JP4638749B2 - 熱光学位相変調器及びその製造方法 - Google Patents

熱光学位相変調器及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、光通信分野で用いられる光導波回路である熱光学位相変調器とその製造方法に関する。更に詳には、本発明は、熱光学効果を利用した熱光学位相変調器において、低消費電力を実現する技術に関する。
平面光回路技術を用いた熱光学位相変調器は、例えば波長分割多重技術を用いたブロードバンドの光通信分野において、キーデバイス(主要素子)となっている。この熱光学位相変調器では、導波路上部の薄膜ヒータに電力を印加してコアの温度を上昇させることで光の位相制御を行う。ヒータからの加熱により、コアが温度上昇することで、コアの屈折率が増大し、その屈折率の変化量と長さに対応して光路長が長くなることで射出端での出力光の位相が変調される。
この平面光回路技術を用いた熱光学位相変調器の代表的な用途は光スイッチにある。導波路内に入射した光を3dB光カップラーによって分岐し、分岐した少なくとも一方の導波路上にヒータを設けた熱光学位相変調器に接続し、熱光学位相変調器からの出力光と他方の分岐光とを再度光カップラーによって結合させることで、光スイッチを実現している。分岐した一方で用いる波長の半波長に対応する位相差を熱光学位相変調器によって信号光に与えることで、回路の出射端での光のスイッチングを行う。
この平面光回路技術を用いた熱光学位相変調器の解決すべき課題は、消費電力にある。1個の熱光学位相変調器によって消費される電力は、従来の典型的な構造では450mW程度になる。このような従来の熱光学位相変調器を用いて、1×32、16×16等の大規模スイッチを実現しようとすると、回路全体の消費電力は非常に大きなものとなってしまう。そこで、熱光学位相変調器の消費電力を下げるために、さまざまなアプローチがこれまでに考えられてきた。
そのアプローチの一つとして、図12の(A)に示すような、薄膜ヒータ407の両側に断熱溝409,409を形成することが知られている(非特許文献1)。この断熱溝409,409は、薄膜ヒータ407から加えられた熱が、コア405の周囲のクラッドを通じて基板401の水平方向に拡散し、コア405の温度上昇に有効に電力が消費されなくなるのを防ぐ働きがある。非特許文献1によれば、断熱溝409,409によって区切られたリッジ(隆線、稜線)幅が細くなるほど、消費電力は小さくなり、45mWで半波長に対応する位相変調器が実現されている。また、リッジ幅を狭めることで消費電力だけを低下させ、応答速度の劣化は招かないことが非特許文献1に示されている。
さらなる大規模集積化のため、さらに消費電力を抑えるには、断熱溝409,409を形成した上に、アンダークラッドよりも熱伝導率の高い基板401とコア405の距離を離すことが有効であることが知られている。薄膜ヒータ407によって加えられた熱が、熱伝導率の高い基板401に逃げるのを防ぐ必要があるからである。そのため、アンダークラッドを厚くし、コア405と基板距離を離すことが有用である。
さらに消費電力を低減する方法として、図12の(B)に示すようなコア405の下部のクラッドまたは、基板401の一部を除去することにより、ヒータ407を具備した熱光学位相変調器と基板401との間に空気からなる隙間411を設けることで、基板401への熱の拡散を遮断してしまう方法が非特許文献2によって提示されている。この空気からなる隙間411の効果は、理想的にはアンダークラッドを無限厚にした効果と同等であり、基板401への熱の拡散をほぼ完全に遮断できる構造であって、消費電力の低減効果は高い。
S.Sohma et al., "Low switching power silica-based super high data thermo-opticswitch with heat insulating grooves," Electronics Lett., VOl.38, No.3, pp.88-89, January 2002 A.Sugita et al., "Bridge-suspended silica-waveguide thermo-optic phase shifterand its application to Mach-Zehnder type optical switch," Trans. IEICE, Vol.E73, No.1, pp.105-109, January 1990
これまで提示されている方法(非特許文献1)に従ってさらに消費電力を低減するには、断熱溝409,409によって区切られたリッジ幅をできるだけ狭くし、かつリッジを形成するアンダークラッドを厚くする必要がある。
しかしながら、アンダークラッドをあまり厚くすると、そのアンダークラッドの堆積に膨大な時間がかかるだけでなく、基板409の反りが増大し、その堆積後の工程であるフォトリソグラフィー等の以後の工程に支障をきたす。また、断熱溝409,409の形成にも時間がかかり加工プロセスの負担が増大する。さらに、厚いクラッド層は、応力によりクラッドにクラックを生じるといった原因になり得る。
また、例えアンダークラッドを厚くできたとしても、断熱溝409,409によって区切られるリッジ幅を狭くし、断熱溝409,409を基板401まで形成するには高アスペクト比の加工が要求される。例えば20μmのリッジ幅とし、非特許文献1に示されている消費電力(45mW)の半分の消費電力を実現するためには、計算上ほぼ140μm厚のクラッドに断熱溝409,409を形成する必要がある。そのため、アスペクト比にして7以上の加工が要求される。アスペクト比が7以上の加工は、断熱溝形成時のパターンシフトの制御が困難であり、歩留まりを低下させるだけではなく、膜厚のウエハ内での面内分布、エッチングの面内分布、ヒータ等形成時の位置合わせ精度等の製造誤差により、ウエハ内の熱光学位相変調器での消費電力を一定にすることが困難になるといった難点がある。
更に、非特許文献2で提案された熱光学位相変調器のヒータ407の下部のクラッドと基板401との間に空気からなる隙間411を設けた図12の(B)に示すような構造では、空気層による断熱効果が高いために消費電力の低減効果は大きく、ヒータに印加した電力が効率よくコアの温度上昇に用いられると理解できる。しかしながら、その反面、不要となった熱を基板401側へ効率よく逃がすことができないため、応答速度の極度の劣化を招く。従来からある平面光回路技術を用いた熱光学位相変調器で応答速度は、ほぼ3msec程度であるが、この図12の(B)の構造ではその応答速度は、ほぼ50msec程度となって一桁以上も応答速度が低下し、隙間411によりヒータ下部のコアとクラッドを基板401から完全に遮断した場合にはその応答速度は100msec以上になることもある。このように非特許文献2で提案された熱光学位相変調器は消費電力の低減は図れるものの、実用的な応答速度が得られないといった難点がある。
消費電力の低減を多少犠牲にしても実用的な応答スピードを達成するため、上記のように基板または、クラッドの全部を除去してのヒータ下部のクラッドと基板401との間に空間411を設けるのではなく、基板401またはヒータ下部のクラッドの一部を完全に除去せずに残して、その残した非常に狭い幅の連結部でヒータ下部のクラッドと基板401とを連結させることが実施されている。図12の(C)はクラッドの一部を狭めて連結部413とした構造を示し、図12の(D)はSi基板401の上部を部分的に除去して残った一部を連結部414とした構造を示している。この連結部413、414の残し幅により、ヒータ407と基板401間の熱抵抗を制御し、消費電力、応答時間の制御を行う。
この基板401またはヒータ下部のクラッドの一部を除去する加工プロセスは、基板水平方向に対する加工プロセスであるため、通常は等方的なドライエッチング、またはウエットエッチングによって実施される。しかし、これらの工程では、エッチングの進行をモニタする方法に乏しいため、連結部413、414の幅の制御は非常に困難である。そのため、ヒータ407を具備した熱光学位相変調器のヒータ下部のクラッドと基板401との間に空気からなる隙間の部分に、上記のように連結部413,414を設ける構造では、連結部413,414の幅によって大きく消費電力が大きく変動し、安定して歩留まりよく熱光学位相変調器を作製できないといった難点がある。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたもので、その目的は、基板上に堆積するクラッドの厚みもさほど厚くなく(その結果、基板反りが小さい)、高アスペクト比の加工を必要とせずに、所望の応答速度を実現できる低消費電力の平面光回路技術を用いた熱光学位相変調器およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の熱光学位相変調器は、Si基板上にSiO 層とSi層とが順に堆積されたSOI基板であって、前記Si層の一部をエッチング除去した箇所を有するSOI基板と、エッチングを実施した前記SOI基板の基板面上に堆積されたクラッド層と、前記クラッド層中に形成され該クラッド層よりも屈折率の高いコアと、
前記コア上方の前記クラッド層上に形成された薄膜ヒータと、前記薄膜ヒータの近傍の前記クラッド層に形成された第1の断熱溝と、前記薄膜ヒータを挟んで前記第1の断熱溝がある側とは反対方向で前記薄膜ヒータから離れた前記クラッド層に形成された第2の断熱溝と、前記第1の断熱溝と前記第2の断熱溝とに挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層と前記SOI基板の前記SiO とを隔離する空間と、前記第2の断熱溝に隣接して前記空間を終端し、前記第1の断熱溝と前記第2の断熱溝とに挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層を連結する基板連結部とを有し、前記第2の断熱溝は、前記エッチング除去した箇所に前記クラッド層が残るように形成され、前記エッチング除去した箇所において残されたクラッド層の部分を前記基板連結部とすることを特徴とする。
ここで、前記基板連結部と前記薄膜ヒータ間の距離が、該薄膜ヒータと前記基板間の距離よりも長いことを特徴とすることができる。
また、前記基板連結部上部を含む、前記第1の断熱溝と前記第2の断熱溝とに挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層の少なくとも一部の厚さが、前記コア周辺のクラッド層よりも薄くなっていることを特徴とすることができる。
また、前記基板連結部側にある前記第2の断熱溝がコの字型、または逆コの字型となっていることを特徴とすることができる。
また、前記基板連結部の導波路と平行な方向の長さが、前記薄膜ヒータ近傍の前記クラッド層の導波路と平行な方向の長さよりも短いことを特徴とすることができる。
また、前記第1の断熱溝と前記第2の断熱溝とに挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層が、台形の形状を多段に連結した配置形状を有することを特徴とすることができる。
また、前記基板がSOI層を有するSOI基板であることを特徴とすることができる。
上記目的を達成するため、本発明の熱光学位相変調器の製造方法は、基板上に堆積されたクラッド層と、該クラッド層中に形成され該クラッド層よりも屈折率の高いコアと、該コア上方の前記クラッド層上に形成した薄膜ヒータと、前記薄膜ヒータの両側の前記クラッド層にそれぞれ形成した一対の断熱溝とを有する熱光学位相変調器の製造方法において、後に基板連結部となる箇所の前記基板上のSOI層を除去する工程と、前記SOI層の前記箇所を除去した基板上に、アンダークラッド、コア層を順次堆積し、該コア層からコアを加工し、該コアをオーバークラッドにて埋め込む工程と、前記一対の断熱溝を形成する工程と、前記断熱溝により露出した前記SOI層を選択的に除去することで、前記一対の断熱溝に挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層と前記基板とを隔離する空間と、前記空間を終端して前記基板と前記クラッド層とを連結する前記基板連結部を同時に形成する工程とを含むことを特徴とする。
ここで、前記基板連結部上部を含む前記基板面と同一方向に伸びるクラッド層の少なくとも一部を除去する工程を含むことを特徴とすることができる。
また、前記基板連結部となる箇所の前記基板上のSOI層を除去する工程は、同時に等方エッチングを実施する際のエッチングストッパーとなる溝を形成することを特徴とすることができる。
また、前記等方エッチングを実施する際のエッチングストッパーとなる溝を、アンダークラッドを堆積する工程において同時にガラスで充填することを特徴とすることができる。
本発明は、上記のように、断熱溝で囲まれたクラッド層の一部を基板から離れた中空構造とし、この中空構造を支える基板連結部をヒータから離れた片側に設け、これにより断熱溝で囲まれたクラッド層の全体の断面が片持ちばり状(またはオーバハング状)となるように構成したことを特徴する。本発明は、この特徴構成により、従来構造では非常に困難であった基板−ヒータ間の熱抵抗を、半導体産業で広く用いられている平面加工プロセスを利用して、精度良く調整できる効果が得られる。したがって、本発明によれば、基板上に堆積するクラッドの厚みもさほど厚くなく、高アスペクト比の加工を必要とせずに、所望の応答速度を実現できる低消費電力の熱光学位相変調器が実現できる。
また、本発明によれば、上記のように熱抵抗を容易に精度よく調整できるため、小型で消費電力の小さな熱光学位相変調器を歩留まりよく作製することが可能となる。
さらに、本発明の製造方法を用いることで、従来制御が困難であった等方エッチングを用いた基板水平方向への加工を行う際に、精度良く加工を行うことができる。その結果、本発明によれば、歩留まりよく均一な消費電力の熱光学位相変調器を簡便に作製することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1の(A)は本発明の第1の実施形態に係る熱光学位相変調器の構成を示す鳥瞰図(斜視図)であり、図1の(B)は、図1の(A)中のA−A′切断線における断面構造を示す。また、図2の(A)〜(H)は、本実施形態に係る熱光学位相変調器の製造方法を工程順に、図1の(A)のA−A′切断線における断面図(図面右側)と上面図(図面左)とで示したものである。
本実施形態では、図1の(A)、(B)に示すように、基板101上に堆積されたクラッド層103中に形成されたコア105の真上のオーバークラッドの上に薄膜ヒータ107を形成し、コア105の近傍に第1の断熱溝109を形成すると共に、コア105から比較的離れた反対位置に第2の断熱溝115を形成している。そして、両断熱溝109、115で囲まれたクラッド層103の基板101と接触する下部を基板連結部113の部分を残して除去することにより、クラッド層103と基板101を隔離する空気層の比較的広い隙間111を形成している。この隙間111からなる中空構造を支える上記基板連結部113は、ヒータ107から離れた第2の断熱溝115に接して形成され、これにより両断熱溝109、115で囲まれたクラッド層103の全体の断面形状が片持ちばり状(またはオーバハング状)となっている。より分かり易く言うと、従来の基板101に垂直に伸びた、断熱溝109,115によって区切られるリッジ形状を、コア105よりも下のクラッドで水平方向に折り曲げた断面構造となっている。
このような構造は、図2に示すような工程で容易に作製することができる。本実施形態では、基板101として、SOI基板(silicon on insulating substrate)を用いた。基板101となるSi上にSiOが3μmあり(この層をBOX層201と呼ぶ)、さらにその上に単結晶Si層が3μm(この層をSOI層203と呼ぶ)あり、その上に薄い自然酸化膜が形成されている基板である。しかし、各層の厚さはこの限りではない。また、本例では市販されているSOI基板を用いたが、基板101上にBOX層201に相当するガラス層を堆積した後、SOI層203に対応するSi層(アモルファスSi、多結晶Si等を含む)を堆積した基板を用いても良く、BOX層や、クラッドに用いるガラスとエッチングする際に選択比が大きな物質の層がある基板であれば、材質はSOI基板に限らない。以下、実施例の工程を説明する。
工程1として、まず5%のフッ酸水溶液を用いて基板の表面の酸化膜を除去した。
次いで、工程2として、後に基板連結部となる箇所205、および、エッチングストッパーとなる箇所205のSOI層203を、レジストを塗布、通常のフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングを行った後、ICP(誘導結合プラズマ)エッチング装置を用いて除去した。この時、SOI基板のBOX層201は膜厚方向のエッチングストップ層として働く。後に基板連結部と断熱溝の底面となる箇所として幅40μm、長さ2.2mm、エッチングストッパーとして幅1.5μm、長さ2.2mmのSOI層203を予め除去した。このエッチングは所望箇所のSOI層203が除去できればよく、ウエットエッチング、等方ドライエッチング等の簡便な方法を用いてもよい。
次いで、工程3として、所望のSOI層203のエッチングが完了した基板において、SOI層エッチングを実施した面に、火炎堆積法によってアンダークラッド209、コアとなるガラスを堆積し、透明化を実施した。堆積したアンダークラッド209の厚さは10μm、コア層211の厚さは、4.5μmとした。コア層211の比屈折率差は1.5%とした。
ここで火炎堆積法とは、SiCl等の塩化物を酸水素炎の中で燃焼させ、基板上に高速にガラス膜を製膜する方法であり、比較的厚い膜を堆積するのに適しており、埋め込み特性に優れているため、光導波路の作製に広く用いられている方法である。その堆積直後は、微粒子の集まりであるため可視光の散乱のため白色を示しているが、熱処理を実施することで透明な膜を得ることができる。一般的には透明化温度降下のため、例えば、P、Bなどを適量添加したガラスを堆積し、さらにコア層211には屈折率を上げるためGeO等を添加する。
また、上記の工程2において、後に基板連結部となる箇所205、および、エッチングストッパーとなる箇所205として隙間Siを除去した箇所は、SOI層203の厚さに対応する段差(ほぼ3μm)があるが、火炎堆積法を用いてガラス堆積した後の表面段差はわずかに0.3μm程度しかなかった。この程度の段差は、以後の工程に支障を生じないし、導波路が該箇所上を横切っても損失の原因とはならない程度である。
SOI層203が比較的厚い〜8μm程度の基板101を使用した場合は、段差上に堆積したガラス層の表面には〜1μm程度の段差を生じることがある。この上に導波路を形成した場合、損失の原因となってしまう場合がある。そのような場合は、コア下方にくるSOI層203は工程2では除去せずに、図3の(A)に示すようなパターンでエッチングを実施することで、光が伝播する箇所には段差を生じずに作製することが可能となる。
図3の(B)は最終的な形状の上面図を示している。円弧で示される箇所は、等方エッチングにより円弧形状を形成する。この円弧部分は制御が困難となるがヒータ107から離れた位置にあるため問題とならない。(ヒータ107の長さ2mm程度に対し、円弧の半径は100μm程度である。)
次いで、工程4として、コア層211まで堆積した基板101を、通常のフォトリソグラフィー技術を用いて、所望の導波路回路に加工を行った。
次いで、工程5として、コア105の幅は、シングルモード導波路となるように5μmとした。このコア105を再度、火炎堆積法を用いて15μmの厚さのガラス213で埋め込むプロセスを実施した。
その後、工程6として、所定の位置に断熱溝109,115を形成した。この際、断熱溝109,115を形成する位置は、後に除去するSOI層以外のSOI層203がエッチングされるのを防ぐために、予め設けたエッチングストッパー215よりも若干内側(後に除去するSOI層側)にくるよう設計した。
図4は、エッチングストッパー215の部分を拡大した図を示す。図中の斜線部はエッチングガスが流入する箇所を示している。エッチングをする必要のないSOI層203をエッチングストッパー215のガラスを用いてエッチングガスと隔離することで、除去する必要のないSiをエッチングガスから保護することができる。余計なSOI層の除去を防ぐことで、機械的強度を保つことができ、またさらには、回路の基板占有面積を少しでも小さくでき、その結果は光回路のコストを引き下げることにつながる。
また、後に基板連結部113になる箇所においては、予めSOI層203を除去した箇所と、除去しないSOI層203の間にガラスが残り、基板水平方向へのエッチングストッパー215となる位置に断熱溝109,115を形成した。本実施形態では、基板連結部113としてSiを除去した箇所の一部を、エッチングストッパー215として使用している場合について示しているが、この限りではなく、別の箇所にエッチングストッパーを設けてもよい。図4では、光が伝播する導波路に対し垂直な方向の断面図を示しているが、導波路に平行な方向においても、このエッチングストッパー215を設けることで、SOI層203の余計なエッチング除去を防ぐことが可能である。段差が問題となる場合は、導波路の下に位置する箇所には、エッチングストッパー215を設けないため、図3の(B)のような円弧になる。
次に、工程7において、除去すべきSOI層203の一部が露出した状態で、エッチングガスとしてSFを用いた等方ドライエッチングを行い、SOI層203の選択除去を行うことで、クラッド103と基板101の間に空間111を形成した。SFによるガラスとSiの選択比は非常に大きく(>〜70)、クラッド層103は、このエッチングによりほとんど影響を受けない。
エッチングは予め形成した基板連結部113およびエッチングストッパー215に到達すると、そのエッチングは停止する。そのため、基板102とクラッド103が連結している面積をウエハ内すべての箇所で同じにすることができる。作製したエッチングによる連結部113の幅は10μmとした。また、この連結部の中心113とヒータ107との基板水平方向の距離は100μmとした。
最後に、最終工程の行程8として、Au電極(図示しない)および、コア105上方にCrによってヒータ107を形成した。ヒータ107は幅15μm、長さ2.0mm、厚さ0.5μmである。本実施形態では断熱溝109,115の加工工程後に、配線(図示しない)およびヒータ107の作製を実施したが、断熱溝109,115を形成する前にメタル工程を実施しても同じである。また、用いる金属はAu/Crに限らず、配線、ヒータ107として同等の機能を発揮できる物質であれば、Au/Crに限らない。
以上説明した工程により作製した熱光学位相変調器の動作について述べる。作製した熱光学位相変調器の連結部113の中心とヒータ107の中心との基板水平方向の距離は100μmである。熱光学位相変調器のクラッド部の厚さはアンダークラッド209とオーバークラッド213を合わせ、25μmとなる。これに相当する従来の熱光学位相変調器は、断熱溝109,115により区切られるリッジ部の幅が25μm、深さ120μm以上のクラッド厚を持つことになる(オーバークラッド213の厚さを含む)。
図5の(A)は、比較のため、従来構造での、ヒータ407に半波長に対応する位相変化を与えるのに必要な電力を印加した際の温度傾斜のシミュレーション結果を示している。基板401は室温に保たれていると仮定し境界条件を与え計算を行ったものである。図5の(B)は本発明による第1の実施形態の構造での、ヒータ107に半波長に対応する位相変化を与えるのに必要な電力を印加した際の温度傾斜のシミュレーション結果を示している。基板101は室温に保たれていると仮定し境界条件を与え計算を行ったものである。これらの計算の結果によると、図5の(A)に示した従来構造では、半波長分に対応する位相変調を与えるのに25mWの電力が必要であることが分かった。また、図5の(B)の本実施形態の構造では、それを下回る18mWの電力でよいことが分かった。したがって、本実施形態の構造によると、従来構造に比べて30%程度の電力低下が見込まれる。
本実施形態の構造と従来構造とは、同程度の基板−ヒータ間距離であるにもかかわらず、上記のように本実施形態の構造の電力が従来構造で予測される電力よりも大幅に小さくなったのは、図5に示すように、本実施形態の構造では基板接合部113の断面積が連続する他のクラッド103の断面積よりも小さいため(すなわち、基板接合部113の幅が狭い)、その基板接合部113の箇所での熱抵抗が大きくなったことに起因する。
従来方法ではヒータ407と基板401間の熱抵抗を高めるため、断熱溝409,409によって区切られるリッジ部の一部を狭くするにも(図12の(C)に示すような構造)、非常に加工プロセスが複雑であり、実施が困難であった。例え、そのリッジ部の一部を狭くできたとしても、そのリッジ部の幅の制御性に欠け、ウエハ面内での消費電力にばらつきを生じたりしやすい。これに対し、本実施形態の構造では設計時の基板接合面積を容易に調整することが可能であり、その調整により熱抵抗を可変させて所望の消費電力の熱光学位相変調器を容易に作製できる利点がある。
先の予想に基づき、実際に本実施形態の構造の性能比較のために、先に述べた寸法で従来構造の熱光学位相変調器の作製も試みた。しかしながら、ガラスを製膜し、熱処理を実施した時点でクラックが入り、回路を作製することができなかった。厚いアンダークラッド(ほぼ90μm)を堆積したことにより、基板401との熱膨張係数の違いから応力がかかりクラックを生じたものと思われる。
また、本実施形態により作製された熱光学位相変調器の半波長に対応する位相差を与える電力を測定したところ、20mWであった。ほぼ予想された消費電力の熱光学位相変調器を得ることができた。
従来、これまで消費電力を下げようと、断熱溝409,409により区切られたリッジ部の幅を狭くして、かつアンダークラッドを厚くしようとした構造で、アンダークラッドを厚く堆積するために、また、深い断熱溝409,409を形成するためにかかっていた加工プロセス時間が、本実施形態によれば大幅に短縮することができる。また、アンダークラッドを厚く堆積すると生じやすいクラック生成の問題も本実施形態によれば回避できる。さらに、本実施形態によれば、非常に困難である高アスペクト比の加工を避けることができ、歩留まりを向上させることができる。加えて、本実施形態によれば、従来構造では作製が困難であった、基板−ヒータ間の一部を狭くして熱抵抗を上げることが、基板連結部113の基板101との接合部分の面積を変化させるだけで容易に、かつ、ウエハ内均一性よく作製することができ、劇的に歩留まりを向上させることが可能となる。
(第2の実施形態)
図6の(A)は本発明の第2の実施形態に係る熱光学位相変調器を示す鳥瞰図であり、図6の(B)は、同図(A)中の切断線A−A′での断面構造を示している。本実施形態では、第1の実施形態で示した構造からさらに消費電力の低減を図った構造について述べる。
図6の(B)に示すように、本実施形態に係る熱光学位相変調器は、第1の実施形態で示した構造からさらに、基板連結部113上部を含む、基板101と水平にあるクラッド103の少なくとも一部を厚さ方向に除去した構造になっている。同図の例では、ヒータ107の近傍を除くクラッド部分と基板連結部113上部のオーバークラッド213の全部とアンダークラッド209の一部が削られた構造になっている。
このような構造は以下のようにして作製することができる。第1の実施形態中で示した図2中の工程6を図7に示した工程6−1と工程6−2の二つの工程に置き換えることで作製できる。
まず、最終的に基板連結部113上部及び、基板101と水平にあるクラッドとなる箇所を予め所望の残し厚さになるまでエッチングする(工程6−1)。その後、再度レジスト等によってマスクを施し、断熱溝109,115となる箇所のみを基板101または、ストップ層となっているBOX層201までエッチングを施し、断熱溝109,115を形成する。以後の工程7、工程8は第1の実施形態のそれと同じである。
本実施形態では、工程6−1において、基板連結部113上部を含む基板101と水平にあるクラッドの少なくとも一部を薄くエッチングするのと同時に、断熱溝109,115の箇所もエッチングを施している。そうすることで、次の工程6−2において断熱溝109,115の形成の際のエッチング量が減らせるため、工程時間を短縮できる。無論、それぞれ別々にエッチングを実施してもよい。
次に、基板連結部113上部を含む基板101と水平にあるクラッド103を薄くする効果について説明する。図8は、基板連結部113上部を含む基板101と水平にあるクラッド部103の厚さが25μmの時の消費電力で規格化をしたそのクラッド部厚さと消費電力の関係を計算機にて求めた結果を示している。そのクラッド部の厚さが25μmは、第1の実施形態の構造を基にしている。
図8のグラフによると、上記クラッド部の厚さが薄くなるとともに、消費電力が低減されていることがわかる。上記クラッド部の厚さを5μmまで薄くすることで、その厚さが25μmの時に比べて、消費電力を3割程度まで減少させることが見込まれる。図1に示した第1の実施形態の構造で作製した熱光学位相変調器が、半波長に対応する位相差を与えるのに必要な消費電力が、20mWであったことを考慮すると、第2の実施形態の消費電力は7mW程度の消費電力に対応する。
第2の実施形態で得られる、上記の消費電力の低減は、クラッド部分を薄くした箇所において基板101−ヒータ107間の熱抵抗が上昇するため、より少ない電力で位相変化を与えられるようになるためである。
他方、図12に示すような従来の構造において、同じように基板401−ヒータ407間の熱抵抗をコア405よりも基板401側で、一部のクラッド(または基板401)を狭めて高めようとすると、基板水平方向にエッチングを施さなければならないという、加工の困難性が生じる。具体的には、クラッド403(または基板401)の一部の組成を変え、エッチングレートの違いからクラッド(または基板)を部分的に細くする等が考えられる。例えば、基板401と通常のクラッドの間に添加物(P等)を添加した層を用意し、適当なエッチング溶液に浸し、クラッドとその添加層とのエッチングレートの違いから特定箇所のクラッドを細めるということが考えられる(図12の(C))。また、断熱溝409,409から露出した箇所からSi基板401を等方エッチングによって基板のSiを除去してゆき、所定の結合部の厚さを残してエッチングを停止させることで、部分的に基板401−ヒータ407間の熱抵抗を上昇させる方法がある(図12の(D))。従来例の図12の(B)に示すように、完全に隙間411を空けてしまうには精度は無論いらないが先に述べた応答時間が遅すぎるという問題から、一部を除去せずに精度よく残す必要性がある。
しかしながら、これらの従来方法では、完全に基板401とクラッドの間に隙間411を開けるならともかく、決まった幅で所望箇所を細めることが非常に困難である。なぜならば、これらの工程は基板401水平方向のエッチングであり、そのためエッチングの途中に、後どれほどエッチングすれば良いのかモニタする適当な方法がなく、多くの場合、条件出しから求めたエッチング時間のみの制御となるためである。
従来方法によって一部のクラッド403(または基板401)を狭める際、エッチングによる加工の斑(むら)は、ウエハ内の熱光学位相変調器の消費電力斑に大きく反映され、問題となる。例えば、図8で厚さが2.5μm変動すると電力で一割ほどの変化が見られる。つまり、狭めた箇所の厚さの違いにより、大きく消費電力が上下する結果となる。したがって、従来の構造や従来の加工方法を用いたのでは、一定の消費電力のものを歩留まりよく作製するのが困難となる。
これに対し、本発明の第2の実施形態で示した構造では、精度よく基板連結部113上部を含む、基板と水平にあるクラッドの厚さを制御することができる。つまり、本実施形態によれば、歩留まりよく一定の消費電力の熱光学位相変調器を作製することができる。なぜならば、一般的に広く用いられている半導体プロセス技術では、本実施形態で実施されている厚さ方向(基板垂直方向)への加工精度の方が、従来技術で必要としている横方向(基板水平方向)への加工精度よりもはるかに精度が高いためである。本実施形態で行なわれる膜厚方向への加工は、エッチングの際に加工膜厚または残留膜厚を常に高精度にモニタしながらエッチングすることが可能である。そのモニタのための単色レーザ光による干渉を用いた膜厚モニタや、白色光源を用いた干渉膜厚モニタ等、高精度のエッチング膜厚モニタが多数市販されている。
以上述べたように、従来の断熱溝によって区切られたリッジ部のコア−基板間の一部のクラッド(または基板)を基板水平方向に細めて熱抵抗を調整するということが困難であったという問題を、本実施形態では厚さ方向(基板垂直方向)への加工に置き換えることで解決することができる。その結果、本実施形態によれば、歩留まり良く高精度の熱抵抗、つまりは消費電力の制御を可能とする。
(第3の実施の形態)
図9の(A)は本発明の第3の実施形態に係る熱光学位相変調器の構成を示す鳥瞰図であり、同図の(B)は同図の(A)の上面図、同図の(C)は、同図の(A)中の切断線A−A′での断面構造を示している。本実施形態では、第2の実施形態で示した構造からさらに消費電力の低減を図った構造について述べる。
図9の(A)〜(C)に示すように、本実施形態に係る熱光学位相変調器は、第2の実施形態に示した構造からさらに、基板連結部113上部を含む、基板101と水平にあるクラッド103の少なくとも一部を除去し、上方から見て、クラッド103が基板連結部113に向かって次第に細くなるようにした構造になっている。図9の構成例では、2つの断熱溝109,115で挟まれたクラッド103が上方から見て台形の形状に加工されている。また、その結果として第2の実施形態よりも基板連結部113側の断熱溝115の面積が拡大しているが、断熱溝115の形状はこれに限らない。
本実施形態の台形構造を第1の実施形態に示した構造に対して適応しても勿論効果は得られる。また、次第に細くせずとも、少なくとも一部が細くなる構造となっていれば効果は得られる。
また、図9では理解しやすくするために、ヒータ107部の長さを短く縮めて示している。実際の回路では、ヒータ107長は2〜3mm程度になるため、図10に示すように多連に上記台形構造を配置している。
本実施形態で提案するこのような構造は、第1の実施形態、および第2の実施形態で説明したと同じ製造方法で作製することができる。断熱溝109,115を形成する際に、コア105近傍から基板連結部113に向かって次第に細くなるようにレジスト塗布後パターン化しエッチングすることで、本実施形態の構造は得られる。その作製に使用するマスクの形状を設計時に変更するだけでよく、第1の実施形態、第2の実施形態から工程の増加はない。
上述のように、基板連結部113の導波路と平行な方向の長さを、ヒータ107近傍のクラッド層103のその長さよりも短くする(少なくとも一部が短くなるようにする)ことで、熱抵抗を大きくすることができる。その結果、消費電力をさらに下げることができる。
これに対し、図12の(C),(D)に示した従来構造では、導波光進行方向と垂直方向にクラッド(または基板)の一部にくびれを設け、熱抵抗を上げることは、加工プロセスは困難であるにしろ可能であった。しかしながら、本実施形態が示すように導波光進行方向と平行方向に熱抵抗を増す構造を設けることは、それら従来構造では、ほとんど不可能であるといえる。
図10に示すように、本実施形態の構造を多連に配置した場合には、その多連を構成する台形の個数が多いほど、回路を小さくできるので望ましい。本実施形態の台形の構造は、熱が流動するヒータ107と基板101間の距離が導波路方向によって変化する構造となっているので、導波路上では温度分布が生じた一様な過熱ではなくなる。しかしながら、熱光学位相変調器は、そもそも、位相の変化を与えるだけなので、変調器全体でいかほどの光路長を変えられるかが問題であり、その間の温度分布は問題とならない。
第1と第2の実施形態に示した構造で光スイッチを構成した場合、場合によっては回路が大きくなってしまうことが考えられる。図11の(A)、(B)はそれぞれ3dBカップラー301を2つ有し熱光学位相変調器を2つ備えた光スイッチの構造を示している。図11の(A)は第1の実施形態、または第2の実施形態の構造を用いた場合を示している。これでも十分回路として働き、低消費電力化が見込める。通常は、同図中に光スイッチのアーム間隔(図中矢印で示される距離)は、用いる導波路コア303の比屈折率差や導波路曲げ半径によって決められる。しかし、所望の消費電力を得るためにヒータ107と基板連結部113間の距離があまりにも長くなると、アーム間隔が、その距離で決定されてしまうようになり、回路全体が不適切に大きくなってしまうことも考える。特に、コア105の屈折率がクラッド103に比べて十分に大きい場合には、回路自身の大きさはかなり小さくすることが可能であるにもかかわらず、ヒータ107と基板連結部113間の必要距離のため、不適切に大きくしなければならないことになりかねない。
これに対し、図11の(B)に示すように、本実施形態の構造を利用した場合には、基板連結部113の面積を調整することで熱抵抗を調整できれば、ヒータ107と基板連結部113間の距離をさほど長くしなくとも、所望の熱抵抗を実現することが可能となる。その結果、回路全体を小さくすることが可能となる。
(他の実施の形態)
上記では、本発明の好適な実施形態を例示して説明したが、本発明の実施形態は上記例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内であれば、その構成部材等の置換、変更、追加、個数の増減、形状の設計変更等の各種変形は、全て本発明の実施形態に含まれる。
上述したように、本発明は、基板上に堆積するクラッドの厚みもさほど厚くなく、高アスペクト比の加工を必要とせずに、所望の応答速度を実現できる低消費電力の熱光学位相変調器が実現できる。また、本発明によれば、小型で消費電力の小さな熱光学位相変調器を歩留まりよく作製することが可能となる。さらに、本発明によれば、歩留まりよく均一な消費電力の熱光学位相変調器を簡便に作製することが可能となる。したがって、本発明は、より実用的な低消費電力、大規模熱光学光スイッチ回路や、集積型熱光学可変光減衰器を作製するのに欠かせない極めて有用な技術である。
(A)は本発明の第1の実施形態に係る熱光学位相変調器の構成を示す鳥瞰図であり、(B)は(A)中の切断線A−A′に沿う断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る熱光学位相変調器の製造方法を工程順に示す工程図である。 本発明の第1の実施形態に係る熱光学位相変調器の製造方法において、導波路コアに段差を生じない構造を示す図であり、(A)はSOI層の加工パターンを、(B)は最終工程後の形状を示す上面図である。 図2で示すエッチングストッパー部の拡大図である。 (A)は従来からある熱光学位相変調器に係る熱光学位相変調器の温度分布の計算結果を規格化して示す特性図、(B)は本発明の第1の実施形態に係る熱光学位相変調器の温度分布の計算結果を規格化して示す特性図である。 (A)は本発明の第2の実施形態に係る熱光学位相変調器の構成を示す鳥瞰図であり、(B)は(A)中の切断線A−A′に沿う断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る熱光学位相変調器の製造方法を工程順に示す工程図である。 本発明の第2の実施形態に係る熱光学位相変調器の効果を説明する、クラッド厚み対消費電力(規格化)の関係を示す特性図である。 (A)は本発明の第3の実施形態に係る熱光学位相変調器の構成を示す鳥瞰図であり、(B)はその上面図、(C)は(A)中の切断線A−A′に沿う断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る熱光学位相変調器において、図9の構造を多連に配置した構造を示す上面図である。 本発明の熱光学位相変調器を用いた熱光学スイッチの構成を示す上面図であり、(A)は第1,第2の実施形態に示す構造を用いた場合を示す図であり、(B)は第3の実施形態に示す構造を用いた場合を示す図である。 従来からある熱光学位相変調器の構造を示す図であり、(A)は断熱溝を用いる例を示す図であり、(B)はクラッドと基板の間に隙間を設ける構造の例を示す図であり、(C)は(B)の構造においてクラッドの一部が狭くなって基板と連結されている構造例を示す図であり、(D)は基板Siの除去されていない部分とクラッドとが連結している例を示す図である。
符号の説明
101 基板
103 クラッド層
105 コア
107 薄膜ヒータ
109 断熱溝
111 空間、隙間
113 基板連結部
115 断熱溝
201 BOX層
203 SOI層
205 後に基板連結部、エッチングストッパーとなる箇所
209 アンダークラッド
211 コア層
213 オーバークラッド
215 エッチングストッパー
301 3dBカップラー
401 基板
405 コア
407 薄膜ヒータ
409 断熱溝
411 空間
413 連結部
415 連結部

Claims (11)

  1. Si基板上にSiO 層とSi層とが順に堆積されたSOI基板であって、前記Si層の一部をエッチング除去した箇所を有するSOI基板と、
    エッチングを実施した前記SOI基板の基板面上に堆積されたクラッド層と、
    前記クラッド層中に形成され該クラッド層よりも屈折率の高いコアと、
    前記コア上方の前記クラッド層上に形成された薄膜ヒータと、
    前記薄膜ヒータの近傍の前記クラッド層に形成された第1の断熱溝と、
    前記薄膜ヒータを挟んで前記第1の断熱溝がある側とは反対方向で前記薄膜ヒータから離れた前記クラッド層に形成された第2の断熱溝と、
    前記第1の断熱溝と前記第2の断熱溝とに挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層と前記SOI基板の前記SiO とを隔離する空間と、
    前記第2の断熱溝に隣接して前記空間を終端し、前記第1の断熱溝と前記第2の断熱溝とに挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層を連結する基板連結部と
    を有し、
    前記第2の断熱溝は、前記エッチング除去した箇所に前記クラッド層が残るように形成され、前記エッチング除去した箇所において残されたクラッド層の部分を前記基板連結部とすることを特徴とする熱光学位相変調器。
  2. 前記基板連結部と前記薄膜ヒータ間の距離が、該薄膜ヒータと前記基板間の距離よりも長いことを特徴とする請求項1の熱光学位相変調器。
  3. 前記基板連結部上部を含む、前記第1の断熱溝と前記第2の断熱溝とに挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層の少なくとも一部の厚さが、前記コア周辺のクラッド層よりも薄くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱光学位相変調器。
  4. 前記基板連結部側にある前記第2の断熱溝がコの字型、または逆コの字型となっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱光学位相変調器。
  5. 前記基板連結部の導波路と平行な方向の長さが、前記薄膜ヒータ近傍の前記クラッド層の導波路と平行な方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱光学位相変調器。
  6. 前記第1の断熱溝と前記第2の断熱溝とに挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層が、台形の形状を多段に連結した配置形状を有することを特徴とする請求項5に記載の熱光学位相変調器。
  7. 前記基板がSOI層を有するSOI基板であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱光学位相変調器。
  8. 基板上に堆積されたクラッド層と、該クラッド層中に形成され該クラッド層よりも屈折率の高いコアと、該コア上方の前記クラッド層上に形成した薄膜ヒータと、前記薄膜ヒータの両側の前記クラッド層にそれぞれ形成した一対の断熱溝とを有する熱光学位相変調器の製造方法において、
    後に基板連結部となる箇所の前記基板上のSOI層を除去する工程と、
    前記SOI層の前記箇所を除去した基板上に、アンダークラッド、コア層を順次堆積し、該コア層からコアを加工し、該コアをオーバークラッドにて埋め込む工程と、
    前記一対の断熱溝を形成する工程と、
    前記断熱溝により露出した前記SOI層を選択的に除去することで、前記一対の断熱溝に挟まれて前記基板面と同一方向に伸びる前記クラッド層と前記基板とを隔離する空間と、前記空間を終端して前記基板と前記クラッド層とを連結する前記基板連結部を同時に形成する工程と
    を含むことを特徴とする熱光学位相変調器の製造方法。
  9. 前記基板連結部上部を含む前記基板面と同一方向に伸びるクラッド層の少なくとも一部を除去する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の熱光学位相変調器の製造方法。
  10. 前記基板連結部となる箇所の前記基板上のSOI層を除去する工程は、同時に等方エッチングを実施する際のエッチングストッパーとなる溝を形成することを特徴とする請求項8に記載の熱光学位相変調器の製造方法。
  11. 前記等方エッチングを実施する際のエッチングストッパーとなる溝を、アンダークラッドを堆積する工程において同時にガラスで充填することを特徴とする請求項10に記載の熱光学位相変調器の製造方法。
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