JP4189629B2 - 含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法、該含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの中間体として有用な新規化合物、及び該新規化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学式CF2=CFOCF2CF2SO2Fで表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルは、イオン交換膜材料などの工業原料として有用な化合物である。
【0003】
該含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテル等のスルホニルビニルエーテルの製造方法としては、例えば、英国特許1,034,197号公報に、ヘキサフルオロプロピレンオキシドをFCOCF2SO2Fに付加させた後、得られた酸フロリド誘導体を熱分解する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを2分子以上付加したものからは、CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2Fで表されるスルホビニルエーテルを得ることは可能であるが、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを1分子付加したものからは、下記式
【0004】
【化1】
【0005】
で表される環化体が主生成物として生じ、化学式CF2=CFOCF2CF2SO2Fで表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルをほとんど得ることができない。
【0006】
また、特開昭57−28025号公報には、クロロペンタフルオロプロピレンオキシドをFCOCF2SO2Fに付加させた後、熱分解する方法が記載されている。この方法では、上記した含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを得ることは可能であるが、原料とするクロロペンタフルオロプロピレンオキシドが収率よく得られないために、上記含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを安価に効率良く製造することができない。
【0007】
その他に、スルホニルビニルエーテルを製造する方法として、特開昭61−30552号公報には、ハロゲン末端ビニルエーテルのハロゲンをSO2F基に変換する方法、特開平11−228474号公報には、CF2ClCFClOCF2CF2SO2Fを亜鉛で脱塩素化する方法等が記載されている。
【0008】
しかしながら、これらのいずれの方法も、目的物であるスルホニルビニルエーテルの収率が悪く、工業的な製造方法としては満足のいくものではない。
【0009】
また、米国特許第3,560,568号には、FCOCF(CF3)OCF2CF2SO2Fを原料として用い、その環化体を形成した後、CH3ONaを用いて開環させてCF2=CFOCF2CF2SO3Naとし、その後、末端のSO3Na基を塩素化し、更に、フッ素化してSO2F基に変換する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、CF2=CFOCF2CF2SO3Naの塩素化の反応性が極めて低いために非常に効率の悪い方法であり、しかも、系内に水分が存在するとHClガスを発生する等の問題がある。更に、塩素化反応の前に、NaF等の不純物をほぼ完全に除去する必要があり、製造工程が非常に煩雑であり、工業的実施は困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを工業的に有利な方法で収率良く製造できる方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を原料として用い、これをチオスルホン化してチオスルホン酸化合物とした後、脱炭酸反応によりビニルエーテル体とし、その後、塩素化、フッ素化を順次行う方法によれば、目的とする含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを比較的簡単な工程で高収率で製造することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法、該含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの中間体として有用な新規化合物、及び該新規化合物の製造方法を提供するものである。
1. 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする一般式(1)
CF2=CFOCF2CF2SO2F (1)
で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法:
(i)下記一般式(2)
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2F (2)
(式中、Mは、Ma又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を溶媒中でチオスルホン化して、一般式(3)
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2SR (3)
(式中、Rは、Ma’、Mb’1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma’はアルカリ金属、Mb’はアルカリ土類金属である。Mは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物を製造する工程、
(ii)工程(i)で得られたチオスルホン酸化合物を脱炭酸して、一般式(4)
CF2=CFOCF2CF2SO2SR (4)
(式中、Rは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物のビニルエーテル体を製造する工程、
(iii)工程(ii)で得られたビニルエーテル体を塩素化した後、フッ素化して、上記一般式(1)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを製造する工程。
2. 一般式
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2SR
(式中、Mは、Ma又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。Rは、Ma’、Mb’1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma’はアルカリ金属、Mb’はアルカリ土類金属である。)で表されるチオスルホン酸化合物。
3. 一般式
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2F
(式中、Mは、Ma又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を溶媒中でチオスルホン化することを特徴とする、一般式
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2SR
(式中、Rは、Ma’、Mb’1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma’はアルカリ金属、Mb’はアルカリ土類金属である。Mは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法では、まず、公知物質である一般式(2):
MOCOCF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2F (2)
(式中、MはMa又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。nは0〜10の整数である。)で表されるカルボン酸塩を原料として用い、これを溶媒中でチオスルホン化して、一般式(3)
MOCOCF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2SR (3)
(式中、Mは、Ma又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。Rは、Ma'、Mb'1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma'はアルカリ金属、Mb'はアルカリ土類金属である。nは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物を製造する。
【0014】
原料とする一般式(2)の化合物において、アルカリ金属としては、Na、K、Li、Cs等を例示でき、アルカリ土類金属としてはCa、Mg等を例示できる。
【0015】
一般式(2)のカルボン酸塩のチオスルホン化反応は、溶媒中でチオスルホン化剤と反応させることによって行うことができる。
【0016】
溶媒としては、一般式(2)で表されるカルボン酸塩を溶解又は均一に分散させることができるものであれば、特に限定なく使用でき、例えば、水、アセトンなどのケトン類、酢酸エチル等のエステル類等の他、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、二硫化炭素などを使用できる。これらの溶媒は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。これらの溶媒の内で、有機溶媒を用いる場合には、引き続いて行う脱炭酸工程において、煩雑な脱水操作を行う必要が無く、以後の工程を円滑に行うことができる点で非常に有利である。
【0017】
溶媒中における一般式(2)のカルボン酸塩の濃度は、特に限定的ではないが、通常、1〜80重量%程度とすればよい。
【0018】
チオスルホン化剤としては、チオスルホン化作用を有する各種物質を用いることが可能であり、例えば、硫化金属、チオール類の金属塩などを用いることができる。具体的には、MSR(式中、Mは、Ma又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。Rは、Ma'、Mb'1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma'はアルカリ金属、Mb'はアルカリ土類金属である。)で表される硫化金属、チオール類の金属塩等を好適に用いることができる。
【0019】
上記したチオスルホン化剤において、アルカリ金属としては、Na、K、Li、Csなどを例示でき、アルカリ土類金属としては、Ca,Mg、Ba等を例示できる。また、アルキル基としては、炭素数1〜10程度のものが好ましく、アルケニル基及びアルキニル基としては、炭素数2〜10程度のものが好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、トシル基等を例示できる。
【0020】
上記したチオスルホン化剤の内で、好ましいものとしては、硫化ナトリウム、硫化カリウム、ナトリウムチオフェノラート、ナトリウムエタンチオラート等を例示できる。
【0021】
チオスルホン化剤の使用量としては、一般式(2)のカルボン酸塩1モルに対して、1〜4モル程度とすることが好ましい。
【0022】
チオスルホン化反応の温度は、0〜90℃程度とすることが好ましく、20〜80℃程度とすることがより好ましい。
【0023】
反応時間については、実際に採用する反応条件に応じて、目的とする反応が十分に進行するまで行えば良く、通常、0.01〜48時間程度の範囲内とすればよい。
【0024】
上記した方法でチオスルホン化を行うことによって、高い収率で一般式(3)
MOCOCF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2SR (3)
(式中、Mは、Ma又はMb1/2であって、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。Rは、Ma'、Mb'1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma'はアルカリ金属、Mb'はアルカリ土類金属である。nは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物を得ることができる。
【0025】
該チオスルホン酸化合物は、一般式(1)の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテル製造用の中間体として有用な新規化合物である。
【0026】
次いで、上記一般式(3)で表されるチオスルホン酸化合物の脱炭酸反応を行い、一般式(4):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2SR (4)
(式中、R及びnは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物のビニルエーテル体を製造する。
【0027】
脱炭酸反応は、一般式(3)のチオスルホン酸化合物を固体状態で加熱するか、或いは、有機溶媒に溶解して加熱し、熱分解させることによって行うことができる。
【0028】
チオスルホン化反応を含水溶媒中で行った場合には、一般式(3)で表されるチオスルホン酸化合物を十分に乾燥させて水分を除去した後、脱炭酸反応を行うことが好ましい。チオスルホン化反応を無水有機溶媒中で行った場合には、乾燥することなく、得られたチオスルホン酸化合物の脱炭酸反応を行うことができる。また、必要に応じて、乾燥又は脱炭酸反応に先立って、中和、チオスルホン化工程で発生した副生成物を常法に従って除去してもよい。
【0029】
乾燥方法については特に限定的ではなく、一般式(3)のチオスルホン酸化合物を乾燥固体の状態で得る方法や、有機溶媒などに水分を含んだチオスルホン酸化合物を溶解し、さらに溶液から脱水する方法等を採用できる。この際、いずれの方法でもチオスルホン酸化合物中の水分量が0.5質量%程度以下となるまで乾燥することが好ましい。この様に十分に乾燥を行った後、脱炭酸反応を行うことによって、副反応を抑制して高収率でビニルエーテル体を得ることができる。
【0030】
乾燥方法としては、例えば、乾燥チオスルホン酸化合物固体を得る方法として、真空凍結乾燥、真空乾燥、熱風乾燥等の各種の方法を採用できる。また、有機溶媒中にチオスルホン酸化合物を溶解させて乾燥させる方法として、例えば特開平2−87473号公報等に記載されているように、水と低沸点で共沸する溶剤を加えて蒸留によって水分を除去する方法、特開平7−235309号公報に記載されているように、有機溶媒を還流させながら、還流液をゼオライト層と接触させ脱水処理する方法、CaH2などで示される金属ヒドリドやゼオライト、シリカゲルなどで示される乾燥剤をチオスルホン酸化合物の有機溶媒溶液中に加え脱水する方法等の各種の方法を採用でき、これらの方法を組み合わせて用いても良い。
【0031】
脱炭酸反応のための加熱温度は、50〜250℃程度とすることが好ましく、80〜200℃程度とすることがより好ましい。加熱時の圧力は、減圧、大気圧、加圧のいずれでも良く、通常、不活性ガス雰囲気中又は不活性ガス流通下に所定の温度に加熱することによって、脱炭酸反応を行うことができる。加熱時間については、実際の加熱温度やその他の条件によって異なるが、通常、0.5〜20時間程度とすればよい。
【0032】
脱炭酸反応に用いる有機溶媒としては、一般式(3)のチオスルホン酸化合物を溶解又は分散できる非プロトン性溶媒が好ましい。この様な溶媒の具体例としては、グライム類、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、エステル類、ケトン類、ハロゲン化炭素類、フルオロカーボン類、フルオロクロロカーボン類、パーフルオロカーボン類、エーテル化されたフルオロカーボン類、炭化水素類等を挙げることができ、これらを一種単独又は二種以上混合して用いることができる。これらの内で、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、スルホラン、含フッ素オイルなどが好ましい。
【0033】
有機溶媒の使用量は、一般式(3)のチオスルホン酸化合物1質量部に対して0〜50質量部程度とすることが好ましく、5〜15質量部程度とすることがより好ましい。
【0034】
上記した方法で脱炭酸反応を行うことによって、一般式(4):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2SR (4)
(式中、R及びnは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物のビニルエーテル体を得ることができる。得られるビニルエーテル体は、一般式(1)の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテル製造用の中間体として有用な新規化合物である。
【0035】
次いで、一般式(4)のビニルエーテル体を塩素化した後、フッ素化することによって、目的とする一般式(1)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2F (1)
(式中、nは上記に同じ。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを得ることができる。
【0036】
塩素化反応は、塩素化剤として、塩素を用いて行なうことが出来る。塩素を用いて水中で塩素化反応を行うことによって、工業的な実施が容易となり、更に、得られた塩素化物は、有機層となって分離するため回収が容易となる。
【0037】
塩素化反応の条件については、特に限定的ではなく、目的とする塩素化物が形成されるように適宜決めれば良い。例えば、一般式(4)のビニルエーテル体を溶解した水溶液中に塩素ガスを供給して塩素化反応を行えば良く、例えば、反応温度は0〜50℃程度、塩素の仕込量は、一般式(4)のビニルエーテル体1モルに対して1〜10モル程度とすればよく、好ましくは3〜5モル程度とすればよい。反応時間は、具体的な反応条件によって異なるが、通常、0.5〜48時間程度の範囲内とすればよい。水溶液中における一般式(4)のビニルエーテル体の濃度については、特に限定的ではないが、通常、0.5〜50質量%程度とすればよい。
【0038】
次いで、得られた塩素化物(CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2Cl )をフッ素化することによって、目的とする一般式(1):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2SO2F (1)
(式中、nは上記に同じ。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを得ることができる。
【0039】
フッ素化反応は公知の方法に従って行うことができる。通常は、塩素化物を分液後、フッ素化反応用の溶媒中又は無溶媒で該塩素化物とフッ素化剤とを反応させればよい。溶媒としては、特に限定的ではなく、反応に関与しない溶媒であれば良く、例えば、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水などを用いることができる。
【0040】
フッ素化剤としては、公知のフッ素化剤を用いることができ、例えば、NaF、KF等を好適に用いることができる。
【0041】
フッ素化反応条件の一例を示すと、反応温度20〜200℃程度、反応時間0.5〜48時間程度とすれば良く、フッ素化剤の使用量は、塩素化物1モルに対して1〜5モル程度とすればよい。また、溶媒中での塩素化物の濃度については、特に限定的ではないが、通常、10〜100質量%程度とすればよい。
【0042】
以上の方法によって、一般式(1)の含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを得ることができる。
【0043】
得られた粗化合物は、抽出、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法で精製すればよい。
【0044】
本発明方法によって得られる一般式(1)で表される含フッ素スルホニルアルキルビニルエーテルは電解質膜又はイオン交換膜等に用いるポリマー用のモノマー成分として有用な物質である。
【0045】
この電解質膜又はイオン交換膜は、例えば固体高分子電解質型燃料電池の電解質用膜、リチウム電池用膜、食塩電解用膜、水電解用膜、ハロゲン化水素酸電解用膜、酸素濃縮器用膜、湿度センサー用膜、ガスセンサー用膜等として使用される。
【0046】
【発明の効果】
本発明方法によれば、煩雑な操作を要することなく工業的に有利な方法により、目的とする含フッ素フルオロスルホニルエーテルを、安価に高収率で製造することができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0048】
実施例1
チオスルホン化工程
CF3CF(CO2Na)OCF2CF2SO2F8.4g(23mmol)及びTHF50mlを100mlフラスコに仕込み、Na2S 2.1g(27mmol)をゆっくり加えて室温で攪拌反応させた。反応終了後、濾過によりNaFを取り除き、蒸発乾固した後9.2gの固体を得た(収率:99.5%)。IR及びNMRによりCF3CF(CO2Na)OCF2CF2SO2SNaであることを確認した。
【0049】
生成物(CF3CF(CO2Na)OCF2CF2SO2SNa)の分析結果を以下に示す。
19F NMR (282.4 MHz, CD3CN, CFCl3) δ -74.57 (d, J = 148.0Hz,, 1F), -82.75 (brs, 3F), -86.87 (d, J = 148.0Hz, 1F), -127.11 (d, J=254.8Hz,1F), -130.24 (brs,1F), -137.57(d,J = 254.8Hz,1F)脱炭酸工程
100mlフラスコにCF3CF(CO2Na)OCF2CF2SO2SNa 3.92g(9.7mmol)とジグライム50mlを仕込んだ。その後、マントルヒーターで90〜95℃の間で温度コントロールし、3時間反応させた。
【0050】
反応終了後、ジグライムを減圧下に留去し蒸発乾固させることにより、固体2.93gを回収した。この固体についてIR、NMR測定した結果、CF2=CFOCF2CF2SO2SNaであることがわかった。また、不純物としてごくわずかにCF3CHFOCF2CF2SO2SNaが存在していた。内部標準としてトリフルオロ酢酸ナトリウムを用いてNMRでCF2=CFOCF2CF2SO2SNa を定量した結果、収率は90.8%(8.8mmol)であった。
【0051】
塩素化工程
50mlフラスコに、上記脱炭酸反応で得られた純度95mass%のCF2=CFOCF2CF2SO2SNaを1.6g(4.8mmol)と水20mlを仕込んだ。その後、フラスコを氷浴で冷却し、Cl2ガスを10ml/分で50分間流した。反応終了時、液は2層分離していた。下層を回収し、水層をCH2Cl2で抽出した後、有機相を混合し、G.C.、GC/MS、NMR分析を行なった。その結果、CF2=CFOCF2CF2SO2Clであることがわかった。 内部標準を使用してNMRでCF2=CFOCF2CF2SO2Cl量を定量した結果、収率は92.7%(4.45mmol)であった。
【0052】
フッ素化工程
撹拌機と5段精留塔を備えた50mlのガラスフラスコ中に、上記方法で得たCF2=CFOCF2CF2SO2Cl 33g、NaF 13.0g及びスルホラン(19.0g)を仕込んだ後、加熱し約75℃の留分を抜き出した。その結果、28.0gの液体を得た。
【0053】
この液体について、G.C.、GC/MS、NMR分析を行なった結果、CF2=CFOCF2CF2SO2Fであることがわかった。NMRにより収率は、90.9%であった。得られたCF2=CFOCF2CF2SO2Fの分析結果を以下に示す。
19F NMR (CCl4, CFCl3) δ 45.36 (-SO2 F), -84.04 (-OCF 2-), -112.38 (-CF 2SO2F-), -120.61 (CF 1 F2=CF-), -135.49 (CF1 F 2 =CF-), -135.49 (CF1F2=CF-)
Claims (3)
- 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする一般式(1)
CF2=CFOCF2CF2SO2F (1)
で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルの製造方法:
(i)下記一般式(2)
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2F (2)
(式中、Mは、Ma又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を溶媒中でチオスルホン化して、一般式(3)
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2SR (3)
(式中、Rは、Ma’、Mb’1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma’はアルカリ金属、Mb’はアルカリ土類金属である。Mは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物を製造する工程、
(ii)工程(i)で得られたチオスルホン酸化合物を脱炭酸して、一般式(4)
CF2=CFOCF2CF2SO2SR (4)
(式中、Rは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物のビニルエーテル体を製造する工程、
(iii)工程(ii)で得られたビニルエーテル体を塩素化した後、フッ素化して、上記一般式(1)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルビニルエーテルを製造する工程。 - 一般式
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2SR
(式中、Mは、Ma又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。Rは、Ma’、Mb’1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma’はアルカリ金属、Mb’はアルカリ土類金属である。)で表されるチオスルホン酸化合物。 - 一般式
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2F
(式中、Mは、Ma又はMb1/2であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)で表される含フッ素フルオロスルホニルアルキルエーテルのカルボン酸塩を溶媒中でチオスルホン化することを特徴とする、一般式
MOCOCF(CF3)OCF2CF2SO2SR
(式中、Rは、Ma’、Mb’1/2、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であって、Ma’はアルカリ金属、Mb’はアルカリ土類金属である。Mは上記に同じ。)で表されるチオスルホン酸化合物の製造方法。
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