JP2004018426A - 含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法 - Google Patents

含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを工業的に有利な方法で収率良く製造できる方法を提供する。
【解決手段】一般式:MOCOCF(CF)O(CFCF(CF)O)CFCFSOF(式中、nは0〜10の整数、Mは、アルカリ金属又はAgである。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を分子状ハロゲンと反応させて、一般式:CFCFXO(CFCF(CF)O)CFCFSOF(式中、Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、nは上記に同じ。)で表されるハロゲン化アルキルエーテルとし、次いで、脱ハロゲン化反応を行うことを特徴とする、一般式: CF=CFO(CFCF(CF)O)CFCFSOF(式中、nは上記に同じ。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法及び該含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの中間体として有用な新規化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学式CF=CFOCFCFSOFで表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルは、イオン交換膜材料などの工業原料として有用な化合物である。
【0003】
該含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテル等のスルホニルビニルエーテルの製造方法としては、例えば、英国特許1,034,197号公報に、ヘキサフルオロプロピレンオキシドをFCOCFSOFに付加させた後、得られた酸フロリド誘導体を熱分解する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを2分子以上付加したものからは、CF=CFO(CFCF(CF)O)nCFCFSOFで表されるスルホビニルエーテルを得ることは可能であるが、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを1分子付加したものからは、下記式
【0004】
【化1】
Figure 2004018426
【0005】
で表される環化体が主生成物として生じ、化学式CF=CFOCFCFSOFで表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルをほとんど得ることができない。
【0006】
また、特開昭57−28025号公報には、クロロペンタフルオロプロピレンオキシドをFCOCFSOFに付加させた後、熱分解する方法が記載されている。この方法では、上記した含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを得ることは可能であるが、原料とするクロロペンタフルオロプロピレンオキシドが収率よく得られないために、上記含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを安価に効率良く製造することができない。
【0007】
その他に、スルホニルビニルエーテルを製造する方法として、特開昭61−30552号公報には、ハロゲン末端ビニルエーテルのハロゲンをSOF基に変換する方法、特開平11−228474号公報には、CFClCFClOCFCFSOFを亜鉛で脱塩素化する方法等が記載されている。
【0008】
しかしながら、これらのいずれの方法も、目的物であるスルホニルビニルエーテルの収率が悪く、工業的な製造方法としては満足のいくものではない。
【0009】
また、米国特許第3,560,568号には、FCOCF(CF)OCFCFSOFを原料として用い、その環化体を形成した後、CHONaを用いて開環させてCF=CFOCFCFSONaとし、その後、末端のSONa基を塩素化し、更に、フッ素化してSOF基に変換する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、CF=CFOCFCFSONaの塩素化の反応性が極めて低いために非常に効率の悪い方法であり、しかも、系内に水分が存在するとHClガスを発生する等の問題がある。更に、塩素化反応の前に、NaF等の不純物をほぼ完全に除去する必要があり、製造工程が非常に煩雑であり、工業的実施は困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを工業的に有利な方法で収率良く製造できる方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、公知物質である含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を原料として用い、これにハロゲン分子を反応させてハロゲン化アルキルエーテルとし、次いで脱ハロゲン化反応を行うことによって、目的とする含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを比較的簡単な工程で高収率で製造することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法及び該含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの中間体として有用な新規化合物を提供するものである。
1.   下記(i)及び(ii)の工程を含むことを特徴とする一般式:(1)
CF=CFO(CFCF(CF)O)CFCFSOF               (1)
(式中nは、0〜10の整数)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法:
(i) 下記一般式(2):
MOCOCF(CF)O(CFCF(CF)O)CFCFSOF           (2)
(式中、nは、0〜10の整数、Mは、アルカリ金属又はAgである。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を分子状ハロゲンと反応させて、一般式:
CFCFXO(CFCF(CF)O)CFCFSOF                (3)
(式中、nは、0〜10の整数、Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子である。)で表されるハロゲン化アルキルエーテルとする工程、
(ii) 工程(i)で得られた一般式(3)のハロゲン化アルキルエーテル化合物の脱ハロゲン化反応により、上記一般式(1)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを製造する工程。
2. 一般式
CFCFXO(CFCF(CF)O)CFCFSO
(式中、nは0〜10の整数、Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子である。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルのハロゲン化アルキルエーテル化合物(但し、n=1であって、Xが臭素原子の場合を除く)。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法では、まず、公知物質である一般式(2):
MOCOCF(CF)O(CFCF(CF)O)CFCFSOF          (2)
(式中、nは0〜10の整数であり、Mは、アルカリ金属又はAgである。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を、分子状ハロゲンと反応させて、一般式(3):
CFCFXO(CFCF(CF)O)CFCFSOF          (3)
(式中、Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、nは上記に同じ。)で表されるハロゲン化アルキルエーテルとする。
【0014】
原料として用いる一般式(2)のカルボン酸塩は、公知物質であり、例えば、米国特許第3,301,893号公報に記載の方法等の公知方法に従って、公知物質である一般式:FCOCF(CF)O(CFCF(CF)O)CFCFSOF(nは上記に同じ)で表される酸フロリド誘導体をアルカリ金属の炭酸水素塩と反応させる方法、該酸フロリド誘導体に水を加えてカルボン酸とした後、AgOと反応させる方法などによって製造することができる。
【0015】
一般式(2)において、Mは、アルカリ金属又はAgであり、特に、カリウム又はAgが好ましい。
【0016】
一般式(2)のカルボン酸塩とハロゲン分子との反応は、通常、有機溶媒中で行うことができる。反応方法としては、有機溶媒中にカルボン酸塩を溶解、懸濁させた後、ハロゲン分子を加えて反応させても良く、或いは、有機溶媒中にハロゲン分子を溶解、分散させてから反応させても良い。また、ハロゲン分子やカルボン酸塩は反応途中に適宜加えることも可能である。
【0017】
ハロゲン分子としては、ヨウ素、臭素、塩素などが使用できるが、特にヨウ素、臭素が好ましい。
【0018】
ハロゲン分子の仕込みモル比は、ハロゲン分子/カルボン酸塩=0.3〜3モル/モル程度が好ましく、0.5〜2モル/モル程度が特に好ましい。
【0019】
有機溶媒は、非プロトン性溶媒であれば特に限定なく使用でき、具体例としては、エーテル、スルホラン、グライム、ケトン、エステル、アミド、ニトリルなどを挙げることができ、特に、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、テトラヒドロフラン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどが好ましい。
【0020】
有機溶媒の仕込み重量比は、特に限定的ではないが、有機溶媒/カルボン酸塩=0.1〜10g/g程度が好ましく、0.5〜5g/g程度がより好ましい。
【0021】
反応温度は、0〜150℃程度が望ましく、30〜100℃程度がより好ましい。反応圧力は、特に限定されず任意の条件が使用できるが、常圧下に反応を行うことが好ましい。
【0022】
反応時間は、反応条件によって異なるが、通常、0.1〜24時間程度の範囲である。
【0023】
上記した反応によって、一般式:
CFCFXO(CFCF(CF)O)CFCFSOF          (3)
(式中、nは0〜10の整数であり、Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子である。)で表されるハロゲン化アルキルエーテル化合物を得ることができる。得られた化合物は、抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィーなど公知の方法によって精製することができる。一般式(3)の化合物は、一般式(1)の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを製造する際の中間体であり、特に、一般式(3)の化合物の内で、n=1且つXが臭素原子である化合物以外の化合物については、中間体として有用な新規化合物である。これらの新規化合物の内で、特に、n=0の化合物については、一般式(1)の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの内で有用性の高い化合物であるn=0の化合物を製造する際に、環化体をほとんど生じることなく、目的物を収率良く製造できる点で、有用性の高い化合物である。
【0024】
次いで、一般式(3)で表されるハロゲン化アルキルエーテル化合物の脱ハロゲン化反応によって、一般式(1):
CF=CFO(CFCF(CF)O)CFCFSOF          (1)
(式中、nは上記に同じ。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを得ることができる。
【0025】
脱ハロゲン化反応は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、非プロトン性溶媒中で、有機マグネシウム化合物、亜鉛などの金属試薬と反応させることによって、脱XF反応を行うことができる。有機マグネシウム化合物としては、例えば、RMgBr,RMgCl等を用いることができる。これらの化合物において、Rは、例えば、炭素数1〜10の低級アルキル基等である。
【0026】
非プロトン性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム、アセトニトリル、スルホランなどを使用できる。
【0027】
溶媒と一般式(2)の化合物との割合は、特に限定的ではないが、通常、溶媒/一般式(2)の化合物(重量比)=1〜20程度とすればよい。
【0028】
金属試薬と一般式(2)の化合物との割合は、特に限定的ではないが、例えば、金属試薬/一般式(2)の化合物(モル比)=1〜2程度とすればよい。
【0029】
反応温度は、通常、−20〜150℃程度が好ましい。反応圧力は、特に限定されず、任意の条件が使用できるが、常圧条件が好ましい。
【0030】
反応時間は、通常、0.1〜24時間程度とすればよい。
【0031】
以上の方法によって、一般式(1):
CF=CFO(CFCF(CF)O)CFCFSOF          (1)
(式中、nは上記に同じ。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを得ることができる。
【0032】
得られた粗化合物は、抽出、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法で精製することができる。
【0033】
本発明方法によって得られる一般式(1)の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルは、電解質膜又はイオン交換膜等に用いるポリマー用のモノマー成分として有用な物質である。
【0034】
この電解質膜又はイオン交換膜は、例えば固体高分子電解質型燃料電池の電解質用膜、リチウム電池用膜、食塩電解用膜、水電解用膜、ハロゲン化水素酸電解用膜、酸素濃縮器用膜、湿度センサー用膜、ガスセンサー用膜等として使用される。
【0035】
【発明の効果】
本発明方法によれば、煩雑な操作を要することなく、工業的に有利な方法により、目的とする含フッ素フルオロスルホニルエーテルを、安価に高収率で製造することができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0037】
実施例1
ハロゲン化工程
温度計及び撹拌子を有する20ml三つ口フラスコ中において、CHCON(CH(3ml)にKOCOCF(CF)OCFCFSOF(1.6g、4.2mmol)を加えた懸濁液を撹拌しながら、ヨウ素(1.1g、4.2mmol)を添加し、50〜60℃に加熱した。1.2時間加熱後、反応を停止し、室温に冷却後、KSO水溶液を加え、未反応で残ったヨウ素を還元除去した。
【0038】
この後、抽出操作を行い、粗CFCFIOCFCFSOFを分離した。
【0039】
19F NMR内部標準法による分析から、CFCFIOCFCFSOFが2.4mmol得られていることがわかった。反応による主生成物(CFCFIOCFCFSOF)の分析結果を以下に示す。
19F NMR (neat, CFCl) δ 44.93 (−SO ), −80.42 (−OC −), −81.28 (−CI−), −84.45 (C −), −86.08 (−OCF −), −112.91 (−C SOF)
脱XF工程
温度計、滴下ロート及び撹拌子を有する100ml三つ口フラスコ中にCFCFIOCFCFSOF (10.58g、24.8mmol)及びTHF(25ml)を仕込み、撹拌しながら、氷浴下、1N CMgBr/THF溶液(25.88g、24.84mmol)を滴下した。
【0040】
滴下終了後、昇温し、55℃で2時間反応させた。冷却後、1N HCl水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を19F NMR内部標準法により分析したところ、CF=CFOCFCFSOFが13.0mmol生成していることが確認できた。
【0041】

Claims (2)

  1. 下記(i)及び(ii)の工程を含むことを特徴とする一般式:(1)
    CF=CFO(CFCF(CF)O)CFCFSOF               (1)
    (式中nは、0〜10の整数)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法:
    (i) 下記一般式(2):
    MOCOCF(CF)O(CFCF(CF)O)CFCFSOF           (2)
    (式中、nは、0〜10の整数、Mは、アルカリ金属又はAgである。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を分子状ハロゲンと反応させて、一般式:
    CFCFXO(CFCF(CF)O)CFCFSOF                (3)
    (式中、nは、0〜10の整数、Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子である。)で表されるハロゲン化アルキルエーテルとする工程、
    (ii) 工程(i)で得られた一般式(3)のハロゲン化アルキルエーテル化合物の脱ハロゲン化反応により、上記一般式(1)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを製造する工程。
  2. 一般式
    CFCFXO(CFCF(CF)O)CFCFSO
    (式中、nは0〜10の整数、Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子である。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルのハロゲン化アルキルエーテル化合物(但し、n=1であって、Xが臭素原子の場合を除く)。
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