JP2022058182A - フッ素化有機化合物の製造方法 - Google Patents

フッ素化有機化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022058182A
JP2022058182A JP2021131569A JP2021131569A JP2022058182A JP 2022058182 A JP2022058182 A JP 2022058182A JP 2021131569 A JP2021131569 A JP 2021131569A JP 2021131569 A JP2021131569 A JP 2021131569A JP 2022058182 A JP2022058182 A JP 2022058182A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
substituents
acid
organic compound
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021131569A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7273332B2 (ja
Inventor
淳 白井
Atsushi Shirai
敬 並川
Takashi Namikawa
寿美 石原
Sumi Ishihara
健二 足達
Kenji Adachi
洋介 岸川
Yosuke Kishikawa
克親 黒木
Masachika Kuroki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to EP21875663.3A priority Critical patent/EP4223736A1/en
Priority to CN202180066751.1A priority patent/CN116249686A/zh
Priority to PCT/JP2021/035763 priority patent/WO2022071363A1/ja
Publication of JP2022058182A publication Critical patent/JP2022058182A/ja
Priority to US18/127,959 priority patent/US20230242468A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP7273332B2 publication Critical patent/JP7273332B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】本開示は、新たな、フッ素化有機化合物の製造方法等を提供することを目的とする。【解決手段】フッ素化有機化合物(1)の製造方法であって、有機溶媒を含有する液体組成物中、前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量の水素原子含有有機化合物(2)を、IF5を用いてフッ素化する工程Aを含む、製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、フッ素化有機化合物の製造方法等に関する。
フッ素化合物は、機能性材料、医農薬化合物、及び電子材料等の各種化学製品、その中間体等として極めて重要な化合物である。
従来から、各種の有機化合物を原料として、これをフッ素化させて目的とするフッ素化合物を得る際に、フッ素化剤として、フッ素、フッ化水素、四フッ化硫黄等が用いられている。しかしながら、これらのフッ素化剤を取り扱うためには、特殊な装置や技術が必要である。
近年、フッ化物イオンによる求核置換反応を利用して、有機化合物にフッ素原子を導入する反応、及びそのためのフッ素化剤が種々開発されている。
例えば、五フッ化ヨウ素(IF)は、高い酸化力を持つ強力なフッ素化剤として知られているが、空気中では水分と反応して、HFを発生しながら分解する危険な液体状のフッ素化剤である。この様な性質を有するIFについては、近年、ピリジン及びHFを混ぜると、空気中で安定な白色固体(IF-ピリジン-HF)となり、種々のイオウ化合物等とのフッ素化に有効であることが報告されている(非特許文献1、非特許文献2参照)。
S.Hara, M.Monoi, R.Umemura, C.Fuse, Tetrahedron, 2012, 68, 10145-10150. Journal of Fluorine Chemistry, Volume 167, 2014, Pages 101-104
本開示は、新たな、フッ素化有機化合物の製造方法等を提供することを目的とする。
以下、本開示の製造方法及び組成物等の詳細、及び形態を説明するが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その詳細、及び形態の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
本開示は、次の態様を含む。
項1.
フッ素化有機化合物(1)の製造方法であって、
有機溶媒を含有する液体組成物中、前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量の水素原子含有有機化合物(2)を、IFを用いてフッ素化する工程A
を含む、製造方法。
項2.
前記フッ素化は、IF、酸、及び塩基を用いて実施される、
項1に記載のフッ素化有機化合物の製造方法。
項3.
前記フッ素化は、IF、HF、及び有機塩基を用いて実施される、
項1又は2に記載のフッ素化有機化合物の製造方法。
項4.
前記フッ素化は、IF、HF、及びアミンを用いて実施される、項1~3のいずれか一項に記載のフッ素化有機化合物の製造方法。
項5.
前記水素原子を有する有機化合物(2)は、
部分構造:-C(=S)-Y-
[式中、Yは、O、S、又は単結合である。]
を有する化合物である、
項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
項6.
前記フッ素化有機化合物(1)は、
1個以上の、前記工程Aにより生じた部分構造:-CF
を有する化合物である、
項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
項7.
前記フッ素化有機化合物(1)は、
1個以上の、前記工程Aにより生じた部分構造:-CF
を有する化合物である、
項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
項8.
前記有機化合物(2)の濃度は、
前記有機溶媒の1L当たり2.5mol以上である、
項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
項9.
前記有機溶媒は、
非プロトン性溶媒である、
項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
項10.
フッ素化工程Aの反応温度は、
120℃未満である、
項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
項11.
(1)有機溶媒、
(2)前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量のIF
を含有する組成物。
項12.
(1)組成物の総量を100質量%として、20.0質量%を超える量の有機溶媒、
(2)前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量のIF;及び
(3)酸、又は塩基、或いはこれらの組み合わせ
を含有する組成物。
項13.
前記有機溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、ニトリル、又はアミド、或いはこれらの2種以上の組み合わせである、項11又は12に記載の組成物。
項14.
前記有機溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、或いはこれらの2種以上の組み合わせである、項11~13のいずれか一項に記載の組成物。
項15.
前記酸が、ブレンステッド酸、又はルイス酸、或いはこれらの組み合わせである、項11~14のいずれか一項に記載の組成物。
項16.
前記酸が、ブレンステッド酸である、項11~15のいずれか一項に記載の組成物。
項17.
前記酸が、フッ化水素である、項11~16のいずれか一項に記載の組成物
項18.
前記塩基が、無機塩基、又は有機塩基、或いはこれらの組み合わせである、項11~17のいずれか一項に記載の組成物。
項19.
前記塩基が、有機塩基である、項11~18のいずれか一項に記載の組成物。
項20.
前記塩基が、トリエチルアミン、又はピリジン、或いはこれらの組み合わせである、項11~19のいずれか一項に記載の組成物。
項21.
液体である、項11~20のいずれか一項に記載の組成物。
本開示によれば、新たな、フッ素化有機化合物の製造方法等が提供される。
以下、本開示のフッ素化有機化合物の製造方法を詳細に説明する。
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に記載のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に解される。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10~40℃、好ましくは15~30℃の範囲内の温度を意味する。
製造方法
本開示の製造方法は、フッ素化有機化合物(1)の製造方法であって、
有機溶媒を含有する組成物中、前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量の水素原子含有有機化合物(2)を、IFを用いてフッ素化する工程A
を含む。
本開示において、反応基質である水素原子含有有機化合物(2)としては、例えば、
(2-1)OH基を有する化合物、
(2-2)ケトン化合物(ジケトン、β-ケトカルボン酸、β-ケトエステル、環状ケトン、ケタール等を含む)、アルデヒド化合物(アセタールを含む)、シッフ塩基、及びヒドラゾン等のイミン化合物、又はエステル化合物、
(2-3)スルフィド化合物、
(2-4)エポキシ化合物、
(2-5)芳香族化合物(例:フェニルヒドラジン誘導体、フェノール誘導体、2-ナフトール誘導体、アニリン誘導体)、
(2-6)チオカルボニル化合物、
(2-7)-COOR基を有するエチルスルフィド化合物のエチル部分のポリフッ素化
(2-8)不飽和炭素化合物(例:オレフィン化合物)
が挙げられる。
なお、本開示における、有機化合物のフッ素化は、水素原子がフッ素原子に置換されることに加えて、後記の各丸括弧内に示すように、以下の原子、又は基などがフッ素原子に置換されること(置き換えられること)をも意味する:
水素原子
(CH→CF)、
カルボニル基
(CO→CF)、
チオカルボニル基
(CS→CF)、
スルフィド基
(C-S-→C-F)
ヒドラジノ基
(C-NHNH → C-F;
C=N-NH → CF)、
水酸基
(C-OH → C-F)、及び
エポキシ基
(C-O- → C-F)。
以下に、本開示の製造方法におけるフッ素化を例示する。これにより、本開示の製造方法によって得られる目的物であるフッ素化有機化合物[フッ素化有機化合物(2)]、及び基質である[有機化合物(1)]もまた例示される。
[フッ素化反応1](2-1)OH基を有する化合物のフッ素化
当該フッ素化では、例えば、以下の反応が行われる。
Figure 2022058182000001
[式中、
は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、アシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基を表す。
1aは1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、アシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基を表す。]
なお、本明細書において、「置換基を有していてもよい」とは、置換基を有する場合(すなわち、置換)と置換基を有していない場合(すなわち、無置換)を意味する。例えば、置換基を有していてもよいアルキル基とは、アルキル基(すなわち、無置換のアルキル基)と置換基を有するアルキル基(すなわち、置換アルキル基)とを意味する。
OH基を有する化合物としては、具体的には、
メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、及びオレイルアルコール等の、脂肪族アルコール;
ベンジルアルコール、少なくとも一つの非保護水酸基を有するモノ-、ジ-若しくはトリ-サッカライド、シクロヘキシルアルコール、及びアスコルビン酸等の、脂環式アルコール;
ステロイド系アルコール(例:コレステロール、コール酸、及びコルチゾン)等のアルコール化合物;
酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びケイヒ酸等の、脂肪族モノカルボン酸;
シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸、及びクエン酸等の、ポリカルボン酸;
安息香酸、サリチル酸、(o-,m-,p-)フタル酸、ナリジクス酸、及びニコチン酸等の、芳香族カルボン酸;
パントテン酸、及びビオチン等の、カルボン酸基を有するビタミン化合物;
グリシン、アラニン、フェニルアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、トレオニン、ヒスチジン、リシン、メチオニン、及びプロリン等の、20種の天然アミノ酸;
ヒドロキシカルボン酸(例:乳酸、クエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸)等のカルボン酸化合物が挙げられる。
[フッ素化反応2](2-2)ケトン化合物(ジケトン、β-ケトカルボン酸、β-ケトエステル、環状ケトン、ケタール等を含む)、アルデヒド化合物(アセタールを含む)、シッフ塩基、及びヒドラゾン等のイミン化合物、又はエステル化合物のフッ素化
当該フッ素化では、例えば、以下の反応が行われる。
Figure 2022058182000002
[これらの式中、
Xは、O又はNR’(R’は、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、アシル基、又はアシルアミノ基を表す。)を表し、
、R2a及びR2cは、同一又は異なって水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、アシル基、又はアシルアミノ基を表すか、或いは
とR2aとは互いに結合して環状構造を形成していてもよく、及び
2bは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基を表す。]
環状構造としては、1個以上の置換基を有していてもよい脂肪族4~7員環などが挙げられる。
ケトン化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸、アセト酢酸エステル(アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等)、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、プロピオフェノン、4-ピペリドン、1-オキソ-1,2-ジヒドロナフタレン、ベンジリデンアセトフェノン(カルコン)、及びデオキソベンゾイン、並びにこれらのケタール等が挙げられる。
アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アクリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、及びニコチンアルデヒド、並びにこれらのアセタールなどが挙げられる。
シッフ塩基、及びヒドラゾン等のイミン化合物としては、ケトン又はアルデヒドと、適当な第一級アミン又はヒドラジンと、の縮合物が挙げられる。
エステル化合物としては、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチルなどが挙げられる。
[フッ素化反応3](2-3)スルフィド化合物(ジチオアセタール、ジチオケタールを含む)のフッ素化
当該フッ素化では、例えば、S原子の隣のメチレンの水素原子の1個又は2個をフッ素原子に置換するか、又はS原子をフッ素で置換する反応が行われる。
Figure 2022058182000003
[式中、
3a、R3a’、及びR3a’は、同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよい複素環基を表すか、或いはR3aとR3a’が一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい脂肪族4~7員環を表し、
、及びR3bは、同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、アシル基、アシルアミノ基、シアノ基、1個以上の置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基の結合したスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルスルホニル基、又は1個以上の置換基を有していてもよい複素環基の結合したスルホニル基を表すか、或いは
及びR3bは、これらが結合する炭素原子と共に、ヘテロ原子を介し、又は介することなく互いに結合して4~8員環(当該環は、ハロゲン原子、オキソ基、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、シアノ基、及びアミノ基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。)を形成していてもよく、
3c、及びR3dは、同一又は異なって、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、アシル基、又はアシルアミノ基を表すか、或いは
3cとR3dは、これらが隣接する炭素原子と共に、互いに結合して、飽和又は不飽和の1個以上の置換基を有する脂肪族4~7員環を形成していてもよい(該環は、ハロゲン原子、オキソ基、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、シアノ基、及びアミノ基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。)。]
スルフィド化合物としては、メチルエチルスルフィド、メチルベンジルスルフィド、2-フェニルチオ酢酸エステル、2-フェニルチオアセトフェノン、2-(メチルチオ)アセトフェノン、ビス(メチルチオ)メチルベンゼン、2-オクチル-1,3-ジチアン、2-フェニル-2-トリフルオロメチル-1,3-ジチオラン、トリス(エチルチオ)ヘキサン、4-トリス(メチルチオ)トルエンなどが挙げられる。
[フッ素化反応4](2-4)エポキシ化合物のフッ素化
当該フッ素化では、例えば、以下の反応により、フッ素の付加反応が行われる。
Figure 2022058182000004
[式中、
、R4a、R4b及びR4cは、同一又は異なって、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよい複素環基を表す。]
エポキシ化合物としては、オキシラン、1,2-エポキシエチルベンゼン、1-クロロ-2,3-エポキシプロパン、α,α’-エポキシビベンジルなどが挙げられる。
[フッ素化反応5](2-5)芳香族化合物のフッ素化
当該フッ素化では、例えば、以下の反応により、芳香環にフッ素置換基が導入される。フェノール誘導体又はアニリン誘導体の芳香環へのフッ素化は、フッ素化後、亜鉛末等の還元剤で還元することにより行うことができ、目的とするフッ素化物を得ることができる。
[フッ素化反応5-1]フェニルヒドラジン誘導体のフッ素化
1個以上の置換基を有していてもよいフェニルヒドラジン残基をフッ素原子に置換することができる。
Figure 2022058182000005
[式中、R5a、R5b、R5c、R5d、及びR5eは、同一又は異なって、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アシル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいアシルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキルチオ基を表す。]
[フッ素化反応5-2]フェノール誘導体のフッ素化
フェノール誘導体はIFにより、下記に示すジフルオロ化したキノノイド構造となり、次いで還元することにより、オルト位又はパラ位にフッ素が導入されたフェノール誘導体が生成する。
Figure 2022058182000006
[式中、R5a、R5b、R5c、及びR5dは、同一又は異なって、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アシル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいアシルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキルチオ基を表す。]
オルト及びパラ位の全てが置換された出発原料では、オルト又はパラ位にフッ素原子が導入され、フルオロ化したキノノイド構造の化合物が生成する。
前記の例では、フェノール誘導体として1個以上の置換基を有していてもよいフェノールを用いたが、水酸基又はアルコキシ基等の電子供与性基を有し、及び更に置換されていてもよいベンゼン系芳香族化合物又は縮合多環炭化水素にも同様にフッ素原子を導入することができる。
[フッ素化反応5-3]2-ナフトール誘導体のフッ素化
ナフトールの1位をモノ-又はジ-フッ素化することができる。
Figure 2022058182000007
[式中、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、及びR5gは、同一又は異なって、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アシル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキルチオ基を表す。]
[フッ素化反応5-4]アニリン誘導体のフッ素化
アニリン誘導体もまたフェノール誘導体と同様に、IFにより、下記に示すジフルオロ化したキノノイド構造となり、次いで還元することにより、オルト位又はパラ位にフッ素が導入されたアニリン誘導体が生成する。
Figure 2022058182000008
[式中、R5a、R5b、R5c、及びR5dは、同一又は異なって、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アシル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキルチオ基を表す。]
アニリン誘導体として1個以上の置換基を有していてもよいアニリン、及び1個以上の置換基を有していてもよいナフチルアミンでも同様に芳香環にフッ素原子を導入することができる。
[フッ素化反応6](2-6)チオカルボニル化合物(チオケトン、チオエステル、チオ炭酸エステル、チオアミド、ジチオカルボン酸エステル、ジチオカルバメートを含む)のフッ素化
この反応は、部分構造:-C(=S)-Y-
[式中、Yは、O、S、又は単結合である。]
を有する化合物のフッ素化を行う反応であり、例えば、以下の反応を行うことができる:
Figure 2022058182000009
[式中、
及びR6aは、同一又は異なって、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、アシル基、アシルアミノ基を表すか、或いはRとR6aは互いに結合して環状構造を形成していてもよく、及び
6bは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよい複素環基を表す。]
式(b)の反応においてフッ素化剤の使用量を抑えた場合(例:0.5当量以下)、R-CF-SR6b」の生成量が優位になる。
チオカルボニル化合物としては、ジチオ炭酸O-(4-イソプロピルフェニル)S-メチル、ジチオ炭酸O-(4-ブロモフェニル)S-メチル、4-(((メチルチオ)カルボノチオイル)オキシ)安息香酸エチル、ジチオ炭酸O-デシルS-メチル、ジチオ炭酸O-(3-フェニルプロピル)S-メチル、シクロヘキサンカルボチオ酸O-メチル、1-ピペリジンカルボチオ酸O-プロピル、ジチオ安息香酸メチル、チオベンゾフェノン、チオ安息香酸O-フェニル、N,N-ジメチルフェニルチオアミド、3-キノリンジチオカルボン酸エチル、トリフルオロメタンカルボチオイルナフタレン、N-メチル-N-フェニルトリフルオロメタンチオアミド、N-ベンジル-N-フェニルヘプタフルオロプロパンチオアミド、ジチオ炭酸O-(4’-ペンチル-[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-4-イル)S-メチル、
Figure 2022058182000010
などが挙げられる。
[フッ素化反応7](2-7)-COOR基を有するエチルスルフィド化合物のエチル部分のポリフッ素化
当該フッ素化では、S原子の隣のエチル部分がポリフッ素化される。
-S-CH(COOR7a)-CH
→R-S-CHF-CF-COOR7a
[式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、及び
7aは、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、アシル基、アシルアミノ基、シアノ基、1個以上の置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基の結合したスルフィニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルスルホニル基、又は1個以上の置換基を有していてもよい複素環基の結合したスルホニル基を表す。]
-COOR基を有するエチルスルフィド化合物としては、2-((4-クロロフェニル)チオ)プロパン酸エチルなどが挙げられる。
[フッ素化反応8](2-8)不飽和炭素化合物のフッ素化
当該フッ素化では、炭素-炭素二重結合、又は炭素-炭素三重結合に、フッ素及びヨウ素が付加する。
(a) R8a8a’C=CR8b8b’ → FR8aC-CR8b
(b) R8aC≡CR8b → FR8aC=CR8b
[式中、R8a、R8a’、R8b、及びR8b’は、同一又は異なって、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、アシル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、エステル基又はハロゲン原子を表すか、或いはR8a、R8a’、R8b、及びR8b’のうちの2個以上は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
環状構造としては、1個以上の置換基を有していてもよい脂肪族4~12員環などが挙げられる。
不飽和炭素化合物としては、デセン、シクロドデセン、及びドデシン等のC~C20不飽和炭素化合物などが挙げられる。
本明細書において、アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデジル、オクタデシル等の直鎖又は分枝を有するC~C18アルキル基(好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、及びヘキシル等の直鎖又は分枝を有するC~Cアルキル基)が挙げられる。
本明細書において、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の直鎖又は分枝を有するC~Cアルコキシ基が挙げられる。
本明細書において、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、3-ブテニル基等のC~Cアルケニル基などが挙げられる。
本明細書において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、アリール基としては、フェニル基、及びナフチル基などが挙げられる。
本明細書において、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
本明細書において、アラルキル基としては、2-フェニルエチル、ベンジル、1-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル等のC~C10アラルキル基などが挙げられる。
本明細書において、シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルのC~Cシクロアルキル基が挙げられ、C~Cシクロアルキル基が好ましい。
本明細書において、ヘテロシクロアルキル基としては、前記のシクロアルキル基の環状構造を形成する1個若しくはそれ以上の炭素原子が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などで置換されたものが挙げられる。
本明細書において、モノアルキルアミノ基としては、前記のC~Cアルキル基でモノ置換されたアミノ基などが挙げられる。
本明細書において、ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ等の前記のC~Cアルキル基でジ置換されたアミノ基などが挙げられる。
本明細書において、アシルアミノ基としては、ホルミルアミノ、ベンゾイルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、及びn-ブチリルアミノ等の炭素数1~8のアシルアミノ基(例:ホルミルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基)が挙げられる。
アルキルチオ基としては、-S-(C~Cアルキル基)などが挙げられる(C~Cアルキル基は、前記に同じ)。
本明細書において、複素環基としては、ピペリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、ピロリジニル、トリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、インドリル、ピラゾリル、ピリダジニル、シンノリニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、ピラジニル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、及びテトラゾリル等の、5~10員の、単環式、又は2環式の、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子を環構成原子として有する複素環基が挙げられる。
本明細書において、複素環基のうち、芳香族複素環基としては、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、トリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、インドリル、ピラゾリル、ピリダジニル、シンノリニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、ピラジニル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、及びテトラゾリル等の、5~10員の、単環式、又は2環式の、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子を環構成原子として有するヘテロアリール基が挙げられる。
本明細書において、アシル基としては、ホルミル基;並びに
アセチル、プロピオニル、n-ブチリル、イゾブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル等の直鎖又は分枝を有する炭素数2~6のアルカノイル基、及びベンゾイル基等の炭素数7~15のアリールカルボニル基
が挙げられる。
アシル基としては、
クロロアセチル基、ブロモアセチル基、ジクロロアセチル基、及びトリフルオロアセチル基等の置換アセチル基;
メトキシアセチル基、エトキシアセチル基等のアルコキシ置換アセチル基、及び
メチルチオアセチル基等のアルキルチオ置換アセチル基;並びに
フェノキシアセチル基、フェニルチオアセチル基、2-クロロベンゾイル基、3-クロロベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基、4-メチルベンゾイル基、4-t-ブチルベンゾイル基、4-メトキシベンゾイル基、4-シアノベンゾイル基、及び4-ニトロベンゾイル基等の置換ベンゾイル基
なども挙げられる。
本明細書において、アルカノイル基としては、アセチル、プロピオニル、n-ブチリル、イゾブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル等の直鎖又は分枝を有する炭素数2~6のアルカノイル基
が挙げられる。
本明細書において、アルキルスルフィニル基、アラルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、ヘテロシクロアルキルスルフィニル基、及び複素環基の結合したスルフィニル基の、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、及び複素環基としては、それぞれ、前記のものが例示される。
本明細書において、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、ヘテロシクロアルキルスルホニル基、及び複素環基の結合したスルホニル基の、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、及び複素環基としては、それぞれ、前記のものが例示される。
本明細書において、アリールカルボニル基におけるアリール基としては、前記のものが例示される。
本明細書において、アリールカルボニルアミノ基の、アリールカルボニル基としては、前記のものが例示される。
本明細書において、エステル基としては、例えば、アシル-O-基、及びアルコキシ-CO-基が挙げられる。ここで、「アシル」、及び「アルコキシ」としては、前記の「アシル基」、及び「アルコキシ基」が挙げられる。
1個以上の置換基を有するアルキル基、1個以上の置換基を有するアルコキシ基、及び1個以上の置換基を有するアルケニル基等の置換基の数は、1~5個、好ましくは1~3個が挙げられる。置換基としては、ハロゲン、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ基、水酸基などが挙げられ、ハロゲンを有するアルキル基としては、アルキル基の水素の一部又はすべてがフッ素に置換したものが挙げられる。
1個以上の置換基を有するアラルキル基、1個以上の置換基を有するアリール基、1個以上の置換基を有するアリールオキシ基、1個以上の置換基を有するシクロアルキル基、1個以上の置換基を有するヘテロシクロアルキル基、1個以上の置換基を有する複素環基、1個以上の置換基を有するモノアルキルアミノ基、1個以上の置換基を有するジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、1個以上の置換基を有するアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有するアラルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有するアリールスルフィニル基、1個以上の置換基を有するシクロアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有するヘテロシクロアルキルスルフィニル基、1個以上の置換基を有する複素環基の結合したスルフィニル基、1個以上の置換基を有するアルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有するアラルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有するアリールスルホニル基、1個以上の置換基を有するシクロアルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有するヘテロシクロアルキルスルホニル基、1個以上の置換基を有する複素環基の結合したスルホニル基1個以上の置換基を有するアリールカルボニル基、1個以上の置換基を有するアシルアミノ基、及び1個以上の置換基を有するアリールカルボニルアミノ基等の置換基の数は、例えば、1~5個、好ましくは1~3個であることができる。置換基としては、C~Cアルキル基、ハロゲン原子、C~Cアルコキシ基、C~Cアルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ基、及び水酸基などが挙げられる。
1個以上の置換基を有する脂肪族4~7員環等の置換基の数は、1~5個、好ましくは1~3個が挙げられる。置換基としては、C~Cアルキル基、ハロゲン原子、C~Cアルコキシ基、C~Cアルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ基、水酸基、及びカルボキシルエステルなどが挙げられる。また、
Figure 2022058182000011
も、1個以上の置換基を有する脂肪族4~7員環に含まれる。
工程Aにおける水素原子含有有機化合物(2)の量の下限は、有機溶媒の1L当たり、
1.8mol以上、
好ましくは、2.0mol以上、
より好ましくは、2.5mol以上、
更に好ましくは、2.8mol以上
である。
工程Aにおける水素原子含有有機化合物(2)の量が、有機溶媒の1L当たり1.8mol未満では、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率が低下する。本開示で使用するIFは強力な酸化剤であるため、技術常識からすると、水素原子含有有機化合物(2)の量を多くすると分解物も多く出ることが予想され、選択率が下がると想定されるので、収率も低下するものと予想されるが、それにも関わらず、本開示では、高収率で目的物を得ることができる。
工程Aにおける水素原子含有有機化合物(2)の量の上限は特に限定されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性の観点から、有機溶媒の1L当たり、例えば、20mol以下、15mol以下、又は10mol以下であることができる。
工程AにおけるIFの量の下限は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率の観点から、具体的には、例えば、有機溶媒の1L当たり、
好ましくは1.8mol以上、
より好ましくは2.0mol以上、
更に好ましくは2.2mol以上、
より更に好ましくは2.5mol以上
特に好ましくは2.7mol以上、
より特に好ましくは3.0mol以上、
最も好ましくは3.5mol以上
であることができる。
工程AにおけるIFの量が、有機溶媒の1L当たり1.8mol以上とすることで、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率をさらに向上させやすい。本開示で使用するIFは強力な酸化剤であるため、技術常識からすると、IFの量を多くすると分解物も多く出ることが予想され、選択率が下がると想定されるので、収率も低下するものと予想されるが、それにも関わらず、本開示では、さらに高収率で目的物を得やすい。
工程AにおけるIFの量の上限は特に限定されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性の観点から、具体的には、例えば、有機溶媒の1L当たり、
100mol、
70mol以下、
50mol以下、
30mol以下、
20mol以下、
15mol以下、又は
10mol以下
であることができる。
工程AにおけるIFの濃度は特に限定されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率の観点から、前記水素原子含有有機化合物(2)の量とほぼ等量であること(具体的には、前記水素原子含有有機化合物(2)に対するモル比で、好ましくは0.1~10.0、より好ましくは0.3~5.0、及び更に好ましくは0.5~3.0の範囲内であること)が好ましい。
前記フッ素化は、IFを用いて実施されるものであるが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、好ましくは、IF、酸、及び塩基を用いて実施される。
前記酸は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、好ましくは、ブレンステッド酸、又はルイス酸、或いはこれらの組み合わせであることができる。
前記酸としては、具体的には、例えば、
硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、フッ化水素(HF)、フッ酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸等のハロゲン化水素、又はハロゲン化水素酸、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、ハロゲン酸、又は過ハロゲン酸;
フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、或いはポリスチレンスルホン酸、フッ素化スルホン酸樹脂(Nafion-H)等のポリマー担持スルホン酸;
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クロル酢酸、ブロム酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、グリコール酸、乳酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸等の、モノ、若しくはポリカルボン酸;
SO、BF、BCl、B(OCH、AlCl、AlBr、SbF、SbCl、SbF、PF、PF、AsF、AsCl、AsF、TiCl、NbF、及びTaF等の、ルイス酸又はそのエーテル錯体;
HBF、HPF、HAsF、HSbF、及びHSbCl等の、ルイス酸とハロゲン化水素とからなる酸、又はこれらのエーテル等との錯体;
、或いはこれらの2種以上の混合物
が挙げられる。
前記酸は、様々な担体に担持されていてもよい。
当該担体としては、例えば、SiO、メチル化SiO、Al、Al-WB、MoO、ThO、ZrO、TiO、Cr、SiO-Al、SiO-TiO、SiO-ZrO、TiO-ZrO、Al-B、SiO-WO、SiO-NHF、HSOCl-Al、HF-NH-Y、HF-Al、NHF-SiO-Al、AlF-Al、Ru-F-Al、F-Al、KF-Al、AlPO、AlF、ボーキサイト、カオリン、活性炭、グラファイト、Pt-グラファイト、イオン交換樹脂、金属硫酸塩、塩化物、金属(例、Al)、合金(例:Al-Mg、Ni-Mo)、及びポリマー(例:ポリスチレン)等が挙げられる。
前記酸は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、好ましくは、例えば、HFであることができる。また、前記塩基は、詳しくは後述するが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、好ましくは、有機塩基であることができる。従って、前記フッ素化は、好ましくは、例えば、IF、HF、及び有機塩基を用いて実施されることができる。
前記酸の量は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、IFの1molに対して、
好ましくは0.5~20molの範囲内、
より好ましくは、0.8~10molの範囲内、
更に好ましくは、0.9~5molの範囲内
であることができる。
前記「塩基」としては、例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び水酸化バリウム等の、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属水酸化物;
ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムブトキシド、リチウムメトキシド、及びリチウムエトキシド等の、アルカリ金属アルコキシド;
水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、及び水素化カルシウム等の、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属水素化物;
ナトリウム、カリウム、及びリチウム等の、アルカリ金属;
マグネシウムオキシド、及びカルシウムオキシド等の、アルカリ土類金属酸化物;
アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化オクチルトリエチルアンモニウム、及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の、水酸化アンモニウム塩又はポリマー担持水酸化アンモニウム塩(例:アンバーライト樹脂)等;
脂肪族アミン(第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン)、脂環式アミン(第二級アミン、第三級アミン)、芳香族アミン(第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン)、及び複素環式アミン等;並びに
ポリアリルアミン、及びポリビニルピリジン等の、ポリマー担持アミン化合物
等が挙げられる。
本明細書中、「脂肪族第一級アミン」としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、及びエチレンジアミン等が挙げられる。
本明細書中、「脂肪族第二級アミン」としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、及びジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
本明細書中、「脂肪族第三級アミン」としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
本明細書中、「脂環式第二級アミン」としては、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、及びモルホリン等が挙げられる。
本明細書中、「脂環式第三級アミン」としては、N-メチルピペラジン、N-メチルピロリジン、5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン-5-エン、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
本明細書中、「芳香族アミン」としては、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ハロアニリン、及びニトロアニリン等が挙げられる。 本明細書中、「複素環式アミン」としては、ピリジン、ピリミジン、ピペラジン、キノリン、及びイミダゾール等が挙げられる。
前記塩基は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、好ましくは、例えば、有機塩基であることができ、より好ましくは、例えば、アミンであることができる。すなわち、前記フッ素化は、更に好ましくは、IF、HF、及びアミンを用いて実施される。このアミンには、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミン等の他、ポリマー担持アミン化合物も包含される。
前記塩基の量は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、IFの1molに対して、
好ましくは0.5~20molの範囲内、
より好ましくは、0.8~10molの範囲内、
更に好ましくは、0.9~5molの範囲内
であることができる。
前記酸及び塩基は、塩を形成していてもよい。
当該「塩」としては、例えば、
硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、硫酸リチウム、硫酸セシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸トリエチルアンモニウム、硫酸ピリジニウム、硫酸トリメチルピリジニウム、硫酸ポリアリルアンモニウム、硫酸ポリビニルピリジニウム、メタンスルホン酸ナトリウム、メタンスルホン酸アンモニウム、メタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、エタンスルホン酸カリウム、ブタンスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム等の硫酸若しくはスルホン酸の金属塩若しくはアンモニウム塩;
ギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、酢酸メチルアンモニウム、酢酸ジエチルアンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸ピリジニウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸ナトリウム、酢酸ポリアリルアンモニウム、酢酸ポリビニルピリジニウム、イソ酪酸ナトリウム、バレリアン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、クロル酢酸ナトリウム、ブロム酢酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等のカルボン酸の金属塩若しくはアンモニウム塩;
LiBr、LiI、NaBr、NaI、KBr、KI、RbBr、RbI、CsBr、CsI、BeBr、BeI、MgBr、MgI、CaBr、CaI、SrBr、SrI、BaBr、BaI、ZnBr、ZnI、CuBr、CuI、CuBr、CuI、AgBr、AgI、AuBr、AuI、NiBr、NiI、PdBr、PdI、PtBr、PtI、CoBr、Col、FeBr、FeBr、FeI、FeI、MnBr、MnI、CrBr、CrI、PbBr、PbI、SnBr、SnI、SnBr、SnI等の金属塩;
NHBr、NHI、MeNHBr、MeNHI、MeNBr、MeNI、EtNBr、EtNI、BuNBr、BuNI、PhMeNBr、PhMeNI、PhCHNMeI、臭化ピリジニウム、ヨウ化ピリジニウム、ヨウ化クロルピリジニウム、ヨウ化メチルピリジニウム、ヨウ化シアノピリジニウム、ヨウ化ビピリジニウム、ヨウ化キノリウム、ヨウ化イソキノリウム、臭化N-メチルピリジニウム、ヨウ化N-メチルピリジニウム、ヨウ化N-メチルキノリウム等のピリジニウム塩若しくはアンモニウム塩;
MePBr、MePI、EtPI、PrI、BuPBr、BuPI、PhPBr、PhPI等のホスホニウム塩(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基を意味する);
フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化アンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化ポリアリルアンモニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過臭素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム等のハロゲン化水素、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、ハロゲン酸若しくは過ハロゲン酸の金属塩若しくはアミン塩;
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;
リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸ピリジニウム等のリン酸の金属塩若しくはアミン塩;
硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ピリジニウム等の硝酸の金属塩、又はアミン塩;
NaBF、KBF、LiBF、NaSbF、NaAsF、NaPF、NHBF、NHSbF、NHPF、等のルイス酸とハロゲン化水素とからなる金属塩若しくはアミン塩;
テトラメチルホスホニウムフルオライド、テトラメチルホスホニウムアセテート、テトラフェニルホスホニウムフルオライド等のホスホニウム塩;
(CNF、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムフルオライド、(CN-(HF)、(CNF-(HF)、(n-CN-(HF)、(n-CNF-(HF)、BF・EtO-(HF)等(n=1~20)のフッ素アニオン若しくはHFを有する常温溶融塩が挙げられる(式中、Etはエチル基を意味する)。
当該「塩」は、1種単独であってもよく、2種以上の混合物若しくは組合せであってもよい。
本開示の製造方法において、IFは、前記酸、及び/又は前記塩基と複合体を形成していてもよい。
所望により、IFとともに、ハロゲン、ハロゲン間化合物、ポリハロゲン化物等の添加物を用いてもよい。
前記「ハロゲン」としては、例えば、ヨウ素、臭素、及び塩素等が挙げられ、なかでもヨウ素、又は臭素が好ましく、更にヨウ素が好ましい。
前記「ハロゲン間化合物」としては、IF以外のハロゲン間化合物を意味しており、ClF、BrF、ICl、IBr、ICl、及びICl等が挙げられる。
前記「ポリハロゲン化物」としては、例えば、LiClI、NaClI、KClI、CsClI、RbClI、MeNClI、EtNClI、PrNClI、BuNClI、PhNMeClI、PhCHNMeClI、MeSClI、ClIP、KCl、MeNCl、2,2’-ビピリジニウムμ-クロロジクロロジアイオダート(2,2’-bipyridiniumμ-chlorodichlorodiiodate)、2,2’-ビキノリニウムμ-クロロジクロロジアイオダート(2,2’-biquinoliniumμ-chlorodichlorodiiodate)、KClI、MeNClI、MeNClI、EtNCl、PhAsCl、KClF、MeNClF、CsClF、CsClFI、KBrClI、NHBrClI、MeNBrClI、MeNBrCl、BuNBrCl、MeNBrCl、CsBrFI、NaBrF、KBrF、CsBrF、MeNBrF、CsBrF、MeNBrF、EtNBrCl、CsBr、MeNBr、EtBr、BuNBr、PhCHNMeBr、ピリジニウムトリブロミド(pyridinium tribromide)、BrP、CsBrI、MeNBrI、MeNBrI、MeNBrI、KBrCl、MeNBrCl、BuNBrCl、KBrI、MeNBrI、BuNBrI、2,2’-ビピリジニウムμ-ブロモジブロモジアイオダート(2,2’-bipyridinium μ-bromodibromodiiodate)、NaFI、KFI、CsFI、CsFI、CsFI、KI、CsI、MeNI、EtNI、PrNI、BuNI、ピリジニウムトリアイオジド(pyridinium triiodide)、MeNI、EtNI、MeNI、MePBr、MePI、MePIBr、MePICl、EtPI、BuPI、PhPI、PhPBr、PhPIBr等が挙げられる(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基、Phはフェニル基を意味する)。
当該「添加物」は、1種単独であってもよく、2種以上の混合物若しくは組合せであってもよい。
前記水素原子を有する有機化合物(2)は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、好ましくは、
部分構造:-C(=S)-Y-
[式中、Yは、O、S、又は単結合である。]
を有する化合物であり、上記したフッ素化反応6が好ましい。
前記フッ素化有機化合物(1)は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、好ましくは、
1個以上の、前記工程Aにより生じた部分構造:-CF
を有する化合物である。
前記フッ素化有機化合物(1)は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、また好ましくは、
1個以上の、前記工程Aにより生じた部分構造:-CF
を有する化合物である。
前記有機溶媒は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、好ましくは、非プロトン性溶媒である。
本開示の製造方法に好ましく使用される有機溶媒としては、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率等の観点から、例えば、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、フルオロトリクロロメタン、1,1,2-トリクロロトリフルオロエタン、2-クロロ-1,2-ジブロモ-1,1,2-トリフルオロエタン、1,2-ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2-ジブロモテトラフルオロエタン、1,1-ジフルオロテトラクロロエタン、1,2-ジフルオロテトラクロロエタン、ヘプタフルオロ-2,3,3-トリクロロブタン、1,1,1,3-テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1-トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1,1-トリクロロトリフルオロエタン、及びポリクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化脂肪族溶媒;
ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、γ-ブチロラクトン、プロピレンカーボナート等のエステル溶媒;
アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;
ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族溶媒;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、及びメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)等のエーテル溶媒;並びに
アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ニトロメタン、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、テトラメチルウレア、1,3-ジメチルプロピレンウレア、ヘキサメチルフォスフォルアミド(HMPA)などが挙げられる。
これらは、単独で、又は任意の2種以上の組み合わせで(例:混合溶媒として)、用いられる。
フッ素化工程Aの反応温度は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、
通常、120℃未満、
好ましくは、100℃未満、
より好ましくは、90℃未満、
更に好ましくは、80℃未満
であることができる。
フッ素化工程Aの反応温度は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から
好ましくは、-20℃以上、
より好ましくは、0℃以上、
より更に好ましくは、5℃以上
であることができる。
フッ素化工程Aの好適な反応時間は、基質及び目的物等に応じて異なり得るが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、例えば、
通常、80時間未満、
好ましくは、60時間未満、
より好ましくは、40時間未満、
更に好ましくは、30時間未満、
より更に好ましくは、24時間未満
であることができる。
フッ素化工程Aの好適な反応時間は、基質及び目的物等に応じて異なり得るが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、例えば、
好ましくは、0.5時間以上、
より好ましくは、1時間以上、
より更に好ましくは、2時間以上
であることができる。
本開示の反応により、基質1モルあたりに導入されるフッ素原子が、好ましくは0.65モル以上、より好ましくは0.70モル以上、更に好ましくは0.75モル以上、及びより更に好ましくは0.80モル以上であることができる。基質1モルあたりに導入されるフッ素原の量の上限は特に制限されず、反応箇所の数にもよるが、通常10モル以下とすることができる。
組成物
本開示の組成物は、
(1)有機溶媒、
(2)前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量のIF
を含有する。
本開示の組成物は、好ましくは、
(1)組成物の総量を100質量%として、20質量%を超える量の有機溶媒、
(2)前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量のIF;及び
(3)酸、又は塩基、或いはこれらの組み合わせ
を含有する。
これらの本開示の組成物は、特に制限されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、好ましくは、液体組成物である。
以下に、当該本開示の組成物について、説明する。
当該組成物は、前記本開示の製造方法に使用できるものであり、その詳細は、以下の記載に加えて、前記本開示の製造方法についての説明もまた参照して、技術常識に基づき、理解され得る。
前記有機溶媒は、前記製造方法について述べたものであることができる。
前記有機溶媒は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、好ましくは、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、ニトリル、又はアミド、或いはこれらの2種以上の組み合わせである。
脂肪族炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ニトロベンゼン等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、フルオロトリクロロメタン、1,1,2-トリクロロトリフルオロエタン、2-クロロ-1,2-ジブロモ-1,1,2-トリフルオロエタン、1,2-ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2-ジブロモテトラフルオロエタン、1,1-ジフルオロテトラクロロエタン、1,2-ジフルオロテトラクロロエタン、ヘプタフルオロ-2,3,3-トリクロロブタン、1,1,1,3-テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1-トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1,1-トリクロロトリフルオロエタン、及びポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。
エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)等が挙げられる。
ケトンとしては、例えば、アセトン等が挙げられる。
エステルとしては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、γ-ブチロラクトン、プロピレンカーボナート等が挙げられる。
ニトリルとしては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
アミドとしては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、テトラメチルウレア、1,3-ジメチルプロピレンウレア等が挙げられる。
前記有機溶媒は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、好ましくは、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、又はニトリル、或いはこれらの2種以上の組み合わせである。
本開示の組成物中の有機溶媒の量の下限は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、
通常、20.0質量%より大きく、
好ましくは20.5質量%以上、
より好ましくは21.0質量%以上、
更に好ましくは22.5質量%以上、
より更に好ましくは23.0質量%以上、
特に好ましくは23.5質量%以上、
より特に好ましくは24.0質量%以上、
さらに特に好ましくは24.5質量%以上
である。
また、本開示の組成物中の有機溶媒の量の上限は、特に制限されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、
通常、80.0質量%以下、
好ましくは75.0質量%以下、
より好ましくは70.0質量%以下、
更に好ましくは65.0質量%以下、
より更に好ましくは60.0質量%以下、
特に好ましくは55.0質量%以下、
より特に好ましくは50.0質量%以下
さらに特に好ましくは45.0質量%以下
である。
前記有機溶媒の1L当たりのIFの量の下限は、目的とするフッ素化有機化合物(1)の
収率、経済性等の観点から、
1.8mol以上、
好ましくは2.0mol以上、
より好ましくは2.2mol以上、
更に好ましくは2.5mol以上、
より更に好ましくは2.7mol以上、
特に好ましくは3.0mol以上、
より特に好ましくは3.5mol以上である。
前記有機溶媒の1L当たりのIFの当該量の上限は、特に制限されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、
通常、100mol以下
好ましくは、70mol以下、
より好ましくは50mol以下、
更に好ましくは30mol以下、
より更に好ましくは20mol以下、
特に好ましくは15mol以下、
より特に好ましくは10mol/L以下
である。
IFの濃度は、特に制限されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、前記水素原子含有有機化合物(2)の量とほぼ等量であること(具体的には、前記水素原子含有有機化合物(2)に対するモル比で、好ましくは0.1~10.0、より好ましくは0.3~5.0、及び更に好ましくは0.5~3.0の範囲内であること)が好ましい。
前記酸は、特に制限されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、
好ましくは、ブレンステッド酸、又はルイス酸、或いはこれらの組み合わせ、
より好ましくは、ブレンステッド酸、
さらに好ましくはフッ化水素
である。
当該ルイス酸は、ブレンステッドの定義では酸ではないが、ルイスの定義では酸であるものを意味することができる。
前記塩基は、特に制限されないが、目的とするフッ素化有機化合物(1)の収率、経済性等の観点から、
好ましくは、無機塩基、又は有機塩基、或いはこれらの組み合わせ、
より好ましくは、有機塩基、
更に好ましくは、トリエチルアミン、又はピリジン、或いはこれらの組み合わせである。
実施例中の記号及び略号の意味を以下に示す。
EtN:トリエチルアミン。
実施例1、2 比較例A
反応器へトルエン(実施例1及び2:0.87g,1.0mL;比較例A:8.7g,10mL)を加えた後、O-n-デシルS-メチルジチオカーボネート(O-n-decyl S-methyl dithiocarbonate;1.0g,4.03mmol)を添加した。撹拌しながら、IF-EtN-3HF(1.54g,4.03mmol)を投入し、室温で所定の時間反応させた(表1参照)。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRでn-デシルトリフルオロメチルエーテル(n-decyl trifluoromethyl ether;CF体)とメチルn-デシルオキシジフルオロメチルスルフィド(methyl n-decyloxydifluoromethyl sulfide;CF体)の収率を分析した。実施例1及び2において、使用した組成物(基質、フッ素化剤及び有機溶媒)中の有機溶媒の含有量は25.5質量%であった。比較例Aにおいて、使用した組成物(基質、フッ素化剤及び有機溶媒)中の有機溶媒の含有量は77.4質量%であった。
実施例3、4 比較例B
反応器へジクロロメタン(実施例3及び4:0.66g,0.5mL;比較例B:13.3g,10mL)を加えた後、N-ブチル-N-プロピオニルジチオカルバミン酸メチルエステル(N-Butyl-N-propionyldithiocarbamic acid methyl ester;0.5g,2.28mmol)を添加した。撹拌しながら、IF-EtN-3HF(0.87g,2.28mmol)を投入し、室温で所定の時間反応させた(表1参照)。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRでN-ブチル-N-トリフルオロメチルプロパンアミド(N-Butyl-N-trifluoromethylpropanamide;CF体)の収率を分析した。実施例3及び4において、使用した組成物(基質、フッ素化剤及び有機溶媒)中の有機溶媒の含有量は32.5質量%であった。比較例Bにおいて、使用した組成物(基質、フッ素化剤及び有機溶媒)中の有機溶媒の含有量は90.7質量%であった。
実施例5 比較例C
反応器へトルエン(実施例5:0.26g,0.3mL;比較例C:2.6g,3.0mL)を加えた後、4-クロロ-2,6-ジフルオロチオノ安息香酸3,4,5-トリフルオロフェニルエステル(4-chloro-2,6-difluorothionobenzoic acid 3,4,5-trifluorophenyl ester;0.3g,0.89mmol)を添加した。撹拌しながら、IF-EtN-3HF(340mg,0.89mmol)を投入し、室温で所定の時間反応させた(表1参照)。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRで4-[ジフルオロ(3,4,5-トリフルオロフェノキシ)メチル]-1-クロロ-3,5-ジフルオロベンゼン(4-[difluoro(3,4,5-trifluorophenoxy)methyl]-1-chloro-3,5-difluorobenzene;CF体)の収率を分析した。実施例5において、使用した組成物中の有機溶媒の含有量は28.9質量%であった。比較例Cにおいて、使用した組成物中の有機溶媒の含有量は80.3質量%であった。
実施例6 比較例D
反応器へ酢酸エチル(実施例6:0.90g,1.0mL;比較例D:2.6g,2.92mL)を加えた後、O-[4-(4-ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]メチルスルファニルメタンチオエート(O-[4-(4-penthylcyclohexyl)cyclohexyl] methylsulfanylmethanethioate;1.0g,2.92mmol)を添加した。撹拌しながら、IF-EtN-3HF(1.45g,3.79mmol)を投入し、40℃で所定の時間反応させた(表1参照)。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRで1-メチル-4-[4-(トリフルオロメトキシ)シクロヘキシル]シクロヘキサン(1-methyl-4-[4-(trifluoromethoxy)cyclohexyl]cyclohexane;CF体)の収率を分析した。実施例6において、使用した組成物(基質、フッ素化剤及び有機溶媒)中の有機溶媒の含有量は26.9質量%であった。比較例Dにおいて、使用した組成物(基質、フッ素化剤及び有機溶媒)中の有機溶媒の含有量は51.5質量%であった。
前記の例の結果を表1に示す。
Figure 2022058182000012
実施例7
反応器へアセトニトリル(1.1g,1.4mL)を加えた後、N-ブチル-N-プロピオニルジチオカルバミン酸メチルエステル(N-Butyl-N-propionyldithiocarbamic acid methyl ester;1.4g,6.39mmol)を添加した。撹拌しながらIF-EtN-3HF(2.45g,6.39mmol)を投入し、室温で所定の時間反応させた(表2参照)。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRでN-ブチル-N-トリフルオロメチルプロパンアミド(N-Butyl-N-trifluoromethylpropanamide;CF体)の収率を分析した。実施例7において、使用した組成物(基質、フッ素化剤及び有機溶媒)中の有機溶媒の含有量は22.2質量%であった。
実施例8
反応器へ n-ヘプタン(1.4mL)を加えた後、N-ブチル-N-プロピオニルジチオカルバミン酸メチルエステル(N-Butyl-N-propionyldithiocarbamic acid methyl ester;1.4g,6.39mmol)を添加した。撹拌しながらIF-EtN-3HF(2.45g,6.39mmol)を投入し、室温で所定の時間反応させた(表2参照)。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRでN-ブチル-N-トリフルオロメチルプロパンアミド(N-Butyl-N-trifluoromethylpropanamide;CF体)の収率を分析した。
実施例9
反応器へ1,2-ジメトキシエタン(0.43g,0.5mL)とアセトニトリル(0.39g,0.5mL)を加えた後、4-クロロ-2,6-ジフルオロチオ安息香酸3,4,5-トリフルオロフェニルエステル(4-Chloro-2,6-difluorothiobenzoic acid 3,4,5-trifluorophenyl ester;1.01g,3.0mmol)を添加した。撹拌しながらIF-EtN-3HF(1.73g,4.52mmol)を投入し、50℃で16.0時間反応させた(表2参照)。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRで4-[ジフルオロ(3,4,5-トリフルオロフェノキシ)メチル]-1-クロロ-3,5-ジフルオロベンゼン(4-[difluoro(3,4,5-trifluorophenoxy)methyl]-1-chloro-3,5-difluorobenzene;CF体)の収率を分析した。実施例9において、使用した組成物(基質、フッ素化剤及び有機溶媒)中の有機溶媒の含有量は23.0質量%であった。
実施例10 比較例E
反応器へ酢酸エチル(実施例10:0.90g,1.0mL;比較例E:2.69g,3.0mL)を加えた後、IF-EtN-3HF(1.75g,4.57mmol)を添加した。この時点では、使用した組成物中の有機溶媒の含有量は、実施例10では34.0質量%であり、比較例Eでは60.6質量%であった。撹拌しながらN-ブチル-N-プロピオニルジチオカルバミン酸メチルエステル(N-Butyl-N-propionyldithiocarbamic acid methyl ester;1.0g,4.57mmol)を投入し、40℃で16.0時間反応させた(表2参照)。この時点では、使用した組成物中の有機溶媒の含有量は、実施例10では24.7質量%であり、比較例Eでは49.5質量%であった。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRでN-ブチル-N-トリフルオロメチルプロパンアミド(N-Butyl-N-trifluoromethylpropanamide;CF体)の収率を分析した。
実施例11 比較例F
反応器へトルエン(実施例11:0.26g,0.3mL;比較例F:2.6g,3.0mL)を加えた後、IF-EtN-3HF(524mg,1.37mmol)を添加した。この時点では、使用した組成物中の有機溶媒の含有量は、実施例11では32.7質量%であり、比較例Fでは83.0質量%であった。撹拌しながら、N-ブチル-N-プロピオニルジチオカルバミン酸メチルエステル(N-Butyl-N-propionyldithiocarbamic acid methyl ester;0.3g,1.37mmol)を投入し、室温で16.0時間反応させた(表2参照)。この時点では、使用した組成物中の有機溶媒の含有量は、実施例11では23.8質量%であり、比較例Fでは75.7質量%であった。水酸化カリウム水溶液で反応を停止後、F-NMRでN-ブチル-N-トリフルオロメチルプロパンアミド(N-Butyl-N-trifluoromethylpropanamide;CF体)の収率を分析した。実施例11において、使用した組成物中の有機溶媒の含有量は33.2質量%であった。比較例Fにおいて、使用した組成物中の有機溶媒の含有量は83.2質量%であった。
Figure 2022058182000013
Figure 2022058182000014
項17.
前記酸が、フッ化水素である、項11~16のいずれか一項に記載の組成物
項18.
前記塩基が、無機塩基、又は有機塩基、或いはこれらの組み合わせである、項11~17のいずれか一項に記載の組成物。
本開示によれば、新たな、フッ素化有機化合物の製造方法等が提供される。
以下、本開示の製造方法及び組成物等の詳細、及び形態を説明するが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その詳細、及び形態の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。

Claims (21)

  1. フッ素化有機化合物(1)の製造方法であって、
    有機溶媒を含有する液体組成物中、前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量の水素原子含有有機化合物(2)を、IFを用いてフッ素化する工程A
    を含む、製造方法。
  2. 前記フッ素化は、IF、酸、及び塩基を用いて実施される、
    請求項1に記載のフッ素化有機化合物の製造方法。
  3. 前記フッ素化は、IF、HF、及び有機塩基を用いて実施される、
    請求項1又は2に記載のフッ素化有機化合物の製造方法。
  4. 前記フッ素化は、IF、HF、及びアミンを用いて実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載のフッ素化有機化合物の製造方法。
  5. 前記水素原子を有する有機化合物(2)は、
    部分構造:-C(=S)-Y-
    [式中、Yは、O、S、又は単結合である。]
    を有する化合物である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記フッ素化有機化合物(1)は、
    1個以上の、前記工程Aにより生じた部分構造:-CF
    を有する化合物である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記フッ素化有機化合物(1)は、
    1個以上の、前記工程Aにより生じた部分構造:-CF
    を有する化合物である、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記有機化合物(2)の濃度は、
    前記有機溶媒の1L当たり2.5mol以上である、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記有機溶媒は、
    非プロトン性溶媒である、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. フッ素化工程Aの反応温度は、
    120℃未満である、
    請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. (1)有機溶媒、
    (2)前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量のIF
    を含有する組成物。
  12. (1)組成物の総量を100質量%として、20.0質量%を超える量の有機溶媒、
    (2)前記有機溶媒の1L当たり1.8mol以上の量のIF;及び
    (3)酸、又は塩基、或いはこれらの組み合わせ
    を含有する組成物。
  13. 前記有機溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、ニトリル、又はアミド、或いはこれらの2種以上の組み合わせである、請求項11又は12に記載の組成物。
  14. 前記有機溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、或いはこれらの2種以上の組み合わせである、請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 前記酸が、ブレンステッド酸、又はルイス酸、或いはこれらの組み合わせである、請求項11~14のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 前記酸が、ブレンステッド酸である、請求項11~15のいずれか一項に記載の組成物。
  17. 前記酸が、フッ化水素である、請求項11~16のいずれか一項に記載の組成物
  18. 前記塩基が、無機塩基、又は有機塩基、或いはこれらの組み合わせである、請求項11~17のいずれか一項に記載の組成物。
  19. 前記塩基が、有機塩基である、請求項11~18のいずれか一項に記載の組成物。
  20. 前記塩基が、トリエチルアミン、又はピリジン、或いはこれらの組み合わせである、請求項11~19のいずれか一項に記載の組成物。
  21. 液体である、請求項11~20のいずれか一項に記載の組成物。
JP2021131569A 2020-09-30 2021-08-12 フッ素化有機化合物の製造方法 Active JP7273332B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP21875663.3A EP4223736A1 (en) 2020-09-30 2021-09-29 Production method for fluorinated organic compound
CN202180066751.1A CN116249686A (zh) 2020-09-30 2021-09-29 氟化有机化合物的制造方法
PCT/JP2021/035763 WO2022071363A1 (ja) 2020-09-30 2021-09-29 フッ素化有機化合物の製造方法
US18/127,959 US20230242468A1 (en) 2020-09-30 2023-03-29 Production method for fluorinated organic compound

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020165401 2020-09-30
JP2020165401 2020-09-30

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022058182A true JP2022058182A (ja) 2022-04-11
JP7273332B2 JP7273332B2 (ja) 2023-05-15

Family

ID=81110874

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021131569A Active JP7273332B2 (ja) 2020-09-30 2021-08-12 フッ素化有機化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7273332B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024009998A1 (ja) * 2022-07-05 2024-01-11 ダイキン工業株式会社 フッ素化有機化合物の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015193609A (ja) * 2014-03-20 2015-11-05 ダイキン工業株式会社 オキシジフルオロメチレン骨格を有する化合物の製造方法
JP2016204200A (ja) * 2015-04-21 2016-12-08 ダイキン工業株式会社 組成物、フッ素化試薬、及びフッ素化有機化合物の製造方法
JP2017536390A (ja) * 2014-12-01 2017-12-07 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー ハロゲン化されたフッ素化エーテル含有化合物の製造方法
JP2017226617A (ja) * 2016-06-22 2017-12-28 ダイキン工業株式会社 酸フルオリド及びパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法
WO2018159515A1 (ja) * 2017-02-28 2018-09-07 宇部興産株式会社 ペンタフルオロスルファニル芳香族化合物の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015193609A (ja) * 2014-03-20 2015-11-05 ダイキン工業株式会社 オキシジフルオロメチレン骨格を有する化合物の製造方法
JP2017536390A (ja) * 2014-12-01 2017-12-07 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー ハロゲン化されたフッ素化エーテル含有化合物の製造方法
JP2016204200A (ja) * 2015-04-21 2016-12-08 ダイキン工業株式会社 組成物、フッ素化試薬、及びフッ素化有機化合物の製造方法
JP2017226617A (ja) * 2016-06-22 2017-12-28 ダイキン工業株式会社 酸フルオリド及びパーフルオロアルキルビニルエーテルの製造方法
WO2018159515A1 (ja) * 2017-02-28 2018-09-07 宇部興産株式会社 ペンタフルオロスルファニル芳香族化合物の製造方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CUI, B. ET AL.: "IF5 affects the final stage of the Cl-F exchange fluorination in the synthesis of pentafluoro-k6-sul", CHEM. COMMUN., vol. 53, JPN6022033965, 2017, pages 5997 - 6000, XP055608429, ISSN: 0004854995, DOI: 10.1039/C7CC02802D *
HARA, S. ET AL.: "IF5-pyridine-HF: air- and moisture-stable fluorination reagent", TETRAHEDRON, vol. 68, JPN6021042780, 2012, pages 10145 - 10150, XP055612631, ISSN: 0004854997, DOI: 10.1016/j.tet.2012.09.104 *
KUNIGAMI, M. ET AL.: "Synthesis of fluoromethyl ethers and fluoromethyl esters by the reaction of the corresponding methyl", JOURNAL OF FLUORINE CHEMISTRY, vol. 167, JPN6021042781, 2014, pages 101 - 104, XP029089280, ISSN: 0004854996, DOI: 10.1016/j.jfluchem.2014.05.008 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024009998A1 (ja) * 2022-07-05 2024-01-11 ダイキン工業株式会社 フッ素化有機化合物の製造方法
JP7464867B2 (ja) 2022-07-05 2024-04-10 ダイキン工業株式会社 フッ素化有機化合物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7273332B2 (ja) 2023-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4892808B2 (ja) フッ素化された有機化合物の製造法及びフッ素化試薬
Prakash et al. From Difluoromethyl 2‐Pyridyl Sulfone to Difluorinated Sulfonates: A Protocol for Nucleophilic Difluoro (sulfonato) methylation
KR102478883B1 (ko) 카르복실산 에스테르의 제조 방법
JP2022058182A (ja) フッ素化有機化合物の製造方法
JP2019137693A (ja) フッ素化有機化合物の製造方法、及びフッ素化試薬
JP6884499B2 (ja) 組成物、フッ素化試薬、及びフッ素化有機化合物の製造方法
WO2022071363A1 (ja) フッ素化有機化合物の製造方法
US20120157716A1 (en) Methods for Preparing Diaryl Disulfides
WO2024009998A1 (ja) フッ素化有機化合物の製造方法
Prakash et al. Efficient synthesis of α-(fluoro/chloro/methoxy) disulfonylmethane derivatives as tunable substituted methyl synthons via a new C–S bond forming strategy
TW202408975A (zh) 氟化有機化合物之製造方法
JP6149667B2 (ja) スルホニルクロライド化合物類の製造方法
US11897832B2 (en) Method for preparing partially fluorinated alcohol
JP4531561B2 (ja) ヒドロフルオロメチレンスルホニル基を含む誘導体の合成方法
ES2369199T3 (es) Procedimientos para la producción de compuestos orgánicos fluorados y agentes fluorantes.
CN117946153A (zh) 一种3,3,3-三氟乳酸的合成方法
JP5998948B2 (ja) ビス(トリフルオロメチルスルホニル)メチル基を有する化合物、その製造方法、およびその酸触媒としての使用方法
DE112020000596T5 (de) Herstellungsverfahren für chlorbenzolverbindung

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210929

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220104

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220307

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220823

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20221024

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230410

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7273332

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151