JP5670136B2 - 絶縁シート及び積層構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁シートに関し、より詳細には、硬化後の硬化物の弾性率が低く、かつ硬化物の耐熱性及び耐電圧性が高い絶縁シート、及び該絶縁シートを用いた積層構造体に関する。
電子機器及び通信機器では、絶縁層を有するプリント配線板が用いられている。該絶縁層は、ペースト状又はシート状の絶縁接着材料を用いて形成されている。
上記絶縁接着材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、エラストマー及び無機充填剤を含む接着剤組成物を、ガラスクロスに含浸させた絶縁接着シートが開示されている。
ガラスクロスを含まない絶縁接着材料も知られている。例えば、下記の特許文献2の実施例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノールノボラック、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びアルミナを含む絶縁接着剤が開示されている。ここでは、エポキシ樹脂の硬化剤としては、3級アミン、酸無水物、イミダゾール化合物、ポリフェノール樹脂及びマスクイソシアネート等が挙げられている。
特開2006−342238号公報 特開平8−332696号公報
特許文献1に記載の絶縁接着シートでは、ハンドリング性を高めるために、ガラスクロスが用いられている。ガラスクロスを含む絶縁接着シートでは、薄膜化が困難であり、かつレーザー加工又はドリル穴開け加工等の各種加工が困難である。また、ガラスクロスを含む絶縁接着シートの硬化物の熱伝導率は比較的低いため、充分な放熱性が得られないことがある。さらに、ガラスクロスに接着剤組成物を含浸させるために、特殊な含浸設備を用意しなければならない。
特許文献2に記載の絶縁接着剤では、ガラスクロスが用いられていないため、未硬化状態ではそれ自体が自立性を有するシートではない。このため、絶縁接着剤のハンドリング性が低い。
さらに、特許文献1,2に記載のような従来の絶縁接着材料を用いたプリント配線板では、絶縁層の弾性率が高すぎることがある。このため、リフロープロセスなどにおいて、絶縁層が高温下に晒されたときに、絶縁層にクラックが生じることがある。さらに、絶縁層の耐熱性が低かったり、耐電圧性が低かったりすることがある。
本発明の目的は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられ、硬化後の硬化物の弾性率が低く、かつ硬化物の耐熱性及び耐電圧性が高い絶縁シートを提供することである。
本発明の限定的な目的は、硬化後の硬化物の弾性率が低く、かつ硬化物の耐熱性及び耐電圧性が高いだけでなく、未硬化状態でのハンドリング性に優れている絶縁シートを提供することである。
本発明の広い局面によれば、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁シートであって、重量平均分子量が10000以上であるポリマーと、炭素数2〜6のアルキレンエーテル構造を有するエポキシ樹脂と、芳香族骨格を有さない硬化剤と、フィラーとを含む、絶縁シートが提供される。
上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は250以上、1000以下であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂は、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造及びポリテトラメチレングリコール構造からなる群から選択された少なくとも1種の構造を有することが好ましい。上記エポキシ樹脂100重量%中、塩素原子の含有量が0重量%以上、3重量%以下であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂は、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂を含み、全ての上記エポキシ樹脂100重量%中、上記エポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂の含有量が70重量%以上、100重量%以下であることが好ましい。
上記硬化剤は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られた脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物であることが好ましい。上記硬化剤は、下記式(1)〜(4)の内のいずれかで表される酸無水物であることがより好ましい。
Figure 0005670136
Figure 0005670136
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Figure 0005670136
上記式(4)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアルキル基又は水酸基を示す。
上記フィラーは、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。上記フィラーの新モース硬度は、9以下であることが好ましい。
本発明に係る積層構造体は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体と、該熱伝導体の少なくとも一方の表面に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記熱伝導体が積層された表面とは反対側の表面に積層された導電層とを備えており、上記絶縁層が、本発明に従って構成された絶縁シートを硬化させることにより形成されている。
上記熱伝導体は金属であることが好ましい。
本発明に係る絶縁シートは、重量平均分子量が10000以上であるポリマーと、炭素数2〜6のアルキレンエーテル構造を有するエポキシ樹脂と、芳香族骨格を有さない硬化剤と、フィラーとを含むので、本発明に係る絶縁シートを硬化させることにより形成された硬化物の弾性率を低くすることができる。さらに、該硬化物の耐熱性及び耐電圧性を高くすることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層構造体を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る絶縁シートは、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁シートである。本発明に絶縁シートは、重量平均分子量が10000以上であるポリマー(A)と、炭素数2〜6のアルキレンエーテル構造を有するエポキシ樹脂(B)と、芳香族骨格を有さない硬化剤(C)と、フィラー(D)とを含む。
上記組成の採用により、絶縁シートの硬化物の弾性率を低くすることができ、かつ絶縁シートの硬化物の耐熱性及び耐電圧性を高くすることができる。さらに、上記組成の採用により、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性を高めることもできる。
以下、先ず本発明に係る絶縁シートに含まれている各成分の詳細を説明する。
(ポリマー(A))
本発明に係る絶縁シートに含まれているポリマー(A)は、重量平均分子量が10000以上であれば特に限定されない。ポリマー(A)は、芳香族骨格を有することが好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性がより一層高くなる。ポリマー(A)が芳香族骨格を有する場合には、芳香族骨格をポリマー全体のいずれかの部分に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。ポリマー(A)は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性がさらに一層高くなる。ポリマー(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族骨格は特に限定されない。上記芳香族骨格の具体例としては、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。なかでも、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(A)として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂等を用いることができる。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、特に限定されない。上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン又はポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂として、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びポリベンゾオキサゾールとベンゾオキサジンとの反応物などのスーパーエンプラと呼ばれている耐熱性樹脂群等を使用できる。上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の内のいずれか一方が用いられてもよく、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが併用されてもよい。
ポリマー(A)は、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体又はフェノキシ樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂であることがより好ましい。この好ましいポリマーの使用により、絶縁シートの硬化物の酸化劣化を防止でき、かつ耐熱性をより一層高めることができる。特に、フェノキシ樹脂の使用により、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記スチレン系重合体として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、又はスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等を用いることができる。中でも、スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン系重合体が好ましい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びメタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価フェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。中でも、上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも1種の骨格を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、絶縁シートの硬化物の耐熱性をさらに一層高めることができる。
上記フェノキシ樹脂は、主鎖中に多環式芳香族骨格を有することが好ましい。また、上記フェノキシ樹脂は、下記式(11)〜(16)で表される骨格の内の少なくとも1つの骨格を主鎖中に有することがより好ましい。
Figure 0005670136
上記式(11)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Xは単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、又は−CO−である。
Figure 0005670136
上記式(12)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。
Figure 0005670136
上記式(13)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、lは0〜4の整数である。
Figure 0005670136
Figure 0005670136
上記式(15)中、R及びRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子であり、Xは−SO−、−CH−、−C(CH−、又は−O−であり、kは0又は1である。
Figure 0005670136
ポリマー(A)として、例えば、下記式(17)又は下記式(18)で表されるフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
Figure 0005670136
上記式(17)中、Aは上記式(11)〜(13)の内のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(11)で表される構造が0〜60モル%、上記式(12)で表される構造が5〜95モル%、及び上記式(13)で表される構造が5〜95モル%であり、Aは水素原子、又は上記式(14)で表される基であり、nは平均値で25〜500の数である。上記式(17)中、上記式(11)で表される構造は含まれていなくてもよい。
Figure 0005670136
上記式(18)中、Aは上記式(15)又は上記式(16)で表される構造を有し、nは少なくとも21以上の値である。
ポリマー(A)のガラス転移温度Tgは、好ましくは60℃以上、より好ましくは90℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。ポリマー(A)のTgが上記下限以上であると、樹脂が熱劣化し難い。ポリマー(A)のTgが上記上限以下であると、ポリマー(A)と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になり、かつ絶縁シートの硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(A)がフェノキシ樹脂である場合には、フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgは、好ましくは95℃以上、より好ましくは110℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。フェノキシ樹脂のTgが上記下限以上であると、樹脂の熱劣化をより一層抑制できる。フェノキシ樹脂のTgが上記上限以下であると、フェノキシ樹脂と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性、並びに絶縁シートの硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(A)の重量平均分子量は、10000以上である。ポリマー(A)の重量平均分子量は、好ましくは30000以上、より好ましくは40000以上、好ましくは1000000以下、より好ましくは250000以下である。ポリマー(A)の重量平均分子量が上記下限以上であると、絶縁シートが熱劣化し難い。ポリマー(A)の重量平均分子量が上記上限以下であると、ポリマー(A)と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になり、並びに絶縁シートの硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(A)は、原材料として添加されていてもよく、また本発明の絶縁シート作製時における攪拌、塗工及び乾燥などの各工程中における反応を利用して生成されたポリマーであってもよい。
ポリマー(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)とを含む絶縁シートに含まれている全樹脂成分(以下、全樹脂成分Xと略記することがある)の合計100重量%中、ポリマー(A)の含有量は20重量%以上、60重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中のポリマー(A)の含有量は、より好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以下である。ポリマー(A)の含有量が上記下限以上であると、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になる。ポリマー(A)の含有量が上記上限以下であると、フィラー(D)の分散が容易になる。なお、全樹脂成分Xとは、ポリマー(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化剤(C)及び必要に応じて添加される他の樹脂成分の総和をいう。全樹脂成分Xには、フィラー(D)は含まれない。
(エポキシ樹脂(B))
本発明に係る絶縁シートに含まれているエポキシ樹脂(B)は、炭素数2〜6のアルキレンエーテル構造を有していれば特に限定されない。エポキシ樹脂(B)として、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂(B)は、硬化剤(C)の作用により硬化する。エポキシ樹脂(B)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ樹脂の具体例としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、エポキシ樹脂(B)は、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂(B1)を含むことが好ましい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、全てのエポキシ樹脂(B)100重量%中、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂(B1)の含有量は70重量%以上、100重量%以下であることが好ましい。全てのエポキシ樹脂(B)100重量%中、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂(B1)の含有量は10重量%以上、100重量%以下であってもよい。また、全てのエポキシ樹脂(B)がエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂(B1)であってもよい。全てのエポキシ樹脂(B)100重量%中、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂(B1)の含有量は、より好ましくは80重量%以上である。
炭素数2〜6のアルキレンエーテル構造は、下記式(21)で表される。該アルキレンエーテル構造の炭素数は、好ましくは4以下である。
Figure 0005670136
上記式(21)中、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基を表す。該アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐構造を有していてもよい。
上記アルキレンエーテル構造としては炭素数2〜6であれば特に限定されず、エチレングリコール構造、プロピレングリコール構造、テトラメチレングリコール構造、ペンタメチレングリコール構造及びヘキサメチレングリコール構造が挙げられる。
硬化物の弾性率をより一層低くし、かつ硬化物の耐熱性及び耐電圧性をより一層高くする観点からは、エポキシ樹脂(B)は、下記式(21A)で表されるポリアルキレンエーテル構造を有することが好ましい。
Figure 0005670136
上記式(21A)中、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、nは2〜20の整数を表す。該アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐構造を有していてもよい。
硬化物の弾性率を更に一層低くし、かつ硬化物の耐熱性及び耐電圧性を更に一層高くする観点からは、エポキシ樹脂(B)は、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造及びポリテトラメチレングリコール構造からなる群から選択された少なくとも1種の構造を有することが好ましい。
硬化物の弾性率を更に一層低くし、かつ硬化物の耐熱性及び耐電圧性を更に一層高くする観点からは、エポキシ樹脂(B)は、下記式(21A−1)で表される構造、下記式(21A−2)で表される構造及び下記式(21A−3)で表される構造からなる群から選択された少なくとも1種の構造を有することが好ましい。
Figure 0005670136
上記式(21A−1)中、nは2〜20の整数を表す。
Figure 0005670136
上記式(21A−2)中、nは2〜20の整数を表す。
Figure 0005670136
上記式(21A−3)中、nは2〜20の整数を表す。
エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量は、10000未満であることが好ましい。エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1000以下である。エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量が上記下限以上であると、エポキシ樹脂(B)の揮発性が低くなり、絶縁シートの取扱い性がより一層高くなる。エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量が上記上限以下であると、硬化物の接着性がより一層高くなる。さらに、絶縁シートが固くかつ脆くなり難く、硬化物の接着性がより一層高くなる。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、重合体ではない場合、及び構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
硬化物の弾性率を更に一層低くし、かつ硬化物の耐熱性及び耐電圧性を更に一層高くする観点からは、エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は、250以上、1000以下であることが好ましい。エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は、より好ましくは700以下である。
エポキシ樹脂(B)は、塩素原子を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。エポキシ樹脂(B)中の塩素原子の含有量は少ないほどよく、塩素原子が含まれないことが特に好ましい。塩素原子の含有量が少ないと、硬化物の耐熱性がより一層高くなり、かつ硬化物に接した金属の腐食が生じ難くなる。エポキシ樹脂(B)100重量%中、塩素原子の含有量は、0重量%以上、3重量%以下であることが好ましい。エポキシ樹脂(B)100重量%中、塩素原子の含有量は、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、エポキシ樹脂(B)の含有量は10重量%以上、60重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中のエポキシ樹脂(B)の含有量は、より好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以下である。エポキシ樹脂(B)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。エポキシ樹脂(B)の含有量が上記上限以下であると、絶縁シートのハンドリング性がより一層高くなる。
(硬化剤(C))
本発明に係る絶縁シートに含まれている硬化剤(C)は芳香族骨格を有さず、かつ絶縁シートを硬化させることが可能であれば特に限定されない。硬化剤(C)が芳香族骨格を有さないことにより、硬化物の弾性率を低くすることができる。硬化剤(C)は、熱硬化剤であることが好ましい。硬化剤(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化剤(C)としては、脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物が挙げられる。硬化剤(C)として、ジシアンジアミドも用いられる。これらの硬化剤の使用により、耐熱性、耐湿性及び電気物性のバランスに優れた硬化物を得ることができる。これらの硬化剤は、熱硬化剤である。
硬化物の弾性率をより一層低くする観点からは、硬化剤(C)は、酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はジシアンジアミドであることが好ましい。
硬化物の弾性率をより一層低くする観点からは、硬化剤(C)は、芳香族骨格を有さない酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はジシアンジアミドであることが好ましい。ジシアンジアミドは芳香族骨格を有さない。硬化物の弾性率をさらに一層低くする観点からは、硬化剤(C)は、脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はジシアンジアミドであることがより好ましい。ジシアンジアミドの使用により、絶縁シートのガラス転移温度がより一層低くなる。
硬化物の弾性率をさらに一層低くする観点からは、硬化剤(C)は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物、又はジシアンジアミドであることが好ましい。また、硬化剤(C)は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることがより好ましい。これらの硬化剤の使用により、硬化物の柔軟性、並びに硬化物の耐湿性及び接着性がより一層高くなる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカシッドHNA及びリカシッドHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
硬化剤(C)は、下記式(1)〜(4)の内のいずれかで表される酸無水物、又はジシアンジアミドであることがより好ましい。また、硬化剤(C)は、下記式(1)〜(4)の内のいずれかで表される酸無水物であることが更に好ましい。この好ましい硬化剤の使用により、硬化物の柔軟性、及び硬化物の耐湿性又は接着性がより一層高くなる。
Figure 0005670136
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上記式(4)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアルキル基又は水酸基を示す。
硬化速度又は硬化物の物性などを調整するために、上記硬化剤と硬化促進剤とを併用してもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されない。硬化促進剤の具体例としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類及び有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類等が挙げられる。また、上記硬化促進剤としては、有機金属化合物類、4級アンモニウム塩類及び金属ハロゲン化物等が挙げられる。上記有機金属化合物類としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫及びアルミニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる。
上記硬化促進剤として、高融点のイミダゾール硬化促進剤、高融点の分散型潜在性硬化促進剤、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、及び高温解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等を使用できる。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記高融点の分散型潜在性促進剤としては、ジシアンジアミド又はアミンがエポキシモノマー等に付加されたアミン付加型促進剤等が挙げられる。上記マイクロカプセル型潜在性促進剤としては、イミダゾール系、リン系又はホスフィン系の促進剤の表面がポリマーにより被覆されたマイクロカプセル型潜在性促進剤が挙げられる。上記高温解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤としては、ルイス酸塩及びブレンステッド酸塩等が挙げられる。
上記硬化促進剤は、高融点のイミダゾール系硬化促進剤であることが好ましい。高融点のイミダゾール系硬化促進剤の使用により、反応系を容易に制御でき、かつ絶縁シートの硬化速度、及び硬化物の物性などをより一層容易に調整できる。融点100℃以上の高融点の硬化促進剤は、取扱性に優れている。従って、硬化促進剤の融点は100℃以上であることが好ましい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、硬化剤(C)の含有量は10重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中、硬化剤(C)の含有量は、より好ましくは12重量%以上、より好ましくは25重量%以下である。硬化剤(C)の含有量が上記下限以上であると、絶縁シートを充分に硬化させることが容易である。硬化剤(C)の含有量が上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な硬化剤(C)が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
(フィラー(D))
本発明に係る絶縁シートに含まれているフィラー(D)は特に限定されない。フィラー(D)として、従来公知のフィラーを用いることができる。フィラー(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
フィラー(D)の熱伝導率は10W/m・K以上であることが好ましい。このフィラーの使用により、硬化物の熱伝導性を高めることができる。この結果、硬化物の放熱性が高くなる。フィラー(D)の熱伝導率が10W/m・Kよりも小さいと、硬化物の熱伝導性を充分に高めることは困難である。フィラー(D)の熱伝導率は、好ましくは15W/m・K以上、より好ましくは20W/m・K以上である。フィラー(D)の熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率300W/m・K程度の無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率200W/m・K程度の無機フィラーは容易に入手できる。
硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、フィラー(D)は、無機フィラーであることが好ましい。
フィラー(D)は、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましい。これらの好ましいフィラーの使用により、硬化物の放熱性をより一層高めることができる。
フィラー(D)は、球状アルミナ、破砕アルミナ及び球状窒化アルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましく、球状アルミナ又は球状窒化アルミニウムであることがさらに好ましい。これらの好ましいフィラーの使用により、硬化物の放熱性をより一層高めることができる。
フィラー(D)の新モース硬度は、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは9以下である。フィラー(D)の新モース硬度が上記上限以下であると、絶縁シートの硬化物の熱伝導性と加工性とを高いレベルで両立できる。
新モース硬度が9以下であるので、フィラー(D)は、合成マグネサイト、結晶シリカ、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
フィラー(D)は球状のフィラーであってもよく、破砕されたフィラーであってもよい。フィラー(D)は、球状であることが特に好ましい。球状フィラーの場合には、高密度で充填可能であるため、硬化物の放熱性をより一層高めることができる。
上記破砕されたフィラーとしては、破砕アルミナ等が挙げられる。破砕されたフィラーは、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー又はボールミル等を用いて、塊状の無機物質を破砕することにより得られる。破砕されたフィラーの使用により、絶縁シート中のフィラーが、橋掛け又は効率的に近接された構造となりやすい。従って、絶縁シートの硬化物の熱伝導性をより一層高めることができる。また、破砕されたフィラーは、一般的に、通常のフィラーに比べて安価である。このため、破砕されたフィラーの使用により、絶縁シートのコストを低減できる。
破砕されたフィラーの平均粒子径は、12μm以下であることが好ましい。平均粒子径が12μmを超えると、絶縁シート中に、破砕されたフィラーを高密度に分散させることができず、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性が低下することがある。破砕されたフィラーの平均粒子径は、より好ましくは10μm以下、好ましくは1μm以上である。破砕されたフィラーの平均粒子径が小さすぎると、破砕されたフィラーを高密度に充填させることが困難となることがある。
破砕されたフィラーのアスペクト比は、特に限定されない。破砕されたフィラーのアスペクト比は、1.5以上、20以下であることが好ましい。アスペクト比が1.5未満のフィラーは、比較的高価である。従って、絶縁シートのコストが高くなる。上記アスペクト比が20以下であると、破砕されたフィラーの充填が容易である。
破砕されたフィラーのアスペクト比は、例えば、デジタル画像解析方式粒度分布測定装置(商品名:FPA、日本ルフト社製)を用いて、フィラーの破砕面を測定することにより求めることができる。
フィラー(D)が球状のフィラーである場合には、球状のフィラーの平均粒子径は、0.1μm以上、40μm以下であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、フィラー(D)を高密度で容易に充填できる。平均粒子径が40μm以下であると、硬化物の絶縁破壊特性がより一層高くなる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
絶縁シート100体積%中、フィラー(D)の含有量は20体積%以上、90体積%以下であることが好ましい。フィラー(D)の含有量が上記範囲内であると、硬化物の放熱性がより一層高くなり、更に絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になる。硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、絶縁シート100体積%中のフィラー(D)の含有量は、30体積%以上であることが特に好ましい。絶縁シート100体積%中のフィラー(D)の含有量は、より好ましくは35体積%以上、より好ましくは85体積%以下、更に好ましくは80体積%以下、特に好ましくは70体積%以下、最も好ましくは60体積%以下である。フィラー(D)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の放熱性がより一層高くなる。フィラー(D)の含有量が上記上限以下であると、絶縁シートのハンドリング性がより一層高くなる。
(他の成分)
本発明に係る絶縁シートは、ゴム粒子を含んでいてもよい。該ゴム粒子の使用により、絶縁シートの応力緩和性及び柔軟性を高めることができる。
本発明に係る絶縁シートは、分散剤を含んでいてもよい。該分散剤の使用により、硬化物の熱伝導率及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
上記分散剤は、水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することが好ましい。上記分散剤が水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することで、硬化物の熱伝導率及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基としては、例えば、カルボキシル基(pKa=4)、リン酸基(pKa=7)、及びフェノール基(pKa=10)等が挙げられる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基のpKaは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。上記官能基のpKaが上記下限以上であると、上記分散剤の酸性度が高くなりすぎない。従って、絶縁シートの貯蔵安定性がより一層高くなる。上記官能基のpKaが上記上限以下であると、上記分散剤としての機能が充分に果たされ、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性がより一層高くなる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基は、カルボキシル基又はリン酸基であることが好ましい。この場合には、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性がさらに一層高くなる。
上記分散剤としては、具体的には、例えば、ポリエステル系カルボン酸、ポリエーテル系カルボン酸、ポリアクリル系カルボン酸、脂肪族系カルボン酸、ポリシロキサン系カルボン酸、ポリエステル系リン酸、ポリエーテル系リン酸、ポリアクリル系リン酸、脂肪族系リン酸、ポリシロキサン系リン酸、ポリエステル系フェノール、ポリエーテル系フェノール、ポリアクリル系フェノール、脂肪族系フェノール、及びポリシロキサン系フェノール等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
絶縁シート100重量%中、上記分散剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記分散剤の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、フィラー(D)の凝集を抑制でき、かつ硬化物の放熱性及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
ハンドリング性をより一層高めるために、本発明に係る絶縁シートに、ガラスクロス、ガラス不織布、アラミド不織布等の基材物質を含んでいてもよい。ただし、上記基材物質を含まなくても、絶縁シートは室温(23℃)において自立性を有し、かつ優れたハンドリング性を有する。よって、絶縁シートは基材物質を含まないことが好ましく、特にガラスクロスを含まないことが好ましい。絶縁シートが上記基材物質を含まない場合には、絶縁シートの厚みを薄くすることができ、かつ硬化物の熱伝導性をより一層高めることができる。さらに、絶縁シートが上記基材物質を含まない場合には、必要に応じて絶縁シートにレーザー加工又はドリル穴開け加工等の各種加工を容易に行うこともできる。なお、自立性とは、PETフィルム又は銅箔といった支持体が存在しなくても、シートの形状を保持し、シートとして取り扱うことができることをいう。
また、本発明に係る絶縁シートは、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体又はフェノキシ樹脂等を含んでいてもよい。
さらに、本発明に係る絶縁シートは、必要に応じて、粘着性付与剤、可塑剤、カップリング剤、チキソ性付与剤、難燃剤、光増感剤及び着色剤などを含んでいてもよい。
(絶縁シート)
本発明に係る絶縁シートは、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる。
本発明に係る絶縁シートの製造方法は特に限定されない。絶縁シートは、例えば、上述した材料を混合した混合物を溶剤キャスト法又は押し出し成膜法等の方法でシート状に成形することにより得ることができる。シート状に成形する際に、脱泡することが好ましい。
絶縁シートの厚みは特に限定されない。絶縁シートの厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは70μm以上、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは120μm以下である。厚みが上記下限以上であると、絶縁シートの硬化物の絶縁性が高くなる。厚みが上記上限以下であると、金属体を導電層に接着したときに放熱性が高くなる。
未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度Tgは、25℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が25℃以下であると、絶縁シートが室温において固く、かつ脆くなり難い。このため、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性が高くなる。
絶縁シートが硬化されたときに、絶縁シートの硬化物の25℃での引張弾性率は、好ましくは15000MPa以下、より好ましくは10000MPa以下である。絶縁シートの硬化物の25℃での引張弾性率が上記上限以下であると、絶縁シートの硬化物が固くかつ脆くなりすぎず、絶縁シートの硬化物にクラック等が生じ難くなる。
上記引張弾性率は、例えば、DMA装置(DVA−200、アイティー計測制御社製)にて引張モードで測定できる。また、絶縁シートの硬化物の引張弾性率を測定する際に、絶縁シートの硬化物は、120℃で1時間、次に200℃で1時間の2段階の温度により硬化させることにより得られる。
絶縁シートの硬化物の熱伝導率は、好ましくは0.7W/m・K以上、より好ましくは1.0W/m・K以上、更に好ましくは1.5W/m・K以上である。熱伝導率が上記下限以上であると、絶縁シートの硬化物の放熱性が充分に高くなる。
絶縁シートの硬化物の絶縁破壊電圧は、好ましくは30kV/mm以上、より好ましくは40kV/mm以上、更に好ましくは50kV/mm以上、特に好ましくは80kV/mm以上、最も好ましくは100kV/mm以上である。絶縁破壊電圧が低すぎると、絶縁シートが例えば電力素子用のような大電流用途に用いられた場合に、絶縁性が低くなることがある。
(積層構造体)
本発明に係る絶縁シートは、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体の少なくとも片面に、絶縁層を介して導電層が積層されている積層構造体の絶縁層を構成するのに好適に用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る絶縁シートを用いた積層構造体の一例を示す。
図1に示す積層構造体1は、熱伝導体2と、熱伝導体2の一方の面2aに積層された絶縁層3と、絶縁層3の熱伝導体2が積層された表面とは反対側の表面に積層された導電層4とを備える。絶縁層3は、本発明に係る絶縁シートを硬化させることにより形成されている。熱伝導体2の熱伝導率は10W/m・K以上である。
熱伝導体2の少なくとも一方の面2aに、絶縁層3と導電層4とがこの順に積層されていればよく、熱伝導体2の他方の面2bにも、絶縁層と導電層とがこの順に積層されていてもよい。
積層構造体1では、絶縁層3が高い熱伝導率を有するので、導電層4側からの熱が絶縁層3を介して熱伝導体2に伝わりやすい。積層構造体1では、熱伝導体2によって熱を効率的に放散させることができる。
例えば、両面に銅回路が設けられた積層板又は多層配線板、銅箔、銅板、半導体素子又は半導体パッケージ等の各導電層に、絶縁シートを介して金属体を接着した後、絶縁シートを硬化させることにより、積層構造体1を得ることができる。
上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体は特に限定されない。上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体としては、例えば、アルミニウム、銅、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及びグラファイトシート等が挙げられる。中でも、上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体は、銅又はアルミニウムであることが好ましい。銅又はアルミニウムは、放熱性に優れている。
本発明に係る絶縁シートは、基板上に半導体素子が実装されている半導体装置の導電層に、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を接着するために好適に用いられる。
本発明に係る絶縁シートは、半導体素子以外の電子部品素子が基板上に搭載されている電子部品装置の導電層に、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を接着するためにも好適に用いられる。
半導体素子が大電流用の電力用デバイス素子である場合には、絶縁シートの硬化物には、絶縁性又は耐熱性等により一層優れていることが求められる。従って、このような用途に、本発明の絶縁シートは好適に用いられる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
[ポリマー(A)]
(1)ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:E1256、Mw=51000、Tg=98℃)
(2)高耐熱フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:FX−293、Mw=43700、Tg=163℃)
(3)エポキシ基含有スチレン樹脂(日油社製、商品名:マープルーフG−1010S、Mw=100000、Tg=93℃)
[ポリマー(A)以外のポリマー]
(1)エポキシ基含有スチレン樹脂(日油社製、商品名:マープルーフG−0130S、Mw=9000、Tg=69℃)
[エポキシ樹脂(B)]
(1)エポキシ樹脂1(ナガセケムテックス社製、商品名:EX830、エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂、エポキシ当量268、ポリエチレングリコール構造を有する(上記式(21A−1)で表され、上記式(21A−1)中、nが9程度である構造)、塩素原子の含有量0.3重量%)
(2)エポキシ樹脂2(東都化成社製、商品名:PG207、エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂、エポキシ当量320、ポリプロピレングリコール構造を有する(上記式(21A−2)で表され、上記式(21A−2)中、nが8程度である構造)、塩素原子の含有量0.2重量%)
(3)エポキシ樹脂3(四日市合成社製、商品名:エポゴーセーPT、エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂、エポキシ当量435、ポリテトラメチレングリコール構造を有する(上記式(21A−3)で表され、上記式(21A−3)中、nが10程度である構造)、塩素原子の含有量1.8重量%)
[エポキシ樹脂(B)以外のエポキシ樹脂]
(1)エポキシ樹脂a(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:828US、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量370)
(2)エポキシ樹脂b(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:1003、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量1300)
[硬化剤(C)]
(1)脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:MH−700)
(2)多脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:HNA−100)
(3)テルペン系骨格酸無水物(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピキュアYH−306)
(4)ジシアンジアミド
[硬化剤(C)以外の硬化剤]
(1)トリスフェノール型硬化剤(本州化学工業社製、商品名:トリスフェノールPA)
[フィラー(D)]
(1)5μm破砕アルミナ(破砕フィラー、日本軽金属社製、商品名:LT300C、平均粒子径5μm、最大粒子径15μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(2)2μm破砕アルミナ(破砕フィラー、日本軽金属社製、商品名:LS−242C、平均粒子径2μm、最大粒子径20μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(3)球状アルミナ(デンカ社製、商品名:DAM−10、平均粒子径10μm、最大粒子径30μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(4)合成マグネサイト(神島化学社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm、最大粒子径20μm、熱伝導率15W/m・K、新モース硬度3.5)
(5)窒化アルミニウム(東洋アルミ社製、商品名:TOYALNITE―FLX、平均粒子径14μm、最大粒子径30μm、熱伝導率200W/m・K新モース硬度11)
(6)結晶シリカ(龍森社製、商品名:クリスタライトCMC−12、平均粒子径5μm、最大粒子径20μm、熱伝導率10W/m・K、新モース硬度9)
(7)炭化ケイ素(信濃電気製錬社製、商品名:シナノランダムGP#700、平均粒子径17μm、最大粒子径70μm、熱伝導率125W/m・K、新モース硬度13)
(8)酸化亜鉛(堺化学工業社製、商品名:LPZINC−5、平均粒子径5μm、最大粒子径20μm、熱伝導率54W/m・K、新モース硬度5)
(9)酸化マグネシウム(堺化学工業社製、商品名:SMO Large Particle、平均粒子径1.1μm、最大粒子径7μm、熱伝導率35W/m・K、新モース硬度6)
[分散剤]
(1)アクリル系分散剤(ビックケミージャパン社製、商品名:Disperbyk−2070、pKaが4のカルボキシル基を有する)
(2)ポリエーテル系分散剤(楠本化成社製、商品名:ED151、pKaが7のリン酸基を有する)
[添加剤]
(1)エポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBE403)
[溶剤]
(1)メチルエチルケトン
(実施例1〜21及び比較例1〜4)
ホモディスパー型攪拌機を用いて、下記の表1〜4に示す割合(配合単位は重量部)で各原料を配合し、混練し、絶縁材料を調製した。
厚み50μmの離型PETシートに、上記絶縁材料を100μmの厚みになるように塗工し、90℃のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に絶縁シートを作製した。
(評価)
(1)ハンドリング性
PETシートと、該PETシート上に形成された絶縁シートとを有する積層シートを460mm×610mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを用いて、室温(23℃)でPETシートから熱硬化前の絶縁シートを剥離したときのハンドリング性を下記の基準で評価した。
[ハンドリング性の判定基準]
〇:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可能
△:絶縁シートを剥離できるものの、シート伸び又は破断が発生する
×:絶縁シートを剥離できない
(2)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置「DSC220C」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、3℃/分の昇温速度で未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度を測定した。
(3)熱伝導率
京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて、絶縁シートの熱伝導率を測定した。
(4)半田耐熱試験(耐熱性)
厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に絶縁シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、絶縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。得られた銅張り積層板を50mm×60mmの大きさに切り出し、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを288℃の半田浴に銅箔側を下に向けて浮かべ、銅箔の膨れ又は剥がれが発生するまでの時間を測定し、以下の基準で判定した。
[半田耐熱試験の判定基準]
○○:10分経過しても膨れ及び剥離の発生なし
〇:3分経過後、かつ10分経過する前に膨れ又は剥離が発生
△:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ又は剥離が発生
×:1分経過する前に膨れ又は剥離が発生
(5)絶縁破壊電圧(耐電圧性)
絶縁シートを100mm×100mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、絶縁シートの硬化物を得た。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、絶縁シートの硬化物間に1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。絶縁シートの硬化物が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
(6)加工性
厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に絶縁シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、絶縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。得られた銅張り積層板を直径2.0mmのドリル(ユニオンツール社製、RA series)を用いて、回転数30000及びテーブル送り速度0.5m/分の条件でルーター加工した。ばりが発生するまでの加工距離を測定し、加工性を以下の基準で評価した。
[加工性の判定基準]
○○:ばりが発生することなく20m以上加工可能
○:ばりが発生することなく5m以上、20m未満加工可能
△:ばりが発生することなく1m以上、5m未満加工可能
×:1m未満の加工によりばりが発生
(7)弾性率
絶縁シートを5mm×50mmの大きさに切り出した後、120℃で1時間、200℃で1時間オーブン内で硬化させ、テストサンプルを作製した。このテストサンプルを用いて、DMA装置(DVA−200、アイティー計測制御社製)にて引張モード、チャック間距離24mm、昇温速度5℃毎分、測定周波数10Hz及び1%歪みの各条件で−60〜320℃まで昇温した時の温度−貯蔵弾性率(E’)を読み取った。得られた測定値から、絶縁シートの硬化物の25℃での引張弾性率を評価した。
結果を下記の表1〜4に示す。
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1…積層構造体
2…熱伝導体
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…絶縁層
4…導電層

Claims (11)

  1. 熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁シートであって、
    重量平均分子量が10000以上であり、ガラス転移温度が60℃以上であり、かつ熱硬化性を有するポリマーと、
    炭素数2〜6のアルキレンエーテル構造を有するエポキシ樹脂と、
    芳香族骨格を有さない硬化剤と、
    フィラーとを含む、絶縁シート。
  2. 前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が250以上、1000以下である、請求項1に記載の絶縁シート。
  3. 前記エポキシ樹脂が、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造及びポリテトラメチレングリコール構造からなる群から選択された少なくとも1種の構造を有する、請求項1又は2に記載の絶縁シート。
  4. 前記エポキシ樹脂100重量%中、塩素原子の含有量が0重量%以上、3重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  5. 前記エポキシ樹脂が、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂を含み、
    全ての前記エポキシ樹脂100重量%中、前記エポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂の含有量が70重量%以上、100重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  6. 前記硬化剤が、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られた脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  7. 前記硬化剤が、下記式(1)〜(4)の内のいずれかで表される酸無水物である、請求項6に記載の絶縁シート。
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    上記式(4)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアルキル基又は水酸基を示す。
  8. 前記フィラーが、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  9. 前記フィラーの新モース硬度が9以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  10. 熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体と、
    前記熱伝導体の少なくとも一方の表面に積層された絶縁層と、
    前記絶縁層の前記熱伝導体が積層された表面とは反対側の表面に積層された導電層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁シートを硬化させることにより形成されている、積層構造体。
  11. 前記熱伝導体が金属である、請求項10に記載の積層構造体。
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