JPWO2007129662A1 - 絶縁材料、電子部品装置の製造方法及び電子部品装置 - Google Patents

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Abstract

絶縁破壊が生じ難く、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性に優れた硬化物を与える絶縁材料、並びに電子部品装置及びその製造方法を提供する。硬化性化合物(a)と、硬化剤(b)と、芳香族骨格を有する高分子ポリマーと、無機フィラー(e)とを特定の割合で含有し、硬化性化合物(a)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に多環式芳香族炭化水素骨格(a1)を有する硬化性化合物、または1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)を有する硬化性化合物であり、硬化性化合物(a)の全骨格100重量%中、上記骨格(a1)または上記骨格(a2)の占める割合が30重量%以上である絶縁材料、並びに該絶縁材料からなる絶縁層4を有する電子部品装置1及びその製造方法。

Description

本発明は、半導体装置などの電子部品装置の絶縁部分を形成するのに適した絶縁材料に関し、より詳細には、絶縁破壊が生じ難く、かつ温度変化が与えられた場合であっても、剥離等が生じ難い硬化物を与える絶縁材料、並びに該絶縁材料を用いた電子部品装置の製造方法及び電子部品装置に関する。
基板上に半導体素子が実装されている半導体装置の高性能化及び小型化を図るために、ボンディングワイヤーを用いない面実装技術が用いられてきている。この種の面実装技術は、例えば下記の特許文献1に開示されている。面実装技術を用いる場合には、基板上に半導体素子を接合したり、あるいは電極間の絶縁を図るために、様々な絶縁体が用いられている。
半導体装置等に用いられる絶縁体では、用途によっては、高い電圧が印加されたり、あるいは大きな電流が流れたりすることがある。よって、高電圧や大電流に晒されても、絶縁破壊が生じないことが強く求められている。また、高温で放置されたり、冷熱サイクルが与えられた際に劣化し難く、耐熱性に優れていることも、強く求められている。
ポリイミドやエポキシ樹脂等からなる絶縁体が開発されてきている。この種の絶縁体は、例えば下記の特許文献2,3に開示されている。
特開平8−115953号公報 特開2001−323224号公報 特開2002−129125号公報
しかしながら、特許文献2,3に記載の絶縁体は、高電圧や大電流に晒されると、絶縁破壊が生じることがあった。さらに、これらの絶縁体は、高温で放置されたり、冷熱サイクルが与えられた際に劣化しがちであった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、絶縁破壊が生じ難く、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性に優れた硬化物を与える絶縁材料、並びに該絶縁材料を用いた電子部品装置及び電子部品装置の製造方法を提供することにある。
本発明は、電子部品装置用の絶縁材料であって、硬化性化合物(a)と、硬化剤(b)と、芳香族骨格を有する高分子ポリマー(c)と、無機フィラー(e)と、ゴム微粒子(f)とを含有し、硬化性化合物(a)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に多環式芳香族炭化水素骨格(a1)を有する硬化性化合物、または、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)を有する硬化性化合物であり、硬化性化合物(a)の全骨格100重量%中、骨格(a1)または骨格(a2)の占める割合が30重量%以上であり、絶縁材料に含まれている全樹脂成分の合計100重量%中、硬化性化合物(a)を20〜90重量%の範囲、高分子ポリマー(c)を5〜60重量%の範囲でそれぞれ含み、絶縁材料100体積%中、無機フィラー(e)を40〜90体積%の範囲で含むことを特徴とする。
本発明では、上記硬化性化合物(a)は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、フルオレン骨格、キサンテン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。
また、本発明では、上記芳香族骨格を有する高分子ポリマー(c)として、様々な高分子ポリマーを用いることができるが、エポキシ基を有する高分子ポリマーが好ましい。また、上記高分子ポリマー(c)は、好ましくは、スチレン系重合体及び/又はフェノキシ樹脂である。上記フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgは、110〜200℃の範囲にあることが好ましい。
本発明では、上記フェノキシ樹脂は、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。また、上記フェノキシ樹脂は、下記式(1)〜(6)で表される骨格のうち、少なくとも1つの骨格を有することがより好ましい。
Figure 2007129662
上記式(1)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Xは単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、又は−CO−から選ばれる基である。
Figure 2007129662
上記式(2)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。
Figure 2007129662
上記式(3)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、lは0〜4の整数である。
Figure 2007129662
Figure 2007129662
上記式(5)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子から選ばれるものであり、Xは−SO−、−CH−、−C(CH−、または−O−のいずれかであり、kは0または1の値である。
Figure 2007129662
本発明では、さらに好ましくは、下記式(7)または下記式(8)で表されるフェノキシ樹脂が用いられる。
Figure 2007129662
上記式(7)中、Aは上記式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(1)で表わされる構造が0〜60モル%、上記式(2)で表わされる構造が5〜95モル%、及び上記式(3)で表わされる構造が5〜95モル%であり、Aは水素原子、または上記式(4)で表される基であり、nは平均値で25〜500の数である。
Figure 2007129662
上記式(8)中、Aは上記式(5)または上記式(6)で表される構造を有し、nは少なくとも21以上の値である。
本発明に係る絶縁材料のある特定の局面では、少なくとも主鎖の一部に脂肪族環状骨格を有する液状エポキシ樹脂(d)がさらに含有されている。
本発明に係る絶縁材料の他の特定の局面では、絶縁材料に含まれている全樹脂成分の合計100重量%中、硬化性化合物(a)が20〜90重量%の範囲、高分子ポリマー(c)が5〜60重量%の範囲、液状エポキシ樹脂(d)が3〜40重量%の範囲でそれぞれ含まれている。なお、全樹脂成分とは、硬化性化合物(a)、硬化剤(b)、高分子ポリマー(c)及び必要に応じて添加される液状エポキシ樹脂(d)などの樹脂構成成分の総和をいうものとする。
本発明では、上記液状エポキシ樹脂(d)として、エポキシ当量が170以下であり、かつ25℃における粘度が0.5Pa・s以下である液状エポキシ樹脂が好ましく用いられる。また、上記液状エポキシ樹脂(d)は、ジシクロペンタジエン骨格またはシクロヘキサン骨格を有することが好ましい。
本発明では、上記ゴム微粒子(f)として、好ましくは、フッ素化合物(f2)、またはシロキサン結合を主骨格に有し、かつシリル基に有機置換基を有する化合物(f1)が用いられる。
本発明の別の特定の局面では、絶縁材料の硬化後の絶縁破壊電圧は、40kV/mm以上とされている。
本発明のさらに別の特定の局面では、絶縁材料は、フィルム状に成形されている。
本発明のさらに別の特定の局面では、硬化後の引っ張り破断伸び率は、2〜50%の範囲とされている。
本発明の他の特定の局面では、電子部品装置が電子部品素子としての半導体素子を有する半導体装置であり、絶縁材料は半導体装置用の絶縁材料である。
本発明に係る絶縁材料のさらに別の特定の局面では、半導体素子は電力用デバイス素子である。
本発明に係る電子部品装置の製造方法は、本発明の絶縁材料を用いて電子部品装置を製造する方法であって、電子部品素子が実装された基板の電子部品素子の外表面の少なくとも一部を絶縁材料で被覆して絶縁材料層を形成する工程と、絶縁材料層を硬化させて絶縁層とする工程と、絶縁材料層または絶縁層に高密度エネルギー線を照射し、絶縁層に配線用の孔を形成する工程と、孔に配線材料を充填する工程と、孔に充填された配線材料と電気的に接続される配線パターンを絶縁材料層または絶縁層の表面に形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る電子部品装置の製造方法のある特定の局面では、電子部品素子として半導体素子が用いられ、電子部品装置として半導体装置が製造される。
本発明に係る電子部品装置は、本発明の絶縁材料の硬化物からなる絶縁層を有する電子部品装置であって、基板と、基板上に実装された電子部品素子と、絶縁材料の硬化物により形成されており、電子部品素子の外表面の少なくとも一部を被覆するように設けられている絶縁層とを備え、該絶縁層には電子部品素子の外表面から絶縁層の表面に至る孔が形成されており、絶縁層の孔に充填された配線材料と、絶縁層表面に形成されており、配線材料に電気的に接続されるように設けられた配線パターンとをさらに備えることを特徴とする。
本発明に係る電子部品装置のある特定の局面では、電子部品素子が半導体素子であり、それによって半導体装置が構成されている。
(発明の効果)
本発明に係る絶縁材料では、硬化性化合物(a)と、硬化剤(b)と、芳香族骨格を有する高分子ポリマー(c)と、無機フィラー(e)と、ゴム微粒子(f)とを上記特定の割合で含有し、硬化性化合物(a)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に多環式芳香族炭化水素骨格(a1)を有する硬化性化合物、または、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)を有する硬化性化合物であり、硬化性化合物(a)の全骨格100重量%中、上記骨格(a1)または上記骨格(a2)の占める割合が30重量%以上であるため、その硬化物は、絶縁性に優れ、かつ絶縁破壊を抑制することができる。
さらに、本発明の絶縁材料の硬化物は、高温に放置されたり、冷熱サイクルが与えられたとしても、劣化し難く、クラックも生じ難い。従って、本発明の絶縁材料の硬化物を用いて、電子部品装置の絶縁層などを形成することにより、半導体装置などの電子部品装置の耐熱性を高めることができる。
本発明に係る電子部品装置の製造方法では、基板に実装された電子部品素子の外表面の少なくとも一部を本発明の絶縁材料で被覆して絶縁材料層を形成する工程と、該絶縁材料層を硬化させて絶縁層を形成する工程と、該絶縁材料層または絶縁層に高密度エネルギー線を照射し、絶縁材料層または絶縁層に配線用の孔を形成し、孔に配線材料を充填し、さらに絶縁材料層または絶縁層表面に配線パターンを形成する各工程を備えるため、本発明に従って、絶縁性及び耐熱性に優れている絶縁層が設けられた電子部品装置を提供することができる。
図1は本発明の電子部品装置の一実施形態としての半導体装置を説明するための略図的正面断面図である。
符号の説明
1…半導体装置
2…基板
3…半導体素子
4…絶縁層
4a,4b…孔
5a,5b…配線材料
6…配線パターン
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る絶縁材料は、硬化性化合物(a)と、硬化剤(b)と、芳香族骨格を有する高分子ポリマー(c)と、無機フィラー(e)と、ゴム微粒子(f)とを含有する。
上記硬化性化合物(a)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に多環式芳香族炭化水素骨格(a1)を有する硬化性化合物、または、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)を有する硬化性化合物である。上記硬化性化合物(a)の全骨格100重量%中、上記骨格(a1)または上記骨格(a2)の占める割合は30重量%以上である。硬化性化合物(a)は上記のようにエポキシ基含有化合物であり、熱硬化性化合物でもあり、光硬化性化合物でもある。絶縁材料は、上記特定の硬化性化合物(a)を含んでいるので、絶縁材料の硬化物の絶縁性及び耐熱性が高められる。
上記1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に多環式芳香族炭化水素骨格(a1)を有する硬化性化合物は、単環式芳香族炭化水素骨格を有しないことが好ましい。
上記多環式芳香族炭化水素骨格(a1)とは、芳香族骨格を有し、かつ2以上の環状骨格が結合して形成された炭化水素骨格を意味する。上記2以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)とは、アルキル鎖等を介さず、芳香環同士がただ一つの単結合で結合している骨格を意味する。
上記硬化性化合物(a)(以下の括弧書きの重量%は、硬化性化合物(a)の全骨格100重量%中、上記骨格(a1)または上記骨格(a2)の占める割合を表す)としては、例えば、1−グリシジルナフタレン(64重量%)、2−グリシジルナフタレン(64重量%)、1,2−ジグリシジルナフタレン(47重量%)、1,5−ジグリシジルナフタレン(47重量%)、1,6−ジグリシジルナフタレン(47重量%)、1,7−ジグリシジルナフタレン(47重量%)、2,7−ジグリシジルナフタレン(47重量%)、トリグリシジルナフタレン(37重量%)、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン(30重量%)、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン(45重量%)、p−ビス[(1−グリシジル)ナフチルメチル]ベンゼン(50重量%)、p−ビス[(1,6−ジグリシジル)ナフチルメチル]ベンゼン(39重量%)、ビス(グリシジルナフチルメチル)トルイルグリシジルエーテル(43重量%)等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(35重量%)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシフェニル)フルオレン(30重量%)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(33重量%)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン(31重量%)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン(33重量%)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン(31重量%)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン(32重量%)等のフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン(37重量%)等のキサンテン骨格、4,4’−ジグリシジルビフェニル(51重量%)、4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル(42重量%)等のビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂や、アントラセン骨格やピレン骨格を有するエポキシ樹脂が挙げられる。これらの硬化性化合物(a)は、1種のみが用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
上記硬化性化合物(a)は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、フルオレン骨格、キサンテン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。これらの骨格を有する場合には、絶縁材料硬化物の絶縁性がより一層高められ、絶縁破壊がより一層生じ難くなる。硬化性化合物(a)は、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂及び/又はナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
上記硬化性化合物(a)の全骨格100重量%中、上記多環式芳香族炭化水素骨格(a1)、または上記2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)の占める割合は30重量%以上である。上記骨格(a1)または上記骨格(a2)の占める割合が30重量%未満であると、硬化物の絶縁性が低くなり、絶縁破壊が生じ易くなる。上記骨格(a1)または上記骨格(a2)の占める割合(重量%)は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等で各成分を分離し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)等により各成分を同定した後に、{(上記骨格(a1)または上記骨格(a2)の分子量)/(分子全体の分子量)}×100で算出することができる。硬化性化合物(a)の全骨格100重量%中、上記骨格(a1)または上記骨格(a2)の占める割合は、好ましくは35重量%以上である。
上記硬化性化合物(a)の重量平均分子量は、配合物の粘度を抑え、上記無機フィラー(e)を充填しやすくするため、1000未満が好ましい。また、上記硬化性化合物(a)は、主鎖中に繰り返し構造単位がないことが好ましい。
絶縁材料は、芳香族骨格を有する高分子ポリマー(c)を含む。高分子ポリマー(c)は、芳香族骨格を分子中に有していればよく、芳香族骨格を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。絶縁材料の硬化物のガラス転移温度Tgがより一層高められるので、高分子ポリマー(c)は、芳香族骨格を主鎖に有することが好ましい。
上記芳香族骨格としては特に限定はされず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格、ジシクロペンタジエン骨格等が挙げられる。なかでも、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性が高められるので、ビフェニル骨格、フルオレン骨格が好ましい。
上記高分子ポリマー(c)としては特に限定はされず、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を用いることができる。
上記熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂、フェノキシ樹脂、フタレート樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂などのアミノ系樹脂、フェノール系樹脂、熱硬化性ウレタン系樹脂、上記ペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂以外のエポキシ系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アミノアルキド系樹脂等が挙げられる。
これら熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、いずれか一方が用いられても良いし、両者が併用されても良い。
上記高分子ポリマー(c)として、スーパーエンプラと呼ばれる耐熱性樹脂を使用することもできる。スーパーエンプラとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジン、ポリベンゾオキサゾールとベンゾオキサジンの反応物などが挙げられる。
酸化劣化を防止することができ、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性が高められるので、高分子ポリマー(c)は、スチレン系重合体及び/又はフェノキシ樹脂が好ましい。
上記スチレン系重合体としては、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等から少なくとも一つ選ばれるスチレン系モノマーの単独重合体;又はこれらモノマーと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等から必要に応じて選ばれるアクリル系モノマーとの共重合体等を用いることができる。なかでも、スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン系重合体を好適に用いることができる。
上記フェノキシ樹脂としては、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。なかでも、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性が高められるので、フルオレン骨格及び/又はビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。
上記フェノキシ樹脂は、下記式(1)〜(6)で表される骨格のうち、少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。
Figure 2007129662
上記式(1)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Xは単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、又は−CO−から選ばれる基である。
Figure 2007129662
上記式(2)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。
Figure 2007129662
上記式(3)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、lは0〜4の整数である。
Figure 2007129662
Figure 2007129662
上記式(5)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子から選ばれるものであり、Xは−SO−、−CH−、−C(CH−、または−O−のいずれかであり、kは0または1の値である。
Figure 2007129662
上記高分子ポリマー(c)としては、例えば、下記式(7)または下記式(8)で表されるフェノキシ樹脂を好ましく用いることができる。
Figure 2007129662
上記式(7)中、Aは上記式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(1)で表わされる構造が0〜60モル%、上記式(2)で表わされる構造が5〜95モル%、及び上記式(3)で表わされる構造が5〜95モル%であり、Aは水素原子、または上記式(4)で表される基であり、nは平均値で25〜500の数である。
Figure 2007129662
上記式(8)中、Aは上記式(5)または上記式(6)で表される構造を有し、nは少なくとも21以上の値である。
上記高分子ポリマー(c)のガラス転移温度Tgは、60〜200℃の範囲が好ましい。より好ましくは、90〜180℃の範囲である。高分子ポリマー(c)のガラス転移温度Tgが低すぎると、熱劣化することがあり、高すぎると、他の樹脂との相溶性が悪くなり、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性が低下することがある。
上記高分子ポリマー(c)がフェノキシ樹脂である場合、フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgは、110〜200℃の範囲が好ましい。より好ましくは、110〜180℃の範囲である。フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgが低すぎると、フェノキシ樹脂が熱劣化することがあり、高すぎると、他の樹脂との相溶性に劣り、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性が低下することがある。
また、熱硬化後のガラス転移温度Tgがより一層高くなるので、上記高分子ポリマー(c)は、エポキシ基と反応可能な基を有することが好ましい。エポキシ基と反応可能な基としては、エポキシ基等が挙げられる。熱硬化後のガラス転移温度Tgがより一層高くなるので、高分子ポリマー(c)はエポキシ基を有することが好ましい。
上記高分子ポリマー(c)の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましい。高分子ポリマー(c)の重量平均分子量は、より好ましくは10,000〜1000,000の範囲、さらに好ましくは、40,000〜250,000の範囲である。重量平均分子量が小さすぎると、高分子ポリマー(c)が熱劣化することがあり、大きすぎると、他の樹脂との相溶性に劣り、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性が低下することがある。
上記高分子ポリマー(c)は、主鎖中に繰り返し構造単位を有することが好ましい。
絶縁材料に含まれている全樹脂成分の合計100重量%中に、上記硬化性化合物(a)は20〜90重量%の範囲、上記高分子ポリマー(c)は5〜60重量%の範囲で、合計100重量%を超えないようにそれぞれ含まれる。
上記硬化性化合物(a)が少なすぎると、絶縁材料の硬化物のガラス転移温度が低くなったり、熱線膨張率が高くなったり、耐熱性が低くなることがある。硬化性化合物(a)が多すぎると、後述の高分子ポリマー(c)などの他の樹脂成分の量が相対的に少なくなるために、例えばフィルムに成形した場合に絶縁材料の強度が低くなり、取扱い性が低下することがある。
上記高分子ポリマー(c)が少なすぎると、絶縁材料が柔らかくなりすぎ、例えばフィルムに成形した場合に取扱い性が低下することがある。高分子ポリマーが多すぎると、未硬化状態で固くかつ脆くなり、例えばフィルムとされた場合に、破損しやすくなる。
絶縁材料は、少なくとも主鎖の一部に脂肪族環状骨格を有する液状エポキシ樹脂(d)を含有することが好ましい。この液状エポキシ樹脂(d)が含まれていると、絶縁材料は、適度なタック性を有し、取扱性が高められる。さらに、硬化物の耐高温放置性及び耐冷熱サイクル性が高められる。耐高温放置性及び耐冷熱サイクル性がより一層高められるので、液状エポキシ樹脂(d)は、1分子中に2個以上のグリシジル基を有することが好ましい。
上記液状エポキシ樹脂(d)としては、室温で液状であれば特に限定はされず、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルの液状エポキシ樹脂、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテルの液状エポキシ樹脂、水添ビフェニル型の液状エポキシ樹脂、半水添ビフェニル型の液状エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型液状エポキシ樹脂、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のシクロヘキサン骨格を有する液状エポキシ樹脂等を用いることができる。
上記液状エポキシ樹脂(d)の脂肪族環状骨格としては特に限定はされず、シクロプロパン骨格、シクロブタン骨格、シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格等が挙げられる。なかでも、耐クラック性が高められるので、シクロヘキサン骨格またはジシクロペンタジエン骨格が好ましい。
また、上記液状エポキシ樹脂(d)のエポキシ当量は、170以下が好ましい。エポキシ当量が170以下であると、硬化物の架橋密度が充分に高くなり、硬化物のガラス転移温度を高くすることができる。
また、上記液状エポキシ樹脂(d)の25℃における粘度は、0.5Pa・s以下が好ましい。0.5Pa・sを超えると、タック性が低下することがある。上記粘度は、例えばB型粘度計を用いて測定される。このような粘度を有する液状エポキシ樹脂(d)としては、例えばジシクロペンタジエン型液状エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
絶縁材料が上記液状エポキシ樹脂(d)を含む場合には、絶縁材料に含まれている全樹脂成分の合計100重量%中に、上記硬化性化合物(a)は20〜90重量%の範囲、上記高分子ポリマー(c)は5〜60重量%の範囲、上記液状エポキシ樹脂(d)は3〜40重量%の範囲で、合計100重量%を超えないようにそれぞれ含まれることが好ましい。
上記液状エポキシ樹脂(d)が少なすぎると、タック性が低下することがあり、多すぎると、硬化物のガラス転移温度が低くなることがある。
絶縁材料は硬化剤(b)を含む。硬化剤(b)としては限定されないが、硬化系に従って、加熱硬化型の硬化剤や、光硬化型の適宜の加熱剤を用いることができる。このような硬化剤(b)の例としては、加熱硬化型硬化剤として、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、もしくはアミン系硬化剤や、あるいは、ジシアンジアミドなどの潜在性硬化剤が挙げられる。また、光硬化を利用する場合には、光もしくは熱カチオン重合系触媒型硬化剤などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されても良い。
上記加熱硬化型酸無水物系硬化剤の代表的なものとしては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物系硬化剤が挙げられる。なかでも、耐水性が高められるので、メチルナジック酸無水物やトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好適に用いられる。これらの酸無水物系硬化剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記フェノール系硬化剤の代表的なものとしては、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタンなどが挙げられる。これらのフェノール系硬化剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
硬化速度や硬化物の物性などを調整するために、上記硬化剤とともに、硬化促進剤を併用しても良い。
上記硬化促進剤としては特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルアミン、ピコリン、DBU、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン類、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシ−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシ−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等のトリアジン類、トリフェニルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、トリメタトリルホスフィン、トリオルトトリルホスフィン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、テトラ−n−ブチルホスホニウムベンゾトリアゾール、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等から選ばれる有機リン系化合物;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等や、その有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やアルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物類;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三ふっ化ホウ素、トリフェニルボレート等のホウ素化合物、塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化物等が挙げられる。
上記硬化促進剤としては、さらに高融点イミダゾール化合物、ジシアンジアミド又はアミンをエポキシ樹脂等に付加したアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性促進剤、イミダゾール系、リン系又はホスフィン系の促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型で熱カチオン重合型の潜在性硬化促進剤等に代表される潜在性硬化促進剤も使用することができる。なかでも、硬化速度や硬化物の物性などの調整をするための反応系の制御をしやすいことから、高融点イミダゾール系硬化促進剤が好適に用いられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。取扱性に優れているので、硬化促進剤の融点は100℃以上が好ましい。
硬化促進剤を用いる場合には、硬化剤の添加量をエポキシ基に対して理論的に必要な当量以下とすることが好ましい。硬化剤の添加量が過剰であると、未反応の硬化剤の存在により吸水率が悪くなったり、貯蔵安定性が悪化する場合がある。
本発明の絶縁材料は無機フィラー(e)を含む。無機フィラー(e)としては特に限定されないが、シリカ、アルミナ、窒化珪素、ハイドロタルサイト、カオリン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらは単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記無機フィラー(e)として、平均粒子径0.1〜15μmの球状シリカ、球状アルミナ、球状窒化珪素、球状珪酸アルミニウム、球状窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウムなどが好適に用いられる。平均粒子径が0.1μm未満であると、高充填が困難なことがあり、15μmを超えると、ろ過メッシュを通らないことがあり、作業性に劣る。
また、絶縁材料からなる層に孔を形成する用途に絶縁材料を用いる場合には、無機フィラー(e)の平均粒子径は、更に好ましくは0.1〜6μmである。無機フィラーの平均粒子径が6μmを超えると、所望の形状の孔を形成することができないことがある。
また、上記無機フィラー(e)の平均粒子径が0.1〜6μmである場合に、最大粒子径は10μm以下が好ましい。最大粒子径が10μmを超えると、所望の形状の孔を形成できないことがある。
上記無機フィラー(e)として、モンモリロナイト、膨潤性マイカ及びヘクトライト等の層状珪酸塩を用いてもよい。これらの層状珪酸塩を用いた場合には、上述の他の無機フィラーを用いた場合に比べて、少量の添加により耐熱性を高めることができる。
上記層状珪酸塩では、平均長さが0.01〜3μmの範囲、厚さが0.001μm〜1μmの範囲、アスペクト比が20〜500の範囲にあることが少量添加による耐熱性の改善効果と充填性のバランスがとれているため好ましい。平均長さのより好ましい下限は20、より好ましい上限は0.05μm、さらに好ましい上限は2μmである。厚さのより好ましい下限は0.01μm、より好ましい上限は0.5μmである。アスペクト比のより好ましい下限は50、より好ましい上限は200である。
上記層状珪酸塩とは、層間に交換性金属カチオンを有するケイ酸塩鉱物を意味する。上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウム等の金属イオンのことであり、これらの金属イオンは、カチオン性物質とのカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)することができる。
上記層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘度鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。なかでもモンモリロナイト及び/又は膨潤性マイカ及び/又はヘクトライトが好適に用いられる。上記層状珪酸塩は、天然ものであっても良いし、合成物であっても良い。又、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記層状珪酸塩の結晶層間に交換性金属カチオンを挿入するのに用いられるカチオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアルキルアンモニウム塩、トリエチルアルキルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、ジブチルジアルキルアンモニウム塩、メチルベンジルジアルキルアンモニウム塩、ジベンジルジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩、芳香環を有する4級アンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を二つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を一つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を一つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩が挙げられる。なかでも、特にラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ジメチルアンモニウム塩などが好適である。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記カチオン性界面活性剤として、4級ホスホニウム塩を用いてもよい。4級ホスホニウム塩としては特に限定されるものではないが、例えば、トデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
絶縁材料100体積%中、上記無機フィラー(e)は40〜90体積%の範囲で含まれる。無機フィラー(e)が少なすぎると、絶縁材料硬化物の耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性に劣ることがあり、多すぎると、接着性が著しく低下するおそれがある。より好ましくは、50〜90体積%で配合される。
本発明の絶縁材料は、ゴム微粒子(f)を含んでいる。ゴム微粒子(f)としては特に限定されないが、例えば、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等を性状を問わず用いることができる。
ゴム微粒子(f)と無機フィラー(e)とが併用されているので、絶縁材料の硬化物が低い線熱膨張率と高い応力緩和能とを有することとなる。その結果、高温下や冷熱サイクル条件下での剥離やクラック等の発生を抑制することができる。
上記ゴム微粒子(f)の配合割合としては、絶縁材料100重量%中、0.1〜40重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜20重量%の範囲である。ゴム微粒子(f)が少なすぎると、硬化物の応力緩和性が十分に発現しないことがあり、多すぎると、接着性に劣ることがある。
上記ゴム微粒子(f)として、上記ゴム微粒子をコア(芯材)として用いた2層以上の複層構造からなるコアシェル構造の粒子がより好適に用いられる。3層以上の複層構造からなるコアシェル構造の粒子である場合、シェルは最外殻を意味する。
上記コアシェル構造ゴム微粒子のシェルは、エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応する官能基を有していても良い。エポキシ基と反応する官能基としては、特に限定されるものではないが、例えばアミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられる。なかでも、常温ではエポキシ基と反応せず、絶縁材料の濡れ性の低下や貯蔵安定性の低下を来たさないので、水酸基やエポキシ基が好ましい。これらのエポキシ基と反応する官能基を有するゴム微粒子(f)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記ゴム微粒子(f)の平均粒子径は、30μm以下が好ましい。ゴム微粒子の平均粒子径が30μmを超えると、硬化物の応力緩和性が十分に発現しないことがある。ゴム微粒子(f)の更に好ましい平均粒子径は、0.1〜5μmである。
上記ゴム微粒子(f)としては、好ましくは、フッ素化合物(f2)、または、シロキサン骨格を主骨格とし、かつシリル基に有機置換基を有する化合物(f1)が用いられる。
上記シロキサン結合を主骨格とし、かつシリル基に有機置換基を有する化合物(f1)としては、ポリメチルシルセスキオキサン、メチルシリコーンが好適に用いられる。また、これらゴム微粒子をコア(芯材)として用いた2層以上の複層構造からなるコアシェル構造の粒子がより好ましい。
上記フッ素化合物(f2)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、エチルテトラフルオロエチレン、ポリクロロテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオレン、ポリフルオロアクリレート、ポリフルオロアセテートポリビニルジフルオレン等が挙げられる。また、これらゴム微粒子をコア(芯材)として用いた2層以上の複層構造からなるコアシェル構造の粒子がより好ましい。
本発明の絶縁材料は、酸化防止剤をさらに含有していてもよい。酸化防止剤は、絶縁材料中の活性酸素を失活させる。よって、酸化防止剤を配合することにより、絶縁材料の酸化を抑制し、かつ絶縁材料が接着している基板、電極または半導体チップ等の酸化を防ぐことができる。また、酸化防止剤を配合することにより、高温放置下での接着性の低下を抑制することができる。
上記酸化防止剤としては、特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド〕、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a、a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o―クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−tert―ブチル4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕、ヘキサメチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス〔(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル〕−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン2−イルアミノ)フェノール、ジエチル〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ホスフォネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス〔2−〔〔2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕エチル〕アミン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス〔2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル〕エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)〔1,1−ビフェニル〕−4,4’−ジイルビスホスフォナイト等のリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記酸化防止剤としては、1次酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤と2次酸化防止剤であるリン系酸化防止剤とを併用することが好ましい。フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用することで、下記式(a)で表される熱酸化劣化サイクルを抑止することができる。また、1次酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤と2次酸化防止剤であるリン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤を併用することが望ましい。ラクトン系酸化防止剤を配合した場合には、下記式(a)で表される熱酸化劣化サイクルにおいて、更にアルキルラジカルを捕捉し、ラジカル発生点において熱酸化劣化サイクルを抑止することができる。
Figure 2007129662
上記酸化防止剤は、融点が65℃以上であり、かつ20℃での蒸気圧が1.0×10−8Pa以下であることが好ましい。融点が65℃未満であったり、20℃での蒸気圧が1.0×10−8Paを超えたりすると、熱硬化過程もしくは高温放置状態において酸化防止剤自体が揮発し、絶縁材料の酸化を十分に抑制することができず、かつ高温放置下での接着性が低下することがある。
上記酸化防止剤の配合量としては、絶縁材料100重量%中、0.01〜1.0重量%の範囲が好ましい。より好ましくは、0.1〜0.5重量%の範囲である。酸化防止剤が少なすぎると、高温放置下で接着性が低下し易くなり、多すぎると、酸化防止剤による汚染が生じるおそれがある。
本発明の絶縁材料は、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有していてもよい。HALSは、絶縁材料の配合成分の劣化により発生したフリーラジカルと反応し、失活させる。よって、HALSを配合することにより、絶縁材料の劣化を抑制することができる。
上記HALSとしては、特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。これらは1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記HALSは、上記酸化防止剤と併用されることが好ましい。これらを併用することにより、上述した式(a)で表される熱酸化劣化サイクルにおいて、発生したフリーラジカルの捕捉と酸化反応との両方を抑制することができ、熱酸化による劣化をより一層抑制することができる。
また、上記HALSと、フェノール系酸化防止剤のような1次酸化防止剤と、リン系酸化防止剤のような2次酸化防止剤とを併用することが好ましい。これらを併用することにより、酸化による劣化をより一層抑制することができる。酸化による劣化をさらに一層抑制することができるので、HALSと、フェノール系酸化防止剤のような1次酸化防止剤と、リン系酸化防止剤のような2次酸化防止剤と、ラクトン系酸化防止剤とを併用することがより好ましい。
上記HALSは、融点が65℃以上であり、かつ20℃での蒸気圧が1.0×10−8Pa以下であることが好ましい。融点が65℃未満、もしくは20℃での蒸気圧が1.0×10−8Pa以上であると、熱硬化過程もしくは高温放置状態においてHALS自体が揮発し易くなる。そのため、絶縁材料の酸化を十分に抑制することができず、HALSを添加した効果を十分に得られないことがある。
上記HALSの配合量としては、絶縁材料100重量%中、0.01〜1.0重量%の範囲が好ましい。より好ましくは、0.1〜0.75重量%の範囲である。HALSが少なすぎると、硬化物の耐高温放置性に劣ることがあり、多すぎると、HALSによる汚染が生じるおそれがある。
本発明の絶縁材料は、必要に応じて、チキソ性付与剤、分散剤、難燃剤、着色剤を含有していても良い。
上記チキソ性付与剤としては、特に限定されないが、ポリアマイド樹脂、脂肪酸アマイド樹脂、ポリアミド樹脂、フタル酸ジオクチル樹脂などが挙げられる。
上記分散剤としては、脂肪酸せっけん、アルキルサルフェート、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、等のアニオン性分散剤、デシルアミン酢酸塩、トリメチルアンモニウムクロライド、ジメチル(ベンジル)アンモニウムクロライド等のカチオン性分散剤、ポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコールエステル、ソルビタンエステル、ソルビタンエステルエーテル、モノグリセライド、ポリグリセリンアルキルエステル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリエーテルアミン、アミンオキサイド、エチレングリコールジステアレート等のノニオン性分散剤等が挙げられる。
上記難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドーソナイト、アルミン酸化カルシウム、2水和石こう、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物、赤りんやポリリン酸アンモニウム、トリフェニルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、リン等のリン酸エステル、リン含有エポキシ樹脂、リン含有フェノキシ樹脂、リン含有ビニル化合物などのリン含有樹脂などのリン系化合物、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、リン酸メラミン及びこれらに表面処理が施されたメラミン誘導体などの窒素系化合物、ハイドロタルサイトなどの層状複水和物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物、デカブロモジフェニルエーテル、トリアリルイソシアヌレート6臭化物などの臭素系化合物、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素含有エポキシ樹脂などが挙げられる。なかでも、金属水酸化物、リン系化合物、臭素系化合物、及びメラミン誘導体が好適に用いられる。
上記着色剤としては、例えばカーボンブラック、黒鉛、フラーレン、チタンカーボン、二酸化マンガン、フタロシアニンなどの顔料または染料を用いることができる。
絶縁材料の態様としては特に限定されないが、ペースト状の絶縁材料であってもよく、フィルム状に成形された絶縁材料、すなわち絶縁フィルムであってもよい。後述する半導体装置の製造に用いる場合には、フィルム状に成形された絶縁材料を用いることが好ましい。
本発明の絶縁材料をフィルム状に成形する方法としては特に限定はされないが、例えば、溶剤キャスト法、押し出し成膜等の方法が好適である。フィルム状に成形する際に、脱泡することが好ましい。
上記絶縁フィルムの膜厚としては特に限定はされないが、50〜300μmが好ましい。より好ましくは、100〜200μmである。膜厚が薄すぎると、絶縁性に劣ることがあり、厚すぎると、電極間の導通プロセスが煩雑になることがある。
絶縁材料の硬化物の絶縁破壊電圧は、40kV/mm以上であることが好ましい。絶縁破壊電圧が40kV/mm未満の場合、例えば電力素子用のような大電流用途に用いた場合に充分な絶縁性が得られないことがある。絶縁破壊電圧は、より好ましくは、50kV/mm以上、さらに好ましくは60kV/mm以上である。
絶縁材料の硬化物の引っ張り破断伸び率は、2〜50%の範囲にあることが好ましい。引っ張り破断伸び率が低すぎると、冷熱サイクルテストにおいてクラックや剥離が起こりやすくなり、高すぎると、硬化物の熱線膨張率が高くなり、やはり冷熱サイクルテストにおいてクラックや剥離が起こりやすくなる。
絶縁材料の硬化物の初期接着力は、400N/25mm以上が好ましい。絶縁材料の高温放置試験後接着力は、350N/25mm以上が好ましい。初期接着力からの高温放置試験後接着力の変化量としては、100N/25mm未満が好ましく、より好ましくは50N/25mm未満である。
本発明の絶縁材料は、電子部品装置用の絶縁材料であり、このような電子部品装置としては、特に限定されないが、例えば、半導体装置が挙げられる。すなわち、絶縁材料は、基板上に半導体素子が実装されている半導体装置に好適に用いることができる。この場合、絶縁材料の硬化処理が容易であるため、半導体素子は基板上に面実装されていることが好ましい。もっとも、ボンディングワイヤーにより半導体素子が基板に実装されている半導体装置にも、本発明の絶縁材料を用いることができる。さらに、絶縁材料は、半導体素子以外の電子部品素子が、基板上に搭載されている電子部品装置にも用いることができる。
半導体素子が大電流用の電力用デバイス素子の場合には、高い絶縁性やより高い耐熱性などが求められる。従って、このような用途において、本発明の絶縁材料が好ましく用いられる。
本発明の電子部品装置の製造方法は、本発明の絶縁材料を用いることを特徴とする。この場合、半導体素子などの電子部品素子が実装された基板の電子部品素子の外表面の少なくとも一部を上記絶縁材料で被覆し、絶縁材料層を形成する。上記被覆は、例えば真空ラミネーター等を用いて行うことができる。
次に、絶縁材料層を硬化させて絶縁材料硬化物からなる絶縁層を形成する。なお、硬化方法については前述したような熱硬化方法、あるいは光照射により硬化する方法などを適宜用いることができる。
また、以下の配線用の孔の形成工程、配線材料を孔に充填する工程及び配線パターンを形成する工程の前に絶縁材料層を硬化させて絶縁層を形成することが好ましい。それによって、以下の工程を容易に行うことができる。もっとも、これらの加工工程後に絶縁材料層を硬化させて絶縁層を形成してもよい。また、孔の形成工程、配線材料を充填する工程及び配線パターンを形成する工程の工程間において、絶縁材料層を硬化させて絶縁層としてもよい。
次に、絶縁層に高密度エネルギー線を照射することにより、配線用の孔を形成する。この孔に配線材料として金属材料を充填する。しかる後、絶縁層の表面に、上記配線材料と電気的に接続される配線パターンを形成する。この配線パターンについても、配線材料と同様に、適宜の金属材料を用いることができる。
図1に、本発明に従って製造された電子部品装置の一実施形態としての半導体装置を略図的正面断面図で示す。
図1に示す半導体装置1は、基板2を有する。基板2上には、半導体素子3が実装されている。半導体素子3の外表面の少なくとも一部を覆うように、本発明の絶縁材料の硬化物からなる絶縁層4が設けられている。絶縁層4には、孔4a,4bが形成されている。孔4a,4bは、半導体素子の外表面から絶縁層4の表面に至っている。孔4a,4bに配線材料5a,5bが充填されている。配線材料5a,5bに電気的に接続されるように、絶縁層4の表面に配線パターン6が形成されている。
なお、半導体素子3に代えて、他の電子部品素子を用いてもよい。
上記半導体装置1では、絶縁層4が、本発明の絶縁材料の硬化物で形成されているので、絶縁性に優れている。さらに、絶縁材料の硬化物は耐高温放置性及び耐冷熱サイクル性に優れているので、半導体装置1の耐熱性を高めることができる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(硬化性化合物(a))
(1)キサンテン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名:EXA−7336、全骨格100重量%中での多環式芳香族炭化水素骨格(a1)の占める割合37重量%)
(2)フルオレン型エポキシ樹脂(オンファイン社製、商品名:EX−1010、全骨格100重量%中での多環式芳香族炭化水素骨格(a1)の占める割合35重量%)
(3)ナフタレン型液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名:HP−4032D、全骨格100重量%中での多環式芳香族炭化水素骨格(a1)の占める割合47重量%)
(4)ジナフタレン骨格エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名:HP−4700、全骨格100重量%中での多環式芳香族炭化水素骨格(a1)の占める割合45重量%)
(5)ビフェニル骨格エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:YX4000HK、全骨格100重量%中での2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)の占める割合42重量%)
(6)ナフタレン含有ノボラック型エポキシ樹脂(東都化成社製、商品名:ESN−355、全骨格100重量%中での多環式芳香族炭化水素骨格(a1)の占める割合39重量%)
(7)ビスエトキシフェニルフルオレン型エポキシ樹脂(オンファイン社製、商品名:EX−1020、全骨格100重量%中での多環式芳香族炭化水素骨格(a1)の占める割合30重量%)
(硬化性化合物(a)以外の硬化性化合物)
(1)シクロヘキサンジメタノール骨格液状エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、EX−216L)
(2)ヘキサヒドロフタル酸型液状エポキシ樹脂(日本化薬社製、AK−601)
(3)ジシクロペンタジエン型液状エポキシ樹脂(アデカ社製、EP4088)
(4)下記式(A)で表されるビフェニル含有ノボラック型エポキシ樹脂A(自社合成、後述の合成例1、全骨格100重量%中での2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)の占める割合25重量%)
Figure 2007129662
上記式(A)中n1〜n4は、平均して、n1+n2+n3+n4=2.4である。
(5)下記式(B)で表されるビフェニル含有ノボラック型エポキシ樹脂B(自社合成、後述の合成例2、全骨格100重量%中での2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)の占める割合20重量%)
Figure 2007129662
(6)フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:JER152、単環構造)
(7)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート828、単環構造、全骨格100重量%中での多環式芳香族炭化水素骨格の占める割合45重量%、単環構造)
(8)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、商品名:N−665、単環構造)
(高分子ポリマー(c))
(1)フルオレン型フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:FX293、重量平均分子量43,000)
(2)ビフェニル型フェノキシ樹脂1(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:YX6954、重量平均分子量39,000、Tg130℃)
(3)ビフェニル型フェノキシ樹脂2(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:YX8100、重量平均分子量37,000、ガラス転移温度Tg155℃)
(4)エポキシ基含有アクリル樹脂(日本油脂社製、商品名:マープルーフG0250S、重量平均分子量20,000)
(5)スチレン−メタクリル酸グリシジル樹脂(日本油脂社製、商品名:マープルーフG0250S、重量平均分子量20,000)
(高分子ポリマー(c)以外の高分子ポリマー)
(1)アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン社製、商品名:Nipol 1001、重量平均分子量30,000)
(硬化剤(b))
(1)酸無水物硬化剤(新日本理化社製、商品名:MH−700)
(2)フェノール系硬化剤(住友化学社製、商品名:EP415)
(3)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製、商品名:2MZA−PW)
(無機フィラー(e))
(1)表面疎水化ヒュームドシリカ(トクヤマ社製、商品名:MT−10、平均粒径15nm)
(2)球状シリカ(トクヤマ社製、商品名:SE−5、平均粒径5μm)
(3)層状珪酸塩(コープケミカル社製、商品名:STN65meq−w1)
(4)窒化アルミニウム(古川電子社製、商品名:FAN−f30、平均粒径30μm)
(5)アルミナ(デンカ社製、商品名:DAM−10、平均粒径10μm)
(ゴム微粒子(f))
(1)コアシェル型ゴム微粒子(f)(三菱レーヨン社製、商品名:KW4426、メチルメタクリレートからなるシェルと、ブチルアクリレートからなるコアとを有するゴム微粒子、平均粒径5μm)
(2)シリコンゴム微粒子(f1)(東レ・ダウコーニング社製、商品名:トレフィルE601、平均粒径2μm)
(3)フッ素ゴム微粒子(f2)(ダイキン工業社製、商品名:ルブロンL20、平均粒径2μm)
(添加剤)
(1)エポキシシランカップリング剤(信越化学社製、商品名:KBM303)
(溶剤)
(1)メチルエチルケトン
(2)ジメチルホルムアミド
(3)メチルイソブチルケトン
(合成例1)
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管及び撹拌器を取り付けたフラスコに、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル242g(1.0モル)、ベンジルアルコール432g(4.0モル)を仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら撹拌した。これにメタンスルホン酸10gを発熱に注意しながら添加した。その後油浴中で150℃まで加熱し、分留管を用いて生成するメタノールを抜き出した後、更に5時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1400gを加え、溶解後、分液ロートに移した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から溶媒を加熱減圧下に除去し、変性2価フェノール化合物579gを得た。
温度計、滴下ロート、冷却管及び撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、得られた変性2価フェノール化合物305g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加し、80℃で2時間反応させた後に、洗浄液のPHが中性を示すまで水150gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、上記式(A)で表されるビフェニル含有ノボラック型エポキシ樹脂A356gを得た。
(合成例2)
300mlの4口フラスコに、トルエン55g、p−(1−アダマンチル)フェノ−ル50.2g、炭酸ソ−ダ23.3gを仕込み70℃に昇温した。これに4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル25.1gを少量ずつ1時間かけて添加した。この後、80℃で8時間、95℃で5時間反応させた。塩化水素ガスの発生は殆ど認められなかった。反応終了後、析出した塩を除去し、メタンスルフォン酸0.1gを濾液に添加し、90℃で1時間反応させた。過剰のメタンスルフォン酸を苛性ソ−ダで中和した後、トルエンを留去し、冷却することにより、上記式(B)で表されるビフェニル含有ノボラック型エポキシ樹脂B45gを得た。
(実施例1)
ホモディスパー型攪拌機を用い、下記表1に示す割合(単位は重量部)で各材料を配合し、溶剤と共に均一に混練し、絶縁材料を調製した。
50μm厚の離型PETシートに、上記絶縁材料を200μm厚に塗工し、70℃オーブンにて1時間乾燥し、200μm厚の絶縁フィルムを作製した。
(実施例2〜28及び比較例1〜8)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1,2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして絶縁材料を調製し、絶縁フィルムを作製した。
(実施例及び比較例の絶縁材料の評価)
各絶縁フィルムについて、以下の項目を評価した。
(1)絶縁破壊電圧
絶縁フィルムを100mm×100mm角に切り出したものを200℃オーブンで1時間硬化し、テストサンプルを作製した。このサンプルを耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)にて、20kV/60秒の速度で電圧をかけ、3mAの電流が流れた場合の電圧を絶縁破壊電圧として測定した。
(2)ガラス転移温度
絶縁フィルムを5mm×50mm角に切り出したものを200℃オーブンで1時間硬化し、テストサンプルを作製した。これをDMA装置(DVA−200、アイティー計測制御社製)にて引っ張りモード、チャック間距離24mm、昇温速度5℃毎分、測定周波数10Hz、1%歪みで−60〜320℃まで昇温した時の温度―貯蔵弾性率(E’)、温度−損失弾性率(E”)、温度−E”/E’(tanδ)の傾きを測定し、tanδの最大ピーク温度をガラス転移温度として算出した。絶縁材料のガラス転移温度としては、170℃以上が好ましく、より好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上である。
(3)線膨張係数
絶縁フィルムを3mm×25mm角に切り出したものを200℃オーブンで1時間硬化し、テストサンプルを作製した。これをTMA装置(TMA/SS6000、セイコーインストロメント社製)にて10℃毎分で320℃まで1回昇温したのち−45℃から130℃まで10℃毎分で昇温した時の温度―TMA直線の傾きを測定し、その逆数を線膨張係数として算出した。絶縁材料の線膨張係数としては、40ppm以下が好ましく、より好ましくは30ppm以下が好ましい。
(4)冷熱サイクル試験後のクラック又は剥離の有無
銅基板の上にシリコンチップを半田付けした上から基板全体を絶縁材料を真空ラミネーター(MVLP−500、メイキ製作所製)にて40℃の条件下でラミネートし、200℃オーブンで1時間加熱硬化し、テストサンプルを作製した。これを1チャンバー式冷熱サイクル試験機(WINTECH NT510、ETACH社製)にて−40℃、20分及び125℃20分を1サイクルとして500サイクルまたは1000サイクル行った。試験後の硬化物表面のクラックの有無を光学顕微鏡(TRANSFORMER−XN、Nikon社製)、剥離の有無を超音波探傷装置(mi−scope hyper、日立建機ファインテック社製)にて観察した。テストサンプル10検体中のクラック又は剥離が発生したテストサンプルの数を数え、下記の基準により評価した。
冷熱サイクル試験後のクラック又は剥離の有無の評価基準
◎:クラック又は剥離の発生したテストサンプルが10検体中、0検体
〇:クラック又は剥離の発生したテストサンプルが10検体中、1〜2検体
△:クラック又は剥離が発生したテストサンプルが10検体中、3〜4検体
×:クラック又は剥離が発生したテストサンプルが10検体中、5検体以上
(5)高温放置試験後のクラック又は剥離の有無
銅基板の上にシリコンチップを半田付けした上から基板全体に絶縁材料を真空ラミネーター(MVLP−500、メイキ製作所製)にて40℃の条件下でラミネートし、200℃オーブンで1時間加熱硬化し、テストサンプルを作製した。これを200℃オーブンに500時間または1000時間放置した。試験後の硬化物表面のクラックの有無を光学顕微鏡(TRANSFORMER−XN、Nikon社製)、剥離の有無を超音波探傷装置(mi−scope hyper、日立建機ファインテック社製)にて観察した。テストサンプル10検体中のクラック又は剥離が発生したテストサンプルの数を数え、下記の基準により評価した。
高温放置試験後のクラック又は剥離の有無の評価基準
◎:クラック又は剥離の発生したテストサンプルが10検体中、0検体
〇:クラック又は剥離の発生したテストサンプルが10検体中、1〜2検体
△:クラック又は剥離が発生したテストサンプルが10検体中、3〜4検体
×:クラック又は剥離が発生したテストサンプルが10検体中、5検体以上
結果を下記表1,2に示す。
(6)未硬化の絶縁フィルムのタック性
未硬化の絶縁フィルムの表面を指で触れて、下記評価基準により、タック性を官能評価した。
タック性の評価基準
◎:指触により粘着力を充分感じる程度にタック性があり、初期粘着力に非常に優れる。
〇:指触により粘着力を感じる程度にタック性があり、初期粘着力に優れる。
△:指触により粘着力をやや感じる程度にタック性があり、初期粘着力を有する。
×:指触により粘着力をほとんど感じない程度にしかタック性がなく、初期粘着力が充分ではない。
(7)未硬化の絶縁フィルムの取扱性
絶縁フィルムを離型PETシートごとA4サイズにカットし、離型PETシートから絶縁フィルムを剥離する際の取扱性を下記評価基準で評価した。
取扱性の評価基準
〇:問題なく取り扱える
△:フィルム状ではあるが、僅かな力で伸び、破断がおきる
×:フィルムを形成していない
(8)硬化後の絶縁フィルムの引っぱり破断伸び率
テンシロン万能試験機(ORIENTEC社製:RTC−1310A)を用いて、試料サイズ1cm×10cm及び試料厚み200μmの絶縁フィルムの硬化物の引っぱり破断伸び率を、チャック間距離50mm、引っぱり速度5mm/分、試験環境23℃及び相対湿度50%で測定した。
結果を下記の表1,2に示す。
Figure 2007129662
Figure 2007129662

Claims (22)

  1. 電子部品装置用の絶縁材料であって、
    硬化性化合物(a)と、硬化剤(b)と、芳香族骨格を有する高分子ポリマー(c)と、無機フィラー(e)と、ゴム微粒子(f)とを含有し、
    前記硬化性化合物(a)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に多環式芳香族炭化水素骨格(a1)を有する硬化性化合物、または、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、かつ少なくとも主鎖の一部に2個以上の芳香環が単結合で直接結合した骨格(a2)を有する硬化性化合物であり、前記硬化性化合物(a)の全骨格100重量%中、前記骨格(a1)または前記骨格(a2)の占める割合が30重量%以上であり、
    絶縁材料に含まれている全樹脂成分の合計100重量%中、前記硬化性化合物(a)を20〜90重量%の範囲、前記高分子ポリマー(c)を5〜60重量%の範囲でそれぞれ含み、
    絶縁材料100体積%中、前記無機フィラー(e)を40〜90体積%の範囲で含むことを特徴とする、絶縁材料。
  2. 前記硬化性化合物(a)は、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、フルオレン骨格、キサンテン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有する、請求項1に記載の絶縁材料。
  3. 前記高分子ポリマー(c)がエポキシ基を有する、請求項1または2に記載の絶縁材料。
  4. 前記高分子ポリマー(c)が、スチレン系重合体及び/又はフェノキシ樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  5. 前記フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgが、110〜200℃の範囲にある、請求項4に記載の絶縁材料。
  6. 前記フェノキシ樹脂が、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有する、請求項4または5に記載の絶縁材料。
  7. 前記フェノキシ樹脂が、下記式(1)〜(6)で表される骨格のうち、少なくとも1つの骨格を有する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の絶縁材料。
    Figure 2007129662
    (上記式(1)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Xは単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、又は−CO−から選ばれる基である。)
    Figure 2007129662
    (上記式(2)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。)
    Figure 2007129662
    (上記式(3)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子から選ばれる基であり、lは0〜4の整数である。)
    Figure 2007129662
    Figure 2007129662
    (上記式(5)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子から選ばれるものであり、Xは−SO−、−CH−、−C(CH−、または−O−のいずれかであり、kは0または1の値である。)
    Figure 2007129662
  8. 前記フェノキシ樹脂が、下記式(7)または下記式(8)で表されるフェノキシ樹脂である、請求項7に記載の絶縁材料。
    Figure 2007129662
    (上記式(7)中、Aは上記式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(1)で表わされる構造が0〜60モル%、上記式(2)で表わされる構造が5〜95モル%、及び上記式(3)で表わされる構造が5〜95モル%であり、Aは水素原子、または上記式(4)で表される基であり、nは平均値で25〜500の数である。)
    Figure 2007129662
    (上記式(8)中、Aは上記式(5)または上記式(6)で表される構造を有し、nは少なくとも21以上の値である。)
  9. 少なくとも主鎖の一部に脂肪族環状骨格を有する液状エポキシ樹脂(d)をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  10. 絶縁材料に含まれている全樹脂成分の合計100重量%中、前記硬化性化合物(a)を20〜90重量%の範囲、前記高分子ポリマー(c)を5〜60重量%の範囲、前記液状エポキシ樹脂(d)を3〜40重量%の範囲でそれぞれ含む、請求項9に記載の絶縁材料。
  11. 前記液状エポキシ樹脂(d)は、エポキシ当量が170以下であり、かつ25℃における粘度が0.5Pa・s以下である、請求項9または10に記載の絶縁材料。
  12. 前記液状エポキシ樹脂(d)が、ジシクロペンタジエン骨格またはシクロヘキサン骨格を有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  13. 前記ゴム微粒子(f)が、フッ素化合物(f2)、またはシロキサン結合を主骨格に有し、かつシリル基に有機置換基を有する化合物(f1)である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  14. 硬化後の絶縁破壊電圧が40kV/mm以上である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  15. フィルム状に成形されている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  16. 硬化後の引っ張り破断伸び率が2〜50%の範囲にある、請求項15に記載の絶縁材料。
  17. 前記電子部品装置が電子部品素子としての半導体素子を有する半導体装置であり、該半導体装置用の絶縁材料であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の絶縁材料。
  18. 前記半導体素子が電力用デバイス素子である、請求項17に記載の絶縁材料。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の絶縁材料を用いて電子部品装置を製造する方法であって、
    電子部品素子が実装された基板の電子部品素子の外表面の少なくとも一部を前記絶縁材料で被覆して絶縁材料層を形成する工程と、
    前記絶縁材料層を硬化させて前記絶縁層とする工程と、
    前記絶縁材料層または絶縁層に高密度エネルギー線を照射し、前記絶縁層に配線用の孔を形成する工程と、
    前記孔に配線材料を充填する工程と、
    前記孔に充填された配線材料と電気的に接続される配線パターンを前記絶縁材料層または絶縁層の表面に形成する工程とを備えることを特徴とする、電子部品装置の製造方法。
  20. 前記電子部品素子として半導体素子を用い、前記電子部品装置として半導体装置を製造することを特徴とする、請求項19に記載の電子部品装置の製造方法。
  21. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の絶縁材料の硬化物からなる絶縁層を有する電子部品装置であって、
    基板と、
    前記基板上に実装された電子部品素子と、
    前記絶縁材料の硬化物により形成されており、前記電子部品素子の外表面の少なくとも一部を被覆するように設けられている絶縁層とを備え、該絶縁層には前記電子部品素子の外表面から絶縁層の表面に至る孔が形成されており、
    前記絶縁層の前記孔に充填された配線材料と、
    前記絶縁層表面に形成されており、前記配線材料に電気的に接続されるように設けられた配線パターンとをさらに備えることを特徴とする、電子部品装置。
  22. 前記電子部品素子が半導体素子であり、それによって半導体装置が構成されている、請求項21に記載の電子部品装置。
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