JP4685535B2 - 熱光学位相変調器およびその製造方法 - Google Patents

熱光学位相変調器およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱光学位相変調器およびその製造方法に関し、より詳細には、光通信分野で用いられる光導波路回路である、熱光学効果を利用し、低損失かつ低消費電力を実現する熱光学位相変調器およびその製造方法に関するものである。
平面光回路技術を用いたデバイスは、光通信分野においてキーデバイスとなっている。その中でも、熱位相変調器を用いた光スイッチ、光減衰器は特に注目されている。これらのデバイスに用いられる熱光学位相変調器では、導波路上部に形成された薄膜ヒータに電力を印加してコアの温度を上昇さることで光の位相制御を行う。ヒータからの熱により、変調領域の温度を上昇させることで、上記変調領域の屈折率が増大し、その変化量と長さに対応した光路長が長くなることで出射端での位相が変調される。
熱位相変調器を用いた回路で、最も用いられる回路構成は、導波路内に入射した光を3dBカップラーにて分岐し、分岐した少なくとも一方の導波路上にヒータを設けることによって構成された熱光学位相変調器に接続し、該熱光学位相変調器から出射した光を、再度カップラーにて結合させるマッハツェンダー干渉計回路(MZI回路)である。分岐した少なくとも一方を位相変調器に接続し、他方に比べ波長の半波長に対応する位相差を与えることで、出射端での光強度変調を行う。
この平面光回路技術を用いた熱光学位相変調器の最大の問題点は、消費電力にある。一つの熱光学位相変調器によって消費される電力は、典型的な構造では450mW程度になる。これを用いて、1×32、16×16等の大規模スイッチを実現しようとすると、回路全体の消費電力は非常に大きなものとなってしまう。そこで、これまでに消費電力を下げるために、さまざまなアプローチが考えられてきた。
その一つとして、図1(a)および(b)に示すような、薄膜ヒータの両側に断熱溝を形成することが知られている(非特許文献1参照)。図1(a)は、従来の、リッジ構造熱光学位相変調器の鳥轍図を示し、図1(b)は、図1(a)のA−A’線切断の断面構造を示している。本明細書では、このような構造をリッジ型構造と呼ぶ。すなわち、図1(a)および(b)では、基板1上に形成された、コア3が埋め込まれたクラッド2にコア3を横切らないように断熱溝6を形成することによって、リッジ構造4が形成されている。このリッジ構造4上には、コア3に適切に熱を加えるように、金属配線7に接続された薄膜ヒータ5が設けられている。
この断熱溝6は、薄膜ヒータ5から加えられた熱が、基板水平方向に拡散し、コア3の温度上昇に有効に電力が消費されなくなるのを防ぐ働きがある。すなわち、断熱溝6により、薄膜ヒータ5からの熱を基板水平方向に拡散するのを抑制し、コア3に効果的に熱を加えることができる。非特許文献1によれば、断熱溝6によって区切られて形成されたリッジ構造4のリッジ幅が細くなるほど、消費電力は小さくなることが示されている。スイッチング電力45mWの位相変調器が実現されている。また、リッジ幅を狭めることは消費電力だけを低下させ、応答速度の劣化を招かないことが示されている。
他の方法として、図2に示されるように、断熱溝26をクラッド22に形成した後に、ヒータ25下部にある熱伝導性の高い基板21、またはクラッド22の一部を除去することにより、ヒータ25からの熱が熱伝導性の良い基板21に逃げることを抑制する方法が知られている。本明細書では、このような構造をブリッジ構造と呼ぶ。すなわち、図2では、断熱溝26は、ヒータ25の長手方向に沿って連続的ではなく、所定の間隔で形成されており、各断熱溝の間には支柱27が形成されている。この支柱27によって、導波路部分24と導波路部分24以外のクラッドとを接続しており、この形態をブリッジ構造と呼ぶのである。さらに、図2では、少なくともヒータ25下部の基板21を除去することにより、基板除去部28が形成されている。
なお、本明細書において、「導波路部分」とは、コアを含んだ領域であり、実際に光を伝搬させる領域を指し、リッジ構造の場合は、コアを含むリッジ部分であり、ブリッジ構造の場合は、支柱によって接続された、コアを含んだ領域である。
また、本明細書において、「支柱」とは、コアを挟むようにして断熱溝を任意の距離隔てて形成した結果形成される、各断熱溝の間の領域を指し、導波路部分と、導波路部分ではないクラッドとを接続する機能を有する。例えば、導波路部分の下部に基板除去部を形成した場合、支柱によって導波路部分と導波路部分以外のクラッドとを接続することにより、導波路部分を所望の位置に固定することができる。
図2は、Siからなる基板21の一部を除去した基板除去部28を形成した場合の、ブリッジ構造の熱光学位相変調器を示している。断熱溝26を設ける際に、断熱溝26を不連続とし、支柱27となる部分を残して断熱溝形成を行った後、ヒータ25下部のSiからなる基板21の一部を除去して、基板除去部28を形成する。損失の増加がないように、コア23内のモードフィールドが、設けられた断熱溝26にはみ出さない程度のクラッド22がコア23の周辺に覆ってある。また、機械的強度を持たせるために、支柱27が設けられている。この支柱27の上面は、上層クラッド表面と同じ高さとなっている。
この構造では、ヒータ25より加えられた熱が効率良くコア23に伝わり、コア23の温度上昇を効率良く行える。よって、非常に消費電力の小さな熱光学位相変調器が実現できる。
これまで提示されている方法(非特許文献1)に従ってさらに消費電力を低減するには、断熱溝によって区切られたリッジ構造のリッジ幅を狭くすることが考えられる。しかしながら、これまでの方法を単に世襲し、更に、上記リッジ幅をさらに狭めるにも限界がある。
図3は、本発明者らが作製し、測定した、従来構造のリッジ構造の熱光学位相変調器を有するMZI干渉計の挿入損失とリッジ幅との関係を示している。用いた導波路のコアとクラッドとの比屈折率差Δは1.5%である。これによると、単に従来構造のまま、リッジ幅を狭くすると、該リッジ箇所を光が伝播する際の損失が大きく増加してしまうといった課題が生じる。
このリッジ幅を狭めて損失が増大する要因は、主に次の2つの要因に大別できる。
[1]リッジ部(リッジ構造)に隣接する断熱溝形成時に生じる側面の荒れによって生じる散乱による損失増大。
[2]リッジ部の導波路のモードと、埋め込み導波路によって構成される導波路のモードとのモード不整合による損失増大。
要因[1]について説明する。断熱溝を形成する際、クラッド表面から基板付近まで、多い時には60μm以上もの深さのガラスエッチングを実施する。そのためリッジ部の側面には、加工荒れが生じている。従来構造のようにリッジ幅が広い場合は、光からみて、側面は”見えない”ため散乱による損失の増大は起こらないが、リッジ幅を狭めると、伝播光から見て側面の荒れが”見える”ため散乱損失の原因となる。
次に、要因[2]に関して詳細に説明する。
図4(a)は、断熱溝が形成されていない場合の導波路の断面の模式図と、基板水平方向(x軸方向)での光強度の分布を示している。図4(a)において、基板41上には、コア43が埋め込まれたクラッド42が形成されている。断熱溝が形成されていない場合、コア43を伝搬する光の基本モード幅をWeとする。モード幅Weは、一般的には、
e=Wc+(λ0/π)(nc/nr(nr 2−nc 2-(1/2)
によって、与えられる。ここで、Wcはコア幅、λ0はコアを伝搬する光の波長である。また、nc、nrはそれぞれ、クラッド、コアの屈折率である。
また、導波路を挟むように断熱溝を形成することによってリッジ構造を形成した際の、リッジ構造のリッジ幅をWrとすると、図4(a)では、断熱溝が形成されていないので、リッジ幅Wrは∞と見なせる。
断熱溝によって区切られるリッジ構造44のリッジ幅Wrが図4(b)のように
r>We
である時、伝播光は、断熱溝の影響を受けずに伝播できるため、要因[1]に示した散乱損失の増加を招かない。しかしながら、消費電力をさらに低減させるために、リッジ幅を狭くし、図4(c)に示すように、図4(a)および(b)のモード幅Weよりも、リッジ構造45のリッジ幅Wrを狭くする、つまり
r<We
とすると、コア近傍の断熱溝の空気の影響を受けコア43のx軸方向の有効屈折率が上昇し、クラッド42を含むリッジ構造45をガイドとして光が閉じ込められるようになる。クラッド42と空気の屈折率差は非常に大きく、結果、リッジ構造45でのモードフィールドは変化し、リッジ構造45を伝搬する光の基本モード幅はWe’となる。このモード幅We’は、モード幅Weより小さく、リッジ構造45のリッジ幅Wrにほぼ等しくなる。
図4(c)において、埋め込み導波路内のコア43を伝播してきた光が、突如、断熱溝によって区切られるリッジ構造(リッジ部)45の導波路に接続されると、各々(リッジ構造45を伝搬する光と、リッジ構造45に接続した導波路を伝搬する光)のモードの不整合から損失を生じる。すなわち、埋め込み導波路でモード幅Weで伝搬した光は、リッジ構造45にてモード幅We’となり、モードの不整合が生じるのである。これまでリッジ幅を狭めると消費電力が下げられることはわかっていたものの、実用的なデバイスが実現されてこなかったのは、前述した2つの要因により損失が増大してしまう問題があるためである。これらの要因に対し、対策を行い、損失増加を低減し、低消費電力を実現できる構造が望まれている。
さらには、リッジ幅を狭めると、その上に設けられるヒータの幅も狭める必要がある。ヒータの細線化により従来では問題にならなかったことが問題となる。細線ヒータと金属配線との接続部において、細い配線を利用すると、配線抵抗が上昇するといった問題がある。また応力等の問題から、製造段階での断線が多くなる問題が生じる。このように細線化するとヒータの抵抗値が上昇するので、ヒータの厚さを増すことにより上記抵抗値を下げようとするとヒータ膜の応力が増大し、ヒータの剥離、クラックの生成等の製造上の問題が生じてしまう。特に、図5に示すように、ヒータ51と金属配線53とを接続する箇所の角部において、応力のためのクラック(ひび)54が金属配線53に入り断線に至ることが多いといった問題があった。特に細線化しヒータ抵抗値の上昇を緩和しようとヒータ膜厚を厚くするとこの問題は顕著となる。なお、図5において、符号52は、断熱溝である。
非特許文献2に代表されるブリッジ型熱光学位相変調器においては、効率よくコアの温度が上昇するようにヒータへの印加電力が用いられる一方、放熱という観点では熱が逃げにくい。よって、消費電力を低下させるが、著しく応答速度の劣化を招くという問題がある。これは、蓄積された熱が、放熱されないためである。
多少の消費電力を犠牲にしてでも、応答時間をはやくする方法が知られている。熱が基板へと逃げるのを抑制するために基板または、クラッドの一部を除去する際に、除去する基板または、クラッドの一部を残して熱の逃げ道(放熱のための経路)を確保する方法である。しかしながら、上記逃げ道を確保するために残された基板またはクラッドの幅の制御は非常に困難である。なぜならば、基板または、クラッドの一部を残す加工は、基板に対する水平方向への加工である。この水平方向への加工においては、高度なエッチング量の監視方法もなく、精度が悪い。そのため、作製するバッチごとに消費電力、応答時間にばらつきが生じる問題がある。さらにはウエハー内のエッチングの均一性が悪いと、消費電力、応答時間にも同じだけのばらつきが生じてしまう。
また、機械的強度を持たせるために支柱を設けているが、不十分であり、振動、衝撃により、構造が破損しやすいといった問題があった。Si等からなる基板を大きく除去することによる応力が要因で破損しやすい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、消費電力を低減させ、かつ損失を低減することが可能な熱光学位相変調器およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基板上に堆積された下層クラッドと、該下層クラッド上に形成された、前記下層クラッドよりも高い屈折率を有するコアと、前記コアの前記下層クラッドと接する面以外の面を覆うように形成された、前記コアよりも低い屈折率を有する上層クラッドと、少なくとも前記上層クラッドを除去して形成された断熱溝であって、それぞれの端を含む領域における、前記コア側の第1の縁の方向が、前記コアの長手方向に対して、該第1の縁の端に向かって、前記コアとは反対側に第1の角度を成す方向である断熱溝と、前記断熱溝の2つを、前記コアを挟むようにして形成することにより形成されるリッジ構造であって、該リッジ構造を形成する第1の断熱溝と第2の断熱溝との間の最も近い距離は、断熱溝が形成されない場合のコアの導波モード基本モード幅よりも小さく、前記第1の縁によって形成された領域は、前記第1の縁の端に近づくにつれて幅が徐々に大きくなるリッジ構造とを備え、前記リッジ構造の幅が徐々に大きくなる領域は、断熱溝が形成されていない領域の埋め込み型導波路から前記リッジ構造部分の導波路へモードフィールドを断熱的に変換するように形成されていることを特徴とする。
このように、断熱溝によって形成されるリッジ構造の幅を、断熱溝が形成されない場合のコアの導波モード基本モード幅よりも小さくしても、リッジ構造の両端に形成されるテーパー部によって損失を低減させることができるので、損失の増加を抑えて、低消費電力化を実現できる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記断熱溝の最深部が、前記基板表面まで達せず、前記下層クラッドの一部が残っており、前記断熱溝の底面に形成された、少なくとも1つ以上の前記基板除去用の窓と、前記基板除去用の窓から前記基板に対してエッチングして形成された基板除去部とをさらに備えることを特徴とする。
このように、窓を設けることによって、基板の一部を除去することができるので、加熱領域を減らすことができ、応答時間を従来に比べて大幅に改善することができる。また、下層クラッドに窓を形成することにより支柱を形成するので、支柱はコアよりも下部に形成されることになり、支柱部で生じるモードフィールドの不整合を低減することができる。さらに、リッジ構造の幅を狭くすることができるので基板の除去量を低減することができ、従来構造では大きな問題であった機械的強度も改善することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記コアの側面の少なくとも一部が前記断熱溝に接していることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記コアに熱を加えるように、前記上層クラッド上に形成されたヒータと、前記ヒータと接続される端部から遠ざかるに従って、前記コアに対して第2の角度でその幅が徐々に広くなるテーパー部分を有する配線であって、前記第2の角度は、前記第1の角度とほぼ等しいか、または小さい角度である配線とをさらに備えることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記断熱溝は、前記第1の縁が直線または曲線であり、前記第1の縁の間に形成される第2の縁が前記コアと略平行に直線である形状、前記第1の縁の間に形成される第2の縁が曲線である形状、一方の端を含む領域に形成された第1の縁と他方の端を含む領域に形成された第1の縁とが直接連結した形状、前記第1の縁が直線または曲線であり、前記第1の縁の間に形成される第2の縁が前記コアと略平行に直線であり、その幅が長手方向に沿ってほぼ一定である形状のいずれか1つであることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、下層クラッドと、該下層クラッド上に形成された、前記下層クラッドよりも高い屈折率を有するコアと、前記コアの前記下層クラッドと接する面以外の面を覆うように形成された、前記コアよりも低い屈折率を有する上層クラッドとを有する基板を用意する用意工程と、前記基板の少なくとも一部を除去するためのエッチングの窓となるパターンをエッチングすることによって、前記上層クラッド上に窓を形成する窓形成工程と、前記窓の段差を包括する領域に少なくとも前記上層クラッドを除去して形成された断熱溝であって、それぞれの端を含む領域における、前記コア側の第1の縁の方向が、前記コアの長手方向に対して、該第1の縁の端に向かって、前記コアとは反対側に第1の角度を成す方向であり、前記コアを挟むようにして2つの断熱溝を形成することによりリッジ構造を形成し、該リッジ構造を形成する第1の断熱溝と第2の断熱溝との間の最も近い距離は、断熱溝が形成されない場合のコアの導波モード基本モード幅よりも小さくなるように断熱溝を形成する断熱溝形成工程と、前記窓の底面が、前記基板に少なくとも達した時点で前記断熱溝の形成を終了する終了工程と、前記窓より、前記基板の少なくとも一部を除去する除去工程とを有することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記断熱溝形成工程では、所望の消費電力または応答時間のいずれか一方に応じて、前記断熱溝の底面と、前記基板との間の前記下層クラッドの厚さを調節することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、リッジ構造の幅を狭くしても、リッジ構造の両端を含む領域にテーパー部を形成するように断熱溝を形成したので、損失の増加を抑えることができるので、消費電力を低減させ、かつ損失を低減することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施形態)
図6(a)は、本実施形態に係る熱光学位相変調器を示す鳥瞰図であり、図6(b)は、図6(a)のB−B’線切断断面図である。また、図7は、本実施形態に係る熱光学位相変調器を用いた1×2光スイッチの構成図である。
図6(a)および(b)において、Siなどからなる基板61上には、コア63が埋め込まれたクラッド62が形成されている。クラッド62には、コア63を挟むようにして、断熱溝65が形成されており、これら断熱溝65により、コア63を含んだリッジ構造64が形成される。リッジ構造64の上部には、コア63に熱を加えるようにヒータ66が形成されている。このヒータ66の幅は、直線形状のリッジ構造64Aの幅とほぼ同じでも良いし、直線形状のリッジ構造64Aの幅よりも細くても良い。なお、直線形状のリッジ構造64Aの幅は、断熱溝が形成されない場合のコアの導波モード基本モード幅よりも小さい。
上記断熱溝65の長手方向はコア63の長手方向とほぼ一致しており、断熱溝65のコア63側の縁の少なくとも1部分である第1の縁は、コア63の長手方向と略平行である。また、上記断熱溝65のコア63側の残りの縁であって、第1の縁の両側に形成された第2の縁は、第1の縁の方向に対して、コア63とは反対側に向かって所定の角度を成すように形成されている。第1の縁の形状によって、直線形状のリッジ構造64Aが形成され、この直線形状のリッジ構造64A上にヒータ66が形成されることになる。また、第2の縁の形状によって、直線形状のリッジ構造64Aから離れるに従ってその幅が徐々に広がるようなテーパー形状のリッジ構造(テーパー部)64Bが形成される。すなわち、1対の断熱溝65によりコア63を、該コア63の長手方向を横切らないように区切ることによって、直線形状のリッジ構造64Aの両端部にテーパー形状のリッジ構造64Bが形成されたリッジ構造64が形成される。
なお、本明細書において、「縁」とは、ある領域と他の領域との境界を指し、断熱溝の縁とは、断熱溝とクラッドとの境界の部分を指す。
クラッド62上には、テーパー部67Aを有する金属等の接続配線67が形成されており、テーパー部67の最も幅が小さい端と、ヒータ66の端とが接続されることにより、外部からの電気信号を、接続配線67を介してヒータ66へと送信することができる。
本実施形態では、断熱溝65が形成されていない場合のコア63の導波モードの基本モード幅よりも、断熱溝によって区切られる直線形状のリッジ構造64Aの幅が狭く、かつ、該直線形状のリッジ構造64Aの幅がコア63のコア幅より広い構造を有している。このような構造において、断熱溝65の長手方向において、上記コア63の側面の薄いクラッド層の厚さが、直線形状のリッジ構造64A(ヒータ66)から離れるに従い次第に厚くなるような、テーパー形状のリッジ構造64Bを有する熱光学位相変調器を用いた、1×2光スイッチを図7に示す。なお、図7では、図面を見やすくするために、コアを細線で示している。
図7において、方向性結合器72Aの出力ポートにはそれぞれ、アーム導波路73A、73Bの一方端が接続されている。アーム導波路73A、73Bにはそれぞれ、図6(a)および(b)にて説明した、熱光学位相変調器71が形成されている。アーム導波路73A、73Bの他方端はそれぞれ、方向性結合器72Bの入力ポートに接続されている。
以下で、図7に示す、光スイッチの作製方法について述べる。ここで示す数値、作製方法は一例であり、他の値、作製方法であっても差し支えない。
まず、Siからなる基板上に、火炎堆積法を用いて下部クラッド50μm、コア層4.5μmを順に堆積する。ここで火炎堆積法とは、SiCl4等の塩化物を酸水素炎の中で燃焼させ、基板上に高速にガラス膜を製膜する方法である。この火炎堆積法は、比較的厚い膜を堆積するのに適しており、埋め込み特性に優れているため光導波路の作製に広く用いられている方法である。堆積直後は、形成された膜は微粒子の集まりであるため可視光を散乱し、白色を示すが、熱処理を実施することで透明な膜を得ることができる。一般的には透明化温度降下のため、例えば、P25、B23などを適量添加したガラスを堆積し、さらにコア層には屈折率を上げるためにGeO2等を添加する。ここでは、堆積したコア層の比屈折率差Δがクラッド層に対し1.5%となるようにする。
ついで、一般的なフォトリソグラフィ技術と反応性イオンエッチングとを用いて、形成されたコア層に対して回路形状に加工を実施する。作製した光回路は、図7に示されるような直線アーム導波路73A、73Bの両端に接続された2つの3dB方向性結合器72A、72BからなるMZI回路である。なお、本実施形態では、アーム導波路73A、73Bそれぞれの長さは、3mmである。また、導波路(コア63)の幅を6.0μmとする。
エッチングした回路をさらに、オーバークラッドとなるガラスで埋め込む。このときのオーバークラッドとなるガラスの厚さは、20μmである。そのクラッド上にCrを用いてヒータ66を形成後、金からなる接続配線67を形成する。ここで、ヒータは、幅3μm、長さ2mmとし、金からなるテーパー形状の電極(テーパー部67A)により配線されている形状とする。最後に、断熱溝65を形成する。断熱溝65は、ヒータ66の両側は平行な断熱溝であり、該断熱溝の幅を50μmとし、コア63の両側に形成された断熱溝65によって区切られる直線形状のリッジ構造64Aのリッジ幅がコア幅と同じ6μmとなるようにする。また上記平行な断熱溝65の両端にコア側面の距離に対応する水平方向のクラッド厚さがヒータ66から遠ざかるにつれて厚くなるように、断熱溝幅をテーパー形状の構造とする。このようにして、テーパー形状のリッジ構造64Bが形成される。テーパー形状のリッジ構造64Bの長さを500μmとし、直線形状のリッジ構造64A(ヒータ66)から離れるに従い断熱溝幅が50μmから35μmになるように徐々に断熱溝65の幅を狭める。本実施形態では、これに限定されないが、断熱溝65のテーパー角は1.7度に相当する。
本実施形態では、テーパー形状のリッジ構造は、断熱溝幅を徐々に狭くすることで構成している。しかしながら、本実施形態では、断熱溝によって区切られるリッジ構造両端がテーパー構造となっていることが重要であり、断熱溝によって形成されるリッジ構造の両端がテーパー形状となっていれば、例えば、後述のように、断熱溝そのものを該当箇所で曲げて作製しても問題はない。
以下に、断熱溝の両端をテーパー構造とすることによる効果について述べる。
上述したように、断熱溝を狭くしたリッジ構造においては、伝播光の水平方向の成分は、断熱溝内の空気をクラッドとして伝播する。この時のモードフィールドは、断熱溝がない箇所の導波路のモードフィールドとは異なる。また、リッジ構造は、シングルモードの導波路ではなくなり、マルチモードの導波路となる。そのため、ガラスで埋め込まれた導波路内を伝播してきた光が、突如断熱溝によって区切られるリッジ構造と接続されると、モードフィールドの不整合により損失を生じる。さらに高次モードを励振し、そのことによっても損失を発生させてしまう。
この損失を低減するには、断熱的に埋め込み型導波路からリッジ部の導波路ヘモードフィールドを変換することが望ましい。図8は、断熱的にモードフィールドが変換される様子を模式的に示した図である。図8に示されるように、断熱溝が突如現れるのではなく、徐々に現れるようにするためにテーパー部(テーパー形状のリッジ構造64B)を直線形状のリッジ構造64Aの両側に設ける。すなわち、テーパー形状のリッジ構造64Bを設けることで、導波路を伝搬してきた光のモード幅WIは、テーパー形状のリッジ構造64Bを通過するに従い徐々に小さくなり、直線形状のリッジ構造64Aではモード幅WO(WI>WO)となる。よって、モード不整合を解消ないしは軽減することができ、かつ高次モードの励振を抑えることができ、伝搬光を、低損失に、狭リッジ部を伝播させることが可能となる。
作製した回路の損失増加を測定したところ、図9に示されるようにリッジ幅を狭めても、損失増加はほとんど認められなかった。詳細に調べるため、テーパー部を含め長さ3mmの狭リッジ部(リッジ構造)を形成した箇所を20箇所設けたテスト回路において測定をしたところ、0.2dBの損失増加を確認した。これは、一箇所の狭リッジ部を透過しただけでは僅か0.01dBの損失増加が起こる、ということに対応する。なお、従来構造、すなわちテーパー部を形成するように断熱溝を形成しない場合は、一箇所当たりの通過による損失は14dB以上であり、本実施形態の断熱溝をテーパー形状のリッジ構造を形成するように形成することにより、損失が大幅に低減できていることがわかった。
作製した熱光学位相変調器において、消費電力を測定した結果、位相がπ回転するのに要した電力はわずかに25mWであり、断熱溝が形成されない場合の消費電力450mWの実に5%の電力まで低減ができた。また、従来構造の非特許文献1に報告されている消費電力45mWと比べても、ほぼ半分にまで消費電力を低減することがでた。
このように本実施形態によれば、消費電力を低減させるためにリッジ構造の幅を狭くしても、リッジ構造の両端をテーパー形状とすることにより、リッジ構造と該リッジ構造と接続する導波路とにおいて、モード不整合を低減することができるので、消費電力を低減させ、かつ損失を低減することができる。すなわち、リッジ構造と該リッジ構造に接続される導波路の光結合の劣化を抑えながら、リッジ構造の幅を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、コア幅と直線形状のリッジ構造のリッジ幅とが等しくなる場合について示したが、リッジ構造の作製前に埋め込まれていたコア幅よりも上記リッジ幅が狭くなっていても問題とはならない。また逆に、直線形状のリッジ構造において、コア側面が断熱溝空間に接している必要性は必ずしもなく、コア側面に極薄いクラッド層が残っていても同じ効果が得られる。なぜならば、側面にクラッドがある場合と、無い場合とでは、本実施形態では本質的な違いはなく、コアやクラッドの屈折率は断熱溝空間の空気に比べて大きいため非常に閉じ込めが強く、直線形状のリッジ構造を伝搬するモードフィールドはリッジ幅で決定されるためである。すなわち、断熱溝空間の空気は、コアおよびクラッドに比べて屈折率が小さいので、クラッドを含めコアが実質上のコアとして機能し、断熱溝空間の空気が実質上のクラッドとして機能するので、リッジ構造と結合する導波路を考慮すると、リッジ構造には少なくともコアを含んでいれば良いのである。
本実施形態によると、従来構造では、消費電力を下げる目的でリッジ幅を狭くすると、損失が増加してしまうという問題に対し、断熱溝両端にテーパー構造を設けることでモードフィールドを埋め込み導波路部分から、断熱溝リッジ構造部へ断熱的に変化させることで、消費電力を下げかつ損失増加を招かない構造が実現可能である。
本実施形態では、テーパー形状のリッジ構造の形状は、直線形状のリッジ構造(ヒータ)から離れるに従い断熱溝幅を徐々に狭くすることで構成している。しかしながら、本実施形態では、断熱溝によって区切られるリッジ構造両端がテーパー構造となっていることが重要であり、例えば、図10(a)〜(e)に示したような構成の断熱溝であっても良い。
図10(a)は、本実施形態で作製した断熱溝102を示しており、該断熱溝102は、断熱溝102のコア101側の、該コア101の長手方向と略平行である縁103と、該縁103と対向する縁105とが略平行であり、縁103の方向に対して、コア101とは反対側に向かって角度θ(テーパー角とも呼ぶ)で形成された縁104を有する、台形形状となっている。図10(a)では、縁103により、直線形状のリッジ構造107を形成し、縁104により、テーパー角θのテーパー形状のリッジ構造108を形成する。
図10(a)では、断熱溝102を台形形状としたが、狭くなった先106が尖る形状としても良い。本実施形態では、ヒータやコアは直線形状であるが、曲線であっても良い。その場合は、図10(e)に示すように、テーパー部108の間のリッジ構造は直線でなく曲線であっても問題はない。すなわち、断熱溝109の、コア101側の縁110を、形成されるべきヒータ(不図示)やコアの形状に合わせて曲線とすることにより、曲線形状のリッジ構造111を形成しても良い。
また、断熱溝の幅が狭くなる箇所においては、断熱溝をエッチングする際ローディング効果により、狭くなった箇所ではエッチングが良好に行えない場合がある。そこで、図10(b)に示すように、断熱溝112の幅を一定にして、折り曲げた形状としてもよい。すなわち、縁103および104に対向する縁113を、対向する縁と略平行になるようにするのである。この場合、断熱溝112のいずれの箇所においても一定の深さとすることができる。
さらに損失増加を抑え断熱的にモードフィールドの変換を行う目的から、図10(c)に示すように、テーパー部108が曲線である方が好ましい。すなわち、テーパー部108を形成するための、断熱溝114の縁を、その形状が直線から曲線(例えば、図10(a)の縁104の形状を直線から曲線に変更した縁)に変更された縁115としても良い。この場合は、テーパー部108を形成するための縁が直線の場合よりもテーパー部108に必要な長さを削減することが可能となる。
さらに、消費電力を下げるという目的では、テーパー構造を採用して、断熱溝によって区切られる体積を減少させればよく、直線形状のリッジ構造を有さず、図10(d)に示すようにテーパー部108が二つ向き合ったような構造の断熱溝116であっても、少なくとも、従来構造に比べて消費電力を下げる効果が得られる。
先に示した図10(b)は、エッチング時、幅の狭い箇所は深く掘ることができないことを防ぐための構造である。この効果を逆に利用することで、より低損失にモードフィールドを変換することができる。図11(a)は、本実施形態に係るテーパー部(テーパー形状のリッジ構造)の上面を示す図であり、図11(b)は、図11(a)の、C−C’線切断断面図である。エッチングにより断熱溝121を形成する工程において、エッチングに用いるガス種、ガス圧等を適当に変化させることで、断熱溝の幅によりエッチングレートを変化させることができる。それを利用すると、図12(a)および(b)のように、断熱溝122が細くなった箇所123において、ローディング効果により、三次元的に、テーパー形成を成すことが可能である。このような構造にすることで、断熱的にモードフィールドを変換するという観点から、横方向の2次元的な変換だけでなく、3次元的にモードフィールドが変換できるので、より低損失を実現することが可能である。
(第2の実施形態)
本実施形態では、熱光学位相変調器の低消費電力化を実現し、損失増加を招かない、ないしは低減させるのに最適な金属配線形状について述べる。
図13(a)は、本実施形態に係る、配線形状を示す上面図であり、図13(b)は、図13(a)の、テーパー形状のリッジ構造の拡大図である。
本実施形態では、Crヒータ66を用いた、テーパー形状のリッジ構造64Bを形成する断熱溝65を有する熱光学位相変調器に適した電気配線構造を作製する。
電気配線を含めた作製工程は、第1の実施形態の工程と同じである。
本実施形態では、幅3μm、長さ2mm、厚さ800nmのCrヒータ66を直線形状のリッジ構造64A上に形成する。その後、ヒータ66に接続する金からなる接続配線67を形成する。接続配線67は、ヒータ接続点付近でヒータ66の幅とほぼ同じ幅とし、ヒータ66から遠ざかるにつれ幅が広くなるようなテーパー部67Aを有する。テーパー角は、1.5度である。これは、後に形成する、テーパー形状のリッジ構造64Bの広がり角1.7度よりも狭い角度である。
なお、本実施形態では、テーパー部の角度を1.5度とし、テーパー形状のリッジ構造64Bの広がり角を1.7度としているが、これに限定されず、回路の設計に応じて適宜角度を決めればよい。また、本実施形態では、テーパー部の幅、長さに関しても、この限りではない。すなわち、金属等からなる接続配線67が有するテーパー部67Aのテーパー角が断熱溝65より形成される、テーパー形状のリッジ構造64Bのテーパー角よりも小さければ、以下に示す効果が得られる。
以下で、接続配線のヒータ接続部を含む所定の領域をテーパー構造とする効果、および接続配線のテーパー部のテーパー角を、テーパー形状のリッジ構造のテーパー角より少なくとも同じか、または小さくすることによる効果について述べる。
LSIを代表とする電気大規模集積回路においては、近年配線太さはナノメートルオーダーと非常に細くなっている。しかしながら、光回路におけるヒータ配線は、電気回路ではありえない熱源に対し配線を実施する。そのため、膜厚等は電気回路のそれと大きく異なり区別される。
その一つの問題として、図5に示される熱光学位相変調器の従来構造の電気配線構造に細線ヒータ51を取り付けた場合、同図内で拡大して示しているような角(ヒータ51と金属配線53との接続部付近)の箇所に、クラック54が入り、断線するといった問題が生じる。これは、ヒータを細線化することにより抵抗が大きくなるのを防ぐため、ヒータ膜厚を厚くすると顕著に現れる。膜応力によるものであると考えられる細線化特有の問題である。しかしながら、本実施形態のようにヒータ66に接続する箇所の電気配線形状を、テーパー構造とすることで、細線化されたヒータ66との接続部における断線は見られなくなった。本実施形態で作製した構造では、ウエハー内すべての箇所において断線箇所はみられず、断線を防ぐ効果がある。
上記のような断線の問題もあるが、さらに深刻な問題を抱えている。それは、配線抵抗の問題である。
熱光学位相変調器に用いるヒータとそれに電力を供給するための電気配線は、通常ヒータの幅よりも電極配線の幅の方が太い。というのも、電極配線は、通常、金、アルミ、銅などの電気抵抗率の小さな金属を用いて作製されるが、その配線抵抗はゼロではない。そのため、印加した電力がすべて効率よくヒータの加熱に用いられるわけではなく、電気配線部により熱に変換されるものも存在する。ヒータの抵抗値が800Ωである際、配線抵抗が8Ωあると、簡単には約1/100の電力は配線によって消費され熱となってしまう。この影響を少なくするために、電気配線の幅を広くし抵抗値を下げる必要がある。
図14(a)は、これまで従来からあった配線と抵抗を示している(図1の構成と同一の構成)。これを本実施形態のテーパー構造を有する断熱溝を形成した熱光学位相変調器に適応した場合を考える。テーパー形状のリッジ構造(テーパー部)64Bの箇所にもヒータ66を形成した場合(図14(b))、テーパー部64Bはヒータ中央から遠ざかるにつれて、徐々にリッジ幅が広くなる。そのため、リッジ幅を狭めて消費電力をさげる目的からは、テーパー部64Bにてリッジ幅が広くなった部分を暖める分、無駄な消費電力が増えることとなる。
細い配線部分は可能な限り細くした方が抵抗を小さくできるため金属配線7の、テーパー部64Bの上部に形成される配線部分7Aの幅をヒータ66の幅まで狭くした場合(図14(c))、テーパー部64Bの上部の配線部分7Aの幅が狭くなるため、該箇所での配線抵抗が大きくなってしまう。つまり、配線材料(金等)であっても細配線すれば抵抗値が高くなり、配線部分7Aをヒータ66の一部とみなせるようになるため、図14(b)と同じ理由から、無駄な消費電力が増えてしまう。
ヒータ66はリッジ幅が狭くなった箇所(直線形状のリッジ構造64A)のみに設けるのが消費電力低減の観点からは望ましい。かといって図14(d)のように、太い金属配線7を、断熱溝65を、後に形成すべき領域にまで設けると、断熱溝65の形成時に、金属配線7がガラスエッチングのマスク材として働き、テーパー部64Bの形状を乱すこととなる。これは伝播損失増加の要因となりえる(先に示した散乱による損失;要因[1])。断熱溝65を形成した後に、金属配線形成過程を実施すればこの問題はないが、通常は金属配線工程を実施してから、断熱溝形成工程を行うのが普通である。断熱溝65の形成後では、断熱溝65により金属をパターン化する際に塗布するレジストが上手く塗布できない、均一な厚さにレジストが塗布できない、フォトリソグラフィー工程において均一に露光現像できないといった問題があるためである。そのため断熱溝形成工程の前にヒータ、金属配線の形成工程を実施するのが一般的である。
そこで、本実施形態のように、テーパー部64Bを形成するように断熱溝65を形成した場合には、金属配線もテーパー化することが最良形状である。ヒータ66が細線化してもそれに接続する箇所の金属配線抵抗上昇を極力抑えることが可能となる。結果、断線を防ぐことができる。また、断熱溝65により形成されたテーパー部64Bのテーパー角よりも小さなテーパー角を持つようにテーパー部67Aを形成することで、断熱溝側面形状が加工時に金属配線による影響を受けないようにし、伝播損失の増加なく、配線抵抗の上昇を抑えつつ、ヒータに電力を供給することが可能となる。
加工時に接続配線67が、エッチング箇所にかからず、テーパー部の側面の形状を変形させない目的では、テーパー部67Aのテーパー角は、テーパー形状のリッジ構造64Bのテーパー角よりも必ずしも小さくなくても良い。図15に示すように、テーパー形状のリッジ構造64Bのテーパー角とテーパー部67Aのテーパー角とがほぼ同じ角度であり、テーパー形状のリッジ構造64Bのテーパー開始点αより、テーパー部67Aのテーパー開始点βを距離lだけずらしても同じ効果が得られる。この時は、ずらす幅は小さい方が、先に述べた図14(c)の説明と同じく、細い配線を可能な限り短くした方が配線抵抗を小さくできるため、細い配線箇所の長さを短くする。
以上に説明したように、断熱溝によってテーパー形状のリッジ構造を形成し、断熱溝によって区切られる幅が狭い構造では、接続配線にもテーパーを設け、そのテーパー角は、テーパー形状のリッジ構造のテーパー角よりも小さいか、または、等しくすることにより、断線の防止ができ、かつ配線抵抗を極力抑え、消費電力を下げる効果が得られる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1および第2の実施形態で説明した、断熱溝構造および接続配線構造をブリッジ型熱光学位相変調器に適用した形態について説明する。図16(a)は、本実施形態に係る、ブリッジ型熱光学位相変調器の上面図であり、図16(b)は、図16(a)の鳥瞰図である。なお、構成を分かりやすくするために、図16(b)は、図16(a)のE−E’の切断断面を示す。また、図17は、本実施形態に係る、熱光学位相変調器の作製方法を示す図である。
図16(a)および(b)において、本実施形態に係る、ブリッジ型熱光学位相変調器は、図6にて説明した熱光学位相変調器の、断熱溝65の底面に、所定の間隔毎に、基板除去部163を形成するための、エッチング窓161が形成されている。各エッチング窓161の間には、支柱162が形成されている。また、少なくとも直線形状のリッジ構造64Aの下部には、エッチング窓161から基板61に対してエッチングを行うことにより、基板除去部163が形成されている。
なお、本実施形態では、断熱溝65によってリッジ構造64が形成されるが、このリッジ構造64は、支柱162によって支えられるので、本実施形態に係る、熱光学位相変調器は、ブリッジ型となる。
本実施形態の熱光学位相変調器は次のようにして作製することができる。
工程1として、Siからなる基板171上にアンダークラッド172を10μm、火炎堆積法(FHD)を用いて堆積する(図17(a))。次いで工程2として、コアとなる173層をFHDにて、アンダークラッド172上に4.5μm堆積する(図17(b))。ここでコア173とクラッド172との比屈折率差Δは1.5%とする。次いで工程3として、標準的なフォトリソグラフィー技術と反応性イオンエッチング法とを用いて回路形状にコア174を加工する(図17(c))。コア174の幅は5μmとする。次いで工程4として、それらの加工したコア174をオーバークラッド175となるガラスで埋め込みを実施する(図17(d))。埋め込みガラス厚さは15μmである。また、コア173とクラッド175との比屈折率差Δは1.5%とする。
さらに、工程5として、クラッド175の上部であって、コア174の上部にヒータ176と、ヒータ176に接続するように、テーパー部を有する電極(不図示)を形成する(図17(e))。ヒータ幅は約3μmであり、テーパー形状の電極にて接続された形状とする。
ここまでは第1の実施形態に示した標準的な熱光学変調器の作製方法と同じである。
次いで、工程6として、ヒータ176と電極とを形成した表面にレジスト177を塗布し、後にSi等方エッチングの窓となるパターン178を形成する(図17(f))。なお、窓の大きさは30μm×30μmとして、上記窓の、導波路方向(コア174の長手方向)の間隔は、10μ間隔とする。ヒータ176を挟んだSi等方エッチングの窓の距離は最も近いところで12μmとする。
次いで工程7として、パターン化したレジストをマスク材としてクラッド175に対して、反応性イオンエッチングを用いて10μmの深さまでエッチングを施し、レジストを除去して、エッチング窓179を形成する(図17(g))。この際、エッチング深さは、市販されているエッチングモニターを用いてモニターリングしながらエッチングを施し精度よく加工を行うことができる。このようにして形成されたエッチング窓の間の領域が、後の工程を経て支柱となる。
次いで工程8として、再度レジスト180をクラッド175に塗布する(図17(h))。次いで工程9として、断熱溝のパターン181を、標準的なフォトリソグラフィーを用いてパターニングする(図17(j))。この際、断熱溝によって区切られた直線形状のリッジ構造の幅は10μmとし、形成される断熱溝のコア側の縁が、Si等方エッチング窓179よりも内側にくるようにする。ここで工程8では、既にSi等方エッチング窓179としてエッチングされた段差上にレジスト180を塗布することとなるが、この塗布後の表面の凹凸は1μm以下であり、後の工程に影響を与えない。
さらに、工程10として、パターン化したレジストをマスク材としてクラッド175に対して、反応性イオンエッチングを用いて断熱溝182を形成する(図17(k))。この際、エッチングは既にエッチング済みであるSi等方エッチング窓部が先にSi基板171に達する。この時点でエッチングをストップさせる。このとき、断熱溝182の底面の基板171からの高さは、コア174の基板171からの高さよりも低い高さになるようにエッチングを行う。このようにエッチングを行うことにより、直線形状のリッジ構造とその両端に形成されたテーパー形状のリッジ構造とを有するリッジ構造183が形成される。
次いで工程11として、Si等方エッチング窓179により露出しているSi基板171に、SF6系のガスを用いてSiの等方エッチングを実施すると、エッチング窓179の下部の所定の領域の基板171は除去され、基板除去部184が形成される(図17(l))。断熱溝182によって区切られるリッジ構造183の下部のSiが除去され、リッジ構造を挟んで形成されたエッチング窓179から形成される、それぞれの基板除去部184がつながった時点でエッチングを止める。図17(l)では、リッジ構造183が宙に浮いているように見えるが、実際は、各エッチング窓の間に形成された支柱(不図示)により、固定されている。このようにして、ブリッジ型の熱光学位相変調器の構成が実現される。最後に工程12として、レジスト180を除去する(図17(m))。
本実施形態では、コア174の側面が直接断熱溝182に接していない場合、すなわち、コア174の幅はリッジ構造183の幅よりも小さい場合を示しているが、無論、コア174の側面が断熱溝182に露出していても問題はなく、同じ効果が得られる。
このように作製した熱光学位相変調器をMZI回路に適用して光スイッチを作製し、電
力、消費電力の評価を実施した。その結果、消費電力は約9mWとなり、従来の消費電力を大きく下回った。また本構造としたことによる過剰損失は、0.1dB以下であり、測定の誤差以内でありほとんど過剰損失が生じなかった。応答時間(ここでは光強度が10%から90%に変化するのに要する時間とする)は、約7msecであった。
従来のブリッジ構造では、消費電力を下げられる一方、応答時間が劣化し、実用的な速度が得られないという問題があった。ブリッジ部の幅を狭めると、加熱体積が減少でき、無駄に加熱する箇所を減少できるため、応答時間の改善が可能である。
ここで、フィールド不整合による損失の低減効果について述べる。
従来からあるブリッジ型の熱光学位相変調器では、図18(a)に示したように、断熱溝がない場合のモードフィールドの全幅Weよりも導波路部分の幅を狭めると、図18(b)に示すように、支柱27となる柱があるところと、ないところとでは伝播するモードフィールドが異なるため該箇所を通過する際、フィールド不整合による損失が非常に大きくなってしまう問題がある。なお、図18(a)において、導波路部分181は、上述した図2の構成の導波路部分24の幅よりも小さい幅を有する導波路部分である。
図18(b)は、従来からあるブリッジ型熱光学位相変調器において、支柱27があるところと、ないところとのモードフィールの基板平面方向強度を導波路上に模式的に示した図である。支柱27のないところでは、モードフィールドの幅は狭いが、支柱27部分ではモードフィールドが広がる。そのため、従来からある構造にて、断熱溝26によって区切られる箇所の横幅を狭くすると、これらのモードフィールド不整合により、支柱箇所を通過するたびに、損失が増大する結果となってしまう。
そこで、本実施形態のように、Siなどからなる基板に等方工ッチングを実施するための溝(エッチング窓)と、断熱溝とを分離することで上記の問題を解決することができる。本実施形態の構造では、支柱はコア側面の高さにはない。つまりコアよりも下部(基板に近い側)にて導波路部分(図16(a)および(b)では、リッジ構造64)を支えている。そのため、図19に模式的に示したように、断熱溝193によって区切られる区画のコア側面は常に一定の幅を有し、すなわち、断熱溝193によって形成されるリッジ構造191の、コア192の底部(基板側)よりも上部の部分は一定の幅を有し、伝播する光のモードフィールを保つことができる。つまり、リッジ構造191において、光が伝搬する領域(コア)の側面には支柱194が形成されていないので、モードフィールドをほぼ一定に保つことができるのである。
本実施形態では、断熱溝によって形成されるリッジ構造191と、該リッジ構造に接続される埋め込み導波路との整合を取るために、リッジ構造191の両端にテーパー形状のリッジ構造さえ設けておけばよく、支柱の有無によるモードフィールドの大きさに違いが生じず、損失の増加がほとんどない。しかも、基板除去工程は、従来と同じように実施することが可能である。
以上に述べたように、本実施形態のように、導波路部分(リッジ構造)のコアの側面部には支柱を設けず、基板側のみに支柱を設け、導波路部分を支えることで、断熱溝によって区切られる箇所(導波路部分)の幅を狭くして、消費電力を下げても、伝播損失の増加を抑えることが可能となる。
さらに本実施形態の構造では、従来構造で問題となっていた機械的強度に対しても効果が得られる。
従来構造のブリッジ構造では、図20(a)のように、コア内のモードフィールドの裾が断熱溝201内に出ない程度にコア202をクラッド203で覆って導波路部分204を形成している。その状態で理想的なSi等方エッチング(ここで理想的とは、深さ方向のエッチングスピードと、基板水平方向へのエッチングスピードとが等しい場合を指す)を断熱溝201の底面から基板205に実施して、両断熱溝201間のSiを除去することで、導波路部分204の両側から形成された基板除去部206をつなげるには、少なくとも図20(a)に示したように、断熱溝201によって区切られる幅(導波路部分204の幅)W1の半分の深さW1/2のSi等方エッチング量が必要となる。例えば、断熱溝201によって区切られる幅が30μmあった場合は、深さ15μm以上のSi等方エッチングが必要となる。そのため、従来構造では多くのSiを除去する結果に至る。Siからなる基板205の除去は、その上方にあるガラスの応力を開放するため、ガラス部が破損しやすくなる。
ところが本実施形態の構造では、図20(b)に示したように、断熱溝207によって区切られて形成される、コア208を含む導波路部分209の幅が狭い。つまり、Si等方エッチングにより両断熱溝207を、Si等からなる基板210を除去し、導波路部分209の両側から、形成された基板除去部211をつなげるには、少なくとも導波路部分209の幅W2の半分だけのエッチングでよい。本実施形態の場合、Si等方エッチング窓のヒータを挟んだ距離は8μmとした。それらをSi等方エッチングによりつなげるには、理想的な場合、わずか4μmのSi等方エッチングを実施すればよい。結果として、Siの除去体積は減少でき、応力の影響を少なく抑制することが可能となり、機械的強度を増す結果となる。無論、Si等方エッチングの時間の短縮も可能となり、スループット向上という効果もある。
(第4の実施形態)
本実施形態では、コアより下部にて、導波路部分を支える支柱を設けたブリッジ型熱光学位相変調器における、加工精度による熱流制御の高度化の効果について述べる。
従来からあるブリッジ構造では、熱の逃げ道としては支柱があげられ、該支柱の間隔、加工精度により大きく消費電力が左右される。支柱幅は、エッチング時のパターンシフトの制御等を管理し実施しないといけないため、非常に制御が困難であった。つまり、熱の流れも加工精度に応じて変動し、制御が困難であった。また、消費電力、応答時間の調整方去として、基板またはクラッドの一部を残すことでそれらを制御することが試みられてきた。しかしこれらも、基板水平方向への加工が必要であり、非常に制御が難しく、再現性に欠けるという問題があった。
しかしながら、本実施形態の構造では、支柱の加工は、厚さ方向の加工により実施する。図17にて説明した工程7がそれにあたる。通常、エッチング加工を行う際、厚さ方向の加工は、半導体産業で広く用いられている、優れた厚さモニターにより、高精度に行うことができ、また、厚さの制御も高精度に行うことができる。仮想的に従来構造での支柱を横に倒した形状とし、その加工を基板垂直方向への加工に置き換えることで精度よく加工を実施し、熱の流れの高度制御を可能とするものである。つまり、加工精度良く作製できることで、ウエハーバッチ間の違いを低減し、またウエハー内でも面内均一性をより高める効果がある。
図21は、本実施形態に係る、コアより下部にて、導波郎部分(リッジ構造)を支える支柱を設けたブリッジ型熱光学位相変調器を示している。図21(a)は上面図であり、図21(b)は図21(a)の破線により区画された箇所に対して3次元熱解析シミュレーションを実施した結果の一例を示している。図21(a)において、ヒータ66によって加熱される箇所は周期的な構造を有しているため、一周期において、ヒータ66より熱がどのように伝わり、コアの温度が何度上昇するかをシミュレーションすれば十分であり、熱光学位相変調器としての性能を計算することができる。
ここでは、厚さ方向の高度加工により、消費電力と応答時間を高度に制御できるということを示す。図22は、図21(b)の立体構造を横方向から眺めた図であり、図23は、その時の消費電力と応答時間を計算により求めた結果を示している。ここで図23の横軸は、図22に示される支柱の基板垂直方向の幅(厚さ)d1を示している。
図23において、支柱厚さが、10μmの場合(第3の実施形態で実際に作製したものに相当する)、消費電力は、9mWであり、応答時間は17msecとなった。消費電力は、第3の実施形態で実際に作製したデバイスの値と同じ値となった。一方、応答時間に関しては、実際のデバイスよりも長く見積もられている。これは、計算上では空気への熱伝導は行わない完全断熱系という境界条件を与えているためである。ここに示した応答時間は定量的には実デバイスとずれが生じるが、定性的には効果は得られる。図に示すように支柱の厚さを薄くすることで、さらに消費電力が下げられることがわかる。この時、応答時間は劣化する結果となる。逆に、この厚さを厚くすると消費電力は大きくなるが応答時間は短くすることができる。
これを従来方法で実施するには、Si等からなる基板を除去する際、一部を残す、または、支柱の幅を高精度に制御しないといけない。これらはいずれも、基板水平方向の加工であり、制御が非常に困難であり、実質制御しきれないというのが問題点であった。しかし、本実施形態によれば、基板垂直方向(厚さ方向)の加工に対して高精度の加工が可能であり、これらの高精度の熱流の制御を可能とし、所望の消費電力と応答時間との熱光学位相変調器を再現性よく作製することが可能である。
(a)は、従来の、リッジ構造熱光学位相変調器の鳥瞰図であり、(b)は、(a)の、A−A’線切断断面図である。 従来の、ブリッジ構造熱光学位相変調器の鳥瞰図である。 従来の、リッジ構造熱光学位相変調器の挿入損失とリッジ幅との関係を示す図である。 (a)〜(c)は、リッジ構造のリッジ幅と伝搬モードフィールドとの関係を示す図である。 従来の、幅が細いヒータ材料と金属配線とを接続する様子を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る熱光学位相変調器を示す鳥瞰図であり、(b)は、(a)の、B−B’線切断断面図である。 本発明の一実施形態係る熱光学位相変調器を用いた1×2光スイッチの構成図である。 本発明の一実施形態に係る、リッジ構造の熱光学位相変調器において断熱的にモードフィールドが変換される様子の模式図である。 本発明の一実施形態に係る、リッジ構造の熱光学位相変調器の挿入損失とリッジ幅との関係を示す図である。 (a)〜(e)は、本発明の一実施形態に係る、断熱溝の形状を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るテーパー形状のリッジ構造の上面を示す図であり、(b)は、(a)の、C−C’線切断断面図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るテーパー形状のリッジ構造の上面を示す図であり、(b)は、(a)の、D−D’線切断断面図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る、配線形状を示す上面図であり、(b)は、(a)の、テーパー形状のリッジ構造の拡大図である。 (a)〜(d)は、本発明の一実施形態2かかる、配線形状を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る、テーパー形状のリッジ構造のテーパー角と、接続配線のテーパー部のテーパー角とがほぼ同じである様子を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る、ブリッジ型熱光学位相変調器の上面図であり、(b)は、(a)の鳥瞰図である。 (a)〜(m)は、本発明の一実施形態に係る、熱光学位相変調器の作製方法を示す図である。 (a)は、従来からあるブリッジ型熱光学位相変調器の導波路部分の幅を狭めた構成を示す図であり、(b)は、支柱によるモードフィールドの不整合を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る、導波路部分を通過する光のモードフィールドがほぼ一定に保つ様子を示す図である。 (a)は、従来のブリッジ構造において基板除去する量を示す図であり、(b)は、本発明の一実施形態に係るブリッジ構造において基板除去する量を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る、熱光学位相変調器の上面図であり、(b)は(a)の破線により区画された箇所に対して3次元熱解析シミュレーションを実施した結果の一例を示す図である。 図21(b)の立体構造を横方向から眺めた図である。 本発明の一実施形態に係る、熱光学位相変調器における、支柱の厚さと、消費電力および応答時間との関係を示す図である。
符号の説明
61 基板
62 クラッド
63 コア
64 リッジ構造
64A 直線形状のリッジ構造
64B テーパー形状のリッジ構造
65 断熱溝
66 ヒータ
67 接続配線
67A テーパー部

Claims (7)

  1. 基板上に堆積された下層クラッドと、
    該下層クラッド上に形成された、前記下層クラッドよりも高い屈折率を有するコアと、
    前記コアの前記下層クラッドと接する面以外の面を覆うように形成された、前記コアよりも低い屈折率を有する上層クラッドと、
    前記コアに熱を加えるように前記上層クラッド上に形成されたヒータと、
    少なくとも前記上層クラッドを除去して形成された断熱溝であって、それぞれの端を含む領域における、前記コア側の第1の縁の方向が、前記コアの長手方向に対して、該第1の縁の端に向かって、前記コアとは反対側に第1の角度を成す方向である断熱溝と、
    前記断熱溝の2つを、前記コアを挟むようにして形成することにより形成されるリッジ構造であって、該リッジ構造を形成する第1の断熱溝と第2の断熱溝との間の最も近い距離は、断熱溝が形成されない場合のコアの導波モード基本モード幅よりも小さく、前記第1の縁によって形成された領域は、前記第1の縁の端に近づくにつれて幅が徐々に大きくなるリッジ構造と
    を備え、
    前記リッジ構造の幅が徐々に大きくなる領域は、断熱溝が形成されていない領域の埋め込み型導波路から前記リッジ構造部分の導波路へモードフィールドを断熱的に変換するように形成されていることを特徴とする熱光学位相変調器。
  2. 前記断熱溝の最深部が、前記基板表面まで達せず、前記下層クラッドの一部が残っており、
    前記断熱溝の底面に形成された、少なくとも1つ以上の前記基板除去用の窓と、前記基板除去用の窓から前記基板に対してエッチングして形成された基板除去部とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の熱光学位相変調器。
  3. 前記コアの側面の少なくとも一部が前記断熱溝に接していることを特徴とする請求項1または2記載の熱光学位相変調器。
  4. 前記ヒータと接続される端部から遠ざかるに従って、前記コアに対して第2の角度でその幅が徐々に広くなるテーパー部分を有する配線であって、前記第2の角度は、前記第1の角度とほぼ等しいか、または小さい角度である配線と
    をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱光学位相変調器。
  5. 前記断熱溝は、前記第1の縁が直線または曲線であり、前記第1の縁の間に形成される第2の縁が前記コアと略平行に直線である形状、前記第1の縁の間に形成される第2の縁が曲線である形状、一方の端を含む領域に形成された第1の縁と他方の端を含む領域に形成された第1の縁とが直接連結した形状、前記第1の縁が直線または曲線であり、前記第1の縁の間に形成される第2の縁が前記コアと略平行に直線であり、その幅が長手方向に沿ってほぼ一定である形状のいずれか1つであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱光学位相変調器。
  6. 下層クラッドと、該下層クラッド上に形成された、前記下層クラッドよりも高い屈折率を有するコアと、前記コアの前記下層クラッドと接する面以外の面を覆うように形成された、前記コアよりも低い屈折率を有する上層クラッドと、前記コアに熱を加えるように前記上層クラッド上に形成されたヒータとを有する基板を用意する用意工程と、
    前記基板の少なくとも一部を除去するためのエッチングの窓となるパターンをエッチングすることによって、前記上層クラッド上に窓を形成する窓形成工程と、
    前記窓の段差を包括する領域に少なくとも前記上層クラッドを除去して形成された断熱溝であって、それぞれの端を含む領域における、前記コア側の第1の縁の方向が、前記コアの長手方向に対して、該第1の縁の端に向かって、前記コアとは反対側に第1の角度を成す方向であり、前記コアを挟むようにして2つの断熱溝を形成することによりリッジ構造を形成し、該リッジ構造を形成する第1の断熱溝と第2の断熱溝との間の最も近い距離は、断熱溝が形成されない場合のコアの導波モード基本モード幅よりも小さくなるように形成され、前記リッジ構造の幅が徐々に大きくなる領域は、断熱溝が形成されていない領域の埋め込み型導波路から前記リッジ構造部分の導波路へモードフィールドを断熱的に変換するように断熱溝を形成する断熱溝形成工程と、
    前記断熱溝形成工程により、前記窓の底面が前記基板に少なくとも達した時点で前記断熱溝の形成を終了する終了工程と、
    前記底面が前記基板に達した前記窓より、前記基板の少なくとも一部を除去する除去工程と
    を有することを特徴とする熱光学位相変調器の製造方法。
  7. 前記断熱溝形成工程では、前記熱光学位相変調器における所望の消費電力または応答時間のいずれか一方に応じて、前記断熱溝の底面と前記基板との間の前記下層クラッドの厚さを調節することを特徴とする請求項6記載の熱光学位相変調器の製造方法。
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