JP2010157380A - 絶縁シート及び積層構造体 - Google Patents

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Takuji Aoyama
卓司 青山
Hiroshi Maenaka
寛 前中
Yasunari Kusaka
康成 日下
Daisuke Nakajima
大輔 中島
Takashi Watanabe
貴志 渡邉
Isao Higuchi
勲夫 樋口
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Abstract

【課題】未硬化状態でのハンドリング性に優れており、かつ絶縁破壊特性、熱伝導性及び耐熱性に優れた硬化物を与える絶縁シートを提供する。
【解決手段】重量平均分子量が1万以上のポリマー(A)と、重量平均分子量が600以下のエポキシモノマー(B1)又はオキセタンモノマー(B2)と、フェノール樹脂又は酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)と、下記式(21)中の有機官能基の有機概念図における有機性値が20〜320、かつ無機性値が50以下のシランカップリング剤(G)とを含む絶縁シート。
Figure 2010157380

【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体を導電層に接着するのに用いられる絶縁シートに関し、より詳細には、未硬化状態でのハンドリング性に優れており、かつ絶縁破壊特性、熱伝導性及び耐熱性に優れた硬化物を与える絶縁シート、及び該絶縁シートを用いた積層構造体に関する。
近年、電気機器の小型化及び高性能化が進行している。これに伴って、電子部品の実装密度が高くなってきており、電子部品から発生する熱を放散させる必要が高まっている。熱を放散させる方法として、高い放熱性を有し、かつ熱伝導率が10W/m・K以上のアルミニウム等の熱伝導体を、発熱源に接着する方法が広く採用されている。また、この高熱伝導体を発熱源に接着するために、絶縁性を有する絶縁接着材料が用いられている。絶縁接着材料には、熱伝導率が高いことが強く求められている。
上記絶縁接着材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、エラストマー及び無機充填剤を含有する接着剤組成物を、ガラスクロスに含浸させた絶縁接着シートが開示されている。
ガラスクロスを用いない絶縁接着材料も知られている。例えば、下記の特許文献2の実施例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノールノボラック、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びアルミナを含有する絶縁接着剤が開示されている。ここでは、エポキシ樹脂の硬化剤として、3級アミン、酸無水物、イミダゾール化合物、ポリフェノール樹脂及びマスクイソシアネート等が挙げられている。
特開2006−342238号公報 特開平8−332696号公報
特許文献1に記載の絶縁接着シートでは、ハンドリング性を高めるために、ガラスクロスが用いられている。ガラスクロスが用いられた場合には、薄膜化が困難であり、かつレーザー加工又はドリル穴開け加工等の各種加工が困難であった。また、ガラスクロスを含む絶縁接着シートの硬化物の熱伝導率は比較的低いため、充分な放熱性が得られないことがあった。さらに、ガラスクロスに接着剤組成物を含浸させるために、特殊な含浸設備を用意しなければならなかった。
特許文献2に記載の絶縁接着剤では、ガラスクロスが用いられていないため、上記のような種々の問題は生じない。しかし、この絶縁接着剤は、未硬化状態ではそれ自体が自立性を有するシートではなかった。このため、絶縁接着剤のハンドリング性が低かった。
さらに、特許文献1に記載の絶縁接着シート及び特許文献2に記載の絶縁接着剤を硬化させた場合に、硬化物の絶縁破壊特性が低いことがあった。
本発明の目的は、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体を導電層に接着するのに用いられ、未硬化状態でのハンドリング性に優れており、かつ絶縁破壊特性、熱伝導性及び耐熱性に優れた硬化物を与える絶縁シート、及び該絶縁シートを用いた積層構造体を提供することにある。
本発明によれば、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体を導電層に接着するのに用いられる絶縁シートであって、重量平均分子量が1万以上であるポリマー(A)と、重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B1)及び重量平均分子量が600以下であるオキセタンモノマー(B2)の内の少なくとも一方のモノマー(B)と、フェノール樹脂、又は酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)と、下記式(21)で表されるシランカップリング剤(G)とを含有し、下記式(21)中、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の有機概念図における有機性値が20〜320の範囲内にあり、かつ無機性値が50以下である、絶縁シートが提供される。
Figure 2010157380
上記式(21)中、Z1〜Z4の内の少なくとも1つの基は、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を表し、Z1〜Z4の内の前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基ではない基は加水分解性基を表す。
本発明に係る絶縁シートのある特定の局面では、前記式(21)中、前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の有機概念図における前記無機性値は40以下である。
本発明に係る絶縁シートのさらに他の特定の局面では、前記式(21)中、前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の内の少なくとも1つの有機官能基は、炭素数3〜16のアルキル基である。
本発明に係る絶縁シートのさらに他の特定の局面では、前記式(21)中、前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の内の少なくとも1つの有機官能基は、イソブチル基、n−ヘキシル基又はn−デシル基である。
上記ポリマー(A)は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。フェノキシ樹脂が用いられた場合、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。また、上記フェノキシ樹脂のガラス転移温度は、95℃以上であることが好ましい。この場合には、樹脂の熱劣化をより一層抑制できる。
上記硬化剤(C)は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られた脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物であることが好ましい。また、上記硬化剤(C)は、下記式(1)〜(3)の内のいずれかで表される酸無水物であることがより好ましい。これらの好ましい硬化剤(C)が用いられた場合、絶縁シートの柔軟性、耐湿性又は接着性をより一層高めることができる。
Figure 2010157380
Figure 2010157380
Figure 2010157380
上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアルキル基又は水酸基を示す。
上記硬化剤(C)は、メラミン骨格もしくはトリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂であることが好ましい。この好ましい硬化剤(C)が用いられた場合、絶縁シートの硬化物のシート柔軟性及び難燃性をより一層高めることができる。
本発明に係る積層構造体は、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体と、前記熱伝導体の少なくとも一方の面に積層された絶縁層と、前記絶縁層の前記熱伝導体が積層された面とは反対側の面に積層された導電層とを備え、前記絶縁層が、本発明に従って構成された絶縁シートを硬化させることにより形成されている。
本発明に係る積層構造体では、前記熱伝導体は金属であることが好ましい。
本発明によれば、上記シランカップリング剤(G)が上記式(21)で表され、上記式(21)中のケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の有機概念図における有機性値が20〜320の範囲内にあり、かつ無機性値が50以下であるので、絶縁シートを硬化させることにより形成された硬化物の絶縁破壊特性を高くすることができる。
さらに、本発明に係る絶縁シートは、上記(A)〜(D)及び(G)成分を含有するので、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性を高くすることができる。さらに、絶縁シートの硬化物の熱伝導性及び耐熱性を高くすることができる。
本発明に係る積層構造体では、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体の少なくとも一方の面に、絶縁層を介して導電層が積層されており、該絶縁層が、本発明に従って構成された絶縁シートを硬化させることにより形成されているので、導電層側からの熱が絶縁層を介して上記熱伝導体に伝わりやすい。このため、該熱伝導体によって熱を効率的に放散させることができる。
本願発明者らは、重量平均分子量が1万以上であるポリマー(A)と、重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B1)及び重量平均分子量が600以下であるオキセタンモノマー(B2)の内の少なくとも一方のモノマー(B)と、フェノール樹脂、又は酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)と、上記式(21)で表される上記特定のシランカップリング剤(G)とを含有する組成を採用することによって、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性を高めることができ、かつ絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性、熱伝導性及び耐熱性を高めることができることを見出した。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る絶縁シートは、重量平均分子量が1万以上であるポリマー(A)と、重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B1)及び重量平均分子量が600以下であるオキセタンモノマー(B2)の内の少なくとも一方のモノマー(B)と、フェノール樹脂、又は酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D)と、下記式(21)で表されるシランカップリング剤(G)とを含有する。
Figure 2010157380
上記式(21)中、Z1〜Z4の内の少なくとも1つの基はケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を表し、Z1〜Z4の内の前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基ではない基は加水分解性基を表す。
(ポリマー(A))
本発明に係る絶縁シートに含まれる上記ポリマー(A)は、重量平均分子量が1万以上であれば特に限定されない。ポリマー(A)は、芳香族骨格を有することが好ましい。ポリマー(A)が芳香族骨格を有する場合、芳香族骨格をポリマー全体の中に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。ポリマー(A)は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。ポリマー(A)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族骨格は特に限定はされない。上記芳香族骨格の具体例として、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格又はビスフェノールA型骨格等が挙げられる。なかでも、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記ポリマー(A)として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等を用いることができる。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、特に限定されない。上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂として、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン又はポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂として、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジン、又はポリベンゾオキサゾールとベンゾオキサジンとの反応物などのスーパーエンプラと呼ばれている耐熱性樹脂群等を使用できる。上記熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の内のいずれか一方が用いられてもよく、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが併用されてもよい。
上記ポリマー(A)は、スチレン系重合体又はフェノキシ樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂であることがより好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の酸化劣化を防止でき、かつ耐熱性をより一層高めることができる。
上記スチレン系重合体として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、又はスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等を用いることができる。中でも、スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン系重合体が好ましい。
上記スチレン系モノマーとして、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン又は3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
上記アクリル系モノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル又はメタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価フェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。中でも、上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも一方を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂が用いられた場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記フェノキシ樹脂は、主鎖中に多環式芳香族骨格を有することが好ましい。また、上記フェノキシ樹脂は、下記式(4)〜(9)で表される骨格の内の少なくとも1つの骨格を主鎖中に有することがより好ましい。
Figure 2010157380
上記式(4)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Xは単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、又は−CO−である。
Figure 2010157380
上記式(5)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。
Figure 2010157380
上記式(6)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、lは0〜4の整数である。
Figure 2010157380
Figure 2010157380
上記式(8)中、R及びRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子であり、Xは−SO−、−CH−、−C(CH−、又は−O−であり、kは0又は1である。
Figure 2010157380
上記ポリマー(A)として、例えば、下記式(10)又は下記式(11)で表されるフェノキシ樹脂を好適に用いられる。
Figure 2010157380
上記式(10)中、Aは上記式(4)〜(6)の内のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(4)で表される構造が0〜60モル%、上記式(5)で表される構造が5〜95モル%、及び上記式(6)で表される構造が5〜95モル%であり、Aは水素原子、又は上記式(7)で表される基であり、nは平均値で25〜500の数である。
Figure 2010157380
上記式(11)中、Aは上記式(8)又は上記式(9)で表される構造を有し、nは少なくとも21以上の値である。
上記ポリマー(A)のガラス転移温度Tgは、60〜200℃の範囲内にあることが好ましく、90〜180℃の範囲内にあることがより好ましい。ポリマー(A)のTgが低すぎると、樹脂が熱劣化することがある。ポリマー(A)のTgが高すぎると、ポリマー(A)と他の樹脂との相溶性が悪くなる。この結果、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性、並びに絶縁シートの硬化物の耐熱性が低下することがある。
上記ポリマー(A)がフェノキシ樹脂である場合、フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgは、95℃以上であることが好ましく、110〜200℃の範囲内にあることがより好ましく、110〜180℃の範囲内にあることがさらに好ましい。フェノキシ樹脂のTgが低すぎると、樹脂が熱劣化することがある。フェノキシ樹脂のTgが高すぎると、フェノキシ樹脂と他の樹脂との相溶性が悪くなる。この結果、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性、並びに絶縁シートの硬化物の耐熱性が低下することがある。
上記ポリマー(A)の重量平均分子量は、10,000以上である。ポリマー(A)の重量平均分子量は、30,000以上であることが好ましく、30,000〜1,000,000の範囲内にあることがより好ましく、40,000〜250,000の範囲内にあることがさらに好ましい。ポリマー(A)の重量平均分子量が小さすぎると、絶縁シートが熱劣化することがある。ポリマー(A)の重量平均分子量が大きすぎると、ポリマー(A)と他の樹脂との相溶性が悪くなる。この結果、絶縁シートのハンドリング性、並びに絶縁シートの硬化物の耐熱性が低下することがある。
上記ポリマー(A)と、上記モノマー(B)と、上記硬化剤(C)とを含む絶縁シートに含まれている全樹脂成分の合計100重量%中に、ポリマー(A)は20〜60重量%の範囲内で含有されることが好ましく、30〜50重量%の範囲内で含有されることが好ましい。ポリマー(A)は上記範囲内で、ポリマー(A)と、モノマー(B)との合計が100重量%未満となる量で含有されることが好ましい。ポリマー(A)の量が少なすぎると、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性が低下することがある。ポリマー(A)の量が多すぎると、物質(D)の分散が困難になることがある。なお、全樹脂成分とは、ポリマー(A)、エポキシモノマー(B1)、オキセタンモノマー(B2)、硬化剤(C)、シランカップリング剤(G)及び必要に応じて添加される他の樹脂成分の総和をいう。
(モノマー(B))
本発明に係る絶縁シートは、重量平均分子量が600以下のエポキシモノマー(B1)、及び重量平均分子量が600以下のオキセタンモノマー(B2)の内の少なくとも一方のモノマー(B)を含有する。モノマー(B)として、エポキシモノマー(B1)のみが用いられてもよく、オキセタンモノマー(B2)のみが用いられてもよく、エポキシモノマー(B1)とオキセタンモノマー(B2)との双方が用いられてもよい。
上記エポキシモノマー(B1)は、重量平均分子量が600以下であれば特に限定されない。上記エポキシモノマー(B1)は、芳香族骨格を有することが好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記エポキシモノマー(B1)の具体例として、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンテン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、又はピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。上記エポキシモノマー(B1)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとして、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとして、ジシクロペンタジエンジオキシド、又はジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとして、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、又は1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンテン骨格を有するエポキシモノマーとして、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンテン、又は2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンテン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとして、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、又は9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとして、4,4’−ジグリシジルビフェニル、又は4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとして、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、又は1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとして、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
上記オキセタンモノマー(B2)は、重量平均分子量が600以下であれば特に限定されない。上記オキセタンモノマー(B2)は、芳香族骨格を有することが好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記オキセタンモノマー(B2)の具体例として、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、又はオキセタン化フェノールノボラック等が挙げられる。上記オキセタンモノマー(B2)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシモノマー(B1)及びオキセタンモノマー(B2)の重量平均分子量、すなわちモノマー(B)の重量平均分子量は、600以下である。モノマー(B)の重量平均分子量の好ましい下限は200、好ましい上限は550である。モノマー(B)の重量平均分子量が小さすぎると、モノマー(B)の揮発性が高すぎて絶縁シートの取扱い性が低下することがある。モノマー(B)の重量平均分子量が大きすぎると、絶縁シートが固くかつ脆くなったり、絶縁シートの硬化物の接着性が低下したりすることがある。
上記ポリマー(A)と、上記モノマー(B)と、上記硬化剤(C)とを含む絶縁シートに含まれている全樹脂成分の合計100重量%中に、モノマー(B)は10〜60重量%の範囲内で含有される。上記全樹脂成分の合計100重量%中に、モノマー(B)は10〜40重量%の範囲内で含有されることがより好ましい。モノマー(B)は上記範囲内で、ポリマー(A)とモノマー(B)との合計が100重量%未満となる量で含まれることが好ましい。モノマー(B)の量が少なすぎると、絶縁シートの硬化物の接着性や耐熱性が低下することがある。モノマー(B)の量が多すぎると、絶縁シートの柔軟性が低下することがある。なお、全樹脂成分とは、ポリマー(A)、エポキシモノマー(B1)、オキセタンモノマー(B2)、硬化剤(C)、シランカップリング剤(G)及び必要に応じて添加される他の樹脂成分の総和をいう。
(硬化剤(C))
本発明に係る絶縁シートに含まれる硬化剤(C)は、フェノール樹脂、又は酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である。この硬化剤(C)の使用により、耐熱性、耐湿性及び電気物性のバランスに優れた絶縁シートの硬化物を得ることができる。硬化剤(C)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノール樹脂は、特に限定されない。上記フェノール樹脂の具体例として、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、又はポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。なかでも、絶縁シート柔軟性及び難燃性をより一層高めることができるので、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂の市販品として、MEH−8005、MEH−8010及びNEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(ジャパンエポキシレジン社製)、LA―7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれも大日本インキ社製)、並びにPS6313及びPS6492(群栄化学社製)等が挙げられる。
上記酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物は、芳香族骨格もしくは脂環式骨格を有することが好ましい。この場合には、絶縁シートの柔軟性、耐湿性又は接着性をより一層高めることができる。
芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、特に限定されない。芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物として、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。なかでも、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が用いられた場合には、絶縁シートの硬化物の耐水性を高めることができる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品として、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカジットMTA―10、リカジットMTA−15、リカジットTMTA、リカジットTMEG−100、リカジットTMEG−200、リカジットTMEG−300、リカジットTMEG−500、リカジットTMEG−S、リカジットTH、リカジットHT−1A、リカジットHH、リカジットMH−700、リカジットMT−500、リカジットDSDA及びリカジットTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれも大日本インキ化学社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。この場合には、絶縁シートの柔軟性、耐湿性又は接着性をより一層高めることができる。また、上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物として、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品として、リカジットHNA及びリカジットHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
また、上記硬化剤(C)は、下記式(1)〜(3)の内のいずれかで表される酸無水物であることがより好ましい。この好ましい硬化剤(C)が用いられた場合には、絶縁シートの柔軟性、耐湿性又は接着性をより一層高めることができる。
Figure 2010157380
Figure 2010157380
Figure 2010157380
上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアルキル基又は水酸基を示す。
硬化速度や硬化物の物性などを調整するために、上記硬化剤と硬化促進剤とを併用してもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されない。硬化促進剤の具体例として、例えば、3級アミン、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類又は有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類等が挙げられる。また、上記硬化促進剤として、有機金属化合物類、4級アンモニウム塩類又は金属ハロゲン化物等が挙げられる。上記有機金属化合物類として、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫又はアルミニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる。
上記硬化促進剤として、高融点のイミダゾール硬化促進剤、高融点の分散型潜在性硬化促進剤、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、又は高温解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等を使用できる。上記硬化促進剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記高融点の分散型潜在性促進剤として、ジシアンジアミド又はアミンがエポキシモノマー等に付加されたアミン付加型促進剤等が挙げられる。上記マイクロカプセル型潜在性促進剤として、イミダゾール系、リン系又はホスフィン系の促進剤の表面がポリマーにより被覆されたマイクロカプセル型潜在性促進剤が挙げられる。上記高温解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤として、ルイス酸塩又はブレンステッド酸塩等が挙げられる。
上記硬化促進剤は、高融点のイミダゾール系硬化促進剤であることが好ましい。高融点のイミダゾール系硬化促進剤が用いられた場合、反応系を容易に制御でき、かつ絶縁シートの硬化速度、及び絶縁シートの硬化物の物性などをより一層容易に調整できる。融点100℃以上の高融点の硬化促進剤は、取扱性に優れている。従って、硬化促進剤の融点は100℃以上であることが好ましい。
上記ポリマー(A)と、上記モノマー(B)と、上記硬化剤(C)と、上記シランカップリング剤(G)とを含む絶縁シートに含まれている全樹脂成分の合計100重量%中に、硬化剤(C)は10〜40重量%の範囲内で含有されることが好ましく、12〜25重量%の範囲内で含有されることが好ましい。硬化剤(C)の量が少なすぎると、絶縁シートを充分に硬化させることが困難になることがある。硬化剤(C)の量が多すぎると、硬化に関与しない余剰な硬化剤が発生したり、硬化物の架橋が充分に進行しなかったりすることがある。このため、絶縁シートの硬化物の耐熱性及び接着性が充分に高められないことがある。なお、全樹脂成分とは、ポリマー(A)、エポキシモノマー(B1)、オキセタンモノマー(B2)、硬化剤(C)、シランカップリング剤(G)及び必要に応じて添加される他の樹脂成分の総和をいう。
(フィラー(D))
本発明に係る絶縁シートはフィラー(D)を含有するため、絶縁シートの硬化物の熱伝導性を高くすることができる。このため、絶縁シートの硬化物の放熱性を高めることができる。フィラー(D)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
フィラー(D)は特に限定されない。フィラー(D)の熱伝導率は30W/m・K以上であることが好ましい。熱伝導率が30W/m・K以上であるフィラー(D)として、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウム等が挙げられる。
フィラー(D)は、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の放熱性をより一層高めることができる。
フィラー(D)は、球状であることが特に好ましい。球状フィラーを用いた場合、フィラー(D)を高密度で充填させることができるため、絶縁シートの硬化物の放熱性をより一層高めることができる。
フィラー(D)の平均粒子径は、0.1〜40μmの範囲内にあることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であると、フィラー(D)を高密度で充填することが困難になることがある。平均粒子径が40μmを超えると、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性が低下することがある。
「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
絶縁シート100体積%中に、フィラー(D)は30〜90体積%の範囲で含有されることが好ましい。フィラー(D)の量が30体積%未満であると、硬化物の放熱性を充分に高めることができないことがある。フィラー(D)の量が90体積%を超えると、絶縁シートの柔軟性や接着性が著しく低下するおそれがある。
(シランカップリング剤(G))
本発明に係る絶縁シートは、下記式(21)で表されるシランカップリング剤(G)を含有する。シランカップリング剤(G)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
Figure 2010157380
上記式(21)中、Z1〜Z4の内の少なくとも1つの基は、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を表し、Z1〜Z4の内の上記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基ではない基は加水分解性基を表す。
上記式(21)中のケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の有機概念図における有機性値は、20〜320の範囲内にある。また、上記式(21)中のケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の有機概念図における無機性値は50以下である。このような特定のシランカップリング剤(G)とフィラー(D)との併用により、フィラー(D)の分散性を高めることができる。このため、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性を高めることができる。
なお、有機概念図は、原子又は分子団の有機性及び無機性、又は疎水性及び親水性を定量的に評価するために用いられている。有機概念図の詳細は、例えば、甲田善生、佐藤四郎、本間善夫、「有機概念図 基礎と応用」、三共出版等に記載されている。
シランカップリング剤(G)が、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を1つ有する場合、1つの有機官能基の上記有機性値が20〜320の範囲内にあり、かつ上記無機性値が50以下である。
シランカップリング剤(G)が、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を複数有する場合、全ての有機官能基の上記有機性値がそれぞれ、20〜320の範囲内にあり、かつ全ての有機官能基の上記無機性値がそれぞれ、50以下である。シランカップリング剤(G)が複数の有機官能基を有する場合、複数の有機官能基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
シランカップリング剤(G)は、上記有機性値が20〜320の範囲内にあり、かつ上記無機性値が50以下である有機官能基を1個有することが好ましい。シランカップリング剤(G)は、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を1つ有することが好ましい。これらの場合には、フィラー(D)の分散性をより一層高めることができる。
シランカップリング剤(G)が、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を1つ有する場合には、上記式(21)中、Z1がケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を表し、Z2〜Z4が加水分解性基を表す。
上記シランカップリング剤(G)の上記有機官能基の具体例として、メチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、フェニル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基又は3−グリシドキシプロピル基等が挙げられる。
上記式(21)中の上記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の内の少なくとも1個の有機官能基の、有機概念図における無機性値は、40以下であることが好ましく、0であることが最も好ましい。上記式(21)中の全ての上記有機官能基の無機性値がそれぞれ、40以下であることが好ましく、0であることが最も好ましい。これらの場合には、フィラーの分散性を高めることができるため、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
上記式(21)中の上記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の内の少なくとも1つの有機官能基は、炭素数3〜16のアルキル基であることが好ましい。この場合には、フィラーの分散性をさらに高めることができるため、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性をより一層高めることができる。炭素数3〜16のアルキル基として、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、ドデシル基、又はヘキサデシル基等が挙げられる。
上記式(21)中の上記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の内の少なくとも1つの有機官能基は、炭素数4〜10のアルキル基であることが好ましい。この場合には、フィラーの分散性をさらに高めることができるため、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性をさらに一層高めることができる。
上記式(21)中の上記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の内の少なくとも1つの有機官能基は、イソブチル基、n−ヘキシル基又はn−デシル基であることが好ましい。この場合には、フィラーの分散性をさらに高めることができるため、絶縁破壊特性がさらに一層高い絶縁シートの硬化物を得ることができる。
上記式(21)中のZ1〜Z4の内の上記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基ではない基は加水分解性基である。
上記加水分解性基は、通常、水の存在下で、加水分解されてシラノール基を生成できる基、又はさらに縮合してシロキサン結合を形成できる基である。
上記加水分解性基として、アルコキシ基等が挙げられる。上記加水分解性基は、アルコキシ基であることが好ましい。該アルコキシ基の具体例として、炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。該炭素数1〜6のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基等が挙げられる。
上記加水分解性基は、アルコキシ基以外の加水分解性基であってもよい。該アルコキシ基以外の加水分解性基の具体例として、塩素もしくは臭素等のハロゲン基、アセチル基、ヒドロキシル基又はイソシアネート基等が挙げられる。
シランカップリング剤(G)が複数の加水分解性基を有する場合、複数の加水分解性基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
絶縁シート100重量%中に、シランカップリング剤(G)は0.05〜10.0重量%の範囲内で含有されることが好ましく、0.1〜5.0重量%の範囲内で含有されることがより好ましい。シランカップリング剤(G)の量が上記範囲内にある場合、フィラー(D)をより一層高密度に分散させることができる。従って、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
(ゴム粒子(E))
本発明に係る絶縁シートは、ゴム微粒子(E)を含有してもよい。
上記ゴム粒子(E)は特に限定されない。上記ゴム粒子(E)として、例えば、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム又は天然ゴム等が挙げられる。なかでも、上記ゴム粒子(E)は、アクリルゴム又はシリコーンゴムであることが好ましい。アクリルゴム又はシリコーンゴムが用いられた場合、絶縁シートの応力緩和性を高めることができ、絶縁シートの硬化物の柔軟性を高めることができ、かつ絶縁シートの硬化物の耐熱性の低下を抑制できる。また、上記ゴム粒子(E)の性状は特に限定されない。
上記ゴム粒子(E)と上記フィラー(D)とが併用された場合、絶縁シートの硬化物の線熱膨張率を低くすることができるとともに、絶縁シートの硬化物の応力緩和性を発現させることができる。さらに、高温条件又は冷熱サイクル条件において、絶縁シートの硬化物の剥離やクラック等がより一層生じ難くなる。
絶縁シート100重量%中に、ゴム粒子(E)は0.1〜40重量%の範囲内で含有されることが好ましく、0.3〜20重量%の範囲内で含有されることがより好ましい。ゴム粒子(E)の量が少なすぎると、絶縁シートの硬化物の応力緩和性が十分に発現しないことがある。ゴム粒子(E)の量が多すぎると、絶縁シートの硬化物の接着性が低くなることがある。
(他の成分)
本発明に係る絶縁シートは、ハンドリング性をより一層高めるために、ガラスクロス、ガラス不織布、アラミド不織布等の基材物質を含んでいてもよい。ただし、上記基材物質を含まなくても、本発明の絶縁シートは室温(23℃)において未硬化状態でも自立性を有し、かつ優れたハンドリング性を有する。よって、絶縁シートは基材物質を含まないことが好ましく、特にガラスクロスを含まないことが好ましい。絶縁シートが上記基材物質を含まない場合、絶縁シートの厚みを薄くすることができ、かつ絶縁シートの硬化物の熱伝導性をより一層高めることができる。さらに、絶縁シートが上記基材物質を含まない場合、必要に応じて絶縁シートにレーザー加工又はドリル穴開け加工等の各種加工を容易に行うこともできる。なお、自立性とは、PETフィルム又は銅箔といった支持体が存在しなくても、未硬化状態であっても、シートの形状を保持し、シートとして取扱うことができることをいう。
また、本発明の絶縁シートは、必要に応じて、チキソ性付与剤、分散剤、難燃剤又は着色剤などを含有してもよい。
(絶縁シート)
本発明に係る絶縁シートの製造方法は特に限定されない。絶縁シートは、例えば、上述した材料を混合した混合物を溶剤キャスト法又は押し出し成膜法等の方法でシート状に成形することにより得ることができる。シート状に成形する際に、脱泡することが好ましい。
絶縁シートの膜厚は特に限定されない。絶縁シートの膜厚は、10〜300μmの範囲内にあることが好ましく、50〜200μmの範囲内にあることがより好ましく、70〜120μmの範囲内にあることがさらに好ましい。膜厚が薄すぎると、絶縁シートの硬化物の絶縁性が低下することがある。膜厚が厚すぎると、金属体を導電層に接着したときに放熱性が低下することがある。
絶縁シートの膜厚を厚くすることにより、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性をより一層高めることができる。ただし、本発明の絶縁シートの膜厚が薄くても、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性は充分に高い。
未硬化状態の絶縁シートのガラス転移温度Tgは、25℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が25℃を超えると、室温において固く、かつ脆くなることがある。このため、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性が低下することがある。
絶縁シートの硬化物の熱伝導率は、1.0W/m・K以上であることが好ましい。絶縁シートの硬化物の熱伝導率は、1.5W/m・K以上であることがより好ましく、2.0W/m・K以上であることがさらに好ましい。熱伝導率が低すぎると、絶縁シートの硬化物の放熱性が低くなることがある。
絶縁シートの硬化物の絶縁破壊電圧は、30kV/mm以上であることが好ましい。絶縁シートの硬化物の絶縁破壊電圧は、40kV/mm以上であることがより好ましく、50kV/mm以上であることがさらに好ましく、80kV/mm以上であることがさらに好ましく、100kV/mm以上であることがさらに好ましい。絶縁破壊電圧が低すぎると、絶縁シートが例えば電力素子用のような大電流用途に用いられた場合に、絶縁性が低くなることがある。
絶縁シートの硬化物の体積抵抗率は、1014Ω・cm以上であることが好ましく、1016Ω・cm以上であることがより好ましい。体積抵抗率が低すぎると、導体層と高熱伝導体との間の絶縁を保てないことがある。
絶縁シートの硬化物の熱線膨張率は、30ppm/℃以下であることが好ましく、20ppm/℃以下であることがより好ましい。熱線膨張率が高すぎると、絶縁シートの硬化物の耐冷熱サイクル性が低下することがある。
(積層構造体)
本発明に係る積層構造体は、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体と、熱伝導体の少なくとも一方の面に積層された絶縁層と、絶縁層の熱伝導体が積層された面とは反対側の面に積層された導電層とを備える。該絶縁層が本発明に従って構成された絶縁シートを硬化させることにより形成されている。
例えば、両面に銅回路が設けられた積層板又は多層配線板、銅箔、銅板、半導体素子又は半導体パッケージ等の各導電層に、絶縁シートを介して金属体を接着した後、絶縁シートを硬化させることにより、上記積層構造体を得ることができる。
図1に、本発明の一実施形態に係る積層構造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図1に示す積層構造体1は、発熱源としての導電層2の表面2aに、絶縁層3を介して、高熱伝導体4が積層されている。絶縁層3は、本発明の絶縁シートを硬化させて形成されている。高熱伝導体4として、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体が用いられている。
積層構造体1では、絶縁層3が高い熱伝導率を有するので、導電層2側からの熱が絶縁層3を介して高熱伝導体4に伝わりやすい。積層構造体1では、該高熱伝導体4によって熱を効率的に放散させることができる。
上記熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体は特に限定されない。上記熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体として、例えば、アルミニウム、銅、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム又はグラファイトシート等が挙げられる。中でも、上記熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体は、銅又はアルミニウムであることが好ましい。銅又はアルミニウムは、放熱性に優れている。
本発明に係る絶縁シートは、基板上に半導体素子が実装されている半導体装置の導電層に、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体を接着するのに好適に用いられる。本発明に係る絶縁シートは、半導体素子以外の電子部品素子が基板上に搭載されている電子部品装置の導電層に、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体を接着するのにも好適に用いられる。
半導体素子が大電流用の電力用デバイス素子である場合には、絶縁シートの硬化物には、絶縁性又は耐熱性等により一層優れていることが求められる。従って、このような用途に、本発明の絶縁シートは好適に用いられる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
[ポリマー(A)]
(1)ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:E1256、Mw=51,000、Tg=98℃)
(2)高耐熱フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:FX−293、Mw=43,700、Tg=163℃)
(3)エポキシ基含有スチレン樹脂(日本油脂社製、商品名:マープルーフG−1010S、Mw=100,000、Tg=93℃)
[ポリマー(A)以外のポリマー]
(1)エポキシ基含有アクリル樹脂(日本油脂社製、商品名:マープルーフG−0130S、Mw=9,000,Tg=69℃)
[エポキシモノマー(B1)]
(1)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート828US、Mw=370)
(2)ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート806L、Mw=370)
(3)3官能グリシジルジアミン型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート630、Mw=300)
(4)フルオレン骨格エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル社製、商品名:オンコートEX1011、Mw=486)
(5)ナフタレン骨格液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製、商品名:EPICLON HP−4032D、Mw=304)
(6)ヘキサヒドロフタル酸骨格液状エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名:AK−601、Mw=284)
[オキセタンモノマー(B2)]
(1)ベンゼン骨格含有オキセタン樹脂(宇部興産社製、商品名:エタナコールOXTP、Mw=362.4)
[モノマー(B)以外のモノマー]
(1)ビスフェノールA型固体状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:1003、Mw=1300)
[硬化剤(C)]
(1)脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:MH−700)
(2)芳香族骨格酸無水物(サートマー・ジャパン社製、商品名:SMAレジンEF60)
(3)多脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:HNA−100)
(4)テルペン系骨格酸無水物(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピキュアYH−306)
(5)ビフェニル骨格フェノール樹脂(明和化成社製、商品名:MEH−7851−S)
(6)アリル基含有骨格フェノール樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:YLH−903)
(7)トリアジン骨格系フェノール樹脂(大日本インキ化学社製、商品名:フェノライトKA−7052−L2)
(8)メラミン骨格系フェノール樹脂(群栄化学工業社製、商品名:PS−6492)
(9)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製、商品名:2MZA−PW)
[フィラー(D)]
(1)アルミナ5μm(日本軽金属社製、商品名:LT300C、平均粒子径5μm)
(2)アルミナ2μm(日本軽金属社製、商品名:LS−242C、平均粒子径2μm)
(3)窒化アルミニウム6μm(破砕フィラー、東洋アルミニウム社製、商品名:FLC、平均粒子径6μm)
[シランカップリング剤(G)]
(1)ヘキシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM3063、有機性値120、無機性値0)
(2)デシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM3103、有機性値200、無機性値0)
(3)ヘキサデシルトリメトキシシラン(デグサ社製、商品名Dynasylan9116:、有機性値320、無機性値0)
(4)メチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM13、有機性値20、無機性値0)
(5)フェニルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBE103、有機性値120、無機性値15)
(6)2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM303、有機性値160、無機性値40)
(7)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM403、有機性値120、無機性値50)
[シランカップリング剤(G)以外のシランカップリング剤]
(1)オクタデシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:LS−6970、有機性値360、無機性値0)
(2)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM903、有機性値60、無機性値70)
[溶剤]
(1)メチルエチルケトン
(実施例1)
ホモディスパー型攪拌機を用い、下記の表1に示す割合(配合単位は重量部)で各原料を配合し、混練し、絶縁材料を調製した。
膜厚50μmの離型PETシートに、得られた絶縁材料を膜厚が100μmとなるように塗工し、90℃のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に絶縁シートを作製した。
(実施例2〜23及び比較例1〜4)
使用した各原料の種類及び配合量を下記の表1〜4に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして絶縁材料を調製し、PETシート上に絶縁シートを作製した。
(評価)
(1)ハンドリング性
PETシートと、該PETシート上に形成された絶縁シートとを有する積層シートを460mm×610mmの平面形状に切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを用いて、室温(23℃)でPETシートから未硬化状態の絶縁シートを剥離したときのハンドリング性を下記の基準で評価した。
[ハンドリング性の評価基準]
〇:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可能
△:絶縁シートを剥離できるものの、シート伸びや破断が発生する
×:絶縁シートを剥離できない
(2)熱伝導率
京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて、絶縁シートの熱伝導率を測定した。
(3)絶縁破壊電圧
絶縁シートを100mm×100mmの平面形状を有するように切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、絶縁シートの硬化物を得た。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、絶縁シートの硬化物間に1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。絶縁シートが破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
(4)半田耐熱試験
1mm厚のアルミ板と35μm厚の電解銅箔間に絶縁シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間絶縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。得られた銅張り積層基板を50mm×60mmのサイズに切り出し、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを288℃の半田浴に銅箔側を下に向けて浮かべ、銅箔の膨れ又は剥がれが発生するまでの時間を測定し、以下の基準で判定した。
[半田耐熱試験の判定基準]
〇:3分経過しても膨れ又は剥離の発生なし
△:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ又は剥離が発生
×:1分経過する前に膨れ又は剥離が発生
結果を下記の表1〜4に示す。
Figure 2010157380
Figure 2010157380
Figure 2010157380
Figure 2010157380
図1は、本発明の一実施形態に係る積層構造体を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
符号の説明
1…積層構造体
2…導電層
2a…表面
3…絶縁層
4…高熱伝導体

Claims (11)

  1. 熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体を導電層に接着するのに用いられる絶縁シートであって、
    重量平均分子量が1万以上であるポリマー(A)と、
    重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B1)及び重量平均分子量が600以下であるオキセタンモノマー(B2)の内の少なくとも一方のモノマー(B)と、
    フェノール樹脂、又は酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である硬化剤(C)と、
    フィラー(D)と、
    下記式(21)で表されるシランカップリング剤(G)とを含有し、
    下記式(21)中、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の有機概念図における有機性値が20〜320の範囲内にあり、かつ無機性値が50以下である、絶縁シート。
    Figure 2010157380
    上記式(21)中、Z1〜Z4の内の少なくとも1つの基は、ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基を表し、Z1〜Z4の内の前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基ではない基は加水分解性基を表す。
  2. 前記式(21)中、前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の有機概念図における前記無機性値が40以下である、請求項1に記載の絶縁シート。
  3. 前記式(21)中、前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の内の少なくとも1つの有機官能基が、炭素数3〜16のアルキル基である、請求項1又は2に記載の絶縁シート。
  4. 前記式(21)中、前記ケイ素原子に炭素原子が直接結合した有機官能基の内の少なくとも1つの有機官能基が、イソブチル基、n−ヘキシル基又はn−デシル基である、請求項3に記載の絶縁シート。
  5. 前記ポリマー(A)がフェノキシ樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  6. 前記フェノキシ樹脂のガラス転移温度が95℃以上である、請求項5に記載の絶縁シート。
  7. 前記硬化剤(C)が、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られた脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  8. 前記硬化剤(C)が、下記式(1)〜(3)の内のいずれかで表される酸無水物である、請求項7に記載の絶縁シート。
    Figure 2010157380
    Figure 2010157380
    Figure 2010157380
    上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアルキル基又は水酸基を示す。
  9. 前記硬化剤(C)が、メラミン骨格もしくはトリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁シート。
  10. 熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体と、
    前記熱伝導体の少なくとも一方の面に積層された絶縁層と、
    前記絶縁層の前記熱伝導体が積層された面とは反対側の面に積層された導電層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁シートを硬化させることにより形成されている、積層構造体。
  11. 前記熱伝導体が金属である、請求項10に記載の積層構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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