JP2012153770A - 樹脂組成物、樹脂シート、金属ベース回路基板、インバータ装置、及びパワー半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂シート、金属ベース回路基板、インバータ装置、及びパワー半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
金属ベース回路基板と絶縁層との密着性、およびヒートサイクル性に優れ、かつ十分な絶縁抵抗を有する樹脂組成物、樹脂シート、金属ベース回路基板、インバータ装置、及びパワー半導体装置を提供する。
【解決手段】
(A)DSC法で測定したガラス転移温度が120℃以上で、重量平均分子量が4.0×10以下のフェノキシ樹脂、(B)無機充填剤、及び(C)シランカップリング剤を必須成分とする樹脂組成物であって、(C)シランカップリング剤が樹脂組成物全体の2〜10重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

樹脂組成物、樹脂シート、金属ベース回路基板、インバータ装置、及びパワー半導体装置に関する。
従来から絶縁ゲートバイポーラトランジスタ( I G B T ; Insulated Gate Bipolar Transistor) 並びにダイオード等の半導体素子、抵抗及びコンデンサ等の回路部品を金属ベース回路基板上に搭載して構成したインバータ装置又はパワー半導体装置が知られている。
これらの電力制御装置は、その耐圧や電流容量に応じて各種機器に応用されている。特に、近年の環境問題、省エネルギー化推進の観点から、各種電気機械へのこれら電力制御装置の使用が年々拡大している。
特に車載用電力制御装置について、その小型化、省スペ−ス化と共に電力制御装置をエンジンル−ム内に設置することが要望されている。エンジンル−ム内は温度が高く、温度変化が大きいなど過酷な環境であり、また、放熱面積の大きな基板が必要とされる。このような用途に対して、より一層放熱性に優れる金属ベース回路基板が注目されている。
従来の金属ベース回路基板は、熱放散性や経済的な理由からアルミニウム板を用いることが多いが、実使用下で加熱/冷却が繰り返されると、前記アルミニウム板と電子部品、特にチップ部品との熱膨張率の差に起因して大きな熱応力が発生し、部品を固定している半田部分或いはその近傍にクラックが発生するなど電気的信頼性が低下するという問題点がある。
このような点を改良するためには、絶縁層の熱伝導性を高くし、かつ絶縁層の弾性率を低くして、さらに高レベルの耐熱性、耐湿性を達成することが必要である。
これまで、アクリルゴムを用いることにより、低弾性率化を図った樹脂組成物を絶縁層に用いることが開示されている(例えば、特許文献1、2)。
しかし、アクリルゴムを用いた場合は、ヒートサイクル試験において十分な性能が得られない問題があった。
また、他の低弾性率化手段として、シリコーン樹脂などを用いる技術が検討されている(例えば、特許文献3)。
しかし、シリコーン樹脂を用いた場合、金属板との密着性に劣るため、金属ベース板との密着力が低下し、金属板と絶縁樹脂との間に吸湿等により、絶縁破壊電圧値が低下する問題があった。
特開平9−8426号公報 特開平10−242606号公報。 特開2005−281509号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、金属ベース回路基板と絶縁層との密着性、並びにヒートサイクル性に優れ、十分な絶縁抵抗を有する樹脂組成物、樹脂シート、金属ベース回路基板、インバータ装置、及びパワー半導体装置を提供する。
本発明の目的は、下記[1]〜[7]項に記載の本発明により達成される。
[1] (A)DSC法で測定したガラス転移温度が120℃以上で、重量平均分子量が4.0×10以下のフェノキシ樹脂、(B)無機充填剤、及び(C)シランカップリング剤を必須成分とする樹脂組成物であって、(C)シランカップリング剤が樹脂組成物全体の2〜10重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
[2] 前記(A)フェノキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の10〜40重量%である[1]に記載の樹脂組成物
[3] 金属ベース回路基板上に[1]または[2]に記載の樹脂組成物からなる絶縁層を金属箔に積層してなる樹脂シート。
[4]前記[3]に記載の樹脂シートを金属ベース回路基板上に積層してなる積層板。
[5]金属ベース回路基板上に[1]乃至[4]のいずれか一に記載の樹脂組成物からなる絶縁層を介して導体回路が形成されてなる金属ベース回路基板。
[6]前記[5]に記載の金属ベース回路基板上に回路部品が搭載されていることを特徴とするインバータ装置。
[7]前記[6]に記載の金属ベース回路基板上に回路部品が搭載されていることを特徴とするパワー半導体装置。
本発明の樹脂組成物は、金属ベース回路基板と絶縁層との密着性、およびヒートサイクル性に優れ、かつ十分な絶縁抵抗値を有する。
本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は(A)DSC法で測定したガラス転移温度が120℃以上で、重量平均分子量が4.0×10以下のフェノキシ樹脂、(B)無機充填剤、及び(C)シランカップリング剤を必須成分とする樹脂組成物であって、(C)シランカップリング剤が樹脂組成物全体の2〜10重量%である樹脂組成物である。これにより、金属ベース回路基板と絶縁層との密着性、及びヒートサイクル性に優れ、十分な絶縁抵抗を有する。また本発明の樹脂組成物は、良好な絶縁破壊電圧値を示す。
加えて、本発明の樹脂組成物は、無機充填剤を含有させていることで従来からの熱放散性が優れる点、耐電圧等の電気絶縁性に優れる点等が維持され、かつ、本発明の樹脂組成物の硬化物の弾性率を下げることができる。
前記(A)DSC法で測定したガラス転移温度が120℃以上で、重量平均分子量が4.0×10以下のフェノキシ樹脂(以下、単に「(A)フェノキシ樹脂」という場合がある。)は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個のフェノール水酸基を有する分子量が4.0×10以下の化合物とエピクロルヒドリンより合成することができる。
(A)フェノキシ樹脂は、DSC法で測定したガラス転移温度が120℃以上で、重量平均分子量が4.0×10以下であれば、構造は特に限定されないが、例えば、分子量が、4.0×10以下の樹脂でフェノキシ樹脂であって、ビスフェノールS骨格を有するもの、アントラセン骨格を有するもの、フルオレン骨格を有するもの、ジシクロペンタジエン骨格を有するもの、ノルボルネン骨格を有するもの、ナフタレン骨格を有するもの、ビフェニル骨格を有するもの、アダマンタン骨格を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、分子内にアントラセン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格などの剛直な構造を有することが好ましい。これらの剛直な構造により分子運動が妨げられるため、得られる樹脂組成物の硬化物は、高いガラス転移温度を有するようになる。
なお、ここで、DSC法によるガラス転移温度とは、JIS K7121−1987に準拠した測定により求められるガラス転移温度である。
(A)フェノキシ樹脂を絶縁層に含むことにより、絶縁層と金属ベース回路基板との密着性が向上する。また接続信頼性が向上し、例えば、本願発明の金属ベース回路基板に、電子部品等を実装したインバータ装置、及びパワー半導体装置等は、急激な加熱/冷却の環境下においても、電子部品と金属ベース回路基板を接合する半田接合部、またはその近傍で、クラック等の不良が発生することはない。
本発明に用いる(A)フェノキシ樹脂はDSC法で測定したガラス転移温度が120℃以上である。120℃未満であると、急激な加熱/冷却の環境下において、電子部品と金属ベース回路基板を接合する半田接合部、またはその近傍で、クラック等の不良が発生するおそれがあり好ましくない。
本発明で用いる(A)フェノキシ樹脂は重量平均分子量が4.0×10以下である。重量平均分子量が4.0×10より大きいと、樹脂組成物の粘度上昇により、プレス時の流動性が悪化し、ボイド等が発生することがあり、金属ベース回路基板の絶縁破壊電圧値が低下する場合がある。
前記(A)フェノキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の10〜40重量%であることが好ましい。10重量%未満であると、弾性率を十分下げることができない場合があり、金属ベース回路基板に用いると低弾性率化が十分でなく、急激な加熱/冷却を受けても半田接続部、または、その近傍でのクラックが発生する恐れがある。40重量%より多いと、プレス時の流動性が悪化し、ボイド等が発生するため、金属ベース回路基板の絶縁破壊電圧値が低下する場合がある。
なお樹脂組成物全体とは、例えば、溶剤等を用いたワニスの場合は、溶剤を除く固形を意味し、液状エポキシ、カップリング剤等の液状成分は、樹脂組成物に含まれる。
前記(B)無機充填剤は、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素などが挙げられる。
これらの中でも、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカが、高熱伝導性の観点から好ましい。 さらに好ましくは、アルミナである。アルミナを用いた場合、高熱伝導性に加え、耐熱性、絶縁性の点で好ましい。
また、信頼性の観点から、結晶性シリカまたは非晶性シリカが好ましい。また、結晶性シリカ、または非晶性シリカは、イオン性不純物が少ない点で好ましい。
樹脂組成物より形成される絶縁層に、結晶性シリカまたは非晶性シリカが含まれる場合、絶縁信頼性に優れる金属ベース回路基板を得ることができる。
特に、結晶性シリカまたは非晶性シリカを用いた金属ベース回路基板は、プレッシャークッカテスト等の水蒸気雰囲気下で絶縁性が高く、金属、アルミ線、アルミ板等の腐食が少ない点で好適である。
一方、難燃性の観点からは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
さらに、 溶融粘度調整やチクトロピック性の付与の目的においては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカが好ましい。
(B)無機充填剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の40〜70重量%であることが好ましい。40重量%より少ないと、熱抵抗が増大し、十分な放熱性を得ることができない場合があり、70重量%より多いと、プレス時の流動性が悪化し、ボイド等が発生する場合がある。
前記(C)シランカップリング剤は、本発明の樹脂組成物に含むことにより、金属板と絶縁層との密着性が向上し、従来よりも金属ベース回路基板の絶縁破壊電圧値が向上する。
これは、フェノキシ樹脂、及び無機充填剤との組み合わせによる相乗効果によるものと推察される。
前記(C)シランカップリング剤の含有量は、樹脂組成物全体の2〜10重量%である。より好ましく、3〜7重量%である。含有量が2重量%未満であると、金属板と絶縁層との密着力が低下し、金属ベース回路基板の半田耐熱性が低下する場合がある。また10重量%を超えると、シランカップリング剤が加水分解し、半田耐熱性が低下する場合がある。
前記樹脂組成物は、改質剤として、エポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂を添加することにより、樹脂組成物の耐湿性、耐熱性、特に吸湿後の耐熱性が改善される。エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系及びアルコール系等のグリシジルエーテル、グリシジルアミン系並びにグリシジルエステル系等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中で、耐熱性、耐湿性、金属接着性およびプレス成形時の流動性の点から、ビスフェノールAエポキシ樹脂が好ましく、特に常温で液状のビスフェノールAエポキシ樹脂が好ましい。常温で液状のビスフェノールAエポキシ樹脂は、プレス成形時の流動性が特に優れる上、フェノキシ樹脂との相溶性に優れ、樹脂組成物が相分離等を起こさないため、耐熱性に優れる。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化剤を含んでも良い。硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、酸無水物、アミン化合物及びフェノール化合物、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、その他必要に応じ、任意に公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、難燃剤及び充填剤、色素、紫外線吸収剤等の併用ができる。
次に、樹脂シートについて説明する。
前述した樹脂組成物を用いた樹脂シートは、樹脂組成物からなる絶縁層を金属箔上に形成することにより得られる。
まず、絶縁層を形成するため本発明の樹脂組成物を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンシクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール等の有機溶剤中で、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶解、混合、撹拌して樹脂ワニスを作製する。
前記樹脂ワニス中の樹脂組成物の含有量は、特に限定されないが、45〜85重量%が好ましく、特に55〜75重量%が好ましい。
次に前記樹脂ワニスを、各種塗工装置を用いて、金属箔上に塗工した後、これを乾燥する。または、樹脂ワニスをスプレー装置により金属箔に噴霧塗工した後、これを乾燥する。これらの方法により樹脂シートを作製することができる。
前記塗工装置は、特に限定されないが、例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーターおよびカーテンコーターなどを用いることができる。これらの中でも、ダイコーター、ナイフコーター、およびコンマコーターを用いる方法が好ましい。これにより、ボイドがなく、均一な絶縁層の厚みを有する樹脂シートを効率よく製造することができる。
前記絶縁層の厚さは、50μm〜250μmの範囲が好ましく、50μm未満の場合、以下に述べる金属ベース回路基板に用いると、例えば、アルミニウム板等の金属板との熱膨張率差による熱応力の発生を絶縁接着層で緩和することが十分に出来ない。
その結果、基板に半導体素子、抵抗部品等を表面実装した場合、歪が大きくなり、十分な熱衝撃信頼性を得ることができなくなる場合がある。250μmを超えると、表面実装した部分の歪量が少なく、良好な熱衝撃信頼性を得ることができるが、熱抵抗が増大するため、十分な放熱性を得ることができない。
前記金属箔は、特に限定されないが、例えば銅及び銅系合金、アルミ及びアルミ系合金、銀及び銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金、鉄および鉄系合金等の金属箔が挙げられる。
これらの中でも、金属箔をエッチングにより導体回路として用いることができる点で銅が好ましい。
また、低熱膨張の観点から、鉄−ニッケル合金が好ましい。
尚、前記金属箔の製造方法は電解法でも圧延法で作製したものでもよく、金属箔上にはNiメッキ、Ni−Auメッキ、半田メッキなどの金属メッキがほどこされていてもかまわないが、絶縁接着層との接着性の点から導体回路の絶縁接着層に接する側の表面はエッチングやメッキ等により予め粗化処理されていることが一層好ましい。
前記金属箔の厚さは、特に限定されないが、0.5μm以上105μm以下であることが好ましい。さらには1μm以上70μm以下が好ましく、さらに好ましくは9μm以上35μm以下が好ましい。前記金属箔の厚さが上記下限値未満であると、ピンホールが発生しやすく、金属箔をエッチングし導体回路として用いた場合、回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込みなどが発生する怖れがあり、前記上限値を超えると、金属箔の厚みバラツキが大きくなったり、金属箔粗化面の表面粗さバラツキが大きくなったりする場合がある。
また、前記金属箔は、キャリア箔付き極薄金属箔を用いることもできる。キャリア箔付き極薄金属箔とは、剥離可能なキャリア箔と極薄金属箔とを張り合わせた金属箔である。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることで前記絶縁層の両面に極薄金属箔層を形成できることから、例えば、セミアディティブ法などで回路を形成する場合、無電解メッキを行うことなく、極薄金属箔を直接給電層として電解メッキすることで、回路を形成後、極薄銅箔をフラッシュエッチングすることができる。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることによって、厚さ10μm以下の極薄金属箔でも、例えばプレス工程での極薄金属箔のハンドリング性の低下や、極薄銅箔の割れや切れを防ぐことができる。
次に、金属ベース回路基板について説明する。
本発明の金属ベース回路基板の製造方法は、特に限定されないが、例えば、金属板の片面又は両面に前記樹脂シートの樹脂面が接するように積層し、プレス等を用い加圧・加熱硬化させて樹脂層を形成することにより金属ベース回路基板を得ることができる。
金属ベース回路基板は、金属箔をエッチングすることにより、回路形成し、用いることができる。
多層にする場合は、前記金属ベース回路基板に回路形成後、さらに樹脂シートを積層し、前記同様エッチングすることにより回路形成することにより多層の金属ベース回路基板を得ることができる。
なお、最外層にソルダーレジストを形成し、露光・現像により半導体素子、や電子部品が実装できるよう接続用電極部を露出させても良い。
前記金属板の厚みは、特に限定されないが、厚み0.5〜5.0mmであることが好ましい。熱放散性に優れ、しかも経済的であるからである。
金属ベース回路基板を作製する別の方法としては、金属板に前記樹脂ワニスを塗工し、その後、金属箔を積層し加熱・加圧する方法が挙げられる。
前記同様エッチングし、回路形成して用いることもできる。
尚、前記において金属板に前記樹脂ワニスを塗工し、樹脂を硬化させた後、無電解めっき、および電解めっきにより回路形成を行っても良い。
以上説明した金属ベース回路基板は、導体回路の上に回路部品が搭載されたインバータ装置及びパワー半導体装置等の電力制御装置に応用される。
ここでインバータ装置とは直流電力から交流電力を電気的に生成する( 逆変換する機能を持つものである。
またパワー半導体装置とは、通常の半導体素子に比べて高耐圧化、大電流化、高速・高周波化されている特徴を有し、一般的にはパワーデバイスと呼ばれ、整流ダイオード、パワートランジスタ、パワーM O S F E T 、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ( IG B T) 、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ( G T O ) 、トライアックなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例において用いた原材料は以下の通りである。
(1) 下記式(1)で表わされるフェノキシ樹脂(三菱化学製、YX6954、DSC法で測定したガラス転移温度130℃、重量平均分子量39000)
(2)下記式(2)で表わされるフェノキシ樹脂(三菱化学製、YX8100、DSC法で測定したガラス転移温度150℃、重量平均分子量38000)
(3)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC製、850S、エポキシ当量190)
(4)ジシアンジアミド(デグサ製)
(5)フェノールノボラック樹脂(DIC製、TD−2010、水酸基当量105)
(6)2−フェニルイミダゾール(四国化成製、2PZ)
(7)γ−グリシドキシプロピルトリトメキシシラン(信越シリコーン製、KBM−403)
(8)アルミナ(電気化学工業製、AS−50)
(9)窒化ホウ素(電気化学工業製、SPG−3)
(10)臭素化ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(新日鐵化学製、YPB−40、DSC法で測定したガラス転移温度110℃、重量平均分子量35000)
(11)下記式(3)で表わされるフェノキシ樹脂(特公平07−59620実施例6で合成、DSC法で測定したガラス転移温度122℃、重量平均分子量196000)
(12)シリコーン樹脂(I)(モメンティブパフォーマンズ製XE14−A0425(A)、ポリアルケニルシロキサン)
(13)シリコーン樹脂(II)(モメンティブパフォーマンズ製XE14−A0425(B)、ポリアルキル水素シロキサン)
(1)樹脂ワニスの調製
フェノキシ樹脂(三菱化学製、YX6954、DSC法で測定したガラス転移温度130℃、重量平均分子量39000)16.8重量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC製、850S、エポキシ当量190)19.7重量%、2−フェニルイミダゾール(四国化成製2PZ)0.5重量部、シランカップリング剤としてγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製KBM−403)3.0重量部、アルミナ(電気化学工業製、AS−50)60.0重量部をシクロヘキサノンに溶解・混合させ、高速撹拌装置を用い撹拌して、樹脂組成物が固形分基準で70重量%のワニスを得た。
(2)樹脂シートの作製
金属箔として、厚さ70μmの銅箔(古河サーキットホイル製、GTSMP)を用い、銅箔の粗化面に樹脂ワニスをコンマコーターにて塗布し、100℃で3分、150℃で3分加熱乾燥し、樹脂厚100μmの樹脂付き銅箔を得た。
(3)金属ベース回路基板の作製
前記で得られた樹脂シートと金属板として2mm厚のアルミニウム板を張り合わせ、真空プレスで、プレス圧30kg/cm2で80℃30分、200℃90分の条件下で、プレスし金属ベース回路基板を得た。
(4)インバータ装置の作製
前記金属ベース回路基板に。回路形成するため、回路以外の不要な部分をエッチングにより除去し、回路を形成後、所定の部分に試験用の回路部品を搭載し、半田接合を行うことにより、インバータ装置を得た。
(実施例2〜6、および比較例1〜6)
表1、及び表2に記載の配合表に従い樹脂ワニスを調製した以外は、実施例1と同様に樹脂ワニスを調製し、樹脂シート、金属ベース回路基板、およびインバータ装置を作製した。
また、各実施例および比較例により得られた金属ベース回路基板について、次の各評価を行った。評価結果を表1、及び表2に示す。
(評価方法)
上述の各評価について、評価方法を以下に示す。
(1)ピール強度
前記実施例、及び比較例で得られた金属ベース回路基板から100mm×20mmの試験片を作製し、23℃における金属ベース回路基板と樹脂層とのピール強度を測定した。
尚、ピール強度測定は、JIS C 6481に準拠して行った。
(2)半田耐熱性
得られた金属ベース回路基板を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、エッチングにより銅箔を1/4だけ残した試料を作製し、JIS C 6481に準拠して評価した。評価は、前処理をしない場合と、前処理をしない場合と、121℃、100%、(PCT処理)を4時間行った後の場合において、288℃の半田槽に30秒間浸漬した後で外観の異常の有無を調べた。
評価基準:異常なし
:膨れあり(全体的にフクレの箇所がある)
(3)絶縁破壊電圧
前記金属ベース回路基板を100mm×100mmにグラインダーソーでカットした後、端縁部から約30mmの位置から外側部分の銅箔をエッチングにより除去し、試料を作成した。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、銅箔と金属板に電極を接触せしめて、両電極に1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。金属ベース回路基板の樹脂部が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
(4)熱伝導率
得られた金属ベース回路基板の密度を水中置換法により測定し、また、比熱をDSC(示差走査熱量測定)により測定し、さらに、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定した。
そして、熱伝導率を以下の式から算出した。
熱伝導率(W/m・K)=密度(kg/m3)×比熱(kJ/kg・K)×熱拡散率(m2/S)×1000
(5)ヒ−トサイクル試験
前記で得られたインバータ装置を用い、−40℃7分〜+125℃7分を1サイクルとして10000回のヒートサイクル試験を行った後、顕微鏡で半田部分のクラックの有無を観察した。半田部分のクラックの発生が10%以上あるものは不良とし、半田クラックの発生が10%未満のものを良好と判定した。
評価基準:良好
:不良(クラック発生率10%以上)
表1、及び2に記載されている評価結果より、以下のことが分かった。
比較例1では絶縁破壊電圧値が低下した。
これは、比較例1のフェノキシ樹脂はDSC法で測定したガラス転移温度が120℃未満であったため、−40℃7分〜+125℃7分を1サイクルとしたヒートサイクル試験でフェノキシ樹脂が、ガラス状態とゴム状態の変化を繰り返したことにより、基板にストレスが生じたためと考えられる。
比較例2では絶縁破壊電圧値が低下した。
これは、比較例2のフェノキシ樹脂は重量平均分子量が40000を超えるために樹脂の流動性が悪化し、絶縁層中に微小なボイドが発生したことによって、絶縁破壊電圧値が低下したものと推察される。
比較例3及び比較例4では、半田耐熱性が悪化した。
これは、比較例3は、γ−グリシドキシプロピルトリトメキシシランの量が少ないため、また比較例4は、γ−グリシドキシプロピルトリトメキシシランの量が多すぎるためと推察される。
比較例5は、無機充填剤を用いなかったため、熱伝導率が十分小さくならなかった。
比較例6は、シリコーン樹脂を用いたものである。金属板と樹脂間に吸湿を起こし、半田耐熱性が低下した。また密着性が悪化した。
一方、実施例1〜6で得られた本発明の樹脂組成物、樹脂シート箔を用いた金属ベース回路基板は、ピール強度が高く、半田耐熱性に優れ、十分な絶縁破壊電圧値、並びに高い熱伝導率を有した。また、インバータ装置を用いた、ヒートサイクル試験においても良好な結果であった。
従って、本発明で特定した樹脂組成物を用いることにより、性能の優れた金属ベース回路基板、インバータ装置、及びパワー半導体装置を得られることが分かった。
本発明の樹脂組成物、樹脂シート、金属ベース回路基板、インバータ装置、及びパワー半導体装置は、自動車のエンジンル−ム等過酷な環境化で用いられる材料として好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. (A)DSC法で測定したガラス転移温度が120℃以上で、重量平均分子量が4.0×10以下のフェノキシ樹脂、(B)無機充填剤、及び(C)シランカップリング剤を必須成分とする樹脂組成物であって、(C)シランカップリング剤が樹脂組成物全体の2〜10重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記(A)フェノキシ樹の含有量は、樹脂組成物全体の10〜40重量%である請求項1に記載の樹脂組成物
  3. 金属ベース回路基板上に請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる絶縁層を金属箔に積層してなる樹脂シート。
  4. 前記請求項3に記載の樹脂シートを金属ベース回路基板上に積層してなる積層板。
  5. 金属ベース回路基板上に請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる絶縁層を介して導体回路が形成されてなる金属ベース回路基板。
  6. 前記請求項5に記載の金属ベース回路基板上に回路部品が搭載されていることを特徴とするインバータ装置。
  7. 前記請求項6に記載の金属ベース回路基板上に回路部品が搭載されていることを特徴とするパワー半導体装置。

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