JP2009126859A - 含フッ素化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の有機化合物についてそのフッ素化、特にペルフルオロ化を高収率で炭化水素化合物原料の構造を変換することなく、安全に実現する方法を提供する。
【解決手段】溶媒中に原料化合物とフッ素ガスとを導入して原料化合物中の水素原子をフッ素原子に置換する液相フッ素化において、原料化合物を無水フッ酸に溶解して液相フッ素化溶媒中に導入してフッ素化を進めることを特徴とする含フッ素化合物の製造方法であり、高収率であって異性体が殆ど含まれず、高価なペルフルオロカルボニル化合物を原料とせずに、炭化水素化合物をそのまま原料としてフッ素化反応を行うことができる含フッ素化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素化合物の製造方法に関する。更に詳しくは、炭化水素化合物のフッ素化によるペルフルオロ化合物の製造方法に関する。
含フッ素化合物、特に炭化水素化合物の水素原子のすべてをフッ素で置換したペルフルオロ化合物は、化学的安定性や撥水撥油性など特異な性質を有し、医薬、農薬、ポリマー、機能性製品、界面活性剤、洗浄剤その他各種の化成品やその合成中間体など様々な用途が期待される化合物である。
ペルフルオロ化合物の典型的な製造方法としては、電解フッ素化が知られている。電解フッ素化は電解槽中に原料化合物とフッ化水素とを装入し、電極間に通電し後者をフッ素源としてフッ素化反応を行う方法である。しかし、電解フッ素化は設備に大きな費用を要し、また、反応中に炭素-炭素結合の開裂や異性化を生じ易く、高純度、高収率で目的物を得ることが難しい。
また、ペルフルオロ化合物の製造方法としては、気相中でフッ素ガスを用いる方法、金属フッ化物とフッ素ガスからの高次フッ化金属を用いる方法も知られている。しかし、これら従来のフッ素化方法では、フッ素ガスの激しい反応性により反応の制御や取扱いに困難があった。
これらフッ素化の改良法として、溶媒にペルフルオロカーボン類を使用し、フッ素ガスを飽和溶解させた状態で、溶媒に希釈した原料とフッ素ガスを連続的に供給する方法が提案されている(この方法を液相フッ素化と云う:特許文献1)。この方法によれば、原料の分解反応を抑えながらフッ素化が可能となる。しかし、溶媒にフッ素を溶解させて用いるため、溶媒はフッ素に安定なペルフルオロカーボンに限定され、この方法でフッ素化が可能な化合物はペルフルオロカーボンに溶解するものに限られる。このため、通常の炭化水素化合物は溶解度が乏しく、適用が難しい。
そこで、アルコールとペルフルオロカルボニル化合物との反応によりペルフルオロカーボンに溶解しやすいエステル化合物を合成し(下記[I])、得られたエステル化合物を原料として液相でのフッ素化を行う(下記[II])方法も提案されている(特許文献2)。工程(II)で得られたペルフルオロ生成物を求核剤とともに加熱分解することにより、原料アルコール由来のペルフルオロアシル化合物を得ることができる(下記[III])。
[I]Cn2n+1CH2OH+Cm2m+1COF → Cm2m+1COOCH2n2n+1
[II]Cm2m+1COOCH2 n2n+1 → Cm2m+1COOCF2n2n+1
[III]Cm2m+1COOCF2n2n+1 → Cn2n+1COF+Cm2m+1COF
この方法によれば、ペルフルオロカーボンにそのままでは溶解しない高級アルコールであっても、ペルフルオロカルボン酸フルオライドとのエステル化により可溶化するため、液相フッ素化反応を適用できる。反面、この方法では、原料はエステル化が可能なアルコール類に限定される。また、高価なペルフルオロカルボニル化合物を使用する必要があり、エステルを合成する工程、フッ素化生成物を分離、更に分解、分離する工程が必要となる。
フッ素化反応溶媒に溶解しない原料を、単独で速やかにフッ素化反応が進行する基質(ベンゼン等)の存在下に、液相中でフッ素化する方法(特許文献3)も提案されている。この方法によれば、高価なペルフルオロカルボニル化合物を使用することなく、炭化水素化合物をそのまま原料としてフッ素化反応に供することができる。また、エステル化や分解等の前処理、後処理工程が不要となる。しかし、添加するフッ素化反応基質にコストが掛かる上、そのフッ素化のために余分なフッ素が消費され、さらにこれに由来する副生物が生成するため、その除去工程が必要である。また、この方法が適用可能な原料化合物は、高度に塩素化された化合物など、反応雰囲気に無希釈で導入しても殆どフッ素ガスと反応しない化合物に限定される。
米国特許5093432号 WOOO/56694号公報 特開2006−131620号公報
本発明は、従来の上記課題を解決したものであり、種々の有機化合物についてそのフッ素化、特にペルフルオロ化を高収率で炭化水素化合物原料の主構造を変換することなく、安全に実現する方法を提供することを目的とする。
上記課題を検討する過程で、有機化合物を液相フッ素化する際に、有機化合物をあらかじめ無水フッ酸に溶解し、この有機化合物の無水フッ酸溶解液をフッ素化溶媒に導入すれば炭化水素化合物原料の主構造を変換することなく、安全かつ高収率でペルフルオロ化を実現できることが見出された。本発明はこの知見に基づくものである。
本発明によれば、以下の構成を有する含フッ素化合物の製造方法が提供される。
〔1〕溶媒中に原料化合物とフッ素ガスとを導入して原料化合物中の水素原子をフッ素原子に置換する液相フッ素化において、原料化合物を無水フッ酸に溶解して液相フッ素化溶媒中に導入してフッ素化を進めることを特徴とする含フッ素化合物の製造方法。
〔2〕液相フッ素化溶媒がペルフルオロ炭化水素溶媒(分子内にヘテロ原子を含んでもよい)である上記[1]に記載の含フッ素化合物の製造方法。
〔3〕液相フッ素化溶媒に予めフッ素ガスを溶解させて液相フッ素化を行なう請求項2に記載の含フッ素化合物の製造方法。
〔4〕液相フッ素化を行う際に、分子内に1個以上の不飽和結合または1個以上のC−H結合を有する炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素化合物(分子内にヘテロ原子を含んでもよい)を共存させる上記[1]〜上記[3]のいずれかに記載の含フッ素化合物の製造方法。
〔5〕原料化合物が有機酸または有機酸ハロゲン化物である上記[1]〜上記[4]のいずれかに記載の含フッ素化合物の製造方法。
本発明の方法によれば含フッ素化合物を高収率で得ることができる。また、本発明の方法によって製造した含フッ素化合物は異性体が殆ど生成しない。さらに本発明の方法は予想外に穏やかに反応を進めることができる。
さらに本発明の製造方法によれば、高価なペルフルオロカルボニル化合物を原料とせずに、安価な無水フッ酸で希釈することにより炭化水素化合物をそのまま原料としてフッ素化反応を行うことができる。また、従来方法のようなエステル化や分解の前処理および後処理の必要がなく、さらに余分な添加材料を加える必要がない。
以下、本発明を実施形態に即して具体的に説明する。
本発明の製造方法は、 溶媒中に原料化合物とフッ素ガスとを導入して原料化合物中の水素原子をフッ素原子に置換する液相フッ素化において、原料化合物を無水フッ酸に溶解して液相フッ素化溶媒中に導入してフッ素化を進めることを特徴とする含フッ素化合物の製造方法である。
〔原料化合物〕
本発明の製造方法は原料化合物を無水フッ酸に溶解して用いる。無水フッ酸に溶解し得る原料化合物の含水素有機化合物の例としては、芳香族炭化水素、アルコール、エーテル、有機酸、エステル、酸ハロゲン化物等が含まれる。
アルコール、エーテル、有機酸、エステル、酸ハロゲン化物は、官能基を一分子中に複数(同一でも異なっていてもよい)含んでもよい。カルボン酸、ジカルボン酸等のポリカルボン酸やそのハロゲン化物は無水フッ酸への溶解性が高く、本発明が特に好適に適用できる。また、フッ素との反応が許容される場合は、二重結合等の不飽和結合や窒素や硫黄等のヘテロ原子をさらに含んでもよい。原料化合物の炭素数は特に限定されないが、通常は2〜14であり、特に炭素数2〜10で常温において液体または固体の場合に好適に適用できる。
また、原料化合物の含水素有機化合物は炭素骨格の変動を生じない限りにおいて、無水フッ酸との接触時になんらかの反応を生じる化合物でもよい。例えば、酸塩化物は無水フッ酸との接触時に酸フッ化物に転換され得るが、この反応は炭素骨格の変動を生じないので本発明において使用することができる。
〔液相フッ素化溶媒〕
原料化合物の無水フッ酸溶解液を液相フッ素化溶媒に添加する。液相フッ素化溶媒は、実質的にフッ素と反応せず、かつフッ素ガスの溶解度が比較的高く、フッ素化条件下で液体の有機溶媒であればよい。こうした溶媒の例としては、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロシクロアルカン等のペルフルオロ炭化水素化合物が挙げられる。
ペルフルオロアルカンは、例えば、炭素数4〜18程度、好ましくは常温で液体の炭素数5〜12程度の直鎖または分岐鎖を有するものを含み、具体例としては、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロノナン、ペルフルオロデカン等が挙げられる。ペルフルオロシクロアルカンは、例えば、炭素数5〜18程度、好ましくは炭素数5〜12程度のものを含み、具体例としては、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロシクロヘプタン、ペルフルオロシクロオクタン等が挙げられる。これらの環は置換基(例えば、ペルフルオロアルキル基)を有してもよい。
これらのペルフルオロ炭化水素化合物は分子内に酸素や窒素等のヘテロ原子を含んでもよい。例えば、ペルフルオロトリブチルアミン等のペルフルオロアミン類、ペルフルオロブチルテトラヒドロフランやペルフルオロポリエーテル等のペルフルオロエーテル類、ペルフルオロ酸フルオリド等が挙げられる。
上記溶媒のうち、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロシクロアルカン、ペルフルオロエーテル、ペルフルオロアルキルアミン、およびペルフルオロ酸フルオリドが好ましいが、具体的な溶媒は、目的化合物に応じて決めればよい。
溶媒の使用量は限定されない。溶媒量は無水フッ酸中の原料重量に対し0.1〜500倍が適当であり、好ましくは1〜500倍、より好ましくは5〜300倍、さらに好ましくは30〜200倍程度が良い。溶媒には予めフッ素を溶解させておくことが好ましい。
〔液相フッ素化反応〕
液相フッ素化反応は、予めフッ素を溶媒に溶解させ、供給するフッ酸溶液中の原料化合物の水素量に対応する量のフッ素ガスを吹き込む。フッ素ガスは希釈せずに用いてもよいが、安全性の点から不活性ガスと混合して用いることが好ましい。不活性ガスの例としては、窒素ガスやアルゴン、ヘリウムガス等が挙げられるが、コストの点から窒素ガスが好ましい。混合ガス中のフッ素ガスの濃度は限定されないが、50体積%以下が好ましく、より好ましくは10〜40体積%、さらに好ましくは20〜30体積%である。フッ素ガス濃度が高すぎると反応が急激に進行する場合があり、フッ素ガス濃度が低すぎると反応が十分に進行しない。また、吹き込むフッ素の量は原料中の水素量に対し、0.5〜10倍モル、好ましくは0.8〜5倍モル。より好ましくは1〜4倍モルである。フッ素量が少ない場合は原料の炭化水素の蓄積により副反応の増加があり、多い場合は一方の原料であるフッ素が無駄になる。
フッ素化温度は溶媒の種類にもよるが、好ましくは−50〜50℃であり、より好ましくは−10〜40℃であり、さらに好ましくは0〜30℃である。原料溶液及び反応に伴い副生するフッ酸は反応系外に除くことが好ましい。
原料の炭化水素化合物を無水フッ酸に溶解し、この無水フッ酸溶解液を溶媒中でフッ素ガスと反応させることによって、例えば、以下の反応式[1][2]に従って、原料化合物の水素がフッ素に置換されたペルフルオロ化合物が得られる。
n2n+1COCl+ HF -→ Cn2n+1COF + HCl 〔1〕
n2n+1COF + (2n-1)F2 -→ Cn2n+1COF + (2n-1)HF〔2〕
なお、上記フッ素化反応のときに、分子内に1個以上の不飽和結合または1個以上のC−H結合を有する炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素化合物(分子内に酸素、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい)を共存させてもよい。このような化合物の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘキセン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂肪族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル、酢酸エチル等のエステル、さらに、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
これらの化合物は部分的にフッ素置換されていてもよく、例えば、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル等の構成要素の一部がペルフルオロ化され、他方がフッ素置換されていないエーテルやエステル、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、4-フルオロトリメチルベンゼン等の環上の水素または置換基が部分的にフッ素化された芳香族炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素はヘキサフルオロベンゼンのように全ての水素がフッ素置換されていてもよい。
これらの添加物質の量は特に限定されないが、好ましくは、モル比で原料化合物の0.005〜5倍、より好ましくは0.05〜3倍、さらに好ましくは0.1〜0.5倍程度が適当である。添加量が多すぎるとこれらの化合物との反応に消費されるフッ素ガスの量が多くなり、また、副生成物が増加するこれらの添加物質は、液相フッ素化反応に先立ついずれかの時点で原料化合物の無水フッ酸溶液に添加してもよいし、液相フッ素化反応中に原料化合物無水フッ酸溶液と液相フッ素化溶媒との反応混合液に添加してもよい。
液相フッ素化反応は、無水フッ酸に対して抵抗性のある材質の反応容器内で行い、反応によって生じたフッ化水素は反応系内にフッ化水素の捕捉剤を共存させるか、または、排ガス経路にフッ化水素捕捉剤を充填することにより除去することが好ましい。フッ化水素捕捉剤としてはフッ化ナトリウムやフッ化カリウムなどのアルカリ金属フッ化物が好ましく、フッ化ナトリウムが特に好ましい。
本発明の製造方法によれば、様々な有機化合物を原料としてペルフルオロ化合物を生成することによって目的の化合物を製造することができる。例えば、Cm2m+1COX、あるいはCm2m+1COX’(式中、X、X’はハロゲンであり、X≠X’)の異なったハロゲン化物を原料として、ペルフルオロ化合物Cm2m+1COFを生成し、これを加水分解することによってCm2m+1COOHを単一の生成物として得ることができる。
また、本発明の製造方法では、ペルフルオロ化合物の生成後、反応系からフッ素ガスをパージした後、アルコール(ROH)を添加してエステルに転換して反応系から分離してもよい。
本発明の含フッ素化合物の製造方法によれば、種々の有機化合物について、そのフッ素化、特にペルフルオロ化を高収率で炭化水素化合物原料の構造を変換することなく、安全に実現できる。従って、医薬、農薬、ポリマー、機能性製品、界面活性剤、洗浄剤その他各種の化成品やその合成中間体の製造方法として幅広く利用できる。
以下、実施例、比較例、および参考例によって本発明を具体的に示す。なお、本発明はこれらの例に限定されない。また、以下の例において反応生成物の同定はGC−MS(EI)、1H(270MHz、TMS基準)/19F(254MHz、CCl3F基準)−NMR、FT−IRにより行なった。
〔実施例1:カプリル酸クロリドC715COClのフッ素化〕
<無水フッ酸への溶解工程>
窒素ガス導入管を備えた7ml容量の透明フッ素樹脂製容器にフッ素樹脂被覆攪拌子を入れ、無水フッ酸1.5gを入れて攪拌しながら外部から氷冷した。これにカプリル酸クロライド1.63g(10mmol)をシリンジを用いて約10分かけて摘下し、その後さらに20分撹拌を続けた。浴を取り、室温で2時間撹拌して溶液の濃縮を行い、透明な溶液2.13gを得た。この工程において、次式[3]に示すようにカプリル酸クロリドが酸フッ化物に転換される。生成物は精製することなく液相フッ素化に用いた。
715COCl + HF → C715COF + HClg↑ 〔3〕
<液相フッ素化>C715COF →C715COF
ガス出入口と原料導入口、0℃と−78℃の2段のコンデンサー(コンデンサーの間にNaFペレット充填管および反応液返送配管が設置されている)、フッ素樹脂被覆撹拌子、外部温度調節器を備えた180ml容量のフッ素樹脂被覆PFA製の反応器に、ペルフルオロヘキサン100mlを仕込み、窒素ガスを3L/時の流量で0.5時間液中に吹き込んだ。次いで、窒素ガスを30%フッ素と70%窒素の混合ガスに代え、3.2L/時の流量で0.5時間液中に吹き込んで、ペルフルオロヘキサン中にフッ素ガスを飽和させた。
カプリル酸クロリドの無水フッ酸溶解液をプラスチック製のシリンジに移し(全量2.2ml)、30%フッ素と70%窒素の混合ガス(流量3.2L/時)の吹き込みを保った反応容器に7時間かけて供給した。反応液の温度は27〜28℃に調節した。次いで、ヘキサフルオロベンゼン0.56g(3mmol)をペルフルオロヘキサンで全量10mlとして溶解し、30vol%フッ素と70vol%窒素の混合ガスを1.34L/時の流量で2時間吹き込みながら2時間かけて供給した。その後、上記混合ガスを窒素ガスに代え3L/時の流量で1時間液中に吹き込み反応液をパージした。反応液の温度は23〜25℃に調節した。
<エステル化>C715COF +CH(CH3)2OH →C715COOCH(CH3)2
反応液を20℃に調節し、脱水イソプロピルアルコール1.2g(20mmol)を投入して1時間撹拌し、エステル化を行った。次いで反応液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、さらに残液を減圧蒸留し69〜71℃/15mmHgの留分を分画し、C715COOCH(CH3)21.82gを得た。ガスクロマトグラフによる純度は94.73%と高純度であり、収率は38%であった。同定の結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(溶媒CDCl3、ppm) 5.25(m、1H)、1.36(d、6H)、
19F−NMR(溶媒CDCl3、ppm) −81.4(t、F)、−119.2(m、2F)、−122.0(d、2F)、−122.5(s、2F)、−123.1(q、4F)、−126.6(m、2F)
〔実施例2〕
30vol%フッ素と70vol%窒素の混合ガスの吹き込み量を3.97L/時とし、原料溶液にベンゼン0.16g(2mmol)を加えて溶解(全量2.6ml)し、供給した他は実施例1と同様の操作を行い、C715COOCH(CH3)22.96gを得た。ガスクロ純度は95.22%と高純度であった(収率62%)。
〔実施例3:セバコイルクロリドClCO(CH2)8COClのフッ素化〕
<無水フッ酸への溶解>
実施例1と同様の装置を用い、HFの量を2.0g、原料をセバコイルクロリド2.39g(10mmol)とした他は実施例1と同様の操作を行い、透明な溶液2.92gを得た。この工程においては、ClCO(CH28COCl→FCO(CH28COFの反応によって酸塩化物が実質的に酸フッ化物に転換される。生成物は精製することなく液相フッ素化に用いた。
<液相フッ素化>FCO(CH2)8COF → FCO(CF2)8COF
30%フッ素と70%窒素の混合ガスを2.08L/時の流量、原料フッ酸溶液に加えたベンゼンを0.31g(4mmol)、8時間かけて原料を供給し、反応液温度を23〜26℃にした他は実施例2と同様にして反応および操作を行った。
<エステル化>FCO(CF2)8COF+2CH(CH3)2OH -→ (CH3)2CHOCO(CF2)8COOCH(CH3)2
脱水イソプロピルアルコールを2.4g(40mmol)とした他は実施例2と同様にして反応および操作を行った。濃縮後、さらに残液を減圧蒸留し100〜105℃/5mmHgの留分を分画し、(CH3)2CHOCO (CF2)8COOCH(CH3)2 3.00gを得た。ガスクロ純度89.67%、収率52%であった。同定の結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(溶媒CDCl3、ppm) 5.25(m、2H)、1.36(d、12H)、
19F−NMR(溶媒CDCl3、ppm) −119.2(t、4F)、−122.1(d、8F)、−123.1(d、4F)
〔実施例4:スべロイルクロリドClCO(CH2)6COClのフッ素化〕
<無水フッ酸溶液への溶解>
実施例1と同様の装置を用い、無水フッ酸の量を1.5g、原料をスべロイルクロリド2.11g(10mmol)とした他は実施例1と同様の操作を行い、透明な溶液2.32gを得た。この工程においては、ClCO(CH2)6COCl→FCO(CH2)6COFの反応によって酸塩化物が実質的に酸フッ化物に転換される。生成物は精製することなく液相フッ素化に用いた。
<液相フッ素化・エステル化>
30vol%フッ素と70vol%窒素の混合ガスを2.53L/時の流量、原料溶液に加えたベンゼンを0.23g(4mmol)、8時間かけて原料を供給し、反応液温度を26〜27℃、ヘキサフルオロベンゼンを用いた反応を、20vol%フッ素80vol%窒素の混合ガスの流量2.02L/時、温度19〜21℃とした他は実施例1と同様の反応および操作を行い、FCO(CH2)6COFをフッ素化してFCO(CF2)6COFとした。
<エステル化>
アルコールを脱水メチルアルコールにした他は実施例1と同様の反応および操作を行い、濃縮後、さらに残液を減圧蒸留し106〜108℃/11mmHgの留分を分画し、H3CCO(CF2)6COOCH32.23gを得た。ガスクロ純度94.55%、収率51%であった。同定の結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(溶媒CDCl3、ppm) 3.99(s、6H)、
19F−NMR(溶媒CDCl3、ppm) −118.9(m、4F)、−122.2(m、4F)、−123.2(m、4F)
〔実施例5:アジポイルクロリドClCO(CH2)4COClのフッ素化〕
<無水フッ酸への溶解>
実施例1と同様の装置を用い、無水フッ酸の量を1.57g、原料をアジポイルクロリド1.83g(10mmol)とした他は実施例1と同様の操作を行い、FCO(CH2)4COFの透明な溶液2.24gを得た。
<液相フッ素化>
30vol%フッ素よ70vol%窒素の混合ガスの流量を1.77L/時、原料溶液に加えたベンゼンを0.23g(3mmol)、8時間かけて原料を供給し、反応液温度を25〜27℃とし、ヘキサフルオロベンゼンを用いない他は実施例1と同様の反応および操作を行い、FCO(CH2)4COFをフッ素化してFCO(CF2)4COFとした。
<エステル化>
アルコールを脱水メチルアルコールにした他は実施例1と同様の反応および操作を行い、濃縮後、さらに残液を減圧蒸留し89〜91℃/11mmHgの留分を分画し、H3CCO(CF2)4COOCH31.68gを得た。ガスグロ純度92.34%、収率49%であった。同定の結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(溶媒CDCl3、ppm) 3.98(s、6H)、
19F−NMR(溶媒CDCl3、ppm) −119.1(m、4F)、−123.2(m、4F)

Claims (5)

  1. 溶媒中に原料化合物とフッ素ガスとを導入して原料化合物中の水素原子をフッ素原子に置換する液相フッ素化において、原料化合物を無水フッ酸に溶解して液相フッ素化溶媒中に導入してフッ素化を進めることを特徴とする含フッ素化合物の製造方法。
  2. 液相フッ素化溶媒がペルフルオロ炭化水素溶媒(分子内にヘテロ原子を含んでもよい)である請求項1に記載の含フッ素化合物の製造方法。
  3. 液相フッ素化溶媒に予めフッ素ガスを溶解させて液相フッ素化を行なう請求項2に記載の含フッ素化合物の製造方法。
  4. 液相フッ素化を行う際に、分子内に1個以上の不飽和結合または1個以上のC−H結合を有する炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素化合物(分子内にヘテロ原子を含んでもよい)を共存させる請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素化合物の製造方法。
  5. 原料化合物が有機酸または有機酸ハロゲン化物である請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素化合物の製造方法。
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