JP4922108B2 - 絶縁シート及び積層構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体を導電層に接着するのに用いられる絶縁シートに関し、より詳細には、未硬化状態ではシート特性に優れ、かつ接着性、耐熱性、耐電圧性及び熱伝導率に優れた硬化物を与える絶縁シート、及び該絶縁シートを用いた積層構造体に関する。
近年、電気機器の小型化及び高性能化が進行している。それに伴って、電子部品の実装密度が高くなってきており、電子部品から発生する熱を放散させる必要が高まってきている。熱を放散させる方法としては、発熱源に対して、高い放熱性を有する熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体を接着する方法が広く採用されている。熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体としては、例えばアルミニウム等が用いられている。また、この高熱伝導体の接着に際しては、絶縁性を有する絶縁接着材料が用いられている。該絶縁接着材料には、高い熱伝導率を有することが強く求められている。
上記絶縁接着材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、エラストマー及び無機充填剤を含有する接着剤組成物を、ガラスクロスに含浸させた絶縁接着シートが開示されている。
一方、ガラスクロスを用いない絶縁接着材料も知られている。例えば、下記の特許文献2の実施例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノールノボラック、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びアルミナを含む絶縁接着剤が開示されている。また、特許文献2では、エポキシ樹脂の硬化剤として、3級アミン、酸無水物、イミダゾール化合物、ポリフェノール樹脂、マスクイソシアネート等が挙げられている。
特開2006−342238号公報 特開平8−332696号公報
しかしながら、特許文献1では、ハンドリング性などのシート特性を高めるために、ガラスクロスが用いられていた。ガラスクロスを用いた場合には、薄膜化が困難であったり、レーザー加工性、ドリル穴開け加工等の各種加工性に劣ることがあった。さらに、ガラスクロスを含む絶縁接着シートは、熱伝導率が比較的低く、充分な放熱性が得られないことがあった。さらに、特許文献1では、ガラスクロスに接着剤組成物を含浸させるために、特殊な含浸設備を用意しなければならなかった。
一方、特許文献2の絶縁接着剤は、未硬化ではそれ自体が自立性を有するシートではなった。すなわち、特許文献2の絶縁接着剤は、未硬化ではゲル化していない状態、あるいはBステージ状態であり、ハンドリング性に劣るものであった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体を導電層に接着するのに用いられ、未硬化状態ではシート特性に優れ、接着性、耐熱性、耐電圧性及び熱伝導率に優れた硬化物を与える絶縁シート、及びそれを用いた積層構造体を提供することにある。
本発明は、熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体を導電層に接着するのに用いられる絶縁シートであって、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が3万以上であるポリマー(A)と、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B)と、フェノール樹脂、もしくは芳香族骨格または脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)とを含有し、前記ポリマー(A)が熱硬化性樹脂であり、前記ポリマー(A)と、前記エポキシモノマー(B)と、前記硬化剤(C)とを含む絶縁シート中の樹脂成分の合計100重量部に対して、前記ポリマー(A)を30〜60重量部、前記エポキシモノマー(B)を10〜60重量部の割合でそれぞれ含有し、未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度Tgが25℃以下であることを特徴とする。
本発明では、上記ポリマー(A)としては、様々なポリマーを用いることができるが、フェノキシ樹脂が好ましい。この場合、耐熱性をより一層高めることができる。また、上記フェノキシ樹脂は、ガラス転移温度Tgが100℃以上であることが好ましい。この場合、樹脂の熱劣化をより一層抑制することができる。
本発明では、上記硬化剤(C)としては、様々な硬化剤を用いることができるが、メラミン骨格、又はトリアジン骨格を有するフェノール樹脂、またはアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。この場合、シート柔軟性や難燃性をより一層高めることができる。
また、本発明では、上記硬化剤(C)としては、多脂環式骨格を有する酸無水物、もしくはテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られた脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物も好ましく用いられる。この場合、シートの柔軟性、耐湿性、接着性などをより一層高めることができる。
本発明では、硬化剤(C)として、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される酸無水物がより好ましく用いられる。この場合、シートの柔軟性、耐湿性、接着性などをより一層高めることができる。
Figure 0004922108
Figure 0004922108
Figure 0004922108
上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜5のアルキル基、又は水酸基を示す。
本発明では、前記フィラー(D)としては、特に限定はされないがアルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種が好ましく、球状アルミナまたは球状窒化アルミニウムがより好ましい。これらのフィラー(D)を用いると、放熱性をより一層高めることができる。
また、本発明のある特定の局面では、絶縁シートは、ゴム粒子(E)をさらに含む。ゴム粒子(E)を含む場合には、硬化後の絶縁シートの柔軟性及び応力緩和性をより一層高めることができる。
本発明では、前記ゴム粒子(E)としては、シリコーンゴムが好ましく用いられる。シリーコンゴムを用いた場合には、応力緩和性をさらに一層高めることができる。
本発明に係る積層構造体は、熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体の少なくとも片面に、絶縁層を介して導電層が積層されており、該絶縁層が、本発明に従って構成された絶縁シートを硬化させて形成されていることを特徴とする。
本発明に係る積層体では、高熱伝導体としては金属が好ましい。
本発明に係る絶縁シートでは、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が3万以上であるポリマー(A)と、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B)と、フェノール樹脂、もしくは芳香族骨格または脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)とを上記特定の割合で含有し、未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度Tgが25℃以下であるので、未硬化状態では、ハンドリング性が高く、シート特性に優れている。また、絶縁シートの硬化物は接着性、耐熱性、耐電圧性及び熱伝導率に優れている。
本発明に係る積層構造体は、熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体の少なくとも片面に、絶縁層を介して導電層が積層されており、該絶縁層が、本発明に従って構成された絶縁シートを硬化させて形成されているので、導電層側からの熱が絶縁層を介して熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体に伝わり易く、該高熱伝導体によって熱を効率的に放散させることができる。
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が3万以上であるポリマー(A)と、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B)と、フェノール樹脂、もしくは芳香族骨格または脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)とを上記特定の割合で含む組成とし、かつ未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度Tgを25℃以下とすることによって、未硬化状態ではシート特性に優れ、硬化後には、優れた接着性、耐熱性、耐電圧性及び熱伝導率が得られることを見出し、本発明を成すに至った。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る絶縁シートは、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が3万以上であるポリマー(A)と、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B)と、フェノール樹脂、もしくは芳香族骨格または脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)とを含有する。
(ポリマー(A))
本発明に係る絶縁シートは、ポリマー(A)を含む。ポリマー(A)は、芳香族骨格を有し、かつその重量平均分子量は3万以上である。
上記ポリマー(A)は、芳香族骨格をポリマー全体の中に有していればよく、主鎖骨格内に含んでいてもよく、側鎖中に含んでいてもよい。高い耐熱性を得ることができるので、ポリマー(A)は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。
上記芳香族骨格としては特に限定はされず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格等が挙げられる。なかでも、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性等の耐熱性がより一層高められるので、ビフェニル骨格、フルオレン骨格が好ましい。
上記ポリマー(A)としては特に限定はされず、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを用いることができる。
上記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、スチレン系樹脂、フェノキシ樹脂、フタレート樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂などのアミノ系樹脂、フェノール系樹脂、熱硬化性ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アミノアルキド系樹脂等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のなかでも、スーパーエンプラと呼ばれる耐熱性樹脂群を使用することもできる。スーパーエンプラとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジン、ポリベンゾオキサゾールとベンゾオキサジンとの反応物などが挙げられる。これら熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
上記ポリマー(A)としては、酸化劣化を防止でき、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性等の耐熱性がより一層高められるので、スチレン系重合体及び/又はフェノキシ樹脂が好ましく、フェノキシ樹脂がより好ましい。
上記スチレン系重合体としては、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等から少なくとも一つ選ばれるスチレン系モノマーの単独重合体、又はこれらモノマーと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等から必要に応じて選ばれるアクリル系モノマーとの共重合体等を用いることができる。中でも、スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン系重合体を好適に用いることができる。
上記フェノキシ樹脂としては、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。中でも、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性等の耐熱性がより一層高められるので、フルオレン骨格及び/又はビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。
上記フェノキシ樹脂は、下記式(4)〜(9)で表される骨格のうち、少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。
Figure 0004922108
上記式(4)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、Xは単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、又は−CO−から選ばれる基である。
Figure 0004922108
上記式(5)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。
Figure 0004922108
上記式(6)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、lは0〜4の整数である。
Figure 0004922108
Figure 0004922108
上記式(8)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子から選ばれるものであり、Xは−SO−、−CH−、−C(CH−、または−O−のいずれかであり、kは0または1の値である。
Figure 0004922108
上記ポリマー(A)としては、例えば、下記式(10)または下記式(11)で表されるフェノキシ樹脂を好適に用いることができる。
Figure 0004922108
上記式(10)中、Aは上記式(4)〜(6)のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(4)で表される構造が0〜60モル%、上記式(5)で表される構造が5〜95モル%、及び上記式(6)で表される構造が5〜95モル%であり、Aは水素原子、または上記式(7)で表される基であり、nは平均値で25〜500の数である。
Figure 0004922108
上記式(11)中、Aは上記式(8)または上記式(9)で表される構造を有し、nは少なくとも21以上の値である。
上記ポリマー(A)のガラス転移温度Tgは、60〜200℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、90〜180℃の範囲である。ポリマー(A)のTgが低すぎると、樹脂が熱劣化する場合があり、高すぎると、他の樹脂との相溶性が悪くなり、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性等の耐熱性が低下することがある。
上記ポリマー(A)がフェノキシ樹脂である場合、ガラス転移温度Tgは、100℃以上であることが好ましく、110〜200℃の範囲がより好ましく、110〜180℃の範囲がさらに好ましい。フェノキシ樹脂のTgが低すぎると、樹脂が熱劣化することがあり、高すぎると、他の樹脂との相溶性が悪くなり、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性等の耐熱性が低下することがある。
上記ポリマー(A)の重量平均分子量は、30,000以上であるが、30,000〜1,000,000の範囲が好ましい。より好ましくは、40,000〜250,000の範囲である。重量平均分子量が小さすぎると、熱劣化することがあり、大きすぎると、他の樹脂との相溶性が悪くなり、耐冷熱サイクル性及び耐高温放置性等の耐熱性が低下する場合がある。
上記ポリマー(A)は、絶縁シート中の全樹脂成分の合計100重量部に対して、20〜60重量部の割合で含有される。より好ましくは、30〜50重量部の範囲である。ポリマー(A)が多すぎると、フィラー(D)の分散が困難になることがあり、少なすぎると、絶縁シートのハンドリング性に劣ることがある。なお、全樹脂成分とは、ポリマー(A)、エポキシモノマー(B)、硬化剤(C)及び必要に応じて添加される他の樹脂構成成分の総和をいうものとする。
(エポキシモノマー(B))
本発明に係る絶縁シートは、エポキシモノマー(B)を含む。エポキシモノマー(B)は、芳香族骨格を有し、かつその重量平均分子量は600以下である。
上記エポキシモノマー(B)としては特に限定はされないが、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー;ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマーなどのジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー;1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等のナフタレン骨格を有するエポキシモノマー;1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンテン、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンテン等のアダマンテン骨格を有するエポキシモノマー;9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等のフルオレン骨格を有するエポキシモノマー、4,4’−ジグリシジルビフェニル、4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等のビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂;1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等のバイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー;1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等のキサンテン骨格を有するエポキシモノマー;アントラセン骨格やピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらのエポキシモノマーは、1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記エポキシモノマー(B)は、絶縁シート中の全樹脂成分の合計100重量部に対して、10〜60重量部の割合で含有される。より好ましくは、10〜40重量部の範囲である。エポキシモノマー(B)が多すぎると、絶縁シートの柔軟性が低下することがあり、少なすぎると、接着性、耐熱性が低下することがある。
(硬化剤(C))
本発明に係る絶縁シートは、硬化剤(C)を含む。硬化剤(C)は、フェノール樹脂、もしくは芳香族骨格または脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物である。
上記フェノール樹脂としては、特に限定されないが、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタンが挙げられる。なかでも、シート柔軟性や難燃性がより一層高められるので、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、またはアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010、NEH−8015(明和化成社製)、YLH903(ジャパンエポキシレジン社製)、LA―7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356、LA−3018−50P(大日本インキ化学社製)、PS6313及びPS6492(群栄化学社製)等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物としては、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物系硬化剤が挙げられる。なかでも、耐水性が高められるので、メチルナジック酸無水物やトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60、SMAレジンEF80(サートマー・ジャパン社製)、ODPA−M、PEPA(マナック社製)、リカジットMTA―10、リカジットMTA−15、リカジットTMTA、リカジットTMEG−100、リカジットTMEG−200、リカジットTMEG−300、リカジットTMEG−500、リカジットTMEG−S、リカジットTH、リカジットHT−1A、リカジットHH、リカジットMH−700、リカジットMT−500、リカジットDSDA、リカジットTDA−100(新日本理化社製)、EPICLON B4400、EPICLON B650、EPICLON B570(大日本インキ化学社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物としては、メチルナジック酸無水物、テルペン系化合物と無水マレイン酸の付加反応物及び、その水添加物又はその変性物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又はその変性物等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物の市販品としては、リカジットHNA、リカジットHNA−100(新日本理化社製)、エピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H、エピキュアYH309(ジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
上記硬化剤(C)としては、シートの柔軟性、耐湿性、接着性などがより一層高められるので、多脂環式骨格を有する酸無水物、もしくはテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られた脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物が好ましい。
また、上記硬化剤(C)としては、シートの柔軟性、耐湿性、接着性などがより一層高められるので、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される酸無水物がより好ましい。
Figure 0004922108
Figure 0004922108
Figure 0004922108
上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜5のアルキル基、又は水酸基を示す。
硬化速度や硬化物の物性などを調整するために、上記硬化剤とともに、硬化促進剤を併用しても良い。
上記硬化促進剤としては特に限定されないが、例えば、3級アミン、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類、有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やアルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物類;4級アンモニウム塩類;金属ハロゲン化物が挙げられる。
上記硬化促進剤としては、さらに高融点イミダゾール化合物、ジシアンジアミド又はアミンをエポキシモノマー等に付加したアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性促進剤、イミダゾール系、リン系又はホスフィン系の促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型で熱カチオン重合型の潜在性硬化促進剤等に代表される潜在性硬化促進剤を使用することもできる。なかでも、硬化速度や硬化物の物性などの調整をするための反応系の制御をしやすいことから、高融点イミダゾール系硬化促進剤が好適に用いられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。取扱性に優れているので、硬化促進剤の融点は100℃以上が好ましい。
(フィラー(D))
本発明に係る絶縁シートは、フィラー(D)を含む。フィラー(D)を含むことによって、放熱性が高められる。
上記フィラー(D)としては特に限定されないが、放熱性がより一層高められるので、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種が好ましい。なかでも、放熱性がさらに一層高められるので、球状アルミナまたは球状窒化アルミニウムがより好ましい。
上記フィラー(D)の平均粒子径は、0.1〜40μmの範囲が好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であると、高充填が困難なことがあり、40μmを超えると、耐電圧性に劣ることがあり、作業性に劣る。
上記フィラー(D)の配合量としては、絶縁シート100体積%中、50〜90体積%の範囲が好ましい。50体積%未満では、放熱性が充分に高められないことがあり、90体積%を超えると、絶縁シートの柔軟性、接着性が著しく低下するおそれがある。
(ゴム粒子(E))
本発明に係る絶縁シートは、ゴム微粒子(E)を含むことが好ましい。
上記ゴム粒子(E)としては特に限定されないが、例えば、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等を性状を問わず用いることができる。なかでも、応力緩和性、硬化後の絶縁シートの柔軟性が高められるので、シリコーンゴムが好ましい。
上記ゴム粒子(E)と上記フィラー(D)とを併用することで、絶縁シートが低い線熱膨張率と同時に応力緩和能を有し、高温下や冷熱サイクル条件下での剥離やクラック等の発生をより一層抑制することができる。
上記ゴム粒子(E)の配合割合としては、絶縁シート100重量%中、0.1〜40重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜20重量%の範囲である。ゴム粒子(E)が少なすぎると、硬化物の応力緩和性が十分に発現しないことがあり、多すぎると、接着性が低くなることがある。
(他の成分)
本発明に係る絶縁シートは、より一層高いシート特性を得るために、ガラスクロス、ガラス不織布、アラミド不織布等の基材物質を含んでいてもよい。もっとも、それら基材物質を含まなくても、絶縁シートは優れたシート特性を有する。絶縁シートはガラスクロスを含まないことが好ましい。本発明では、上記各成分(A)〜(D)を上記特定の割合で含むので、上記基材物質を含まなくても、シート特性に優れた絶縁シートを得ることができる。上記基材物質を含まない場合、絶縁シートの薄膜化が可能であり、かつ絶縁シートの熱伝導率がより一層高められ、さらに必要に応じて絶縁シートにレーザー加工、ドリル穴開け加工等の各種加工を容易に行うこともできる。
また、本発明の絶縁シートは、必要に応じて、チキソ性付与剤、分散剤、難燃剤、着色剤を含有していても良い。
上記チキソ性付与剤としては、特に限定されないが、ポリアマイド樹脂、脂肪酸アマイド樹脂、ポリアミド樹脂、フタル酸ジオクチル樹脂などが挙げられる。
上記分散剤としては、脂肪酸せっけん、アルキルサルフェート、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、等のアニオン性分散剤、デシルアミン酢酸塩、トリメチルアンモニウムクロライド、ジメチル(ベンジル)アンモニウムクロライド等のカチオン性分散剤、ポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコールエステル、ソルビタンエステル、ソルビタンエステルエーテル、モノグリセライド、ポリグリセリンアルキルエステル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリエーテルアミン、アミンオキサイド、エチレングリコールジステアレート等のノニオン性分散剤等が挙げられる。
上記難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドーソナイト、アルミン酸化カルシウム、2水和石こう、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物、赤りんやポリリン酸アンモニウム、トリフェニルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、リン等のリン酸エステル、リン含有エポキシ樹脂、リン含有フェノキシ樹脂、リン含有ビニル化合物などのリン含有樹脂などのリン系化合物、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、リン酸メラミン及びこれらに表面処理が施されたメラミン誘導体などの窒素系化合物、ハイドロタルサイトなどの層状複水和物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物、デカブロモジフェニルエーテル、トリアリルイソシアヌレート6臭化物などの臭素系化合物、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素含有エポキシ樹脂などが挙げられる。なかでも、金属水酸化物、リン系化合物、臭素系化合物、及びメラミン誘導体が好適に用いられる。
上記着色剤としては、例えばカーボンブラック、黒鉛、フラーレン、チタンカーボン、二酸化マンガン、フタロシアニンなどの顔料または染料を用いることができる。
(絶縁シート)
本発明に係る絶縁シートは、特に限定はされないが、例えば、上述した材料を混合したものを溶剤キャスト法、押し出し成膜等の方法でシート状に成形することにより得ることができる。シート状に成形する際に、脱泡することが好ましい。本発明に係る絶縁シートは、上記各成分(A)〜(D)を上記特定の割合で含むので、ハンドリング性が高く、シート特性に優れている。また、絶縁シートは、室温(23℃)において自立性を有し、取扱性にも優れている。
絶縁シートの膜厚としては特に限定はされないが、10〜300μmの範囲が好ましい。より好ましくは、50〜200μmの範囲であり、特に好ましくは70〜120μmである。膜厚が薄すぎると、絶縁性が低下することがあり、厚すぎると、金属体を導電層に接着したときに放熱性が低下することがある。
本発明に係る絶縁シートは、特に膜厚が厚い場合に極めて高い耐電圧性を得ることができる。もっとも、膜厚が薄くても、絶縁シートは充分な耐電圧性を有する。
また、本発明に係る絶縁シートの未硬化状態でのガラス転移温度Tgは、25℃以下である。ガラス転移温度が25℃を超えると、室温において固く、かつ脆くなる場合がありシートのハンドリングが低下する原因となる。
絶縁シートの硬化後の熱伝導率は、1.5w/m・k以上であることが好ましい。より好ましくは2.0w/m・k以上、更に好ましくは3.0w/m・k以上である。熱伝導率が低すぎると、充分な放熱性が得られないことがある。
絶縁シートの硬化後の絶縁破壊電圧は、30kV/mm以上であることが好ましい。より好ましくは、40kV/mm以上、さらに好ましくは50kV/mm以上である。絶縁破壊電圧が低すぎると、例えば電力素子用のような大電流用途に用いた場合に充分な絶縁性が得られないことがある。
絶縁シートの硬化後の体積抵抗率は、1014Ω・cm以上であることが好ましい。より好ましくは1016Ω・cm以上である。体積抵抗率が低すぎると、導体層と高熱伝導体間の絶縁を保てないことがある。
絶縁シートの硬化後の熱線膨張率は、30ppm/℃以下であることが好ましい。より好ましくは、20ppm/℃以下である。熱線膨張率が高すぎると、耐冷熱サイクル性に劣ることがある。
本発明に係る絶縁シートは、熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体を導電層に接着するのに用いられる。また、本発明に係る絶縁シートは、熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体の少なくとも片面に、絶縁層を介して導電層が積層されている積層構造体の絶縁層を構成するのに好適に用いられる。例えば、両面銅回路付き積層板または多層配線板、銅箔、銅板、半導体素子、半導体パッケージ等の各導電層に、絶縁シートを介して金属体を接着させた後、絶縁シートを硬化させることにより、上記積層構造体を得ることができる。この積層構造体では、絶縁層が高い熱伝導率を有するので、導電層側からの熱が絶縁層を介して熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体に伝わり易く、該高熱伝導体によって熱を効率的に放散させることができる。
上記熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体としては特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銅、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミ、グラファイトシート等が挙げられる。中でも、放熱性に優れているので、銅、アルミニウムが好ましい。
本発明に係る絶縁シートは、基板上に半導体素子が実装されている半導体装置の導電層に熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体を接着するのに好適に用いられる。半導体素子以外の電子部品素子が、基板上に搭載されている電子部品装置の導電層に熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体を接着するのにも好適に用いられる。
半導体素子が大電流用の電力用デバイス素子の場合には、より一層高い絶縁性、あるいはより一層高い耐熱性などが求められる。従って、このような用途において、本発明の絶縁シートはより好ましく用いられる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の材料を用意した。
ポリマー(A)
(1)エポキシ基含有スチレン樹脂(日本油脂社製、商品名:マープルーフG−1010S、Mw=100,000、Tg=93℃)
(2)ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:E1256、Mw=51,000、Tg=98℃)
(3)高耐熱フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:FX−293、Mw=43,700、Tg=163℃)
ポリマー(A)以外のポリマー
(1)エポキシ基含有アクリル樹脂(日本油脂社製、商品名:マープルーフG−0130S、Mw=9,000,Tg=69℃)
エポキシモノマー(B)
(1)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:エピコート828US、Mw=370)
(2)ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:エピコート806L、Mw=370)
(3)3官能グリシジルジアミン型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート630、Mw=300)
(4)フルオレン骨格エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル社製、商品名:オンコートEX1011、Mw=486)
(5)ナフタレン骨格液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製、商品名:EPICLON HP−4032D、Mw=304)
エポキシモノマー(B)以外のエポキシモノマー
(1)ヘキサヒドロフタル酸骨格液状エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名:AK−601、Mw=284)
(2)ビスフェノールA型固体状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:1003、Mw=1300)
硬化剤(C)
(1)脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:MH−700)
(2)芳香族骨格酸無水物(サートマー・ジャパン社製、商品名:SMAレジンEF60)
(3)多脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:HNA−100)
(4)テルペン骨格酸無水物(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピキュアYH−306)
(5)ビフェニル骨格フェノール樹脂(明和化成社製、商品名:MEH−7851−S)
(6)アリル骨格フェノール樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:YLH−903)
(7)トリアジン骨格フェノール樹脂(大日本インキ化学社製、商品名:フェノライトKA−7052−L2)
(8)メラミン骨格フェノール樹脂(群栄化学工業社製、商品名:PS−6492)
(9)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製、商品名:2MZA−PW)
無機フィラー(D)
(1)表面疎水化ヒュームドシリカ(トクヤマ社製、商品名:MT−10、平均粒径15nm)
(2)球状アルミナ(デンカ社製、商品名:DAM−10、平均粒径10μm)
(3)窒化ホウ素(昭和電工社製、商品名:UHP−1、平均粒径8μm)
(4)窒化アルミ(東洋アルミ社製、商品名:TOYALNITE―FLX、平均粒径14μm)
(5)炭化ケイ素(信濃電気製錬社製、商品名:シナノランダムGP#700、平均粒径17μm)
ゴム粒子(E)
(1)コアシェル型ゴム微粒子(三菱レーヨン社製、商品名:KW4426、メチルメタクリレートからなるシェルと、ブチルアクリレートからなるコアとを有するゴム微粒子、平均粒径5μm)
(2)シリコンゴム微粒子(東レ・ダウコーニング社製、商品名:トレフィルE601、平均粒径2μm)
添加剤
(1)エポキシシランカップリング剤(信越化学社製、商品名:KBE403)
溶剤
(1)メチルエチルケトン
参考例1)実施例1は欠番とする
ホモディスパー型攪拌機を用い、下記の表1に示す割合で各化合物を配合・混練し、絶縁材料を調製した。
上記絶縁材料を50μm離形PETシートに100μm厚に塗工し、90℃オーブンにて30分乾燥して、PETシート上に絶縁シートを作製した。
(実施例2〜14,16,18、参考例15,17,19及び比較例1〜3)実施例15,17,19は欠番とする
使用した化合物の種類及び配合量を下記の表1に示すようにしたこと以外は、参考例1と同様にして絶縁材料を調製し、PETシート上に絶縁シートを作製した。
参考例、実施例及び比較例の評価)
上記のようにして得られた各絶縁シートの未硬化状態での(1)ハンドリング性及び(2)ガラス転移温度について以下の方法で評価した。また各絶縁シートを以下の要領で硬化し、(3)熱伝導率、(4)引き剥がし強さ、(5)絶縁破壊電圧、(6)半田耐熱を評価した。
(1.ハンドリング性)
PETシートと、該PETシート上に形成された絶縁シートとを460mm×610mm角に切り出したテストサンプルを用意した。このテストサンプルにおいて、室温(23℃)でPETシートから未硬化状態の絶縁シートを剥離したときのハンドリング性を下記の基準により評価を行った。
〇:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可能
△:絶縁シートを剥離できるが、シート伸びや破断が発生する
×:絶縁シートを剥離できない
(2.ガラス転移温度)
セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量測定装置「DSC220C」を用いて、3℃/分の昇温速度で未硬化状態の絶縁シートのガラス転移温度を測定した。
(3.熱伝導率)
絶縁シートの熱伝導率を、京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて測定した。
(4.引き剥がし強さ)
絶縁シートを1mm厚のアルミ板と35μm厚の電解銅箔間に挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間絶縁シートをプレス硬化し、金属ベース基板の銅張り積層板を形成した。得られた金属ベース基板の銅箔をエッチングして幅10mmの銅箔の帯を形成し、銅箔を基板に対して90℃の角度で50mm/分の引っ張り速度で剥離した際の引き剥がし強さを測定した。
(5.絶縁破壊電圧)
絶縁シートを100mm×100mm角に切り出したものを120℃オーブンで1時間、更に200℃オーブンで1時間硬化し、テストサンプルを作製した。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、1kV/秒の速度で電圧上昇して、テストサンプルの絶縁破壊電圧を測定した。
(6.半田耐熱)
上記(4)引き剥がし強さの評価で作製した銅張り積層基板を50mm×60mmのサイズに切り出した。これを288℃の半田浴に銅箔側を下に向けて浮かべ、銅箔の膨れ・剥がれが発生するまでの時間を測定し以下の基準で判定した。
〇:3分経過しても膨れ、剥離の発生なし
△:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ、剥離が発生した
×:1分経過する前に膨れ、剥離が発生
結果を下記の表1に示す。
Figure 0004922108

Claims (12)

  1. 熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体を導電層に接着するのに用いられる絶縁シートであって、
    芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が3万以上であるポリマー(A)と、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B)と、フェノール樹脂、もしくは芳香族骨格または脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)とを含有し、
    前記ポリマー(A)が熱硬化性樹脂であり、
    前記ポリマー(A)と、前記エポキシモノマー(B)と、前記硬化剤(C)とを含む絶縁シート中の樹脂成分の合計100重量部に対して、前記ポリマー(A)を30〜60重量部、前記エポキシモノマー(B)を10〜60重量部の割合でそれぞれ含有し、
    未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度Tgが25℃以下であることを特徴とする、絶縁シート。
  2. 前記ポリマー(A)がフェノキシ樹脂である、請求項1に記載の絶縁シート。
  3. 前記フェノキシ樹脂は、ガラス転移温度Tgが100℃以上である、請求項2に記載の絶縁シート。
  4. 前記硬化剤(C)が、メラミン骨格又はトリアジン骨格を有するフェノール樹脂、またはアリル基を有するフェノール樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  5. 前記硬化剤(C)が、多脂環式骨格を有する酸無水物、もしくはテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られた脂環式骨格を有する酸無水物、その水添加物又はその変性物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  6. 前記硬化剤(C)が、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される酸無水物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁シート。
    Figure 0004922108
    Figure 0004922108
    Figure 0004922108
    上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜5のアルキル基、又は水酸基を示す。
  7. 前記フィラー(D)が、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  8. 前記フィラー(D)が、球状アルミナまたは球状窒化アルミニウムである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  9. ゴム粒子(E)をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  10. 前記ゴム粒子(E)がシリコーンゴムである、請求項9に記載の絶縁シート。
  11. 熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体の少なくとも片面に、絶縁層を介して導電層が積層されており、該絶縁層が、請求項1〜10のいずれか1項に記載の絶縁シートを硬化させて形成されていることを特徴とする、積層構造体。
  12. 前記高熱伝導体が金属であることを特徴とする、請求項11に記載の積層構造体。
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