JPWO2009054161A1 - 自転車 - Google Patents

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Abstract

初動時や走行中に外部から受ける負荷等によって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収蓄積し、人体への負荷を大幅に低減し、蓄積エネルギーを入力エネルギーが減少した時や途切れた時に有効利用でき、回転伝達の確実性、効率性に優れ、部品点数の少ない簡素な構成で軽量化が図られ、分解や組立が容易でメンテナンス性に優れ、量産性、組立作業性、省スペース性、汎用性に優れた人力車両用回転伝達機構の提供。回転軸(51)の外周に突設される外周凸部(3b)を有する内部回転部材(2)と、回転軸(51)に回動自在に挿設される側板部(4a)と,側板部外周に立設される外筒部(4b)と、外筒部内周側で側板部(4a)及び/又は外筒部(4b)に突設され外周凸部(3b)と交互に配置される内周凸部(4c)と、を有する外部回転部材(4)と、外周凸部(3b)と内周凸部(4c)との間に配設される弾性変形部(5)と、を備える。

Description

本発明は、人力で車輪を回転させるための自転車或いは土木用一輪車,台車,リヤカー,一輪車,子供用三輪車などの人力車両の回転軸に配設される人力車両用回転伝達機構及びそれを備えた人力車両並びに自転車に関する。
自転車或いは土木用一輪車やリヤカーなどのように人力で車輪を回転させる人力車両の場合、一旦走り出せば、小さな力で走行することができるが、発進時、加速時、登坂等の漕ぎ始めでは、特に大きな反発力を受け、入力したエネルギーの一部が、衝撃として膝、足首、腰などに跳ね返り、人体に大きな負荷を発生させるだけでなく、入力エネルギーを効率的に利用できず、推進力の低下につながっていた。そして、急発進、急加速を行う場合、急な坂道を登る場合、自転車の運転者の体重や積み荷の重量が重い場合などには、特に人体への負荷(抗力)が大きくなり、その分、必要なエネルギーも増大していた。
自転車の場合、足の上下運動をクランクによって回転運動に変換するため、特に上死点及び下死点においてスムーズに脚力を伝達することは困難であり、膝や足首への負担増加を招くと共に、トルクの途切れ、スピードの低下が発生し、低速で走行する場合には、ふらつきが発生し易く、走行の安定性が低下するという問題点があった。
そこで、従来から、自転車において、走行時の衝撃を吸収すること、回転効率の向上を図ること、推進力、加速を滑らかにして運転者の疲労を軽減すること等を目的として、様々な構造が検討されている。
例えば、(特許文献1)には、「巡航運転モードのときはペダルの回転半径が小さく、加重な負荷がかかる運転モードに入ると、抗力に対応してペダルの回転半径が自動的に伸長し、大きな回転モーメントが得られる、自動伸縮変化型クランク機構を備えた自転車」が開示されている。
(特許文献2)には、「第1フレーム部材に固定可能であり、内部に形成された収納空間と収納空間の内周面から内方に突出する少なくとも一つの第1突出部とを有する第1部材と、第2フレーム部材に固定可能であり第1部材の収納空間内に相対回転自在に配置され、外周面から外方に突出する第2突出部を有する第2部材と、第1部材と第2部材との間に両突出部で区画されて形成される2種の空間のうち一方に装着され、第1突出部と第2突出部とに保持されかつ内周面と外周面との少なくともいずれか一方との間に隙間をあけて配置され、両部材の相対回転により伸縮する第1弾性部材と、を備えた自転車用緩衝装置。」が開示されている。
(特許文献3)には、「外周に多数の歯を備えたギヤ本体と、該ギヤ本体を支持する支持体とから成り、これらギヤ本体と支持体との間に、これらギヤ本体と支持体との一方から他方に動力を伝える動力伝達部を設けて、この動力伝達部に、ギヤ本体と支持体とを所定角度相対回転可能とする隙間を設けると共に、動力伝達部と異なる部位に、隙間を保持し、かつ、ギヤ本体と支持体との相対回転時弾性変形して、隙間を吸収し、動力伝達部からの動力伝達を可能とする弾性体を設けたことを特徴とする自転車用駆動ギヤ。」が開示されている。
(特許文献4)には、「前歯車の内側周壁内に、該前歯車の回転方向と逆方向に巻装された巻バネが組み込まれて、該巻バネの作用によりペダルアームの過大踏み圧によるトルクが巻バネに蓄積され、ペダル入力の不足時には蓄積されたトルクが補足されて、ペダルによる回転効率が向上せられる構成を特徴とする自転車の動力伝達装置。」が開示されている。
(特許文献5)には、「自転車のギヤー軸に複数個のばね受け片を放射状に突設した金具を嵌着し、ばね受け片の外周縁に内周面が支えられてギヤー軸と同芯に回動する環状体を嵌装してクランクの基端部とし環状体内周面にばね押し片をばね受け片に対応するように突設し、ばね受け片とばね押し片の間にばね体を挿入配置することにより、力を受けてクランクが回転すると基端部の環状体も共にギヤー軸に先行して回転し、突設したばね押し片はばね体を圧縮し、その反力がばね受け片を押してギヤー軸を回転さすことを特徴とする自転車のクランク装置。」が開示されている。
特開2003−312581号公報 特開平11−278350号公報 特開昭64−63489号公報 特開平9−76980号公報 特開昭58−36789号公報
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の自転車は、抗力に対応してペダルの回転半径を自動的に伸長させるので、クランク機構の構造が複雑になり、部品点数が増加し、動作安定性、組立作業性、量産性に欠けるという課題を有していた。
また、抗力が大きな時にペダルの回転半径を大きくすることにより、小さな入力で大きな出力を得ることができ、漕ぎ始めなどにおける負荷を低減することはできるが、ペダルの軌跡が円軌道を描くことができず、無理な漕ぎ方をする必要があるため、膝や足首などに大きな負担がかかるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)の自転車用緩衝装置は、第1フレーム部材又は第2フレーム部材に路面から衝撃が作用すると、第1部材と第2部材とが相対回転し、両突出部で区画される空間の一方に装着された第1弾性部材が両突出部に挟まれて圧縮変形して弾性復元力が発生し衝撃が吸収されるものであるが、サスペンション組立体が外側部材によって主フレーム部材に固定されているため、クランクの初動時の衝撃エネルギーを吸収して蓄積し、蓄積されたエネルギーを弾性体の復元時に回転力に変換して推進力として有効に利用することができず、回転効率や加速性の向上、回転トルクの均一化などに関しては考慮されていなかった。
(3)(特許文献3)の自転車用駆動ギヤは、踏込み開始時の駆動力による衝撃を緩和することを目的としており、弾性体を動力伝達部と異なる部位でギヤ本体と支持体との間に設け、弾性体を捩るように変形させる構造であるため、弾性体が変形し難く、エネルギーを蓄積し難いので、弾性体の復元を有効に回転力に変換することが困難で、エネルギーの有効利用性に欠けるという課題を有していた。
また、部品点数が多く、構造が複雑で量産性に欠けると共に、ギヤ本体と支持体が弾性体を介して一体化されているため、ギヤ本体や弾性体を交換することが困難であり、メンテナンス性に欠けるという課題を有していた。
(4)(特許文献4)の自転車の動力伝達装置は、ペダルの過大踏み圧によるトルクを蓄積し、蓄積されたトルクをペダル入力の不足時に補足して踏み圧入力を安定化してペダルによる回転効率の向上を図ること、推進、加速を滑らかにして疲労を軽減することを目的としているが、トルクの蓄積、補足をゼンマイ(板バネ)状バネやコイル状バネなどの巻バネによって行っているため、巻バネを巻き終わってトルクが蓄積されるまでに時間がかかり、その間はペダル軸が前歯車に対して空回りして動力を伝達することができず、著しく使用性に欠けるという課題を有していた。
また、巻バネが破損した場合、ペダル軸から前歯車に動力を伝達することができず、走行不能になるため、動力伝達の確実性、安定性に欠けるという課題を有していた。
(5)(特許文献5)の自転車のクランク装置は、クランクの基端部である環状体の内周面が、ばね受け片の外周縁に支えられているので、環状体の内周面とばね受け片の外周縁との間の摩擦力により、クランクとギヤー軸が共周りし易く、環状体をギヤー軸に先行して回転させることが困難で、ばね体を確実に圧縮することができず、動作安定性に欠け、上死点での畜力(衝撃エネルギーの吸収)と下死点での復元が十分に行われず、回転効率や加速性の向上、回転トルクの均一化の効果が不十分であるという課題を有していた。
また、ギヤー軸の両端にクランク装置を取り付けなければならないため、部品点数が増加し、装置全体が複雑化、大型化し、省スペース性、量産性に欠けると共に、両端のクランクの位相によってギヤー軸に捩れが発生し、入力されたエネルギーの畜力や畜力されたエネルギーの回転力への変換を効率的に行うことができず、耐久性、動作安定性、効率性に欠けるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、人力によって車輪を回転させて走行する自転車或いは土木用一輪車やリヤカーなどの人力車両の回転軸に配設することにより、発進,加速,登坂等の初動時や走行中に外部から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、人体への負荷を大幅に低減できると共に、蓄えたエネルギーを入力エネルギーが減少した時或いは途切れた時に回転軸の回転に無駄なく有効に利用することができ、回転伝達の確実性、効率性に優れ、部品点数の少ない簡素な構成で軽量化を図ることができ、分解や組立が容易でメンテナンス性、生産性に優れ、既存の自転車,土木用一輪車,リヤカー,車椅子などの人力車両にも簡便に組込むことができ、量産性、組立作業性、省スペース性、汎用性に優れる人力車両用回転伝達機構の提供、及びそれを備えることにより、使用者の足腰などにかかる負荷を低減することができ、重い荷物を運搬する際や体重の重い人を乗せた際にも、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性に優れる人力車両の提供、並びに複雑な操作が不要で、運転者の膝や足首などにかかる負荷を低減することができ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、坂道や抵抗の大きな道でも楽に走行することができる日用品としてだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性に優れ、リハビリ用や競技用としても使用することができ、動作の安定性、取り扱い性、汎用性に優れた自転車の提供を目的とする。
上記課題を解決するために本発明の人力車両用回転伝達機構及びそれを備えた人力車両並びに自転車は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構は、回転軸と一体に形成され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部又は回転軸の外周に固設され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有する内部回転部材と、前記内部回転部材の位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と,前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と,前記外筒部の内周側で前記側板部及び/又は前記外筒部に突設され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と,を有する外部回転部材と、前記内部回転部材の前記外周凸部と前記外部回転部材の前記内周凸部との間に配設される1以上の弾性変形部と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)回転軸と一体に形成され回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部又は回転軸の外周に固設され回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有する内部回転部材と、内部回転部材の位置で回転軸に回動自在に挿設される側板部と,内部回転部材の外周凸部の外側で回転軸と同心円状に側板部の外周に立設される外筒部と,外筒部の内周側で側板部及び/又は外筒部に突設され内部回転部材の外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と,を有する外部回転部材と、内部回転部材の外周凸部と外部回転部材の内周凸部との間に配設される1以上の弾性変形部と、を備えていることにより、人力によって回転させた回転軸の回転を外部回転部材に伝達させる間又は外部回転部材の回転を回転軸に伝達させる間に弾性変形部を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材の外周凸部と外部回転部材の内周凸部との間に弾性変形部が配設されるので、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に、外周凸部と内周凸部によって弾性変形部を確実に圧縮変形することができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に畜力でき、弾性変形部の変形後は、回転軸と内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部が復元する際に、弾性変形部に貯えられた圧縮(弾性)エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材の側板部が回転軸に回動自在に挿設されるので、回転軸と外部回転部材の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材と外部回転部材を相対的に回転させて確実に弾性変形部の圧縮と復元を繰り返すことができ、回転軸を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性変形部の復元エネルギーによってトルクを補うことができるので、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
ここで、外周凸部は回転軸と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを既存の回転軸に取り付けてもよい。また、内周凸部は、側板部や外筒部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。内周凸部と側板部や外筒部が一体化された外部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性に優れる。特に、内周凸部を側板部及び外筒部と一体に形成した場合、内周凸部の耐久性、生産性に優れる。外周凸部及び内周凸部の数は適宜、選択することができるが、それぞれ1箇所乃至8箇所ずつ形成することが好ましい。外周凸部及び内周凸部の数が8箇所より大きくなるにつれ、各々の外周凸部及び内周凸部の円周方向の幅が小さくなって強度が低下し、加工性、耐久性が低下し易くなる傾向があり、好ましくない。
弾性変形部は、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に弾性変形し、変形後は内部回転部材と外部回転部材の間で回転を伝達できるものであればよく、弾性変形部の変形量、弾性率などは、使用者の好みに応じて、適宜、選択することができる。具体的には、外周凸部と内周凸部の間に配設された合成ゴムや板バネ、或いは外周凸部と内周凸部の間に封入された気体などの弾性体を圧縮変形させるものが好適に用いられる。
弾性変形部として合成ゴムを使用する場合は、外周凸部と内周凸部の間に隙間なく合成ゴムを充填するようにしてもよいし、外周凸部又は内周凸部の少なくともいずれか一方の側面に合成ゴムを貼着や嵌合などにより固定してもよい。また、金属で形成された外周凸部を芯材として、インサート成型により、外周凸部の外周に合成ゴム製の弾性変形部を一体に形成すれば、部品点数を減らすことができ、量産性に優れる。また、このとき、内周凸部に当接する側の弾性変形部の厚味を厚くしたり、曲面状や波形などの接触面を形成したりして、弾性変形部のクッション性を効果的に高めることができる。
尚、外周凸部又は内周凸部と合成ゴム製の弾性変形部との間に隙間を形成した場合、外周凸部又は内周凸部と弾性変形部が接触するまでの間は、回転軸又は外部回転部材の回転が弾性変形部によって規制されることがなく、無負荷で回転軸又は外部回転部材を回転させることができるので、回転力を付け易く、容易に急速回転させることができ、加速性に優れる。弾性変形部として、弾性率等の材質の異なる合成ゴムを組合せることや合成ゴムと板バネを組合せること等もでき、隙間を形成する代わりに、弾性率の低い合成ゴムを組合せてもよい。尚、合成ゴムとしては、反発性の高いブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が好適に用いられる。弾性変形部に蓄えられたエネルギーを復元力によって有効に利用することができ、エネルギー利用の効率性に優れるためである。
この人力車両用回転伝達機構は、人力車両の回転軸部分に組み込むことにより、回転軸又は外部回転部材から入力された回転力を外部回転部材又は回転軸から出力するので、定常回転の状態では、回転軸と内部回転部材及び外部回転部材が一体に回転するが、初動時の負荷や回転途中に受ける外力などによって生じる衝撃力を低減し、そのエネルギーを弾性変形部に蓄積するために、回転の初期或いは回転途中に大きな負荷を受けた時は、回転軸及び内部回転部材と外部回転部材とを相対的に回転させ、弾性変形部を確実に変形させる必要がある。そのため、回転軸及び内部回転部材に対して外部回転部材は回動自在に保持される。特に回転軸或いは内部回転部材と外部回転部材との接触部にベアリングを配設した場合、これらの共周りを確実に防ぐことができると共に、摩擦を低減して小さな力で回転軸又は外部回転部材を回転させることができ、省力性、回転動作の確実性、耐久性に優れる。
この人力車両用回転伝達機構は、従来の自転車或いは土木用一輪車,台車,リヤカー,人力車,車椅子などの人力車両に組み込むことができる。尚、人力車両用回転伝達機構の内部回転部材の外周凸部を回転軸と一体に形成する場合は、既存の回転軸と交換して組み込むことができ、外周凸部を別部材で形成する場合は、人力車両用回転伝達機構として既存の回転軸に装着することができる。
自転車に用いる場合は、回転軸の長手方向の中央部に人力車両用回転伝達機構を配設し、回転軸の両端部にペダルを備えたクランクアームを配設する。これにより、クランクアームと共に回転軸を回転させることができ、その回転が内部回転部材から外部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形し、人体への負荷が低減されるだけでなく、弾性変形部で吸収した衝撃エネルギーを有効に外部回転部材の回転に利用することができる。このとき、外部回転部材の側板部の側部や外筒部の外周部に固設或いは形設されたチェーンリングからチェーンを介して後輪側のスプロケットへと伝達させて、自転車の推進力を得ることができる。
土木用一輪車などに用いる場合は、回転軸の長手方向の中央部に人力車両用回転伝達機構を配設し、回転軸の両端部を回動自在に軸支する。人力車両用回転伝達機構の外部回転部材の外筒部の外周にタイヤを配設することにより、人力でタイヤと共に外部回転部材を回転させることができ、その回転が内部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形し、人体への負荷が低減されるだけでなく、弾性変形部で吸収した衝撃エネルギーを有効に回転軸の回転に利用することができ、土木用一輪車などの推進力を得ることができる。
台車やリヤカー、車椅子などに用いる場合は、回動自在に軸支された左右の回転軸に人力車両用回転伝達機構を配設し、人力車両用回転伝達機構の外部回転部材の外筒部の外周にタイヤなどの車輪部を配設する。台車やリヤカー、車椅子を人が押す場合は、人力でタイヤと共に外部回転部材を回転させることができ、その回転が内部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形する。また、使用者が車椅子を漕ぐ場合は、回転軸に連結されたハンドリムを回転させることにより、人力で回転軸を回転させることができ、その回転が内部回転部材から外部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形する。いずれの場合も、人体への負荷が低減されるだけでなく、弾性変形部で吸収した衝撃エネルギーを有効に回転軸や車輪部の回転に利用することができ、リヤカーや車椅子などの推進力を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材が、前記回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部と、前記外部回転部材の前記側板部に対向配置されるカバー部と、を有し、前記外周凸部が、前記外周凸部固定部の外周に配設されている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部を有し、外周凸部が、外周凸部固定部の外周に配設されているので、複数の外周凸部を有する場合でも、外周凸部固定部によって一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱が容易で、既存の人力車両に簡便に組み込むことができ、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(2)内部回転部材が、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部を有することにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部、弾性変形部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
(3)カバー部によって弾性変形部の側面を押さえることができ、弾性変形部の圧縮時に、弾性変形部が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
ここで、カバー部は、外周凸部固定部や外周凸部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。カバー部と外周凸部固定部や外周凸部が一体化された内部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性、生産性に優れると共に、外周凸部をカバー部で強固に保持することができ、耐久性に優れる。また、部品を一体化することにより、歪みやガタの発生する箇所が少なくなり、組立精度が向上し、動作の安定性、耐久性に優れる。
内部回転部材の複数の外周凸部及び外部回転部材の複数の内周凸部を、それぞれ回転軸の外周側及び外部回転部材の外筒部の内周側に放射状に配設した場合、外周凸部と内周凸部が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸や外周凸部及び内周凸部などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて変動の少ない安定した回転を実現することができ、動作の安定性に優れる。
尚、外周凸部及び内周凸部の形状は、適宜、選択することができる。外周凸部及び内周凸部は、回転軸の外周表面及び外部回転部材の外筒部の内周表面から直線状に突出させて略扇形に形成してもよいし、円弧を描くように曲線状に形成してもよい。外周凸部又は内周凸部の弾性変形部との接触面を曲面状や波形に形成した場合、弾性変形部との接触面積を拡大することができ、弾性変形部のクッション性を高めて、衝撃吸収性を向上させることができる。また、弾性変形部に貯えられる圧縮エネルギーを増加させることができ、弾性変形部が復元する際に大きな回転力を発生させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記弾性変形部が、前記回転軸又は前記外部回転部材の回転時に前記内部回転部材の各々の前記外周凸部と前記外部回転部材の各々の前記内周凸部の間に挟まれるように前記外周凸部又は前記内周凸部の両側面部の内のいずれか一方の側面部に配設又は固定されている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)弾性変形部が、回転軸又は外部回転部材の回転時に、内部回転部材の各々の外周凸部と外部回転部材の各々の内周凸部の間に挟まれるように外周凸部又は内周凸部の両側面部の内のいずれか一方の側面部に配設又は固定されていることにより、回転により外周凸部と内周凸部が近づいた時に、外周凸部と内周凸部の間に挟まれた弾性変形部を確実に圧縮変形させることができ、負荷低減の確実性に優れると共に、弾性変形部に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材の前記外周凸部又は前記外部回転部材の前記内周凸部が、前記弾性変形部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有するか、或いは前記弾性変形部が、前記内部回転部材の前記外周凸部又は前記外部回転部材の前記内周凸部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有する構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部が、弾性変形部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有するか、或いは弾性変形部が、内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有することにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れる。
ここで、外周凸部又は内周凸部或いは弾性変形部の接触面を曲面状に形成する場合、弾性変形部が変形し易くなるように、外方に向かって膨出させた形状が好ましい。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記外部回転部材が、前記外筒部の内周側に形成され前記内部回転部材の前記外周凸部の外周側の先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外部回転部材が、外筒部の内周側に形成され内部回転部材の外周凸部の外周側の先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部を備えていることにより、回転軸又は外部回転部材が予め設定した一定角度だけ回転した段階で、内部回転部材の外周凸部を固定して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸及び内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性変形部の形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
ここで、回動保持凹部は外部回転部材の外筒部の内周に沿って凹条に形成することができる。外周凸部の先端部を回動保持凹部の中に嵌入することにより、回転軸又は外部回転部材が所定の角度だけ回転した段階で、外周凸部の先端側の側部端面が回動保持凹部の内壁に当接するので、弾性変形部の圧縮状態に関わらず、回転軸及び内部回転部材と外部回転部材が一体となって回転を開始する。
尚、外周凸部の外周面に回動保持凹部を形成し、外部回転部材の外筒部の内周側に回動保持凹部に嵌入される突起部を形成しても同様の効果が得られる。
内周凸部、外周凸部、弾性変形部を着脱自在とした場合、各々の数や寸法、弾性変形部の弾性率などを選択するだけで、クッション性の強弱や弾性変形部の変形量を、使用者の好みなどに応じて、簡便に調整でき、汎用性に優れる。
本発明の請求項6に記載の人力車両用回転伝達機構は、回転軸と一体に形成され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部又は回転軸の外周に固設され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有する内部回転部材と、前記内部回転部材の位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と,前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と,前記外筒部の内周側に突設され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と,を有する外部回転部材と、を備え、前記内部回転部材の前記外周凸部及び前記外部回転部材の前記内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)回転軸と一体に形成され回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部又は回転軸の外周に固設され回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有する内部回転部材と、内部回転部材の位置で回転軸に回動自在に挿設される側板部と,内部回転部材の外周凸部の外側で回転軸と同心円状に側板部の外周に立設される外筒部と,外筒部の内周側に突設され内部回転部材の外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と,を有する外部回転部材と、を備え、内部回転部材の外周凸部及び外部回転部材の内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されていることにより、人力によって回転させた回転軸の回転を外部回転部材に伝達させる間又は外部回転部材の回転を回転軸に伝達させる間に、弾性体で形成された外周凸部又は内周凸部を弾性変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材の外周凸部と外部回転部材の内周凸部が交互に配置されるので、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に、弾性体で形成された外周凸部又は内周凸部を確実に弾性変形させることができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に畜力でき、弾性体の変形後は、回転軸と内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体が復元する際に、弾性体に貯えられた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材の側板部が回転軸に回動自在に挿設されるので、回転軸と外部回転部材の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材と外部回転部材を相対的に回転させて確実に弾性体の変形と復元を繰り返すことができ、回転軸を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性体の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)外周凸部及び内周凸部の少なくともいずれか一方を弾性体で形成することにより、別途、弾性変形部を設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、量産性を向上させることができる。
ここで、内部回転部材の外周凸部及び外部回転部材の内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されるが、外周凸部を剛体で形成する場合は、回転軸と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。また、内周凸部を剛体で形成する場合は、側板部や外筒部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。内周凸部と側板部や外筒部が一体化された外部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性に優れる。特に、内周凸部を側板部及び外筒部と一体に形成した場合、内周凸部の耐久性、生産性に優れる。尚、内周凸部が弾性体で形成されている場合は、側板部によって内周凸部の変形が拘束されないように、側板部と内周凸部の間に隙間を設けることが好ましい。
外周凸部や内周凸部を弾性体で形成する場合、合成ゴムや板バネが好適に用いられる。外周凸部や内周凸部を合成ゴムで形成する場合は、内部に金属製や合成樹脂製の芯材を設けてもよい。また、外周凸部又は内周凸部を板バネで形成する場合、外周凸部固定部の外周や外部回転部材の外筒部の内周に固定溝を形成し、板バネの根元側を固定溝に挿通して固定するものが好ましい。板バネで形成された外周凸部や内周凸部の着脱が容易で量産性、メンテナンス性に優れるためである。尚、板バネで形成された外周凸部や内周凸部の根元側の端部に段差部や突起部を形成することにより、固定溝から抜け落ちることがなく固定安定性に優れる。
外周凸部及び内周凸部の一方を剛体で形成し、他方を板バネで形成する場合、剛体の先端側の端部を円弧状に形成することが好ましい。板バネが剛体の円弧状の端面に沿って変形し易く、板バネの破損を防止でき、動作の安定性に優れるためである。
外周凸部及び内周凸部の数は適宜、選択することができるが、それぞれ1箇所乃至8箇所ずつ形成することが好ましい。外周凸部及び内周凸部の数が8箇所より大きくなるにつれ、外周凸部及び内周凸部の間隔が密になり、加工性、組立作業性が低下し易くなる傾向があり、好ましくない。
この人力車両用回転伝達機構が請求項1の人力車両用回転伝達機構と異なるのは、外周凸部及び内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されている点であり、請求項1の人力車両用回転伝達機構と同様に、自転車或いは土木用一輪車,台車,リヤカー,人力車,車椅子などの人力車両の回転軸部分に組み込むことができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材が、前記回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部を有し、前記外周凸部が、前記外周凸部固定部の外周に配設されている
この構成により、請求項6の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部を有し、外周凸部が、外周凸部固定部の外周に配設されているので、複数の外周凸部を有する場合でも、外周凸部固定部によって一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
ここで、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部を設けることにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
カバー部は、外周凸部固定部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。また、外周凸部が剛体で形成されている場合は、カバー部と外周凸部を一体に形成してもよい。カバー部と外周凸部固定部や外周凸部が一体化された内部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性、生産性に優れると共に、外周凸部をカバー部で強固に保持することができ、耐久性に優れる。
外周凸部が弾性体で形成されている場合は、カバー部によって外周凸部の変形が拘束されないように、カバー部と外周凸部の間に隙間を設けることが好ましい。この場合、カバー部を外部回転部材の開口部に覆設される外側カバー部材として回転軸に回動自在に配置してもよい。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記外部回転部材は、前記内周凸部が剛体で形成され少なくとも1つの前記内周凸部の内周側の端面部に突設されるストッパー部又は前記外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部を有し、前記内部回転部材は、前記外周凸部固定部の外周に突設され前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に設定角度以上回転した時に前記ストッパー部に当接する少なくとも1つの空回り防止用突起を備えている構成を有している。
この構成により、請求項6又は7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外部回転部材は、内周凸部が剛体で形成され少なくとも1つの内周凸部の内周側の端面部に突設されるストッパー部又は外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部を有し、内部回転部材は、外周凸部固定部の外周に突設され内部回転部材と外部回転部材が相対的に設定角度以上回転した時にストッパー部に当接する少なくとも1つの空回り防止用突起を備えていることにより、回転軸又は外部回転部材が所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部と空回り防止用突起が当接して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸及び内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性体の形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
(2)外周凸部や内周凸部が破損した場合でも、ストッパー部と空回り防止用突起が当接することにより、途切れることなく回転力を伝達し続けることができ、動作の確実性、信頼性に優れる。
ここで、ストッパー部及び空回り防止用突起は、それぞれ少なくとも1つ以上あればよく、その数や配置間隔(角度)は、適宜、選択することができる。ストッパー部及び空回り防止用突起を複数設けた場合、全てのストッパー部や空回り防止用突起が破損するまで回転を伝達することができ、動作の信頼性を高めることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の内いずれか1項に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材の前記外周凸部及び前記外部回転部材の前記内周凸部が、それぞれ前記回転軸の外周側及び前記外部回転部材の前記外筒部の内周側に放射状に複数配設されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至8の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材の複数の外周凸部及び外部回転部材の複数の内周凸部が、それぞれ回転軸の外周側及び外部回転部材の外筒部の内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部と内周凸部が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸や外周凸部及び内周凸部などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、回転位置によらず、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
本発明の請求項10に記載の人力車両は、回転軸保持部と、前記回転軸保持部に回動自在に保持される回転軸と、前記回転軸に配設された請求項1乃至9の内いずれか1項に記載の人力車両用回転伝達機構と、前記人力車両用回転伝達機構の前記外部回転部材の外周に配設された車輪部と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)回転軸保持部に回動自在に保持される回転軸に人力車両用回転伝達機構が配設され、人力車両用回転伝達機構の外部回転部材の外周に車輪部が配設されているので、回転軸保持部を有する本体を前後に移動させて車輪部を回転させたり、回転軸に連設される左右のクランクアーム等によって回転軸を回転させたりすることにより、車輪部と共に回転する外部回転部材の回転を内部回転部材を通して回転軸に伝達させる間又は回転軸と共に回転する内部回転部材の回転を外部回転部材を通して車輪部に伝達させる間に、弾性変形部或いは弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の膝、足首、腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部或いは弾性体で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、人力車両用回転伝達機構の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、子供から大人まで日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用等の様々な用途に使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(3)弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(4)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部或いは弾性体が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して人体への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(5)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部或いは弾性体に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
ここで、人力車両は、人が脚で漕いだり、手で押したりして走行する車両である。具体的には、前述のように、自転車,一輪車,子供用三輪車或いは土木用一輪車,リヤカー,車椅子などがある。
本発明の請求項11に記載の自転車は、回転軸と、前記回転軸の長手方向の途中に配設された請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の一組の人力車両用回転伝達機構と、180度の位相差で前記回転軸の両端部に配設された左右のクランクアームと、前記外部回転部材の前記側板部又は前記外筒部に形設又は固設されたチェーンリングと、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)180度の位相差で回転軸の両端部に配設された左右のクランクアームを有するので、左右のクランクアームに配設されるペダルを漕ぐことにより、回転軸を回転させることができるが、回転軸の回転が外部回転部材に伝達される間に、人力車両用回転伝達機構によって初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、運転者の膝や足首などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、クランクアームの上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置で弾性変形部或いは弾性体で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、人力車両用回転伝達機構の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用品としても使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(3)外部回転部材の側板部又は外筒部に形設又は固設されたチェーンリングを有することにより、弾性変形部或いは弾性体の変形後は、回転軸及び外部回転部材とチェーンリングが略一体となって回転するので、従来の自転車のクランク機構と同様に、チェーンリングに張設されるチェーンによって確実に回転軸の回転を駆動輪に伝達することができ、動力伝達の確実性、動作の信頼性に優れる。
(4)脚からの力が入り難いクランクアームの上死点や下死点などを通過する際に、弾性変形部或いは弾性体の復元によって回転軸と共にクランクアームを滑らかに回転させることができ、膝や足首等に無理な力をかける必要がなく、鍛え難い膝から下の筋肉の使用量が減り、筋力の大きな大腿筋を有効利用することができ、疲労を大幅に低減でき、使用性に優れる。
(5)弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(6)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部或いは弾性体が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して脚部への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(7)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部或いは弾性体に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
ここで、路面の凹凸などにより自転車がバウンドする際に、人力車両用回転伝達機構は、自転車のフレームと共に上下動(振動)するが、運転者の脚によってクランクアームに取り付けられるペダルが下方に押し下げられるため、弾性変形部或いは弾性体が圧縮と復元を繰り返し、衝撃を吸収すると共に、その衝撃エネルギーを回転エネルギーに変換して推進力として利用することができ、地形の変化の影響を受け難く、使用性に優れる。
尚、人力車両用回転伝達機構は、駆動輪側の回転軸に設けることもできる。また、人力車両用回転伝達機構に電動アシスト機構を併用した場合、定常走行状態での負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の自転車であって、前記チェーンリングが、前記外部回転部材の前記外筒部の外周に着脱自在に複数配設されている構成を有している。
この構成により、請求項11の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)チェーンリングが、外部回転部材の外筒部の外周に着脱自在に複数配設されていることにより、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができ、汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れる。
ここで、チェーンリングを固定する手段としては、雌ねじ部が形設されたチェーンリング固定片を外部回転部材の外筒部の外周に配設しておき、チェーンリングとチェーンリング固定片をねじ止めで固定してもよいし、外部回転部材の外筒部の外周に凹条溝部を形成しておき、チェーンリングの内周側に突設した固定用凸部を嵌合させ、ねじ止めなどで固定してもよい。
以上のように、本発明の人力車両用回転伝達機構及びそれを備えた自転車によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)人力によって回転軸又は外部回転部材を回転させる回転初期に、回転軸の外周側に回転軸と一体に形成又は固設される外周凸部と、外部回転部材の外筒部の内周側に突設される内周凸部と、の間に配設される弾性変形部を変形させることにより、初動に必要な負荷を低減することができるだけでなく、入力したエネルギーの一部(過大なエネルギー)を弾性変形部に確実に吸収して蓄えることができ、弾性変形部の変形後は、回転軸と内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部が復元する際に、弾性変形部に貯えられたエネルギーを推進力として有効に利用することができ、動力伝達の効率性、動作の安定性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)回転軸の外周に挿通固定される外周凸部固定部の外周に外周凸部が配設されていることにより、複数の外周凸部を外周凸部固定部と一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱を容易に行うことができると共に、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部によって外周凸部や外部回転部材の内周凸部、弾性変形部などを外力や異物の侵入などから確実に保護することができ、組立及び分解の作業性、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)回転軸又は外部回転部材の回転時に、外周凸部と内周凸部の間に挟まれた弾性変形部を確実に圧縮変形することができ、負荷低減の信頼性に優れると共に、弾性変形部に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる効率性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部が、弾性変形部と接触する接触面或いは弾性変形部が、内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部と接触する接触面が、曲面状又は波形に形成されていることにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部回転部材の外筒部の内周側に形成された回動保持凹部により、外周凸部の可動範囲を一定角度範囲に保つことができ、弾性変形部が必要以上に変形したり、回転軸又は外部回転部材が逆回転したりすることがなく、回転軸又は外部回転部材が予め設定した一定角度だけ回転した段階で、回転軸及び内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができる動作の安定性、量産性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)回転軸の外周側に回転軸と一体に形成又は固設される外周凸部と、外部回転部材の外筒部の内周側に突設される内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されていることにより、人力によって回転軸又は外部回転部材を回転させている途中に、弾性体で形成された外周凸部又は内周凸部を弾性変形させて負荷を低減することができるだけでなく、入力したエネルギーの一部(過大な入力エネルギー)を弾性体で確実に吸収して蓄えることができ、弾性体の変形後は、回転軸と内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体が復元する際に、弾性体に貯えられたエネルギーを推進力として有効に利用することができ、動力伝達の効率性、動作の安定性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)回転軸の外周に挿通固定される外周凸部固定部の外周に外周凸部が配設されていることにより、複数の外周凸部を外周凸部固定部と一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱を容易に行うことができ、組立及び分解の作業性、動作安定性、メンテナンス性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項6又は7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)剛体で形成された内周凸部の少なくとも1つの内周側の端面部に突設されるストッパー部又は外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部と、外周凸部固定部の外周に突設される少なくとも1つの空回り防止用突起を備えていることにより、回転軸又は外部回転部材が所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部と空回り防止用突起が当接して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸及び内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性体の形状や物性のばらつきを吸収することができる動作の安定性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至8の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)複数の外周凸部及び内周凸部が、互いに噛み合うように配置することにより、回転軸や外周凸部及び内周凸部などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができる耐久性、動作の安定性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)回転軸保持部を有する本体を前後に移動させて車輪部を回転させたり、回転軸に連設される左右のクランクアーム等によって回転軸を回転させたりして、外部回転部材と内部回転部材を相対的に回転させることにより、弾性変形部或いは弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、使用者の膝、足首、腰などにかかる負荷を大幅に低減できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部或いは弾性体で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換し、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができる加速性、低速走行時の走行安定性、使用性に優れた自転車を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)発進、加速、登坂等の際のペダルの漕ぎ始めや走行中に外部から受ける衝撃などによって両足の膝や足首などにかかる負荷を大幅に低減できるだけでなく、弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換してトルクの変動を抑えることができ、ペダリングに特別な技術を要することなく、クランクアームの上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置においても確実かつスムーズに動力を伝達し、坂道の角度や長さなどの地形の変化にも柔軟に対応することができ、動力伝達の効率性、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、日用品として使用できる以外に、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用品としても使用することができる汎用性、取り扱い性に優れた自転車を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、請求項11の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部回転部材の外筒部の外周に複数のチェーンリングを着脱自在に配設することにより、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができる汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れた自転車を提供することができる。
(a)実施の形態1における人力車両用回転伝達機構を備えた自転車の要部断面平面図(b)図1(a)のA−A線矢視断面図 実施の形態1における人力車両用回転伝達機構の要部分解斜視図 実施の形態1における人力車両用回転伝達機構の部分破断分解斜視図 (a)実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の要部断面平面図(b)図4(a)のB−B線矢視断面図 実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の要部分解斜視図 実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部側面図(b)実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部断面平面図(c)実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部斜視図 (a)実施の形態3における人力車両用回転伝達機構を備えた自転車の要部模式側面図(b)実施の形態3における人力車両用回転伝達機構の要部模式正面図 実施の形態4における人力車両用回転伝達機構を備えた土木用一輪車の要部断面正面図 実施の形態5における人力車両用回転伝達機構の要部断面側面図 (a)実施の形態6における人力車両用回転伝達機構の要部断面平面図(b)図10(a)のC−C線矢視断面図 実施の形態7における人力車両用回転伝達機構の要部断面側面図 実施例1と比較例1における速度と加速率の時間変化を示した図 実施例2と比較例2における速度と加速率の時間変化を示した図 実施例3と比較例3における速度と加速率の時間変化を示した図 実施例4と比較例4における速度と加速率の時間変化を示した図
符号の説明
1,1A,1A’,1B,1C,1D,1E 人力車両用回転伝達機構
2,2A,2B,2C,2D 内部回転部材
3,32 外周凸部固定部
3a,32a 回転軸挿通孔
3a’ 円形凹部
3b,13b,33b 外周凸部
3c,5b,34b 接触面
3d カバー部
3e 先端部
3f 前方側端面
3g 後方側端面
4,4A,4A’,4B,4C,4D 外部回転部材
4’ 外側カバー部材
4a 側板部
4a’ 挿通孔
4b,4f,34 外筒部
4b’ 凹条溝部
4c,14,34a 内周凸部
4d 円筒支持部
4e チェーンリング固定部
4g,34c 回動保持凹部
4h 前方側内壁
4i,34d 後方側内壁
5,5a,33c 弾性変形部
6 クランクアーム
7 クランクアーム固定部
8,8b,8c,8d チェーンリング
8a 固定ねじ
8e 固定用凸部
9,9a,9b,52a,63a ベアリング
13a 固定溝
13c 固定突起部
13d 空回り防止用突起
14a ストッパー部
33a 基部
35 弾性緩衝部
50,50A 自転車
51 回転軸
52,63 回転軸保持部
53,54,62 フレーム
55a 駆動制御部
56 駆動軸
57 プーリー
58 動力伝達部材
59 駆動検出センサ
60 土木用一輪車
61 バケット
64 車輪部
64a リム
65 タイヤ
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における人力車両用回転伝達機構及びそれを備えた自転車について、以下図面を参照しながら説明する。
図1(a)は実施の形態1における人力車両用回転伝達機構を備えた自転車の要部断面平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線矢視断面図であり、図2は実施の形態1における人力車両用回転伝達機構の要部分解斜視図であり、図3は実施の形態1における人力車両用回転伝達機構の部分破断分解斜視図である。
図1中、1は自転車50の回転軸51に配設された実施の形態1における人力車両用回転伝達機構、2は回転軸51に固設される外周凸部固定部3と回転軸51の外周側に突出するように外周凸部固定部3と一体に軸対称に形成された4箇所の外周凸部3bを有する人力車両用回転伝達機構1の内部回転部材、3aは外周凸部固定部3に回転軸51を挿通固定するための回転軸挿通孔、3c(図2)は後述する弾性変形部と接触する曲面状に形成された外周凸部3bの接触面、4’(図2)は中央部に回転軸51を挿通するための挿通孔4a’が穿設され外部回転部材4の開口部に覆設される外側カバー部材、4aは回転軸51に回動自在に挿設される外部回転部材4の側板部、4bは内部回転部材2の外周凸部3bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外部回転部材4の外筒部、4cは外筒部4bの内周側に突出するように側板部4a及び/又は外筒部4bと一体に形成又は接着剤やビス等で固定され内部回転部材2の外周凸部3bと交互に配置される外部回転部材4の4箇所の内周凸部、5は各々の外周凸部3b又は内周凸部4cの一方の側面部に配設され固定又は接着されて回転軸51の回転時に外周凸部3bと内周凸部4cで挟まれて圧縮される人力車両用回転伝達機構1の合成ゴム製の弾性変形部、6は回転軸51の両端部に180度の位相差で配置された左右のクランクアーム、7は回転軸51にクランクアーム6を固定するクランクアーム固定部、8は外部回転部材4の側板部4aに固定ねじ8aで固設された自転車50のチェーンリング、9は外部回転部材4及びチェーンリング8を回転軸51に回動自在に保持するためのベアリング、52は人力車両用回転伝達機構1が配設される自転車50のフレームに形設された回転軸保持部、52aは人力車両用回転伝達機構1が配設される回転軸51を回転軸保持部52に回動自在に保持するベアリングである。
尚、クランクアーム6の端部には回動自在なペダル(図示せず)が配設されている。
以上のように構成された実施の形態1における人力車両用回転伝達機構の動作について、図1及び図3を用いて説明する。
図1において、運転者がクランクアーム6の端部に配設されたペダル(図示せず)を踏むと、クランクアーム6と共に回転軸51の外周に突設された外周凸部3bが矢印aの方向に回転する。このとき、回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’の間にベアリング9が配設されていることにより、摩擦を低減して小さな力で回転軸51を回転させることができ、回転軸51や内部回転部材2と外部回転部材4や外側カバー部材4’が共周りすることを防止することができる。
回転軸51が回転し、外周凸部3bが内周凸部4cに近づくことにより、内周凸部4cの側面部に配設された弾性変形部5が外周凸部3bと内周凸部4cに挟まれることによって圧縮され、入力エネルギーの一部が弾性変形部5に蓄えられる。
回転軸51の回転の初期は弾性変形部5が弾性変形するが、変形後は、回転軸51の回転力が外周凸部3bから内周凸部4cに伝達され、回転軸51からチェーンリング8までが略一体となって回転し、チェーンリング8に張設されるチェーン(図示せず)によって後輪側のスプロケットへと確実に回転を伝達することができる。
本実施の形態では、外周凸部3b及び内周凸部4cを4箇所ずつ設けたが、外周凸部3b及び内周凸部4cの数は、それぞれ1箇所乃至8箇所の範囲で選択することができる。外周凸部3b及び内周凸部4cの数が8箇所より大きくなるにつれ、各々の外周凸部3b及び内周凸部4cが円周方向に小さくなり強度が低下し易く、加工性、耐久性が低下し易くなる傾向があることが分かったためである。
尚、本実施の形態では、複数の外周凸部3bを外周凸部固定部3を介して回転軸51に挿通固定したが、各々の外周凸部3bを直接、回転軸51に固設してもよいし、外周凸部3bと回転軸51を一体に形成してもよい。
また、本実施の形態では、外部回転部材4とチェーンリング8を別部材で形成したが、外部回転部材4の側板部4aや外筒部4bの外周にチェーンリング8を一体に形成してもよい。
外周凸部3bと弾性変形部5は初めから当接していてもよいが、外周凸部3bと弾性変形部5との間に隙間を形成した場合、外周凸部3bと弾性変形部5が接触するまでの間は、回転軸51の回転が弾性変形部5によって規制されることがなく、無負荷で回転軸51を回転させることができるので、回転力を付け易く、容易に急発進や急加速を行うことができる。
また、本実施の形態では、弾性変形部5を変形し易くするために、図2,3に示したように、外周凸部3bの接触面3cを凸形円弧状に形成したが、接触面3cの形状はこれに限定されるものではなく、弾性変形部5の弾性率などに応じて適宜、選択することができ、凹形円弧状,平坦状,三角形状などに形成してもよいし、波形に形成してもよい。また、弾性変形部5の接触面を凹状や凸状の円弧状や三角形状、波形などに形成しても同様の作用が得られる。
尚、外周凸部3b,内周凸部4c,弾性変形部5の形状は、本実施の形態に限定されるものではない。例えば、弾性変形部5自身の形状を半球状や球状に形成してもよい。また、弾性変形部5は内周凸部4cの側部の全面に配設する必要はなく、弾性率などに応じて、内周凸部4cの根元側や先端側などの一部に配設してもよい。尚、本実施の形態では、弾性変形部5を内周凸部4cに形成した蟻溝で固定したが、弾性変形部5の固定方法はこれに限定されるものではなく、例えば接着剤を用いて貼着してもよいし、これらを併用してもよい。
実施の形態1の人力車両用回転伝達機構1を自転車に用いる場合は、上述したように、回転軸51を図1の矢印aの方向に回転させ、その回転が外部回転部材4を介してチェーンリング8に伝達される際に、負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄え、弾性変形部5の復元時に回転エネルギーとして利用することができる。実施の形態1の人力車両用回転伝達機構1を土木用一輪車、人力車、リヤカーなどに用いる場合は、チェーンリング8の代わりに外部回転部材4の外周にタイヤ(図示せず)を配設し、タイヤと共に外部回転部材4を図3の矢印a’の方向に回転させ、その回転が回転軸51に伝達される際に、負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄えることができる。
この人力車両用回転伝達機構1は、回転軸51又は外部回転部材4から入力された回転力を外部回転部材4又は回転軸51から出力するので、定常回転の状態では、回転軸51と外部回転部材4が一体に回転するが、初動時や回転途中に受ける負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄えるために入力側の回転軸51と外部回転部材4を相対的に回転させ、弾性変形部5を変形させる必要がある。本実施の形態では、回転軸51と外部回転部材4の間にベアリング9を配設したが、これに限定されるものではなく、円筒状のスリーブなどのように回転軸51と外部回転部材4を互いに回動自在に保持できるものであればよい。
尚、外周凸部3bの両側面や外周面と、外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’や外筒部4bと、の間に隙間を設けることにより、内部回転部材2と外部回転部材4が互いに緩衝することがなく、スムーズに相対回転して弾性変形部5を確実に変形させることができ、動作の確実性に優れる。
実施の形態1の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)回転軸51の外周に固設され回転軸51の外周側に突出する複数の外周凸部3bを有する内部回転部材2と、内部回転部材2の位置で回転軸51に回動自在に挿設される側板部4aと,内部回転部材2の外周凸部3bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外筒部4bと,外筒部4bの内周側で側板部4a及び外筒部4bに突設され内部回転部材2の外周凸部3bと交互に配置される複数の内周凸部4cと,を有する外部回転部材4と、内部回転部材2の外周凸部3bと外部回転部材4の内周凸部4cとの間にそれぞれ配設される弾性変形部5と、を備えていることにより、人力によって回転させた回転軸51の回転を外部回転部材4に伝達させる間又は外部回転部材4の回転を回転軸51に伝達させる間に、弾性変形部5を変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材2の外周凸部3bと外部回転部材4の内周凸部との間に弾性変形部5が配設されるので、内部回転部材2と外部回転部材4が相対的に回転する際に、外周凸部3bと内周凸部4cによって弾性変形部5を確実に圧縮変形することができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に畜力でき、弾性変形部5の変形後は、回転軸51と内部回転部材2及び外部回転部材4が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部5が復元する際に、弾性変形部5に貯えられた圧縮(弾性)エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材4の側板部4aが回転軸51に回動自在に挿設されるので、回転軸51と外部回転部材4の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材2と外部回転部材4を相対的に回転させて確実に弾性変形部5の圧縮と復元を繰り返すことができ、回転軸51を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性変形部5の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)内部回転部材2が、回転軸51が挿通固定される回転軸挿通孔3aを備えた外周凸部固定部3を有し、外周凸部3bが、外周凸部固定部3の外周に配設されているので、複数の外周凸部3bを外周凸部固定部3によって一体に取り扱うことができ、回転軸51への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(6)外側カバー部材4’によって弾性変形部5の側面を押さえることができ、弾性変形部5の圧縮時に、弾性変形部5が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部5を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
(7)内部回転部材2の複数の外周凸部3b及び外部回転部材4の複数の内周凸部4cが、それぞれ回転軸51の外周側及び外部回転部材4の外筒部4bの内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部3bと内周凸部4cが弾性変形部5を挟んで互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸51や弾性変形部5などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
(8)弾性変形部5が、回転軸51又は外部回転部材4の回転時に、内部回転部材2の各々の外周凸部3bと外部回転部材4の各々の内周凸部4cの間に挟まれるように内周凸部4cの一方の側面部に配設又は固定されていることにより、回転軸51又は外部回転部材4の回転が弾性変形部5によって規制されることがなく、回転により外周凸部3bと内周凸部4cが近づいた時に、外周凸部3bと内周凸部4cの間に挟まれた弾性変形部5を確実に圧縮変形させることができ、負荷低減の確実性に優れると共に、弾性変形部5に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる。
(9)内部回転部材2の外周凸部3bが、弾性変形部5と接触する曲面状に形成された接触面3cを有することにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部5が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部5に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れる。
(10)回転軸51と外部回転部材4及び外側カバー部材4’の間にベアリング9が配設され、回転軸51と外部回転部材4及び外側カバー部材4’が互いに回動自在に保持されているので、初動時の回転軸51と外部回転部材4及び外側カバー部材4’の共周りを確実に防ぐことができると共に、摩擦を低減して小さな力で回転軸51を回転させることができ、省力性、回転動作の確実性に優れる。
実施の形態1の人力車両用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)180度の位相差で回転軸51の両端部に配設された左右のクランクアーム6を有するので、左右のクランクアーム6に配設されるペダルを漕ぐことにより、回転軸51を回転させることができるが、回転軸51の回転が外部回転部材4に伝達される間に、人力車両用回転伝達機構1によって初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、運転者の膝や足首などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、クランクアーム6の上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置で弾性変形部5が復元することによって弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、人力車両用回転伝達機構1の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等が手軽に運転することができ、日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用品としても使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(3)外部回転部材4の側板部4aに固設されたチェーンリング8を有することにより、弾性変形部5の変形後は、回転軸51及び外部回転部材4とチェーンリング8が略一体となって回転するので、従来の自転車のクランク機構と同様に、チェーンリング8に張設されるチェーンによって確実に回転軸51の回転を駆動輪に伝達することができ、動力伝達の確実性、動作の信頼性に優れる。
(4)脚からの力が入り難いクランクアーム6の上死点や下死点などを通過する際に、弾性変形部5の復元によって回転軸51と共にクランクアーム6を滑らかに回転させることができ、膝や足首等に無理な力をかける必要がなく、鍛え難い膝から下の筋肉の使用量が減り、筋力の大きな大腿筋を有効利用することができ、疲労を大幅に低減でき、使用性に優れる。
(5)弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(6)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部5が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して脚部への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(7)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部5に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における人力車両用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図4(a)は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の要部断面平面図であり、図4(b)は図4(a)のB−B線矢視断面図であり、図5は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の要部分解斜視図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図4及び図5において、実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1Aが実施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Aが、外周凸部固定部3及び外周凸部3bとカバー部3dとが一体に形成され、外部回転部材4Aの側板部4aに対向配置されている点と、内部回転部材2Aの外周凸部固定部3の中央に後述する外部回転部材4Aの円筒支持部4dが挿通される円形凹部3a’が形成されている点と、外部回転部材4Aの側板部4aの中央に内部回転部材2Aの円形凹部3a’に嵌挿される円筒支持部4dが形成されている点と、外部回転部材4Aの外筒部4bの外周にチェーンリング8を固定するための4箇所のチェーンリング固定部4eが形成されている点である。
尚、図4及び図5中、9aは外部回転部材4Aの円筒支持部4dの内周に配設され回転軸51に対して外部回転部材4Aを回動自在に保持するためのベアリング、9bは内部回転部材2Aの円形凹部3a’の内周に配設され外部回転部材4Aに対して内部回転部材2Aを回動自在に保持するためのベアリングである。
実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1Aは、実施の形態1における人力車両用回転伝達機構1に比べて部品点数を低減することができ、組立及び分解が容易で、量産性、メンテナンス性に優れる。
また、外部回転部材4Aがチェーンリング固定部4eを有することにより、簡便にチェーンリング8の交換を行ってギヤ比を変更することができ、メンテナンス性、汎用性に優れる。
次に実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1Aの変形例について説明する。
図6(a)は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部側面図であり、図6(b)は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部断面平面図であり、図6(c)は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部斜視図である。尚、実施の形態2と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図6において、実施の形態2における変形例の人力車両用回転伝達機構1A’が実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1Aと異なるのは、外部回転部材4A’の外筒部4bの外周に複数のチェーンリング8b,8c,8dが着脱自在に配設されている点である。
図6中、4b’は外筒部4bの外周に形成された凹条溝部、8eは各々のチェーンリング8b〜8dの内周側に突設され凹条溝部4b’に嵌合される固定用凸部である。
外筒部4bの凹条溝部4b’に固定用凸部8eが嵌合されることにより、外部回転部材4A’に対してチェーンリング8b〜8dが空回りすることを確実に防止できる。また、固定用凸部8eが固定ねじ8aによって外筒部4bにねじ止めされることにより、チェーンリング8b〜8dを強固に固定することができ、軸方向への位置ずれを確実に防止できる。
尚、実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1A及び変形例の人力車両用回転伝達機構1A’の動作は、実施の形態1における人力車両用回転伝達機構1と同様であるので、説明を省略する。
実施の形態2の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用に加え、以下の作用を有する。
(1)内部回転部材2Aが、外部回転部材4Aの側板部4aに対向配置されるカバー部3dを有することにより、外周凸部3bや外部回転部材4の内周凸部4c、弾性変形部5などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
(2)カバー部3dによって弾性変形部5の側面を押さえることができ、弾性変形部5の圧縮時に、弾性変形部5が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部5を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
実施の形態2の人力車両用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)複数のチェーンリング8b〜8dが、外部回転部材4A’の外筒部4bの外周に着脱自在に配設されている場合、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができ、汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における人力車両用回転伝達機構及びそれを備えた自転車について、以下図面を参照しながら説明する。
図7(a)は実施の形態3における人力車両用回転伝達機構を備えた自転車の要部模式側面図であり、図7(b)は実施の形態3における人力車両用回転伝達機構の要部模式正面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図7において、実施の形態3における人力車両用回転伝達機構1Bが実施の形態1と異なるのは、外部回転部材4の外筒部4fの外周にVベルト,平ベルト,チェーンなどの動力伝達部材58を張設するための溝や突起が形設されている点である。これにより、電動アシスト機構55の動力が外部回転部材4を介してチェーンリング8に伝達される。
図7中、50Aは実施の形態3における人力車両用回転伝達機構1Bを備えた自転車、53,54は回転軸保持部52に連結された自転車50Aのフレーム、55aはフレーム50bに配設された電動アシスト機構55の駆動制御部、56は駆動制御部55aに配設された電動モータの駆動軸、57は駆動軸56の端部に貫設されたプーリー、58はプーリー57と外部回転部材4との間に張設され電動モータの動力をチェーンリング8に伝達するための動力伝達部材、59は動力伝達部材58の動作を検出する駆動検出センサである。尚、この電動アシスト機構55は必要に応じて簡便に着脱することができる。
実施の形態3における人力車両用回転伝達機構1Bの動作は、実施の形態1における人力車両用回転伝達機構1と同様であるので、説明を省略する。
運転者がペダルを漕いでチェーンリング8が回転を始めると駆動検出センサ59が動力伝達部材58の動作を検出し、駆動制御部55aが電動モータを駆動してチェーンリング8の回転をアシストすることができる。
実施の形態3の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用を有する。
実施の形態3の人力車両用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用に加え、以下の作用を有する。
(1)人力車両用回転伝達機構1Bに電動アシスト機構55を併用することにより、漕ぎ始めだけでなく、定常走行状態での負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における人力車両用回転伝達機構を備えた土木用等の一輪車について、以下図面を参照しながら説明する。
図8は実施の形態4における人力車両用回転伝達機構を備えた土木用等の一輪車の要部断面正面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図8中、60は実施の形態1と同様の人力車両用回転伝達機構1を備えた土木用一輪車、61は土木用一輪車60のバケット、62は土木用一輪車60の本体としてのフレーム、63はフレーム62に形設された回転軸保持部、63aは人力車両用回転伝達機構1が配設される回転軸51を回転軸保持部63に回動自在に保持するベアリング、64は人力車両用回転伝達機構1の外部回転部材4の外周に配設された車輪部、64aはタイヤ65を取り付けるために外部回転部材4の外周に固設された車輪部64のリムである。
実施の形態4における人力車両用回転伝達機構1の動作は、実施の形態1(図3、段落0052)で説明したように、自転車50に用いる場合と回転の順序が逆になり、先に車輪部64のタイヤ65と共に外部回転部材4が回転し、後から内部回転部材2と共に回転軸51が回転するだけなので、説明を省略する。
また、実施の形態4の人力車両用回転伝達機構を備えた土木用一輪車は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)回転軸保持部63に回動自在に保持される回転軸51に人力車両用回転伝達機構1が配設され、人力車両用回転伝達機構1の外部回転部材4の外周に車輪部64が配設されているので、回転軸保持部63を有するフレーム62(本体)を前後に移動させて車輪部64を回転させることにより、車輪部64と共に回転する外部回転部材4の回転を内部回転部材2を通して回転軸51に伝達させる間に、弾性変形部5を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の腕や足腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部5が復元することによって弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、人力車両用回転伝達機構1の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に使用することができ、低速運転時の安定性、取り扱い性に優れる。
(3)弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物を乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(4)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部5が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して人体への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(5)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部5に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、使用者の体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
尚、内周凸部4cの両側面部に弾性変形部5を配設した場合、土木用一輪車60を後進させる際にも、負荷を低減することができ、使用性をさらに向上させることができる。また、この人力車両用回転伝達機構1は、人力車,台車,リヤカー,車椅子などの他の人力車両にも組み込むことができ、同様の作用を得ることができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5における人力車両用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図9は実施の形態5における人力車両用回転伝達機構の要部断面側面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図9において、実施の形態5における人力車両用回転伝達機構1Cが実施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Bの外周凸部3b及び外部回転部材4Bの内周凸部4cがそれぞれ2箇所ずつ形成されている点と、弾性変形部5aの外周凸部3bとの接触面5bが球面状に膨出して形成されている点と、外部回転部材4Bの外筒部4bの内周側に各々の外周凸部3bの先端部3eを一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部4gが形成されている点である。
図9中、3fは外周凸部3bの前方側端面、3gは外周凸部3bの後方側端面、4hは回動保持凹部4gの前方側内壁、4iは回動保持凹部4gの後方側内壁である。
実施の形態5における人力車両用回転伝達機構1Cの動作は、基本的に実施の形態1における人力車両用回転伝達機構1と同様であるが、外周凸部3bと内周凸部4cが近づくように回転軸51と外部回転部材4Bが相対的に回転した際に、一定角度だけ回転した段階で、外周凸部3bの先端部3e側の前方側端面3fが回動保持凹部4gの前方側内壁4hに当接することにより、外周凸部3bから直接、外部回転部材4Bに回転を伝達することができる。
また、外周凸部3bの後方側端面3gが回動保持凹部4gの後方側内壁4iに当接することにより、回転軸51と外部回転部材4Bが逆方向に空回りすることを防止できる。
尚、回動保持凹部4gの長さは、許容する回転角度に応じて、適宜、選択することができる。
実施の形態5の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)外部回転部材4Bが、外筒部4bの内周側に形成され内部回転部材2Bの外周凸部3bの外周側の先端部3eを一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部4gを備えていることにより、回転軸51又は外部回転部材4Bが予め設定した一定角度だけ回転した段階で、内部回転部材2Bの外周凸部3bを固定して外部回転部材4Bと内部回転部材2Bとの相対回転を止めることができ、回転軸51及び内部回転部材2Bと外部回転部材4Bを一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性変形部5aの形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6における人力車両用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図10(a)は実施の形態6における人力車両用回転伝達機構の要部断面平面図であり、図10(b)は図10(a)のC−C線矢視断面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図10において、実施の形態6における人力車両用回転伝達機構1Dが実施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Cの外周凸部13bが板バネを用いた弾性体で形成されている点と、外周凸部固定部3の外周に突設され2箇所の空回り防止用突起13dを有する点と、外部回転部材4Cの内周凸部14が剛体で半円状に形成され2箇所の内周凸部14の内周側の端面部にストッパー部14aが突設されている点である。
図10中、13aは外周凸部固定部3の外周に放射状に形成され外周凸部13bの根元側が挿通固定される固定溝、13cは外周凸部13bの根元側の端部に断面略円形に形成され外周凸部13bの抜けを防止する固定突起部である。
内周凸部14を半円状に形成することにより、板バネで形成された外周凸部13bが内周凸部14の円弧状の端面に沿って変形し易く、外周凸部13bの破損を防止でき、動作の安定性に優れる。尚、外側カバー部材4’によって外周凸部13bの変形が拘束されないように、外側カバー部材4’と外周凸部13bの間に隙間を設けている。
外周凸部13bの根元側を固定溝13aに挿通するだけで簡便に外周凸部13bを外周凸部固定部3に固定することができ、外周凸部13bの着脱が容易で量産性、メンテナンス性に優れる。また、固定突起部13cにより外周凸部13bが固定溝13aから抜け落ちることがなく固定安定性に優れる。
以上のように構成された実施の形態6における人力車両用回転伝達機構の動作について説明する。
図10において、内部回転部材2C又は外部回転部材4Cが回転すると、弾性体である外周凸部13bが湾曲するように変形する。
内部回転部材2C又は外部回転部材4Cの回転の初期は外周凸部13bが弾性変形するが、変形後は、回転軸51及び内部回転部材2Cと共に外部回転部材4Cが略一体となって回転し、回転軸51と外部回転部材4Cの間で確実に回転を伝達することができる。
また、力の入力が途切れた時には、外周凸部13bが復元し、蓄積されたエネルギーを回転力に変換して推進力として利用することができる。
尚、複数の外周凸部13bを有するので、一部の外周凸部13bが破損して衝撃吸収力が低下しても、残りの外周凸部13bによって回転を伝達することができる。また、全ての外周凸部13bが破損した場合、衝撃を吸収することはできなくなるが、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接することにより、回転を伝達することができるので、走行不能になることはない。ストッパー部14a及び空回り防止用突起13dは、それぞれ少なくとも1つ以上あればよく、その数や配置間隔(角度)は、適宜、選択することができる。ストッパー部14a及び空回り防止用突起13dを複数設けた場合には、全てのストッパー部14aや空回り防止用突起13dが破損するまで回転を伝達することができるので、動作の信頼性をさらに高めることができる。
尚、本実施の形態では、内部回転部材2Cの外周凸部13bを弾性体(板バネ)で形成し、外部回転部材4Cの内周凸部14を剛体で形成したが、外周凸部13bを剛体で形成し、内周凸部14を弾性体(板バネ)で形成してもよい。
実施の形態6の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)回転軸51の外周に固設され回転軸51の外周側に突出する複数の外周凸部13bを有する内部回転部材2Cと、内部回転部材2Cの位置で回転軸51に回動自在に挿設される側板部4aと,内部回転部材2Cの外周凸部13bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外筒部4bと,外筒部4bの内周側に突設され内部回転部材2Cの外周凸部13bと交互に配置される複数の内周凸部14と,を有する外部回転部材4Cと、を備え、内部回転部材2Cの外周凸部13bが弾性体で形成されていることにより、人力によって回転軸51又は外部回転部材4Cを回転させ、その回転を外部回転部材4C又は回転軸51に伝達させる間に、弾性体で形成された外周凸部13bを弾性変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材2Cの外周凸部13bと外部回転部材4Cの内周凸部14が交互に配置されるので、内部回転部材2Cと外部回転部材4Cが相対的に回転する際に、弾性体で形成された外周凸部13bを確実に弾性変形させることができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に畜力でき、弾性体(外周凸部13b)の変形後は、回転軸51と内部回転部材2C及び外部回転部材4Cが略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体(外周凸部13b)が復元する際に、弾性体(外周凸部13b)に貯えられた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材4Cの側板部4aが回転軸51に回動自在に挿設されるので、回転軸51と外部回転部材4Cの間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材2Cと外部回転部材4Cを相対的に回転させて確実に弾性体(外周凸部13b)の変形と復元を繰り返すことができ、回転軸51を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性体(外周凸部13b)の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)内部回転部材2Cが、回転軸51が挿通固定される回転軸挿通孔3bを備えた外周凸部固定部3を有し、外周凸部13bが、外周凸部固定部3の外周に配設されているので、複数の外周凸部13bを有する場合でも、外周凸部固定部3によって一体に取り扱うことができ、回転軸51への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(6)内部回転部材2Cの複数の外周凸部13b及び外部回転部材4Cの複数の内周凸部14が、それぞれ回転軸51の外周側及び外部回転部材4Cの外筒部4bの内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部13bと内周凸部14が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸51や外周凸部13b及び内周凸部14などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、回転位置によらず、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
(7)外部回転部材4Cは、内周凸部14が剛体で形成され2つの内周凸部14の内周側の端面部に突設されるストッパー部14aを有し、内部回転部材2Cは、外周凸部固定部3の外周に突設され内部回転部材2Cと外部回転部材4Cが相対的に設定角度以上回転した時にストッパー部14aに当接する2つの空回り防止用突起13dを備えていることにより、外周凸部13bが破損した場合でも、回転軸51又は外部回転部材4Cが所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接して外部回転部材4Cと内部回転部材2Cとの相対回転を止めることができ、回転軸51及び内部回転部材2Cと外部回転部材4Cを一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、動作の安定性に優れる。
(8)外周凸部13bや内周凸部14が破損した場合でも、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接することにより、途切れることなく回転力を伝達し続けることができ、動作の確実性、信頼性に優れる。
(9)外周凸部13bを弾性体で形成することにより、別途、弾性変形部を設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、量産性を向上させることができる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7における人力車両用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図11は実施の形態7における人力車両用回転伝達機構の要部断面側面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図11中、1Eは実施の形態7における人力車両用回転伝達機構、32は外形が矩形状に形成され回転軸51に固設された内部回転部材2Dの外周凸部固定部、32aは外周凸部固定部32に回転軸51を挿通固定するための回転軸挿通孔、33bは鋼などの金属製の板材で形成され外周凸部固定部32の各面に基部33aで固定されて回転軸51の外周に突出するように配置された内部回転部材2Dの4箇所の外周凸部、33cは1つの外周凸部33bの基部33aに延設され隣接する他の外周凸部33bの一方の側面部に根元側で固定された板バネ状の弾性変形部、34は外周凸部33bの外側に回転軸51と同心円状に挿設された外部回転部材4Dの外筒部、34aは外筒部34の内周側に一体に突設された外部回転部材4Dの4個の内周凸部、34bは内周凸部34aの弾性変形部33cとの接触面、34cは外筒部34の隣接する内周凸部34aの間に形成され外周凸部33b及び弾性変形部33cの先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部、34dは回動保持凹部34cの後方側内壁、35は基部33a,外周凸部33b,弾性変形部33cの表面に貼着された合成ゴム製や合成樹脂製の弾性緩衝部である。
実施の形態7における人力車両用回転伝達機構1Eが実施の形態1乃至6と異なるのは、1つの外周凸部33bと隣接する他の外周凸部33bの側面部に配設される弾性変形部33cが、1枚の板材で形成されている点である。これにより、同じ材質の2枚の板材を貼り合わせるだけで、外周凸部33bと弾性変形部33cを形成することができ、量産性に優れる。また、弾性変形部33cが板バネであることにより、弾性変形後の反発力を高めることができ、復元時に発生する推進力を増大させることができ、回転力伝達の効率性に優れる。尚、板バネを2枚重ねて弾性変形部33cを形成してもよい。
外周凸部33b及び弾性変形部33cの表面に弾性緩衝部35が貼着されていることにより、外周凸部33b及び弾性変形部33cが回動保持凹部34cの後方側内壁34dや内周凸部34aの接触面34bと直接、接触することを防止でき、正転時及び逆転時の騒音の発生を防ぐことができる。また、弾性変形部33c側の弾性緩衝部35が弾性変形することにより、さらにクッション性と反発性を高めることができ、使用者の負荷の低減及び推進力の増加を図ることができる。尚、弾性緩衝部35は、基部33a,外周凸部33b,弾性変形部33cの全面に配設する必要はなく、外周凸部33b及び弾性変形部33cの少なくとも内周凸部34aの接触面34bや回動保持凹部34cの後方側内壁34dと接触する位置に配設されていればよい。弾性緩衝部35は、外周凸部33b及び弾性変形部33cに配設する代わりに、内周凸部34aの接触面34bや回動保持凹部34cの後方側内壁34dに配設してもよい。
以上のように構成された実施の形態7における人力車両用回転伝達機構の動作について説明する。
図11において、回転軸51又は外部回転部材4Dが回転すると、外周凸部33bと内周凸部34aの間に挟まれた弾性変形部33c及び弾性緩衝部35が弾性変形する。
回転軸51又は外部回転部材4Dの回転の初期は弾性変形部33cが弾性変形するが、変形後は、回転軸51と外部回転部材4Dが略一体となって回転し、回転軸51と外部回転部材4Dの間で確実に回転を伝達することができる。
尚、外周凸部33b及び内周凸部34aの形状はこれに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。また、弾性緩衝部35は実施の形態1乃至6で説明した外周凸部や内周凸部にも設けることができる。
実施の形態7の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、実施の形態5で得られる作用と同様の作用を有する。
実施の形態1乃至7の人力車両用回転伝達機構は、それぞれ前述の自転車や土木用等の一輪車に限らず、台車,リヤカー,一輪車,子供用三輪車,車椅子などの様々な人力車両に組み込んで使用することができる。
従って、実施の形態1乃至7の人力車両用回転伝達機構を備えた人力車両は、以下の作用を有する。
(1)人力車両の回転軸保持部に回動自在に保持される回転軸に人力車両用回転伝達機構が配設され、人力車両用回転伝達機構の外部回転部材の外周に車輪部が配設されるので、回転軸保持部を有する本体を前後に移動させて車輪部を回転させたり、回転軸に連設される左右のクランクアーム等によって回転軸を回転させたりすることにより、車輪部と共に回転する外部回転部材の回転を内部回転部材を通して回転軸に伝達させる間又は回転軸と共に回転する内部回転部材の回転を外部回転部材を通して車輪部に伝達させる間に、人力車両用回転伝達機構の弾性変形部或いは弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の膝、足首、腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部或いは弾性体で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、人力車両用回転伝達機構の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、子供から大人まで各種日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用等の様々な用途に使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(3)弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(4)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部或いは弾性体が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して人体への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(5)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部或いは弾性体に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施の形態1で説明した人力車両用回転伝達機構1を自転車のクランク部に組み込んだもの(図1乃至図3参照)について、路面の勾配の有無や被験者の体力(年齢、体重、運動歴など)の違いが、走行時の速度や加速率に与える影響について確認実験を行った。
(実施例1)
被験者A(55歳男性、体重80kg、継続的な運動歴なし、日常で自転車に乗っていない)が、実施の形態1と同様の人力車両用回転伝達機構1を組み込んだ自転車に乗ってアスファルトで舗装された平地を走行した場合の速度を、GPS(全地球測位システム,
GARMIN社製のGPSmap 60CSx)の1秒毎の位置情報を基に計算した。
また、ある時間における速度を1秒前の速度で割ったものを加速率として計算した。
自転車は、タイヤ規格27インチ、タイヤの空気圧414kPa(=60psi)、重量17kg、車軸間距離108cm、クランクシャフトと後軸との距離45cm、クランクシャフトと地面との距離33cm、前軸及び後軸と地面との距離36cm、ギヤ比2.29の一般用自転車(整備済み中古車)を使用した。
尚、人力車両用回転伝達機構1の弾性変形部5には、ブチルゴム(反発弾性率75%〜90%、静的ばね定数10N/mm〜25N/mm)を使用した。
(実施例2)
平地の代わりに、アスファルトで舗装された勾配8%の坂道を走行した以外は、実施例1と同様に行った。
尚、路面の勾配は、GPSによる測定結果を基に計算した。
(実施例3)
被験者Aの代わりに、被験者B(36歳男性、体重63kg、継続的な運動歴あり、日常及びスポーツとして自転車に乗っている)が乗った以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例4)
被験者Aの代わりに、被験者Bが乗った以外は、実施例2と同様に行った。
(比較例1乃至4)
人力車両用回転伝達機構1の弾性変形部5を取り外した以外は、それぞれ実施例1乃至4と同様に行った。
図12乃至図15は、実施例1乃至4と比較例1乃至4のそれぞれにおける速度と加速率の時間変化を示した図である。尚、図12乃至図15において、横軸は時間、左側の第1縦軸は速度、右側の第2縦軸は加速率を示している。
まず、被験者Aについてみる。
図12において、平地では、漕ぎ始めから漕ぎ終わりまで、実施例1(弾性変形部有り)の速度が、比較例1(弾性変形部無し)の速度を上回っている。また、漕ぎ始めの2秒〜4秒の間は、実施例1の加速率が、比較例1の加速率を上回っている。
次に、図13において、坂道では、漕ぎ始めの3秒間は、比較例2(弾性変形部無し)の速度が、実施例2(弾性変形部有り)の速度を上回っているが、その後は逆転し、実施例2の速度が、比較例2の速度を上回っている。また、漕ぎ始めの2秒〜6秒の間は、実施例2の加速率が、比較例2の加速率を上回っている。
これらのことから、勾配の有無に関わらず、実施例1,2では、弾性変形部5の作用によって、負荷を低減させ、加速性を向上させることができ、比較例1,2よりも高速での走行が可能になるということがわかった。特に、実施例2の坂道において、著しい効果が見られた。
通常、坂道を走行する場合、平地を走行する場合よりも、走行時の負荷が増加するが、被験者Aのように、体重が重く、体力的に劣っている(日常的に運動していない)者は、その影響が大きく、速度が低下する。この時、実施例2(弾性変形部有り)では、漕ぎ始めで弾性変形部5が圧縮されるため、入力されたエネルギーがすぐに回転軸51からチェーンリング8に伝達されず、初速度が、比較例2(弾性変形部無し)よりもさらに遅くなるが、負荷の低減に伴う加速率の向上によってそれを補うことができ、結果的に、比較例2よりも高速な走行が可能になったものと思われる。
次に、被験者Bについてみる。
まず、図14において、平地では、漕ぎ始めの5秒間は、比較例3(弾性変形部無し)の速度が、実施例3(弾性変形部有り)の速度を上回っているが、その後は逆転し、実施例3の速度が、比較例3の速度を大きく上回っている。また、漕ぎ始めの2秒〜5秒の間は、実施例3の加速率が、比較例3の加速率を大きく上回り、10秒後にほぼ同程度の加速率になるまで、実施例3の加速率が、比較例3の加速率を上回っている。
次に、図15において、坂道では、漕ぎ始めから漕ぎ終わりまで、実施例4(弾性変形部有り)の速度が、比較例4(弾性変形部無し)の速度を上回っている。また、漕ぎ始めの2秒〜4秒の間は、実施例4の加速率が、比較例4の加速率を上回っている。
これらのことから、勾配の有無に関わらず、実施例3,4では、弾性変形部5の作用によって、負荷を低減させ、加速性を向上させることができ、比較例3,4よりも高速での走行が可能になるということがわかった。特に、実施例3の平地において著しい効果が見られた。
被験者Bのように、体重が軽く、体力的に優れている(日常的に運動している)者が、速度を出し易い平地を走行する場合は、人力車両用回転伝達機構1の加速効果を十分に利用することができるため、実施例3と比較例3との間で、大きな違いが見られたものと思われる。
また、坂道を走行する場合、平地を走行する場合よりも負荷が増加するが、被験者Bのように、体重が軽く、体力的に優れている(日常的に運動している)者は、その影響を受け難いため、実施例4と比較例4との間には、被験者Aの実施例2と比較例2との間で見られたような著しい効果は見られなかったものと思われる。
以上のように、被験者の体重や体力等の違いにより、人力車両用回転伝達機構1の効果の出方や程度に違いは見られるが、実施例1乃至4の速度は、いずれも比較例1乃至4の速度を上回る結果となり、人力車両用回転伝達機構1による加速性向上の効果を確認することができた。
尚、本実験においては、被験者A,B共に、比較例1乃至4(弾性変形部無し)の実験を行った後、体力的にやや消耗した状態で実施例1乃至4(弾性変形部有り)の実験を行ったにも関わらず、実施例1乃至4の速度が比較例1乃至4を上回った。このことからも、人力車両用回転伝達機構1が優れた加速効果を有するということがわかった。また、被験者A,Bからはそれぞれ、実施例1乃至4及び比較例1乃至4において、同じようにペダルを漕いだが、実施例1乃至4の方がペダルを漕ぐ力が軽くなり、クランクがスムーズに回転して、短時間での加速を体感したという感想が得られた。
本発明は、人力によって車輪を回転させて走行する自転車或いは土木用一輪車やリヤカーなどの人力車両の回転軸に配設することにより、発進,加速,登坂等の初動時や走行中に外部から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、人体への負荷を大幅に低減できる共に、蓄えたエネルギーを入力エネルギーが減少した時或いは途切れた時に回転軸の回転に無駄なく有効に利用することができ、回転伝達の確実性、効率性に優れ、部品点数の少ない簡素な構成で軽量化を図ることができ、分解や組立が容易でメンテナンス性に優れ、既存の自転車,土木用一輪車,リヤカー、車椅子などの人力車両にも簡便に組込むことができ、量産性、組立作業性、省スペース性、汎用性に優れた人力車両用回転伝達機構の提供、及びそれを備えることにより、複雑な操作が不要で、使用者の膝や足首などにかかる負荷を低減することができ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができる日用品としてだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性に優れ、リハビリ用や競技用としても使用することができ、動作の安定性、取り扱い性に優れた自転車等の人力車両の提供を行って、自転車や土木用一輪車、リヤカーなどの人力車両の使用性を高めることができる。
【0004】
弾性体を介して一体化されているため、ギヤ本体や弾性体を交換することが困難であり、メンテナンス性に欠けるという課題を有していた。
(4)(特許文献4)の自転車の動力伝達装置は、ペダルの過大踏み圧によるトルクを蓄積し、蓄積されたトルクをペダル入力の不足時に補足して踏み圧入力を安定化してペダルによる回転効率の向上を図ること、推進、加速を滑らかにして疲労を軽減することを目的としているが、トルクの蓄積、補足をゼンマイ(板バネ)状バネやコイル状バネなどの巻バネによって行っているため、巻バネを巻き終わってトルクが蓄積されるまでに時間がかかり、その間はペダル軸が前歯車に対して空回りして動力を伝達することができず、著しく使用性に欠けるという課題を有していた。
また、巻バネが破損した場合、ペダル軸から前歯車に動力を伝達することができず、走行不能になるため、動力伝達の確実性、安定性に欠けるという課題を有していた。
(5)(特許文献5)の自転車のクランク装置は、クランクの基端部である環状体の内周面が、ばね受け片の外周縁に支えられているので、環状体の内周面とばね受け片の外周縁との間の摩擦力により、クランクとギヤー軸が共周りし易く、環状体をギヤー軸に先行して回転させることが困難で、ばね体を確実に圧縮することができず、動作安定性に欠け、上死点での蓄力(衝撃エネルギーの吸収)と下死点での復元が十分に行われず、回転効率や加速性の向上、回転トルクの均一化の効果が不十分であるという課題を有していた。
また、ギヤー軸の両端にクランク装置を取り付けなければならないため、部品点数が増加し、装置全体が複雑化、大型化し、省スペース性、量産性に欠けると共に、両端のクランクの位相によってギヤー軸に捩れが発生し、入力されたエネルギーの蓄力や蓄力されたエネルギーの回転力への変換を効率的に行うことができず、耐久性、動作安定性、効率性に欠けるという課題を有していた。
[0004]
本発明は上記従来の課題を解決するもので、人力によって車輪を回転させて走行する自転車或いは土木用一輪車やリヤカーなどの人力車両の回転軸に配設することにより、発進,加速,登坂等の初動時や走行中に外部から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、人体
【0005】
への負荷を大幅に低減できると共に、蓄えたエネルギーを入力エネルギーが減少した時或いは途切れた時に回転軸の回転に無駄なく有効に利用することができ、回転伝達の確実性、効率性に優れ、部品点数の少ない簡素な構成で軽量化を図ることができ、分解や組立が容易でメンテナンス性、生産性に優れ、既存の自転車,土木用一輪車,リヤカー,車椅子などの人力車両にも簡便に組込むことができ、量産性、組立作業性、省スペース性、汎用性に優れる人力車両用回転伝達機構の提供、及びそれを備えることにより、使用者の足腰などにかかる負荷を低減することができ、重い荷物を運搬する際や体重の重い人を乗せた際にも、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性に優れる人力車両の提供、並びに複雑な操作が不要で、運転者の膝や足首などにかかる負荷を低減することができ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、坂道や抵抗の大きな道でも楽に走行することができる日用品としてだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性に優れ、リハビリ用や競技用としても使用することができ、動作の安定性、取り扱い性、汎用性に優れた自転車の提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0005]
上記課題を解決するために本発明の人力車両用回転伝達機構及びそれを備えた人力車両並びに自転車は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構は、回転軸を有する内部回転部材と、前記内部回転部材の前記回転軸に回動自在に配設される外部回転部材と、を有する人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材が、前記回転軸と一体に形成され又は前記回転軸の外周に固設され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有し、前記外部回転部材が、前記内部回転部材の前記外周凸部の側部位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と、前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と、前記外筒部の内周側に突出するように前記側板部及び/又は前記外筒部と一体に形成され或いは前記側板部及び/又は前記外筒部に固定され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、を有し、1以上の弾性変形部が、前記内部回転部材の前記外周凸部と前記外部回転部材の前記内周凸部との間に配設されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
【0006】
(1)内部回転部材が、回転軸と一体に形成され又は回転軸の外周に固設され回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有し、外部回転部材が、内部回転部材の外周凸部の側部位置で回転軸に回動自在に挿設される側板部と、内部回転部材の外周凸部の外側で回転軸と同心円状に側板部の外周に立設される外筒部と、外筒部の内周側に突出するように側板部及び/又は外筒部と一体に形成され或いは側板部及び/又は外筒部に固定され内部回転部材の外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、を有し、1以上の弾性変形部が、内部回転部材の外周凸部と外部回転部材の内周凸部との間に配設されていることにより、人力によって回転させた回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材に伝達させる間又は外部回転部材の回転を回転軸を有する内部回転部材に伝達させる間に弾性変形部を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材の外周凸部と外部回転部材の内周凸部との間に弾性変形部が配設されるので、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に、外周凸部と内周凸部によって弾性変形部を確実に圧縮変形することができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に蓄力でき、弾性変形部の変形後は、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部が復元する際に、弾性変形部に貯えられた圧縮(弾性)エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材の側板部が内部回転部材の回転軸に回動自在に挿設されるので、回転軸と外部回転部材の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材と外部回転部材を相対的に回転させて確実に弾性変形部の圧縮と復元を繰り返すことができ、回転軸を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性変形部の復元エネルギーによってトルクを補うことができるので、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)自転車や土木用等の一輪車に限らず、台車,リヤカー,一輪車,子供用三輪車,車椅子などの様々な人力車両の回転軸部分に組み込んで使用することができる。
【0007】
[0006]
ここで、外周凸部は回転軸と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを既存の回転軸に取り付けてもよい。また、内周凸部は、側板部や外筒部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。内周凸部と側板部や外筒部が一体化された外部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性に優れる。特に、内周凸部を側板部及び外筒部と一体に形成した場合、内周凸部の耐久性、生産性に優れる。外周凸部及び内周凸部の数は適宜、選択することができるが、それぞれ1箇所乃至8箇所ずつ形成することが好ましい。外周凸部及び内周凸部の数が8箇所より大きくなるにつれ、各々の外周凸部及び内周凸部の円周方向の幅が小さくなって強度が低下し、加工性、耐久性が低下し易くなる傾向があり、好ましくない。
[0007]
弾性変形部は、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に弾性変形し、変形後は内部回転部材と外部回転部材の間で回転を伝達できるものであればよく、弾性変形部の変形量、弾性率などは、使用者の好みに応じて、適宜、選択することができる。具体的には、外周凸部と内周凸部の間に配設された合成ゴムや板バネ、或いは外周凸部と内周凸部の間に封入された気体などの弾性体を圧縮変形させるものが好適に用いられる。
弾性変形部として合成ゴムを使用する場合は、外周凸部と内周凸部の間に隙間なく合成ゴムを充填するようにしてもよいし、外周凸部又は内周凸部の少なくともいずれか一方の側面に合成ゴムを貼着や嵌合などにより固定してもよい。また、金属で形成された外周凸部を芯材として、インサート成型により、外周凸部の外周に合成ゴム製の弾性変形部を一体に形成すれば、部品点数を減らすことができ、量産性に優れる。また、このとき、内周凸部に当接する側の弾性変形部の厚味を厚くしたり、曲面状や波形などの接触面を形成したりして、弾性変形部のクッション性を効果的に高めることができる。
[0008]
尚、外周凸部又は内周凸部と合成ゴム製の弾性変形部との間に隙間を形成した場合、外周凸部又は内周凸部と弾性変形部が接触するまでの間は、回転軸を有する内部回転部材又は外部回転部材の回転が弾性変形部によって規制されることがなく、無負荷で回転軸を有する内部回転部材又は外部回転部材を回転させることができるので、回転力を付け易く、容易に急速回転させることができ、加速性に優れる。弾性変形部として、弾性率等の材質の異なる合成
【0008】
ゴムを組合せることや合成ゴムと板バネを組合せること等もでき、隙間を形成する代わりに、弾性率の低い合成ゴムを組合せてもよい。尚、合成ゴムとしては、反発性の高いブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が好適に用いられる。弾性変形部に蓄えられたエネルギーを復元力によって有効に利用することができ、エネルギー利用の効率性に優れるためである。
[0009]
この人力車両用回転伝達機構は、人力車両の回転軸部分に組み込むことにより、内部回転部材の回転軸又は外部回転部材から入力された回転力を外部回転部材又は内部回転部材の回転軸から出力するので、定常回転の状態では、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が一体に回転するが、初動時の負荷や回転途中に受ける外力などによって生じる衝撃力を低減し、そのエネルギーを弾性変形部に蓄積するために、回転の初期或いは回転途中に大きな負荷を受けた時は、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材とを相対的に回転させ、弾性変形部を確実に変形させる必要がある。そのため、回転軸を有する内部回転部材に対して外部回転部材は回動自在に保持される。特に内部回転部材と外部回転部材との接触部にベアリングを配設した場合、これらの共周りを確実に防ぐことができると共に、摩擦を低減して小さな力で回転軸を有する内部回転部材又は外部回転部材を回転させることができ、省力性、回転動作の確実性、耐久性に優れる。
[0010]
この人力車両用回転伝達機構は、従来の自転車或いは土木用一輪車,台車,リヤカー,人力車,車椅子などの人力車両に組み込むことができる。尚、人力車両用回転伝達機構の内部回転部材の外周凸部を回転軸と一体に形成する場合は、既存の回転軸と交換して組み込むことができ、外周凸部を別部材で形成する場合は、人力車両用回転伝達機構として既存の回転軸に装着することができる。
自転車に用いる場合は、回転軸の長手方向の中央部に人力車両用回転伝達機構を配設し、回転軸の両端部にペダルを備えたクランクアームを配設する。これにより、クランクアームと共に回転軸を回転させることができ、その回転が内部回転部材から外部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形し、人体への負荷が低減されるだけでなく、弾性変形部で吸収した衝撃エネルギーを有効に外部回転部材の回転に利用することができる。このとき、外部回転部材の側板部の側部や外筒部の外周部に固設或いは形設されたチェーンリングからチェーンを介して後輪側のスプロケッ
【0009】
トへと伝達させて、自転車の推進力を得ることができる。
[0011]
土木用一輪車などに用いる場合は、回転軸の長手方向の中央部に人力車両用回転伝達機構を配設し、回転軸の両端部を回動自在に軸支する。人力車両用回転伝達機構の外部回転部材の外筒部の外周にタイヤを配設することにより、人力でタイヤと共に外部回転部材を回転させることができ、その回転が内部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形し、人体への負荷が低減されるだけでなく、弾性変形部で吸収した衝撃エネルギーを有効に回転軸の回転に利用することができ、土木用一輪車などの推進力を得ることができる。
[0012]
台車やリヤカー、車椅子などに用いる場合は、回動自在に軸支された左右の回転軸に人力車両用回転伝達機構を配設し、人力車両用回転伝達機構の外部回転部材の外筒部の外周にタイヤなどの車輪部を配設する。台車やリヤカー、車椅子を人が押す場合は、人力でタイヤと共に外部回転部材を回転させることができ、その回転が内部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形する。また、使用者が車椅子を漕ぐ場合は、回転軸に連結されたハンドリムを回転させることにより、人力で回転軸を回転させることができ、その回転が内部回転部材から外部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形する。いずれの場合も、人体への負荷が低減されるだけでなく、弾性変形部で吸収した衝撃エネルギーを有効に回転軸や車輪部の回転に利用することができ、リヤカーや車椅子などの推進力を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記外部回転部材が、中央部に前記内部回転部材の前記回転軸を挿通するための挿通孔が穿設され前記外筒部の開口部に覆設される外側カバー部材を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外側カバー部材によって弾性変形部の側面を押さえることができ、弾性変形部の圧縮時に、弾性変形部が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
[0013]
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材が、前記回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部と、前記外部回転部材の前記側板部に対向配置されるカバー部と、を有し、前記外周凸部が、前記外周凸部固定部の外周に形設されている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部を有し、外周凸部が、外周凸部固定部の外周に形設されているので、複数の外周凸部を有する場合でも、外周凸部固定部によって一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱が容易で、既存の人力車両に簡便に組み込むことができ、組立及び分
【0010】
解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(2)内部回転部材が、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部を有することにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部、弾性変形部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
(3)カバー部によって弾性変形部の側面を押さえることができ、弾性変形部の圧縮時に、弾性変形部が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
[0014]
ここで、カバー部は、外周凸部固定部や外周凸部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り、付けてもよい。カバー部と外周凸部固定部や外周凸部が一体化された内部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性、生産性に優れると共に、外周凸部をカバー部で強固に保持することができ、耐久性に優れる。また、部品を一体化することにより、歪みやガタの発生する箇所が少なくなり、組立精度が向上し、動作の安定性、耐久性に優れる。
[0015]
内部回転部材の複数の外周凸部及び外部回転部材の複数の内周凸部を、それぞれ回転軸の外周側及び外部回転部材の外筒部の内周側に放射状に配設した場合、外周凸部と内周凸部が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸や外周凸部及び内周凸部などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて変動の少ない安定した回転を実現することができ、動作の安定性に優れる。
尚、外周凸部及び内周凸部の形状は、適宜、選択することができる。外周凸部及び内周凸部は、回転軸の外周表面及び外部回転部材の外筒部の内周表面から直線状に突出させて略扇形に形成してもよいし、円弧を描くように曲線状に形成してもよい。外周凸部又は内周凸部の弾性変形部との接触面を曲面状や波形に形成した場合、弾性変形部との接触面積を拡大することができ、弾性変形部のクッション性を高めて、衝撃吸収性を向上させることができる。また、弾性変形部に貯えられる圧縮エネルギーを増加させることができ、弾性変形部が復元する際に大きな回転力を発生させることができる。
[0016]
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構であ
【0011】
って、前記弾性変形部が、前記内部回転部材又は前記外部回転部材の回転時に前記内部回転部材の各々の前記外周凸部と前記外部回転部材の各々の前記内周凸部の間に挟まれるように前記外周凸部又は前記内周凸部の両側面部の内のいずれか一方の側面部に配設又は固定されている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)弾性変形部が、内部回転部材又は外部回転部材の回転時に、内部回転部材の各々の外周凸部と外部回転部材の各々の内周凸部の間に挟まれるように外周凸部又は内周凸部の両側面部の内のいずれか一方の側面部に配設又は固定されていることにより、回転により外周凸部と内周凸部が近づいた時に、外周凸部と内周凸部の間に挟まれた弾性変形部を確実に圧縮変形させることができ、負荷低減の確実性に優れると共に、弾性変形部に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる。
[0017]
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材の前記外周凸部又は前記外部回転部材の前記内周凸部が、前記弾性変形部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有するか、或いは前記弾性変形部が、前記内部回転部材の前記外周凸部又は前記外部回転部材の前記内周凸部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有する構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部が、弾性変形部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有するか、或いは弾性変形部が、内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有することにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れる。
ここで、外周凸部又は内周凸部或いは弾性変形部の接触面を曲面状に形成する場合、弾性変形部が変形し易くなるように、外方に向かって膨出させた形状が好まし
【0012】
い。
[0018]
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記外部回転部材が、前記外筒部の内周側に形成され前記内部回転部材の前記外周凸部の外周側の先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外部回転部材が、外筒部の内周側に形成され内部回転部材の外周凸部の外周側の先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部を備えていることにより、内部回転部材又は外部回転部材が予め設定した一定角度だけ回転した段階で、内部回転部材の外周凸部を固定して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性変形部の形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
[0019]
ここで、回動保持凹部は外部回転部材の外筒部の内周に沿って凹条に形成することができる。外周凸部の先端部を回動保持凹部の中に嵌入することにより、内部回転部材又は外部回転部材が所定の角度だけ回転した段階で、外周凸部の先端側の側部端面が回動保持凹部の内壁に当接するので、弾性変形部の圧縮状態に関わらず、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材が一体となって回転を開始する。
尚、外周凸部の外周面に回動保持凹部を形成し、外部回転部材の外筒部の内周側に回動保持凹部に嵌入される突起部を形成しても同様の効果が得られる。
内周凸部、外周凸部、弾性変形部を着脱自在とした場合、各々の数や寸法、弾性変形部の弾性率などを選択するだけで、クッション性の強弱や弾性変形部の変形量を、使用者の好みなどに応じて、簡便に調整でき、汎用性に優れる。
[0020]
本発明の請求項7に記載の人力車両用回転伝達機構は、回転軸を有する内部回転部材と、前記内部回転部材の前記回転軸に回動自在に配設される外部回転部材と、を有する人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材が、前記回転軸と一体に形成され又は前記回転軸の外周に固設され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有し、前記外部回転部材が、前記内部回転部材の前記外周凸部の側部位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と、前記内部回
【0013】
転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と、前記外筒部の内周側で前記側板部及び/又は前記外筒部と一体に形成され或いは前記側板部及び/又は前記外筒部に固定され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、を有し、前記内部回転部材の前記外周凸部及び前記外部回転部材の前記内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、回転軸と一体に形成され又は回転軸の外周に固設され回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有し、外部回転部材が、内部回転部材の外周凸部の側部位置で回転軸に回動自在に挿設される側板部と、内部回転部材の外周凸部の外側で回転軸と同心円状に側板部の外周に立設される外筒部と、外筒部の内周側で側板部及び/又は外筒部と一体に形成され或いは側板部及び/又は外筒部に固定され内部回転部材の外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、を有し、内部回転部材の外周凸部及び外部回転部材の内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されていることにより、人力によって回転させた回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材に伝達させる間又は外部回転部材の回転を回転軸を有する内部回転部材に伝達させる間に、弾性体で形成された外周凸部又は内周凸部を弾性変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材の外周凸部と外部回転部材の内周凸部が交互に配置されるので、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に、弾性体で形成された外周凸部又は内周凸部を確実に弾性変形させることができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に蓄力でき、弾性体の変形後は、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体が復元する際に、弾性体に貯えられた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
【0014】
(3)外部回転部材の側板部が内部回転部材の回転軸に回動自在に挿設されるので、回転軸と外部回転部材の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材と外部回転部材を相対的に回転させて確実に弾性体の変形と復元を繰り返すことができ、回転軸を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性体の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)外周凸部及び内周凸部の少なくともいずれか一方を弾性体で形成することにより、別途、弾性変形部を設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、量産性を向上させることができる。
(6)自転車や土木用等の一輪車に限らず、台車,リヤカー,一輪車,子供用三輪車,車椅子などの様々な人力車両の回転軸部分に組み込んで使用することができる。
[0021]
ここで、内部回転部材の外周凸部及び外部回転部材の内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されるが、外周凸部を剛体で形成する場合は、回転軸と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。また、内周凸部を剛体で形成する場合は、側板部や外筒部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。内周凸部と側板部や外筒部が一体化された外部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性に優れる。特に、内周凸部を側板部及び外筒部と一体に形成した場合、内周凸部の耐久性、生産性に優れる。尚、内周凸部が弾性体で形成されている場合は、側板部によって内周凸部の変形が拘束されないように、側板部と内周凸部の間に隙間を設けることが好ましい。
[0022]
外周凸部や内周凸部を弾性体で形成する場合、合成ゴムや板バネが好適に用いられる。外周凸部や内周凸部を合成ゴムで形成する場合は、内部に金属製や合成樹脂製の芯材を設けてもよい。また、外周凸部又は内周凸部を板バネで形成する場合、外周凸部固定部の外周や外部回転部材の外筒部の内周に固定溝を形成し、板バネの根元側を固定溝に挿通して固定するものが好ましい。板バネで形成された外周凸部や内周凸部の着脱が容易で量産性、メンテナンス性に優れるためである。尚、板バネで形成された外周凸部や内周凸部の根元側の端部に段差部や突起部を形成することにより、固定溝から抜け落ちることがなく固定安定性に優れる。
[0023]
外周凸部及び内周凸部の一方を剛体で形成し、他方を板バネで形成する場合、
【0015】
剛体の先端側の端部を円弧状に形成することが好ましい。板バネが剛体の円弧状の端面に沿って変形し易く、板バネの破損を防止でき、動作の安定性に優れるためである。
外周凸部及び内周凸部の数は適宜、選択することができるが、それぞれ1箇所乃至8箇所ずつ形成することが好ましい。外周凸部及び内周凸部の数が8箇所より大きくなるにつれ、外周凸部及び内周凸部の間隔が密になり、加工性、組立作業性が低下し易くなる傾向があり、好ましくない。
この人力車両用回転伝達機構が請求項1の人力車両用回転伝達機構と異なるのは、外周凸部及び内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されている点であり、請求項1の人力車両用回転伝達機構と同様に、自転車或いは土木用一輪車,台車,リヤカー,人力車,車椅子などの人力車両の回転軸部分に組み込むことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記外部回転部材が、中央部に前記内部回転部材の前記回転軸を挿通するための挿通孔が穿設され前記外筒部の開口部に覆設される外側カバー部材を備えている構成を有している。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外部回転部材の側板部に対向配置される外側カバー部材を設けることにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
[0024]
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記内部回転部材が、前記回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部と、前記外部回転部材の前記側板部に対向配置されるカバー部と、を有し、前記外周凸部が、前記外周凸部固定部の外周に形設されている構成を有している。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部を有し、外周凸部が、外周凸部固定部の外周に形設されているので、複数の外周凸部を有する場合でも、外周凸部固定部によって一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(2)内部回転部材が、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部を設けることにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
[0025]
ここで、カバー部は、外周凸部固定部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。また、外周凸部が剛体で形成されている場合は、カバー部と外周凸部を一体に形成してもよい。カバー部と外周凸部固定部や外周凸部が一体化された内部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性、生産性に優れると共に、外周凸部をカバー部で強固に保持することができ、耐久性に優れる。
【0016】
外周凸部が弾性体で形成されている場合は、カバー部によって外周凸部の変形が拘束されないように、カバー部と外周凸部の間に隙間を設けることが好ましい。この場合、カバー部を外部回転部材の開口部に覆設される外側カバー部材として回転軸に回動自在に配置してもよい。
[0026]
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記外部回転部材は、前記内周凸部が剛体で形成され少なくとも1つの前記内周凸部の内周側の端面部に突設されるストッパー部又は前記外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部を有し、前記内部回転部材は、前記外周凸部固定部の外周に突設され前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に設定角度以上回転した時に前記ストッパー部に当接する少なくとも1つの空回り防止用突起を備えている構成を有している。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外部回転部材は、内周凸部が剛体で形成され少なくとも1つの内周凸部の内周側の端面部に突設されるストッパー部又は外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部を有し、内部回転部材は、外周凸部固定部の外周に突設され内部回転部材と外部回転部材が相対的に設定角度以上回転した時にストッパー部に当接する少なくとも1つの空回り防止用突起を備えていることにより、内部回転部材又は外部回転部材が所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部と空回り防止用突起が当接して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性体の形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
(2)外周凸部や内周凸部が破損した場合でも、ストッパー部と空回り防止用突起が当接することにより、途切れることなく回転力を伝達し続けることができ、動作の確実性、信頼性に優れる。
[0027]
ここで、ストッパー部及び空回り防止用突起は、それぞれ少なくとも1つ以上あればよく、その数や配置間隔(角度)は、適宜、選択することができる。ストッパー部及び空回り防止用突起を複数設けた場合、全てのストッパー部や空回り防止用突起が破損するまで回転を伝達することができ、動作の信頼性を高めることができる。
【0017】
[0028]
尚、内部回転部材の複数の外周凸部及び外部回転部材の複数の内周凸部が、それぞれ回転軸の外周側及び外部回転部材の外筒部の内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部と内周凸部が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸や外周凸部及び内周凸部などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、回転位置によらず、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
[0029]
本発明の請求項11に記載の人力車両は、請求項1又は7に記載の人力車両用回転伝達機構と、前記人力車両用回転伝達機構の前記内部回転部材の前記回転軸が回動自在に保持される回転軸保持部と、前記人力車両用回転伝達機構の前記外部回転部材の外周に配設された車輪部と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)人力車両用回転伝達機構の内部回転部材の回転軸が、回転軸保持部に回動自在に保持され、人力車両用回転伝達機構の外部回転部材の外周に車輪部が配設されているので、回転軸保持部を有する本体を前後に移動させて車輪部を回転させたり、回転軸に連設される左右のクランクアーム等によって回転軸を回転させたりすることにより、車輪部と共に回転する外部回転部材の回転を内部回転部材を通して回転軸に伝達させる間又は回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材を通して車輪部に伝達させる間に、弾性変形部或いは弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の膝、足首、腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部或いは弾性体で形成された外周凸部や内
【0018】
周凸部が復元することによって弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、人力車両用回転伝達機構の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、子供から大人まで日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用等の様々な用途に使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(3)弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(4)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部或いは弾性体が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して人体への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(5)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部或いは弾性体に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
[0030]
ここで、人力車両は、人が脚で漕いだり、手で押したりして走行する車両である。具体的には、前述のように、自転車,一輪車,子供用三輪車或いは土木用一輪車,リヤカー,車椅子などがある。
[0031]
本発明の請求項12に記載の自転車は、請求項1又は7に記載の一組の人力車画用回転伝達機構と、180度の位相差で前記人力車両用回転伝達機構の前記内部回転部材の前記回転軸の両端部に配設された左右のクランクアームと、前記人力車両用回転伝達機構の前記外部回転部材の前記側板部又は前記外筒部に形設又は固設されたチェ
【0020】
筋肉の使用量が減り、筋力の大きな大腿筋を有効利用することができ、疲労を大幅に低減でき、使用性に優れる。
(5)弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(6)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部或いは弾性体が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して脚部への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(7)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部或いは弾性体に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
[0032]
ここで、路面の凹凸などにより自転車がバウンドする際に、人力車両用回転伝達機構は、自転車のフレームと共に上下動(振動)するが、運転者の脚によってクランクアームに取り付けられるペダルが下方に押し下げられるため、弾性変形部或いは弾性体が圧縮と復元を繰り返し、衝撃を吸収すると共に、その衝撃エネルギーを回転エネルギーに変換して推進力として利用することができ、地形の変化の影響を受け難く、使用性に優れる。
尚、人力車両用回転伝達機構は、駆動輪側の回転軸に設けることもできる。また、人力車両用回転伝達機構に電動アシスト機構を併用した場合、定常走行状態での負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
[0033]
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の自転車であって、前記チェーンリングが、前記人力車両用回転伝達機構の前記外部回転部材の前記外筒部の外周に着脱自在に複数配設されている構成を有している。
この構成により、請求項12の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)チェーンリングが、外部回転部材の外筒部の外周に着脱自在に複数配設されていることにより、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができ、汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れる。
【0021】
[0034]
ここで、チェーンリングを固定する手段としては、雌ねじ部が形設されたチェーンリング固定片を外部回転部材の外筒部の外周に配設しておき、チェーンリングとチェーンリング固定片をねじ止めで固定してもよいし、外部回転部材の外筒部の外周に凹条溝部を形成しておき、チェーンリングの内周側に突設した固定用凸部を嵌合させ、ねじ止めなどで固定してもよい。
発明の効果
[0035]
以上のように、本発明の人力車両用回転伝達機構及びそれを備えた自転車によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)人力によって回転軸を有する内部回転部材又は外部回転部材を回転させる回転初期に、回転軸の外周側に回転軸と一体に形成又は固設される外周凸部と、外部回転部材の外筒部の内周側に突設される内周凸部と、の間に配設される弾性変形部を変形させることにより、初動に必要な負荷を低減することができるだけでなく、入力したエネルギーの一部(過大なエネルギー)を弾性変形部に確実に吸収して蓄えることができ、弾性変形部の変形後は、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部が復元する際に、弾性変形部に貯えられたエネルギーを推進力として有効に利用することができ、動力伝達の効率性、動作の安定性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外側カバー部材によって弾性変形部の側面を押さえることができ、弾性変形部の圧縮時に、弾性変形部が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
[0036]
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)回転軸の外周に挿通固定される外周凸部固定部の外周に外周凸部が形設されていることにより、複数の外周凸部を外周凸部固定部と一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱を容易に行うことができると共に、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部によって外周凸部や外部回転部材の内周凸部、弾性変形部などを外力や異物の侵入などから確実に保護することができ、組立及び分解の作業性、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
【0022】
[0037]
請求項4に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)内部回転部材又は外部回転部材の回転時に、外周凸部と内周凸部の間に挟まれた弾性変形部を確実に圧縮変形することができ、負荷低減の信頼性に優れると共に、弾性変形部に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる効率性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
[0038]
請求項5に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部が、弾性変形部と接触する接触面或いは弾性変形部が、内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部と接触する接触面が、曲面状又は波形に形成されていることにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
[0039]
請求項6に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部回転部材の外筒部の内周側に形成された回動保持凹部により、外周凸部の可動範囲を一定角度範囲に保つことができ、弾性変形部が必要以上に変形したり、内部回転部材又は外部回転部材が逆回転したりすることがなく、内部回転部材又は外部回転部材が予め設定した一定角度だけ回転した段階で、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができる動作の安定性、量産性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
[0040]
請求項7に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)内部回転部材の回転軸の外周側に回転軸と一体に形成又は固設される外周凸部と、外部回転部材の外筒部の内周側に突設される内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されていることにより、人力によって回転軸を有する内部回転部材又は外部回転部材を回転させている途中に、弾性体で形成された外周凸部又は内周凸部を弾性変形させて負荷を低減することができるだけでなく、入力したエネルギーの一部(過大な入力エネルギー)
【0023】
を弾性体で確実に吸収して蓄えることができ、弾性体の変形後は、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体が復元する際に、弾性体に貯えられたエネルギーを推進力として有効に利用することができ、動力伝達の効率性、動作の安定性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部回転部材の側板部に対向配置される外側カバー部材を設けることにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
[0041]
請求項9に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)回転軸の外周に挿通固定される外周凸部固定部の外周に外周凸部が配設されていることにより、複数の外周凸部を外周凸部固定部と一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱を容易に行うことができ、組立及び分解の作業性、動作安定性、メンテナンス性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
[0042]
請求項10に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)剛体で形成された内周凸部の少なくとも1つの内周側の端面部に突設されるストッパー部又は外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部と、外周凸部固定部の外周に突設される少なくとも1つの空回り防止用突起を備えていることにより、内部回転部材又は外部回転部材が所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部と空回り防止用突起が当接して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性体の形状や物性のばらつきを吸収することができる動作の安定性に優れた人力車両用回転伝達機構を提供することができる。
[0043]
【0024】
[0044]
請求項11に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)回転軸保持部を有する本体を前後に移動させて車輪部を回転させたり、回転軸に連設される左右のクランクアーム等によって回転軸を回転させたりして、外部回転部材と内部回転部材を相対的に回転させることにより、弾性変形部或いは弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、使用者の膝、足首、腰などにかかる負荷を大幅に低減できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部或いは弾性体で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換し、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができる加速性、低速走行時の走行安定性、使用性に優れた自転車を提供することができる。
[0045]
請求項12に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)発進、加速、登坂等の際のペダルの漕ぎ始めや走行中に外部から受ける衝撃などによって両足の膝や足首などにかかる負荷を大幅に低減できるだけでなく、弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換してトルクの変動を抑えることができ、ペダリングに特別な技術を要することなく、クランクアームの上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置においても確実かつスムーズに動力を伝達し、坂道の角度や長さなどの地形の変化にも柔軟に対応することができ、動力伝達の効率性、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、日用品として使用できる以外に、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用品としても使用することができる汎用性、取り扱い性に優れた自転車を提供することができる。
[0046]
請求項13に記載の発明によれば、請求項12の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部回転部材の外筒部の外周に複数のチェーンリングを着脱自在に配設するこ
【0025】
とにより、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができる汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れた自転車を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0047]
[図1](a)実施の形態1における人力車両用回転伝達機構を備えた自転車の要部断面平面図(b)図1(a)のA−A線矢視断面図
[図2]実施の形態1における人力車両用回転伝達機構の要部分解斜視図
[図3]実施の形態1における人力車両用回転伝達機構の部分破断分解斜視図
[図4](a)実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の要部断面平面図(b)図4(a)のB−B線矢視断面図
[図5]実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の要部分解斜視図
[図6](a)実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部正面図(b)実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部断面側面図(c)実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部斜視図
[図7](a)実施の形態3における人力車両用回転伝達機構を備えた自転車の要部模式側面図(b)実施の形態3における人力車両用回転伝達機構の要部模式正面図
[図8]実施の形態4における人力車両用回転伝達機構を備えた土木用一輪車の要部断面正面図
[図9]実施の形態5における人力車両用回転伝達機構の要部断面側面図
[図10](a)実施の形態6における人力車両用回転伝達機構の要部断面平面図(b)図10(a)のC−C線矢視断面図
[図11]実施の形態7における人力車両用回転伝達機構の要部断面側面図
[図12]実施例1と比較例1における速度と加速率の時間変化を示した図
[図13]実施例2と比較例2における速度と加速率の時間変化を示した図
[図14]実施例3と比較例3における速度と加速率の時間変化を示した図
[図15]実施例4と比較例4における速度と加速率の時間変化を示した図
符号の説明
[0048]
1,1A,1A’,1B,1C,1D,1E 人力車両用回転伝達機構
2,2A,2B,2C,2D 内部回転部材
【0028】
図1中、1は自転車50に配設された実施の形態1における人力車両用回転伝達機構、2は回転軸51に固設される外周凸部固定部3と回転軸51の外周側に突出するように外周凸部固定部3と一体に軸対称に形成された4箇所の外周凸部3bを有する人力車両用回転伝達機構1の内部回転部材、3aは外周凸部固定部3に回転軸51を挿通固定するための回転軸挿通孔、3c(図2)は後述する弾性変形部と接触する曲面状に形成された外周凸部3bの接触面、4’(図2)は中央部に回転軸51を挿通するための挿通孔4a’が穿設され後述する外筒部4bの開口部に覆設される外部回転部材4の外側カバー部材、4aは回転軸51に回動自在に挿設される外部回転部材4の側板部、4bは内部回転部材2の外周凸部3bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外部回転部材4の外筒部、4cは外筒部4bの内周側に突出するように側板部4a及び/又は外筒部4bと一体に形成又は接着剤やビス等で固定され内部回転部材2の外周凸部3bと交互に配置される外部回転部材4の4箇所の内周凸部、5は各々の外周凸部3b又は内周凸部4cの一方の側面部に配設され固定又は接着されて回転軸51の回転時に外周凸部3bと内周凸部4cで挟まれて圧縮される人力車両用回転伝達機構1の合成ゴム製の弾性変形部、6は回転軸51の両端部に180度の位相差で配置された左右のクランクアーム、7は回転軸51にクランクアーム6を固定するクランクアーム固定部、8は外部回転部材4の側板部4aに固定ねじ8aで固設された自転車50のチェーンリング、9は外部回転部材4及びチェーンリング8を回転軸51に回動自在に保持するためのベアリング、52は人力車両用回転伝達機構1が配設される自転車50のフレームに形設された回転軸保持部、52aは人力車両用回転伝達機構1の内部回転部材2の回転軸51を回転軸保持部52に回動自在に保持するベアリングである。
尚、クランクアーム6の端部には回動自在なペダル(図示せず)が配設されている。
[0050]
以上のように構成された実施の形態1における人力車両用回転伝達機構の動作について、図1及び図3を用いて説明する。
図1において、運転者がクランクアーム6の端部に配設されたペダル(図示せず)を踏むと、クランクアーム6と共に回転軸51の外周に突設された外周凸部3bが矢印aの方向に回転する。このとき、回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー
【0029】
部材4’の間にベアリング9が配設されていることにより、摩擦を低減して小さな力で回転軸51を回転させることができ、内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’が共周りすることを防止することができる。
回転軸51が回転し、外周凸部3bが内周凸部4cに近づくことにより、内周凸部4cの側面部に配設された弾性変形部5が外周凸部3bと内周凸部4cに挟まれることによって圧縮され、入力エネルギーの一部が弾性変形部5に蓄えられる。
回転軸51の回転の初期は弾性変形部5が弾性変形するが、変形後は、回転軸51の回転力が外周凸部3bから内周凸部4cに伝達され、回転軸51からチェーンリング8までが略一体となって回転し、チェーンリング8に張設されるチェーン(図示せず)によって後輪側のスプロケットへと確実に回転を伝達することができる。
[0051]
本実施の形態では、外周凸部3b及び内周凸部4cを4箇所ずつ設けたが、外周凸部3b及び内周凸部4cの数は、それぞれ1箇所乃至8箇所の範囲で選択することができる。外周凸部3b及び内周凸部4cの数が8箇所より大きくなるにつれ、各々の外周凸部3b及び内周凸部4cが円周方向に小さくなり強度が低下し易く、加工性、耐久性が低下し易くなる傾向があることが分かったためである。
尚、本実施の形態では、複数の外周凸部3bを外周凸部固定部3を介して回転軸51に挿通固定したが、各々の外周凸部3bを直接、回転軸51に固設してもよいし、外周凸部3bと回転軸51を一体に形成してもよい。
また、本実施の形態では、外部回転部材4とチェーンリング8を別部材で形成したが、外部回転部材4の側板部4aや外筒部4bの外周にチェーンリング8を一体に形成してもよい。
[0052]
外周凸部3bと弾性変形部5は初めから当接していてもよいが、外周凸部3bと弾性変形部5との間に隙間を形成した場合、外周凸部3bと弾性変形部5が接触するまでの間は、回転軸51を有する内部回転部材2の回転が弾性変形部5によって規制されることがなく、無負荷で回転軸51を回転させることができるので、回転力を付け易く、容易に急発進や急加速を行うことができる。
また、本実施の形態では、弾性変形部5を変形し易くするために、図2,3に示したように、外周凸部3bの接触面3cを凸形円弧状に形成したが、接触面3cの形状はこ
【0030】
れに限定されるものではなく、弾性変形部5の弾性率などに応じて適宜、選択することができ、凹形円弧状,平坦状,三角形状などに形成してもよいし、波形に形成してもよい。また、弾性変形部5の接触面を凹状や凸状の円弧状や三角形状、波形などに形成しても同様の作用が得られる。
尚、外周凸部3b,内周凸部4c,弾性変形部5の形状は、本実施の形態に限定されるものではない。例えば、弾性変形部5自身の形状を半球状や球状に形成してもよい。また、弾性変形部5は内周凸部4cの側部の全面に配設する必要はなく、弾性率などに応じて、内周凸部4cの根元側や先端側などの一部に配設してもよい。尚、本実施の形態では、弾性変形部5を内周凸部4cに形成した蟻溝で固定したが、弾性変形部5の固定方法はこれに限定されるものではなく、例えば接着剤を用いて貼着してもよいし、これらを併用してもよい。
[0053]
実施の形態1の人力車両用回転伝達機構1を自転車に用いる場合は、上述したように、回転軸51を有する内部回転部材2を図1の矢印aの方向に回転させ、その回転が外部回転部材4を介してチェーンリング8に伝達される際に、負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄え、弾性変形部5の復元時に回転エネルギーとして利用することができる。実施の形態1の人力車両用回転伝達機構1を土木用一輪車、人力車、リヤカーなどに用いる場合は、チェーンリング8の代わりに外部回転部材4の外周にタイヤ(図示せず)を配設し、タイヤと共に外部回転部材4を図3の矢印a’の方向に回転させ、その回転が内部回転部材2の回転軸51に伝達される際に、負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄えることができる。
この人力車両用回転伝達機構1は、回転軸51を有する内部回転部材2又は外部回転部材4から入力された回転力を外部回転部材4又は内部回転部材2の回転軸51から出力するので、定常回転の状態では、回転軸51を有する内部回転部材2と外部回転部材4が一体に回転するが、初動時や回転途中に受ける負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄えるために入力側の回転軸51を有する内部回転部材2と外部回転部材4を相対的に回転させ、弾性変形部5を変形させる必要がある。本実施の形態では、内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の間にベアリング9を配設したが、これに限定されるものではなく、円筒状のスリーブなどのように回転軸51と外部回転部材4を互いに回動自在に保持できるものであればよい。
【0031】
尚、外周凸部3bの両側面や外周面と、外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’や外筒部4bと、の間に隙間を設けることにより、内部回転部材2と外部回転部材4が互いに緩衝することがなく、スムーズに相対回転して弾性変形部5を確実に変形させることができ、動作の確実性に優れる。
[0054]
実施の形態1の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)内部回転部材2が、回転軸51の外周に固設され回転軸51の外周側に突出する複数の外周凸部3bを有し、外部回転部材4が、内部回転部材2の外周凸部3bの側部位置で回転軸51に回動自在に挿設される側板部4aと、内部回転部材2の外周凸部3bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外筒部4bと、外筒部4bの内周側に突出するように側板部4a及び外筒部4bと一体に形成され内部回転部材2の外周凸部3bと交互に配置される複数の内周凸部4cと、を有し、弾性変形部5が、内部回転部材2の外周凸部3bと外部回転部材4の内周凸部4cとの間にそれぞれ配設されていることにより、人力によって回転させた回転軸51を有する内部回転部材2の回転を外部回転部材4に伝達させる間又は外部回転部材4の回転を回転軸51を有する内部回転部材2に伝達させる間に、弾性変形部5を変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材2の外周凸部3bと外部回転部材4の内周凸部との間に弾性変形部5が配設されるので、内部回転部材2と外部回転部材4が相対的に回転する際に、外周凸部3bと内周凸部4cによって弾性変形部5を確実に圧縮変形することができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に蓄力でき、弾性変形部5の変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2及び外部回転部材4が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部5が復元する際に、弾性変形部5に貯えられた圧縮(弾性)エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材4の側板部4aが内部回転部材2の回転軸51に回動自在に挿設されるので、回転軸
【0032】
51と外部回転部材4の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材2と外部回転部材4を相対的に回転させて確実に弾性変形部5の圧縮と復元を繰り返すことができ、回転軸51を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性変形部5の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)内部回転部材2が、回転軸51が挿通固定される回転軸挿通孔3aを備えた外周凸部固定部3を有し、外周凸部3bが、外周凸部固定部3の外周に配設されているので、複数の外周凸部3bを外周凸部固定部3によって一体に取り扱うことができ、回転軸51への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(6)外側カバー部材4’によって弾性変形部5の側面を押さえることができ、弾性変形部5の圧縮時に、弾性変形部5が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部5を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
(7)内部回転部材2の複数の外周凸部3b及び外部回転部材4の複数の内周凸部4cが、それぞれ内部回転部材2の回転軸51の外周側及び外部回転部材4の外筒部4bの内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部3bと内周凸部4cが弾性変形部5を挟んで互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸51や弾性変形部5などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
(8)弾性変形部5が、内部回転部材2又は外部回転部材4の回転時に、内部回転部材2の各々の外周凸部3bと外部回転部材4の各々の内周凸部4cの間に挟まれるように内周凸部4cの一方の側面部に配設又は固定されていることにより、内部回転部材2又は外部回転部材4の回転が弾性変形部5によって規制されることがなく、回転により外周凸部3bと内周凸部4cが近づいた時に、外周凸部3bと内周凸部4cの間に挟まれた弾性変形部5を確実に圧縮変形させることができ、負荷低減の確実性に優れると共に、弾性変形部5に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる。
【0033】
(9)内部回転部材2の外周凸部3bが、弾性変形部5と接触する曲面状に形成された接触面3cを有することにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部5が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部5に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れる。
(10)内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’の間にベアリング9が配設され、内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’が互いに回動自在に保持されているので、初動時の内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’の共周りを確実に防ぐことができると共に、摩擦を低減して小さな力で回転軸51を回転させることができ、省力性、回転動作の確実性に優れる。
[0055]
実施の形態1の人力車両用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)180度の位相差で回転軸51の両端部に配設された左右のクランクアーム6を有するので、左右のクランクアーム6に配設されるペダルを漕ぐことにより、回転軸51を回転させることができるが、回転軸51の回転が外部回転部材4に伝達される間に、人力車両用回転伝達機構1によって初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、運転者の膝や足首などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、クランクアーム6の上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置で弾性変形部5が復元することによって弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、人力車両用回転伝達機構1の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等が手軽に運転することができ、日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用品としても使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
【0034】
(3)外部回転部材4の側板部4aに固設されたチェーンリング8を有することにより、弾性変形部5の変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2及び外部回転部材4とチェーンリング8が略一体となって回転するので、従来の自転車のクランク機構と同様に、チェーンリング8に張設されるチェーンによって確実に回転軸51の回転を駆動輪に伝達することができ、動力伝達の確実性、動作の信頼性に優れる。
(4)脚からの力が入り難いクランクアーム6の上死点や下死点などを通過する際に、弾性変形部5の復元によって回転軸51と共にクランクアーム6を滑らかに回転させることができ、膝や足首等に無理な力をかける必要がなく、鍛え難い膝から下の筋肉の使用量が減り、筋力の大きな大腿筋を有効利用することができ、疲労を大幅に低減でき、使用性に優れる。
(5)弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(6)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部5が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して脚部への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(7)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部5に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
[0056]
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における人力車両用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図4(a)は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の要部断面平面図であり、4(b)は図4(a)のB−B線矢視断面図であり、図5は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の要部分解斜視図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図4及び図5において、実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1Aが実
【0035】
施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Aが、外周凸部固定部3及び外周凸部3bとカバー部3dとが一体に形成され、外部回転部材4Aの側板部4aに対向配置されている点と、内部回転部材2Aの外周凸部固定部3の中央に後述する外部回転部材4Aの円筒支持部4dが挿通される円形凹部3a’が形成されている点と、外部回転部材4Aの側板部4aの中央に内部回転部材2Aの円形凹部3a’に嵌挿される円筒支持部4dが形成されている点と、外部回転部材4Aの外筒部4bの外周にチェーンリング8を固定するための4箇所のチェーンリング固定部4eが形成されている点である。
尚、図4及び図5中、9aは外部回転部材4Aの円筒支持部4dの内周に配設され回転軸51に対して外部回転部材4Aを回動自在に保持するためのベアリング、9bは内部回転部材2Aの円形凹部3a’の内周に配設され外部回転部材4Aに対して内部回転部材2Aを回動自在に保持するためのベアリングである。
[0057]
実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1Aは、実施の形態1における人力車両用回転伝達機構1に比べて部品点数を低減することができ、組立及び分解が容易で、量産性、メンテナンス性に優れる。
また、外部回転部材4Aがチェーンリング固定部4eを有することにより、簡便にチェーンリング8の交換を行ってギヤ比を変更することができ、メンテナンス性、汎用性に優れる。
[0058]
次に実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1Aの変形例について説明する。
図6(a)は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部正面図であり、図6(b)は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部断面側面図であり、図6(c)は実施の形態2における人力車両用回転伝達機構の変形例を示す要部斜視図である。尚、実施の形態2と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図6において、実施の形態2における変形例の人力車両用回転伝達機構1A’が実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1Aと異なるのは、外部回転部材4A’の外筒部4bの外周に複数のチェーンリング8b,8c,8dが着脱自在に配設されている点である。
【0036】
図6中、4b’は外筒部4bの外周に形成された凹条溝部、8eは各々のチェーンリング8b〜8dの内周側に突設され凹条溝部4b’に嵌合される固定用凸部である。
外筒部4bの凹条溝部4b’に固定用凸部8eが嵌合されることにより、外部回転部材4A’に対してチェーンリング8b〜8dが空回りすることを確実に防止できる。また、固定用凸部8eが固定ねじ8aによって外筒部4bにねじ止めされることにより、チェーンリング8b〜8dを強固に固定することができ、軸方向への位置ずれを確実に防止できる。
[0059]
尚、実施の形態2における人力車両用回転伝達機構1A及び変形例の人力車両用回転伝達機構1A’の動作は、実施の形態1における人力車両用回転伝達機構1と同様であるので、説明を省略する。
[0060]
実施の形態2の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用に加え、以下の作用を有する。
(1)内部回転部材2Aが、外部回転部材4Aの側板部4aに対向配置されるカバー部3dを有することにより、外周凸部3bや外部回転部材4Aの内周凸部4c、弾性変形部5などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
(2)カバー部3dによって弾性変形部5の側面を押さえることができ、弾性変形部5の圧縮時に、弾性変形部5が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部5を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
[0061]
実施の形態2の人力車両用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)複数のチェーンリング8b〜8dが、外部回転部材4A’の外筒部4bの外周に着脱自在に配設されている場合、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができ、汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れる。
[0062]
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における人力車両用回転伝達機構及びそれを備えた自転車について、以下図面を参照しながら説明する。
【0038】
れる。
[0066]
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における人力車両用回転伝達機構を備えた土木用等の一輪車について、以下図面を参照しながら説明する。
図8は実施の形態4における人力車両用回転伝達機構を備えた土木用等の一輪車の要部断面正面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図8中、60は実施の形態1と同様の人力車両用回転伝達機構1を備えた土木用一輪車、61は土木用一輪車60のバケット、62は土木用一輪車60の本体としてのフレーム、63はフレーム62に形設された回転軸保持部、63aは人力車両用回転伝達機構1の内部回転部材2の回転軸51を回転軸保持部63に回動自在に保持するベアリング、64は人力車両用回転伝達機構1の外部回転部材4の外周に配設された車輪部、64aはタイヤ65を取り付けるために外部回転部材4の外周に固設された車輪部64のリムである。
[0067]
実施の形態4における人力車両用回転伝達機構1の動作は、実施の形態1(図3、段落0052)で説明したように、自転車50に用いる場合と回転の順序が逆になり、先に車輪部64のタイヤ65と共に外部回転部材4が回転し、後から回転軸51を有する内部回転部材2が回転するだけなので、説明を省略する。
また、実施の形態4の人力車両用回転伝達機構を備えた土木用一輪車は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)人力車両用回転伝達機構1の内部回転部材2の回転軸51が、回転軸保持部63に回動自在に保持され、人力車両用回転伝達機構1の外部回転部材4の外周に車輪部64が配設されているので、回転軸保持部63を有するフレーム62(本体)を前後に移動させて車輪部64を回転させることにより、車輪部64と共に回転する外部回転部材4の回転を内部回転部材2の回転軸51に伝達させる間に、弾性変形部5を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の腕や足腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少す
【0040】
図9において、実施の形態5における人力車両用回転伝達機構1Cが実施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Bの外周凸部3b及び外部回転部材4Bの内周凸部4cがそれぞれ2箇所ずつ形成されている点と、弾性変形部5aの外周凸部3bとの接触面5bが球面状に膨出して形成されている点と、外部回転部材4Bの外筒部4bの内周側に各々の外周凸部3bの先端部3eを一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部4gが形成されている点である。
図9中、3fは外周凸部3bの前方側端面、3gは外周凸部3bの後方側端面、4hは回動保持凹部4gの前方側内壁、4iは回動保持凹部4gの後方側内壁である。
[0069]
実施の形態5における人力車両用回転伝達機構1Cの動作は、基本的に実施の形態1における人力車両用回転伝達機構1と同様であるが、外周凸部3bと内周凸部4cが近づくように内部回転部材2Bと外部回転部材4Bが相対的に回転した際に、一定角度だけ回転した段階で、外周凸部3bの先端部3e側の前方側端面3fが回動保持凹部4gの前方側内壁4hに当接することにより、外周凸部3bから直接、外部回転部材4Bに回転を伝達することができる。
また、外周凸部3bの後方側端面3gが回動保持凹部4gの後方側内壁4iに当接することにより、内部回転部材2Bと外部回転部材4Bが逆方向に空回りすることを防止できる。
尚、回動保持凹部4gの長さは、許容する回転角度に応じて、適宜、選択することができる。
[0070]
実施の形態5の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)外部回転部材4Bが、外筒部4bの内周側に形成され内部回転部材2Bの外周凸部3bの外周側の先端部3eを一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部4gを備えていることにより、内部回転部材2B又は外部回転部材4Bが予め設定した一定角度だけ回転した段階で、内部回転部材2Bの外周凸部3bを固定して外部回転部材4Bと内部回転部材2Bとの相対回転を止めることができ、回転軸51を有する内部回転部材2Bと外部回転部材4Bを一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性変形部5aの形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
【0041】
[0071]
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6における人力車両用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図10(a)は実施の形態6における人力車両用回転伝達機構の要部断面平面図であり、図10(b)は図10(a)のC−C線矢視断面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図10において、実施の形態6における人力車両用回転伝達機構1Dが実施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Cの外周凸部13bが板バネを用いた弾性体で形成されている点と、外周凸部固定部3の外周に突設され2箇所の空回り防止用突起13dを有する点と、外部回転部材4Cの内周凸部14が剛体で半円状に形成され2箇所の内周凸部14の内周側の端面部にストッパー部14aが突設されている点である。
図10中、13aは外周凸部固定部3の外周に放射状に形成され外周凸部13bの根元側が挿通固定される固定溝、13cは外周凸部13bの根元側の端部に断面略円形に形成され外周凸部13bの抜けを防止する固定突起部である。
[0072]
内周凸部14を半円状に形成することにより、板バネで形成された外周凸部13bが内周凸部14の円弧状の端面に沿って変形し易く、外周凸部13bの破損を防止でき、動作の安定性に優れる。尚、外側カバー部材4’によって外周凸部13bの変形が拘束されないように、外側カバー部材4’と外周凸部13bの間に隙間を設けている。
外周凸部13bの根元側を固定溝13aに挿通するだけで簡便に外周凸部13bを外周凸部固定部3に固定することができ、外周凸部13bの着脱が容易で量産性、メンテナンス性に優れる。また、固定突起部13cにより外周凸部13bが固定溝13aから抜け落ちることがなく固定安定性に優れる。
[0073]
以上のように構成された実施の形態6における人力車両用回転伝達機構の動作について説明する。
図10において、内部回転部材2C又は外部回転部材4Cが回転すると、弾性体である外周凸部13bが湾曲するように変形する。
内部回転部材2C又は外部回転部材4Cの回転の初期は外周凸部13bが弾性変形するが、変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2Cと共に外部回転部材4Cが略
【0042】
一体となって回転し、内部回転部材2Cと外部回転部材4Cの間で確実に回転を伝達することができる。
また、力の入力が途切れた時には、外周凸部13bが復元し、蓄積されたエネルギーを回転力に変換して推進力として利用することができる。
尚、複数の外周凸部13bを有するので、一部の外周凸部13bが破損して衝撃吸収力が低下しても、残りの外周凸部13bによって回転を伝達することができる。また、全ての外周凸部13bが破損した場合、衝撃を吸収することはできなくなるが、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接することにより、回転を伝達することができるので、走行不能になることはない。ストッパー部14a及び空回り防止用突起13dは、それぞれ少なくとも1つ以上あればよく、その数や配置間隔(角度)は、適宜、選択することができる。ストッパー部14a及び空回り防止用突起13dを複数設けた場合には、全てのストッパー部14aや空回り防止用突起13dが破損するまで回転を伝達することができるので、動作の信頼性をさらに高めることができる。
尚、本実施の形態では、内部回転部材2Cの外周凸部13bを弾性体(板バネ)で形成し、外部回転部材4Cの内周凸部14を剛体で形成したが、外周凸部13bを剛体で形成し、内周凸部14を弾性体(板バネ)で形成してもよい。
[0074]
実施の形態6の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)内部回転部材2Cが、回転軸51の外周に固設され回転軸51の外周側に突出する複数の外周凸部13bを有し、外部回転部材4Cが、内部回転部材2Cの外周凸部13bの側部位置で回転軸51に回動自在に挿設される側板部4aと、内部回転部材2Cの外周凸部13bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外筒部4bと、外筒部4bの内周側に突設され内部回転部材2Cの外周凸部13bと交互に配置される複数の内周凸部14と、を有し、内部回転部材2Cの外周凸部13bが弾性体で形成されていることにより、人力によって回転軸51を有する内部回転部材2C又は外部回転部材4Cを回転させ、その回転を外部回転部材4C又は回転軸51を有する内部回転部材2Cに伝達させる間に、弾性体で形成された外周凸部13bを弾性変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギ
【0043】
ーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材2Cの外周凸部13bと外部回転部材4Cの内周凸部14が交互に配置されるので、内部回転部材2Cと外部回転部材4Cが相対的に回転する際に、弾性体で形成された外周凸部13bを確実に弾性変形させることができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に蓄力でき、弾性体(外周凸部13b)の変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2C及び外部回転部材4Cが略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体(外周凸部13b)が復元する際に、弾性体(外周凸部13b)に貯えられた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材4Cの側板部4aが内部回転部材2Cの回転軸51に回動自在に挿設されるので、回転軸51と外部回転部材4Cの間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材2Cと外部回転部材4Cを相対的に回転させて確実に弾性体(外周凸部13b)の変形と復元を繰り返すことができ、回転軸51を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性体(外周凸部13b)の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)内部回転部材2Cが、回転軸51が挿通固定される回転軸挿通孔3bを備えた外周凸部固定部3を有し、外周凸部13bが、外周凸部固定部3の外周に配設されているので、複数の外周凸部13bを有する場合でも、外周凸部固定部3によって一体に取り扱うことができ、回転軸51への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(6)内部回転部材2Cの複数の外周凸部13b及び外部回転部材4Cの複数の内周凸部14が、それぞれ回転軸51の外周側及び外部回転部材4Cの外筒部4bの内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部13bと内周凸部14が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸51や外周凸部13b及び内周凸部14な
【0044】
どにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、回転位置によらず、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
(7)外部回転部材4Cは、内周凸部14が剛体で形成され2つの内周凸部14の内周側の端面部に突設されるストッパー部14aを有し、内部回転部材2Cは、外周凸部固定部3の外周に突設され内部回転部材2Cと外部回転部材4Cが相対的に設定角度以上回転した時にストッパー部14aに当接する2つの空回り防止用突起13dを備えていることにより、外周凸部13bが破損した場合でも、回転軸51又は外部回転部材4Cが所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接して外部回転部材4Cと内部回転部材2Cとの相対回転を止めることができ、回転軸51を有する内部回転部材2Cと外部回転部材4Cを一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、動作の安定性に優れる。
(8)外周凸部13bや内周凸部14が破損した場合でも、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接することにより、途切れることなく回転力を伝達し続けることができ、動作の確実性、信頼性に優れる。
(9)外周凸部13bを弾性体で形成することにより、別途、弾性変形部を設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、量産性を向上させることができる。
[0075]
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7における人力車両用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図11は実施の形態7における人力車両用回転伝達機構の要部断面側面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図11中、1Eは実施の形態7における人力車両用回転伝達機構、32は外形が矩形状に形成され回転軸51に固設された内部回転部材2Dの外周凸部固定部、32aは外周凸部固定部32に回転軸51を挿通固定するための回転軸挿通孔、33bは鋼などの金属製の板材で形成され外周凸部固定部32の各面に基部33aで固定されて回転軸51の外周に突出するように配置された内部回転部材2Dの4箇所の外周凸部、33cは1つの外周凸部33bの基部33aに延設され隣接する他の外周凸部33bの一
【0046】
図11において、回転軸51を有する内部回転部材2D又は外部回転部材4Dが回転すると、外周凸部33bと内周凸部34aの間に挟まれた弾性変形部33c及び弾性緩衝部35が弾性変形する。
回転軸51を有する内部回転部材2D又は外部回転部材4Dの回転の初期は弾性変形部33cが弾性変形するが、変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2Dと外部回転部材4Dが略一体となって回転し、内部回転部材2Dと外部回転部材4Dの間で確実に回転を伝達することができる。
尚、外周凸部33b及び内周凸部34aの形状はこれに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。また、弾性緩衝部35は実施の形態1乃至6で説明した外周凸部や内周凸部にも設けることができる。
[0078]
実施の形態7の人力車両用回転伝達機構は以上のように構成されているので、実施の形態5で得られる作用と同様の作用を有する。
[0079]
実施の形態1乃至7の人力車両用回転伝達機構は、それぞれ前述の自転車や土木用等の一輪車に限らず、台車,リヤカー,一輪車,子供用三輪車,車椅子などの様々な人力車両に組み込んで使用することができる。
従って、実施の形態1乃至7の人力車両用回転伝達機構を備えた人力車両は、以下の作用を有する。
(1)人力車両用回転伝達機構の内部回転部材の回転軸が、人力車両の回転軸保持部に回動自在に保持され、人力車両用回転伝達機構の外部回転部材の外周に車輪部が配設されるので、回転軸保持部を有する本体を前後に移動させて車輪部を回転させたり、回転軸に連設される左右のクランクアーム等によって回転軸を回転させたりすることにより、車輪部と共に回転する外部回転部材の回転を内部回転部材を通して回転軸に伝達させる間又は回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材を通して車輪部に伝達させる間に、人力車両用回転伝達機構の弾性変形部或いは弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の膝、足首、腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部或いは弾性体で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換すること
本発明は、自転車の回転軸に配設される自転車用回転伝達機構を備えた自転車に関する。
人力で車輪を回転させる自転車の場合、一旦走り出せば、小さな力で走行することができるが、発進時、加速時、登坂等の漕ぎ始めでは、特に大きな反発力を受け、入力したエネルギーの一部が、衝撃として膝、足首、腰などに跳ね返り、人体に大きな負荷を発生させるだけでなく、入力エネルギーを効率的に利用できず、推進力の低下につながっていた。そして、急発進、急加速を行う場合、急な坂道を登る場合、自転車の運転者の体重や積み荷の重量が重い場合などには、特に人体への負荷(抗力)が大きくなり、その分、必要なエネルギーも増大していた。
自転車の場合、足の上下運動をクランクによって回転運動に変換するため、特に上死点及び下死点においてスムーズに脚力を伝達することは困難であり、膝や足首への負担増加を招くと共に、トルクの途切れ、スピードの低下が発生し、低速で走行する場合には、ふらつきが発生し易く、走行の安定性が低下するという問題点があった。
そこで、従来から、自転車において、走行時の衝撃を吸収すること、回転効率の向上を図ること、推進力、加速を滑らかにして運転者の疲労を軽減すること等を目的として、様々な構造が検討されている。
例えば、(特許文献1)には、「巡航運転モードのときはペダルの回転半径が小さく、加重な負荷がかかる運転モードに入ると、抗力に対応してペダルの回転半径が自動的に伸長し、大きな回転モーメントが得られる、自動伸縮変化型クランク機構を備えた自転車」が開示されている。
(特許文献2)には、「第1フレーム部材に固定可能であり、内部に形成された収納空間と収納空間の内周面から内方に突出する少なくとも一つの第1突出部とを有する第1部材と、第2フレーム部材に固定可能であり第1部材の収納空間内に相対回転自在に配置され、外周面から外方に突出する第2突出部を有する第2部材と、第1部材と第2部材との間に両突出部で区画されて形成される2種の空間のうち一方に装着され、第1突出部と第2突出部とに保持されかつ内周面と外周面との少なくともいずれか一方との間に隙間をあけて配置され、両部材の相対回転により伸縮する第1弾性部材と、を備えた自転車用緩衝装置。」が開示されている。
(特許文献3)には、「外周に多数の歯を備えたギヤ本体と、該ギヤ本体を支持する支持体とから成り、これらギヤ本体と支持体との間に、これらギヤ本体と支持体との一方から他方に動力を伝える動力伝達部を設けて、この動力伝達部に、ギヤ本体と支持体とを所定角度相対回転可能とする隙間を設けると共に、動力伝達部と異なる部位に、隙間を保持し、かつ、ギヤ本体と支持体との相対回転時弾性変形して、隙間を吸収し、動力伝達部からの動力伝達を可能とする弾性体を設けたことを特徴とする自転車用駆動ギヤ。」が開示されている。
(特許文献4)には、「前歯車の内側周壁内に、該前歯車の回転方向と逆方向に巻装された巻バネが組み込まれて、該巻バネの作用によりペダルアームの過大踏み圧によるトルクが巻バネに蓄積され、ペダル入力の不足時には蓄積されたトルクが補足されて、ペダルによる回転効率が向上せられる構成を特徴とする自転車の動力伝達装置。」が開示されている。
(特許文献5)には、「自転車のギヤー軸に複数個のばね受け片を放射状に突設した金具を嵌着し、ばね受け片の外周縁に内周面が支えられてギヤー軸と同芯に回動する環状体を嵌装してクランクの基端部とし環状体内周面にばね押し片をばね受け片に対応するように突設し、ばね受け片とばね押し片の間にばね体を挿入配置することにより、力を受けてクランクが回転すると基端部の環状体も共にギヤー軸に先行して回転し、突設したばね押し片はばね体を圧縮し、その反力がばね受け片を押してギヤー軸を回転さすことを特徴とする自転車のクランク装置。」が開示されている。
特開2003−312581号公報 特開平11−278350号公報 特開昭64−63489号公報 特開平9−76980号公報 特開昭58−36789号公報
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の自転車は、抗力に対応してペダルの回転半径を自動的に伸長させるので、クランク機構の構造が複雑になり、部品点数が増加し、動作安定性、組立作業性、量産性に欠けるという課題を有していた。
また、抗力が大きな時にペダルの回転半径を大きくすることにより、小さな入力で大きな出力を得ることができ、漕ぎ始めなどにおける負荷を低減することはできるが、ペダルの軌跡が円軌道を描くことができず、無理な漕ぎ方をする必要があるため、膝や足首などに大きな負担がかかるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)の自転車用緩衝装置は、第1フレーム部材又は第2フレーム部材に路面から衝撃が作用すると、第1部材と第2部材とが相対回転し、両突出部で区画される空間の一方に装着された第1弾性部材が両突出部に挟まれて圧縮変形して弾性復元力が発生し衝撃が吸収されるものであるが、サスペンション組立体が外側部材によって主フレーム部材に固定されているため、クランクの初動時の衝撃エネルギーを吸収して蓄積し、蓄積されたエネルギーを弾性体の復元時に回転力に変換して推進力として有効に利用することができず、回転効率や加速性の向上、回転トルクの均一化などに関しては考慮されていなかった。
(3)(特許文献3)の自転車用駆動ギヤは、踏込み開始時の駆動力による衝撃を緩和することを目的としており、弾性体を動力伝達部と異なる部位でギヤ本体と支持体との間に設け、弾性体を捩るように変形させる構造であるため、弾性体が変形し難く、エネルギーを蓄積し難いので、弾性体の復元を有効に回転力に変換することが困難で、エネルギーの有効利用性に欠けるという課題を有していた。
また、部品点数が多く、構造が複雑で量産性に欠けると共に、ギヤ本体と支持体が弾性体を介して一体化されているため、ギヤ本体や弾性体を交換することが困難であり、メンテナンス性に欠けるという課題を有していた。
(4)(特許文献4)の自転車の動力伝達装置は、ペダルの過大踏み圧によるトルクを蓄積し、蓄積されたトルクをペダル入力の不足時に補足して踏み圧入力を安定化してペダルによる回転効率の向上を図ること、推進、加速を滑らかにして疲労を軽減することを目的としているが、トルクの蓄積、補足をゼンマイ(板バネ)状バネやコイル状バネなどの巻バネによって行っているため、巻バネを巻き終わってトルクが蓄積されるまでに時間がかかり、その間はペダル軸が前歯車に対して空回りして動力を伝達することができず、著しく使用性に欠けるという課題を有していた。
また、巻バネが破損した場合、ペダル軸から前歯車に動力を伝達することができず、走行不能になるため、動力伝達の確実性、安定性に欠けるという課題を有していた。
(5)(特許文献5)の自転車のクランク装置は、クランクの基端部である環状体の内周面が、ばね受け片の外周縁に支えられているので、環状体の内周面とばね受け片の外周縁との間の摩擦力により、クランクとギヤー軸が共周りし易く、環状体をギヤー軸に先行して回転させることが困難で、ばね体を確実に圧縮することができず、動作安定性に欠け、上死点での蓄力(衝撃エネルギーの吸収)と下死点での復元が十分に行われず、回転効率や加速性の向上、回転トルクの均一化の効果が不十分であるという課題を有していた。
また、ギヤー軸の両端にクランク装置を取り付けなければならないため、部品点数が増加し、装置全体が複雑化、大型化し、省スペース性、量産性に欠けると共に、両端のクランクの位相によってギヤー軸に捩れが発生し、入力されたエネルギーの蓄力や蓄力されたエネルギーの回転力への変換を効率的に行うことができず、耐久性、動作安定性、効率性に欠けるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、人力によって車輪を回転させて走行する自転車の回転軸に配設することにより、発進,加速,登坂等の初動時や走行中に外部から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、人体への負荷を大幅に低減できると共に、蓄えたエネルギーを入力エネルギーが減少した時或いは途切れた時に回転軸の回転に無駄なく有効に利用することができ、回転伝達の確実性、効率性に優れ、部品点数の少ない簡素な構成で軽量化を図ることができ、分解や組立が容易でメンテナンス性、生産性に優れ、既存の自転車に簡便に組込むことができ、量産性、組立作業性、省スペース性、汎用性に優れる自転車用回転伝達機構を備えることにより、使用者の足腰などにかかる負荷を低減することができ、重い荷物を運搬する際や体重の重い人を乗せた際にも、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性に優れ、複雑な操作が不要で、運転者の膝や足首などにかかる負荷を低減することができ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、坂道や抵抗の大きな道でも楽に走行することができる日用品としてだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性に優れ、リハビリ用や競技用としても使用することができ、動作の安定性、取り扱い性、汎用性に優れた自転車の提供を目的とする。
上記課題を解決するために本発明の自転車は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の自転車は、回転軸を有する内部回転部材前記内部回転部材の前記回転軸に回動自在に配設される外部回転部材を有する自転車用回転伝達機構と、前記自転車用回転伝達機構の前記内部回転部材の前記両端部に180度の位相差で配設される左右のクランクアームと、前記クランクアームの端部に回動自在に配設されるペダルと、を備えた自転車であって、前記内部回転部材が、前記回転軸と一体に形成され又は前記回転軸の外周に固設され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有し、前記外部回転部材が、前記内部回転部材の前記外周凸部の側部位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と、前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と、前記外筒部の内周側に突出するように前記側板部及び/又は前記外筒部と一体に形成され或いは前記側板部及び/又は前記外筒部に固定され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、を有し、前記外部回転部材の前記側板部又は前記外筒部にチェーンリングが形設又は固設され、前記外周凸部と前進する際の前記外周凸部の回転方向側の前記内周凸部との間に弾性変形部が配設され、前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に回転する際に、前記弾性変形部が、前記外周凸部と前記内周凸部の間に挟まれて弾性変形する構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、回転軸と一体に形成され又は回転軸の外周に固設され回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有し、外部回転部材が、内部回転部材の外周凸部の側部位置で回転軸に回動自在に挿設される側板部と、内部回転部材の外周凸部の外側で回転軸と同心円状に側板部の外周に立設される外筒部と、外筒部の内周側に突出するように側板部及び/又は外筒部と一体に形成され或いは側板部及び/又は外筒部に固定され内部回転部材の外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、を有し、外周凸部と前進する際の外周凸部の回転方向側の内周凸部との間に弾性変形部が配設されていることにより、人力によって回転させた回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材に伝達させる間に弾性変形部を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)外周凸部と前進する際の外周凸部の回転方向側の内周凸部との間に弾性変形部が配設されるので、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に、外周凸部と内周凸部によって弾性変形部を確実に圧縮変形することができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に蓄力でき、弾性変形部の変形後は、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部が復元する際に、弾性変形部に貯えられた圧縮(弾性)エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材の側板部が内部回転部材の回転軸に回動自在に挿設されるので、回転軸と外部回転部材の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材と外部回転部材を相対的に回転させて確実に弾性変形部の圧縮と復元を繰り返すことができ、回転軸を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性変形部の復元エネルギーによってトルクを補うことができるので、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)外周凸部と前進する際の外周凸部の回転方向側の内周凸部との間に弾性変形部が配設されていることにより、回転により外周凸部と内周凸部が近づいた時に、外周凸部と内周凸部の間に挟まれた弾性変形部を確実に圧縮変形させることができ、負荷低減の確実性に優れると共に、弾性変形部に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる。
(6)回転軸に連設される左右のクランクアームによって回転軸を回転させることにより、回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材を通して車輪部に伝達させる間に、弾性変形部を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の膝、足首、腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性変形部に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(7)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、自転車用回転伝達機構の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、子供から大人まで日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用等の様々な用途に使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(8)弾性変形部に貯えられていた弾性エネルギーを入力エネルギーが減少する位置や上死点や下死点などの入力エネルギーが途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(9)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して人体への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(10)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
(11)180度の位相差で回転軸の両端部に配設された左右のクランクアームを有するので、左右のクランクアームに配設されるペダルを漕ぐことにより、回転軸を回転させることができるが、回転軸の回転が外部回転部材に伝達される間に、自転車用回転伝達機構によって初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、運転者の膝や足首などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、クランクアームの上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置で弾性変形部が復元することによって弾性変形部に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(12)外部回転部材の側板部又は外筒部に形設又は固設されたチェーンリングを有することにより、弾性変形部の変形後は、回転軸及び外部回転部材とチェーンリングが略一体となって回転するので、従来の自転車のクランク機構と同様に、チェーンリングに張設されるチェーンによって確実に回転軸の回転を駆動輪に伝達することができ、動力伝達の確実性、動作の信頼性に優れる。
(13)脚からの力が入り難いクランクアームの上死点や下死点などを通過する際に、弾性変形部の復元によって回転軸と共にクランクアームを滑らかに回転させることができ、膝や足首等に無理な力をかける必要がなく、鍛え難い膝から下の筋肉の使用量が減り、筋力の大きな大腿筋を有効利用することができ、疲労を大幅に低減でき、使用性に優れる。
ここで、外周凸部は回転軸と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを既存の回転軸に取り付けてもよい。また、内周凸部は、側板部や外筒部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。内周凸部と側板部や外筒部が一体化された外部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性に優れる。特に、内周凸部を側板部及び外筒部と一体に形成した場合、内周凸部の耐久性、生産性に優れる。外周凸部及び内周凸部の数は適宜、選択することができるが、それぞれ1箇所乃至8箇所ずつ形成することが好ましい。外周凸部及び内周凸部の数が8箇所より大きくなるにつれ、各々の外周凸部及び内周凸部の円周方向の幅が小さくなって強度が低下し、加工性、耐久性が低下し易くなる傾向があり、好ましくない。
弾性変形部は、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に弾性変形し、変形後は内部回転部材と外部回転部材の間で回転を伝達できるものであればよく、弾性変形部の変形量、弾性率などは、使用者の好みに応じて、適宜、選択することができる。具体的には、外周凸部と内周凸部の間に配設された合成ゴムや板バネ、或いは外周凸部と内周凸部の間に封入された気体などの弾性体を圧縮変形させるものが好適に用いられる。
弾性変形部として合成ゴムを使用する場合は、外周凸部と前進する際の外周凸部の回転方向側の内周凸部との間に隙間なく合成ゴムを充填するようにしてもよいし、外周凸部又は内周凸部のいずれか一方の側面に合成ゴムを貼着や嵌合などにより固定してもよい。また、金属で形成された外周凸部を芯材として、インサート成型により、外周凸部の外周に合成ゴム製の弾性変形部を一体に形成すれば、部品点数を減らすことができ、量産性に優れる。また、このとき、内周凸部に当接する側の弾性変形部の厚味を厚くしたり、曲面状や波形などの接触面を形成したりして、弾性変形部のクッション性を効果的に高めることができる。
尚、外周凸部又は内周凸部と合成ゴム製の弾性変形部との間に隙間を形成した場合、外周凸部又は内周凸部と弾性変形部が接触するまでの間は、回転軸を有する内部回転部材又は外部回転部材の回転が弾性変形部によって規制されることがなく、無負荷で回転軸を有する内部回転部材又は外部回転部材を回転させることができるので、回転力を付け易く、容易に急速回転させることができ、加速性に優れる。弾性変形部として、弾性率等の材質の異なる合成ゴムを組合せることや合成ゴムと板バネを組合せること等もでき、隙間を形成する代わりに、弾性率の低い合成ゴムを組合せてもよい。尚、合成ゴムとしては、反発性の高いブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が好適に用いられる。弾性変形部に蓄えられたエネルギーを復元力によって有効に利用することができ、エネルギー利用の効率性に優れるためである。
この自転車用回転伝達機構は、自転車の回転軸部分に組み込むことにより、内部回転部材の回転軸から入力された回転力を外部回転部材から出力するので、定常回転の状態では、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が一体に回転するが、初動時の負荷や回転途中に受ける外力などによって生じる衝撃力を低減し、そのエネルギーを弾性変形部に蓄積するために、回転の初期或いは回転途中に大きな負荷を受けた時は、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材とを相対的に回転させ、弾性変形部を確実に変形させる必要がある。そのため、回転軸を有する内部回転部材に対して外部回転部材は回動自在に保持される。特に内部回転部材と外部回転部材との接触部にベアリングを配設した場合、これらの共周りを確実に防ぐことができると共に、摩擦を低減して小さな力で回転軸を有する内部回転部材又は外部回転部材を回転させることができ、省力性、回転動作の確実性、耐久性に優れる。
この自転車用回転伝達機構は、従来の自転車に組み込むことができる。尚、自転車用回転伝達機構の内部回転部材の外周凸部を回転軸と一体に形成する場合は、既存の回転軸と交換して組み込むことができ、外周凸部を別部材で形成する場合は、自転車用回転伝達機構として既存の回転軸に装着することができる。
回転軸の長手方向の中央部に自転車用回転伝達機構を配設し、回転軸の両端部にペダルを備えたクランクアームを配設する。これにより、クランクアームと共に回転軸を回転させることができ、その回転が内部回転部材から外部回転部材に伝達される間に、弾性変形部が変形し、人体への負荷が低減されるだけでなく、弾性変形部で吸収した衝撃エネルギーを有効に外部回転部材の回転に利用することができる。このとき、外部回転部材の側板部の側部や外筒部の外周部に固設或いは形設されたチェーンリングからチェーンを介して後輪側のスプロケットへと伝達させて、自転車の推進力を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自転車であって、前記自転車用回転伝達機構の前記外部回転部材が、前記側板部と対向して前記外筒部の開口部に覆設され前記内部回転部材の前記回転軸に回動自在に保持される外側カバー部材を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外側カバー部材によって弾性変形部の側面を押さえることができ、弾性変形部の圧縮時に、弾性変形部が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の自転車であって、前記自転車用回転伝達機構の前記内部回転部材が、前記回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部と、前記外部回転部材の前記側板部に対向配置されるカバー部と、を有し、前記外周凸部が、前記外周凸部固定部の外周に形設されている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部を有し、外周凸部が、外周凸部固定部の外周に形設されているので、複数の外周凸部を有する場合でも、外周凸部固定部によって一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱が容易で、既存の自転車に簡便に組み込むことができ、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(2)内部回転部材が、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部を有することにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部、弾性変形部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
(3)カバー部によって弾性変形部の側面を押さえることができ、弾性変形部の圧縮時に、弾性変形部が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
ここで、カバー部は、外周凸部固定部や外周凸部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。カバー部と外周凸部固定部や外周凸部が一体化された内部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性、生産性に優れると共に、外周凸部をカバー部で強固に保持することができ、耐久性に優れる。また、部品を一体化することにより、歪みやガタの発生する箇所が少なくなり、組立精度が向上し、動作の安定性、耐久性に優れる。
内部回転部材の複数の外周凸部及び外部回転部材の複数の内周凸部を、それぞれ回転軸の外周側及び外部回転部材の外筒部の内周側に放射状に配設した場合、外周凸部と内周凸部が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸や外周凸部及び内周凸部などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて変動の少ない安定した回転を実現することができ、動作の安定性に優れる。
尚、外周凸部及び内周凸部の形状は、適宜、選択することができる。外周凸部及び内周凸部は、回転軸の外周表面及び外部回転部材の外筒部の内周表面から直線状に突出させて略扇形に形成してもよいし、円弧を描くように曲線状に形成してもよい。外周凸部又は内周凸部の弾性変形部との接触面を曲面状や波形に形成した場合、弾性変形部との接触面積を拡大することができ、弾性変形部のクッション性を高めて、衝撃吸収性を向上させることができる。また、弾性変形部に貯えられる圧縮エネルギーを増加させることができ、弾性変形部が復元する際に大きな回転力を発生させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の自転車であって、前記自転車用回転伝達機構の前記内部回転部材の前記外周凸部又は前記外部回転部材の前記内周凸部が、前記弾性変形部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有するか、或いは前記弾性変形部が、前記内部回転部材の前記外周凸部又は前記外部回転部材の前記内周凸部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有する構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部が、弾性変形部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有するか、或いは弾性変形部が、内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有することにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れる。
ここで、外周凸部又は内周凸部或いは弾性変形部の接触面を曲面状に形成する場合、弾性変形部が変形し易くなるように、外方に向かって膨出させた形状が好ましい。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の自転車であって、前記自転車用回転伝達機構の前記外部回転部材が、前記外筒部の内周側に形成され前記内部回転部材の前記外周凸部の外周側の先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外部回転部材が、外筒部の内周側に形成され内部回転部材の外周凸部の外周側の先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部を備えていることにより、内部回転部材が予め設定した一定角度だけ回転した段階で、内部回転部材の外周凸部を固定して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性変形部の形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
ここで、回動保持凹部は外部回転部材の外筒部の内周に沿って凹条に形成することができる。外周凸部の先端部を回動保持凹部の中に嵌入することにより、内部回転部材又は外部回転部材が所定の角度だけ回転した段階で、外周凸部の先端側の側部端面が回動保持凹部の内壁に当接するので、弾性変形部の圧縮状態に関わらず、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材が一体となって回転を開始する。
尚、外周凸部の外周面に回動保持凹部を形成し、外部回転部材の外筒部の内周側に回動保持凹部に嵌入される突起部を形成しても同様の効果が得られる。
内周凸部、外周凸部、弾性変形部を着脱自在とした場合、各々の数や寸法、弾性変形部の弾性率などを選択するだけで、クッション性の強弱や弾性変形部の変形量を、使用者の好みなどに応じて、簡便に調整でき、汎用性に優れる。
本発明の請求項6に記載の自転車は、回転軸を有する内部回転部材前記内部回転部材の前記回転軸に回動自在に配設される外部回転部材を有する自転車用回転伝達機構と、前記自転車用回転伝達機構の前記内部回転部材の前記両端部に180度の位相差で配設される左右のクランクアームと、前記クランクアームの端部に回動自在に配設されるペダルと、を備えた自転車であって、前記内部回転部材が、前記回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部と、前記外周凸部固定部の外周に形設され前記回転軸の外周側に突出する弾性体で形成された1以上の外周凸部と、前記外周凸部固定部の外周に突設された少なくとも1つの空回り防止用突起と、を有し、前記外部回転部材が、前記内部回転部材の前記外周凸部の側部位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と、前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と、前記外筒部の内周側に突出するように前記側板部及び/又は前記外筒部と一体に形成され或いは前記側板部及び/又は前記外筒部に固定され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、少なくとも1つの前記内周凸部の内周側の端面部に突設されるストッパー部又は前記外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部と、を有し、前記外部回転部材の前記側板部又は前記外筒部にチェーンリングが形設又は固設され、前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に設定角度以上回転した時に前記内部回転部材の前記空回り防止用突起が前記外部回転部材の前記ストッパー部に当接する構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部と、外周凸部固定部の外周に形設され回転軸の外周側に突出する弾性体で形成された1以上の外周凸部を有し、外部回転部材が、内部回転部材の外周凸部の側部位置で回転軸に回動自在に挿設される側板部と、内部回転部材の外周凸部の外側で回転軸と同心円状に側板部の外周に立設される外筒部と、外筒部の内周側で側板部及び/又は外筒部と一体に形成され或いは側板部及び/又は外筒部に固定され内部回転部材の外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、を有していることにより、人力によって回転させた回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材に伝達させる間に、弾性体で形成された外周凸部を弾性変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材の外周凸部と外部回転部材の内周凸部が交互に配置されるので、内部回転部材と外部回転部材が相対的に回転する際に、弾性体で形成された外周凸部を確実に弾性変形させることができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に蓄力でき、弾性体の変形後は、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体が復元する際に、弾性体に貯えられた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材の側板部が内部回転部材の回転軸に回動自在に挿設されるので、回転軸と外部回転部材の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材と外部回転部材を相対的に回転させて確実に弾性体の変形と復元を繰り返すことができ、回転軸を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性体の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)外周凸部を弾性体で形成することにより、別途、弾性変形部を設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、量産性を向上させることができる。
(6)回転軸に連設される左右のクランクアームによって回転軸を回転させることにより、回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材を通して車輪部に伝達させる間に、弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の膝、足首、腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性体で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(7)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、自転車用回転伝達機構の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、子供から大人まで日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用等の様々な用途に使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(8)弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを入力エネルギーが減少する位置や上死点や下死点などの入力エネルギーが途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(9)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性体が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して人体への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(10)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性体に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
(11)180度の位相差で回転軸の両端部に配設された左右のクランクアームを有するので、左右のクランクアームに配設されるペダルを漕ぐことにより、回転軸を回転させることができるが、回転軸の回転が外部回転部材に伝達される間に、自転車用回転伝達機構によって初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、運転者の膝や足首などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、クランクアームの上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置で弾性体で形成された外周凸部が復元することによって弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(12)外部回転部材の側板部又は外筒部に形設又は固設されたチェーンリングを有することにより、弾性体の変形後は、回転軸及び外部回転部材とチェーンリングが略一体となって回転するので、従来の自転車のクランク機構と同様に、チェーンリングに張設されるチェーンによって確実に回転軸の回転を駆動輪に伝達することができ、動力伝達の確実性、動作の信頼性に優れる。
(13)脚からの力が入り難いクランクアームの上死点や下死点などを通過する際に、弾性体の復元によって回転軸と共にクランクアームを滑らかに回転させることができ、膝や足首等に無理な力をかける必要がなく、鍛え難い膝から下の筋肉の使用量が減り、筋力の大きな大腿筋を有効利用することができ、疲労を大幅に低減でき、使用性に優れる。
(14)内部回転部材が、回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部を有し、外周凸部が、外周凸部固定部の外周に形設されているので、複数の外周凸部を有する場合でも、外周凸部固定部によって一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(15)内部回転部材が、外周凸部固定部の外周に突設された少なくとも1つの空回り防止用突起を有し、外部回転部材が、少なくとも1つの内周凸部の内周側の端面部に突設されるストッパー部又は外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部を有することにより、内部回転部材又は外部回転部材が所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部と空回り防止用突起が当接して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性体の形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
(16)外周凸部や内周凸部が破損した場合でも、ストッパー部と空回り防止用突起が当接することにより、途切れることなく回転力を伝達し続けることができ、動作の確実性、信頼性に優れる。
ここで、内周凸部は剛体で形成するが、側板部や外筒部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。内周凸部と側板部や外筒部が一体化された外部回転部材は、組立や分解が容易で取扱い性に優れる。特に、内周凸部を側板部及び外筒部と一体に形成した場合、内周凸部の耐久性、生産性に優れる。尚、内周凸部が弾性体で形成されている場合は、側板部によって内周凸部の変形が拘束されないように、側板部と内周凸部の間に隙間を設けることが好ましい。
外周凸部を弾性体で形成する場合、合成ゴムや板バネが好適に用いられる。外周凸部を合成ゴムで形成する場合は、内部に金属製や合成樹脂製の芯材を設けてもよい。また、外周凸部を板バネで形成する場合、外周凸部固定部の外周に固定溝を形成し、板バネの根元側を固定溝に挿通して固定するものが好ましい。板バネで形成された外周凸部の着脱が容易で量産性、メンテナンス性に優れるためである。尚、板バネで形成された外周凸部の根元側の端部に段差部や突起部を形成することにより、固定溝から抜け落ちることがなく固定安定性に優れる。
内周凸部を剛体で形成し、外周凸部を板バネで形成する場合、剛体の内周凸部の先端側の端部を円弧状に形成することが好ましい。板バネが剛体の円弧状の端面に沿って変形し易く、板バネの破損を防止でき、動作の安定性に優れるためである。
外周凸部及び内周凸部の数は適宜、選択することができるが、それぞれ1箇所乃至8箇所ずつ形成することが好ましい。外周凸部及び内周凸部の数が8箇所より大きくなるにつれ、外周凸部及び内周凸部の間隔が密になり、加工性、組立作業性が低下し易くなる傾向があり、好ましくない。
この自転車が請求項1の自転車と異なるのは、自転車用回転伝達機構の外周凸部が弾性体で形成されている点であり、請求項1の自転車と同様に、自転車の回転軸部分に組み込むことができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の自転車であって、前記自転車用回転伝達機構の前記外部回転部材が、前記側板部と対向して前記外筒部の開口部に覆設され前記内部回転部材の前記回転軸に回動自在に保持される外側カバー部材を備えている構成を有している。
この構成により、請求項6の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外部回転部材の側板部に対向配置される外側カバー部材を設けることにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の人力車両用回転伝達機構であって、前記自転車用回転伝達機構の前記内部回転部材が、前記外部回転部材の前記側板部に対向配置されるカバー部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項6又は7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内部回転部材が、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部を有することにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
ここで、カバー部は、外周凸部固定部と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを取り付けてもよい。
弾性体で形成される外周凸部は、カバー部によって外周凸部の変形が拘束されないように、カバー部と外周凸部の間に隙間を設けることが好ましい。この場合、カバー部を外部回転部材の開口部に覆設される外側カバー部材として回転軸に回動自在に配置してもよい。
ここで、ストッパー部及び空回り防止用突起は、それぞれ少なくとも1つ以上あればよく、その数や配置間隔(角度)は、適宜、選択することができる。ストッパー部及び空回り防止用突起を複数設けた場合、全てのストッパー部や空回り防止用突起が破損するまで回転を伝達することができ、動作の信頼性を高めることができる。
尚、内部回転部材の複数の外周凸部及び外部回転部材の複数の内周凸部が、それぞれ回転軸の外周側及び外部回転部材の外筒部の内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部と内周凸部が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸や外周凸部及び内周凸部などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、回転位置によらず、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の内いずれか1項に記載の自転車であって、前記チェーンリングが、前記自転車用回転伝達機構の前記外部回転部材の前記外筒部の外周に着脱自在に複数配設されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至8の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)チェーンリングが、外部回転部材の外筒部の外周に着脱自在に複数配設されていることにより、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができ、汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れる。
ここで、チェーンリングを固定する手段としては、雌ねじ部が形設されたチェーンリング固定片を外部回転部材の外筒部の外周に配設しておき、チェーンリングとチェーンリング固定片をねじ止めで固定してもよいし、外部回転部材の外筒部の外周に凹条溝部を形成しておき、チェーンリングの内周側に突設した固定用凸部を嵌合させ、ねじ止めなどで固定してもよい。
路面の凹凸などにより自転車がバウンドする際に、自転車用回転伝達機構は、自転車のフレームと共に上下動(振動)するが、運転者の脚によってクランクアームに取り付けられるペダルが下方に押し下げられるため、弾性変形部或いは弾性体が圧縮と復元を繰り返し、衝撃を吸収すると共に、その衝撃エネルギーを回転エネルギーに変換して推進力として利用することができ、地形の変化の影響を受け難く、使用性に優れる。
尚、自転車用回転伝達機構は、駆動輪側の回転軸に設けることもできる。また、自転車用回転伝達機構に電動アシスト機構を併用した場合、定常走行状態での負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
以上のように、本発明の自転車によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)人力によって回転軸を有する内部回転部材を回転させる回転初期に、回転軸の外周側に回転軸と一体に形成又は固設される外周凸部と、外部回転部材の外筒部の内周側に突設される内周凸部と、の間に配設される弾性変形部を変形させることにより、初動に必要な負荷を低減することができるだけでなく、入力したエネルギーの一部(過大なエネルギー)を弾性変形部に確実に吸収して蓄えることができ、弾性変形部の変形後は、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部が復元する際に、弾性変形部に貯えられたエネルギーを推進力として有効に利用することができ、動力伝達の効率性、動作の安定性に優れた自転車を提供することができる。
(2)内部回転部材の回転時に、外周凸部と内周凸部の間に挟まれた弾性変形部を確実に圧縮変形することができ、負荷低減の信頼性に優れると共に、弾性変形部に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる効率性に優れた自転車を提供することができる。
(3)回転軸に連設される左右のクランクアームによって回転軸を回転させ、外部回転部材と内部回転部材を相対的に回転させることにより、弾性変形部を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、使用者の膝、足首、腰などにかかる負荷を大幅に低減できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部が復元することによって弾性変形部に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換し、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができる加速性、低速走行時の走行安定性、使用性に優れた自転車を提供することができる。
(4)発進、加速、登坂等の際のペダルの漕ぎ始めや走行中に外部から受ける衝撃などによって両足の膝や足首などにかかる負荷を大幅に低減できるだけでなく、弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換してトルクの変動を抑えることができ、ペダリングに特別な技術を要することなく、クランクアームの上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置においても確実かつスムーズに動力を伝達し、坂道の角度や長さなどの地形の変化にも柔軟に対応することができ、動力伝達の効率性、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、日用品として使用できる以外に、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用品としても使用することができる汎用性、取り扱い性に優れた自転車を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外側カバー部材によって弾性変形部の側面を押さえることができ、弾性変形部の圧縮時に、弾性変形部が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)回転軸の外周に挿通固定される外周凸部固定部の外周に外周凸部が形設されていることにより、複数の外周凸部を外周凸部固定部と一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱を容易に行うことができると共に、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部によって外周凸部や外部回転部材の内周凸部、弾性変形部などを外力や異物の侵入などから確実に保護することができ、組立及び分解の作業性、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れた自転車を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部が、弾性変形部と接触する接触面或いは弾性変形部が、内部回転部材の外周凸部又は外部回転部材の内周凸部と接触する接触面が、曲面状又は波形に形成されていることにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れた自転車を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部回転部材の外筒部の内周側に形成された回動保持凹部により、外周凸部の可動範囲を一定角度範囲に保つことができ、弾性変形部が必要以上に変形したり、内部回転部材が逆回転したりすることがなく、内部回転部材が予め設定した一定角度だけ回転した段階で、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができる動作の安定性、量産性に優れた自転車を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)内部回転部材の外周凸部固定部の外周に形設される外周凸部が弾性体で形成されていることにより、人力によって回転軸を有する内部回転部材を回転させている途中に、弾性体で形成された外周凸部を弾性変形させて負荷を低減することができるだけでなく、入力したエネルギーの一部(過大な入力エネルギー)を弾性体で確実に吸収して蓄えることができ、弾性体の変形後は、回転軸を有する内部回転部材及び外部回転部材が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体が復元する際に、弾性体に貯えられたエネルギーを推進力として有効に利用することができ、動力伝達の効率性、動作の安定性に優れた自転車を提供することができる。
(2)回転軸の外周に挿通固定される外周凸部固定部の外周に外周凸部が配設されていることにより、複数の外周凸部を外周凸部固定部と一体に取り扱うことができ、回転軸への着脱を容易に行うことができ、組立及び分解の作業性、動作安定性、メンテナンス性に優れた自転車を提供することができる。
(3)剛体で形成された内周凸部の少なくとも1つの内周側の端面部に突設されるストッパー部又は外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部と、外周凸部固定部の外周に突設される少なくとも1つの空回り防止用突起を備えていることにより、内部回転部材が所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部と空回り防止用突起が当接して外部回転部材と内部回転部材との相対回転を止めることができ、回転軸を有する内部回転部材と外部回転部材を一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性体の形状や物性のばらつきを吸収することができる動作の安定性に優れた自転車を提供することができる。
(4)回転軸に連設される左右のクランクアームによって回転軸を回転させ、外部回転部材と内部回転部材を相対的に回転させることにより、弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、使用者の膝、足首、腰などにかかる負荷を大幅に低減できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性体で形成された外周凸部が復元することによって弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換し、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができる加速性、低速走行時の走行安定性、使用性に優れた自転車を提供することができる。
(5)発進、加速、登坂等の際のペダルの漕ぎ始めや走行中に外部から受ける衝撃などによって両足の膝や足首などにかかる負荷を大幅に低減できるだけでなく、弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換してトルクの変動を抑えることができ、ペダリングに特別な技術を要することなく、クランクアームの上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置においても確実かつスムーズに動力を伝達し、坂道の角度や長さなどの地形の変化にも柔軟に対応することができ、動力伝達の効率性、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、日用品として使用できる以外に、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用品としても使用することができる汎用性、取り扱い性に優れた自転車を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部回転部材の側板部に対向配置される外側カバー部材を設けることにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項6又は7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)内部回転部材が、外部回転部材の側板部に対向配置されるカバー部を有することにより、外周凸部や外部回転部材の内周凸部などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至8の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部回転部材の外筒部の外周に複数のチェーンリングを着脱自在に配設することにより、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができる汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れた自転車を提供することができる。
(a)実施の形態1における自転車用回転伝達機構を備えた自転車の要部断面平面図(b)図1(a)のA−A線矢視断面図 実施の形態1における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部分解斜視図 実施の形態1における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の部分破断分解斜視図 (a)実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部断面平面図(b)図4(a)のB−B線矢視断面図 実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部分解斜視図 (a)実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の変形例を示す要部正面図(b)実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の変形例を示す要部断面側面図(c)実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の変形例を示す要部斜視図 (a)実施の形態3における自転車用回転伝達機構を備えた自転車の要部模式側面図(b)実施の形態3における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部模式正面図 参考例1における土木用一輪車の要部断面正面図 実施の形態4における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部断面側面図 (a)実施の形態5における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部断面平面図(b)図10(a)のC−C線矢視断面図 実施の形態6における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部断面側面図 実施例1と比較例1における速度と加速率の時間変化を示した図 実施例2と比較例2における速度と加速率の時間変化を示した図 実施例3と比較例3における速度と加速率の時間変化を示した図 実施例4と比較例4における速度と加速率の時間変化を示した図
1,1A,1A’,1B,1C,1D,1E 自転車用回転伝達機構
2,2A,2B,2C,2D 内部回転部材
3,32 外周凸部固定部
3a,32a 回転軸挿通孔
3a’ 円形凹部
3b,13b,33b 外周凸部
3c,5b,34b 接触面
3d カバー部
3e 先端部
3f 前方側端面
3g 後方側端面
4,4A,4A’,4B,4C,4D 外部回転部材
4’ 外側カバー部材
4a 側板部
4a’ 挿通孔
4b,4f,34 外筒部
4b’ 凹条溝部
4c,14,34a 内周凸部
4d 円筒支持部
4e チェーンリング固定部
4g,34c 回動保持凹部
4h 前方側内壁
4i,34d 後方側内壁
5,5a,33c 弾性変形部
6 クランクアーム
7 クランクアーム固定部
8,8b,8c,8d チェーンリング
8a 固定ねじ
8e 固定用凸部
9,9a,9b,52a,63a ベアリング
13a 固定溝
13c 固定突起部
13d 空回り防止用突起
14a ストッパー部
33a 基部
35 弾性緩衝部
50,50A 自転車
51 回転軸
52,63 回転軸保持部
53,54,62 フレーム
55a 駆動制御部
56 駆動軸
57 プーリー
58 動力伝達部材
59 駆動検出センサ
60 土木用一輪車
61 バケット
64 車輪部
64a リム
65 タイヤ
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における自転車用回転伝達機構を備えた自転車について、以下図面を参照しながら説明する。
図1(a)は実施の形態1における自転車用回転伝達機構を備えた自転車の要部断面平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線矢視断面図であり、図2は実施の形態1における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部分解斜視図であり、図3は実施の形態1における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の部分破断分解斜視図である。
図1中、1は実施の形態1における自転車50に配設された自転車用回転伝達機構、2は回転軸51に固設される外周凸部固定部3と回転軸51の外周側に突出するように外周凸部固定部3と一体に軸対称に形成された4箇所の外周凸部3bを有する自転車用回転伝達機構1の内部回転部材、3aは外周凸部固定部3に回転軸51を挿通固定するための回転軸挿通孔、3c(図2)は後述する弾性変形部と接触する曲面状に形成された外周凸部3bの接触面、4’(図2)は中央部に回転軸51を挿通するための挿通孔4a’が穿設され後述する外筒部4bの開口部に覆設される外部回転部材4の外側カバー部材、4aは回転軸51に回動自在に挿設される外部回転部材4の側板部、4bは内部回転部材2の外周凸部3bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外部回転部材4の外筒部、4cは外筒部4bの内周側に突出するように側板部4a及び/又は外筒部4bと一体に形成又は接着剤やビス等で固定され内部回転部材2の外周凸部3bと交互に配置される外部回転部材4の4箇所の内周凸部、5は各々の外周凸部3b又は内周凸部4cの一方の側面部に配設され固定又は接着されて回転軸51の回転時に外周凸部3bと内周凸部4cで挟まれて圧縮される自転車用回転伝達機構1の合成ゴム製の弾性変形部、6は回転軸51の両端部に180度の位相差で配置された左右のクランクアーム、7は回転軸51にクランクアーム6を固定するクランクアーム固定部、8は外部回転部材4の側板部4aに固定ねじ8aで固設された自転車50のチェーンリング、9は外部回転部材4及びチェーンリング8を回転軸51に回動自在に保持するためのベアリング、52は自転車用回転伝達機構1が配設される自転車50のフレームに形設された回転軸保持部、52aは自転車用回転伝達機構1の内部回転部材2の回転軸51を回転軸保持部52に回動自在に保持するベアリングである。
尚、クランクアーム6の端部には回動自在なペダル(図示せず)が配設されている。
以上のように構成された実施の形態1における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の動作について、図1及び図3を用いて説明する。
図1において、運転者がクランクアーム6の端部に配設されたペダル(図示せず)を踏むと、クランクアーム6と共に回転軸51の外周に突設された外周凸部3bが矢印aの方向に回転する。このとき、回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’の間にベアリング9が配設されていることにより、摩擦を低減して小さな力で回転軸51を回転させることができ、内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’が共周りすることを防止することができる。
回転軸51が回転し、外周凸部3bが内周凸部4cに近づくことにより、内周凸部4cの側面部に配設された弾性変形部5が外周凸部3bと内周凸部4cに挟まれることによって圧縮され、入力エネルギーの一部が弾性変形部5に蓄えられる。
回転軸51の回転の初期は弾性変形部5が弾性変形するが、変形後は、回転軸51の回転力が外周凸部3bから内周凸部4cに伝達され、回転軸51からチェーンリング8までが略一体となって回転し、チェーンリング8に張設されるチェーン(図示せず)によって後輪側のスプロケットへと確実に回転を伝達することができる。
本実施の形態では、外周凸部3b及び内周凸部4cを4箇所ずつ設けたが、外周凸部3b及び内周凸部4cの数は、それぞれ1箇所乃至8箇所の範囲で選択することができる。外周凸部3b及び内周凸部4cの数が8箇所より大きくなるにつれ、各々の外周凸部3b及び内周凸部4cが円周方向に小さくなり強度が低下し易く、加工性、耐久性が低下し易くなる傾向があることが分かったためである。
尚、本実施の形態では、複数の外周凸部3bを外周凸部固定部3を介して回転軸51に挿通固定したが、各々の外周凸部3bを直接、回転軸51に固設してもよいし、外周凸部3bと回転軸51を一体に形成してもよい。
また、本実施の形態では、外部回転部材4とチェーンリング8を別部材で形成したが、外部回転部材4の側板部4aや外筒部4bの外周にチェーンリング8を一体に形成してもよい。
外周凸部3bと弾性変形部5は初めから当接していてもよいが、外周凸部3bと弾性変形部5との間に隙間を形成した場合、外周凸部3bと弾性変形部5が接触するまでの間は、回転軸51を有する内部回転部材2の回転が弾性変形部5によって規制されることがなく、無負荷で回転軸51を回転させることができるので、回転力を付け易く、容易に急発進や急加速を行うことができる。
また、本実施の形態では、弾性変形部5を変形し易くするために、図2,3に示したように、外周凸部3bの接触面3cを凸形円弧状に形成したが、接触面3cの形状はこれに限定されるものではなく、弾性変形部5の弾性率などに応じて適宜、選択することができ、凹形円弧状,平坦状,三角形状などに形成してもよいし、波形に形成してもよい。また、弾性変形部5の接触面を凹状や凸状の円弧状や三角形状、波形などに形成しても同様の作用が得られる。
尚、外周凸部3b,内周凸部4c,弾性変形部5の形状は、本実施の形態に限定されるものではない。例えば、弾性変形部5自身の形状を半球状や球状に形成してもよい。また、弾性変形部5は内周凸部4cの側部の全面に配設する必要はなく、弾性率などに応じて、内周凸部4cの根元側や先端側などの一部に配設してもよい。尚、本実施の形態では、弾性変形部5を内周凸部4cに形成した蟻溝で固定したが、弾性変形部5の固定方法はこれに限定されるものではなく、例えば接着剤を用いて貼着してもよいし、これらを併用してもよい。
実施の形態1の自転車50に用いる自転車用回転伝達機構1は、上述したように、回転軸51を有する内部回転部材2を図1の矢印aの方向に回転させ、その回転が外部回転部材4を介してチェーンリング8に伝達される際に、負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄え、弾性変形部5の復元時に回転エネルギーとして利用することができる。実施の形態1の自転車50に用いる自転車用回転伝達機構1を土木用一輪車、人力車、リヤカーなどに用いる場合は、チェーンリング8の代わりに外部回転部材4の外周にタイヤ(図示せず)を配設し、タイヤと共に外部回転部材4を図3の矢印a’の方向に回転させ、その回転が内部回転部材2の回転軸51に伝達される際に、負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄えることができる。
この自転車50に用いる自転車用回転伝達機構1は、回転軸51を有する内部回転部材2から入力された回転力を外部回転部材4から出力するので、定常回転の状態では、回転軸51を有する内部回転部材2と外部回転部材4が一体に回転するが、初動時や回転途中に受ける負荷を低減しながら入力エネルギーの一部を弾性変形部5に蓄えるために入力側の回転軸51を有する内部回転部材2と外部回転部材4を相対的に回転させ、弾性変形部5を変形させる必要がある。本実施の形態では、内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の間にベアリング9を配設したが、これに限定されるものではなく、円筒状のスリーブなどのように回転軸51と外部回転部材4を互いに回動自在に保持できるものであればよい。
尚、外周凸部3bの両側面や外周面と、外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’や外筒部4bと、の間に隙間を設けることにより、内部回転部材2と外部回転部材4が互いに緩衝することがなく、スムーズに相対回転して弾性変形部5を確実に変形させることができ、動作の確実性に優れる。
実施の形態1の自転車用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)内部回転部材2が、回転軸51の外周に固設され回転軸51の外周側に突出する複数の外周凸部3bを有し、外部回転部材4が、内部回転部材2の外周凸部3bの側部位置で回転軸51に回動自在に挿設される側板部4aと、内部回転部材2の外周凸部3bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外筒部4bと、外筒部4bの内周側に突出するように側板部4a及び外筒部4bと一体に形成され内部回転部材2の外周凸部3bと交互に配置される複数の内周凸部4cと、を有し、外周凸部3bと前進する際の外周凸部3bの回転方向側の内周凸部4cとの間に弾性変形部5が配設されていることにより、人力によって回転させた回転軸51を有する内部回転部材2の回転を外部回転部材4に伝達させる間に、弾性変形部5を変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)外周凸部3bと前進する際の外周凸部3bの回転方向側の内周凸部4cとの間に弾性変形部5が配設されるので、内部回転部材2と外部回転部材4が相対的に回転する際に、外周凸部3bと内周凸部4cによって弾性変形部5を確実に圧縮変形することができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に蓄力でき、弾性変形部5の変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2及び外部回転部材4が略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性変形部5が復元する際に、弾性変形部5に貯えられた圧縮(弾性)エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材4の側板部4aが内部回転部材2の回転軸51に回動自在に挿設されるので、回転軸51と外部回転部材4の間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材2と外部回転部材4を相対的に回転させて確実に弾性変形部5の圧縮と復元を繰り返すことができ、回転軸51を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性変形部5の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)内部回転部材2が、回転軸51が挿通固定される回転軸挿通孔3aを備えた外周凸部固定部3を有し、外周凸部3bが、外周凸部固定部3の外周に配設されているので、複数の外周凸部3bを外周凸部固定部3によって一体に取り扱うことができ、回転軸51への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(6)外側カバー部材4’によって弾性変形部5の側面を押さえることができ、弾性変形部5の圧縮時に、弾性変形部5が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部5を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
(7)内部回転部材2の複数の外周凸部3b及び外部回転部材4の複数の内周凸部4cが、それぞれ内部回転部材2の回転軸51の外周側及び外部回転部材4の外筒部4bの内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部3bと内周凸部4cが弾性変形部5を挟んで互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸51や弾性変形部5などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
(8)外周凸部3bと前進する際の外周凸部3bの回転方向側の内周凸部4cとの間に弾性変形部5が配設されていることにより、内部回転部材2の回転が弾性変形部5によって規制されることがなく、回転により外周凸部3bと内周凸部4cが近づいた時に、外周凸部3bと内周凸部4cの間に挟まれた弾性変形部5を確実に圧縮変形させることができ、負荷低減の確実性に優れると共に、弾性変形部5に貯えられた圧縮エネルギーを回転力として効率的に利用することができる。
(9)内部回転部材2の外周凸部3bが、弾性変形部5と接触する曲面状に形成された接触面3cを有することにより、接触開始時の接触面積を小さくすることができ、弾性変形部5が変形し易く、入力されたエネルギーが弾性変形部5に吸収され易くなり、負荷低減の効率性に優れる。
(10)内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’の間にベアリング9が配設され、内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’が互いに回動自在に保持されているので、初動時の内部回転部材2の回転軸51と外部回転部材4の側板部4a及び外側カバー部材4’の共周りを確実に防ぐことができると共に、摩擦を低減して小さな力で回転軸51を回転させることができ、省力性、回転動作の確実性に優れる。
(11)180度の位相差で回転軸51の両端部に配設された左右のクランクアーム6を有するので、左右のクランクアーム6に配設されるペダルを漕ぐことにより、回転軸51を回転させることができるが、回転軸51の回転が外部回転部材4に伝達される間に、自転車用回転伝達機構1によって初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、運転者の膝や足首などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、クランクアーム6の上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置で弾性変形部5が復元することによって弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(12)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、自転車用回転伝達機構1の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等が手軽に運転することができ、日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用品としても使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(13)外部回転部材4の側板部4aに固設されたチェーンリング8を有することにより、弾性変形部5の変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2及び外部回転部材4とチェーンリング8が略一体となって回転するので、従来の自転車のクランク機構と同様に、チェーンリング8に張設されるチェーンによって確実に回転軸51の回転を駆動輪に伝達することができ、動力伝達の確実性、動作の信頼性に優れる。
(14)脚からの力が入り難いクランクアーム6の上死点や下死点などを通過する際に、弾性変形部5の復元によって回転軸51と共にクランクアーム6を滑らかに回転させることができ、膝や足首等に無理な力をかける必要がなく、鍛え難い膝から下の筋肉の使用量が減り、筋力の大きな大腿筋を有効利用することができ、疲労を大幅に低減でき、使用性に優れる。
(15)弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを上死点や下死点などの力の入力が途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(16)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部5が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して脚部への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(17)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部5に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図4(a)は実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部断面平面図であり、図4(b)は図4(a)のB−B線矢視断面図であり、図5は実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部分解斜視図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図4及び図5において、実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Aが実施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Aが、外周凸部固定部3及び外周凸部3bとカバー部3dとが一体に形成され、外部回転部材4Aの側板部4aに対向配置されている点と、内部回転部材2Aの外周凸部固定部3の中央に後述する外部回転部材4Aの円筒支持部4dが挿通される円形凹部3a’が形成されている点と、外部回転部材4Aの側板部4aの中央に内部回転部材2Aの円形凹部3a’に嵌挿される円筒支持部4dが形成されている点と、外部回転部材4Aの外筒部4bの外周にチェーンリング8を固定するための4箇所のチェーンリング固定部4eが形成されている点である。
尚、図4及び図5中、9aは外部回転部材4Aの円筒支持部4dの内周に配設され回転軸51に対して外部回転部材4Aを回動自在に保持するためのベアリング、9bは内部回転部材2Aの円形凹部3a’の内周に配設され外部回転部材4Aに対して内部回転部材2Aを回動自在に保持するためのベアリングである。
実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Aは、実施の形態1における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1に比べて部品点数を低減することができ、組立及び分解が容易で、量産性、メンテナンス性に優れる。
また、外部回転部材4Aがチェーンリング固定部4eを有することにより、簡便にチェーンリング8の交換を行ってギヤ比を変更することができ、メンテナンス性、汎用性に優れる。
次に実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Aの変形例について説明する。
図6(a)は実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の変形例を示す要部正面図であり、図6(b)は実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の変形例を示す要部断面側面図であり、図6(c)は実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の変形例を示す要部斜視図である。尚、実施の形態2と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図6において、実施の形態2における変形例の自転車に用いる自転車用回転伝達機構1A’が実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Aと異なるのは、外部回転部材4A’の外筒部4bの外周に複数のチェーンリング8b,8c,8dが着脱自在に配設されている点である。
図6中、4b’は外筒部4bの外周に形成された凹条溝部、8eは各々のチェーンリング8b〜8dの内周側に突設され凹条溝部4b’に嵌合される固定用凸部である。
外筒部4bの凹条溝部4b’に固定用凸部8eが嵌合されることにより、外部回転部材4A’に対してチェーンリング8b〜8dが空回りすることを確実に防止できる。また、固定用凸部8eが固定ねじ8aによって外筒部4bにねじ止めされることにより、チェーンリング8b〜8dを強固に固定することができ、軸方向への位置ずれを確実に防止できる。
尚、実施の形態2における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1A及び変形例の自転車に用いる自転車用回転伝達機構1A’の動作は、実施の形態1における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1と同様であるので、説明を省略する。
実施の形態2の自転車用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用に加え、以下の作用を有する。
(1)内部回転部材2Aが、外部回転部材4Aの側板部4aに対向配置されるカバー部3dを有することにより、外周凸部3bや外部回転部材4Aの内周凸部4c、弾性変形部5などを外力や異物の侵入などから保護することができ、耐久性、動作安定性、メンテナンス性に優れる。
(2)カバー部3dによって弾性変形部5の側面を押さえることができ、弾性変形部5の圧縮時に、弾性変形部5が側方に膨張することを防ぎ、弾性変形部5を確実に周方向に圧縮或いは復元させて、回転力の伝達性を向上させることができる。
(3)複数のチェーンリング8b〜8dが、外部回転部材4A’の外筒部4bの外周に着脱自在に配設されている場合、運転者の好みや用途などに応じて簡便にギヤ比を調整することができ、汎用性、設計自在性、メンテナンス性に優れる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における自転車用回転伝達機構を備えた自転車について、以下図面を参照しながら説明する。
図7(a)は実施の形態3における自転車用回転伝達機構を備えた自転車の要部模式側面図であり、図7(b)は実施の形態3における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部模式正面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図7において、実施の形態3における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Bが実施の形態1と異なるのは、外部回転部材4の外筒部4fの外周にVベルト,平ベルト,チェーンなどの動力伝達部材58を張設するための溝や突起が形設されている点である。これにより、電動アシスト機構55の動力が外部回転部材4を介してチェーンリング8に伝達される。
図7中、50Aは実施の形態3における自転車用回転伝達機構1Bを備えた自転車、53,54は回転軸保持部52に連結された自転車50Aのフレーム、55aはフレーム50bに配設された電動アシスト機構55の駆動制御部、56は駆動制御部55aに配設された電動モータの駆動軸、57は駆動軸56の端部に貫設されたプーリー、58はプーリー57と外部回転部材4との間に張設され電動モータの動力をチェーンリング8に伝達するための動力伝達部材、59は動力伝達部材58の動作を検出する駆動検出センサである。尚、この電動アシスト機構55は必要に応じて簡便に着脱することができる。
実施の形態3における自転車50Aに用いる自転車用回転伝達機構1Bの動作は、実施の形態1における自転車50に用いる自転車用回転伝達機構1と同様であるので、説明を省略する。
運転者がペダルを漕いでチェーンリング8が回転を始めると駆動検出センサ59が動力伝達部材58の動作を検出し、駆動制御部55aが電動モータを駆動してチェーンリング8の回転をアシストすることができる。
実施の形態3の自転車用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用に加え、以下の作用を有する。
(1)自転車用回転伝達機構1Bに電動アシスト機構55を併用することにより、漕ぎ始めだけでなく、定常走行状態での負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
参考例1
本発明の参考例1における土木用一輪車について、以下図面を参照しながら説明する。
図8は参考例1における土木用一輪車の要部断面正面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図8中、60は実施の形態1と同様の自転車用回転伝達機構1を備えた土木用一輪車、61は土木用一輪車60のバケット、62は土木用一輪車60の本体としてのフレーム、63はフレーム62に形設された回転軸保持部、63aは自転車用回転伝達機構1の内部回転部材2の回転軸51を回転軸保持部63に回動自在に保持するベアリング、64は自転車用回転伝達機構1の外部回転部材4の外周に配設された車輪部、64aはタイヤ65を取り付けるために外部回転部材4の外周に固設された車輪部64のリムである。
参考例1における自転車用回転伝達機構1の動作は、実施の形態1(図3、段落0053)で説明したように、自転車50に用いる場合と回転の順序が逆になり、先に車輪部64のタイヤ65と共に外部回転部材4が回転し、後から回転軸51を有する内部回転部材2が回転するだけなので、説明を省略する。
また、参考例1土木用一輪車は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)自転車用回転伝達機構1の内部回転部材2の回転軸51が、回転軸保持部63に回動自在に保持され、自転車用回転伝達機構1の外部回転部材4の外周に車輪部64が配設されているので、回転軸保持部63を有するフレーム62(本体)を前後に移動させて車輪部64を回転させることにより、車輪部64と共に回転する外部回転部材4の回転を内部回転部材2の回転軸51に伝達させる間に、弾性変形部5を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の腕や足腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部5が復元することによって弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、自転車用回転伝達機構1の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に使用することができ、低速運転時の安定性、取り扱い性に優れる。
(3)弾性変形部5に貯えられていた弾性エネルギーを入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物を乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(4)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部5が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して人体への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(5)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部5に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、使用者の体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
尚、内周凸部4cの両側面部に弾性変形部5を配設した場合、土木用一輪車60を後進させる際にも、負荷を低減することができ、使用性をさらに向上させることができる。また、この自転車用回転伝達機構1は、人力車,台車,リヤカー,車椅子などの他の人力車両にも組み込むことができ、同様の作用を得ることができる。
実施の形態4
本発明の実施の形態4における自転車に用いる自転車用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図9は実施の形態4における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部断面側面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図9において、実施の形態4における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Cが実施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Bの外周凸部3b及び外部回転部材4Bの内周凸部4cがそれぞれ2箇所ずつ形成されている点と、弾性変形部5aの外周凸部3bとの接触面5bが球面状に膨出して形成されている点と、外部回転部材4Bの外筒部4bの内周側に各々の外周凸部3bの先端部3eを一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部4gが形成されている点である。
図9中、3fは外周凸部3bの前方側端面、3gは外周凸部3bの後方側端面、4hは回動保持凹部4gの前方側内壁、4iは回動保持凹部4gの後方側内壁である。
実施の形態4における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Cの動作は、基本的に実施の形態1における自転車50に用いる自転車用回転伝達機構1と同様であるが、外周凸部3bと内周凸部4cが近づくように内部回転部材2Bと外部回転部材4Bが相対的に回転した際に、一定角度だけ回転した段階で、外周凸部3bの先端部3e側の前方側端面3fが回動保持凹部4gの前方側内壁4hに当接することにより、外周凸部3bから直接、外部回転部材4Bに回転を伝達することができる。
また、外周凸部3bの後方側端面3gが回動保持凹部4gの後方側内壁4iに当接することにより、内部回転部材2Bと外部回転部材4Bが逆方向に空回りすることを防止できる。
尚、回動保持凹部4gの長さは、許容する回転角度に応じて、適宜、選択することができる。
実施の形態4自転車用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)外部回転部材4Bが、外筒部4bの内周側に形成され内部回転部材2Bの外周凸部3bの外周側の先端部3eを一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部4gを備えていることにより、内部回転部材2B又は外部回転部材4Bが予め設定した一定角度だけ回転した段階で、内部回転部材2Bの外周凸部3bを固定して外部回転部材4Bと内部回転部材2Bとの相対回転を止めることができ、回転軸51を有する内部回転部材2Bと外部回転部材4Bを一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、弾性変形部5aの形状や物性のばらつきを吸収することができ、動作の安定性に優れる。
実施の形態5
本発明の実施の形態5における自転車に用いる自転車用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図10(a)は実施の形態5における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部断面平面図であり、図10(b)は図10(a)のC−C線矢視断面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図10において、実施の形態5における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Dが実施の形態1と異なるのは、内部回転部材2Cの外周凸部13bが板バネを用いた弾性体で形成されている点と、外周凸部固定部3の外周に突設され2箇所の空回り防止用突起13dを有する点と、外部回転部材4Cの内周凸部14が剛体で半円状に形成され2箇所の内周凸部14の内周側の端面部にストッパー部14aが突設されている点である。
図10中、13aは外周凸部固定部3の外周に放射状に形成され外周凸部13bの根元側が挿通固定される固定溝、13cは外周凸部13bの根元側の端部に断面略円形に形成され外周凸部13bの抜けを防止する固定突起部である。
内周凸部14を半円状に形成することにより、板バネで形成された外周凸部13bが内周凸部14の円弧状の端面に沿って変形し易く、外周凸部13bの破損を防止でき、動作の安定性に優れる。尚、外側カバー部材4’によって外周凸部13bの変形が拘束されないように、外側カバー部材4’と外周凸部13bの間に隙間を設けている。
外周凸部13bの根元側を固定溝13aに挿通するだけで簡便に外周凸部13bを外周凸部固定部3に固定することができ、外周凸部13bの着脱が容易で量産性、メンテナンス性に優れる。また、固定突起部13cにより外周凸部13bが固定溝13aから抜け落ちることがなく固定安定性に優れる。
以上のように構成された実施の形態5における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の動作について説明する。
図10において、内部回転部材2Cが回転すると、弾性体である外周凸部13bが湾曲するように変形する。
内部回転部材2Cの回転の初期は外周凸部13bが弾性変形するが、変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2Cと共に外部回転部材4Cが略一体となって回転し、内部回転部材2Cと外部回転部材4Cの間で確実に回転を伝達することができる。
また、力の入力が途切れた時には、外周凸部13bが復元し、蓄積されたエネルギーを回転力に変換して推進力として利用することができる。
尚、複数の外周凸部13bを有するので、一部の外周凸部13bが破損して衝撃吸収力が低下しても、残りの外周凸部13bによって回転を伝達することができる。また、全ての外周凸部13bが破損した場合、衝撃を吸収することはできなくなるが、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接することにより、回転を伝達することができるので、走行不能になることはない。ストッパー部14a及び空回り防止用突起13dは、それぞれ少なくとも1つ以上あればよく、その数や配置間隔(角度)は、適宜、選択することができる。ストッパー部14a及び空回り防止用突起13dを複数設けた場合には、全てのストッパー部14aや空回り防止用突起13dが破損するまで回転を伝達することができるので、動作の信頼性をさらに高めることができる。
尚、本実施の形態では、内部回転部材2Cの外周凸部13bを弾性体(板バネ)で形成し、外部回転部材4Cの内周凸部14を剛体で形成したが、外周凸部13bを剛体で形成し、内周凸部14を弾性体(板バネ)で形成してもよい。
実施の形態5自転車用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)内部回転部材2Cが、回転軸51の外周に固設され回転軸51の外周側に突出する複数の外周凸部13bを有し、外部回転部材4Cが、内部回転部材2Cの外周凸部13bの側部位置で回転軸51に回動自在に挿設される側板部4aと、内部回転部材2Cの外周凸部13bの外側で回転軸51と同心円状に側板部4aの外周に立設される外筒部4bと、外筒部4bの内周側に突設され内部回転部材2Cの外周凸部13bと交互に配置される複数の内周凸部14と、を有し、内部回転部材2Cの外周凸部13bが弾性体で形成されていることにより、人力によって回転軸51を有する内部回転部材2C又は外部回転部材4Cを回転させ、その回転を外部回転部材4C又は回転軸51を有する内部回転部材2Cに伝達させる間に、弾性体で形成された外周凸部13bを弾性変形させて初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して弾性エネルギーとして蓄えることができ、人体への負荷を大幅に低減することができ、使用性に優れる。
(2)内部回転部材2Cの外周凸部13bと外部回転部材4Cの内周凸部14が交互に配置されるので、内部回転部材2Cと外部回転部材4Cが相対的に回転する際に、弾性体で形成された外周凸部13bを確実に弾性変形させることができ、入力されたエネルギーの一部を効率的に蓄力でき、弾性体(外周凸部13b)の変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2C及び外部回転部材4Cが略一体となって回転し、確実に回転力を伝達することができると共に、入力エネルギーが小さくなったり途切れたりして弾性体(外周凸部13b)が復元する際に、弾性体(外周凸部13b)に貯えられた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換して推進力として有効に利用することができ、入力エネルギーのロスがなく、動作の確実性、エネルギー利用の効率性に優れる。
(3)外部回転部材4Cの側板部4aが内部回転部材2Cの回転軸51に回動自在に挿設されるので、回転軸51と外部回転部材4Cの間に摩擦力が発生し難く、内部回転部材2Cと外部回転部材4Cを相対的に回転させて確実に弾性体(外周凸部13b)の変形と復元を繰り返すことができ、回転軸51を滑らかに回転させることができ、回転伝達の安定性、効率性に優れる
(4)入力エネルギーが小さくなったり途切れたりした時に、弾性体(外周凸部13b)の復元エネルギーによってトルクを補うことができ、出力エネルギーの変動を低減して、回転を安定化することができる。
(5)内部回転部材2Cが、回転軸51が挿通固定される回転軸挿通孔3bを備えた外周凸部固定部3を有し、外周凸部13bが、外周凸部固定部3の外周に配設されているので、複数の外周凸部13bを有する場合でも、外周凸部固定部3によって一体に取り扱うことができ、回転軸51への着脱が容易で、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
(6)内部回転部材2Cの複数の外周凸部13b及び外部回転部材4Cの複数の内周凸部14が、それぞれ回転軸51の外周側及び外部回転部材4Cの外筒部4bの内周側に放射状に配設されていることにより、外周凸部13bと内周凸部14が互いに噛み合うように配置することができるので、回転軸51や外周凸部13b及び内周凸部14などにかかる負荷を分散させることができ、耐久性に優れると共に、回転位置によらず、外部からの入力状態に応じた復元力を作用させて常に略一定の回転力を伝達させることができ、動作の安定性に優れる。
(7)外部回転部材4Cは、内周凸部14が剛体で形成され2つの内周凸部14の内周側の端面部に突設されるストッパー部14aを有し、内部回転部材2Cは、外周凸部固定部3の外周に突設され内部回転部材2Cと外部回転部材4Cが相対的に設定角度以上回転した時にストッパー部14aに当接する2つの空回り防止用突起13dを備えていることにより、外周凸部13bが破損した場合でも、回転軸51又は外部回転部材4Cが所定角度だけ回転した段階で、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接して外部回転部材4Cと内部回転部材2Cとの相対回転を止めることができ、回転軸51を有する内部回転部材2Cと外部回転部材4Cを一体的に回転させて確実に回転力を伝達することができ、動作の安定性に優れる。
(8)外周凸部13bや内周凸部14が破損した場合でも、ストッパー部14aと空回り防止用突起13dが当接することにより、途切れることなく回転力を伝達し続けることができ、動作の確実性、信頼性に優れる。
(9)外周凸部13bを弾性体で形成することにより、別途、弾性変形部を設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、量産性を向上させることができる。
実施の形態6
本発明の実施の形態6における自転車に用いる自転車用回転伝達機構について、以下図面を参照しながら説明する。
図11は実施の形態6における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の要部断面側面図である。尚、実施の形態1と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
図11中、1Eは実施の形態6における自転車に用いる自転車用回転伝達機構、32は外形が矩形状に形成され回転軸51に固設された内部回転部材2Dの外周凸部固定部、32aは外周凸部固定部32に回転軸51を挿通固定するための回転軸挿通孔、33bは鋼などの金属製の板材で形成され外周凸部固定部32の各面に基部33aで固定されて回転軸51の外周に突出するように配置された内部回転部材2Dの4箇所の外周凸部、33cは1つの外周凸部33bの基部33aに延設され隣接する他の外周凸部33bの一方の側面部に根元側で固定された板バネ状の弾性変形部、34は外周凸部33bの外側に回転軸51と同心円状に挿設された外部回転部材4Dの外筒部、34aは外筒部34の内周側に一体に突設された外部回転部材4Dの4個の内周凸部、34bは内周凸部34aの弾性変形部33cとの接触面、34cは外筒部34の隣接する内周凸部34aの間に形成され外周凸部33b及び弾性変形部33cの先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部、34dは回動保持凹部34cの後方側内壁、35は基部33a,外周凸部33b,弾性変形部33cの表面に貼着された合成ゴム製や合成樹脂製の弾性緩衝部である。
実施の形態6における自転車に用いる自転車用回転伝達機構1Eが実施の形態1乃至5と異なるのは、1つの外周凸部33bと隣接する他の外周凸部33bの側面部に配設される弾性変形部33cが、1枚の板材で形成されている点である。これにより、同じ材質の2枚の板材を貼り合わせるだけで、外周凸部33bと弾性変形部33cを形成することができ、量産性に優れる。また、弾性変形部33cが板バネであることにより、弾性変形後の反発力を高めることができ、復元時に発生する推進力を増大させることができ、回転力伝達の効率性に優れる。尚、板バネを2枚重ねて弾性変形部33cを形成してもよい。
外周凸部33b及び弾性変形部33cの表面に弾性緩衝部35が貼着されていることにより、外周凸部33b及び弾性変形部33cが回動保持凹部34cの後方側内壁34dや内周凸部34aの接触面34bと直接、接触することを防止でき、正転時及び逆転時の騒音の発生を防ぐことができる。また、弾性変形部33c側の弾性緩衝部35が弾性変形することにより、さらにクッション性と反発性を高めることができ、使用者の負荷の低減及び推進力の増加を図ることができる。尚、弾性緩衝部35は、基部33a,外周凸部33b,弾性変形部33cの全面に配設する必要はなく、外周凸部33b及び弾性変形部33cの少なくとも内周凸部34aの接触面34bや回動保持凹部34cの後方側内壁34dと接触する位置に配設されていればよい。弾性緩衝部35は、外周凸部33b及び弾性変形部33cに配設する代わりに、内周凸部34aの接触面34bや回動保持凹部34cの後方側内壁34dに配設してもよい。
以上のように構成された実施の形態6における自転車に用いる自転車用回転伝達機構の動作について説明する。
図11において、回転軸51を有する内部回転部材2Dが回転すると、外周凸部33bと内周凸部34aの間に挟まれた弾性変形部33c及び弾性緩衝部35が弾性変形する。
回転軸51を有する内部回転部材2Dの回転の初期は弾性変形部33cが弾性変形するが、変形後は、回転軸51を有する内部回転部材2Dと外部回転部材4Dが略一体となって回転し、内部回転部材2Dと外部回転部材4Dの間で確実に回転を伝達することができる。
尚、外周凸部33b及び内周凸部34aの形状はこれに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。また、弾性緩衝部35は実施の形態1乃至5で説明した外周凸部や内周凸部にも設けることができる。
実施の形態6自転車用回転伝達機構を備えた自転車は以上のように構成されているので、実施の形態4で得られる作用と同様の作用を有する。
実施の形態1乃至6自転車に用いる自転車用回転伝達機構は、それぞれ前述の自転車や土木用等の一輪車に限らず、台車,リヤカー,一輪車,子供用三輪車,車椅子などの様々な人力車両に組み込んで使用することができる。
従って、実施の形態1乃至6自転車に用いる自転車用回転伝達機構を備えた人力車両は、以下の作用を有する。
(1)自転車用回転伝達機構の内部回転部材の回転軸が、人力車両の回転軸保持部に回動自在に保持され、自転車用回転伝達機構の外部回転部材の外周に車輪部が配設されるので、回転軸保持部を有する本体を前後に移動させて車輪部を回転させたり、回転軸に連設される左右のクランクアーム等によって回転軸を回転させたりすることにより、車輪部と共に回転する外部回転部材の回転を内部回転部材を通して回転軸に伝達させる間又は回転軸を有する内部回転部材の回転を外部回転部材を通して車輪部に伝達させる間に、自転車用回転伝達機構の弾性変形部或いは弾性体を変形させ、初動時や走行中に地面から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄えることができ、使用者の膝、足首、腰などに大きな負荷がかかることを防止できるだけでなく、入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置で弾性変形部或いは弾性体で形成された外周凸部や内周凸部が復元することによって弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを無駄なく回転エネルギーに変換することができ、トルクの変動を抑えて確実かつスムーズに回転力を伝達することができ、入力エネルギーを有効に利用することができ、加速性、低速走行時の走行安定性に優れる。
(2)急発進や急加速を行ったり、急な坂道を登ったりしても、自転車用回転伝達機構の衝撃吸収効果によって膝や足首などを傷めることがなく、走行の安定性に優れ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができ、子供から大人まで各種日用品として使用できるだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性を向上させて競技用やリハビリ用等の様々な用途に使用することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
(3)弾性変形部或いは弾性体に貯えられていた弾性エネルギーを入力エネルギーが減少する位置や入力エネルギーが途切れる位置において回転エネルギーに変換することができるので、推進力(回転トルク)が途切れることがなく、低速運転時でもふらつきが発生せず、重い荷物や子供などを乗せた場合でも安定した走行が可能で、使用性に優れる。
(4)加減速や地形の変化に起因する走行抵抗に応じて弾性変形部或いは弾性体が弾性変形することにより、細かな振動を吸収して人体への振動の伝達を抑えることができ、使用者の疲労を低減することができる。
(5)外部から入力されるエネルギーに応じて、弾性変形部或いは弾性体に蓄えられる弾性エネルギーが変化するので、運転者の体調、体力、走行条件などに見合った最適な状態で回転力を伝達することができ、汎用性に優れる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施の形態1で説明した自転車用回転伝達機構1を自転車のクランク部に組み込んだもの(図1乃至図3参照)について、路面の勾配の有無や被験者の体力(年齢、体重、運動歴など)の違いが、走行時の速度や加速率に与える影響について確認実験を行った。
(実施例1)
被験者A(55歳男性、体重80kg、継続的な運動歴なし、日常で自転車に乗っていない)が、実施の形態1と同様の自転車用回転伝達機構1を組み込んだ自転車に乗ってアスファルトで舗装された平地を走行した場合の速度を、GPS(全地球測位システム,
GARMIN社製のGPSmap 60CSx)の1秒毎の位置情報を基に計算した。
また、ある時間における速度を1秒前の速度で割ったものを加速率として計算した。
自転車は、タイヤ規格27インチ、タイヤの空気圧414kPa(=60psi)、重量17kg、車軸間距離108cm、クランクシャフトと後軸との距離45cm、クランクシャフトと地面との距離33cm、前軸及び後軸と地面との距離36cm、ギヤ比2.29の一般用自転車(整備済み中古車)を使用した。
尚、自転車用回転伝達機構1の弾性変形部5には、ブチルゴム(反発弾性率75%〜90%、静的ばね定数10N/mm〜25N/mm)を使用した。
(実施例2)
平地の代わりに、アスファルトで舗装された勾配8%の坂道を走行した以外は、実施例1と同様に行った。
尚、路面の勾配は、GPSによる測定結果を基に計算した。
(実施例3)
被験者Aの代わりに、被験者B(36歳男性、体重63kg、継続的な運動歴あり、日常及びスポーツとして自転車に乗っている)が乗った以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例4)
被験者Aの代わりに、被験者Bが乗った以外は、実施例2と同様に行った。
(比較例1乃至4)
自転車用回転伝達機構1の弾性変形部5を取り外した以外は、それぞれ実施例1乃至4と同様に行った。
図12乃至図15は、実施例1乃至4と比較例1乃至4のそれぞれにおける速度と加速率の時間変化を示した図である。尚、図12乃至図15において、横軸は時間、左側の第1縦軸は速度、右側の第2縦軸は加速率を示している。
まず、被験者Aについてみる。
図12において、平地では、漕ぎ始めから漕ぎ終わりまで、実施例1(弾性変形部有り)の速度が、比較例1(弾性変形部無し)の速度を上回っている。また、漕ぎ始めの2秒〜4秒の間は、実施例1の加速率が、比較例1の加速率を上回っている。
次に、図13において、坂道では、漕ぎ始めの3秒間は、比較例2(弾性変形部無し)の速度が、実施例2(弾性変形部有り)の速度を上回っているが、その後は逆転し、実施例2の速度が、比較例2の速度を上回っている。また、漕ぎ始めの2秒〜6秒の間は、実施例2の加速率が、比較例2の加速率を上回っている。
これらのことから、勾配の有無に関わらず、実施例1,2では、弾性変形部5の作用によって、負荷を低減させ、加速性を向上させることができ、比較例1,2よりも高速での走行が可能になるということがわかった。特に、実施例2の坂道において、著しい効果が見られた。
通常、坂道を走行する場合、平地を走行する場合よりも、走行時の負荷が増加するが、被験者Aのように、体重が重く、体力的に劣っている(日常的に運動していない)者は、その影響が大きく、速度が低下する。この時、実施例2(弾性変形部有り)では、漕ぎ始めで弾性変形部5が圧縮されるため、入力されたエネルギーがすぐに回転軸51からチェーンリング8に伝達されず、初速度が、比較例2(弾性変形部無し)よりもさらに遅くなるが、負荷の低減に伴う加速率の向上によってそれを補うことができ、結果的に、比較例2よりも高速な走行が可能になったものと思われる。
次に、被験者Bについてみる。
まず、図14において、平地では、漕ぎ始めの5秒間は、比較例3(弾性変形部無し)の速度が、実施例3(弾性変形部有り)の速度を上回っているが、その後は逆転し、実施例3の速度が、比較例3の速度を大きく上回っている。また、漕ぎ始めの2秒〜5秒の間は、実施例3の加速率が、比較例3の加速率を大きく上回り、10秒後にほぼ同程度の加速率になるまで、実施例3の加速率が、比較例3の加速率を上回っている。
次に、図15において、坂道では、漕ぎ始めから漕ぎ終わりまで、実施例4(弾性変形部有り)の速度が、比較例4(弾性変形部無し)の速度を上回っている。また、漕ぎ始めの2秒〜4秒の間は、実施例4の加速率が、比較例4の加速率を上回っている。
これらのことから、勾配の有無に関わらず、実施例3,4では、弾性変形部5の作用によって、負荷を低減させ、加速性を向上させることができ、比較例3,4よりも高速での走行が可能になるということがわかった。特に、実施例3の平地において著しい効果が見られた。
被験者Bのように、体重が軽く、体力的に優れている(日常的に運動している)者が、速度を出し易い平地を走行する場合は、自転車用回転伝達機構1の加速効果を十分に利用することができるため、実施例3と比較例3との間で、大きな違いが見られたものと思われる。
また、坂道を走行する場合、平地を走行する場合よりも負荷が増加するが、被験者Bのように、体重が軽く、体力的に優れている(日常的に運動している)者は、その影響を受け難いため、実施例4と比較例4との間には、被験者Aの実施例2と比較例2との間で見られたような著しい効果は見られなかったものと思われる。
以上のように、被験者の体重や体力等の違いにより、自転車用回転伝達機構1の効果の出方や程度に違いは見られるが、実施例1乃至4の速度は、いずれも比較例1乃至4の速度を上回る結果となり、自転車用回転伝達機構1による加速性向上の効果を確認することができた。
尚、本実験においては、被験者A,B共に、比較例1乃至4(弾性変形部無し)の実験を行った後、体力的にやや消耗した状態で実施例1乃至4(弾性変形部有り)の実験を行ったにも関わらず、実施例1乃至4の速度が比較例1乃至4を上回った。このことからも、自転車用回転伝達機構1が優れた加速効果を有するということがわかった。また、被験者A,Bからはそれぞれ、実施例1乃至4及び比較例1乃至4において、同じようにペダルを漕いだが、実施例1乃至4の方がペダルを漕ぐ力が軽くなり、クランクがスムーズに回転して、短時間での加速を体感したという感想が得られた。
本発明は、人力によって車輪を回転させて走行する自転車の回転軸に配設することにより、発進,加速,登坂等の初動時や走行中に外部から受ける大きな負荷などによって生じる衝撃エネルギーや過大な入力エネルギーを確実に吸収して蓄え、人体への負荷を大幅に低減できる共に、蓄えたエネルギーを入力エネルギーが減少した時或いは途切れた時に回転軸の回転に無駄なく有効に利用することができ、回転伝達の確実性、効率性に優れ、部品点数の少ない簡素な構成で軽量化を図ることができ、分解や組立が容易でメンテナンス性に優れ、既存の自転車に簡便に組込むことができ、量産性、組立作業性、省スペース性、汎用性に優れた自転車用回転伝達機構を備えることにより、複雑な操作が不要で、使用者の膝や足首などにかかる負荷を低減することができ、女性や年配者或いは重い荷物や子供を乗せる主婦等でも手軽に運転することができる日用品としてだけでなく、加速性、回転トルクの均一性、低速運転時の安定性に優れ、リハビリ用や競技用としても使用することができ、動作の安定性、取り扱い性に優れた自転車の提供を行って、その使用性を高めることができる。

Claims (12)

  1. 回転軸と一体に形成され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部又は回転軸の外周に固設され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有する内部回転部材と、前記内部回転部材の位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と,前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と,前記外筒部の内周側で前記側板部及び/又は前記外筒部に突設され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と,を有する外部回転部材と、前記内部回転部材の前記外周凸部と前記外部回転部材の前記内周凸部との間に配設される1以上の弾性変形部と、を備えていることを特徴とする人力車両用回転伝達機構。
  2. 前記内部回転部材が、前記回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部と、前記外部回転部材の前記側板部に対向配置されるカバー部と、を有し、前記外周凸部が、前記外周凸部固定部の外周に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の人力車両用回転伝達機構。
  3. 前記弾性変形部が、前記回転軸又は前記外部回転部材の回転時に前記内部回転部材の各々の前記外周凸部と前記外部回転部材の各々の前記内周凸部の間に挟まれるように前記外周凸部又は前記内周凸部の両側面部の内のいずれか一方の側面部に配設又は固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の人力車両用回転伝達機構。
  4. 前記内部回転部材の前記外周凸部又は前記外部回転部材の前記内周凸部が、前記弾性変形部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有するか、或いは前記弾性変形部が、前記内部回転部材の前記外周凸部又は前記外部回転部材の前記内周凸部と接触する曲面状又は波形に形成された接触面を有することを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の人力車両用回転伝達機構。
  5. 前記外部回転部材が、前記外筒部の内周側に形成され前記内部回転部材の前記外周凸部の外周側の先端部を一定角度範囲内で回動自在に保持する回動保持凹部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の人力車両用回転伝達機構。
  6. 回転軸と一体に形成され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部又は回転軸の外周に固設され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有する内部回転部材と、前記内部回転部材の位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と,前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と,前記外筒部の内周側に突設され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と,を有する外部回転部材と、を備え、前記内部回転部材の前記外周凸部及び前記外部回転部材の前記内周凸部の少なくともいずれか一方が弾性体で形成されていることを特徴とする人力車両用回転伝達機構。
  7. 前記内部回転部材が、前記回転軸が挿通固定される回転軸挿通孔を備えた外周凸部固定部を有し、前記外周凸部が、前記外周凸部固定部の外周に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の人力車両用回転伝達機構。
  8. 前記外部回転部材は、前記内周凸部が剛体で形成され少なくとも1つの前記内周凸部の内周側の端面部に突設されるストッパー部又は前記外筒部の内周側に突設される少なくとも1つのストッパー部を有し、前記内部回転部材は、前記外周凸部固定部の外周に突設され前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に設定角度以上回転した時に前記ストッパー部に当接する少なくとも1つの空回り防止用突起を備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載の人力車両用回転伝達機構。
  9. 前記内部回転部材の前記外周凸部及び前記外部回転部材の前記内周凸部が、それぞれ前記回転軸の外周側及び前記外部回転部材の前記外筒部の内周側に放射状に複数配設されていることを特徴とする請求項1乃至8の内いずれか1項に記載の人力車両用回転伝達機構。
  10. 回転軸保持部と、前記回転軸保持部に回動自在に保持される回転軸と、前記回転軸に配設された請求項1乃至9の内いずれか1項に記載の人力車両用回転伝達機構と、前記人力車両用回転伝達機構の前記外部回転部材の外周に配設された車輪部と、を備えていることを特徴とする人力車両。
  11. 回転軸と、前記回転軸の長手方向の途中に配設された請求項1乃至9の内いずれか1項に記載の一組の人力車両用回転伝達機構と、180度の位相差で前記回転軸の両端部に配設された左右のクランクアームと、前記外部回転部材の前記側板部又は前記外筒部に形設又は固設されたチェーンリングと、を備えていることを特徴とする自転車。
  12. 前記チェーンリングが、前記外部回転部材の前記外筒部の外周に着脱自在に複数配設されていることを備えていることを特徴とする請求項11に記載の自転車。
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