JP4318803B2 - ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの簡便かつ安価な製造方法に関するものである。本発明の製造方法により得られるビススルホニルメタンは、高性能全固体型バッテリー用の固体電解質として利用されるトリス(トリフルオロスルホニル)メタンリチウム塩の有用な合成原料となる他、医薬、農薬、高分子等の各種有用化合物の製造に関わる触媒を製造するための合成中間体として使用される等、幅広い分野で用いられる化学物質の合成中間体として極めて有用かつ重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを合成する方法としては、トリフルオロスルホニルフルオライド(CF3SO2F)等のパーフルオロアルキルスルホニルハライドを出発物質とし、これとメチルマグネシウムハライドとの反応によって合成する方法[U.S.P.3,776,960号、および、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)1973年、38巻、3358頁]や、炭化アルミニウムとの反応によって合成する方法[特公平3−505336公報]等が行われていた。しかし、これら全ての製造方法の出発物質であるパーフルオロアルキルスルホニルハライドは市販で入手する事が困難である上、これを製造するためには対応するアルキルスルホニルハライドとフッ化水素酸を用いて電気化学的にフッ素化(ECF法)する必要があり、大変危険で困難な作業を必要としていた。またこの様な各種パーフルオロアルキルスルホニルハライドはそのほとんどがガス物質であり、続くビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを合成する際にも、その取り扱いが難しかった。
【0003】
この様な問題点を解決する方法として、パーフルオロアルキルスルホニルハライドに替えて市販で容易に入手可能であり、またその取り扱いも容易なパーフルオロアルキルスルホン酸無水物を用い、これにトリメチルシリルメチルリチウムを反応させて、目的とするビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンをより簡便に製造する方法が提案されている[ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)1999年、64巻、2910頁]。しかしながらこの反応に用いられるトリメチルシリルメチルリチウムは極めて高価であり、製造コスト面において先のパーフルオロアルキルスルホニルハライドを用いる方法と比較して、必ずしも優れた方法とは言えなかった。
【0004】
すなわち、これら従来のビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法は、入手が困難で、かつその製造と取り扱いに危険と困難な作業を必要とする製造原料を使用するか、もしくは高価な製造原料を必要とするものであり、簡便かつ安価に製造する方法はこれまで見いだされていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の製造方法における前記した問題点を解決し、簡便で安価に所望するビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況に鑑み鋭意研究をおこなった結果、出発物質として安価で取り扱いの容易なパーフルオロアルキルスルホン酸無水物を選定し、これにメチルリチウムおよびブチルリチウムといったリチウム化剤を段階的に処方することで、簡便かつ安価に各種ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記一般式[2]
[式中R1は炭素数1から6までのパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物とメチルリチウムとを反応させてモノスルホニルメタンを得た後、これにブチルリチウムを反応させてスルホニルメタンリチウム塩とし、これと下記一般式[3]
[式中R2は前記R1と同一または相異なって炭素数1から6までのパーフルオロアルキル基を示す。]で示されるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物とを反応させることを特徴とする、下記一般式[1]
[式中R1およびR2は前記と同じ意味を有する。]で表されるビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明により製造されるビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン、およびそれを製造するための原料であるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物において一般式[1]、[2]および[3]式中でR1、R2として定義されている炭素数1から6までののパーフルオロアルキル基とは、炭素数が1個以上6個以下の直鎖状、分枝状または環状の飽和炭化水素基の水素原子が全てフッ素原子に置換された基であることを示す。具体的には例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロペンチル(アミル)基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−tert−ペンチル基、パーフルオロ−1−メチルブチル基、パーフルオロ−2−メチルブチル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルプロピル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロイソヘキシル基、パーフルオロ−1−メチルペンチル基、パーフルオロ−2−メチルペンチル基、パーフルオロ−3−メチルペンチル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2 ,2 −ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2 ,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−3,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1−エチルブチル基、パーフルオロ−2−エチルブチル基、パーフルオロ−1,1,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−1−メチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−2−メチルプロピル基、パーフルオロシクロプロピル基、パーフルオロシクロプロピルメチル基、パーフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。より好ましくはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシルである。
【0009】
次に、本発明のビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法について説明する。
本発明による前記表題化合物[1]の製造方法は下記反応式[I]および[II]に示されるとおり、一般式[2]で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物とメチルリチウムとを反応させてモノスルホニルメタン[4]を得た後、この化合物[4]にブチルリチウムを反応させてスルホニルメタンリチウム塩[5]とし、これをさらに一般式[3]で示されるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させて目的とする表題化合物[1]を得るものである。
【0010】
反応式[I]
反応式[II]
[式中、R1およびR2は前記と同じ意味を有する。]
【0011】
まず、反応式[I]で示されるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物[2]とメチルリチウムとの反応について説明する。
化合物[2]は各種パーフルオロアルキルスルホン酸の無水物であり、通常室温では液体で存在するものが多く、各種パーフルオロアルキルハライドと比較して取り扱いが容易である。またこの化合物[2]は市販で購入するか、後述する様に文献記載の方法によって容易に入手が可能である。
【0012】
また同じく反応に用いられるメチルリチウムは、通常1〜1.5モル濃度のテトラヒドロフラン溶液やジエチルエーテル溶液として市販で提供されており、やはり容易に入手できる。
【0013】
反応はパーフルオロアルキルスルホン酸無水物と前記メチルリチウム溶液とを、無溶媒または溶媒中で混合することにより行われる。
【0014】
反応に用いられる溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、p−キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等を用いることができる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して用いることもできる。
【0015】
化合物[2]とメチルリチウムとはそれぞれ等モル、あるいはメチルリチウムを過剰モル用いて反応するのが好ましい。化合物[2]とメチルリチウムとを混合する順序としては、前記したメチルリチウム溶液に化合物[2]または化合物[2]の前記反応溶媒溶液を添加してもよいし、また、化合物[2]の前記反応溶媒溶液に対して前記メチルリチウム溶液を添加してもよい。より好ましくは、化合物[2]の前記反応溶媒溶液に対して前記メチルリチウム溶液を少しづつ添加する方法である。
【0016】
本反応の反応温度は−100℃〜40℃の範囲であり、好ましくは−40℃〜10℃の範囲で行われる。
【0017】
本反応の反応時間は、数分から24時間の範囲が好ましく用いられるが、原料化合物である化合物[2]によってその好適な時間が異なる場合があるため、この範囲に必ずしも限定されるものではない。
【0018】
本反応は反応終了後、未反応のメチルリチウムを加水分解することにより停止される。加水分解に用いられる加水分解剤としては、水、塩化アンモニウム水溶液等の水溶液、希塩酸、希硫酸、クエン酸水溶液などの酸性水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液または炭酸水素ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液等が挙げられる。好ましくは塩化アンモニウム水溶液、クエン酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液または炭酸水素ナトリウム水溶液等水溶液であり、さらに好ましくは飽和塩化アンモニウム水溶液、クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液である。
【0019】
本反応を水または前記水溶液の添加によって反応停止した場合、その後有機溶剤によって抽出処理される。この様な抽出用の有機溶剤としてはジエチルエーテル、ジイソプロピールエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。
【0020】
この様にして抽出された反応溶液は硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム等の乾燥剤で乾燥された後、溶剤を溜去するか、必要により蒸留精製等の処理を行いモノスルホニルメタン[4]を単離し、続く反応に用いられる。
【0021】
続いて、反応式[II]について説明する。
本反応で用いられるブチルリチウムとは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムの何れでもよく、好ましいものを適宜選んで用いることができる。最も好ましくはtert−ブチルリチウムである。これらブチルリチウムは、通常1〜1.7モル濃度のペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素溶液として市販で提供されており、容易に入手可能である。
【0022】
反応は前期の方法で得られたモノパーフルオロアルキルスルホニルメタン[4]粗製物と前記ブチルリチウム溶液とを、無溶媒または溶媒中で混合、撹拌することにより、まず反応中間体であるモノパーフルオロアルキルスルホニルメタンリチウム塩[5]を得ることができる。
【0023】
反応に用いられる溶媒としては、前記したパーフルオロアルキルスルホン酸無水物[3]とメチルリチウムとの反応に使用される溶剤として掲げられたもののなかから、同様に選択して用いることができる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよいし、また2種以上を混合してもよい。
【0024】
化合物[2]とブチルリチウムとはそれぞれ等モル、あるいはブチルリチウムを過剰モル用いて反応するのが好ましい。化合物[4]とブチルリチウムとを混合する順序としては、前記したブチルリチウム溶液に化合物[4]または化合物[4]の前記反応溶媒溶液を添加してもよいし、また、化合物[4]の前記反応溶媒溶液に対して前記ブチルリチウム溶液を添加してもよい。より好ましくは、化合物[4]の前記反応溶媒溶液に対して前記ブチルリチウム溶液を添加する方法である。
【0025】
リチウム塩[5]生成反応の反応温度は−100℃〜40℃の範囲であり、好ましくは−90℃〜20℃の範囲で行われる。
【0026】
リチウム塩[5]生成反応の反応時間は、数分から24時間の範囲が好ましく用いられるが、原料化合物[4]によってその好適な値が異なる場合があるため、この範囲に必ずしも限定されるものではない。
【0027】
本反応は、本反応の中間生成物であるモノパーフルオロアルキルスルホニルメタンリチウム塩[5]を一度単離しても良いし、続けて前記反応溶液に対して一般式[3]で示されるパーフルオロメチルスルホン酸無水物を添加、撹拌することによりリチウム塩[5]を単離することなく行うこともできる。
【0028】
本反応で用いられるパーフルオロメチルスルホン酸無水物[3]は、前記した反応[I]で用いられるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物[2]と同じ化合物を用いることもできるし、また別の化合物を用いてもよい。
【0029】
化合物[3]は化合物[4]に対して等モル、あるいは過剰モル用いて反応するのが好ましい。化合物[3]は前記した反応溶剤で希釈して前記反応溶液に添加してもよいし、また化合物[3]が液体の場合は希釈することなしに直接添加してもよい。より好ましくは、化合物[4]の前記反応溶媒溶液を反応溶液に対して添加する方法である。
【0030】
本反応の反応温度は−100℃〜40℃の範囲であり、好ましくは−90℃〜30℃の範囲で行われる。また、反応時間は、数分から24時間の範囲が好ましく用いられるが、原料化合物[4]および[3]によってその好適な値が異なる場合があるため、この範囲に必ずしも限定されるものではない。
【0031】
本反応は反応終了後、未反応のブチルリチウムを分解することにより停止される。分解に用いられる分解剤としては、前記した反応[I]で用いられるものと同様のもののなかから選ぶことができる。
【0032】
本反応を水または前記酸性水溶液の添加によって反応停止した場合、その後有機溶剤によって抽出処理される。この様な抽出用の有機溶剤としてはジエチルエーテル、ジイソプロピールエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。
【0033】
また、本反応を前記塩基性水溶液の添加によって反応停止した場合は、まず有機層と水層とが分離され、反応時に副生成物として生成した各種の有機物が有機層と共に除去される。得られた水層を濃塩酸、濃硫酸等の強酸で酸性化した後、有機溶剤によって抽出処理される。この場合の抽出用の有機溶剤としても前記の抽出用の有機溶剤を好ましく用いることができる。
【0034】
以上述べた全ての反応は、空気中の水分および酸素による加水分解反応または酸化反応などの不都合な副反応を防止する目的で、不活性ガス雰囲気中でおこなうこともできる。この様な不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
【0035】
前記反応で用いられる原料化合物のうち、化合物[3]および[4]は市販品として購入するか、または文献記載の方法[シンセシス(Synthesis)、1982年、283頁]、およびこれらに準ずる方法によって容易に入手が可能である。
【0036】
以上の各工程で得られる本発明の目的化合物または原料化合物は、溶媒抽出、蒸留、再結晶、昇華またはカラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて単離精製することもできる。
【0037】
本発明で得られたビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン、特にビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンは、例えばワラー(F. J. Waller, A.G.M. Barrett, D. C. Braddock, D. Ramprasad, R. M. McKinnell, A. J. P. White, D. J. Williams, R. Ducray, J. Org. Chem., 1999,64,2910)等の方法に従い、ターシャリーブチルリチウム存在下、トリフルオロメタン無水物と反応を行った後、同文献記載の方法により、固体電解質媒体或いは有機反応触媒として有用なトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン或いはその塩を製造することができる。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は本実施例に制限されるものではない。
【0039】
<実施例1>
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)メタンの合成
トリフルオロメタンスルホン酸無水物5.4gおよび無水テトラヒドロフラン(THF)50mlを200ml容の三口フラスコに入れ、この溶液に対して、十分に撹拌した状態で、1.4モル濃度のメチルリチウム−エーテル溶液15mlを温度が0〜5℃になるようにアルゴン気流下で約1時間かけて滴下した。溶液をさらに0℃で1時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液100mlを添加して反応を停止した。反応溶液にエーテルを加え反応液を抽出した。その後更に、エーテルで水層を2度抽出した。有機層を合わせたものを硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去し、2.8gの淡黄色油状物を得た。これを蒸留しトリフルオロメチルスルホニルメタン2.0gを得た。沸点は126〜130℃であった。
【0040】
続いてこのトリフルオロメチルスルホニルメタン1.5gおよび無水ジエチルエーテル40mlを100ml容の3つ口フラスコに入れ、この溶液に対して、十分に撹拌した状態で、1モル濃度のtert−ブチルリチウム−ペンタン溶液11mlを温度が−78〜−68℃になるようにアルゴン気流下で約1時間かけて滴下した。この溶液を−78℃でさらに30分撹拌した後、続いて、トリフルオロメタンスルホン酸無水物4.2gを同温度で滴下した。滴下後、溶液の温度を徐々に昇温し、室温でさらに2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlを添加して反応を停止した後、有機層と水層とを分液した。水層を濃塩酸で酸性化し、得られた水層を塩化メチレンで抽出した。この溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去し、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン1.0gを黄色固体として得た。
【0041】
<実施例2>
メチルリチウムとしてメチルリチウムのテトラヒドロフランークメン溶液13mlを用いた以外は、実施例1とほぼ同様な操作により、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン1.2gを得た。
【0042】
<実施例3>
酸無水物としてパーフルオロブタンスルホン酸無水物を用いた以外は、実施例1とほぼ同様な操作を行い、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)メタン2.8gを得た。
【0043】
【発明の効果】
本発明のビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法によれば、従来の製造方法で必要とした入手が困難でその製造と取り扱いに危険を伴う原料や、高価な原料を使用する必要がなく、市販で供給可能な安価な原料から製造できるため、各種ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンをより安価で容易に製造することが可能となる。このため本発明のビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法は、これらの誘導体を製造する際の少量スケールの製造のみならず、工業的な規模の製造に至るまで、安価で安定的に製造する方法として幅広く利用が可能である。
Claims (3)
- 下記一般式[1]
[式中R1およびR2は、同一または相異なって炭素数1から6までのパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法であって、
下記一般式[2]
[式中R1は前記と同じ意味を有する。]で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物とメチルリチウムとを反応させてモノスルホニルメタンを得た後、これにブチルリチウムを反応させてスルホニルメタンリチウム塩とし、これと下記一般式[3]
[式中R2は前記と同じ意味を有する。]で示されるパーフルオロアルキルスルホン酸無水物とを反応させることを特徴とするビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。 - 炭素数1から6までのパーフルオロアルキル基がトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシルから選ばれた基であることを特徴とする請求項1に記載のビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
- ブチルリチウムがtert−ブチルリチウムであることを特徴とする請求項1または2に記載のビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
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