JPWO2009005032A1 - W/o/w型乳化組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2007年7月2日に、日本に出願された特願2007−174456号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
しかしながら、従来のW/O/W型乳化組成物の乳化安定性は極めて低いという問題があった。
しかしながら、より乳化安定性の高いW/O/W型乳化組成物が求められる場合、これらの方法により得られるW/O/W型乳化組成物の乳化安定性は、いずれも満足のいくものではなかった。
成分(A):糖と炭素数8〜28の脂肪酸とをエステル化して得られる糖脂肪酸エステル組成物であり、該糖脂肪酸エステル組成物の水酸基価が20〜220である糖脂肪酸エステル組成物
成分(B):HLBが7以上である非イオン性界面活性剤
成分(A):糖と炭素数8〜28の脂肪酸とをエステル化して得られる糖脂肪酸エステル組成物であり、該糖脂肪酸エステル組成物の水酸基価が20〜220である糖脂肪酸エステル組成物
成分(B):HLBが7以上である非イオン性界面活性剤
本発明のW/O/W型乳化組成物は、下記成分(A)を0.001〜60質量%、及び成分(B)を0.001〜10質量%含有し、成分(A)と成分(B)との質量比が1:0.01〜1:1.4であることを特徴とする。
成分(A):糖と炭素数8〜28の脂肪酸とをエステル化して得られる糖脂肪酸エステル組成物であり、該糖脂肪酸エステル組成物の水酸基価が20〜220である糖脂肪酸エステル組成物
成分(B):HLBが7以上である非イオン性界面活性剤
以下、糖と炭素数8〜28の脂肪酸とをエステル化して得られる糖脂肪酸エステル組成物は、成分(A)とする。
(エステル化率(%))=(糖脂肪酸エステル組成物のエステル基の数)
/(糖脂肪酸エステル組成物を構成する糖がエステル化前に有する水酸基の数)×100
水酸基を8個有するトレハロース、水酸基を9個有するラクチトール、水酸基を11個有するラフィノースにおける各エステル体のエステル化率を表1〜3に示す。
具体的には、水酸基を8個有するトレハロースをエステル化して得られるトレハロース脂肪酸エステル組成物の場合、エステル化率が40.0%以上90.0%未満のエステル体の合計含量とは、テトラエステル体、ペンタエステル体、ヘキサエステル体及びヘプタエステル体の合計含量のことであり、エステル化率が40.0%未満のエステル体の合計含量とは、モノエステル体、ジエステル体及びトリエステル体の合計含量のことである。また、水酸基を9個有するラクチトールをエステル化して得られるラクチトール脂肪酸エステル組成物の場合、エステル化率が40.0%以上90.0%未満のエステル体の合計含量とは、テトラエステル体、ペンタエステル体、ヘキサエステル体、ヘプタエステル体及びオクタエステル体の合計含量のことであり、エステル化率が40.0%未満のエステル体の合計含量とは、モノエステル体、ジエステル体及びトリエステル体の合計含量のことである。また、水酸基を11個有するラフィノースをエステル化して得られるラフィノース脂肪酸エステル組成物の場合、エステル化率が40.0%以上90.0%未満のエステル体の合計含量とは、ペンタエステル体、ヘキサエステル体、ヘプタエステル体、オクタエステル体及びノナエステル体の合計含量のことであり、エステル化率が40.0%未満のエステル体の合計含量とは、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体及びテトラエステル体の合計含量のことである。
成分(A)の糖脂肪酸エステル組成物のエステル化率が40.0%以上90.0%未満のエステル体の合計含量及び成分(A)の糖脂肪酸エステル組成物のエステル化率が40.0%未満のエステル体の合計含量が前記範囲にあると、これらを使用することで、調製が非常に簡便でW/O/Wの生成効率が良く、安定性の高いW/O/W型乳化組成物を得ることができる。
GPCカラムを用いた分析にて、糖脂肪酸エステル組成物中の残存原料、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体及びポリエステル体を分離することができる。なお、GPCカラムでは、テトラエステル体、ペンタエステル体、ヘキサエステル体、ヘプタエステル体、オクタエステル体、ノナエステル体、デカエステル体、ウンデカエステル体等のエステル基を4個以上有するエステル体の分離が不能なため、エステル基を4個以上有するエステル体は、これらの混合物(ポリエステル体)として測定される。
また、ODSカラムを用いた分析にて、テトラエステル体、ペンタエステル体、ヘキサエステル体、ヘプタエステル体、オクタエステル体、ノナエステル体、デカエステル体、ウンデカエステル体等のエステル基を4個以上有するエステル体を分離することができる。なお、ODSカラムを用いた分析では、原料、モノエステル体、ジエステル体及びトリエステル体のピークは、溶媒由来のノイズピークと重なるために、正確な分離が不可能である。
従って、GPCカラムとODSカラムの測定結果を組み合わせることで、各エステル体のピーク面積の面積百分率(%)を算出することができる。
以下に測定条件及び算出方法について、詳細に説明する。
成分(A)の糖脂肪酸エステル組成物のうちモノエステル体、ジエステル体、トリエステル体、およびポリエステル体の面積%を算出するためのGPCカラムを用いたHPLCの測定条件(測定条件A)は、以下の通りである。ここで、ポリエステル体とは、エステル基を4個以上有するエステル体(テトラエステル体、ペンタエステル体、ヘキサエステル体、ヘプタエステル体、オクタエステル体、ノナエステル体、デカエステル体、ウンデカエステル体等)の合計のことを意味する(以下も同様とする。)。
測定条件A
カラム:内径7.8mm、長さ300mm、5μmサイズの
スチレンジビニルベンゼン基材のGPCカラムを
4本連結して用いる。
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
移動相の流量:0.5mL/min
検出:示差屈折率(RI)
測定条件B
カラム:内径4.6mm、長さ150mm、5μmサイズのODSカラム
を用いる。
移動相:テトラヒドロフラン:メタノール=55:45(容量比)
カラム温度:40℃
移動相の流量:0.8mL/min
検出:示差屈折率(RI)
モノエステル体、ジエステル体、およびトリエステル体の面積百分率(%)の算出方法(算出方法(1))は、以下の通りである。
測定条件AのGPCカラムを用いたHPLCにて測定したときに得られる総ピーク面積に対する原料、モノエステル体、ジエステル体、およびトリエステル体のピーク面積の百分率を各エステル体の面積百分率(%)とする。
測定条件AのGPCカラムを用いたHPLCにて測定したときに得られる総ピーク面積に対する原料、モノエステル体、ジエステル体、およびトリエステル体以外の合計ピーク面積の百分率(X)をポリエステル体の面積百分率(%)とする。
測定条件BのODSカラム用いたHPLCにて測定したときに得られるエステル基を4個以上有するエステル体各々のピーク面積を合計したものを(Y)とし、(Y)に対するエステル基を4個以上有するエステル体各々のピーク面積の比率をそれぞれ算出し、ポリエステル体中に占めるエステル基を4個以上有するエステル体各々の比率とする。
上記(算出方法(2))で算出したポリエステル体の面積百分率(%)(X)に、上記(算出方法(3))で算出したポリエステル体中に占めるエステル基を4個以上有するエステル体各々のピーク面積の比率を積し、エステル基を4個以上有するエステル体各々の面積百分率(%)とする。
例えば、測定条件BのODSカラム用いたHPLCにて測定したときに得られるテトラエステル体のピーク面積を(a)、ペンタエステル体のピーク面積を(b)、ヘキサエステル体のピーク面積を(c)、ヘプタエステル体のピーク面積を(d)、オクタエステル体のピーク面積を(e)、ノナエステル体のピーク面積を(f)、デカエステル体のピーク面積を(g)、ウンデカエステル体のピーク面積を(h)とすると、各々のエステル体の面積百分率(%)は、以下の計算式で算出することができる。
テトラエステル体の面積百分率(%)=(X)×(a)/(Y)
ペンタエステル体の面積百分率(%)=(X)×(b)/(Y)
ヘキサエステル体の面積百分率(%)=(X)×(c)/(Y)
ヘプタエステル体の面積百分率(%)=(X)×(d)/(Y)
オクタエステル体の面積百分率(%)=(X)×(e)/(Y)
ノナエステル体の面積百分率(%)=(X)×(f)/(Y)
デカエステル体の面積百分率(%)=(X)×(g)/(Y)
ウンデカエステル体の面積百分率(%)=(X)×(h)/(Y)
上記(算出方法(1))又は上記(算出方法(4))にて算出した各エステル体の面積百分率(%)を合計した面積百分率(%)を、各エステル体の合計含量とする。
例えば、水酸基を8個有するトレハロースをエステル化して得られるトレハロース脂肪酸エステル組成物の場合、エステル化率が40.0%以上90.0%未満のエステル体の合計含量は、上記(算出方法(4))にて算出したテトラエステル体、ペンタエステル体、ヘキサエステル体及びヘプタエステル体の面積百分率(%)を合計することで算出することができ、また、エステル化率が40.0%未満のエステル体の合計含量は、上記(算出方法(1))にて算出したモノエステル体、ジエステル体及びトリエステル体の面積百分率(%)を合計することで算出することができる。
炭素数が8〜22の脂肪酸のエステルとのエステル交換反応によりエステル化を行う場合、反応で生成したアルコールを減圧濃縮によって容易に除去できる点から、メタノール、エタノール等の低分子量アルコールのエステルを用いることが好ましい。
必要に応じて触媒等の添加剤を用いることができる。
反応条件は、特に限定されず、用いる糖や炭素数が8〜22の脂肪酸の種類に応じて、得られる糖脂肪酸エステル組成物の水酸基価が20〜220となるように適宜調整することで、エステル化を行うことができる。
反応に用いる糖の種類によって、水酸基の数が異なるため、本発明に使用できる水酸基価20〜220の糖脂肪酸エステル組成物を得るためには、糖と脂肪酸メチルの好ましいモル比が糖の種類によって変化する。例えばトレハロースの場合、糖:脂肪酸メチル=1:3.5〜1:7.5とすることが好ましく、ラクチトール及びマルチトールの場合、糖:脂肪酸メチル=1:3.7〜1:8.5とすることが好ましく、ラフィノースの場合、糖:脂肪酸メチル=1:5.0〜1:11.2とすることが好ましく、イノシトール及びマンニトールの場合、糖:脂肪酸メチル=1:2.2〜1:5.5とすることが好ましく、キシリトールの場合、糖:脂肪酸メチル=1:2.0〜1:4.5とすることが好ましく、エリスリトールの場合、糖:脂肪酸メチル=1:1.7〜1:3.5とすることが好ましい。
以下、HLBが7以上である非イオン性界面活性剤は、成分(B)とする。
また、成分(B)としては、ポリオキシエチレン基を有するHLBが7以上である非イオン界面活性剤が好ましい。
HLB=20×(1−S/A)
S:ケン化価
A:エステル中の脂肪酸の中和価
(親水基がポリオキシエチレンおよびポリグリセリン等の多価アルコールを含む場合)
HLB=(E+P)/5
E:活性剤中のポリオキシエチレンの質量%
P:多価アルコールの質量%
(親水基がポリオキシエチレン基のみの場合)
HLB=E/5
E:活性剤中に占めるポリオキシエチレンの質量%
例えば、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン、モノミリスチン酸POE(20)ソルビタン、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン、モノラウリン酸POE(6)ソルビタン、モノミリスチン酸POE(6)ソルビタン、モノパルミチン酸POE(6)ソルビタン、モノステアリン酸POE(6)ソルビタン、モノオレイン酸POE(6)ソルビタン、モノイソステアリン酸POE(6)ソルビタン、等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、テトラベヘン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトラベヘン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、テトラベヘン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、モノステアリン酸POE(5)グリセリル、モノステアリン酸POE(15)グリセリル、モノオレイン酸POE(5)グリセリル、モノオレイン酸POE(15)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(5)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(15)グリセリル、トリステアリン酸POE(10)グリセリル、トリステアリン酸POE(20)グリセリル、トリステアリン酸POE(30)グリセリル、トリオレイン酸POE(10)グリセリル、トリオレイン酸POE(20)グリセリル、トリオレイン酸POE(30)グリセリル、トリイソステアリン酸POE(10)グリセリル、トリイソステアリン酸POE(20)グリセリル、トリイソステアリン酸POE(30)グリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、モノラウリン酸トリグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸トリグリセリル、モノミリスチン酸テトラグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノパルミチン酸トリグリセリル、モノパルミチン酸テトラグリセリル、モノパルミチン酸ペンタグリセリル、モノパルミチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸トリグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸トリグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸トリグリセリル、モノイソステアリン酸テトラグリセリル、モノイソステアリン酸ペンタグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、ジラウリン酸デカグリセリル、トリラウリン酸デカグリセリル、テトララウリン酸デカグリセリル、ジミリスチン酸デカグリセリル、トリミリスチン酸デカグリセリル、テトラミリスチン酸デカグリセリル、ジパルミチン酸デカグリセリル、トリパルミチン酸デカグリセリル、テトラパルミチン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、テトラステアリン酸デカグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、テトラオレイン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソステアリン酸デカグリセリル、テトライソステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、酸化エチレンの付加モル数が15以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、酸化エチレンの付加モル数が15以上のポリオキシエチレンヒマシ油、酸化エチレンの付加モル数が3以上のポリオキシエチレンラウリルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が3以上のポリオキシエチレンセチルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のポリオキシエチレンステアリルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のポリオキシエチレンオレイルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が3以上のモノラウリン酸ポリエチレングリコール、酸化エチレンの付加モル数が4以上のモノステアリン酸ポリエチレングリコール、酸化エチレンの付加モル数が4以上のモノオレイン酸ポリエチレングリコール、酸化エチレンの付加モル数が4以上のモノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、酸化エチレンの付加モル数が5以上のモノベヘン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(2)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(2)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(2)セチルエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。特にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、酸化エチレンの付加モル数が15以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、酸化エチレンの付加モル数が3以上のポリオキシエチレンセチルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のポリオキシエチレンステアリルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のポリオキシエチレンオレイルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のポリオキシエチレンベヘニルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が4以上のモノステアリン酸ポリエチレングリコール、酸化エチレンの付加モル数が4以上のモノオレイン酸ポリエチレングリコール、酸化エチレンの付加モル数が4以上のモノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、酸化エチレンの付加モル数が5以上のモノベヘン酸ポリエチレングリコールが好ましい。これらのHLBが7以上である非イオン性界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成分(B)のHLBが7以上である非イオン性界面活性剤として、前記のものを用いると調製が非常に簡便でW/O/Wの生成効率が良く、安定性の高いW/O/W型乳化組成物を得ることができる。
成分(B)のHLBが7以上である非イオン性界面活性剤として、酸化エチレンの付加モル数が15以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いると、保水性のより良好なW/O/W型乳化組成物を得ることができる。
以下、多価アルコールは、成分(C)とする。
本発明のW/O/W型乳化組成物に用いられる水としては、蒸留水、イオン交換水等の精製水、果実・花から得られる水、海水等を精製した水などが挙げられる。これらの水は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、水は、成分(D)とする。
なお、油相と水相の配合比率は、質量比で油相:水相=1:99〜70:30であることが好ましく、油相:水相=1:99〜60:40であることがより好ましく、油相:水相=1:99〜50:50であることが最も好ましい。
また、本発明のW/O/W型乳化組成物は、40℃1か月間の保存期間において、内水相の分散状態がほぼ変化が無いものであり、長期間の乳化安定性に優れるものである。
さらに、本発明のW/O/W型乳化組成物は、従来からよく用いられている転相乳化法によって得られるため、調製が非常に簡便である。本発明のW/O/W型乳化組成物の製造には、2段階の乳化を必要としないことから、製造工程を省けて、乳化機等の製造機の新たな設備投資も必要とせず、製造コストの面でも有利である。
また本発明のW/O/W型乳化組成物は、予備混合された複合原料として用いることもでき、複合原料の一つとして、化粧料、医薬部外品、医薬品等に含有させることもできる。特に本発明のW/O/W型乳化組成物は、化粧料に好適に配合することができる。
トレハロース・二水和物(株式会社林原製、トレハ−HT)241.9g(0.64モル)、イソステアリン酸メチル(常法によって調製、酸価2.0)1001.9g(3.33モル)、炭酸カリウム(和光純薬工業株式会社製、炭酸カリウム)3.0g、ステアリン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、ステアリン酸ナトリウム)62.2gを撹拌機、温度計、コック付窒素ガス吹込管、コック付ガラス管を備えた2000mlの四つ口フラスコに仕込み、95℃にて撹拌しながら水分の減圧乾燥を行った。窒素ガスにて四つ口フラスコ内を常圧に戻し、触媒となる炭酸カリウム(和光純薬工業株式会社製、炭酸カリウム)12.1gを添加し、再び減圧とし、混合物を110〜170℃で48時間減圧撹拌反応させた。反応終了後、混合物はキシレン1000ml、酢酸ブチル500mlにて希釈して濾過し、濾液は下層となる水溶液層がほぼ中性となるまで温水でゆっくりと洗浄を繰り返した。洗浄終了後、上層のキシレン層は、減圧にて乾燥し、そしてキシレンの留去を行い、活性炭、活性白土を用いて脱色処理を行った。常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価94のトレハロースイソステアリン酸エステル組成物2を705g得た。
表4及び5に示した糖及び脂肪酸は、以下のものを使用した。
トレハロース:株式会社林原製「トレハ−HT」
ラクチトール:日研化成社製「ラクチトール日研」
ラフィノース:和光純薬工業社製「D(+)―ラフィノース五水和物」
イノシトール:和光純薬工業社製「myo−イノシトール」
マルチトール:日研化成社製「マルビット」
マンニトール:日研化成社製「マンニトール日研」
キシリトール:日研化成社製「キシリトール日研」
エリスリトール:日研化成社製「エリスリトール」
イソステアリン酸:コグニス社製「EMASOL874」
ラウリン酸:日本油脂社製「NAA−122」
パルミチン酸:日本油脂社製「NAA−160」
オレイン酸:日本油脂社製「NAA−34」
2−ヘキシルデカン酸:SASOL社製「ISOCARB16」
2−デカンテトラデカン酸:SASOL社製「ISOCARB24」
ステアリン酸:日本油脂社製「NAA−172」
トレハロースイソステアリン酸エステル組成物:T−iSt
トレハロースラウリン酸エステル組成物:T−La
トレハロースパルミチン酸エステル組成物:T−Pa
トレハロースオレイン酸エステル組成物:T−Ol
トレハロース2−ヘキシルデカン酸エステル組成物:T−HD
ラクチトールイソステアリン酸エステル組成物:LT−iSt
ラクチトール2−デカンテトラデカン酸エステル組成物:LT−DT
ラフィノースイソステアリン酸エステル組成物:RA−iSt
ラフィノースステアリン酸エステル組成物:RA−St
ラフィノース2−エチルヘキサン酸エステル組成物:RA−EH
イノシトールイソステアリン酸エステル組成物:IN−iSt
マルチトールイソステアリン酸エステル組成物:MT−iSt
マンニトールイソステアリン酸エステル組成物:MN−iSt
キシリトールイソステアリン酸エステル組成物:X−iSt
エリスリトールイソステアリン酸エステル組成物:E−iSt
なお、糖脂肪酸エステル組成物における各エステル化率のエステル体の含量は、以下に示すGPCカラム及びODSカラムを併用したHPLCにより算出された各エステル体の面積百分率(%)である。
糖脂肪酸エステル組成物のうちモノエステル体、ジエステル体、トリエステル体、およびポリエステル体の面積%を算出するためのGPCカラムを用いたHPLCは、以下の測定条件で行った。
GPCカラムは、東ソー株式会社製のTSKGEL G4000HHR 5μm 7.8×300mm、TSKGEL G3000HHR 5μm 7.8×300mm、TSKGEL G2000HHR 5μm 7.8×300mm、及びTSKGEL G3000HHR 5μm 7.8×300mmを、この順序で4本連結して用いた。また、HPLCは、島津製作所製の島津高速液体クロマトグラフ用送液ユニット LC-10AD、島津高速クロマトグラフ用カラムオーブン CTO-10A、島津高速クロマトグラフ用示差屈折率検出器を用いて行った。
GPCカラムを用いたHPLCの測定条件
カラム:内径7.8mm、長さ300mm、5μmサイズの
スチレンジビニルベンゼン基材のGPCカラムを
4本連結して用いた。
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
移動相の流量:0.5mL/min
検出:示差屈折率(RI)
ODSカラムは、東京化成工業株式会社製のKaseisorb LC ODS2000 5μm 4.6×150mmを用いた。また、HPLCは、島津製作所製の島津高速液体クロマトグラフ用送液ユニット LC-10AD、島津高速クロマトグラフ用カラムオーブン CTO-10A、島津高速クロマトグラフ用示差屈折率検出器を用いて行った。
ODSカラムを用いたHPLCの測定条件
カラム:内径4.6mm、長さ150mm、5μmサイズのODSカラム
を用いた。
移動相:テトラヒドロフラン:メタノール=55:45(容量比)
カラム温度:40℃
移動相の流量:0.8mL/min
検出:示差屈折率(RI)
※4 テトラエステル体、※5 ペンタエステル体、※6 ヘキサエステル体、
※7 ヘプタエステル体、※8 オクタエステル体、※9 ノナエステル体
※4 テトラエステル体、※5 ペンタエステル体、※6 ヘキサエステル体、
※7 ヘプタエステル体、※8 オクタエステル体、※9 ノナエステル体、
※10 デカエステル体、※11 ウンデカエステル体
表9〜16に示す処方でW/O/W型乳化組成物を調製し、得られたW/O/W型乳化組成物の乳化状態を顕微鏡にて観察した。また、得られたW/O/W型乳化組成物を40℃1ヶ月保存し、保存後の乳化状態を顕微鏡で観察した。
油相に配合する成分をビーカーに入れ、70℃に加温溶解することで、油相を調製した。水相に配合する成分を別のビーカーに入れ、70℃に加温溶解することで、水相を調製した。油相を卓上ディスパー500rpmで攪拌しながら、水相をゆっくりと添加し、連続層が水相に転相したことを確認後、添加剤を加えることでW/O/W型乳化組成物を得た。
調製直後のW/O/W型乳化組成物をスライドグラスに滴下し、カバーガラスをかぶせて薄膜にすることで、評価サンプルを作成した。評価サンプルの乳化状態を1000倍の倍率の顕微鏡(キーエンス社製「DEGITAL MICROSCOPE VHX−500」)で観察し、視野にある油滴の中に水相があるものの割合を目視で判定した。
◎:80%以上の油滴中に内水相がある。
○:50%以上80%未満の油滴中に内水相がある。
□:30%以上50%未満の油滴中に内水相がある。
△:30%未満の油滴中に内水相がある。
×:内水相が全く無い。
40℃で1ヶ月間保存した後のW/O/W型乳化組成物をスライドグラスに滴下し、カバーガラスをかぶせて薄膜にすることで、評価サンプルを作成した。評価サンプルの乳化状態を1000倍の倍率の顕微鏡(キーエンス社製「DEGITAL MICROSCOPE VHX−500」)で観察し、保存前の乳化状態と比較して、乳化状態の変化の有無を評価した。
◎:保存前とほとんど変化無し。
○:わずかに内水相の合一が見られるが、内水相を含む油滴の割合は
ほぼ変化無し。
□:内水相を含む油滴の割合がわずかに減少。
△:内水相を含む油滴の割合が半分以下まで減少。
×:内水相が全て消失。または保存前から内水相が存在せず。
※4:日清オイリオグループ社製「サラコスPG−180」HLB14.8
※5:日光ケミカルズ社製「NIKKOL HCO−20」HLB10.5
※6:花王社製「レオドール460」 HLB 13.8
※7:花王社製「エマルゲン106」 HLB 10.5
※8:花王社製「エマルゲン220」 HLB 14.2
※9:日光ケミカルズ社製「NIKKOL MYS−40」HLB17.5
なお、実施例59及び60については、下記評価方法及び評価基準により、W/O/W型乳化組成物の保水性についても評価した。
調製したW/O/W型乳化組成物を秤量皿に約3g採取し、重量を測定した。その後、温度40℃、湿度50%の条件下で15時間保存後の重量を測定し、実験開始前の重量に対する保存後の重量割合を、以下の基準で判定した。
◎:実験開始前の重量に対する保存後の重量割合が25%以上
○:実験開始前の重量に対する保存後の重量割合が20%以上25%未満
×:実験開始前の重量に対する保存後の重量割合が20%未満
※4:日清オイリオグループ社製「サラコスPG−180」HLB14.8
※10:日清オイリオグループ社製「サラコスDG−180」HLB7.4
※11:花王社製「エマノーンCH−60(K)」HLB14.0
※12:花王社製「エマノーンCH−40」HLB12.5
※13:花王社製「エマノーンCH−25」HLB10.7
※14:日清オイリオグループ社製「サラコスGE−118」HLB13.0
※15:日本エマルジョン社製「EMALEX BHA−30」HLB14.0
※11:花王社製「エマノーンCH−60(K)」HLB14.0
※16:日清オイリオグループ社製「エステモールN−01」
※17:日清オイリオグループ社製「T.I.O」
※4:日清オイリオグループ社製「サラコスPG−180」HLB14.8
※10:日清オイリオグループ社製「サラコスDG−180」HLB7.4
※11:花王社製「エマノーンCH−60(K)」HLB14.0
成分(A):糖と炭素数8〜28の脂肪酸とをエステル化して得られる糖脂肪酸エステル組成物であり、該糖脂肪酸エステル組成物の水酸基価が20〜220である糖脂肪酸エステル組成物であって、
前記糖脂肪酸エステル組成物を構成する糖が、イノシトール、トレハロース、ラクチトール、マルチトール、及びラフィノースからなる群から選ばれる1種又は2種以上である糖脂肪酸エステル組成物
成分(B):HLBが7以上である非イオン性界面活性剤
成分(A):糖と炭素数8〜28の脂肪酸とをエステル化して得られる糖脂肪酸エステル組成物であり、該糖脂肪酸エステル組成物の水酸基価が20〜220である糖脂肪酸エステル組成物であって、
前記糖脂肪酸エステル組成物を構成する糖が、イノシトール、トレハロース、ラクチトール、マルチトール、及びラフィノースからなる群から選ばれる1種又は2種以上である糖脂肪酸エステル組成物
成分(B):HLBが7以上である非イオン性界面活性剤
表4及び5に示した糖及び脂肪酸は、以下のものを使用した。
トレハロース:株式会社林原製「トレハ−HT」
ラクチトール:日研化成社製「ラクチトール日研」
ラフィノース:和光純薬工業社製「D(+)―ラフィノース五水和物」
イノシトール:和光純薬工業社製「myo−イノシトール」
マルチトール:日研化成社製「マルビット」
マンニトール:日研化成社製「マンニトール日研」
キシリトール:日研化成社製「キシリトール日研」
エリスリトール:日研化成社製「エリスリトール」
イソステアリン酸:コグニス社製「EMASOL874」
ラウリン酸:日本油脂社製「NAA−122」
パルミチン酸:日本油脂社製「NAA−160」
オレイン酸:日本油脂社製「NAA−34」
2−ヘキシルデカン酸:SASOL社製「ISOCARB16」
2−デカンテトラデカン酸:SASOL社製「ISOCARB24」
ステアリン酸:日本油脂社製「NAA−172」
Claims (13)
- 下記成分(A)を0.001〜60質量%、及び成分(B)を0.001〜10質量%含有し、成分(A)と成分(B)との質量比が1:0.01〜1:1.4であるW/O/W型乳化組成物。
成分(A):糖と炭素数8〜28の脂肪酸とをエステル化して得られる糖脂肪酸エステル組成物であり、該糖脂肪酸エステル組成物の水酸基価が20〜220である糖脂肪酸エステル組成物
成分(B):HLBが7以上である非イオン性界面活性剤 - 前記成分(A)の糖脂肪酸エステル組成物を構成する糖が、イノシトール、トレハロース、ラクチトール、マルチトール、ラフィノース、マンニトール、キシリトール及びエリスリトールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記成分(A)の糖脂肪酸エステル組成物を構成する糖が、トレハロースである請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記成分(A)の糖脂肪酸エステル組成物を構成する炭素数8〜28の脂肪酸が、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2−エチルヘキサン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルウンデシレン酸、イソステアリン酸、2−オクチルドデカン酸及び2−ドデシルテトラデカン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記成分(A)の糖脂肪酸エステル組成物を構成する炭素数8〜28の脂肪酸が、イソステアリン酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記成分(B)が、ポリオキシエチレン基を有するHLBが7以上の非イオン性界面活性剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- さらに成分(C)として、多価アルコールを0.1〜45質量%含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記成分(C)が、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及びヘキシレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項7に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記W/O/W型乳化組成物が、化粧料である請求項1〜8のいずれか1項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記化粧料が、乳液、クリーム、美容液、化粧水、軟膏又はパックである請求項9に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のW/O/W型乳化組成物を含有する化粧料。
- 前記化粧料が、乳液、クリーム、美容液、化粧水、軟膏又はパックである請求項11に記載の化粧料。
- 下記成分(A)を0.001〜60質量%、及び成分(B)を0.001〜10質量%含有し、成分(A)と成分(B)との質量比が1:0.01〜1:1.4である油相に、水を含有する水相を添加し、転相乳化させることを特徴とするW/O/W型乳化組成物の製造方法。
成分(A):糖と炭素数8〜28の脂肪酸とをエステル化して得られる糖脂肪酸エステル組成物であり、該糖脂肪酸エステル組成物の水酸基価が20〜220である糖脂肪酸エステル組成物
成分(B):HLBが7以上である非イオン性界面活性剤
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