JP2006335699A - モノマー中間体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的に有用なパーフルオロビニルエーテルモノマーの合成中間体であるFOC(CFm−1SOF(m=3〜6)を製造するための前駆体の新規製造方法を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)
RfCOO(CHSO Y (1)
(式中、Rfは炭素原子数1〜20の一価のパーフルオロ炭化水素基であり、酸素原子及び/又はイオウ原子を含んでいてもよく、部分的に塩素原子あるいは水素原子が置換していてもよい。またmは3〜6の整数である。Yは一価のカチオンを表す。)
で表される化合物を原料として下記一般式(2)
RfCOO(CHSOX (2)
(式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じであり、X=F又はClである。)
で表される化合物を製造することを特徴とする上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は燃料電池用固体電解質材料や食塩電解プロセス用イオン交換膜材料として有用なフッ素系固体電解質ポリマーの原料であるパーフルオロビニルエーテルモノマーの合成中間体の製造方法に関する。
近年、電解質として固体高分子隔膜を用いた燃料電池が、小型軽量化が可能であり、かつ、比較的低温でも高い出力密度が得られることから注目され、開発が加速されている。
このような目的に用いられる固体高分子材料には、優れたプロトン伝導度、適度な保水性、水素ガス、酸素ガス等に対するガスバリア性等が要求される。このような要件を満たす材料として、スルホン酸基、ホスホン酸基等を有する高分子が種々検討され、多くの材料が提案されてきている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、実際の燃料電池運転条件下では、電極において高い酸化力を有する活性酸素種が発生し、特に、長期にわたり燃料電池を安定に運転させるためには、このような過酷な酸化雰囲気下での耐久性が要求される。現在までに提案されている多くの炭化水素系材料は、燃料電池の運転の初期特性に関しては優れた特性を示すものも報告されているが、耐酸化性に問題がある。
このため、現在、実用化に向けた検討としては、下記一般式(7)
Figure 2006335699
(式中、k、lは、k/lがそれぞれのモノマー単位のモル比を表し、k/l=3〜10である。)
で表されるパーフルオロスルホン酸ポリマーが主に採用されている。
このポリマーは、下記一般式(8)
Figure 2006335699
で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーと、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体を製膜した後、加水分解反応を施すことによって得られる。
加水分解反応には、通常、側鎖末端が−SOF型であるポリマーを溶融成型等によりフィルムに成型し、このフィルムをNaOH、KOH等のアルカリによりスルホン酸塩型に変換後、さらに塩酸等の酸により−SOH型に変換するという手段が用いられている。
中でもn=1、m=2のポリマーが広く用いられており、その原料モノマーは下図の方法で製造されている。
Figure 2006335699
ところで、主鎖とスルホン酸基の間のスペーサーは短い方が交換基密度を高くしても充分な強度を保てるので、一般式(7)の構造のポリマーにおいてはn=0の方が好ましいと考えられるが、相当する中間体CFCF(COF)O(CFSOF(m=2)から同様の脱炭酸ビニル化反応を行おうとすると、5員環を形成する環化反応のみが進行し、目的のビニルエーテルモノマーは全く得られないことが知られている。
上記のとおり、副反応であるこの環化反応を回避するには、少なくともmが3以上なら環化しにくいと考えられ、これまでにもFCO(CFm−1SOFで表される化合物においてmが3以上の種々の化合物の製造方法が提案されている。これらの製造法としては、m=3の場合、テトラフルオロエチレンとジメチルカーボネートとナトリウムエチルメルカプチドを出発原料とした製造方法が開示されているが、反応工程が長く、かつ収率が低いという問題があった(例えば、特許文献1参照。)。
また、FCO(CFm−1SOF(m=3〜6の整数)の構造の化合物の製造方法として、下記スルトン化合物(3)
Figure 2006335699
においてm=3または4の化合物の電解フッ素化により製造する方法が報告されているが、副反応が多く、かつ操作が繁雑であるいう問題がある(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。
一方、特許文献4には、下図に示すように、特定構造を有するスルホニルハライド化合物を液相中でフッ素と反応(直接フッ素化)させた後に、反応物を分解する方法が提案されている。ここでは直接フッ素化の原料として、Rf’CHOCO(CHm−1SOF(Rf’はエーテル基を含むパーフルオロアルキル基、m=4)が用いられている。
Figure 2006335699
しかし、この方法では原料が特殊な化合物である上、再生したRf’COFを還元し、Rf’CHOHとして再利用しなければならず、余分な反応が必要である。実際、特許文献4では、この還元工程は、メチルエステル化と還元反応の2段階で行われている。その上この方法では、エステル化工程がRf’CHOHとカルボン酸との反応であるため、脱水剤が必要であり、事実特許文献4では脱水剤として無水トリフルオロ酢酸が用いられており、必ずしも実用化に適したプロセスではなかった。
最近公開された特許文献5では、エステルの方向が逆向きであるRf’CO(CHSOF(Rf’はエーテル基を含むパーフルオロアルキル基、m=3)を用いる方法が報告されている。該化合物は、原料としてブロモヒドリンBr(CHOH(m=3)が用いられ、Rf’COFでエステル化後、−Brを−SCN、次いで−SOFに変換している。この方法は、製造工程が繁雑である上に、−Brを−SCNに変換する工程では、エステル基が分解しやすく収率が低い欠点を有している。
尚、特許文献5では、Br(CHm−1COOH(m=3)を原料とする方法も記載されているが、この方法ではエステルの方向が特許文献4と同じであり、特許文献4と同じ欠点を有している。
以上のように、これまではモノマー原料と有用な化合物FCO(CFm−1SOF(m=3〜6の整数)を直接フッ素化反応で製造するための合成中間体の工業的に有利な製造方法は知られていなかった。
O. Savadogo, Journal of New Materials for Electrochemical Systems 1, 47-66(1998) 特開昭56−90054号公報 特開昭57−164991 米国特許第6624328号明細書 国際公開第WO04/094365号 国際公開第WO05/3062号
本発明は、FCO(CFm−1SOF(m=3〜6の整数)合成を従来法より工業的に有利な方法で行うための前駆体の新規製造方法を提供するものである。
本発明者らは、FCO(CFm−1SOF(m=3〜6の整数)合成を従来法より工業的に有利な方法で行うべく、鋭意研究を重ねた結果、前駆体の新規製造方法を見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1、 下記一般式(1)
RfCOO(CHSO Y (1)
(式中、Rfは炭素原子数1〜20の一価のパーフルオロ炭化水素基であり、酸素原子及び/又はイオウ原子を含んでいてもよく、部分的にフッ素原子が塩素原子に置換していてもよい。またmは3〜6の整数である。Yは一価のカチオンを表す。)
で表される化合物を原料として下記一般式(2)
RfCOO(CHSOX (2)
(式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じであり、X=F又はClである。)
で表される化合物を製造することを特徴とする上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
2、 上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)
Figure 2006335699
(式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
で表される化合物から製造されたものであることを特徴とする、1、に記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
3、 上記一般式(1)で表される化合物が上記一般式(3)で表される化合物とRfCOO(式中、Rf、Yは上記一般式(1)と同じ。)で表される化合物との反応で製造されたものであることを特徴とする、1、又は2、に記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
4、 上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(4)
HO(CHSO (4)
(式中、mおよびYは上記一般式(1)と同じ。)
で表される化合物から製造されたものであることを特徴とする、1、に記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
5、 上記一般式(1)で表される化合物が上記一般式(4)で表される化合物とRfCOZ(式中、Rfは上記一般式(1)と同じ。Zはフッ素原子、塩素原子またはRfCOO基である。RfCOO基中のRfは上記一般式(1)と同じ。)で表される化合物との反応で製造されたものであることを特徴とする、1、又は4、に記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
6、 上記一般式(1)で表される化合物。
7、 上記一般式(1)で表される化合物から上記一般式(2)で表される化合物への変換方法が、上記一般式(1)で表される化合物を塩素化剤で処理して上記一般式(2)においてX=Clである化合物に変換する方法であることを特徴とする1、〜5、のいずれかに記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
8、 7、に記載の方法で製造された上記一般式(2)においてX=Clである化合物をフッ素イオン含有化合物で処理して上記一般式(2)においてX=Fである化合物に変換する方法であることを特徴とする1、〜5、のいずれかに記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
9、 1、〜5、、7、のいずれかに記載の方法で製造された上記一般式(2)で表される化合物をフッ素化剤と反応させて下記一般式(5)
RfCOO(CFSOF (5)
(式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じ。)
で表される化合物に変換し、次いで、上記一般式(5)で表される化合物を下記一般式(6)
FCO(CFm−1SOF (6)
(式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
で表される化合物に変換することを特徴とする上記一般式(6)で表される化合物の製造方法。
10、 上記一般式(5)で表される化合物を上記一般式(6)で表される化合物に変換する方法が、上記一般式(5)で表される化合物をフッ素イオン含有化合物で処理して上記一般式(6)で表される化合物に変換する方法であることを特徴とする9、に記載の上記一般式(6)で表される化合物の製造方法。
本発明の製造方法を用いることにより、FCO(CFm−1SOF(m=3〜6の整数)の合成を従来法より工業的に有利に行うことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、FCO(CFm−1SOF(m=3〜6の整数)製造のための重要な合成中間体である下記一般式(2)で表される化合物を、下記一般式(1)表される化合物を原料として容易に製造する方法を見出した。
RfCOO(CHSO Y (1)
(式中、Rfは炭素原子数1〜20の一価のパーフルオロ炭化水素基であり、酸素原子及び/又はイオウ原子を含んでいてもよく、部分的にフッ素原子が塩素原子に置換していてもよい。またmは3〜6の整数である。Yは一価のカチオンを表す。)
RfCOO(CHSOX (2)
(式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じであり、X=F又はClである。)
またさらに、本発明者らは、上記一般式(1)で表される化合物を工業的に入手容易な下記一般式(3)で表されるスルトン化合物、あるいはその関連物質(合成前駆体)である下記一般式(4)で表される化合物から効率よく製造できることを見出した。
Figure 2006335699
(式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
HO(CHSO (4)
(式中、mおよびYは上記一般式(1)と同じ。)
まず、本発明の方法における重要な合成中間体である上記一般式(1)表される化合物について説明する。
上記一般式(1)表される化合物においてRfは一価のパーフルオロ炭化水素基であり、酸素原子及び/又はイオウ原子を含んでいてもよく、部分的にフッ素原子が塩素原子に置換していてもよい。この場合、Rf基一個あたりの酸素原子、イオウ原子あるいは塩素原子の含有量は、それぞれ1〜5個の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。なお、Rf基中に1〜2個の水素原子を含むものも本発明の有効性を損なうものではなく、パーフルオロ構造のものと同等に使用可能である。酸素原子を含む場合は、エーテル基またはカルボニル基として含まれていることが好ましく、特にエーテル基として含まれていることが好ましい。イオウ原子を含む場合には、例えばSO基やSO2F基として含まれていることが好ましい。Rfには、炭素―炭素結合として、単結合の他に二重結合が存在(または併存)していてもよいが、単結合のみを含む方が好ましい。また、Rf中の炭化水素基骨格は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または環構造を部分的に有する構造のいずれであってもよい。Rfが飽和のパーフルオロ炭化水素基である場合には、具体的にはフルオロアルキル基、シクロフルオロアルキル基が挙げられる。
Rf基の大きさとしては、フッ素化反応収率や上記一般式(2)表される化合物を直接フッ素化して得られたパーフルオロエステルを分解したときに生成する、RfCOFとFCO(CFm−1SOFとの分離性がよい(沸点差が大きい)ことを条件として選択することが好ましい。通常は、Rf基としては、炭素数1〜20のRf基が好ましく使用される。なお、炭素数が大きいと直接フッ素化の後工程後に回収されるRfCOFの沸点が高すぎて反応操作が難しくなり、炭素数が小さいと十分なフッ素化反応収率が得られにくくなったりRfCOFが揮発しやすくなってハンドリングが困難となったりするため、炭素数2〜15のRf基が好ましく、炭素数3〜10のRf基が特に好ましい。
以下、Rf基の好ましい具体例を示す。
CF(CF− (p=2〜14)
Figure 2006335699
FSO(CF− (r=1〜6)
本発明の方法で製造できるのは、上記一般式(2)においてm=3〜6の化合物であるが、これらの化合物中、目的のパーフルオロスルホン酸ポリマーにしたときの耐酸化性や機械的特性が優れること、モノマー製造の最終工程であるビニル化において環化反応の副
反応がほとんどなく収率が高い等の理由により、m=4〜6が好ましく、m=4が特に好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物において、Yは一価のカチオンを表し、Yは、無機一価カチオンでも有機一価カチオンでもよい。Yで表される一価カチオンの具体例としては、例えば、アルカリ金属カチオンやアルカリ土類金属カチオンの一価相当部分等の金属カチオン、第4級アンモニウムカチオン、アンモニウムカチオンや第4級ホスホニウムカチオン等の各種のオニウムカチオン、さらにはプロトン(H)等が挙げられる。これらの各種の一価カチオンの中でも、原料の入手が容易なことや、反応操作が容易なことから、アルカリ金属カチオンが好ましく、その中でもナトリウムカチオンおよびカリウムカチオンがより好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物は、上記一般式(2)で表される化合物の合成前駆体として重要である。なお、上記一般式(2)で表される化合物は本発明で示されている直接フッ素化法や電解フッ素化法により有用なフッ素化合物へ変換できる重要な合成中間体である。またさらに上記一般式(1)で表される化合物は、本願明細書に記載の方法により容易に合成可能であるので工業的に極めて重要な化合物である。また、上記一般式(1)で表される化合物は、各種の方法で一般式RfCOO(CHSOR’(式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じである。R’は炭素原子数1〜10のフッ素原子や酸素原子を含んでも良い炭化水素基であり、その例としては、例えば-CF2CH3基やーCH3基等が挙げられる。)で表される化合物に変換することが出来、当該化合物もフッ素化反応原料として有用である。また、上記一般式(1)で表される化合物は文献未記載の新規化合物である。
本発明における上記一般式(2)のXはフッ素原子または塩素原子であるが、直接フッ素化に用いる場合には、パーフルオロ体の収率が高いのでXはフッ素原子であることが好ましい。したがって、X=Clとして製造された化合物(2)は、出来れば直接フッ素化前にフッ素原子に変換しておくことが好ましい。
次に本発明の製造方法について説明する。
本発明の主要な製造方法は、下記一般式(1)表される化合物を原料として下記一般式(2)表される化合物を製造する方法である。また、下記一般式(1)表される化合物は、工業的に入手容易な下記一般式(3)で表されるスルトン化合物、あるいはその関連物質(合成前駆体)である下記一般式(4)で表される化合物から効率よく製造できる。
RfCOO(CHSO Y (1)
(式中、Rfは炭素原子数1〜20の一価のパーフルオロ炭化水素基であり、酸素原子及び/又はイオウ原子を含んでいてもよく、部分的に塩素原子または水素原子が置換
していてもよい。またmは3〜6の整数である。Yは一価のカチオンを表す。)
RfCOO(CHSOX (2)
(式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じであり、X=F又はClである。)
Figure 2006335699
(式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
HO(CHSO (4)
(式中、mおよびYは上記一般式(1)と同じ。)
まず最初に、上記一般式(1)表される化合物を原料として上記一般式(2)表される化合物を製造する方法について説明する。
この反応工程は、上記一般式(1)で表される化合物を、塩素化剤と反応させ、上記一般式(2)においてXが塩素原子である化合物を製造する工程(以下、「塩素化工程」という)、あるいは、さらに必要によりフッ素イオン含有化合物で塩素原子をフッ素原子に置換して上記一般式(2)においてXがフッ素原子である化合物を製造する工程(以下、「フッ素置換工程」という)である。またさらに、上記一般式(1)で表される化合物からフッ素化剤により直接にXがフッ素原子である上記一般式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)ということもある。)を製造してもよい。
上記の塩素化工程において、塩素化剤としては例えば塩化シアヌル、SOCl、SOCl、PCl、POCl、PCl等が挙げられるが、好ましくは塩化シアヌル、SOCl、PClである。反応溶媒は必要に応じて各種の溶媒が使用可能であるが、例えば塩素化剤として塩化シアヌルを用いる場合にはアセトンを用いることができ、PClを用いる場合にはPOClを用いることができる。塩素化剤にSOClを用いる場合等は無溶媒でもよい。また塩化シアヌルを用いる場合等では、触媒としてクラウンエーテルを用いてもよい。反応温度は0〜200℃が好ましく、室温〜150℃がより好ましい。比較的低沸点の溶媒(アセトン等)や塩素化剤(SOCl等)を用いる場合には、還流下で行ってもよい。
上記のフッ素置換工程で使用するフッ素イオン含有化合物としては、例えばフッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化ナトリウム等が挙げられ、フッ化カリウムが特に好ましい。
該フッ素置換反応は無溶媒でも実施可能であるが、一般には溶媒が用いられ、グライム類、スルホラン、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒が好ましい。溶媒量は、上記化合物(2)においてX=Clの化合物に対して、2質量倍以上が好ましく、特に5〜50質量倍が好ましい。該フッ素置換工程の反応温度は、通常は−20℃〜溶媒の沸点が好ましく、反応収率、選択率、及び工業的実施のしやすさの点から0〜60℃が好ましい。
次に、上記一般式(1)表される化合物を上記一般式(3)で表されるスルトン化合物(以下、スルトン化合物(3)ということもある。)から製造する方法について説明する。
Figure 2006335699
(式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
例えば、上記一般式(1)表される化合物は、スルトン化合物(3)とRfCOO(Rf、Yは一般式(1)と同じ)で表される化合物を反応させる方法で製造することが出来る。
該反応は、通常、溶媒の存在下で実施されるが、溶媒は非プロトン性極性溶媒が好ましく、エーテル系の溶媒がより好ましく、ジグライム、トリグライム等のグライム系溶媒がさらに好ましい。
また該反応の反応温度は、50〜200℃が好ましく、好適な反応速度が得られるので80℃以上が好ましい。しかし温度が高すぎると生成物の分解が起こりやすいので150
℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。
スルトン化合物(3)とRfCOOY+は等モル用いればよいが、反応を円滑に進めるためにスルトン化合物(3)を過剰に用いてもよい。その場合は反応後、過剰のスルトン化合物(3)は、減圧蒸留により極力除いておくことが好ましい。
また、上記一般式(1)表される化合物は、下記の一般式(4)で表される化合物から製造することも出来る。
HO(CHSO (4)
(式中、mおよびYは上記一般式(1)と同じ。)
例えば、上記一般式(1)表される化合物は、上記の一般式(4)で表される化合物とRfCOZ(式中、Rfは上記一般式(1)と同じ。Zはフッ素原子、塩素原子またはRfCOO基である。RfCOO基中のRfは上記一般式(1)と同じ。)で表される化合物との反応により製造することが出来る。
上記一般式(4)で表される化合物は、上記一般式(3)で表されるスルトン化合物の合成原料で各種の製造方法が知られている。また、上記一般式(4)で表される化合物は、必要に応じて、上記一般式(3)で表されるスルトン化合物と水酸化カリウム等の各種のアルカリ性水酸化物との反応で製造することが出来る。
当該アルカリ性水酸化物との反応は、通常、水溶液中で行われ、スルトン化合物(3)との有機相/水相の2相系で開始されるが、反応終了時には生成物も水溶性なので、通常は1相系になる。アルカリ性水酸化物としては、例えばY+OH(式中、Yは上記一般式(1)と同じ。)で表される化合物が使用され、通常、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第4級アンモニウムの各水酸化物等が用いられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどであり、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
当該アルカリ性水酸化物との反応の反応温度は0〜100℃が好ましく、室温〜100℃がより好ましい。反応後は、次工程での収率向上のため、減圧乾燥等により水を極力除去しておくことが好ましい。
上記の一般式(4)で表される化合物と上記のRfCOZとの反応は、単に無溶媒で混合するだけでよいが、混合効率を高める目的で、溶媒の存在下に実施してもよい。溶媒を用いる場合には、ジメトキシエタン、ジグライム、ジクロロメタン、クロロホルム、トリエチルアミン、またはトリエチルアミンとテトラヒドロフランとの混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、反応物の総量に対して50〜500質量%であることが好ましい。該反応では、HZで表される酸が発生するため、酸の捕捉剤としてアルカリ金属フッ化物(NaF、KFが好ましい)や3級アミン類を反応系中に存在させてもよい。また、酸を窒素気流に同伴させて反応系外に排出して除去しても良い。酸の捕捉剤としてアルカリ金属フッ化物を用いる場合の量はRfCOZ化合物に対して1〜10モル倍とすることが好ましい。該反応の反応温度は、−50℃以上であることが好ましく、上限の温度は100℃以下または溶媒の沸点温度以下が好ましい。
上記の製造法により製造された化合物(2)は、各種のフッ素化剤との反応により、例えば特許文献4または特許文献5に記載の元素フッ素との反応による直接フッ素化法により、下記の一般式(6)
FCO(CFm−1SOF (6)
(式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
で表される化合物(以下、化合物(6)ということもある。)に変換できる。
すなわち、1)まず最初に、上記一般式(2)で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、さらに必要に応じて上記のフッ素イオン含有化合物と反応させて、下記一般式(5)
RfCOO(CFSOF (5)
(式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じ。)
で表されるパーフルオロ体とし(以下、「直接フッ素化工程」という。)、
2)次に、該パーフルオロ体(5)(以下、化合物(5)ということもある。)の分解反応を行い、化合物(6)に変換する方法である。
以下に、上記工程1)に記載の上記一般式(2)で表される化合物のフッ素化工程について説明する。
該フッ素化工程の上記一般式(2)で表される化合物のフッ素化反応は、各種のフッ素剤との反応により実施できる。例えば、電解フッ素化法、コバルトフッ素化法、あるいは気相で元素フッ素と反応させる方法でも実施できるが、好ましくは、反応収率、反応操作の容易さ等の点から、特許文献4または特許文献5に記載の液相中での元素フッ素との反応によるフッ素化が有利な方法である。
化合物(2)より化合物(5)を得るにあたり、X=ClをX=Fに変換する工程は、化合物(2)の段階でも、直接フッ素化後のパーフルオロ体の段階でも差し支えないが、化合物(2)の段階で行い、上記一般式(2)においてX=Fである化合物を直接フッ素化に供する方法が、収率の点で好ましい。
直接フッ素化工程において、元素フッ素は、フッ素ガスをそのまま用いても良いし、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等のガスで希釈して使用しても良い。希釈ガス中のフッ素ガス量は特に限定されず、10vol%以上とすることが効率の点で好ましく、20vol%以上とすることが特に好ましい。該反応の反応溶媒としては、C−H結合を含まずC−F結合を必須とする溶媒が好ましく、特にパーフルオロアルカン類、または、塩素原子、窒素原子および酸素原子からなる群より選ばれる1種以上の原子を構造中に有する公知の有機化合物をパーフルオロ化した有機溶媒が好ましい。さらに溶媒としては、化合物(2)の溶解性が高い溶媒を用いることが好ましく、特に化合物(2)を1質量%以上溶解し得る溶媒、特には5質量%以上溶解し得る溶媒を用いることが好ましい。また、溶媒の量は、化合物(2)に対して、5倍質量以上が好ましく、特に10〜100倍質量が好ましい。直接フッ素化工程で用いるフッ素量は、フッ素化されうる水素原子に対して、フッ素の量が常に過剰当量となるようにフッ素ガスを存在させることが好ましく、特に1.5倍当量以上(すなわち、1.5倍モル以上)となるようにフッ素ガスを使用することが選択率の点から好ましい。フッ素化反応の反応温度は、通常−60℃以上かつ化合物(2)の沸点以下が好ましく、反応収率、選択率、および工業的実施のしやすさの点から−50℃〜+150℃が好ましく、−30℃〜+100℃がより好ましく、−20℃〜+50℃が特に好ましい。フッ素化反応の反応圧力は特に限定されず、常圧〜2MPaが、反応収率、選択率、工業的な実施のしやすさの観点から特に好ましい。
化合物(2)を液相中でフッ素化する反応において、水素原子をフッ素原子に置換する反応がおきた場合には、HFが副生する。副生したHFを除去するには、反応系中にHFの捕捉剤を共存させたり、または反応器ガス出口でHF捕捉剤と出口ガスを接触させることが好ましい。該HF捕捉剤としては、NaF、KF等のアルカリ金属フッ化物が好ましく、NaFが特に好ましい。
なお、化合物(2)中のRf基が水素原子を含むものの場合には、化合物(2)をフッ素化剤でフッ素化する反応において、当該水素原子がフッ素原子に変換する反応も起こるが本発明のフッ素化反応工程の有効性を損なうものではない。
直接フッ素化工程で得たパーフルオロ体(5)を含む粗生成物は、そのまま次の工程に
用いてもよく、精製して高純度のものにしてもよい。精製方法としては、粗生成物をそのまま常圧または減圧下に蒸留する方法等が挙げられる。
次に、該パーフルオロ体(5)を分解し、化合物(6)を得る反応について説明する。該反応は、熱分解反応や求核剤や求電子剤の存在下に行う分解反応により実施すること
が好ましく、熱分解反応、または求核剤の存在下に行うことがより好ましい。
該熱分解反応は、該パーフルオロ体(5)を加熱することにより実施できる。熱分解反応の反応形式としては、例えば気化しやすい該パーフルオロ体(5)を熱分解する場合には、気相で連続的に分解させて、得られた化合物(6)を含む出口ガスを凝縮、回収する気相熱分解法を採用し得る。気相熱分解法の反応温度は50〜350℃が好ましく、50〜300℃が特に好ましく、150〜250℃が特に好ましい。また、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスを反応系中に共存させてもよい。不活性ガスは該パーフルオロ体(5)に対して0.01〜50vol%程度を添加することが好ましい。一方、該パーフルオロ体が気化しにくい化合物である場合には、反応器内で液のまま加熱する液相熱分解法を採用することができる。通常の場合、化合物(6)を含む生成物はより低沸点であることから、反応蒸留形式による方法で得ることが好ましい。また加熱終了後に蒸留して生成物を抜き出す方法でもよい。この液相熱分解法の反応温度は50〜300℃が好ましく、特に100〜250℃が好ましい。液相熱分解法で熱分解を行う場合には、無溶媒で行っても、溶媒の存在下に行ってもよいが、溶媒としては、化合物(6)の精製時に分離しやすいものを選定することが好ましい。また、溶媒の量は該パーフルオロ体(5)に対して、10〜1000質量%が好ましい。
また、上記一般式(5)で表される化合物(パーフルオロ体)をフッ素イオン含有化合物で代表される求核剤で処理して上記一般式(6)で表される化合物(パーフルオロ体)に変換する方法も有用である。該パーフルオロ体(5)を液相中で求核剤と反応させて分解させる場合、該反応は、無溶媒で行っても、溶媒の存在下に行ってもよい。求核剤としてはフッ素イオン(F)含有化合物が好ましく、特にアルカリ金属のフッ化物由来、あるいは第4級アンモニウムフッ化物由来のフッ素イオン(F)が好ましい。アルカリ金属のフッ化物としては、NaF、NaHF、KF、CsFがよく、これらのうち経済性および反応性の面からNaFおよびKFが特に好ましい。求核剤の量は触媒量でも過剰量であってもよい。求核剤の量は該パーフルオロ体に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。反応温度は、−30℃〜(溶媒または該パーフルオロ体の沸点までの間の温度)が好ましく、−20〜250℃が特に好ましい。求核剤との反応は、無溶媒で行っても、溶媒の存在下に行ってもよい。
溶媒を用いる場合、ジグライムやテトラグライム等のエーテル系溶媒、アジポニトリル等のニトリル系溶媒等の各種極性溶媒を用いることができる。これらの溶媒を用いた場合は、反応後の液液分離により、溶媒と生成物とを分離することができる。求核剤との反応の場合も、反応蒸留形式または反応後に蒸留して生成物を抜き出す方法が好ましく、溶媒を用いた場合は液液分離後に生成物を蒸留分離する方法が好ましい。
なお、上記の該パーフルオロ体(5)の熱分解反応あるいはフッ素イオン含有化合物等の求核剤との反応により化合物(6)を製造する際には、化合物(6)のほかに、酸フルオリドRfCOFが再生する。この酸フルオリドRfCOFは、上記製造方法において、化合物(4)との反応にそのまま再利用することができる。あるいはRfCOFを、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属等の炭酸塩を用いてカルボン酸塩RfCOOに変換し、それをスルトン化合物(3)との反応に再利用することができる。
上記の本発明の方法で得られた上記一般式(6)で表される化合物からは、フッ素系固体電解質ポリマーの原料である下記一般式(9)
CF=CFO(CFSOF (9)
(式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーを製造することができる。
まず上記のように製造された化合物(6)は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)と反応させることにより下記一般式(10)
CFCF(COF)O(CFSOF (10)
(式中、mは上記一般式(1)と同じ)
で表される化合物(以下、化合物(10)ということもある。)を製造することができる。この反応は、ジグライムやテトラグライム等のエーテル系溶媒、アジポニトリル等のニトリル系溶媒等の各種極性溶媒存在下で実施するのが好ましい。これらの溶媒は、単独でも混合溶媒として用いてもよい。反応には通常、アルカリ金属フルオリドや4級アンモニウムフルオリド等の各種のフッ化物イオン含有化合物が触媒として用いられ、中でもNaF、KFやCsFが好ましい。触媒の使用量は化合物(6)に対して0.1〜100モル%が好ましく、1〜50モル%がより好ましい。
HFPOの使用量は化合物(6)1モルに対して0.1〜3モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましく、0.9〜1.1モルが特に好ましい。反応温度は−30℃から50℃の範囲が好ましく、−20℃から30℃の範囲がより好ましい。
HFPO付加化合物(10)からパーフルオロビニルエーテルモノマー(9)を製造する方法としては、化合物(10)から直接に塩基性化合物や無機酸化物存在下で熱分解合成する方法、あるいは化合物(10)から誘導されるアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルエステルあるいはシリルエステル等の各種誘導体を経た後、脱炭酸する方法等が採用可能であるが、これらのいずれの方法を用いてもよい。中でも、簡便で高収率にパーフルオロビニルエーテルモノマー(9)が得られることから、アルカリ金属塩を経由する方法が特に好ましい。
アルカリ金属塩を経由する方法としては、化合物(10)を溶媒中または無溶媒でアルカリ金属の炭酸塩と反応させてアルカリ金属塩とした後、加熱脱炭酸反応を行ってもよいし、化合物(10)を高温でアルカリ金属の炭酸塩と接触させて、中和反応と脱炭酸反応を同時に行ってもよい。アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。
中和反応を行った後に加熱脱炭酸反応を行う場合は、使用されるアルカリ金属の炭酸塩の量は0.8〜1.5当量(0.4〜0.75モル倍)が好ましく、0.9〜1.2当量がより好ましい。また溶媒を用いて中和反応を行う場合は、各種の非プロトン性極性溶媒が採用可能であるが、その中でも、操作性や収率が良好な点から、アセトニトリル等のニトリル系の溶媒や、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒が好ましい。中和する温度は0〜80℃が好ましく、脱炭酸反応は溶媒をなるべく除去してから行うことが好ましく、脱炭酸反応は150〜250℃で行うことが好ましい。
中和反応と脱炭酸反応を同時に行う場合は、使用されるアルカリ金属の炭酸塩の量は1〜3当量(0.5〜1.5モル倍)が好ましく、1〜2.5当量がより好ましい。反応温度は200〜300℃が好ましい。
以上のように、本発明により、パーフルオロビニルエーテルモノマーの合成中間体であるFOC(CFm−1SOF(m=3〜6)を工業的に有利に製造するための前駆体の新規製造方法が可能となった。
以下、実施例により本発明を具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下においてガスクロマトグラフィをGCと、ガスクロマトグラフィ−質量分析をGC−MSと記す。H−NMRのケミカルシフトは、溶媒としてCDClを用いた場合はテトラメチルシラン(TMSと略記する)を、溶媒としてDOを用いた場合は2,2,3,3−d−3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム(TPSと略記する)を内部標準として用い、19F−NMRのケミカルシフトはCFClを内部標準として用いた。
[実施例1]
(CFCFCFCOO(CHSOKの合成)
500mlナスフラスコに、1,4−ブタンスルトン13.6g(0.1mol)、CFCFCFCOOK25.2g(0.1mol)、ジグライム250mlを入れ、100℃で5時間攪拌した。反応液を減圧蒸留により溶媒を留去し、さらに130℃で真空乾燥してべとついた乳白色固体を得た。この固体の主成分はNMRからCFCFCFCOO(CHSOKであることが確認された。得られた固体は精製を行わずに次工程で使用した。
H−NMR(DO、TPS) δ(ppm):1.87〜1.90(m,4H)、2.94(t,2H)、4.5(m,2H)
19F−NMR(CDCl、CFCl) δ(ppm):−81.3(3F)、−120.5(2F)、−128.0(2F)
(CFCFCFCOO(CHSOClの合成)
1リットルのナスフラスコに、アセトン500ml、18−クラウン−6エーテル1.85g、塩化シアヌル18.4g(0.1mol)、上記固体を仕込み、還流下で4時間攪拌した。反応後、室温に戻し、セライトろ過し、ろ過物をクロロホルムで洗浄した。ろ液を減圧蒸留し、20.3gの液体を得た。この液体は1H−NMR、19F―NMR、GC,GC−MSにより、CFCFCFCOO(CHSOCl(収率55%)であることが確認された。
H−NMR(CDCl、TMS) δ(ppm):2.0(m,2H)、2.2(m,2H)、3.77(t,2H)、4.44(m,2H)
19F−NMR(CDCl、CFCl)δ(ppm):−81.3(3F)、−119.7(2F)、−127.0(2F)
(CFCFCFCOO(CHSOFの合成)
滴下ロート、還流冷却管を備えた200mlの3つ口フラスコにKF6.4g、アセトニトリル100mlを仕込んだ後、上記CFCFCFCOO(CHSOCl20gを滴下し、N下、50℃で4時間攪拌した。反応液を減圧蒸留し、CFCFCFCOO(CHSOF15g(収率78%)を得た。
H−NMR(CDCl、TMS) δ(ppm):2.0(m,2H)、2.2(m,2H)、3.55(t,2H)、4.45(m,2H)
19F−NMR(CDCl、CFCl) δ(ppm):+53.0(1F)、−80.0(3F)、−120.0(2F)、−127.0(2F)
[実施例2]
実施例1と全く同様に1,4−ブタンスルトンとCFCFCFCOOKの反応を行い、固体状の生成物を得た。
300mlナスフラスコに上記固体と塩化チオニル100mlを仕込み、16時間加熱還流した。大部分の過剰塩化チオニルを常圧で留去し、残った反応混合物は氷水中に注ぎ、2時間攪拌した。2層分離した液を分液して下層部分を取り出し、28gのCFCFCFCOO(CHSOCl(収率76%)を得た。
滴下ロート、還流冷却管を備えた200mlの3つ口フラスコにKF9.0g、アセト
ニトリル100mlを仕込んだ後、上記CFCFCFCOO(CHSOCl28gを滴下し、N下、50℃で4時間攪拌した。反応液を減圧蒸留し、CFCFCFCOO(CHSOF20g(収率75%)を得た。
[実施例3]
(HO(CHSOKの合成)
100mlナスフラスコに1,4−ブタンスルトン10g、水酸化カリウム4.1g、水40mlを仕込み、80℃で24時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、真空乾燥し、HO(CHSOKを主成分とする固体12gを得た。
H−NMR(DO,TMS)δ(ppm):1.75(m,2H)、1.80(m,2H)、2.90(m,2H)、3.50(m,2H)
(CFCFCFOCF(CF)COO(CHSOKの合成)
下、滴下ロートを備えた100mlナスフラスコに上記粗HO(CHSOK12g、ジメトキシエタン25mlを入れ、0℃に冷却した。そこに、CFCFCFOCF(CF)COF17gを45分かけて滴下し、室温で4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、真空乾燥し、CFCFCFOCF(CF)CO(CHSOKを主成分とする固体25gを得た。
H−NMR(DO、TMS)δ(ppm):1.87〜1.90(m,4H)、2.94(t,2H)、4.5(m,2H)
19F−NMR(CDCl、CFCl)δ(ppm):−80.0(1F)、−83.0(3F)、−84.5(3F)、−87.0(1F)、−130.2(1F)、−130.3(2F)
(CFCFCFOCF(CF)COO(CHSOClの合成)
300mlナスフラスコに上記固体25gと塩化チオニル100mlを仕込み、10時間加熱還流した。大部分の過剰塩化チオニルを常圧で留去し、残った反応混合物は氷水中に注ぎ、1時間攪拌した。2層分離した液を分液して下層部分を取り出し、さらに減圧蒸留して19.8gのCFCFCFOCF(CF)COO(CHSOCl(1,4−ブタンスルトンからの収率56%)を得た。
H−NMR(DO、TMS)δ(ppm):1.87〜1.90(m,4H)、2.94(t,2H)、4.5(m,2H)
19F−NMR(CDCl、CFCl)δ(ppm):−80.0(1F)、−83.0(3F)、−84.5(3F)、−87.0(1F)、−130.2(1F)、−130.3(2F)
(CFCFCFOCF(CF)COO(CHSOFの合成)
滴下ロート、還流冷却管を備えた200mlの3つ口フラスコにKF4.6g、アセトニトリル70mlを仕込んだ後、上記CFCFCFCOO(CHSOCl19gを滴下し、N下、50℃で4時間攪拌した。反応液を減圧蒸留し、CFCFCFOCF(CF)COO(CHSOF15.9g(収率85%)を得た。H−NMR(DO、TMS)δ(ppm):1.87〜1.90(m,4H)、2.94(t,2H)、4.5(m,2H)
19F−NMR(CDCl、CFCl)δ(ppm):−80.0(1F)、−83.0(3F)、−84.5(3F)、−87.0(1F)、−130.2(1F)、−130.3(2F)
[実施例4]
実施例3で得られたCFCFCFOCF(CF)COO(CHSOF5gを用い、特許文献4の実施例1−4に従い、フッ素ガスによるフッ素化を行った。得
られた生成物について、NMRで分析したところ、水素原子が消失し、パーフルオロ体であることが確認された。次にこのパーフルオロ体について、特許文献4の実施例1−5に従い、分解反応を行った。得られた生成物をNMRで分析したところ、FCO(CFSOFおよびCFCFCFOCF(CF)COFがそれぞれ収率47%で得られていることがわかった。
(FCO(CFSOF)
19F−NMR(CDCl、CFCl)δ(ppm):44.3(1F)、22.5(1F)、−109.8(2F)、−119.5(2F)、−122.4(2F)
[実施例5]
実施例2で得られたCFCFCFCOO(CHSOF5gを用い、特許文献4の実施例1−4に従い、フッ素ガスによるフッ素化を行った。得られた生成物について、NMRで分析したところ、水素原子が消失し、パーフルオロ体であることが確認された。次にこのパーフルオロ体について、特許文献4の実施例1−5に従い、分解反応を行った。得られた生成物をNMRで分析したところ、FCO(CFSOFおよびCFCFCFCOFがそれぞれ収率45%で得られていることがわかった。
本発明の製造方法により、FCO(CFm−1SOF(m=3〜6)の合成を従来法より工業的に有利に行うことができる。さらには、本発明の製造方法により、フッ素系イオン交換膜の原料として有用なパーフルオロビニルエーテルを効率よく製造できる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)
    RfCOO(CHSO Y (1)
    (式中、Rfは炭素原子数1〜20の一価のパーフルオロ炭化水素基であり、酸素原子及び/又はイオウ原子を含んでいてもよく、部分的にフッ素原子が塩素原子に置換していてもよい。またmは3〜6の整数である。Yは一価のカチオンを表す。)
    で表される化合物を原料として下記一般式(2)
    RfCOO(CHSOX (2)
    (式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じであり、X=F又はClである。)
    で表される化合物を製造することを特徴とする上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
  2. 上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)
    Figure 2006335699
    (式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
    で表される化合物から製造されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
  3. 上記一般式(1)で表される化合物が上記一般式(3)で表される化合物とRfCOO(式中、Rf、Yは上記一般式(1)と同じ。)で表される化合物との反応で製造されたものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
  4. 上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(4)
    HO(CHSO (4)
    (式中、mおよびYは上記一般式(1)と同じ。)
    で表される化合物から製造されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
  5. 上記一般式(1)で表される化合物が上記一般式(4)で表される化合物とRfCOZ(式中、Rfは上記一般式(1)と同じ。Zはフッ素原子、塩素原子またはRfCOO基である。RfCOO基中のRfは上記一般式(1)と同じ。)で表される化合物との反応で製造されたものであることを特徴とする、請求項1又は4に記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
  6. 上記一般式(1)で表される化合物。
  7. 上記一般式(1)で表される化合物から上記一般式(2)で表される化合物への変換方法が、上記一般式(1)で表される化合物を塩素化剤で処理して上記一般式(2)においてX=Clである化合物に変換する方法であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
  8. 請求項7に記載の方法で製造された上記一般式(2)においてX=Clである化合物をフッ素イオン含有化合物で処理して上記一般式(2)においてX=Fである化合物に変換する方法であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の上記一般式(2)で表される化合物の製造方法。
  9. 請求項1〜5、7のいずれかに記載の方法で製造された上記一般式(2)で表される化合物をフッ素化剤と反応させて下記一般式(5)
    RfCOO(CFSOF (5)
    (式中、Rfとmは上記一般式(1)と同じ。)
    で表される化合物に変換し、次いで、上記一般式(5)で表される化合物を下記一般式(6)
    FCO(CFm−1SOF (6)
    (式中、mは上記一般式(1)と同じ。)
    で表される化合物に変換することを特徴とする上記一般式(6)で表される化合物の製造方法。
  10. 上記一般式(5)で表される化合物を上記一般式(6)で表される化合物に変換する方法が、上記一般式(5)で表される化合物をフッ素イオン含有化合物で処理して上記一般式(6)で表される化合物に変換する方法であることを特徴とする請求項9に記載の上記一般式(6)で表される化合物の製造方法。
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