JPWO2008111447A1 - 光導波路及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

同一のプロセスでSOI光導波路コア層の幅及び厚さの両方を同時に狭窄することができ、製作工程の簡便化及び光学損失の低減を実現することが可能な光導波路及びその製造方法を提供する。光導波路は、半導体基板上に形成された第一のクラッド層と、第一のクラッド層上部に第一のクラッド層よりも屈折率の高い半導体材料で形成された第一のコア層と、第一のコア層上部に第一のコア層よりも屈折率の低い材料で形成された第二のクラッド層とを有する。第一のコア層の幅は、部分的に熱酸化した酸化膜で挟まれた非酸化の半導体材料の幅で規定されている。第一のコア層の厚さは、部分的に熱酸化した酸化膜と第一のクラッド層とで挟まれた非酸化の半導体材料の厚さで規定されている。光導波路の少なくとも入出力部分に第一のコア層の幅および厚さが共に光の伝播方向に対して単調に減少或いは増加するテーパ状の導波路部分を有する。

Description

本発明は、光導波路及びその製造方法に係り、特にスポットサイズ変換器及び方向性結合器等の平面光回路で用いる光導波路の構造およびその製造方法に関する。
平面光回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)は、石英系を中心に発展・実用化が進み、AWG(Arrayed Waveguide Grating:アレイ導波路回析格子)や、スプリッターなどで近年の光通信市場を支える基幹部品として重要な役割を果たしてきた。また、最近では、化合物半導体アンプ(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)を石英PLCにハイブリット実装した波長可変光源などの新機能素子の開発も進展しており、能動素子と受動素子を共通のPLC基板に搭載して従来よりも小型で安価なシステムをワンチップ上に実現しようとする試みが活発化している。
しかしながら、求められる機能がより複雑で高度になるに従い、平面光回路の素子サイズおよび駆動するための消費電力も増大しており、従来の石英系で実現できる機能・性能には限界が見えてきた。そこで、Si細線やフォトニック結晶(PC:Photonic Crystal)といったSiの微細加工技術を応用したSOI(Silicon on Insulator)導波路の研究開発が進んでおり、小型・低消費電力・低コストを特徴とする基幹部品の可能性が検討されている。
とくに、Si細線は、従来のPLCサイズを大幅に縮減できる光導波路である。SOI導波路による小型化は、コア材料としてSiを用いることにより、クラッド材料(SiOやその誘電体)に対する比屈折率差を大きくし、微小光回路を実現したことによるものである。
従来の石英系の比屈折率差Δは、高々5%程度でその曲げ半径は500μm程度であるのに対して、Si細線光導波路のΔは、40%以上でその曲げ半径は数ミクロンにもなる。しかしながら、比屈折率差を大きくすると、伝播光の単一モード条件を満たすために、コア径を小さくする必要があり、光ファイバーやその他の導波路素子とのスポットサイズに差異が生じてしまうので、光学結合損失が増大するという問題がある。
この問題を解決するために、スポットサイズを拡大するためのいくつかの方法が提案されている。もっとも簡便な方法としては、特許文献1で提案されているように、導波路の幅のみ小さくしていく方法が知られているが、導波路の厚さ方向が一定であるために、伝播光のフィールド形状が楕円になり、光ファイバーとの結合損失を十分に低減できない。これに対して、導波路の厚さ方向もテーパ状に変化させる方法が提案されている。特許文献2または特許文献3には、導波路厚さ方向を導波路幅とは独立に形成する方法が提案されているが、複数のプロセスを組み合わせたものであり、製作工程が複雑になるという課題がある。同一のプロセスで導波路コア層の幅及び厚さを同時に変化させることができれば、製造工程も単純化されると同時に製造バラツキも抑制できるので、低コスト・高歩留まりでスポットサイズ変換を実現することが可能となる。
特開2004−151700号公報 特開2005−70557号公報 特開2002−303752号公報
以上のように、SOI光導波路の挿入損失低減には、その入出力導波路部のスポットサイズ変換が必要不可欠であるが、従来の方法では、半導体層のエッチングプロセスによる導波路コア幅狭窄の工程と導波路コア高さ縮小の工程とが別々であるために、製作工程が複雑化するという課題と、半導体層のエッチングプロセスに起因して光学伝播損失が増大するという課題とがあった。
本発明は、このような課題を解決するためのものであって、同一のプロセスでSOI光導波路コア層の幅及び厚さの両方を同時に狭窄することができ、製作工程の簡便化及び光学損失の低減を実現することが可能な光導波路及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る光導波路は、半導体基板上に形成された第一のクラッド層と、前記第一のクラッド層上部に前記第一のクラッド層よりも屈折率の高い半導体材料で形成された第一のコア層と、前記第一のコア層上部に前記第一のコア層よりも屈折率の低い材料で形成された第二のクラッド層とを有する光導波路であって、前記第一のコア層の幅は、部分的に熱酸化した酸化膜で挟まれた非酸化の半導体材料の幅で規定されており、前記第一のコア層の厚さは、前記部分的に熱酸化した酸化膜と前記第一のクラッド層とで挟まれた非酸化の半導体材料の厚さで規定されており、前記光導波路の少なくとも入出力部分に前記第一のコア層の幅および厚さが共に光の伝播方向に対して単調に減少或いは増加するテーパ状の導波路部分を有することを特徴とする。
本発明に係る第1の光導波路の製造方法は、シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI基板の前記シリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する工程と、前記シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する工程と、パターニング形成された前記シリコン窒化膜をマスクとしてLOCOS酸化を行うことにより、第二のクラッド層を形成すると同時に、前記シリコン窒化膜下部に前記ストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少したシリコンの第一のコア層を形成する工程と、前記シリコン窒化膜を除去する工程と、前記シリコン窒化膜を除去した後に第三のクラッド層を積層する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る第2の光導波路の製造方法は、シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI基板の前記シリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する工程と、前記シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する工程と、パターニング形成された前記シリコン窒化膜をマスクとしてLOCOS酸化を行うことにより、第二のクラッド層を形成すると同時に、前記シリコン窒化膜下部に前記ストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少し、さらに前記テーパ先端部ではシリコン層が消失するように、第一のコア層を形成する工程と、前記シリコン窒化膜上部に第三のクラッド層を積層する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る第3の光導波路の製造方法は、シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI基板の前記シリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する工程と、前記シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する工程と、パターニング形成された前記シリコン窒化膜をマスクとしたエッチング工程により前記シリコン上部層の一部を除去してシリコンメサを形成する工程と、前記シリコン窒化膜をマスクとして、前記シリコンメサをLOCOS酸化することにより、前記シリコン窒化膜下部に前記ストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少し、さらに前記テーパ先端部ではシリコン層が消失するように、前記第一のシリコンコア層を形成する工程と、前記シリコン窒化膜上部に前記第三のクラッド層を積層する工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、同一のプロセスでSOI光導波路コア層の幅及び厚さの両方を同時に狭窄することができ、製作工程の簡便化及び光学損失の低減を実現することが可能な光導波路及びその製造方法を提供することができる。
本発明の第一の実施例に係る光導波路の構成を示す斜視図である。 (a)〜(d)は、本発明の第一の実施例に係る光導波路の製造工程を示す斜視図である。 (a)〜(e)は、図2(c)の工程における導波路方向に沿った各部位の断面構成を示す模式図である。 本発明の第二の実施例に係る光導波路の構成を示す斜視図である。 (a)〜(d)は、本発明の第二の実施例に係る光導波路の製造工程を示す斜視図である。 本発明の第三の実施例に係る光導波路の構成を示す斜視図である。 図6の平面P11に沿った断面図である。 図6の平面P12に沿った断面図である。 図6の平面P13に沿った断面図である。 (a)及び(b)は、本発明の第一及び第三の実施例に係る光導波路の導波路断面を示す模式図である。 (a)〜(e)は、本発明の第三の実施例に係る光導波路の製造工程を示す模式図である。 本発明の第四の実施例に係る光導波路の構成を示す斜視図である。
符号の説明
1 光導波路
10 シリコン基板
11 シリコン酸化膜(第一のクラッド層)
12 シリコン酸化膜(第二及び第三のクラッド層)
13 シリコン窒化膜コア層(第二のコア層)
14 シリコン窒化膜テーパコア層(第二のコア層)
15 シリコン窒化膜コア層(第二のコア層)
16 シリコンコア層(第一のコア層)
17 シリコンテーパコア層(第一のコア層:テーパ導波路部)
18 テーパ状のストライプ(シリコン窒化膜マスク)
19 直線状のストライプ(シリコン窒化膜マスク)
21 シリコン上部層
22 シリコン窒化膜
23 LOCOS法で形成される酸化膜
41 シリコンコア層
40 シリコンテーパコア層(第一のコア層:テーパ導波路部)
50 第一のシリコンテーパコア層(第一のコア層:テーパ導波路部)
51 シリコンコア層
52 第二のシリコンテーパコア層(第一のコア層:テーパ導波路部)
P11、P12、P13 導波路断面部位を示す平面
Δa 第一のコア層と第二のコア層との光波パワー中心のズレ
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細を説明する。
本実施形態に係る光導波路は、半導体基板上に形成された第一のクラッド層と、クラッド層上部に第一のクラッド層よりも屈折率の高い半導体材料で形成された第一のコア層と、第一のコア層上部に第一のコア層よりも屈折率の低い材料で形成された第二のクラッド層とを有する。第一のコア層の幅は、部分的に熱酸化した酸化膜で挟まれた非酸化の半導体材料の幅で規定されている。第一のコア層の厚さは、部分的に熱酸化した酸化膜と第一のクラッド層とで挟まれた非酸化の半導体材料の厚さで規定されている。光導波路の少なくとも入出力部分に第一のコア層の幅および厚さが共に光の伝播方向に対して単調に減少或いは増加するテーパ状の導波路部分を有する。
この構成では、次のような態様を採用してもよい。
a)テーパ導波路部の第一のコア層の断面積が単調縮小する先端側において、第一のコア層が消失して存在しない。第一のコア層上部には、第二のクラッド層よりも屈折率の高い誘電体材料をパターニングすることにより形成された第二のコア層が装荷されている。第二のコア層の幅は、光の伝播方向に沿って第一のコア層と同様に単調変化する部分を有している。第一のコア層が消失した領域の上部にも、一定の幅を有する第二のコア層が形成されている。第二のコア層上部には、第二のコア層よりも屈折率の低い材料で構成された第三のクラッド層が形成されている。
b)第一のコア層の断面積が単調縮小するテーパ導波路部の先端において、第一のコア層が消失している。第一のコア層上部には、第二のクラッド層よりも屈折率の高い誘電体材料をパターニングすることにより形成された第二のコア層が装荷されている。第二のコア層の幅は、光の伝播方向に沿って第一のコア層と同様に単調変化する部分を有している。第一のコア層が消失した領域の上部にも一定の幅を有する第二のコア層が形成されている。第一のコア層の高さの中心は、導波路方向(光の伝搬方向)に沿って単調に第二のコア層に接近するように形成されている。第二のコア層上部には、第二のコア層よりも屈折率の低い材料で構成された第三のクラッド層が形成されている。
c)第三のクラッド層は、ポリマー材料で構成されてもよい。
d)第一のコア層がシリコンで構成され、第二及び第三のクラッド層がシリコン酸化膜で構成されてもよい。第二のコア層がシリコン窒化膜で構成されてもよい。
本実施形態に係る光導波路の製造方法は、次の工程a1)〜a5)を有する。
a1)シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI基板のシリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する。
a2)シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する。
a3)パターニング形成されたシリコン窒化膜をマスクとしてLOCOS(Local oxidation of Silicon)酸化を行うことにより、第二のクラッド層を形成すると同時に、シリコン窒化膜下部にストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少したシリコンの第一のコア層を形成する。
a4)シリコン窒化膜を除去する。
a5)シリコン窒化膜を除去した後に第三のクラッド層を積層する。
また、その他の例として、次の工程b1)〜b4)を有してもよい。
b1)シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI基板のシリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する。
b2)シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する。
b3)パターニング形成されたシリコン窒化膜をマスクとしてLOCOS酸化を行うことにより、第二のクラッド層を形成すると同時に、シリコン窒化膜下部にストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少し、さらにテーパ先端部ではシリコン層が消失するように第一のシリコンコア層を形成する。
b4)シリコン窒化膜上部に第三のクラッド層を積層する。
さらに、次の工程c1)〜c5)を有してもよい。
c1)シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI基板のシリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する。
c2)シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する。
c3)パターニング形成されたシリコン窒化膜をマスクとしたエッチング工程によりシリコン上部層の一部を除去してシリコンメサを形成する。
c4)シリコン窒化膜をマスクとして、シリコンメサをLOCOS酸化することにより、シリコン窒化膜下部にストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少し、さらにテーパ先端部ではシリコン層が消失するように、第一のコア層を形成する。
c5)シリコン窒化膜上部に前記第三のクラッド層を積層する。
また、第三のクラッド層を形成する工程として、シリコン酸化膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で積層する工程を用いてもよい。また、第三のクラッド層を形成する工程として、シリコン酸化膜をスパッタリング法で積層する工程を用いてもよい。さらに、第三のクラッド層を形成する工程として、ポリマー膜をスピン塗布法により形成する工程を用いてもよい。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る光導波路は、その入出力部分にスポットサイズ変換部位を有しており、光波伝播方向に沿ってそのフィールド径を断熱的に(パワー損失をほとんど伴わずに)変化させて、光ファイバーやその他光導波路素子のスポットサイズに合わせることによって、その結合損失の低減を図るものであるが、特に、導波路コア層の幅と厚さを同一のプロセスで同時に変化させることが可能であることからプロセスを簡便化することができる。
本実施形態では、SOI基板の上部シリコン層にテーパ形状を有するストライプ状のシリコン窒化膜を形成し、このシリコン窒化膜をマスクとしてLOCOS酸化を行う。LOCOS酸化では、マスクとなるシリコン窒化膜以外のシリコン上面から酸化種(酸素イオン)が拡散しながらSiO膜を形成するので、マスクの両側ではSiO層が形成される。また、マスクとシリコン層の界面にも酸化種が拡散するために、マスク幅の狭いところでは、マスクの両側から拡散浸入した酸化種の濃度がマスク直下でも高まり、酸化によりシリコン層の厚さが減少することになる。即ち、マスク幅を徐々に狭めることにより、シリコン層の幅のみならず厚さも減少させることが可能であり、テーパ状の光導波路コア層を形成することができる。
さらに、マスクとして使用したシリコン窒化膜を除去せずに、LOCOS酸化により消失したSiコア層の代わりに、シリコン窒化膜をコア層として利用することも可能である。シリコン窒化膜の屈折率は、Siの屈折率よりも低いために、スポットサイズの拡大がより容易にできると言う利点がある。
一方、前述のシリコン窒化膜をマスクとしてシリコン層の一部をエッチング除去して形成したメサ形状に対して、前述のシリコン窒化膜をマスクとしてLOCOS酸化を行うと、シリコン窒化膜とシリコン層の界面の酸化速度よりも、エッチング形成されたシリコン層側壁からの酸化速度が速いために、ストライプ方向に沿ってシリコン層の中心が前述のシリコン窒化膜に接近するように、シリコン層を単調に消失させる事ができる。この場合、第一のコア層から第二のコア層へ光波中心をスムーズに移行させることが可能となり、過剰損失を低減できるという利点がある。
以上のように、本実施形態に係る光導波路では、Siコア層の幅と厚さのテーパ形状を同一のプロセスで同時に形成できるため、製作工程が簡便で低コストのスポットサイズ変換光導波路を実現することができる。
本実施形態の光導波路は、LOCOSプロセスによりシリコンコア層の幅と厚さを同時に変化させてスポットサイズ変換に必要なテーパ導波路を形成し、光ファイバーとの結合損失低減を図るものである。
従って、本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
第一の効果は、伝播損失を増加させずに結合損失を低減させることにある。即ち、シリコン層をエッチングせずにテーパ状のコア層を形成できるので、エッチングによる側壁荒れやコア層へのダメージが生じず、光波伝播損失が低減できる。
第二の効果は、スポットサイズ変換にともなう光学的過剰損失を低減させることにある。これは、光波フィールドの中心を連続的にスムーズに移行させながらスポットサイズを拡大させることができるので光波モードの変換損失を低減できることによるものである。
第三の効果は、製作工程の簡便化によるコストの低減にある。即ち、幅および厚さをテーパ状に変化させるために別々のプロセスは不要であり、一度のプロセス(LOCOSプロセス)で縦横のサイズを同時に変化させてテーパ導波路を構成することが出来る。
第四の効果は、スポットサイズ変換導波路の高精度な構造制御にある。即ち、テーパ導波路の形状制御にLOCOSプロセスを用いており、マスク幅のみならず温度や湿度といった熱酸化条件を調整することにより、テーパ形状を精度よく制御することが可能である。
第五の効果は、スポットサイズ変換の性能バラツキを抑制することにある。即ち、テーパ光導波路においては、所定のテーパ位置で入出力端面を形成する必要があるが、特に、比屈折率差の大きなシリコン導波路では、コア層サイズは数十nmの微細なコア断面となるために、端面位置の作成バラツキによりスポットサイズのバラツキが生じることになる。本実施形態では、シリコンコア層上部に装荷される第二のコア層を比屈折率差の低いシリコン窒化膜で形成し、一定のストライプ幅を有する所定の長さの第二のコア層を作成することにより端面位置の製作バラツキを抑制することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
図1は、本発明の第一の実施例の光導波路1の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明では、便宜上、光導波路1の幅方向、厚さ(高さ)方向、奥行き(導波路)方向をそれぞれX方向、Y方向、Z方向とする。
図1に示す本実施例の光導波路1は、スポットサイズ変換光導波路(スポットサイズ変換器)に適用したものであり、シリコン基板10と、その上部に形成された第一のクラッド層を構成するシリコン酸化膜11とからなるSOI基板が用いられる。
このSOI基板上部には、直線状のシリコンコア層16と、このシリコンコア層16に連続接続して、X方向の幅及びY方向の厚さが共にZ方向(導波路方向)に沿ってテーパ状に単調に減少するシリコンテーパコア層(本発明のテーパ導波路部を成す。)17とが同一平面(ZX平面)上に形成されている。図中の例では、シリコンコア層16は、X方向の幅がW1、Y方向の厚さがH1、方向の奥行きがL1である。シリコンテーパコア層17は、X方向の幅がW1からW2へ連続して減少し、Y方向の厚さがH1から零へ連続して減少し、Z方向の奥行きがL2である。シリコンコア層16及びシリコンテーパコア層17は、第一のコア層を構成する。
このシリコンコア層16及びシリコンテーパコア層17の上部には、シリコン窒化膜を材料とする、ストライプ状の膜から成るシリコン窒化膜コア層15と、テーパ状の膜から成るシリコン窒化膜テーパコア層14と、ストライプ状の膜から成るシリコン窒化膜コア層13とがZ方向に沿って連続的に形成されている。図中の例では、シリコン窒化膜コア層15は、X方向の幅がW1、Y方向の厚さがH2、方向の奥行きがL1である。シリコン窒化膜テーパコア層14は、X方向の幅がW1からW2へ連続して減少し、Y方向の厚さがH2、方向の奥行きがL2である。シリコン窒化膜コア層13は、X方向の幅がW2、Y方向の厚さがH2、方向の奥行きがL3である。シリコン窒化膜コア層13、シリコン窒化膜テーパコア層14、シリコン窒化膜コア層15は、第二のコア層を構成する。
この構成では、シリコン窒化膜コア層13、シリコン窒化膜テーパコア層14、及びシリコン窒化膜コア層15の中で最もX方向の幅の細いシリコン窒化膜コア層13の下部には、シリコンテーパコア層17は存在せずに、シリコン窒化膜コア層13は単独で導波路コア層を形成した構成となっている。即ち、シリコンテーパコア層17は、シリコン窒化膜テーパコア層14の終端部で消失するように形成されている。
更に、第一のコア層、即ちシリコンコア層16及びシリコンテーパコア層17と、第二のコア層、即ちシリコン窒化膜コア層13、シリコン窒化膜テーパコア層14、及びシリコン窒化膜コア層15との周辺は、シリコン酸化膜を材質としたクラッド層12で覆われている。クラッド層12は、第一のコア層上部に形成され、かつ第一のコア層よりも屈折率の低い材料で形成された第二のクラッド層と、第二のコア層上部に形成され、かつ第二のコア層よりも屈折率の低い材料で構成された第三のクラッド層とを構成する。
次に、本実施例の動作機構について説明する。
まず、光導波路1に入力された光波は、シリコンコア層16と、シリコン窒化膜コア層15とをコア層とする光導波路1の奥行きL1の部分をZ方向に伝播する。このように伝播していく光波は、シリコンテーパコア層17と、シリコン窒化膜テーパコア層14をコア層とするテーパ状の光導波路1の奥行きL2の部分で、そのスポットサイズを拡大しながら、シリコンテーパコア層17の終端部に達し、この場所で、シリコン窒化膜コア層13をコア層とする光導波路1の奥行きL3の部分に結合する。その場所から、光波は、一定のスポットサイズを保ったまま、Z方向に沿って光導波路1の出力端まで伝播し、そののちに、外部の光ファイバー(非図示)と低損失で光学結合する。
ここで、シリコン窒化膜コア層13のクラッド層12に対する比屈折率差は、シリコンコア層よりも低く、スポットサイズ拡大のためにシリコン層程の微細ストライプを必要としない。このため、パターニングの製作トレランスを向上させることが可能となる。
更に、シリコン窒化膜コア層13は光波進行方向に対して一定のサイズを有しており、光波のスポットサイズもその進行方向に対して一定である。このため、光出力端面の作成位置、即ち、導波路素子の切断位置に対する許容範囲を自由に設定することが可能になる。
次に、本実施例の製造方法について説明する。
図2は、光導波路1の製造方法を示す工程の模式図である。
1)図2(a)の工程
まず、シリコン基板10上部に、第一のクラッド層となるシリコン酸化膜11と、第一のコア層となるシリコン上部層21とを順次形成し、SOI基板を作成する。このSOI基板上に、第二のコア層となるシリコン窒化膜22をプラズマCVD法により積層する(図2(a))。
2)図2(b)の工程
次いで、積層されたシリコン窒化膜22に対して、通常のフォトリソグラフィー工程により、シリコン窒化膜コア層15及びシリコン窒化膜コア層13にそれぞれ対応するW1、W2の幅の異なるストライプを、シリコン窒化膜テーパコア層14に対応するテーパ状のストライプを挟んで連続的に接続するようにパターニング形成する(図2(b))。
3)図2(c)の工程
続いて、パターニング形成されたシリコン窒化膜22のストライプパターン、即ちシリコン窒化膜コア層13、シリコン窒化膜テーパコア層14、シリコン窒化膜コア層15をマスクとして、LOCOS法による熱酸化を行う(図2(c))。LOCOS酸化では、マスク以外のシリコン層21の上面から酸化種(酸素イオン)が拡散しながら、SiO膜を形成するので、マスクの両側ではSiO層(シリコン酸化膜)23が形成される。
また、マスクとシリコン上部層21の界面にも酸化種が拡散するために、マスク幅の狭いところでは、マスクの両側から拡散浸入した酸化種によりマスク下部でもシリコンがシリコン酸化膜23に変化し、シリコン上部層21の厚さが減少することになる。即ち、マスク幅を徐々に狭めることにより、シリコン上部層21の幅のみならず厚さも減少させることが可能であり、テーパ状の光導波路コア層、即ちシリコンテーパコア層17を形成することができる。更に、マスク幅や熱酸化の条件により、マスク下部のシリコン上部層21の全部をシリコン酸化膜23に変えることもでき、本実施例では、マスクとなるシリコン窒化膜テーパコア層14の先端下部のシリコンコア層21が酸化により消失している。
図3は、図2(c)の工程における導波路方向(Z方向)に沿った各部位の断面構成を示す模式図である。図3(b)、図3(c)、図3(d)、図3(e)は、図2(c)に対応する図3(a)中の面P1、P2、P3、P4に沿った断面図を示している。これによると、断面平面P1、P2、P3と移動するに従い、シリコンコア層16からシリコンテーパコア層17に変化し、さらにシリコンテーパコア層17の幅及び厚さが単調に減少し、断面平面P4においては、シリコンテーパコア層17は消失している。
4)図2(d)の工程
最後の製造工程では、CVDプロセスにより、第一のコア層、即ちシリコンコア層16及びシリコンテーパコア層17と、第二のコア層、即ちシリコン窒化膜コア層13、シリコン窒化膜テーパコア層14、及びシリコン窒化膜コア層15とが、第二及び第三のクラッド層、すなわちクラッド層12となるシリコン酸化膜で埋め込まれる(図2(d))。
以上の工程により、本実施例では、シリコンのエッチング工程を使わずに簡便なプロセスで、図1に示すスポットサイズ変換を実現する光導波路1、即ちスポットサイズ変換光導波路が作成される。
次に、本発明の第二の実施例について説明する。本実施例に係る光導波路は、一般によく知られているスポットサイズ変換導波路に適用したものである。
図4は、本実施例に係る光導波路1の構成を示す模式図である。同図に示す光導波路1には、シリコン基板10上に第一のクラッド層となるシリコン酸化膜12が形成され、その上部に第一のコア層が形成されている。
第一のコア層は、Y方向の厚さとX方向の幅がZ方向に沿って単調に減少するシリコンテーパコア層(テーパ導波路部)40と、このシリコンテーパコア層40に連続的に接続された直線ストライプ状のシリコンコア層41とから構成される。シリコンコア層41及びシリコンテーパコア層40は、同一平面(ZX平面)上に形成される。図中の例では、シリコンコア層41は、X方向の幅がW11、Y方向の厚さがH11、方向の奥行きがL11である。シリコンテーパコア層40は、X方向の幅がW11からW12へ連続して減少し、Y方向の厚さがH11から零へ連続して減少し、Z方向の奥行きがL2である。
更に、シリコンコア層41及びシリコンテーパコア層40の周辺は、シリコン酸化膜を材質としたクラッド層12で覆われている。クラッド層12は、第一のコア層上部に形成され、かつ第一のコア層よりも屈折率の低い材料で形成された第二のクラッド層を構成する。
次に、本実施例の製造方法について説明する。
図5は、本実施例の製造方法を示す模式図である。
1)図5(a)の工程
まず、シリコン基板10上部に、第一にクラッド層となるシリコン酸化膜11と、第一のコア層となるシリコン上部層21とを順次形成し、SOI基板を作成する。このSOI基板のシリコン上部層21の上面に、プラズマCVD法により、シリコン窒化膜22を積層する(図5(a))。
2)図5(b)の工程
次いで、積層されたシリコン窒化膜22に対し、通常のフォトリソグラフィー工程により、シリコンテーパコア層40に対応するテーパ状のストライプ18と、シリコンコア層41に対応する直線状のストライプ19とが連続的に接続するようにパターニング形成する(図5(b))。
3)図5(c)の工程
続いて、パターニング形成されたシリコン窒化膜22のストライプパターン18、19をマスクとして、LOCOS法による熱酸化を行う(図5(c))。LOCOS酸化では、マスク以外のシリコン層21の上面から酸化種(酸素イオン)が拡散しながら、SiO膜を形成するので、マスクの両側ではSiO層(シリコン酸化膜)23が形成される。
また、マスクとシリコン上部層21の界面にも酸化種が拡散するために、マスク幅の狭いところでは、マスクの両側から拡散浸入した酸化種によりマスク下部でもシリコンがシリコン酸化膜23に変化し、シリコン上部層21の厚さが減少することになる。即ち、マスク幅を徐々に狭めることにより、シリコン上部層21の幅のみならず厚さも減少させることが可能であり、テーパ状の光導波路コア層、即ちシリコンテーパコア層40を形成することができる。
4)図5(d)の工程
次に、シリコン窒化膜のマスクを構成するストライプパターン18、19を全てエッチング除去し、そのマスク下部に形成されたシリコン上部層21から成る第一のコア層、即ちシリコンテーパコア層40及びシリコンコア層41を露出させる。その後に、CVD法により、そのシリコンテーパコア層40及びシリコンコア層41を、第二のクラッド層となるシリコン酸化膜12で埋め込む(図5(d))。
以上の工程により、本実施形態では、半導体のエッチングプロセスを用いずに簡便なプロセスで、スポットサイズ変換を実現する光導波路1、即ち一般的なスポットサイズ変換導波路を製造することが可能となる。
次に、本発明の第三の実施例として、スポットサイズ変換に伴う光学的過剰損失の低減に適した光導波路の例を示す。
図6は、本実施例に係る光導波路の構成を示す斜視図である。
同図において、シリコン基板10とその上部に形成されたシリコン酸化膜11からなるSOI基板上部には、光の伝播方向(光導波方向)に対して、幅および厚さが共に単調に減少するテーパ状の導波路部分を構成するシリコンコア層(以下、シリコンテーパコア層)17が形成されている。シリコンテーパコア層17の上部には、シリコン窒化膜を材料とするストライプ状の膜(以下、シリコン窒化膜コア層)13とテーパ状の膜(以下、シリコン窒化膜テーパコア層)14とが連続的に形成されている。シリコン窒化膜コア層13の下部には、シリコンテーパコア層17は存在せずに、シリコン窒化膜コア層13は、単独で導波路コア層を形成している。即ち、シリコンテーパコア層17は、シリコン窒化膜テーパコア層14の終端部で消失している。更に、シリコンテーパコア層17、シリコン窒化膜コア層13、及びシリコン窒化膜テーパコア層14の周辺は、シリコン酸化膜を材質としたクラッド層12で覆われている。
図7は、図6における平面P11での断面図を示している。同図に示すように、シリコンテーパコア層17の厚さは、光の伝播方向に従い、シリコン窒化膜テーパコア層14に沿って単調に薄くなり、その先端部では、シリコン窒化膜テーパコア層14に接するように消失する。
図8、図9は、それぞれ図6における平面P12、P13での断面図を示している。図9に示す平面P13の断面では、シリコンテーパコア層17が導波路コア層となっているのに対して、図8に示す平面P12の断面では、シリコン窒化膜テーパコア層14が導波路コア層となっている。
次に、本実施例の動作機構について説明する。
本実施例では、シリコンテーパコア層17を導波路コア層とする光導波路に沿って光波が伝播する。この光波は、そのスポットサイズを拡大しながらシリコンテーパコア層17の終端部でシリコン窒化膜コア層13を導波路コア層とする光導波路に結合し、一定のスポットサイズを保ったまま導波路出力端まで伝播し、そこから外部の光ファイバー(図示しない)と低損失で光学結合する。これによれば、前述したスポットサイズ変換にともなう光学的過剰損失は、第一の実施例の場合よりも低減することができる。
図10は、光導波方向に沿った導波路コア層断面をそれぞれ第一の実施例(図10(a))と、本実施例(図10(b))とについて示している。同図(a)及び(b)に示すように、シリコンテーパコア層17の先端部とシリコン窒化膜コア層13との光波パワーの中心(Field中心)a1、a2間のズレΔaは、第一の実施例(図10(a)参照)よりも本実施例(図10(b)参照)の方が小さい。このため、本実施例では、第一の実施例よりも光学的過剰損失をより低減することが可能となる。一方、第一の実施例では、ドライエッチングプロセスを使用しないために、本実施例よりもシリコンコア層の側壁荒れを減らすことが可能であることから、光波伝搬損失を低減することができるという利点がある。
次に、本実施例の製造方法について説明する。
図11は、本実施例の製造方法を示す工程の模式図である。
まず、シリコン基板10上部にシリコン酸化膜11とシリコン層12が順次形成されたSOI基板上に、シリコン窒化膜22をプラズマCVD法により積層する(図11(a))。
続いて、シリコン窒化膜22を通常のフォトリソグラフィー工程により、シリコン窒化膜テーパコア層14を構成するテーパ部とシリコン窒化膜コア層13を構成する直線部とをもつストライプ状にパターニング形成する(図11(b))。
続いて、シリコン窒化膜テーパコア層14を構成するテーパ部とシリコン窒化膜コア層13を構成する直線部とで構成された窒化膜ストライプパターンをマスクとしてドライエッチングによりメサ型のシリコン導波路を形成する(図11(c))。
続いて、LOCOS法による熱酸化を行う(図11(d))。LOCOS酸化では、マスク以外のシリコン側面または上面から酸化種(酸素イオン)が拡散しながらSiO膜を形成するので、マスクの両側ではSiO層が形成される。また、マスクとシリコン層の界面にも酸化種が拡散するが、メサ型シリコンの側壁および下部からの酸化速度の方が速いために、マスク幅が狭くなるに従って、シリコン窒化膜直下により多くのシリコン層が残ることになる。これにより、シリコン窒化膜下部には、テーパ型のシリコンコア層、すなわちシリコンテーパコア層17が形成される。
最後に、SiOクラッド層12をプラズマCVD法により積層する(図11(e))。
以上の工程により、本実施例の光導波路を形成することができる。
次に、本発明の第四の実施例について説明する。
前述した第一及び第二の実施例によるLOCOS法を用いた光導波路の製造方法は、光結合効率を向上させるためのスポットサイズ変換導波路以外にも利用できる。その一例として、本実施例に係る光導波路は、テーパ導波路を用いた方向性結合器に適用し、その方向性結合器の結合度の変換に利用するものである。
図12は、本実施例に係る光導波路1、即ちテーパ導波路を用いた方向性結合器の構成を示す斜視図である。
同図に示す光導波路1には、シリコン基板10上に、第一のクラッド層となるシリコン酸化膜11が形成される。このシリコン酸化膜11の上部には、第一のコア層が形成される。第一のコア層は、Y方向の厚さとX方向の幅がZ方向に沿って単調に減少する第一のシリコンテーパコア(テーパ導波路部)層50と、この第一のシリコンテーパコア層50に連続的に接続された直線ストライプ状のシリコンコア層51と、このシリコンコア層51に連続的に接続され、かつY方向の厚さとX方向の幅がZ方向に沿って単調に増加する第二のシリコンテーパコア(テーパ導波路部)層52とが、2対ずつZ方向に平行に配置されている。第一のシリコンテーパコア層50、シリコンコア層51、及び第二のシリコンテーパコア層50は、同一平面上に形成される。
更に、第一のシリコンテーパコア層50、シリコンコア層51、及び第二のシリコンテーパコア層50の周辺は、シリコン酸化膜を材質としたクラッド層12で覆われている。クラッド層12は、第一のコア層上部に形成され、かつ第一のコア層よりも屈折率の低い材料で形成された第二のクラッド層を構成する。
次に、本実施例の動作機構について説明する。
まず、光導波路3において、テーパ導波路を成す2つの第一のシリコンテーパコア層50のうち一方に入力された光波は、そのテーパ導波路をZ方向に沿って伝播する過程でそのフィールドサイズを拡大し、直線導波路を成す2つのシリコンコア層51の一方において、もう一方の直線導波路を成すシリコンコア層51と結合し、光波パワーの分岐を生じる。即ち、2つの平行に配列した直線導波路を成すシリコンコア層51は、方向性結合器としての役割を果たすことになる。
一般に、比屈折率差の大きなシリコン導波路では、コア層における光波フィールドの閉じ込めが大きくなり、導波路間の結合が小さくなる傾向にある。従って、所定の結合を得るためには、その結合長を長くする必要性がある。この問題は、導波路コア層サイズを小さくして、光波フィールドを拡大し、導波路間の結合を大きくすることにより解決することができる。この光波フィールドを拡大するために、本発明のLOCOS法を用いたテーパ導波路は有効である。
従って、本実施例によれば、半導体エッチングを伴わない簡便な方法で方向性結合器の導波路間結合係数を部分的にかつ断熱的(損失を抑制して)変化させることができる光導波路1、即ちテーパ導波路を用いた方向性結合器を製造することが可能になる。
(その他の実施形態)
本発明の他の実施形態に係る光導波路において、テーパ導波路部の第一のコア層の断面積が単調縮小する先端側において第一のコア層が消失しており、第一のコア層上部には、第二のクラッド層よりも屈折率の高い誘電体材料をパターニングすることにより形成された第二のコア層が装荷されており、第二のコア層の幅は、光の伝播方向に沿って第一のコア層と同様に単調変化する部分を有しており、前記第一のコア層が消失した領域の上部にも一定の幅を有する第二のコア層が形成されており、第二のコア層上部には、第二のコア層よりも屈折率の低い材料で構成された第三のクラッド層が形成されていてもよい。
本発明の他の実施形態に係る光導波路において、第一のコア層の断面積が単調縮小するテーパ導波路部の先端側において第一のコア層が消失しており、第一のコア層上部には、第二のクラッド層よりも屈折率の高い誘電体材料をパターニングすることにより形成された第二のコア層が装荷されており、第二のコア層の幅は、光の伝播方向に沿って第一のコア層と同様に単調変化する部分を有しており、第一のコア層が消失した領域の上部にも一定の幅を有する第二のコア層が形成されており、第一のコア層の高さの中心は、光の伝搬方向である導波路方向に沿って単調に第二のコア層に接近するように形成されており、第二のコア層上部には、第二のコア層よりも屈折率の低い材料で構成された第三のクラッド層が形成されていてもよい。
本発明の他の実施形態に係る光導波路において、第三のクラッド層がポリマー材料で形成されてもよい。また、第一のコア層がシリコンで形成され、第二及び第三のクラッド層がシリコン酸化膜で形成されてもよい。さらに、第二のコア層がシリコン窒化膜で形成されてもよい。
本発明の他の実施形態に係る光導波路の製造方法において、第三のクラッド層を形成する工程として、シリコン酸化膜をCVD法で積層する工程を用いてもよい。また、第三のクラッド層を形成する工程として、シリコン酸化膜をスパッタリング法で積層する工程を用いてもよい。さらに、第三のクラッド層を形成する工程として、ポリマー膜をスピン塗布法により形成する工程を用いてもよい。
本発明の他の実施形態に係るスポットサイズ変換器は、上記いずれかに記載の光導波路を有している。
本発明に係る方向性結合器は、上記いずれかに記載の光導波路を有している。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を詳細に説明したが、本発明は、代表的に例示した上述の実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲の記載内容に基づき、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様に変形、変更することができる。これらの変形例や変更例も本発明の権利範囲に属するものである。
この出願は、2007年3月14日に出願された日本出願特願2007−065083号と、2008年2月4日に出願された日本出願特願2008−023778号とを基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
本発明は、スポットサイズ変換器及び方向性結合器等の光通信システムの基幹部品を構成する平面光回路(PLC)で用いる平面型光導波路及びその製造方法の用途に利用可能
である。

Claims (14)

  1. 半導体基板上に形成された第一のクラッド層と、
    前記第一のクラッド層上部に前記第一のクラッド層よりも屈折率の高い半導体材料で形成された第一のコア層と、
    前記第一のコア層上部に前記第一のコア層よりも屈折率の低い材料で形成された第二のクラッド層とを有する光導波路であって、
    前記第一のコア層の幅は、部分的に熱酸化した酸化膜で挟まれた非酸化の半導体材料の幅で規定されており、
    前記第一のコア層の厚さは、前記部分的に熱酸化した酸化膜と前記第一のクラッド層とで挟まれた非酸化の半導体材料の厚さで規定されており、
    前記光導波路の少なくとも入出力部分に前記第一のコア層の幅および厚さが共に光の伝播方向に対して単調に減少或いは増加するテーパ状の導波路部分を有することを特徴とする光導波路。
  2. 請求項1記載の光導波路であって、
    前記テーパ導波路部の前記第一のコア層の断面積が単調縮小する先端側において前記第一のコア層が消失しており、
    前記第一のコア層上部には、前記第二のクラッド層よりも屈折率の高い誘電体材料をパターニングすることにより形成された第二のコア層が装荷されており、
    前記第二のコア層の幅は、光の伝播方向に沿って前記第一のコア層と同様に単調変化する部分を有しており、
    前記第一のコア層が消失した領域の上部にも一定の幅を有する前記第二のコア層が形成されており、
    前記第二のコア層上部には、前記第二のコア層よりも屈折率の低い材料で構成された第三のクラッド層が形成されていることを特徴する光導波路。
  3. 請求項1又は2に記載の光導波路であって、
    前記第一のコア層の断面積が単調縮小するテーパ導波路部の先端側において第一のコア層が消失しており、
    前記第一のコア層上部には、前記第二のクラッド層よりも屈折率の高い誘電体材料をパターニングすることにより形成された第二のコア層が装荷されており、
    前記第二のコア層の幅は、光の伝播方向に沿って前記第一のコア層と同様に単調変化する部分を有しており、
    前記第一のコア層が消失した領域の上部にも一定の幅を有する第二のコア層が形成されており、
    前記第一のコア層の高さの中心は、光の伝搬方向である導波路方向に沿って単調に前記第二のコア層に接近するように形成されており、
    前記第二のコア層上部には、前記第二のコア層よりも屈折率の低い材料で構成された第三のクラッド層が形成されていることを特徴とする光導波路。
  4. 請求項2又は3に記載の光導波路であって、
    前記第三のクラッド層がポリマー材料で形成されることを特徴とする光導波路。
  5. 請求項2又は3に記載の光導波路であって、
    前記第一のコア層がシリコンで形成され、前記第二及び第三のクラッド層がシリコン酸化膜で形成されることを特徴とする光導波路。
  6. 請求項2又は3に記載の光導波路であって、
    前記第二のコア層がシリコン窒化膜で形成されることを特徴とする光導波路。
  7. 光導波路の製造方法であって、
    シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI(Silicon on Insulator)基板の前記シリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する工程と、
    前記シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する工程と、
    パターニング形成された前記シリコン窒化膜をマスクとしてLOCOS(Local oxidation of Silicon)酸化を行うことにより、第二のクラッド層を形成すると同時に、前記シリコン窒化膜下部に前記ストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少したシリコンの第一のコア層を形成する工程と、
    前記シリコン窒化膜を除去する工程と、
    前記シリコン窒化膜を除去した後に第三のクラッド層を積層する工程とを備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
  8. 光導波路の製造方法であって、
    シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI(Silicon on Insulator)基板の前記シリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する工程と、
    前記シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する工程と、
    パターニング形成された前記シリコン窒化膜をマスクとしてLOCOS(Local oxidation of Silicon)酸化を行うことにより、第二のクラッド層を形成すると同時に、前記シリコン窒化膜下部に前記ストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少し、さらに前記テーパ先端部ではシリコン層が消失するように、第一のコア層を形成する工程と、
    前記シリコン窒化膜上部に第三のクラッド層を積層する工程とを備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
  9. 光導波路の製造方法であって、
    シリコン基板上のシリコン酸化膜上面に形成されたシリコン上部層を有するSOI(Silicon on Insulator)基板の前記シリコン上部層上面にシリコン窒化膜を形成する工程と、
    前記シリコン窒化膜を単調に幅が変化するテーパ形状を部分的に有するストライプ状にパターニング形成する工程と、
    パターニング形成された前記シリコン窒化膜をマスクとしたエッチング工程により前記シリコン上部層の一部を除去してシリコンメサを形成する工程と、
    前記シリコン窒化膜をマスクとして、前記シリコンメサをLOCOS(Local oxidation of Silicon)酸化することにより、前記シリコン窒化膜下部に前記ストライプ方向に幅が単調に狭窄し、かつ、厚さも単調に減少し、さらに前記テーパ先端部ではシリコン層が消失するように、前記第一のシリコンコア層を形成する工程と、
    前記シリコン窒化膜上部に前記第三のクラッド層を積層する工程とを備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
  10. 請求項7から9のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法であって、
    前記第三のクラッド層を形成する工程として、シリコン酸化膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で積層する工程を用いることを特徴とする光導波路の製造方法。
  11. 請求項7から9のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法であって、
    前記第三のクラッド層を形成する工程として、シリコン酸化膜をスパッタリング法で積
    層する工程を用いることを特徴とする光導波路の製造方法。
  12. 請求項7から9のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法であって、
    前記第三のクラッド層を形成する工程として、ポリマー膜をスピン塗布法により形成する工程を用いることを特徴とする光導波路の製造方法。
  13. 請求項1から6のいずれか1項に記載の光導波路を用いたことを特徴とするスポットサイズ変換器。
  14. 請求項1から6のいずれか1項に記載の光導波路を用いたことを特徴とする方向性結合器。
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