WO2023234111A1 - 光学素子および光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子および光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

低い製造コストであり、低損失の光学素子の提供。基板(1)上にコア(2)ならびにアンダークラッド(4)およびオーバークラッド(3)からなるクラッドを有する光学素子(100)であって、コア(2)は、少なくとも先端領域(31)に膜構造(21)を含み、膜構造(21)の先端部(P1)から長さ方向に離れた内部に細線構造(22)を含み、膜構造(21)と細線構造(22)が厚さ方向に隣接して重なる積層領域(32)を有し、膜構造(21)の先端部(P1)における幅(W1)が、細線構造(22)の積層領域(32)における幅よりも広く、コア(2)に含まれる膜構造(21)および細線構造(22)は屈折率が実質的に同じ材料である、光学素子(100);光学素子(100)の製造方法。

Description

光学素子および光学素子の製造方法
 本発明は、光学素子および光学素子の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、シリコン導波路等と光ファイバ等とを低損失に結合可能な光学素子に関するものである。
 光デバイスの集積化技術において、シリコンをコア材料として用いるシリコンフォトニクスがある。シリコンは高い屈折率を持つため導波路内への光の閉じ込めが強く、小さな曲げ半径を実現できるため、光集積回路などへの応用が期待されている。一方で、強い光の閉じ込めによってシングルモードのスポットサイズが小さくなるため、シングルモード光ファイバとの結合時にモードサイズの違いにより大きな損失が生じる。この損失を低減させるため、スポットサイズ変換器を用いることで光ファイバとのモードサイズの不一致を解消することで結合損失を低減している。
 スポットサイズ変換器において結合損失をするための工夫が数多く示されてきた。例えば、特許文献1には、基板上にコアおよびクラッドを有する光導波路において、コアの先端部の幅および厚さの双方が、コアの先端に向かってテーパー状に縮小している光導波路が記載されている。また、特許文献1には従来技術として、コアの先端部の幅および厚さの一方のみを変化させていく方法も記載されている。
 特許文献2には、半導体基板上に形成された光導波層が光の伝搬方向に沿ってその大きさを徐々に変化させた構造を有する光結合デバイスにおいて、光導波層の上に、光の伝搬方向に沿ってその大きさを徐々に変化させた第2の光導波層を有し、かつ第2の光導波層の光の伝搬方向の長さが、光導波層の長さよりも短く形成されている、光結合デバイスが記載されている。なお、特許文献2の図面には、光導波層(膜構造)の上に第2の光導波層(細線構造)が積層された積層領域では膜構造の幅は細線構造の幅より広いが、膜構造のみの先端領域における膜構造の幅は細線構造の幅より狭い(図5)または同じ(図7)態様のみが開示されている。
 特許文献3には、下部コア層と、前記下部コア層より屈折率が大きい上部コア層と、を含む複数層が積層される多層構造が、n型半導体基板上に形成され、多層構造は、光遷移領域において、光の出射方向に沿って前記上部コア層の幅が徐々に小さくなり、下部コア層の幅が徐々に大きくなっており、一方の端面より入射される光が、上部コア層を伝搬し、光遷移領域において光が上部コア層から前記下部コア層へ遷移し、さらに、下部コア層を伝搬して、他方の端面より出射する、スポットサイズ変換器であって、光遷移領域において、多層構造の両側と上側が、半絶縁性半導体層によって埋め込まれている、スポットサイズ変換器が記載されている。
特開2000-137129号公報 特開平06-174982号公報 特開2013-004688号公報
 特許文献1に記載のスポットサイズ変換器の構造では、コアの先端部の微小な断面を研磨する必要があり、断面の精度が低くなってしまうことに起因して結合損失が大きくなる問題があった。また、特許文献1に記載のスポットサイズ変換器は、段差形成工程とその段差に薄膜を堆積させることで滑らかな傾斜を形成して高さ方向のテーパー構造を形成する工程が必要であったため、従来のスポットサイズ変換器よりも製造プロセスが多くなり、量産には適していなかった。
 特許文献2に記載のスポットサイズ変換器は、本発明者らが検討したところ、膜構造のみの先端領域における膜構造の幅は細線構造の幅より狭いまたは同じことに起因して、導波路を通る光波の損失(伝搬損失)および導波路端面への光入力の損失(結合損失)が大きいものであった。
 特許文献3に記載のスポットサイズ変換器は、レーザ光の遠視野像(FFP)を狭くするために下部コア層より屈折率が大きい上部コア層を含む複数層からなるコア層を用いる構成であるが、本発明者らが検討したところ、膜構造(下部コア層)から細線構造(上部コア層)への光挿入損失(変換部)が大きいものであった。
 本発明が解決しようとする課題は、低い製造コストであり、低損失の光学素子を提供することである。
 本発明では、光ファイバと結合するコアの先端部は膜構造を有しており、先端部から長さ方向に離れた領域に膜構造のコアと細線構造のコアが積層された単純な構造を有しており、膜構造のコアと細線構造のコアとして屈折率を実質的に同じとすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
 上記課題を解決するための具体的な手段である本発明の構成と、本発明の好ましい構成を以下に記載する。
[1] 基板上にコアならびにアンダークラッドおよびオーバークラッドからなるクラッドを有する光学素子であって、
 コアは、少なくとも先端領域に膜構造を含み、膜構造の先端部から長さ方向に離れた内部に細線構造を含み、
 膜構造と細線構造が厚さ方向に隣接して重なる積層領域を有し、
 膜構造の先端部における幅W1が、細線構造の積層領域における幅よりも広く、
 コアに含まれる膜構造および細線構造は屈折率が実質的に同じ材料である、光学素子。
[2] 細線構造の幅が、長さ方向の内部に向かって逆テーパー状に拡大する、[1]に記載の光学素子。
[3] 膜構造の先端部の幅W1が、細線構造の逆テーパー終端部の幅W3よりも広い、[1]又は[2]に記載の光学素子。
[4] 細線構造の逆テーパー終端部から長さ方向に離れた内部において、膜構造の幅が、細線構造の逆テーパー終端部の幅W3と一致するように狭まる、[2]又は[3]に記載の光学素子。
[5] 膜構造の厚さT1が、細線構造の厚さと膜構造の厚さの合計T2の半分よりも薄い、[1]~[4]のいずれかに記載の光学素子。
[6] 膜構造の厚さT1が、細線構造の厚さの半分よりも薄い、[1]~[5]のいずれかに記載の光学素子。
[7] 膜構造の先端領域における幅方向の変動が±20%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の光学素子。
[8] 膜構造の厚さ方向の変動が±20%以下であり、
 細線構造の厚さ方向の変動が±20%以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の光学素子。
[9] コアがシリコンで形成され、クラッドが屈折率2.0以下の材料で形成され、コアの長さ方向および厚み方向がクラッドで覆われた、[1]~[8]のいずれかに記載の光学素子。
[10] シリコン光導波路と光ファイバとの結合器、または、シリコン光導波路と窒化ケイ素光導波路との結合器である、[1]~[9]のいずれかに記載の光学素子。
[11] 基板上にクラッドのうちアンダークラッドを設ける工程と、
 アンダークラッドの上にコア前駆体を設ける工程と、
 コア前駆体に対して、先端領域の先端部から長さ方向に離れた内部をマスクして、厚さ方向の所定の深さまでエッチングしてコアの細線構造を形成する第1エッチング工程と、
 少なくとも先端領域の先端部におけるコア前駆体の幅方向を、細線構造の幅よりも広くなるように厚さ方向すべてまでエッチングして、コアの少なくとも先端領域に膜構造を形成する第2エッチング工程と、
 オーバークラッドを設けてクラッドを形成する工程を備える、光学素子の製造方法。
 本発明によれば、低い製造コストであり、低損失の光学素子を提供できる。
図1は、本発明の光学素子の一例を示した模式図である。 図2は、図1に示した光学素子のyz断面模式図である。 図3は、本発明の光学素子の製造方法の一例を示した模式図である。 図4は、図3に示した光学素子の製造方法のxy断面模式図である。 図5は、実施例1の光学素子の波長と結合損失の関係を示したグラフである。 図6は、比較例102の光学素子のxy断面模式図である。 図7は、実施例101の光学素子の伝搬距離と挿入損失の関係を示したグラフである。 図8は、比較例102の光学素子の伝搬距離と挿入損失の関係を示したグラフである。 図9は、実施例201、301、比較例202~204および302~304の光学素子のコアの模式図である。 図10(A)は、実施例201、301、比較例202~204および302~304の光学素子における、コアの膜構造の屈折率と挿入損失の関係を示したグラフである。図10(B)は、図10(A)の破線で囲った部分を拡大したグラフである。 図11は、実施例1および実施例401~407の光学素子における、膜構造の先端部における幅W1と挿入損失の関係を示したグラフである。 図12は、実施例1および実施例501~503の光学素子における、コアの膜構造の厚さT1と挿入損失の関係を示したグラフである。
 以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[光学素子]
 本発明の光学素子は、基板上にコアならびにアンダークラッドおよびオーバークラッドからなるクラッドを有する光学素子であって、コアは、少なくとも先端領域に膜構造を含み、膜構造の先端部から長さ方向に離れた内部に細線構造を含み、膜構造と細線構造が厚さ方向に隣接して重なる積層領域を有し、膜構造の先端部における幅W1が、細線構造の積層領域における幅よりも広く、コアに含まれる膜構造および細線構造は屈折率が実質的に同じ材料である。
 この構成により、本発明の光学素子は、低い製造コストであり、低損失の光学素子である。本発明では、薄膜化した光導波路コアである膜構造と、光導波路コアである細線構造を隣接して重なる単純な構成を備えることにより、標準的な半導体製造プロセスで、かつ少ない製造プロセスによって、高効率の光ファイバ結合を可能にする光学素子の製造が可能になる。光導波路コアの先端部を膜構造とすることによりスポットサイズが拡大され、シングルモード光ファイバとの結合損失を低減できる。また、薄膜導波路となった膜構造のコアに、細線構造の導波路となるコアを隣接させることにより、伝搬光は膜構造から細線構造へと結合され、さらには必要に応じて外部のシリコン光導波路などと結合できる。
 以下、本発明の好ましい態様を説明する。
<光学素子の全体構造>
 本発明の光学素子の全体構造を図面に基づいて説明するが、本発明の光学素子は図面によって限定的に解釈されるものではない。図1は、本発明の光学素子の一例を示した模式図である。図2は、図1に示した光学素子のyz断面模式図である。
 図1に示した本発明の光学素子の一例では、基板1上に、コア2、ならびにアンダークラッド4およびオーバークラッド3からなるクラッドを有する。コア2は、光ファイバと結合する側に相当する先端領域31の先端部が膜構造21を有し、膜構造の先端部P1から長さ方向に(距離L1だけ)離れた内部に細線構造22を含み、膜構造21と細線構造22が厚さ方向に隣接して重なる積層領域32を有する。先端領域31は、光学素子の長さ方向(z軸方向)において、膜構造21が存在し、細線構造22が存在しない領域(xz平面への射影)を意味する。
 なお、本明細書の図1およびその他の図において、x軸方向が光学素子の幅方向に相当し、y軸方向が光学素子の厚み方向に相当し、z軸方向が光学素子の長さ方向に相当する。
 図1では細線構造22は端部(先端部側の端部)から内部側に向かって、幅方向に広がる逆テーパー構造を有しているが、本発明の光学素子は逆テーパー構造を有していなくてもよい。逆テーパー構造の詳細を図2に基づいて説明する。図2では、細線構造22は、膜構造の先端部P1から、L1離れた位置に、細線構造の端部P2を有する。そして、細線構造の端部P2から、細線構造の逆テーパー終端部P3まで、幅方向のテーパー構造を有しており、徐々に幅が広くなっている。図2では、細線構造の端部P2から細線構造の逆テーパー終端部までの距離L2は、積層領域32の長さ方向(z軸方向)の一部までとなっており、それよりも長さ方向の内部において、細線構造22の幅は、細線構造の逆テーパー終端部の幅W3と一致する。
<基板>
 本発明の光学素子において、基板は特に制限はない。基板として、公知の基板を用いることができる。例えば、シリコン(Si)基板を用いることができる。シリコン基板の屈折率nは3.5である。
<クラッド>
 本発明の光学素子において、クラッドは、アンダークラッドおよびオーバークラッドからなる。便宜上、製造時にコアの下部を覆うものをアンダークラッド、コアの上部を覆うものをオーバークラッドと呼んで区別しているが、両者は一体化していてもよく、使用態様においてアンダークラッドおよびオーバークラッドの上下が逆であってもよい。
 クラッドは、コアの屈折率にあわせて適した材料を用いて形成することができる。クラッドの屈折率とコアの屈折率との差が1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることが好ましい。クラッドの屈折率とコアの屈折率との差の上限値は特に制限はないが、例えば3.0以下、2.5以下とすることができる。
 本発明では、クラッドが屈折率2.0以下の材料で形成されることが好ましく、屈折率1.0~2.0の材料で形成されることがより好ましく、屈折率1.1~1.5の材料で形成されることが特に好ましい。
 アンダークラッドおよびオーバークラッドの屈折率は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。アンダークラッドの屈折率とオーバークラッドの屈折率との差は、0.5以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.05以下であることが特に好ましい。
 アンダークラッドとして、例えば、SiO(屈折率n=1.45)、ポリメタクリル酸メチル(n=1.49)などの高分子化合物を用いることができ、製造コストおよび表面の平面性の観点からSiOを用いることが好ましい。オーバークラッドとして、例えば、SiO(屈折率n=1.45)、ポリメタクリル酸メチル(n=1.49)などの高分子化合物を用いることができ、製造コストの観点からポリメタクリル酸メチルなどの高分子化合物を用いることが好ましい。
 アンダークラッドおよびオーバークラッドの厚さは特に制限はない。アンダークラッドおよびオーバークラッドの厚さは、例えば1~10μmとすることができ、2~5μmであることが好ましい。
<コア>
 本発明では、コアは、少なくとも先端領域に膜構造を含み、膜構造の先端部から長さ方向に離れた内部に細線構造を含み、膜構造と細線構造が厚さ方向に隣接して重なる積層領域を有し、膜構造の先端部における幅W1が細線構造の積層領域における幅よりも広く、コアに含まれる膜構造および細線構造は屈折率が実質的に同じ材料である。
 コアに含まれる膜構造および細線構造は屈折率が実質的に同じ材料である。ここで、膜構造および細線構造の屈折率が実質的に同じ材料とは、膜構造および細線構造の組成が同じ(例えば、両者ともシリコン)である場合と、膜構造および細線構造の屈折率差が0.05以内である場合を共に含む。膜構造および細線構造の組成が同じ(例えば、両者ともシリコン)であれば、屈折率を測定しなくても、屈折率が実質的に同じ材料としてよい。また、膜構造および細線構造の屈折率差が0.05以内である場合は、膜構造および細線構造の組成によらず、屈折率が実質的に同じ材料としてよい。
 膜構造および細線構造の屈折率差は0.03以内であることが好ましく、0.02以内であることがより好ましく、0.01以内であることが特に好ましい。
 本発明の光学素子の好ましい態様の一例は、コアの膜構造および細線構造が同一の材料で形成されている態様である。また、本発明の光学素子の好ましい態様の他の一例は、コアの膜構造および細線構造の屈折率が実質的に同じであり、膜構造と細線構造部が異なる材料で形成されている態様である。
 コアの材料として、シリコン(Si)などを用いることができる。シリコンの屈折率nは約3.5である。コアの屈折率は、低損失の観点から、2.0以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、3.3以上であることが特に好ましい。
 本発明では、コアがシリコンで形成され、コアの長さ方向および厚み方向がクラッドで覆われた態様が特に好ましい。
(膜構造)
 本発明では、コアは、膜構造を少なくとも先端領域と積層領域に含む。膜構造は、先端領域と積層領域よりも、光学素子の長さ方向の内部まで延在していることが好ましい。ただし、積層領域では膜構造から細線構造の方にモードは閉じ込められるため、積層領域よりも内部では膜構造が存在しなくてもよい。
 膜構造は、先端部において光ファイバなどの他の光学部材と接続されて、光学的に結合できる。膜構造は、そもそも伝搬損失が非常に少ない点が優れる。なお、薄膜であっても、クラッドで周囲を覆うことによって、光が上下に広がりながら伝搬され、シングルモードとあわせることができる。特に、コアの材料としてシリコンのような高屈折率の材料を用いる場合、50nm程度の薄い膜構造をクラッドで周囲を覆うことによってシングルモードとあわせることが好ましい。コアの材料として屈折率が2.0程度の低屈折率の材料を用いる場合、80~100nmの膜構造をクラッドで周囲を覆うことによってシングルモードとあわせることが好ましい。さらに、本発明では、膜構造の先端部における幅W1が、細線構造の積層領域における幅よりも広く、(細線構造の端部ではなく、)広幅な膜構造の先端部のみが光ファイバなどの他の光学部材と結合するため、結合損失が少ない。
 膜構造の先端部における幅W1は、光ファイバなどの他の光学部材のサイズに応じて変更できる。本発明では、膜構造の先端部が、シングルモードの光ファイバと接続されることが好ましい。ここで、シングルモードの光ファイバの直径は8~10μm、例えば9μm程度である。膜構造の先端部における幅W1は、1~10μmであることが好ましく、2~10μmであることがより好ましく、3~5μmであることが特に好ましい。
 本発明では、膜構造の先端領域における幅方向の変動が±20%以下であることが、製造工程を簡易とし、かつ簡易な構造で低損失とする観点から好ましく、±5%以下であることがより好ましく、±3%以下であることが特に好ましい。すなわち、先端領域では、膜構造が幅方向においてテーパー状にも逆テーパー状にもなっていないことが好ましい。ここで、本明細書中、ある部材の特定方向の長さの変動とは、その部材の特定方向の長さの最大値または最小値を、平均値で割った値の100分率を意味する。
 本発明では、膜構造の先端部の幅W1が、細線構造の逆テーパー終端部の幅W3よりも広いことが、製造工程を簡易とし、かつ簡易な構造で低損失とする観点から好ましい。
 本発明の好ましい態様の一例では、細線構造の逆テーパー終端部から長さ方向に離れた内部において、膜構造の幅が、細線構造の逆テーパー終端部の幅W3と一致するように狭まることが、低損失化の観点、特にコアの先端部とは反対側においてシリコン光導波路などと結合する場合のシリコン光導波路側の結合損失を小さくする観点から好ましい。この場合、膜構造の幅が、細線構造の逆テーパー終端部の幅W3と一致するようにテーパー状に徐々に狭まることが、微小な反射を減らしてモードを乱さないようにする観点から好ましい。
 本発明では、膜構造の厚さT1が、細線構造の厚さと膜構造の厚さの合計T2の半分よりも薄いことが、低損失化の観点から好ましい。さらに本発明では、膜構造の厚さT1が、細線構造の厚さの半分よりも薄いことが、さらなる低損失化の観点からより好ましい(後述の実施例201と301の比較を参照)。
 膜構造の厚さT1は、10~400nmであることが好ましく、30~200nmであることがより好ましく、コアの材料として高屈折率の材料を用いる場合は30~60nmであることが特に好ましく、35~55nmであることがより特に好ましい。
 本発明では、膜構造の厚さ方向の変動が±20%以下であることが、製造工程を簡易とし、かつ簡易な構造で低損失とする観点から好ましく、±5%以下であることがより好ましく、±3%以下であることが特に好ましい。すなわち、膜構造が厚さ方向においてテーパー状にも逆テーパー状にもなっていないことが好ましい。
(細線構造)
 本発明では、コアは、膜構造の先端部から長さ方向に離れた内部に細線構造を含む。本発明では、細線構造の端部は、光ファイバなどの他の光学部材と結合しないため、従来は断面の研磨が必要であった細線構造の端部の精度による損失の影響がない。膜構造と細線構造が厚さ方向に隣接して重なる積層領域では、膜構造から細線構造の方にモードは閉じ込められることとなる。
 本発明では、細線構造は、積層領域よりも、光学素子の長さ方向の内部まで延在していることが好ましい。
 膜構造の先端部から細線構造の端部までの距離L1は特に制限はなく、わずかでも膜構造の先端部から長さ方向に離れた内部に細線構造を含んでいればよい。例えば、膜構造の先端部から細線構造の端部までの距離L1は、1nm~1mmとすることができ、マスクを介したエッチング精度の観点から20nm~500μmであることが好ましく、10μm~300μmであることがより好ましい。
 本発明では、細線構造の幅が、長さ方向の内部に向かって逆テーパー状に拡大することが、低損失化の観点から好ましい。このような構造とすることにより、細線構造への光閉じ込めを強くでき、積層領域でシングルモードを維持しやすく(マルチモードになりにくく)することができる。
 細線構造の端部の幅W2は、10~1000nmであることが好ましく、50~300nmであることがより好ましく、80~150nmであることが特に好ましい。
 細線構造の逆テーパー終端部の幅W3は、100~3000nmであることが好ましく、300~2000nmであることがより好ましく、400~700nmであることが特に好ましい。
 細線構造の端部から細線構造の逆テーパー終端部までの距離L2は特に制限はなく、光のモードのサイズを変えながら、スムーズに光を伝えられる長さ以上であればよい。また、細線構造が逆テーパー状に拡大する場合は、その細線構造が逆テーパー状に拡大する度合い(W3-W2)/L2に応じて適宜設計することができる。例えば、細線構造の端部から細線構造の逆テーパー終端部までの距離L2は、100nm~1mmとすることができ、1μm~500μmであることが好ましく、10μm~300μmであることがより好ましい。
 細線構造の厚さT3は特に制限はなく、例えば、50~500nmであることが好ましく、100~300nmであることがより好ましく、150~250nmであることが特に好ましい。
 本発明では、細線構造の厚さ方向の変動が±20%以下であることが、製造工程を簡易とし、かつ簡易な構造で低損失とする観点から好ましく、±5%以下であることがより好ましく、±3%以下であることが特に好ましい。すなわち、細線構造が厚さ方向においてテーパー状にも逆テーパー状にもなっていないことが好ましい。
(積層領域)
 本発明では、コアは、膜構造と細線構造が厚さ方向に隣接して重なる積層領域を有する。積層領域において、膜構造と細線構造は一体化されていてもよいが、別の部材として独立していてもよい。本発明では、後述する本発明の光学部材の製造方法によって膜構造と細線構造を第1エッチング工程および第2エッチング工程で一体化して形成されることが好ましい。
 積層領域におけるコアの厚さ、すなわち膜構造の厚さと細線構造の厚さの合計T2は特に制限はなく、例えば、60~900nmであることが好ましく、130~500nmであることがより好ましく、190~310nmであることが特に好ましい。
<光学素子の特性>
 本発明の光学素子は低損失である。
 本発明の光学素子は、光ファイバとの結合損失または挿入損失が1dB以下であることが好ましく、0.7dB以下であることがより好ましく、0.5dB以下であることが特に好ましい。結合損失または挿入損失は、例えば1.55μm波長帯において測定した値を採用できる。
 本発明の光学素子は、膜構造(薄膜導波路)へ光入射したときの先端部(端面)での反射損失が-30dB以下であることが好ましく、-35dB以下であることがより好ましく、-40dB以下であることが特に好ましい。
<光学素子の用途>
 本発明の光学素子の用途は、特に制限はない。本発明の光学素子は低損失であるため、損失が少ないことが求められる用途で用いられることが好ましい。特に本発明の光学素子は、光ファイバのモードと近いスポットサイズにできる。本発明の光学素子は、光ファイバから光が入る側の部材として用いてもよく、光ファイバから光が出る側の部材として用いてもよく、両方に使用できる。
 本発明の光学素子の用途は、例えば、光導波路、シリコン光導波路と光ファイバとの結合器、シリコン光導波路と窒化ケイ素光導波路との結合器、光ファイバと光ファイバとの結合器、電気信号と光信号を相互に変換する光トランシーバの部材、光スイッチ用部材などを挙げることができる。
[光学素子の製造方法]
 本発明の光学素子の製造方法は、基板上にクラッドのうちアンダークラッドを設ける工程と、アンダークラッドの上にコア前駆体を設ける工程と、コア前駆体に対して、先端領域の先端部から長さ方向に離れた内部をマスクして、厚さ方向の所定の深さまでエッチングしてコアの細線構造を形成する第1エッチング工程と、少なくとも先端領域の先端部におけるコア前駆体の幅方向を、細線構造の幅よりも広くなるように厚さ方向すべてまでエッチングして、コアの少なくとも先端領域に膜構造を形成する第2エッチング工程と、オーバークラッドを設けてクラッドを形成する工程を備える。
 この構成により、本発明の光学素子の製造方法は、標準的な半導体製造プロセスを用いたより簡潔な製造プロセスとなる。また、本発明の光学素子の製造方法によれば、コアに含まれる膜構造および細線構造は屈折率が実質的に同じ材料となる光学素子を製造できるため、カップリング損失を低減しやすい。
 本発明の光学素子の製造方法の概要を、図面を参照しながら説明するが、光学素子の製造方法は図面によって限定的に解釈されるものではない。図3は、本発明の光学素子の製造方法の一例を示した模式図である。図4は、図3に示した光学素子の製造方法のxy断面模式図である。
<アンダークラッドを設ける工程>
 アンダークラッドを設ける工程は特に制限はない。例えば、任意の基板に対して、化学気層堆積法やスパッタリング、スピンコートなどの塗布などを挙げることができる。所望の膜厚となるように制御することが好ましい。基板としては、一般的なシリコン基板の他、SOI(Silicon on Insulator)基板のようなシリコン薄膜を熱酸化膜付シリコン基板に貼り合わせた基板を用いてもよい。
<コア前駆体を設ける工程>
 コア前駆体を設ける工程は特に制限はない。例えば、化学気層堆積法やスパッタリングなどを挙げることができる。所望の膜厚となるように制御することが好ましい。
 コア前駆体は、先端部の端面をへき開することにより、結晶面を得ることが、端面の研磨を不要として、低製造コスト化および低損失化する観点から好ましい。先端部の端面をへき開する工程は、コア前駆体を設ける工程で行ってもよく、第2エッチング工程の後に行ってもよく、オーバークラッドを設けてクラッドを形成する工程の後で行ってもよい。オーバークラッドを設けてクラッドを形成する工程の後、特に光ファイバなど実装過程の直前にシリコン結晶方向に沿ってへき開切断を行うことが好ましい。先端部の端面を研磨することはより好ましいが、へき開切断のみで結晶面を得られるので、研磨の深さ調整は不要となる。シリコンの結晶軸をx軸方向にそろえて製造を行う場合、任意の工程の後に、L1の範囲で任意の場所でへき開切断することにより、光学素子の端面を形成できる。結晶面は、シリコンの結晶面(100)であることが好ましい。
<第1エッチング工程>
 第1エッチング工程では、図3(a)および図4(a)に示すように、コア前駆体に対して、先端領域の先端部から長さ方向に離れた内部をマスクして、厚さ方向の所定の深さまでエッチングしてコアの細線構造を形成する。
 第1エッチング工程では、逆テーパー構造を持つ細線構造を覆うようにマスクしてから、コア前駆体から逆テーパー構造を持つ細線構造をエッチングにより形成することが好ましい。マスクは公知の方法で製造することができ、例えばフォトリソグラフィなどで製造すれば高精度のマスクを製造できる。
 第1エッチング工程および第2エッチング工程のエッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよいが、ドライエッチングであることが好ましい。
 第1エッチング工程では、得られる膜構造の厚さとして所望する厚さ(厚さ方向の所定の深さ)だけ残るようにエッチングレートや時間を制御しながら、コア前駆体のマスクされていない部分をエッチングすることが好ましい。
<第2エッチング工程>
 第2エッチング工程では、図3(b)および図4(b)に示すように、少なくとも先端領域の先端部におけるコア前駆体の幅方向を、細線構造の幅よりも広くなるように厚さ方向すべてまでエッチングして、コアの少なくとも先端領域に膜構造を形成する。
 第2エッチング工程では、先端領域の全体にわたってコア前駆体の幅方向を、細線構造の幅よりも広くなるように厚さ方向すべてまでエッチングすることが好ましい。また、本発明の好ましい態様の一例では、先端領域および積層領域の全体にわたってコア前駆体の幅方向を、細線構造の幅よりも広くなるように厚さ方向すべてまでエッチングすることが好ましい。
 ただし、積層領域では、細線構造の逆テーパー終端部の幅において、コア前駆体の幅方向が、細線構造の幅と一致するように厚さ方向すべてまでエッチングしてもよい。
 第2エッチング工程のエッチング領域に相当する、膜構造の幅方向の両側のコア前駆体は、完全に除去することが好ましい。
 以上の第1エッチング工程および第2エッチング工程を行うことにより、コア前駆体から、コアの膜構造および細線構造が一体化して形成されることとなる。本発明では、膜構造および細線構造を同じ材料とすることができるため、エッチング停止層を用いないことが製造工程の簡易化の観点から好ましい。
 第2エッチング工程は、第1エッチング工程と同じ装置で行うことが好ましい。また、第2エッチング工程は、第1エッチング工程と同様のエッチングガスを用いて行うことが好ましい。これらの場合、第1エッチング工程の後、第2エッチング工程を行う前の位置決めが不要となる観点から好ましい。
<オーバークラッドを設けてクラッドを形成する工程>
 オーバークラッドを設けてクラッドを形成する工程は特に制限はない。例えば、化学気層堆積法やスパッタリング、スピンコートなどの塗布などを挙げることができる。膜構造および細線構造からなるために凹凸を有するコアを、隙間なく覆いやすい観点から、スピンコートなどの塗布を行うことが好ましい。所望の膜厚となるように制御することが好ましい。
 以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
 図1に記載の光学素子を、図3に記載の方法で製造し、実施例1の光学素子とした。
 シリコン(屈折率n=3.5)の基板上に、化学気層堆積法を用いてSiO(n=1.45)のアンダークラッドを成膜した。アンダークラッドの膜厚は3μmとした。なお、シリコンの基板の代わりに、SOI基板のようなシリコン薄膜を熱酸化膜付シリコン基板に貼り合わせた基板を用いてもよく、同程度の結果となる(データは省略)。
 さらにアンダークラッドの上に、化学気層堆積法を用いてシリコン(屈折率n=3.5)のコア前駆体を成膜した。コア前駆体の膜厚は200nmとした。
 図3(a)および図4(a)に示すように、コア前駆体に対して、先端領域の先端部から長さ方向にL1=200μm離れた内部をマスクして、第1エッチング工程のエッチング領域を厚さ方向の所定の深さまでエッチングして、逆テーパー構造を持つコアの細線構造を形成した。ここで、厚さ方向の所定の深さとして、コアの膜構造の厚さがT1=50nm残るように第1エッチング工程を行った。逆テーパー構造を持つコアの細線構造は、細線構造の端部から細線構造の逆テーパー終端部までの距離L2=100μm、細線構造の端部の幅W2=100nm、細線構造の逆テーパー終端部の幅W3=1μmと設計した。膜構造の厚さと細線構造の厚さの合計T2は、コア前駆体の膜厚と同様に200nmであった。
 次に、図3(b)および図4(b)に示すように、コア前駆体の幅方向を、細線構造の幅(W2=100nm)よりも広くなるように内部をマスクして、第2エッチング工程のエッチング領域を厚さ方向すべてまでエッチングして、コアの膜構造を形成した。膜構造の幅が長さ方向(z軸方向)において常に4μmとなるように直線的にエッチングしたため、膜構造の先端部の幅W1=4μmとなった。第2エッチング工程は、第1エッチング工程と同じ装置で同様のエッチングガスを用いて行えるため、第1エッチング工程の後の位置決めも不要であった。なお、第2エッチング工程では、第2エッチング工程のエッチング領域に相当する、膜構造の両側のコア前駆体は完全に除去した。
 最後にスピンコートによってポリメタクリル酸メチル(n=1.49)のオーバークラッドを、コアの膜構造および細線構造を覆うように設けた。なお、化学気層堆積法によりSiO(n=1.45)のオーバークラッドを設けてもよく、同程度の結果となる(データは省略)。その結果、アンダークラッドおよびオーバークラッドにより、クラッドが形成された。
 シリコンの結晶軸をx軸方向にそろえて上記の製造を行い、L1の範囲で任意の場所でへき開切断することで光学素子の端面を形成した。
 実施例1で形成された光学素子は、図1に示したとおり、基板(1)上にコア(2)ならびにアンダークラッド(4)およびオーバークラッド(3)からなるクラッドを有する。コア(2)は、光ファイバと結合する側に相当する先端領域の先端部が膜構造(21)を有し、膜構造の先端部(P1)から長さ方向に(L1=200μm)離れた内部に細線構造(22)を含み、膜構造(21)と細線構造(22)が厚さ方向に隣接して重なる積層領域(32)を有する。細線構造(22)は端部(先端部側の端部)から内部側に向かって、幅方向に広がる逆テーパー構造を有している。
 実施例1で形成された光学素子では、各パラメータの長さは以下のとおりであった。また、各長さの変動(最大値または最小値を平均値で割った値)は、いずれも±1%以下であった。
L1=200μm
L2=100μm
W1=4μm
W2=100nm
W3=500nm
T1=50nm
T2=200nm
T3=150nm
 膜構造の先端部の幅W1は、細線構造の端部の幅W2およびテーパー終端部の幅W3よりも広い(W1>W3>W2)、膜構造の厚さT1は、細線構造の厚さよりも薄く、膜構造の厚さと細線構造の厚さの合計T2の半分よりも薄い(T1<T2/2)構造を有している。
[実施例1の評価]
 実施例1の光学素子と光ファイバとの結合損失を、電磁解析ソフトウェア(品番:CST Studio Suite、Dassault System社製)を用いてシミュレーションにて計算した。
 結合損失の計算結果を図5に示した。図5は、実施例1の光学素子の波長と結合損失の関係を示したグラフである。
 図5より、実施例1の光学素子は1.55μm波長帯において結合損失0.41dBの高効率な結合を実現できることがわかった。
 また、上記のとおり、第2エッチング工程は、第1エッチング工程と同じ装置で同様のエッチングガスを用いて行えるため、第1エッチング工程の後の位置決めも不要であるなど、従来よりも簡易かつ安価な方法で実施例1の光学素子は製造できることがわかった。また、コアの膜構造の先端部は、へき開により結晶面を均一に出せるため、コアの膜構造の断面の研磨も不要であった。
 以上より、本発明によれば、低い製造コストであり、低損失の光学素子を提供できることがわかった。
[実施例101]
 膜構造の先端部における幅と細線構造の積層領域における幅との関係の影響を評価するために、以下の実施例101および比較例102の光学素子を製造し、両者を対比して評価した。
 膜構造の幅が長さ方向(z軸方向)において常に4μmとなるように直線的にエッチングした以外は実施例1と同様にして、実施例101の光学素子を製造した。なお、コアの膜構造の厚さT1=50nmである。
[比較例102]
 特開平06-174982号公報に記載の光結合デバイスの性能を確認する目的で、図6に記載の比較例102の光学素子を製造した。
 図6に記載の比較例102の光学素子では、第2エッチング工程のエッチング領域を実施例101とはマスクを変更することによって、比較例102の膜構造の先端部の幅W0=50nm(0.05μm)、比較例102の膜構造の厚さT0=50nmとした。ここで、特開平06-174982号公報によれば、図5、7および8に記載のW13(第1のコア層の先端部の幅)が50nmと記載されているが、T0の値の具体的な記載はなかった。そのため、比較例102の膜構造の厚さT0は、実施例101の光学素子のT1と同様に50nmとした。
 比較例102の光学素子では、幅W0=50nmの時のポットサイズ変換器のみの光結合の性能を示しており、細線構造は考慮していない。
[実施例101、比較例102の評価]
 実施例101および比較例102について、光学素子(導波路)を通る光波の損失(伝搬損失)および光学素子(導波路)端面への光入力の損失(結合損失)を、実施例1と同様の方法で評価した。実施例101で得られた結果を図7に、比較例102で得られた結果を図8に示した。
 図7の結果より、膜構造の先端部における幅W1(4μm)が、細線構造の積層領域における幅(W2=100nmからW3=1μm)よりも常に広い実施例101では、伝搬損失≒0.0001dB/mmであり、伝搬距離(Propagation length)が20mmの場合の結合損失=3.49dBであった。
 一方、図8の結果より、比較例102の膜構造の先端部における幅W0(50nm)が、細線構造の積層領域における幅(W2=100nmからW3=1μm)よりも狭いため、本発明の範囲外となる比較例102では、伝搬損失≒0.025dB/mmであり、伝搬距離が20mmの場合の結合損失=14.3dBであった。
 以上より、膜構造の先端部における幅と細線構造の積層領域における幅との関係を本発明で規定する構造とすることで、伝搬損失および結合損失が大幅に低減されることがわかった。
[実施例201、比較例202~204]
 コアに含まれる膜構造および細線構造の材料の屈折率の影響を評価するために、以下の実施例201、301、比較例202~204および302~304の光学素子のモデルをシミュレーションで形成し、両者を対比して評価した。
<T1=50nm、T3=200nm、W1=4μmの系>
 実施例201では、細線構造の厚さT3=200nmとした以外は実施例1と同様にして設計した。すなわち、代表的なパラメータを、膜構造の厚さT1=50nm、細線構造の厚さT3=200nm、膜構造の先端部の幅W1=4μm、コアの膜構造の材料をシリコン(屈折率n=3.5)、細線構造の材料をシリコン(屈折率n=3.5)とした。
 比較例202~204では、細線構造の材料を屈折率n=2.5、n=2.0およびn=1.5の材料にそれぞれ変更した以外は、実施例201と同様にして設計した。
[実施例301、比較例302~304]
<T1=200nm、T3=300nm、W1=4μmの系>
 実施例301では、膜構造の厚さT1=200nm、細線構造の厚さT3=300nmとした以外は実施例1と同様にして設計した。すなわち、代表的なパラメータを、膜構造の厚さT1=200nm、細線構造の厚さT3=300nm、膜構造の先端部の幅W1=4μm、コアの膜構造の材料をシリコン(屈折率n=3.5)、細線構造の材料をシリコン(屈折率n=3.5)とした。
 比較例302~304では、細線構造の材料を屈折率n=2.5、n=2.0およびn=1.5の材料にそれぞれ変更した以外は、実施例301と同様にして設計した。
[実施例201、301、比較例202~204および302~304の評価]
<挿入損失>
 実施例201、301、比較例202~204および302~304の光学素子について、膜構造(薄膜導波路)から細線構造(Si導波路)への光の挿入損失(変換部)を実施例1と同様の方法で評価した。
 得られた結果を図10(A)および図10(B)に示した。
 図10(A)および図10(B)より、挿入損失(変換部)は、膜構造と細線構造で同じ屈折率3.5の材料を用いた実施例201では0.4dBであり、同様の実施例301では0.9dBであった。
 一方、膜構造と細線構造で異なる屈折率の材料を用いた点で本発明の範囲外となる比較例202~204および302~304では、図10(A)および図10(B)のとおり挿入損失(変換部)が1dBを超え、非常に大きかった。
 以上より、本発明によれば、低損失の光学素子を提供できることがわかった。
 ここで、実施例301は、特開2013-004688号公報の図面から読み取れる膜構造(下部コア層)および細線構造(上部コア層)の厚みの比率にしたがって、膜構造の厚さおよび細線構造の厚さを決定して、構造上の比較をしたものである。
 そこで、本発明のより好ましい態様である実施例201と、特開2013-004688号公報の構造に類似する実施例301を比較すると、図10(B)より本発明のより好ましい態様である実施例201の方が、さらに挿入損失が小さいことがわかった。
<反射損失>
 本発明のより好ましい態様であって膜構造の厚さが50nm(細線構造の厚さ200nmの半分以下の態様)の実施例201と、特開2013-004688号公報の構造に類似させた厚さが200nm(細線構造の厚さ300nmの半分よりも厚い態様)の実施例301の比較を、さらに反射損失の観点からも行った。
 具体的には、実施例201および301の光学素子について、膜構造(薄膜導波路)へ光入射したときの反射損失(端面部)を実施例1と同様の方法で評価した。
 得られた反射損失(端面部)の結果は、実施例201では-42.9dBであり、実施例301では-27.9dBであった。なお、その他の比較例202~204および302~304の反射損失(端面部)の結果は省略した。
 以上の結果から、膜構造および細線構造に屈折率が同じ材料を用いた場合、膜構造の厚さ細線構造の厚さ300nmの半分よりも厚い態様とした実施例301の構造と比較して、膜構造の厚さが細線構造の厚さ200nmの半分以下の態様である実施例201の方が、膜構造(薄膜導波路)へ光入射したときの反射損失(端面部)も大幅に小さいことがわかった。
[実施例401~407]
 膜構造の先端部における幅W1を変化させた場合の結合損失への影響を評価するために、以下の実施例401~407の光学素子を製造し、これらを対比して評価した。
 膜構造の先端部における幅W1(実施例1では4μm)を、実施例401では1μm;実施例402では2μm;実施例403では3μm;実施例404では5μm;実施例405では6μm;実施例406では7μm;実施例407では8μm;とした以外は実施例1と同様にして、実施例401~407の光学素子を製造した。なお、いずれもコアの膜構造の厚さT1=50nmである。
 実施例1および実施例401~407の光学素子について、膜構造(薄膜導波路)から細線構造(Si導波路)への光の挿入損失(変換部)を実施例1と同様の方法で評価した。
 得られた結果を図11に示した。
 図11より、コアの膜構造の厚さT1=50nmの場合の挿入損失(変換部)は、膜構造の先端部における幅W1が実施例1の4μmの場合に最小となることがわかった。
[実施例501~503]
 コアの膜構造の厚さT1を変化させた場合の結合損失への影響を評価するために、以下の実施例501~503の光学素子を製造し、これらを対比して評価した。
 コアの膜構造の厚さT1(実施例1では50nm)を実施例501では30nm;実施例502では40nm;実施例503では60nm;とした以外は実施例1と同様にして、実施例501~503の光学素子を製造した。なお、いずれも膜構造の先端部における幅W1=4μmである。
 実施例1および実施例501~503の光学素子について、膜構造(薄膜導波路)から細線構造(Si導波路)への光の挿入損失(変換部)を実施例1と同様の方法で評価した。
 得られた結果を図12に示した。
 図12より、膜構造の先端部における幅W1=4μmの場合の挿入損失(変換部)は、コアの膜構造の厚さT1が実施例1の50nmの場合に最小となることがわかった。
1   基板
2   コア
3   オーバークラッド
4   アンダークラッド
21  膜構造
22  細線構造
31  先端領域
32  積層領域
41  第1エッチング工程のエッチング領域
42  第1エッチング工程のエッチング領域
100 光学素子
W1  膜構造の先端部の幅
W2  細線構造の端部の幅
W3  細線構造の逆テーパー終端部の幅
W0  比較例102の膜構造の先端部の幅
T1  膜構造の厚さ
T2  膜構造の厚さと細線構造の厚さの合計
T3  細線構造の厚さ
T0  比較例102の膜構造の厚さ
P1  膜構造の先端部
P2  細線構造の端部
P3  細線構造の逆テーパー終端部
L1  膜構造の先端部から細線構造の端部までの距離
L2  細線構造の端部から細線構造の逆テーパー終端部までの距離

Claims (11)

  1.  基板上にコアならびにアンダークラッドおよびオーバークラッドからなるクラッドを有する光学素子であって、
     前記コアは、少なくとも先端領域に膜構造を含み、前記膜構造の先端部から長さ方向に離れた内部に細線構造を含み、
     前記膜構造と前記細線構造が厚さ方向に隣接して重なる積層領域を有し、
     前記膜構造の前記先端部における幅W1が、前記細線構造の前記積層領域における幅よりも広く、
     前記コアに含まれる前記膜構造および前記細線構造は屈折率が実質的に同じ材料である、光学素子。
  2.  前記細線構造の幅が、長さ方向の内部に向かって逆テーパー状に拡大する、請求項1に記載の光学素子。
  3.  前記膜構造の前記先端部の幅W1が、前記細線構造の逆テーパー終端部の幅W3よりも広い、請求項2に記載の光学素子。
  4.  前記細線構造の逆テーパー終端部から長さ方向に離れた内部において、前記膜構造の幅が、前記細線構造の逆テーパー終端部の幅W3と一致するように狭まる、請求項2に記載の光学素子。
  5.  前記膜構造の厚さT1が、前記細線構造の厚さと前記膜構造の厚さの合計T2の半分よりも薄い、請求項1に記載の光学素子。
  6.  前記膜構造の厚さT1が、前記細線構造の厚さの半分よりも薄い、請求項1に記載の光学素子。
  7.  前記膜構造の前記先端領域における幅方向の変動が±20%以下である、請求項1に記載の光学素子。
  8.  前記膜構造の厚さ方向の変動が±20%以下であり、
     前記細線構造の厚さ方向の変動が±20%以下である、請求項1に記載の光学素子。
  9.  前記コアがシリコンで形成され、前記クラッドが屈折率2.0以下の材料で形成され、前記コアの長さ方向および厚み方向が前記クラッドで覆われた、請求項1に記載の光学素子。
  10.  シリコン光導波路と光ファイバとの結合器、または、シリコン光導波路と窒化ケイ素光導波路との結合器である、請求項1に記載の光学素子。
  11.  基板上にクラッドのうちアンダークラッドを設ける工程と、
     前記アンダークラッドの上にコア前駆体を設ける工程と、
     前記コア前駆体に対して、先端領域の先端部から長さ方向に離れた内部をマスクして、厚さ方向の所定の深さまでエッチングしてコアの細線構造を形成する第1エッチング工程と、
     少なくとも前記先端領域の前記先端部における前記コア前駆体の幅方向を、前記細線構造の幅よりも広くなるように厚さ方向すべてまでエッチングして、前記コアの少なくとも前記先端領域に膜構造を形成する第2エッチング工程と、
     オーバークラッドを設けて前記クラッドを形成する工程を備える、光学素子の製造方法。
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