JP4547898B2 - 求電子的パーフルオロアルキル化剤、及びパーフルオロアルキル化有機化合物の製造方法 - Google Patents

求電子的パーフルオロアルキル化剤、及びパーフルオロアルキル化有機化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塩とは異なる新規の構造を有し、グリニヤール試薬等のパーフルオロアルキル化反応を可能にする求電子的パーフルオロアルキル化剤、及びそれを用いて行うパーフルオロアルキル化有機化合物の製造方法に関するものである。
これまで求電子的パーフルオロアルキル化剤としては、S−パーフルオロアルキルジフェニルチオフェニウム塩(後記の非特許文献1〜2参照)、S−パーフルオロアルキルジベンゾチオフェニウム塩、Se−パーフルオロアルキルジベンゾゼレニウム塩及びこれらの誘導体(後記の特許文献1、非特許文献3〜4参照)、或いはO−パーフルオロアルキルジベンゾオキソニウム塩(後記の非特許文献5参照)が報告されている。
これらはいずれも塩の構造を有しており、さまざまな求核剤と反応して、パーフルオロアルキル化された有機化合物を与える。しかしながら、非常に反応性の高い求核剤、例えばグリニヤール試薬のような炭素アニオンをパーフルオロアルキル化する反応は、これらの試薬を用いてもほとんど進行しない。
この理由は、S−パーフルオロアルキルジフェニルチオフェニウム塩、S−パーフルオロアルキルジベンゾチオフェニウム塩、Se−パーフルオロアルキルジベンゾゼレニウム塩及びそれらの誘導体の場合、いずれも塩の構造をもつため、パーフルオロアルキル化反応よりもパーフルオロアルキル化剤の分解反応が優先的に起こるためである。即ち、これらのパーフルオロアルキル化剤のカチオン部分は非常に電子欠乏性であるので、グリニヤール試薬のような反応性の高い求核剤を作用させると、求核剤から一電子移動が起こり、パーフルオロアルキル基がラジカルとなってオニウム塩から脱離してしまい、パーフルオロアルキル化剤が分解するからである。
o−パーフルオロアルキルジベンゾオキソニウム塩の場合は、極めて不安定で反応性が高いため、求核性の低い溶媒、例えば塩化メチレンを用い、パーフルオロアルキル化反応を起こさせる反応容器内に、対応するジアゾニウム塩からin situで発生させ、そのままパーフルオロアルキル化反応に使用する。この際、グリニヤール試薬を調整する際に通常用いられるエーテル系の溶媒、例えばテトラヒドロフランのような溶媒は、o−パーフルオロアルキルジベンゾオキソニウム塩とただちに反応してしまうので使用できず、グリニヤール反応を実施することができない。また、酸素原子、窒素原子のパーフルオロアルキル化は報告されているが、炭素原子のパーフルオロアルキル化は報告されていない。
特開平3−197479号公報(特許請求の範囲、第46〜51頁) L.M.Yagupol’skii et al., J.Org.Chem.USSR., 1984,20,103 Jing-Jing Yang,R.L.Kirchmeier and J.M.Shreeve, J.Org.Chem., 1998, 63, 2656 T.Umemoto and S.Ishihara, Tetrahedron Lett., 1990,31,3579 T.Umemoto and S.Ishihara, J.Am.Chem.Soc., 1993,115,2156 T.Umemoto, Chem.Rev., 1996,96,1757
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、塩の構造を有する従来の求電子的パーフルオロアルキル化剤では十分に反応し得なかった反応性の高い求核剤、例えばグリニヤール試薬等に対し、より効果的に反応してパーフルオロアルキル化有機化合物を生じさせる、塩とは異なる新規の構造を有する求電子的パーフルオロアルキル化剤、及びそれを用いたパーフルオロアルキル化有機化合物の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、下記の一般式(1)で表される求電子的パーフルオロアルキル化剤に係わるものである。
一般式(1):
Figure 0004547898
(式中、Aはカルボニル基−CO−又はスルホニル基−SO2−を表し、R1、R2、R3及びR4は同一の若しくは異なる基であって、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数6から10のアリール基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のハロアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数2から6のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3から7のカルバモイル基を表し、R1とR2、R2とR3、又はR3とR4とが結合して環状構造を成してもよく、その環は芳香環であってもよい。Rfは炭素数1から20のパーフルオロアルキル基を示す。)
本発明はまた、下記の一般式(3)または一般式(4)で表される求電子的パーフルオロアルキル化剤にも係わるものである。
一般式(3):
Figure 0004547898
(式中、Aは、カルボニル基−CO−又はスルホニル基−SO2−を表し、R5及びR6は同一の若しくは異なる基であって、置換基を有してもよい炭素数6から20のアリール基、置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1から10のハロアルキル基を表し、Rfは炭素数1から20のパーフルオロアルキル基を示す。)
一般式(4):
Figure 0004547898
(式中、A1及びA2は同一の若しくは異なる基であって、カルボニル基−CO−又はスルホニル基−SO2−を表し、R7、R8及びR9は同一の若しくは異なる基であって、置換基を有してもよい炭素数6から20のアリール基、置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数1から10のハロアルキル基を表し、Rfは炭素数1から20のパーフルオロアルキル基を示す。)
本発明は更に、前記一般式(1)、(3)又は(4)で表わされる求電子的パーフルオロアルキル化剤を用いてパーフルオロアルキル化反応を行なう工程を有する、パーフルオロアルキル化有機化合物の製造方法も提供するものである。
上記一般式(3)もしくは上記一般式(4)で表わされる化合物の一部は、すでに下記の文献において合成が報告されているが、化合物の物性評価等に用いられているだけで、これらをペルフルオロアルキル化剤として用いた例はない。
N.V.Kondratenko et al., J.Org.Chem.USSR., 1986,22(8),1542
D.T.Sauer and J.M.Shreeve, Inorg.Chem., 1972,11(2),238
I.A.Koppel et al., J.Org.Chem.USSR., 1992,28(8),1411
I.G.Krajnikova et al., J.Fluorine Chem., 1995,71,13
E.Magnier et al., Synthesis, 2003,(4),565
R.Y.Garlyauskajte et al.,Tetrahedron, 1994,50(23),6891
本発明者は、鋭意研究の結果、塩構造を有しない化合物を用いた新たな求電子的パーフルオロアルキル化反応を見出し、さらに新規な構造をもつより有用な求電子的パーフルオロアルキル化剤を開発するに至った。
先述したように、従来の求電子的パーフルオロアルキル化剤が反応性の高い求核剤に対して前記パーフルオロアルキル化反応を十分に行えない理由は、従来の求電子的パーフルオロアルキル化剤が塩の構造を有するため、前記求核剤からオニウム塩への一電子移動が優先して起こるからである。本発明の求電子的パーフルオロアルキル化剤は、塩とは異なる構造を有するので、上記の不都合が生じることがなく、例えばグリニヤール試薬等のような反応性の高い求核剤に対しても、有効に前記パーフルオロアルキル化反応を行うことができ、新規で効率のよいパーフルオロアルキル化有機化合物の製造方法を提供することができる。
本発明において、下記の一般式(2)で表される求電子的パーフルオロアルキル化剤が、特に好ましい。
一般式(2):
Figure 0004547898
(式中、R1、R2、R3及びR4は同一の若しくは異なる基であって、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数6から10のアリール基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のハロアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数2から6のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3から7のカルバモイル基を表し、R1とR2、R2とR3、又はR3とR4とが結合して環状構造を成してもよく、その環は芳香環であってもよい。Rfは炭素数1から20のパーフルオロアルキル基を示す。)
本発明において、前記Rfがトリフルオロメチル基であるのがよい。この他に、前記Rfとして、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロオクタデシル基などを挙げることができる。
また、前記一般式(1)又は前記一般式(2)で表される求電子的パーフルオロアルキル化剤において、
前記ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、
前記炭素数6から10のアリール基として、フェニル基、ナフチル基などが挙げられ 、
前記炭素数1から5のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ ロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基などが挙げられ、
前記炭素数1から5のハロアルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオ ロエチル基、パーフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、パーフルオロ ブチル基、パーフルオロペンチル基、ジフルオロメチル基、1,1,2,2−テトラフル オロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基 、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基などが挙げられ、
前記炭素数1から5のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基 、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、
前記炭素数2から6のアルコキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エト キシカルボニル基、プロポキシカルボニル基などが挙げられ、
前記炭素数3から7のカルバモイル基として、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカ ルバモイル基などが挙げられる。
具体的には、下記の構造の化合物が例示できるが、これに限定されるわけではない。
Figure 0004547898
これらの求電子的パーフルオロアルキル化剤は、下記の反応経路で合成することができる。これらの反応の原料であるスルホキシドは、対応するチオールから、既に報告されている公知の方法(例えば、Jing-Jing Yang, R.L.Kirchmeier and J.M.Shreeve, J.Org.Chem., 1998,63,2656 等)で合成することができる。
反応経路:
Figure 0004547898
また、前記一般式(3)又は前記一般式(4)で表わされる化合物において、
前記置換基を有してもよい炭素数6から20のアリール基として、フェニル基、ナフ チル基、ビフェニル基、アントラニル基、ニトロフェニル基、メチルフェニル基、ジメ チルフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、フルオロフェニル基、メト キシフェニル基、シアノフェニル基、ニトロナフチル基、メチルナフチル基、クロロナ フチル基などが挙げられ、
前記置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキル基として、メチル基、エチル 基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ベンジル基、 フェニルエチル基などが挙げられ、
前記置換基を有してもよい炭素数1から10のハロアルキル基として、トリフルオロ メチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプ ロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、ジフルオロメチル基、1 ,1,2,2−テトラフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3− トリフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基などが 挙げられる。
また、前記「置換基を有してもよい」という記載の置換基とは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数6から10のアリール基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のハロアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数2から6のアルコキシカルボニル基、炭素数3から7のカルバモイル基を表している。ここで、
前記ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、
前記炭素数6から10のアリール基として、フェニル基、ナフチル基などが挙げられ 、
前記炭素数1から5のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ ロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基などが挙げられ、
前記炭素数1から5のハロアルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオ ロエチル基、パーフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、パーフルオロ ブチル基、パーフルオロペンチル基、ジフルオロメチル基、1,1,2,2−テトラフル オロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基 、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基などが挙げられ、
前記炭素数1から5のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基 、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、
前記炭素数2から6のアルコキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エト キシカルボニル基、プロポキシカルボニル基などが挙げられ、
前記炭素数3から7のカルバモイル基として、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカ ルバモイル基などが挙げられる。
具体的には、下記の構造が例示できるが、これに限定されるわけではない。
Figure 0004547898
パーフルオロアルキル化反応を受ける基質としては、さまざまな求核剤が挙げられ、これらに限定されるわけではないが、例えば、グリニヤール試薬(R−MgX、Ar−MgX)、アルキルメタル(R−M)、アルケニルメタル(R12C=CR3M)、アルキニルメタル(R1C≡CM)、アリールメタル(Ar−M)などの有機金属試薬、エナミン、シリルエノールエーテル、アルコキシド、フェノキシド、チオアルコキシド及びチオフェノキシドなどが挙げられる。但し、式中、Mは、Li、Na、K、ZnX及びCuXなどである(但し、Rはアルキル基、Arはアリール基、R1、R2及びR3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基、Xはハロゲン原子を表す。以下、同様。)。
パーフルオロアルキル化反応に用いる溶媒としては、通常有機反応で使用される溶媒を用いることができる。例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタンのようなエーテル系溶媒、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)などが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。
反応温度は、それぞれの反応で適した温度を選択すればよいが、−100℃から250℃の範囲内で行われ、好ましくは−80℃から150℃で実施される。
後述する実施例2と比較例1とのトリフルオロメチル化反応の結果の比較、及び実施例4、5、6と比較例2とのトリフルオロメチル化反応の結果の比較では、反応性の高い有機金属試薬に対し、塩構造ではない本発明のトリフルオロメチル化剤が明らかに好結果を与えた。特に実施例4及び実施例5と比較例2のグリニヤール反応においては、塩構造のトリフルオロメチル化剤(11)がほとんどトリフルオロメチルベンゼンを生成せず分解が優先したのに対して、トリフルオロメチル化剤(5)は基質を等モル用いた場合24%、基質を1.5倍モルに増やすと31%の高い収率で目的物を生成した。塩構造のトリフルオロメチル化剤(11)の場合は、基質を増やしても収率向上は認められない。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に説明するが、本発明は下記の例に何ら限定されるものではない。
求電子的パーフルオロアルキル化剤の合成
まず、実施例1において、求電子的パーフルオロアルキル化剤としてトリフルオロメチル化剤(5)を合成した。
<実施例1>(トリフルオロメチル化剤(5)の合成)
下記のように、チオサリチル酸メチル(o−メルカプト安息香酸メチル)(1)から、o−(トリフルオロメチルチオ)安息香酸メチル(2)(以下、スルフィド(2)と略記することがある。)を経て、o−(トリフルオロメチルスルフィニル)安息香酸メチル(3)(以下、スルホキシド(3)と略記することがある。)を合成し、これを加水分解してo−(トリフルオロメチルスルフィニル)安息香酸(4)(以下、スルホキシド−2(4)と略記することがある。)とした後、トリフルオロメチル化剤である1−オキソ−1−トリフルオロメチル−1λ6−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−オン(5)を合成した。
Figure 0004547898
乾燥窒素雰囲気下で、水素化ナトリウムNaH18.1g(0.47mol)をDMF450mlに懸濁した溶液に、氷冷して攪拌しながらo−メルカプト安息香酸メチル(1)75.7g(0.45mol)を45分かけて滴下した後、更にそのまま0.5時間攪拌を続けた。反応系内を脱気減圧した後、トリフルオロヨードメタン106g(0.54mol)を系内に導入し、更に窒素ガスを加えて系内を常圧とした後、室温に昇温し、このまま4日間攪拌を続けた。
反応混合物を水にあけ、有機化合物をn−ヘキサンで抽出し、有機化合物層を水、次いで飽和食塩水で洗浄後、乾燥剤として無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、乾燥剤を濾別した後、溶媒を減圧下で留去して溶液を濃縮し、油状物を得た。この油状物を減圧蒸留で精製し、スルフィド(2)76.3g(外圧3mmHg下での沸点84℃)を無色油状物として得た(収率72%)。
スルフィド(2)35.4g(150mmol)を酢酸200mlに溶かした溶液を70℃に加熱し、攪拌しながらこの溶液に31質量%過酸化水素水21.4g(195mmol)を1時間かけて滴下し、更にその後液温を80℃前後に保って3時間攪拌を続けた。反応終了後、放冷し、温度が下がったところで反応液を氷水にあけ、有機化合物をジエチルエーテルで抽出し、有機化合物層を水で3回、重曹水で1回、飽和食塩水で1回洗浄後、乾燥剤として無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、乾燥剤を濾別した後、溶媒を減圧下で留去して溶液を濃縮し、スルホキシド(3)を主成分とする混合物37.3gを得た。
水酸化ナトリウム7.35g(177mmol)を水140mlに溶かした溶液を上記の混合物34.2g(136mmol)に加え、室温で1.5時間攪拌した。反応後の溶液に、氷冷しながら約18質量%に希釈した塩酸42mlをゆっくり滴下し、0.5時間攪拌後、析出した結晶を濾別して採取し、充分水洗した。採取した結晶は酢酸エチルに溶解させ、乾燥剤として無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、乾燥剤を濾別して除いた後、溶媒を減圧下で留去して溶液を濃縮し、スルホキシド−2(4)29.6g(スルフィド(2)に対する収率90%)を白色結晶として得た。
スルホキシド−2(4)2.27g(9.5mmol)をクロロホルム24mlに溶かした溶液に20%発煙硫酸6.0mlを加え、この溶液に室温で攪拌しながらアジ化ナトリウム1.39g(20.9mmol)を約10分かけて添加した後、攪拌しながら室温から50℃まで約1時間かけてゆっくり昇温し、そのまま2.5時間攪拌を続けた後、放冷した。
反応混合物を氷水にあけ、有機化合物を酢酸エチルで抽出し、有機化合物層を水、次いで飽和食塩水で洗浄後、乾燥剤として無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、乾燥剤を濾別した後、溶媒を減圧下で留去して溶液を濃縮し、油状物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィ(展開溶媒として、酢酸エチル:ヘキサン=1:2の体積比で混合した酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒を用いる。)で精製し、トリフルオロメチル化剤(5)1.32g(収率59%)を白色結晶として得た。
スルフィド(2)、スルホキシド(3)、スルホキシド−2(4)及びトリフルオロメチル化剤(5)のスペクトルデータを以下に示す。
o−(トリフルオロメチルチオ)安息香酸メチル(スルフィド)(2):
19F-NMR(CDCl3;内部標準CFCl3):-41.9ppm(3F,s)
1H-NMR(CDCl3):3.95ppm(3H,s), 7.44ppm(1H,t,m,J=8Hz), 7.55ppm(1H,t,d,J=8Hz,2Hz), 7.74ppm(1H,d,m,J=8Hz), 7.93ppm(1H,d,d,J=8Hz,2Hz)
o−(トリフルオロメチルスルフィニル)安息香酸メチル(スルホキシド)(3):
19F-NMR(CDCl3;内部標準CFCl3):-71.2ppm(3F,s)
1H-NMR(CDCl3):3.99ppm(3H,s), 7.72ppm(1H,t,d,J=8Hz,1Hz), 7.89ppm(1H,t,d,J=8Hz,1Hz), 8.18ppm(1H,d,d,J=8Hz,1Hz), 8.33ppm(1H,d,d,J=8Hz,1Hz)
o−(トリフルオロメチルスルフィニル)安息香酸(スルホキシド−2)(4):
19F-NMR(CDCl3;内部標準CFCl3):-71.0ppm(3F,s)
1H-NMR(CDCl3):7.78ppm(1H,t,d,J=8Hz,1Hz), 7.97ppm(1H,t,d,J=8Hz,1Hz), 8.31ppm(1H,d,d,J=8Hz,1Hz), 8.38ppm(1H,d,d,J=8Hz,1Hz), 8.5〜9.5ppm(1H,br.s)
1−オキソ−1−トリフルオロメチル−1λ6−ベンゾ[d]イソチアゾール-3-オン(5)(トリフルオロメチル化剤(5)):
19F-NMR(CDCl3;内部標準CFCl3):-73.9ppm(3F,s)
1H-NMR(CD3CN):8.03ppm(1H,t,d,J=8Hz,1.5Hz), 8.13ppm(1H,t,d,J=8Hz,1Hz), 8.16ppm(1H,d,d,d,J=8Hz,1.5Hz,0.7Hz), 8.27ppm(1H,d,m,J=8Hz)
<合成例1>(トリフルオロメチル化剤(7)の合成)
下記のように、S−トリフルオロメチル-S-フェニルスルホキシイミド(6)より、トリフルオロメチル化剤であるN−トリフルオロメチルスルホニル−S−トリフルオロメチル−S−フェニルスルホキシイミド(7)を合成した。なお、イミド(6)は、公知の方法(N.V.Kondratenko et al., J.Org.Chem.USSR., 1984,20(10),2051)で合成できる。
Figure 0004547898
乾燥窒素雰囲気下で、氷冷したイミド(6)837mg(4mmol)を塩化メチレン8mlに溶かした溶液中に、攪拌しながらピリジン475mg(6mmol)をゆっくり滴下し、続いてトリフルオロメタンスルホン酸無水物3.39g(12mmol)をゆっくり滴下して、その後室温で1時間攪拌した。
反応液を氷水にあけ、有機化合物を塩化メチレンで抽出し、有機化合物層を水で1回、次いで飽和食塩水で1回洗浄後、乾燥剤として無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、乾燥剤を濾別した後、溶媒を減圧下で留去して溶液を濃縮し、N−トリフルオロメチルスルホニル−S−トリフルオロメチル−S−フェニルスルホキシイミド(7)1.28g(収率93%)を黄白色結晶として得た。そのスペクトルデータを以下に示す。
N−トリフルオロメチルスルホニル−S−トリフルオロメチル−S−フェニルスルホキシイミド(7):
19F-NMR(CDCl3;内部標準CFCl3):-75.7ppm(3F,s), -79.0ppm(3F,s)
1H-NMR(CDCl3):7.80ppm(2H,t,m,J=8Hz), 7.98ppm(1H,t,m,J=8Hz), 8.16ppm(2H,d,J=8Hz)
<合成例2>(トリフルオロメチル化剤(8)の合成)
下記のように、S−トリフルオロメチル−S−フェニルスルホキシイミド(6)より、トリフルオロメチル化剤であるN−ベンゾイル−S−トリフルオロメチル−S−フェニルスルホキシイミド(8)を合成した。
Figure 0004547898
乾燥窒素雰囲気下で、氷冷したイミド(6)837mg(4mmol)を塩化メチレン8mlに溶かした溶液中に、攪拌しながらトリエチルアミン486mg(4.8mmol)をゆっくり滴下し、続いてベンゾイルクロリド557μl(4.8mmol)をゆっくり滴下して、その後室温で一晩攪拌した。
反応液を氷水にあけ、有機化合物を酢酸エチルで抽出し、有機化合物層を水で2回、次いで飽和食塩水で1回洗浄後、乾燥剤として無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、乾燥剤を濾別した後、溶媒を減圧下で留去して溶液を濃縮し、油状物を得た。これをシリカゲルによるカラムクロマトグラフィ(展開溶媒として、酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒を、混合体積比を酢酸エチル:ヘキサン=1:7→1:5→1:3と変えて用いた。)で精製し、N-ベンゾイル-S-トリフルオロメチル-S-フェニルスルホキシイミド(8)1.20g(収率96%)を無色油状物として得た。そのスペクトルデータを以下に示す。
N−ベンゾイル−S−トリフルオロメチル−S−フェニルスルホキシイミド(8):
19F-NMR(CDCl3;内部標準CFCl3):-75.0ppm(3F,s)
1H-NMR(CDCl3):7.46ppm(2H,t,m,J=8Hz), 7.58ppm(1H,t,m,J=8Hz), 7.70ppm(2H,t,m,J=8Hz), 7.84ppm(1H,t,m,J=8Hz), 8.12ppm(2H,d,J=8Hz), 8.19ppm(2H,d,m,J=8Hz)
トリフルオロメチル化反応の実施例
次に、実施例2〜12において、実施例1と合成例1及び合成例2で合成したトリフルオロメチル化剤(5)及び(7)及び(8)を種々の基質分子に作用させ、トリフルオロメチル化反応を行った。実施例2〜12において用いられた基質分子、トリフルオロメチル化剤、生成物及び反応の収率を下記の表1に示す。収率はベンゾトリフルオリド(ベンジリジントリフルオリド)もしくはトリフルオロメトキシベンゼンを内部標準として、いずれも19F−NMRで決定した。
Figure 0004547898
また、上記のトリフルオロメチル化の反応条件として、基質分子とトリフルオロメチル化剤とのモル比、溶媒(但し、THFはテトラヒドロフラン、HMPAはヘキサメチルホスホルアミド、DMFはジメチルホルムアミド)及び反応温度を表2に示す。
Figure 0004547898
代表的な例として実施例2、4、9及び12の詳細を以下に説明する。
<実施例2>
フェニルアセチレン511mg(5mmol)のTHF2.3ml溶液に−78℃下、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.49M濃度)3.36ml(5mmol)を滴下、その後約1時間かけて室温まで昇温することにより、0.8M濃度のフェニルエチニルリチウム溶液を調製した。
トリフルオロメチル化剤(5)59mg(0.25mmol)のTHF0.5ml溶液に、上記で調製した0.8Mの濃度フェニルエチニルリチウム溶液313μl(C65Li含量0.25mmol)を、−70℃にて攪拌しながら2分間で滴下し、その後−70℃から室温まで約1時間かけて昇温、さらに0.5時間攪拌を続けた。
反応混合物にNMRの内部標準としてベンゾトリフルオリド36.5mg(0.25mmol)を加え、充分攪拌したのち反応液の一部を抜き取り、重クロロホルムで希釈して19F−NMRで定量したところ、目的のフェニルトリフルオロメチルアセチレンが73%の収率で生成していた。生成物の同定は、別途合成したフェニルトリフルオロメチルアセチレンを標準品とし、19F−NMRスペクトル及びガスクロマトグラフィによるクロマトグラムを標準品と比較することによって確認した。
<実施例4>
THF:HMPA=1:3の体積比で混合したTHFとHMPAとの混合溶媒0.8mlにトリフルオロメチル化剤(5)94mg(0.4mmol)を溶かした溶液に、臭化フェニルマグネシウムのTHF溶液(0.68M濃度)0.59ml(C65MgBr含量 0.4mmol)を、−25〜−30℃にて攪拌しながら4分間で滴下し、その後−30℃から室温まで約1時間かけて昇温し、そのまま1時間攪拌を続けた。
反応混合物にNMRの内部標準としてトリフルオロメトキシベンゼン32.4mg(0.2mmol)を加え、充分攪拌したのち反応液の一部を抜き取り、重クロロホルムで希釈して19F−NMRで定量したところ、ベンゾトリフルオリドが24%の収率で生成していることがわかった。生成物の同定は、市販のベンゾトリフルオリドを標準品とし、19F−NMRスペクトル及びガスクロマトグラフィによるクロマトグラムを標準品と比較することによって確認した。
<実施例9>
N−ピロリジノ−1−シクロヘキセン 61mg(0.4mmol)を溶解したTHF0.8ml溶液に、−78℃下、トリフルオロメチル化剤(5)94mg(0.4mmol)を加え、攪拌下室温まで6時間かけてゆっくり昇温、さらに室温で一晩攪拌した。この反応混合物を氷冷し、ここに濃塩酸0.5mlを加えた後、さらに室温で一晩攪拌した。
反応混合物にNMRの内部標準としてベンゾトリフルオリド29.2mg(0.2mmol)を加え充分攪拌したのち反応液の一部を抜き取り、重アセトニトリルで希釈して19F−NMRで定量したところ、2−トリフルオロメチルシクロヘキサノンが26%、2,6−ジトリフルオロメチルシクロヘキサノンが7%の収率で生成していることがわかった。生成物の同定は、別途合成した2−トリフルオロメチルシクロヘキサノン及び、2,6−ジトリフルオロメチルシクロヘキサノンを標準品とし、19F−NMRスペクトル及びガスクロマトグラフィによるクロマトグラムを標準品と比較することによって確認した。
<実施例12>
水素化ナトリウム(62.5%in oil)16mg(0.4mmol)のDMF0.8ml懸濁液に氷冷下、2−メルカプトビフェニル75mg(0.4mmol)を加え、氷冷下15分さらに室温で0.5時間攪拌した。この反応混合物を氷冷し、ここに、トリフルオロメチル化剤(5)94mg(0.4mmol)を加え、そのまま15分間、さらに室温に昇温し、0.5時間攪拌を続けた。
反応混合物にNMRの内部標準としてベンゾトリフルオリド29.2mg(0.2mmol)を加え充分攪拌したのち反応液の一部を抜き取り、重クロロホルムで希釈して19F-NMRで定量したところ、2−(トリフルオロメチルチオ)ビフェニルが70%の収率で生成していることがわかった。生成物の同定は、別途合成した2−(トリフルオロメチルチオ)ビフェニルを標準品とし、19F−NMRスペクトル及びガスクロマトグラフィによるクロマトグラムを標準品と比較することによって確認した。
実施例3は基質を表1記載の化合物に変えた他は、実施例2と同様にトリフルオロメチル化反応を行った。
実施例5、6、7、8は基質や基質の当量、及びトリフルオロメチル化剤を表1及び表2記載の条件に従って変えた他は、実施例4と同様にトリフルオロメチル化反応を行った。
実施例10は基質を表1記載の化合物に変えた他は、実施例12と同様にトリフルオロメチル化反応を行った。
実施例11はトリフルオロメチル化剤を表1記載の化合物に変え、攪拌時間を0.5時間から12時間に延長した他は、実施例12と同様にトリフルオロメチル化反応を行った。
<トリフルオロメチル化反応の比較例>
比較例1及び2として、下記の化学式で示され、塩構造を有する既述した特許文献1によるトリフルオロメチル化剤(9)を用いてトリフルオロメチル化反応を行った結果とその際の反応条件とを、表3と4にそれぞれ示す。比較例1及び2は、いずれも、トリフルオロメチル化剤(5)または(7)の代わりにトリフルオロメチル化剤(9)を用いた以外は、同じ基質を用いた実施例2及び実施例4と6と同様にトリフルオロメチル化反応を行った。
Figure 0004547898
Figure 0004547898
Figure 0004547898
基質としてフェニルエチニルリチウムを用いた実施例2と比較例1とを比べると、トリフルオロメチル化剤(9)を用いた比較例1では収率が58%にとどまっているのに対し、本発明に基づくトリフルオロメチル化剤(5)を用いた実施例2では収率が73%に達しており、本発明に基づくトリフルオロメチル化剤(5)の優位性がわかる。
基質として臭化フェニルマグネシウムを用いた実施例4、5及び6と比較例2とではその差はもっと顕著であり、トリフルオロメチル化剤(9)を用いた比較例2では収率がわずか3%にすぎないのに対し、本発明に基づくトリフルオロメチル化剤(5)用いた実施例4では収率が24%に達し、トリフルオロメチル化剤(7)を用いた実施例6でも収率が15%である。さらに実施例5で臭化フェニルマグネシウムをトリフルオロメチル化剤(5)に対し、1.5倍モル用いたところ収率は32%にまで向上した。トリフルオロメチル化剤(7)の場合は、等モルの基質でトリフルオロメチル化剤が消費されるため、基質を増やしても収率の向上は認められない。以上より、本発明に基づくトリフルオロメチル化剤(5)の圧倒的な優位性がわかる。
このように、本発明に基づくトリフルオロメチル化剤によれば、単にトリフルオロメチル化反応の収率が改善されるばかりではなく、従来は収率の悪さから実質的には断念せざるを得なかったトリフルオロメチル化反応も実現可能となり、更には新規なトリフルオロメチル化有機化合物の合成にも道を開くものである。また、ここではトリフルオロメチル化を例に説明したが、トリフルオロメチル化と一般的なパーフルオロアルキル化に本質的な違いはなく、一般的なパーフルオロアルキル化についても同様であることは言うまでもない。
以上、本発明を実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明の求電子的パーフルオロアルキル化剤、及びパーフルオロアルキル化有機化合物の製造方法は、医薬・農薬中間体や液晶材料、電解液などの機能性材料の合成に有用なパーフルオロアルキル化有機化合物を従来よりも高い収率で合成できるばかりではなく、従来実質的に製造が不可能であった新規で有用なパーフルオロアルキル化有機化合物の製造にも道を開くものである。

Claims (5)

  1. グリニヤール試薬、アルキニルメタル、チオフェノキシド、チオアルコキシド又はN−ピロリジノ−1−シクロヘキセン(エナミン)からなる基質を求電子的にパーフルオロアルキル化するのに用いられ、下記の一般式(1)で表される求電子的パーフルオロアルキル化剤。
    一般式(1):
    Figure 0004547898
    (式中、Aはカルボニル基−CO−又はスルホニル基−SO2−を表し、R1、R2、R3及びR4は同一の若しくは異なる基であって、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数6から10のアリール基、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のハロアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、炭素数2から6のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3から7のカルバモイル基を表し、R1とR2、R2とR3、又はR3とR4とが結合して環状構造を成してもよく、その環は芳香環であってもよい。Rfは炭素数1から20のパーフルオロアルキル基を示す。)
  2. 下記の一般式(2)で表される、請求項1に記載した求電子的パーフルオロアルキル化剤。
    一般式(2):
    Figure 0004547898
    (式中、R1、R2、R3 4 及びRfは、前記したものと同じものである。)
  3. 下記の一般式(3)で表される求電子的パーフルオロアルキル化剤。
    一般式(3):
    Figure 0004547898
    (式中、Aはカルボニル基−CO−又はスルホニル基−SO2−を表し、R5及びR6は同一の若しくは異なる基であって、炭素数6から20のアリール基、炭素数1から10のアルキル基、又は炭素数1から10のハロアルキル基を表し、Rfは炭素数1から20のパーフルオロアルキル基を示す。)
  4. 前記Rfがトリフルオロメチル基である、請求項1〜のいずれか1項に記載した求電子的パーフルオロアルキル化剤。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載した求電子的パーフルオロアルキル化剤と、グリニヤール試薬、アルキニルメタル、チオフェノキシド、チオアルコキシド又はN−ピロリジノ−1−シクロヘキセン(エナミン)からなる基質とを所定温度で反応させ、パーフルオロアルキル基を導入してなるパーフルオロアルキル化有機化合物を得る、パーフルオロアルキル化有機化合物の製造方法。
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