、上限は86質量%が好ましく、特に80質量%が好ましい。さらに、化合物(I)の分子量は300〜1000であるのが、液相中でのフッ素化反応時に、気相中での反応が起こることを防止でき、反応を円滑に実施できる点で好ましい。分子量が小さすぎると化合物(I)が気化しやすくなるため、液相でのフッ素化反応時に気相中で分解反応が起こるおそれがある。一方、分子量が大きすぎると化合物(I)の精製が困難になるおそれがある。
【0024】
化合物(I)としては、公知の化合物および下記に示す新規化合物が挙げられる。
CClH=CClO(CH2)5OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3
CH2=CH(CH2)2O(CH2)3OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3
CH2ClCHCl(CH2)2O(CH2)3OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3
【0025】
[化合物(I)から化合物(II)への変換]
本発明においては、化合物(I)を液相中でフッ素化する。液相中でのフッ素化は、化合物(I)を溶媒中で元素状フッ素と反応させてフッ素化する方法(フッ素化法−1)、または、電気化学的フッ素化(フッ素化法−2)が挙げられ、なかでもフッ素化法−1が好ましい。
フッ素化法−2でフッ素化を行う場合には、無水フッ化水素酸に化合物(I)を溶解して溶液とし、この溶液を電解槽中で電解することにより化合物(I)をフッ素化して化合物(II)を生成するのが好ましい。
【0026】
フッ素化法−1でフッ素化を行う場合には、化合物(I)とフッ素ガスとを溶媒(以下、溶媒1という。)中で反応させて、化合物(II)を生成させるのが好ましい。フッ素ガスは、100%のフッ素ガスを用いても、不活性ガスで希釈したフッ素ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、経済的な理由から窒素ガスが特に好ましい。不活性ガスとフッ素ガスの混合ガス中のフッ素ガス量は、5vol%以上とするのが効率の点で好ましく、なかでも5〜30vol%とするのが塩素の引き抜きや塩素のマイグレーションを防ぐ点で特に好ましい。
【0027】
フッ素化法−1に用いる溶媒1としては、C−H結合を含まずC−F結合を必須的に含む溶媒が好ましい。さらに、ペルフルオロアルカン類、または、塩素原子、窒素原子、および酸素原子から選ばれる1種以上の原子を構造中に有する公知の有機溶剤をペルフルオロ化した有機溶剤が好ましい。さらに溶媒1としては、化合物(I)の溶解性が高い溶媒を用いるのが好ましく、特に、溶媒と化合物(I)との総量に対して、化合物(I)を1質量%以上溶解しうる溶媒、特には5質量%以上溶解しうる溶媒を用いるのが好ましい。
【0028】
溶媒1の例としては、化合物(II)、化合物(III)、化合物(IV)、ペルフルオロアルカン類(FC−72等)、ペルフルオロエーテル類(FC−75、FC−77等)、ペルフルオロポリエーテル類(商品名:クライトックス、フォンブリン、ガルデン、デムナム等。)、クロロフルオロカーボン類(商品名:フロンルーブ)、クロロフルオロポリエーテル類、ペルフルオロアルキルアミン[たとえば、ペルフルオロトリアルキルアミン等]、不活性流体(商品名:フロリナート)等が挙げられる。このうち、溶媒1としては、ペルフルオロトリアルキルアミン、または化合物(II)が好ましい。特に、化合物(II)を用いる場合には反応後の後処理が容易になる利点がある。溶媒1の量は、化合物(I)に対して、5倍質量以上が好ましく、特に10〜100倍質量が好ましい。
【0029】
フッ素化法1のフッ素化反応の反応形式は、バッチ方式または連続方式が好ましい。特に、反応収率と選択率の点から、以下に説明する連続方式が好ましく、なかでも連続方式(その2)が好ましい。またフッ素ガスは、バッチ方式で実施する場合においても、連続方式で実施する場合においても、窒素ガス等の不活性ガスで希釈したものを使用してもよい。
【0030】
[連続方式(その1)]反応器に、化合物(I)と溶媒1とを仕込み、撹拌を開始する。この方法は、所定の反応温度と反応圧力下で、フッ素ガスを、連続的に供給しながら反応させる方法である。
【0031】
[連続方式(その2)]反応器に溶媒1を仕込み、撹拌を開始する。この方法は、所定の反応温度と反応圧力下で、化合物(I)と溶媒1とフッ素ガスとを所定のモル比で連続的かつ同時に供給する方法である。
連続方式(その2)において化合物(I)を供給する際には、溶媒1で希釈してもしなくてもよい。また、連続方式(その2)において、化合物(I)を溶媒で希釈する際には、化合物(I)に対する溶媒1の量を、5倍質量以上とするのが好ましく、特に10倍質量以上とするのが好ましい。
【0032】
バッチ方式で反応を実施する場合には、化合物(I)中の水素原子に対して、フッ素の量が常に過剰当量となるようにフッ素ガスを仕込むのが好ましく、特に、化合物(I)中の水素原子に対して1.5倍当量以上(1.5モル倍以上)となるようにフッ素ガスを仕込むのが選択率の点から好ましい。また、連続プロセスで反応を実施する場合には、化合物(I)中の水素原子に対して、フッ素量が過剰当量となるようにフッ素ガスを供給し続けるのが好ましく、特に、化合物(I)中の水素原子に対して1.5倍当量以上(1.5モル倍以上)となるようにフッ素ガスを連続的に供給することが、選択率の点から好ましい。
【0033】
フッ素化法−1のフッ素化反応の反応温度は、EH1の構造により変更されうるが、−60℃以上かつ化合物(I)の沸点以下が好ましい。反応収率、選択率、および工業的実施上の効率の点から−50℃〜+100℃が特に好ましく、−20℃〜+50℃が塩素の引き抜きや塩素のマイグレーションを防ぐ点でとりわけ好ましい。フッ素化反応の反応圧力は特に限定されず、常圧〜2MPa(ゲージ圧、以下も同じ)が、反応収率、選択率、工業的な実施上の効率の観点から特に好ましい。
【0034】
さらに、フッ素化法−1を効率的に進行させるためには、反応系中にC−H結合含有化合物を添加するか、または、紫外線照射下に実施するのが好ましい。たとえば、フッ素化反応後期にC−H結合含有化合物を反応系中に添加するか、または、紫外線を照射するのが好ましい。これにより、通常フッ素化されにくい水素原子を効率的にフッ素化でき、反応率を飛躍的に向上させうる。紫外線照射時間は、0.1〜3時間であるのが好ましい。
【0035】
C−H結合含有化合物としては、化合物(I)以外の有機化合物であり、特に芳香族炭化水素が好ましい。とりわけベンゼン、トルエン等が好ましい。該C−H結合含有化合物の添加量は、化合物(I)中の水素原子に対して0.1〜10モル%であるのが好ましく、特に0.1〜5モル%であるのが好ましい。
C−H結合含有化合物は、反応系中に元素状のフッ素が存在する状態で添加するのが好ましい。さらに、C−H結合含有化合物を加えた場合には、反応系を加圧するのが好ましい。加圧時の圧力としては、0.01〜5MPaが好ましい。
【0036】
[化合物(II)についての説明]
化合物(I)のフッ素化反応では、化合物(II)が生成する。化合物(II)中のRH1はフッ素化反応により、水素原子がフッ素原子に置換され、また、RH1がCClX4=CClである場合は、不飽和結合部分にフッ素原子が付加して、CF2ClCFCl−になる。
【0037】
F1は、EH1が単結合である場合は単結合、EH1が水素原子を含まない2価連結基である場合には該2価連結基と同一の基、EH1が1つ以上の水素原子を含む2価連結基である場合には、EF1は該水素原子の1個以上がフッ素化された基である。たとえば、EH1がペルハロゲノ基である場合のEF1はEH1と同一基である。EH1がアルキレン基またはアルキレン基の炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入された基である場合には、EF1はこれらの基中の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基である。EF1はペルフルオロアルキレン基またはペルフルオロ(ヘテロ原子含有)アルキレン基であるのが好ましい。
【0038】
F2 、RF3は、それぞれ独立に、フッ素原子、部分ハロゲノ若しくはペルハロゲノ(1価飽和炭化水素)基、または部分ハロゲノ若しくはペルハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基が好ましい。RH2およびRH3中に水素原子が存在しないときはRH2およびRH3がフッ素化により変化しないことから、RF2およびRF3は、それぞれRH2およびRH3と同一である。RH2およびRH3が水素原子を含む基である場合(たとえば、RH2およびRH3がそれぞれ部分フルオロ1価飽和炭化水素基である場合)には、RF2およびRF3はそれぞれ該水素原子の1個以上がフッ素化された基であり、好ましくは、ペルフルオロ1価飽和炭化水素基である。また、RH2およびRH3がそれぞれ部分クロロ1価飽和炭化水素基である場合には、RF2およびRF3はそれぞれ、基中の水素原子の1個以上がフッ素化されたフルオロ(部分クロロ1価飽和炭化水素基)であり、特に、ペルフルオロ(部分クロロアルキル)基が好ましい。
【0039】
F2およびRF3はフッ素原子、ペルフルオロ1価飽和炭化水素基またはペルフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
FBは、RHBに対応する基であり、RHBがハロゲノ基である場合にはRHBと同一基であり、RHBが水素含有基である場合には、該水素がフッ素化された基である。RFBはペルフルオロアルキル基またはペルフルオロ(アルコキシアルキル)基であるのが好ましい。
【0040】
化合物(I)を液相中でフッ素化する反応では、HFが副生物として生成する。副生したHFを除去するには、反応系中にHFの捕捉剤を共存させる、または反応器ガス出口でHF捕捉剤と出口ガスを接触させるのが好ましい。該HF捕捉剤としては、アルカリ金属フッ化物(たとえばフッ化ナトリウム等)などの塩基が好ましく、該塩基は反応系中に存在させてもよい。HF捕捉剤としては、アルカリ金属フッ化物が好ましく、NaFが特に好ましい。
【0041】
反応系中にHF捕捉剤を共存させる場合の量は、化合物(I)中に存在する全水素原子量に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルが好ましい。反応器ガス出口にHF捕捉剤をおく場合には、(1)冷却器(10℃〜室温に保持するのが好ましく、特には約20℃に保持するのが好ましい。)、(2)NaFペレットなどのHF捕捉剤の充填層、および(3)冷却器(−78℃〜+10℃に保持するのが好ましく、−30℃〜0℃に保持するのが好ましい)を(1)−(2)−(3)の順に直列に設置するのが好ましい。なお、(3)の冷却器からは凝集した液を反応器に戻すための液体返送ラインを設置してもよい。
【0042】
フッ素化反応で得た化合物(II)を含む粗生成物は、そのまま次の工程に用いてもよく、または精製して高純度のものにしてもよい。精製方法としては、粗生成物をそのまま常圧または減圧下に蒸留する方法等が挙げられる。
【0043】
[化合物(II)から化合物(III)/化合物(IV)への変換]
次に本発明においては、化合物(II)のエステル結合の分解により化合物(III)および/または化合物(IV)を得る。本発明の製造方法による目的化合物は、化合物(III)であっても、化合物(IV)であっても、または化合物(III)と化合物(IV)の両方であってもよい。
【0044】
化合物(II)のエステル結合を分解する反応は、−CF2OCO−を切断して2つのーCOF基を形成する反応である。該反応は、熱分解反応または求核剤もしくは求電子剤の存在下に行なう分解反応により実施するのが好ましい。
熱分解反応は、化合物(II)を加熱することにより実施できる。熱分解反応の反応形式としては、化合物(II)の沸点とその安定性により選択するのが好ましい。たとえば、気化しやすい化合物(II)は、熱的に分解される。気相で連続的に分解させて、得られた化合物(III)を含む出口ガスを凝縮し、回収する気相熱分解法を採用しうる。
【0045】
気相熱分解法の反応温度は50〜350℃が好ましく、50〜300℃が特に好ましく、とりわけ150〜250℃が好ましい。また、反応系中に、反応には直接関与しない不活性ガスを共存させてもよい。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。不活性ガスは化合物(II)に対して0.01〜50体積%程度を添加するのが好ましい。不活性ガスの添加量が多いと、生成物回収量が低減することがある。
【0046】
一方、化合物(II)が気化しにくい化合物である場合の熱分解反応は、反応器内で液状で加熱する液相熱分解法を採用するのが好ましい。この場合の反応圧力は限定されない。通常の場合、エステル分解の生成物は、より低沸点であることから、該反応は蒸留塔を付けた反応器を用いて低沸点の生成物を連続的に抜き出しながら行なうのが好ましい。また加熱終了後に反応器中から一括して生成物を抜き出す方法であってもよい。この液相熱分解法の反応温度は50〜300℃が好ましく、特に100〜250℃が好ましい。
【0047】
液相熱分解法で熱分解を行う場合には、無溶媒で行っても、溶媒(以下、溶媒2という。)の存在下に行ってもよい。溶媒2としては、化合物(II)と反応せず、かつ化合物(II)と相溶性のあるもので、生成物と反応しないものであれば特に限定されない。また、溶媒2としては、生成物の精製時に分離しやすいものを選定するのが好ましい。溶媒2の具体例としては、ペルフルオロトリアルキルアミン、ペルフルオロデカリン、またはクロロトリフルオロカーボンなどの不活性溶媒、特に好ましくは、高沸点であるクロロトリフルオロエチレンオリゴマー(たとえば、旭硝子社商品名:フロンルーブ)、が好ましい。また、溶媒2の量は化合物(II)に対して10〜1000質量%が好ましい。
【0048】
また、化合物(II)を液相中で求核剤または求電子剤と反応させてエステル結合を分解させる場合、該反応は、無溶媒で行っても、溶媒(以下、溶媒3という。)の存在下に行ってもよい。溶媒3としては、溶媒2と同様のものがよい。求核剤としてはフッ素イオン(F-)が好ましく、特にアルカリ金属のフッ化物由来のフッ化物陰イオンが好ましい。アルカリ金属のフッ化物としては、NaF、NaHF2、KF、CsFがよい。これらのうち経済性の面からNaFが特に好ましい。
【0049】
求核剤(たとえばF-)を用いた場合には、化合物(II)のエステル結合中に存在するカルボニル基にF-が求核的に付加し、CF2ClCFClEF1CRF2F3CF2-が脱離するとともに酸フルオリド[化合物(IV)]が生成する。CF2ClCFClEF1CRF2F3CF2 - からはさらにF-が脱離して酸フルオリド[化合物(III)]が生成する。脱離したF-は別の化合物(II)分子と同様に反応する。したがって、反応の最初に用いる求核剤は触媒量であるのが好ましいが、過剰に用いてもよい。すなわちF-等の求核剤の量は化合物(II)に対して1〜500モル%が好ましく、11〜100モル%が特に好ましく、とりわけ5〜50モル%が好ましい。反応温度の下限は、−30℃であるのが好ましく、上限は、溶媒3または化合物(II)の沸点のうち低い温度が好ましい。反応温度は、通常−20℃〜250℃が特に好ましい。この方法も、蒸留塔を付けた反応器を用いて実施するのが好ましい。
【0050】
化合物(II)としては、下記の新規化合物が挙げられる。下記化合物は、実施例中に記載する反応により対応するvic−ジクロロ酸フルオリド化合物に導かれる。
CClF2CClFO(CF2)5OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3
CF2ClCFCl(CF2)2O(CF2)3OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3
エステル結合の分解反応は、NaFの存在下に実施するのが好ましい。NaFの存在下で熱分解反応を実施することにより、熱分解反応を低い温度で実施でき、化合物の分解反応を防止できる。
【0051】
化合物(III)としては、実施例中に示す化合物、および下記の新規化合物が
挙げられる
2ClCFCl(CF22O(CF22COF
【0052】
[原料化合物(I)の入手方法]
化合物(I)の入手方法は特に限定されず、公知の化合物(I)を用いてもよく、また、公知の化合物から製造してもよい。化合物(I)としては、目的とする化合物に対応する種々の構造のものが容易に入手できる。また、次のような原料製造ルート1により入手できる.また化合物(I)のうちRH1−がCX12=CX3−である化合物(B)は原料製造ルート2の方法によっても入手できる。
【0053】
原料製造ルート1では、下記化合物(A1)と下記化合物(A2)とを反応させることにより化合物(I)を製造する方法である。ただし、下記の式において、Xはハロゲン原子を示し、RH1、EH1、RH2 H3 およびR HB は、上記と同じ意味を示す。
(RH1−EH1−)CRH2H3CH−OH(A1)
XCORHB(A2)
【0054】
一方、原料製造ルート2では、下記化合物(B1)に下記化合物(B2)を反応させて下記化合物(B3)とし、次に該化合物(B3)を塩素化剤と反応させて、化合物(I)中のRH1がCX12ClCX3Cl−である化合物(IB)を製造する方法である。ただし、下式中の記号は、上記と同じ意味を示し、X10は、ハロゲン原子、または水酸基を示す。
(CX12=CX3−EH1−)CRH2H3CH2−OH(B1)
10CORHB(B2)
(CX12=CX3−EH1−)CRH2H3CH2−OCORHB (B3)
(CX12ClCX3Cl−EH1−)CRH2H3CH2−OCORHB (IB)
【0055】
上記の原料製造ルート1およびルート−2において、化合物(A1)と化合物(A2)との反応、化合物(B1)と化合物(B2)との反応は、通常のエステル化反応の条件が採用できる。該反応は、溶媒(以下、溶媒4という。)の存在下に実施してもよいが、溶媒4の不存在下に実施するのが容積効率の点から好ましい。溶媒4としては、ハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく、たとえば、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。溶媒4の使用量は、化合物(A1)と化合物(A2)(または化合物(B1)と化合物(B2))の総質量に対して0.5〜5倍量とするのが好ましい。
【0056】
原料製造ルートの具体例は後述する実施例中に示される。該実施例に記載した化合物のうち、下記化合物は新規化合物である。
CHCl=CClO(CH25OH
CH2=CH(CH22OCH2CH2CH2OH
CH2=CH(CH22OCOCF2CFClCF2Cl
CH2=CH(CH22OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)O
CF2CF2CF3
【0057】
上記エステル化反応では、HXが副生する。Xがフッ素原子である化合物(A2)または化合物(B2)を用いた場合には、HFが発生する。このHFの捕捉剤として、アルカリ金属フッ化物(たとえばフッ化ナトリウム等)や、トリアルキルアミン、ピリジン等の塩基を反応系中に存在させてもよい。HF捕捉剤を用いる場合の量は、化合物(A2)または化合物(B2)に対して1〜10倍モルとするのが好ましい。HFの捕捉剤を使用しない場合には、HFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出するのが好ましい。
【0058】
該エステル化反応の下限温度は、通常の場合、−50℃が好ましく、上限は、+100℃または溶媒4の沸点のうち、低い温度が好ましい。また、反応時間は、原料の供給速度と反応に用いる化合物量に応じて適宜変更され、反応圧力は0〜2MPaが好ましい。
【0059】
化合物(B1)と化合物(B2)との反応により生成した化合物(B3)は、次に塩素化剤を反応させて、化合物(IB)を生成させる。該反応は通常の塩素化反応の操作および反応条件で実施できる。塩素化剤としては、塩素(Cl2)が好ましい。塩素を使用する場合の量は、化合物(B3)に対して1〜10倍モルが好ましく、1〜5倍モルが特に好ましい。化合物(B3)と塩素化剤との反応は、溶媒(以下、溶媒5という。)の存在下に実施してもよいが、溶媒5の不存在下に実施するのが容積効率の点から好ましい。溶媒5を用いる場合には、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒を用いるのが好ましい。溶媒5の使用量は、化合物(B3)の質量に対して0.5〜5倍量であるのが好ましい。また、反応温度は−78℃〜+200℃が好ましい。
【0060】
上記の方法で製造された化合物(I)を含む反応粗生成物は、目的に応じて精製を行い高純度のものとしても、そのまま、次の反応に用いてもよい。化合物(I)を含む粗生成物を精製する方法としては、粗生成物をそのまま蒸留する方法、粗生成物を希アルカリ水などで処理して分液する方法、粗生成物を適当な有機溶媒で抽出した後に蒸留する方法、等が挙げられる。
さらに、本発明の製造方法は、化合物(I)〜(IV)における各置換基の種類を選択をすることにより、生成物の分離工程を省略したり、また製造方法を連続方法にせしめることにより,さらに効率的な下記プロセス1〜3となしうる。なお、以下において定義を記さない基は、上記した定義と同じ意味を示す。
【0061】
[プロセス1]
化合物(III)と化合物(IV)とが同一化合物になるように基を選択したプロセスである。該プロセスでは、生成物を分離する工程を省略できる。該プロセス1は、下記のプロセス3と部分的に共通であり、プロセス3において説明される。
【0062】
[プロセス2]
生成する化合物(IV)が化合物(A2)または化合物(B2)と同一構造となるようにRHBを選択したプロセスである。該プロセスによれば、生成した化合物(IV)を再び化合物(A1)または(B1)との反応に用いることができ、本発明の製造方法を連続製造方法にできる。
このプロセスの具体例としては、化合物(A2)または化合物(B2)中のRHBとしてペルハロゲノ基を採用した例が挙げられる。たとえば、化合物(A)として化合物(A2−1)を用いた場合には、以下の製造プロセスとなしうる。
【0063】
たとえば、化合物(A1-1)と化合物(A2-1)を用いた下記製造ルートにおいて、生成した化合物(A2-1)を再び化合物(A1-1)との反応に用いることによる連続製造方法である。
(CH3)(CH2ClCHCl(CH2)2O)CHCH2OH (A1-1)
+ FCOCF(CF3)(OCF2CF2CF3) (A2-1)
→(CH3)(CH2ClCHCl(CH2)2O)CHCH2OCOCF(CF3)(OCF2CF2CF3)(I-1)
→(CF3)(CF2ClCFClCF2CF2O)CFCF2OCOCF(CF3)(OCF2CF2CF3)(II-1)
→(CF3)(CF2ClCFClCF2CF2O)CFCOF(III-1)+化合物(A2-1)
【0064】
(CF3)(CF2ClCFClCF2CF2O)CFCOFは、公知の方法によりフッ素樹脂の原料[CF2=CFCF2CF2OCF=CF2]に導かれる。
また、同様に化合物(A1-2)と化合物(A2-2)を用いた下記製造ルートにおいて、生成した化合物(A2-2)を再び化合物(A1-2)との反応に用いることにより連続製造方法とできる。
CH2ClCHCl(CH2)2OH(A1-2)+ FCOCF2CF3(A2-2)
→CH2ClCHCl(CH2)2OCOCF2CF3(I-2)
→CF2ClCFClCF2CF2OCOCF2CF3(II-2)
→CF2ClCFClCF2COF(III-2) + 化合物(A2-2)
【0065】
[プロセス3]
生成する化合物(III)と化合物(IV)が同一構造であり、かつ、化合物(A2)または化合物(B2)とも同一構造となるように基を選択して実施するプロセスである。該プロセスにおいては、生成物を分離する必要がなく、かつ生成した化合物の一部または全部を再び化合物(A2)または化合物(B2)との反応に用いて連続製造方法となしうることから特に好ましい。
【0066】
たとえば、化合物(A1-2)と化合物(A2-3)を用いた下記製造ルートによる化合物(A2-3)の連続製造方法がある。
CH2ClCHCl(CH2)2OH(A1-2) + FCOCF2CFClCF2Cl(A2-3)
→CH2ClCHCl(CH2)2OCOCF2CFClCF2Cl(I-3)
→CF2ClCFClCF2CF2OCOCF2CFClCF2Cl(II-3)
→化合物(A2-3)
【0067】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、以下において、幾つかの用語をそれぞれそれらの省略語で記載する。すなわち、ガスクロマトグラフィ:GC、核磁気共鳴スペクトル分析:NMR,ガスクロマトグラフィ質量分析:GC−MS、テトラメチルシラン:TMS、N,N−ジメチルホルムアミド:DMF、ジクロロペンタフルオロプロパン:AK−225、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン:R113、リットル:L。また、GC純度とはガスクロマトグラフィによるピーク面積比から求めた純度をいう。
【0068】
[例1]CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COFとFCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
<例1−1>CH3CH(O(CH22CH=CH2)COO(CH22CH=CH2の製造
CH3CHClCOOH(50g)とCH2=CH(CH22OH(75mL)をフラスコに入れ、濃硫酸10mLを滴下し室温で10分撹拌した。反応液を飽和炭酸ナトリウム水250mLに注いだ。水(150mL)とtert−ブチルメチルエーテル150mLを加え分液し、tert−ブチルメチルエーテル層を有機層として得た。さらに、有機層を水150mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液を濃縮してCH3CHClCOO(CH22CH=CH2を得た。
【0069】
CH2=CH(CH22OH(16.6g)とDMF(120mL)とを別のフラスコに入れ、内温が8〜9℃に保たれるように冷却した。水素化ナトリウム(10g)を30分かけて添加し、室温で30分撹拌した後、再び冷却した。次に先に得たCH3CHClCOO(CH22CH=CH2(50g)をDMF30mLに溶かし、1.5時間かけて滴下した。滴下後、内温を80〜85℃に保ちながら3時間加熱した。室温(25℃)に戻し、2mol/Lの塩酸200mLを加えた。へキサン/酢酸エチル=2/1の溶液400mLで4回抽出して有機層を得た。有機層を濃縮後、水500mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、再度濃縮し、36gのCH3CH(O(CH22CH=CH2)COO(CH22CH=CH2を得た。GC純度は83%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
1H−NMR(399.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.39(d,J=7.0Hz,3H),2.33−2.45(m,4H),3.41(dt,J=7.0,9.1Hz,1H),3.63(dt,J=7.0,9.1Hz,1H),3.96(q,J=7.0Hz,1H),4.15−4.27(m,2H),5.02−5.14(m,4H),5.73−5.88(m,2H)。
【0070】
<例1−2>CH3CH(O(CH22CH=CH2)CH2OHの製造
アルゴン雰囲気下、水素化リチウムアルミニウム6.9gと脱水ジエチルエーテル240mLをフラスコに入れ、氷浴下で撹拌した。ここに例1−1で得たGC純度83%のCH3CH(O(CH22CH=CH2)COO(CH22CH=CH2(36g)を45分かけて滴下した後、室温(25℃)で3.5時間撹拌した。氷浴下で氷水100mLを滴下し、さらに水100mLを加えて室温(25℃)にした後、ろ過した。生じたケークをジエチルエーテル450mLで洗浄し、ろ液を分液した。水層をさらにジエチルエーテル200mLで2回抽出し、集めたジエチルエーテル層を有機層として得た。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液を35gまで濃縮した後、減圧蒸留で28〜49℃/9.33kPaの留分6.6gを取り除き、残った留分から19.2gのCH3CH(O(CH22CH=CH2)CH2OHを得た。GC純度は98%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
1H−NMR(399.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.12(d,J=6.2Hz,3H),2.35(tq,J=1.3,6.7Hz,2H),3.42−3.48(m,2H),3.51−3.59(m,2H),3.64−3.69(m,1H),5.04−5.15(m,2H),5.79−5.89(m,1H)。
【0071】
<例1−3>CH3CH(O(CH22CH=CH2)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
例1−2で得たGC純度98%のCH3CH(O(CH22CH=CH2)CH2OH(19.2g)をフラスコに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(50g)を、内温を25〜30℃に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水80mLを内温15℃以下で加えた。
【0072】
水50mLとクロロホルム100mLとを加え、分液し、クロロホルム層を有機層として得た。さらに有機層を水100mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=40/1)で精製した後、再度シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で精製して37gのCH3CH(O(CH22CH=CH2)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3を得た。GC純度は99%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
1H−NMR(399.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.2(dd,J=1.2,6.4Hz,3H),2.29(q,J=6.7Hz,2H),3.45−3.51(m,1H),3.53−3.59(m,1H),3.67−3.73(m,1H),4.25−4.29(m,1H),4.35−4.41(m,1H),5.01−5.10(m,2H),5.75−5.85(m,1H)。
19F−NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−80.5(1F),−81.9(3F),−82.7(3F),−86.9(1F),−130.3(2F),−132.2(1F)。
【0073】
<例1−4>CH3CH(O(CH22CHClCH2Cl)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
例1−3で得たGC純度99%のCH3CH(O(CH22CH=CH2)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(36g)をフラスコに入れ氷浴下で撹拌した。塩素ガス(9.5g)を内温を0〜5℃に保ちながら3時間かけて吹き込んだ。室温にして窒素ガスをバブリングさせながら1時間撹拌した。反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で精製し、22gのCH2ClCHCl(CH22OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3を得た。GC純度は88%であった。
1H−NMR(399.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.21(dd,J=1.3,6.3Hz,3H),1.81−1.93(m,1H),2.19−2.26(m,1H),3.59−3.65(m,1H),3.68−3.80(m,4H),4.20−4.46(m,3H)。
19F−NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−80.3(1F),−81.6(3F),−82.4(3F),−86.7(1F),−130.0(2F),−132.0(1F)。
【0074】
<例1−5>CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113(313g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−10℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを1.3時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを、流速5.77L/hで1時間吹き込んだ。次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例1−4で得たCH3CH(O(CH22CHClCH2Cl)CH2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(4.63g)をR−113(100g)に溶解した溶液を7.3時間かけて注入した。
【0075】
次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるR−113溶液を25℃から40℃にまで昇温しながら6mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、1時間撹拌を続けた。次に圧力を常圧にし、反応器内温度を40℃に保ちながら、上記のベンゼン溶液を3mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、1時間撹拌を続けた。
【0076】
さらに、同様の操作を7回くり返した。ベンゼンの注入総量は0.288g、R−113の注入総量は29mLであった。さらに、窒素ガスを1.5時間吹き込んだ。目的物を19F−NMRで定量したところ、標記化合物の収率は63%であった。
19F−NMR(376.0MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−64.7(2F),−76.5〜−80.0(1F),−80.0〜−81.0(4F),−82.2(3F),−82.5(3F),−82.0〜−82.9(1F),−86.4〜88.1(3F),−117.0〜−119.7(2F),−130.4(2F),−131.9(1F),−132.3(1F),−145.9(1F)。
【0077】
<例1−6> CF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)COFの製造
例1−5で得たCF2ClCFClCF2CF2OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(1.2g)をNaF粉末(0.01g)と共にフラスコに仕込み、激しく撹拌しながらオイルバス中で120℃で5時間加熱した。フラスコ上部には20℃に温度調節した還流器を設置した。冷却後、液状サンプル(1.2g)を回収した。GC−MSにより標記化合物が主生成物であることを確認した。標記化合物のNMR収率は72.3%であった。
【0078】
<例2>CClF2CClFO(CF24COFとFCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
<例2−1>CHCl=CClO(CH25OHの製造
500mLの4つ口フラスコにテトラヒドロフラン(THF、160mL)、水素化ナトリウム(60%、24g)を仕込み撹拌し、氷冷下、HO(CH25OH(260g)を滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した。次に、CHCl=CCl2(66g)を5分間かけて滴下した。滴下終了後、浴温70℃で2.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、氷冷下、水(400mL)、塩化メチレン(400mL)を加え、分液し、塩化メチレン層を有機層として得た。さらに有機層を水(400mL)で洗浄し、MS4Aで乾燥した後、粗生成物をそのまま例2−2の工程に使用した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.37〜1.79(m,6H)、3.64(t,J=6.3Hz,2H)、4.00(t,J=6.5Hz,2H)、5.47(s,1H)。
【0079】
<例2−2>CHCl=CClO(CH25OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
例2−1で得たCHCl=CClO(CH25OH(13g)とトリエチルアミン(25g)をフラスコに入れ、氷浴下撹拌した。FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(41g)を内温を10℃以下に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌し、水30mLを内温15℃以下で加えた。
【0080】
得られた粗液を分液し、下層を水50mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。減圧蒸留でCHCl=CClO(CH25OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(19g)を118〜120℃/0.5kPaの留分として得た。GC純度は77%であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.41〜1.83(m,6H)、4.00(t,J=6.0Hz,2H)、4.29〜4.45(m,2H)、5.48(s,1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−79.9(1F),−81.4(3F),−82.2(3F),−86.5(1F),−129.5(2F),−131.5(1F)。
【0081】
<例2−3>CClF2CClFO(CF25OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113(312g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−10℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを、流速7.40L/hで1時間吹き込んだ。次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例2−2で得たCClH=CClO(CH25OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(3.37g)をR−113(100g)に溶解した溶液を5.3時間かけて注入した。
【0082】
次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるR−113溶液を25℃から40℃にまで昇温しながら6mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、0.9時間撹拌を続けた。次に圧力を常圧にし、反応器内温度を40℃に保ちながら、上記のベンゼン溶液を3mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、0.9時間撹拌を続けた。
【0083】
さらに、同様の操作を1回くり返した。ベンゼンの注入総量は0.192g、R−113の注入総量は18mLであった。さらに、窒素ガスを1.5時間吹き込んだ。目的物を19F−NMRで定量したところ、標記化合物の収率は73%であった。
19F−NMR(376.0MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−71.5(2F),−77.3(1F),−80.1(1F),−82.1(3F),−82.3(3F),−83.4(1F),−85.1(1F),−87.2(2F),−87.3(1F),−123.2(2F),−126.2(2F),−126.3(2F),−130.4(2F),−132.4(1F)。
【0084】
<例2−4>CClF2CClFO(CF24COFの製造
例2−3で得たCClF2CClFO(CF25OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(0.8g)をNaF粉末(0.01g)と共にフラスコに仕込み、激しく撹拌しながらオイルバス中で120℃で4時間、140℃で12.3時間加熱した。フラスコ上部には20℃に温度調節した還流器を設置した。冷却後、液状サンプル(0.7g)を回収した。GC−MSにより、CF3CF(OCF2CF2CF3)COFおよび標記化合物が主生成物であることを確認した。NMRで求めた標記化合物の収率は54.9%であった。
19F−NMR(376.0MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):24.9(1F),−71.3(2F),−77.1(1F),−83.1(1F),−84.9(1F),−118.8(2F),−123.1(2F),−125.6(2F)。
【0085】
[例3]CF2ClCFCl(CF22O(CF22COFとFCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
<例3−1>CH2=CH(CH22OTs(Tsはp−トルエンスルホニル基を示す)の製造
反応器に3−ブテン−1−オール(33.2g)、ピリジン(230mL)を仕込み、氷浴で冷却して内温を5℃以下に保ちながら塩化p−トルエンスルホニル(96.7g)を3.5時間かけて加えた。30分間攪拌した後、反応混合物を水(250mL)に加えた。ジクロロメタン(250mL)を加え、分液した。下層に飽和炭酸ナトリウム水溶液(250mL)と水(200mL)を加えて洗浄し、分液した後、さらに水(200mL)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を留去して、CH2=CH(CH22OTsを98.1g得た。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):2.36〜2.43(m,2H)、2.43(s,3H)、4.06(t,J=6.6Hz,2H)、5.04〜5.11(m,2H)、5.60〜5.66(m,1H)、7.34(d,J=8.4Hz,2H)、7.77(d,J=8.1Hz,2H)
【0086】
<例3−2>CH2=CH(CH22O(CH23OHの製造
反応器に1,3−プロパンジオール(46.7g)、水酸化カリウム(34.5g)を仕込んで攪拌し、内温75℃で30分間加熱した。内温80℃で、例3−1で得たCH2=CH(CH22OTs(69.5g)を3時間かけて加え、1時間攪拌した後、放冷した。反応混合物を水(250mL)に加え、塩酸を加えて中和した。濾過し、濾液からt−ブチルメチルエーテル(300mL)で4回抽出した。併せた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を留去して、CH2=CH(CH22O(CH23OHを15.5g得た。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.83(dt,J=5.4Hz,11Hz,2H)、2.34(m,2H)、2.6(bs,1H)、3.50(t,J=6.6Hz,2H)、3.63(t,J=6.0Hz,2H)、3.77(t,J=5.4Hz,2H)、5.03〜5.13(m,2H)、5.81(ddt,J=6.6,11,17Hz,1H)。
【0087】
<例3−3>CH2=CHCH2CH2OCH2CH2CH2OCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
例3−2で得たGC純度98%のCH2=CH(CH22O(CH23OH(8.3g)とトリエチルアミン(13.6g)をフラスコに入れ、氷浴下撹拌した。FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(30g)を内温を10℃以下に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌し、水50mLを内温15℃以下で加えた。
【0088】
得られた粗液を分液し、下層を水50mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ジクロロペンタフルオロプロパン(商品名:AK−225))で精製してCH2=CHCH2CH2OCH2CH2CH2OCF(CF3)OCF2CF2CF3(18.5g)を得た。GC純度は97%であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.93〜2.01(m、2H)、2.26〜2.34(m、2H)、3.42〜3.49(m、4H)、4.41〜4.54(m、2H)、5.02(d,J=10、3Hz,1H)、5.07(d,J=17Hz、1H)、5.72〜5.85(m、1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−79.9(1F)、−81.4(3F),−82.2(3F),−86.6(1F),−129.6(2F),−131.5(1F)。
【0089】
<例3−4>CH2ClCHClCH2CH2OCH2CH2CH2OCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
例3−3で得たGC純度97%のCH2=CHCH2CH2OCH2CH2CH2OCF(CF3)OCF2CF2CF3(18.4g)をフラスコに入れ浴温−10℃で撹拌した。塩素ガス(4.4g)を内温を0℃以下に保ちながら1時間かけて吹き込んだ。室温にして窒素ガスをバブリングさせながら1時間撹拌し、GC純度85%のCH2ClCHClCH2CH2OCH2CH2CH2OCF(CF3)OCF2CF2CF3(19.8)を得た。得られた粗生成物をそのまま例3−5の工程に使用した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.93〜2.01(m、2H)、2.26〜2.34(m、2H)、3.44(t,J=6.6Hz,2H)、3.47(t,J=6.0Hz、2H)、4.41〜4.54(m、2H)、4.99〜5.10(m、2H)、5.71〜5.85(m、1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−79.9(1F)、−81.3(3F),−82.2(3F),−86.6(1F),−129.5(2F),−131.5(1F)。
【0090】
<例3−5>CF2ClCFCl(CF22O(CF23OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3の製造
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113(312g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−10℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを、流速8.04L/hで1.5時間吹き込んだ。次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例3−4で得たCH2ClCHCl(CH22O(CH23OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(4.44g)をR−113(100g)に溶解した溶液を5.3時間かけて注入した。
【0091】
次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるR−113溶液を25℃から40℃にまで昇温しながら6mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、0.4時間撹拌を続けた。次に圧力を常圧にし、反応器内温度を40℃に保ちながら、上記のベンゼン溶液を3mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、0.4時間撹拌を続けた。
【0092】
さらに、同様の操作を7回くり返した。ベンゼンの注入総量は0.303g、R−113の注入総量は30mLであった。さらに、窒素ガスを1.5時間吹き込んだ。目的物を19F−NMRで定量したところ、標記化合物の収率は45%であった。
19F−NMR(376.0MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−64.4(2F),−80.0(1F),−81.3(2F),−81.9(3F),−82.1(3F),−84.0(2F),−87.1(1F),−87.3(2F),−117.2〜−119.4(2F),−129.4(2F),−130.3(2F),−131.8(1F),−132.3(1F)。
【0093】
<例3−6>CF2ClCFCl(CF22O(CF22COFの製造
例3−5で得たCF2ClCFCl(CF22O(CF23OCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(3.0g)をNaF粉末(0.06g)と共にフラスコに仕込み、激しく撹拌しながらオイルバス中で120℃で3.7時間、140℃で12時間加熱した。フラスコ上部には20℃に温度調節した還流器を設置した。冷却後、液状サンプル(2.9g)を回収した。GC−MSにより、FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3および標記化合物が主生成物であることを確認した。NMRで求めた標記化合物の収率は73.0%であった。
19F−NMR(376.0MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):24.3(1F),−64.8(2F),−81.7(2F),−86.4(2F),−118.8〜−120.0(2F),−122.1(2F),−131.9(1F)。
【0094】
<例4>FCOCF2CFClCF2ClとCF3CF2COFとの製造
<例4−1>CF3CF2COO(CH22CHClCH2Clの製造
CH2ClCHCl(CH22OH(30g)をフラスコに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。CF3CF2COF(310g)を内温を25℃〜30℃を保ちながら3時間かけてフィードした。フィード終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水50mLを内温を15℃以下で加えた。クロロホルム(50mL)を加えて分液し、クロロホルム層を有機層として得た。さらに有機層を水200mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液をエバポレーターで濃縮し、次いで減圧蒸留して、73〜75℃/0.9kPaの留分(24g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒は、ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して精製物(18.8g)を得た。GC純度は98%であった。NMRスペクトルから標記化合物が主成分であることを確認した。
1H−NMR(399.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):2.11(m,1H),2.52(m,1H),3.69(dd,J=7.9,11.4Hz,1H),3.84(dd,J=4.7,11.4Hz,1H),4.15(m,1H),4.60(m,2H)。
19F−NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−83.8(3F),−122.5(2F)。
【0095】
<例4−2>CF3CF2COOCF2CF2CFClCF2Clの製造
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113(201g)を加えて撹拌し、−10℃に冷却した。窒素ガスを1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを、流速5.66L/hで1時間吹き込んだ。窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例4−1で得たCF3CF2COO(CH22CHClCH2Cl(6.58g)をR−113(134g)に溶解した溶液を6.9時間かけて注入した。
【0096】
次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、ベンゼンのR−113溶液(0.01g/mL)を注入し、オートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.12MPaになったところでオートクレーブの入口バルブを閉めて、1時間撹拌を続けた。さらに、ベンゼンを注入する同様の操作を−10℃から40℃にまで昇温しながら1回、次に40℃で8回くり返した。ベンゼンの注入総量は0.330g、R−113の注入総量は33mLであった。さらに、窒素ガスを2時間吹き込んだ。生成物を19F−NMRで定量したところ、標記化合物の収率は51%であった。
19F−NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−65.4(2F),−84.2(3F),−85.4(2F),−119.1(2F),−123.1(2F),−132.5(1F)。
【0097】
<例4−3>FCOCF2CFClCF2Clの製造
例4−2で得たCF3CF2COOCF2CF2CFClCF2Cl(1.5g)をNaF粉末(0.03g)と共にフラスコに仕込み、激しく撹拌しながらオイルバス中で120℃で5時間加熱した。フラスコ上部には20℃に温度調節した還流器を設置した。冷却後、液状サンプル(0.8g)、ガス状サンプル(0.6g)を回収した。GC−MSにより、CF3CF2COFおよび標記化合物が主生成物であることを確認した。NMRで求めた標記化合物の収率は75.1%であった。
【0098】
[例5]CF2ClCFClCF2COFとCF2ClCF2CFClCOFの混合物の製造
<例5−1>CF2ClCFClCF2COO(CH22CHClCH2ClとCF2ClCF2CFClCOO(CH22CHClCH2Clの混合物の製造
CH2ClCHCl(CH22OH(49.5g)をフラスコに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。CF2ClCFClCF2COFとCF2ClCF2CFClCOFの89:11(モル比)の混合物(86.1g)を、内温を25〜30℃に保ちながら、1時間40分で滴下した。滴下終了後、室温で2時間45分撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水(100mL)を内温を15℃を超えないようにしながら添加した。クロロホルム(150mL)を加えて分液し、クロロホルム層を得た。さらにクロロホルム層を水200mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。粗液をエバポレーターで濃縮し、次いで減圧蒸留して、99〜106℃/0.48kPaの留分(1)(55.4g)、100〜109℃/0.47kPaの留分(2)(7.9g)を得た。上記混合物としてのGC純度は、留分(1)が85%、留分(2)が84%であった。
【0099】
留分(1)(9.4g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して精製物(7.5g)を得た。精製物のGC純度は98%であった。精製物のNMRスペクトルから、CF2ClCFClCF2COO(CH22CHClCH2ClとCF2ClCF2CFClCOO(CH22CHClCH2Clの混合物が主成分であり、それらの比が87:13(モル比)であることを確認した。
CF2ClCFClCF2COO(CH22CHClCH2Cl:
1H−NMR(399.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):2.09(m,1H),2.52(m,1H),3.69(dd,J=7.6,11.4Hz,1H),3.84(dd,J=4.7,11.4Hz,1H),4.17(m,1H),4.58(m,2H)。
19F−NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−63.6(1F),−64.8(1F),−110.9(1F),−114.0(1F),−131(1F)。
【0100】
CF2ClCF2CFClCOO(CH22CHClCH2Cl:
1H−NMR(399.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):2.09(m,1H),2.52(m,1H),3.69(dd,J=7.6,11.4Hz,1H),3.84(dd,J=4.7,11.4Hz,1H),4.17(m,1H),4.58(m,2H)。
19F−NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−66.9(1F),−67.0(1F)、−113.4(1F),−117.6(1F),−129.0(1F)。
【0101】
<例5−2>CF2ClCFClCF2COOCF2CF2CFClCF2ClとCF2ClCF2CFClCOOCF2CF2CFClCF2Clの混合物の製造
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113(200g)を加えて撹拌し、窒素ガスを室温で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを、室温で、流速5.66L/hで1時間吹き込んだ。
次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例5−1で得たCF2ClCFClCF2COO(CH22CHClCH2ClとCF2ClCF2CFClCOO(CH22CHClCH2Clの87:13(モル比)の混合物(12g)をR−113(243g)に溶解した溶液を11.5時間かけて注入した。
【0102】
次に、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、ベンゼンのR−113溶液(0.01g/mL)を注入し、オートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.12MPaになったところでオートクレーブの入口バルブを閉めて、1時間撹拌を続けた。さらに、ベンゼンを注入する同様の操作を室温から40℃にまで昇温しながら1回、次に40℃で8回くり返した。ベンゼンの注入総量は0.342g、R−113の注入総量は33mLであった。さらに、窒素ガスを2時間吹き込んだ。生成物の19F−NMRスペクトル(内部標準:C66)から求まる標記混合物の収率は80%であった。
CF2ClCFClCF2COOCF2CF2CFClCF2Cl:
19F−NMR(564.6MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−64.4〜−65.9(2F),−65.4(2F),−85.5〜−86.3(2F),−111.1〜−115.1(2F),−118.7〜−120.1(2F),−132.0(1F),−132.5(1F)。
13C−NMR(150.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:CDCl3)δ(ppm):104.4,104.5,109.4,110.8,116.6,124.3,124.6,152.0。
【0103】
CF2ClCF2CFClCOOCF2CF2CFClCF2Cl:
19F−NMR(564.6MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−64.4〜−66.0(2F),−68.0(2F),−85.5〜−86.3(2F),−113.7〜−115.3(2F),−118.7〜−120.1(2F),−130.0(1F),−132.5(1F)。
13C−NMR(150.8MHz、溶媒:CDCl3、基準:CDCl3)δ(ppm):99.0,104.4,110.2,110.8,116.6,122.8,124.6,153.2。
【0104】
<例5−3> CF2ClCFClCF2COFとCF2ClCF2CFClCOFの混合物の製造
例5−2で得たCF2ClCFClCF2COOCF2CF2CFClCF2ClとCF2ClCF2CFClCOOCF2CF2CFClCF2Clの混合物(5.6g)をNaF粉末(0.12g)と共にフラスコに仕込み、激しく攪拌を行いながらオイルバス中で140℃で5時間加熱した。フラスコ上部には20℃に温度調節した還流器を設置した。冷却後液状サンプルを5.2g回収した。GC−MSにより、標記混合物が主成分であることを確認した。NMRで求めた収率は83.4%であった。
【0105】
[例6]CF2ClCFClCF2COFの製造
<例6−1>CH2=CHCH2CH2OCOCF2CFClCF2Clの製造例
GC純度84%のCH2=CHCH2CH2OH(70.8g)をフラスコに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。CF2ClCFClCF2COFとCF2ClCF2CFClCOFの89:11(モル比)の混合物(264.5g)を内温を25〜30℃に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で4時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水500mlを内温15℃以下で加えた。得られた粗液を分液し、フルオロカーボン層として得た。さらにフルオロカーボン層を水200mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、粗液を得た。減圧蒸留で81.2gのCH2=CHCH2CH2OCOCF2CFClCF2Clを69〜72℃/1.0kPaの留分として得た。GCによる純度は96%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
1H-NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):2.46〜2.50(m,2H),4.41(t,J=6.6Hz,1H),5.11〜5.21(m,2H),5.70〜5.84(m,1H)。
19F-NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):-62.9(1F),-64.1(1F),-110.1(1F),-113.1(1F),-130.4(1F)。
【0106】
<例6−2>CH2ClCHClCH2CH2OCOCF2CFClCF2Clの製造例
例6−1で得たGC純度96%のCH2=CHCH2CH2OCOCF2CFClCF2Cl(80.0g)をフラスコに入れ浴温−10℃で撹拌した。塩素ガス(24.5g)を内温を0℃以下に保ちながら1.5時間かけて吹き込んだ。室温にして窒素ガスをバブリングさせながら1時間撹拌し、得られた粗液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ジクロロペンタフルオロプロパン(商品名:AK−225))で精製してGC純度85%のCH2ClCHClCH2CH2OCOCF2CFClCF2Cl(93.0g)を得た。
【0107】
<例6−3>CF2ClCFClCF2CF2OCOCF2CFClCF2Clの製造例
例5−2における混合物12.0gを例6−2で得た純度85%のCH2ClCHClCH2CH2OCOCF2CFClCF2Cl(93.0g)に変え、他の試薬を7.7倍量にして同様の条件で反応を行い、標記化合物を収率80%で得た。
【0108】
<例6−4>CF2ClCFClCF2COFの製造例
例5−3における混合物5.6gを例6−3で得たCF2ClCFClCF2CF2OCOCF2CFClCF2Cl(43.4g)に変え、他の試薬を7.7倍量にして同様の条件で反応を行い、標記化合物を収率84%で得た。
【0109】
<例6−5> CF2ClCFClCF2COFの連続製造例
例6−1における混合物の代わりに例6−4で得たCF2ClCFClCF2COFを用いて、例6−1〜例6−4と同様の反応を順に行い、CF2ClCFClCF2COFを得た。
【0110】
[例7]
<例7−1>CH3CH(O(CH22CH=CH2)CH2OHの連続製造。
例1−2において得た、28〜49℃/9.33kPaの留分は、NMRスペクトルにより、CH2=CH(CH22OHであることを確認した。該留分(75mL)を用いて例1−1〜1−2と同様の反応を行い、CH3CH(O(CH22CH=CH2)COO(CH22CH=CH2を得た。
【0111】
<例7−2>CF2ClCFClCF2CF2O(CF22COFの連続的製造。
例3−6の反応生成物を常圧で蒸留精製し、55℃の留分を分取することにより、FCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(0.8g)を得た。残った高沸分は保存した。得られたFCOCF(CF3)OCF2CF2CF3を用いて、例3−3〜例3−6の反応を同様に行ったあと、常圧で蒸留精製し、55℃の留分を分取してFCOCF(CF3)OCF2CF2CF3(0.7g)を得た。残った高沸分を、先の保存しておいた高沸分と併せ、常圧で蒸留精製して138〜139℃の留分を分取することにより、CF2ClCFClCF2CF2O(CF22COF(2.0g)を得た。
【0112】
【産業上の利用可能性】
本発明の製造方法によれば、安価で、容易に入手できる化合物(I)から、短い工程かつ高い収率でvic−ジクロロ酸フルオリド化合物が製造できる。特に、本発明では、従来の方法では入手が困難であった低分子のvic−ジクロロ酸フルオリド化合物や、複雑な構造のvic−ジクロロ酸フルオリド化合物を容易に製造できる。
【0113】
また本発明の製造方法は、上記に具体例として記載した化合物に限定されず、種々の化合物に使用でき、汎用性に優れた方法であることから、好みの骨格を有するvic−ジクロロ酸フルオリド化合物を自由に製造できる。また、置換基の構造を選択することにより、本発明の方法は連続プロセスとなりうる。
【0114】
さらに、本発明の方法により生成する化合物(III)は、末端にCF2ClCFCl−部分を有する。該部分は公知の方法により重合性の炭素−炭素二重結合に導きうる。たとえば本発明の製造方法により得られるvic−ジクロロ酸フルオリド化合物(CF2ClCFClCF2COF)は、前述の公知の方法により、フッ素樹脂のモノマーであるペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)に導かれうる。該ペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)を重合させたフッ素樹脂は、耐熱性と耐薬品性に優れ、かつ透明である有用なフッ素樹脂である。
【0115】
また本発明の方法で得た化合物(III)および/または化合物(IV)のうち、分子末端に「C1F−C2−COF」なる部分構造を必須とする化合物は、公知の反応(Methods of Organic Chemistry,4,Vol.10b,Part 1,p.703等)により分子末端を「C1=C2」に変換しできる。該化合物もまた、フッ素樹脂原料として有用である。すなわち、本発明の製造方法における化合物(III)および/または化合物(IV)は、フッ素樹脂原料の前駆体として有用な化合物である。また、本発明により提供される新規な化合物は、該前駆体の中間体として有用な化合物である。

Claims (11)

  1. 下記化合物(I)を液相中でフッ素化して下記化合物(II)を生成させ、該化合物(II)のエステル結合を分解して下記化合物(III)、または、下記化合物(III)および下記化合物(IV)を生成させることを特徴とするvic−ジクロロ酸フルオリド化合物の製造方法。
    (RH1−EH1−)CRH2H3CH−OCORHB(I)
    (CFClCFCl−EF1−)CRF2F3CF−OCORFB(II)
    (CFClCFCl−EF1−)CRF2F3COF(III)
    FCORFB(IV)
    ただし、
    H1:CXClCXCl−またはCClX=CCl−。ただし、X〜Xは、それぞれ独立して水素原子またはフッ素原子。
    H2、RH3:それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、またはハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基。
    H1:2価連結基または単結合。
    F1:EH1に対応する基であり、EH1が単結合である場合は、EF1は単結合であり、EH1が1つまたはそれ以上の水素原子を有する2価連結基である場合には、EF1は該水素原子の1個以上がフッ素化された基であり、EH1が水素原子を有しない2価連結基である場合にはEF1はEH1と同一の基。
    HB:1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、またはハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基。
    F2、RF3、RFB:RF2はRH2がフッ素化された基、RF3はRH3がフッ素化された基、RFBは、RHBがフッ素化された基であり、RH2、RH3、またはRHB中に1つまたはそれ以上の水素原子が存在する場合は、RF2、RF3またはRFBはそれぞれRH2、RH3およびRHBの水素原子の1個以上がフッ素化された基であり、RH2、RH3またはRHB中に水素原子が存在しない場合には、RF2、RF3またはRFBはそれぞれRH2、RH3、RHBと同一の基。
  2. 化合物(I)の分子量が200〜1000であり、かつ、フッ素含量が30〜86質量%である請求項1に記載の製造方法。
  3. 化合物(I)中の水素原子に対して過剰当量のフッ素を液相中に供給しながら反応させて、液相中で化合物(I)から化合物(II)を生成させる請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 液相中でのフッ素化の反応系中にC−H結合含有化合物を存在させるか、または紫外線照射しながらフッ素化反応を行なう請求項1、2または3に記載の製造方法。
  5. 化合物(I)が、下記化合物(A1)と下記化合物(A2)とを反応させることによって製造される請求項1〜4のいずれか一つに記載の製造方法。ただし、Xはハロゲン原子を示し、RH1、EH1、RH2、RH3 およびR HB は、請求項1と同じ意味を有する。
    (RH1−EH1−)CRH2H3CH−OH(A1)
    XCORHB(A2)
  6. 化合物(I)中のRH1がCXClCXCl−である化合物(I)が、下記化合物(B1)に下記化合物(B2)を反応させて下記化合物(B3)を生成させ、次に該化合物(B3)を塩素化剤と反応させることによって製造される請求項1〜4のいずれか一つに記載の製造方法。ただし、 10 はハロゲン原子または水酸基を示し、、X、X H1 H2、RH3、およびRHBは、請求項1と同じ意味を有する。
    (CX=CX−EH1−)CRH2H3CH−OH (B1)
    10 CORHB (B2)
    (CX=CX−EH1−)CRH2H3CH−OCORHB(B3)
    (CXClCXCl−EH1−)CRH2H3CH−OCORHB (I
  7. 塩素化剤が塩素である請求項6に記載の製造方法。
  8. 化合物(IV)と化合物(B2)とが同一化合物である請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 化合物(IV)と化合物(B2)とが同一化合物であり、生成した化合物(IV)の一部または全部を再び化合物(A1)または化合物(B1)との反応に用いる請求項5、6または7に記載の製造方法。
  10. 化合物(III)と化合物(IV)とが同一化合物である請求項1〜9のいずれか一つに記載の製造方法。
  11. 下記の式で表されるいずれか一つの新規化合物。
    CHCl=CClO(CHOH
    CH=CH(CHOCHCHCHOH
    CH=CH(CHOCOCFCFClCFCl
    CH=CH(CHOCH(CH)CHOCOCF(CF)OCFCFCF
    CClH=CClO(CHOCOCF(CF)OCFCFCF
    CClFCClFO(CFOCOCF(CF)OCFCFCF
    CH=CH(CHO(CHOCOCF(CF)OCFCFCF
    CHClCHCl(CHO(CHOCOCF(CF)OCFCFCF
    CFClCFCl(CFO(CFOCOCF(CF)OCFCFCF
    CFClCFCl(CFO(CFCOF
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