JP6206754B2 - 熱伝導性樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、電力用半導体装置等の電子部品に使用することができる熱伝導性樹脂シートに関し、詳細には、ロールtoロール方式により連続生産することが可能な熱伝導性樹脂シート及びそれを金属薄膜ラミネートしてなる熱伝導性シート並びに該熱伝導性樹脂シート及び該熱伝導性シートの製造方法に関する。
電力用半導体装置等の電子部品には、発熱部から放熱部へ熱を伝達するために、熱電導性でしかも電気絶縁性の部材(本明細書では熱伝導性部材とも言う。)が用いられている。このような熱伝導性部材には、熱伝導性樹脂シートが素材として広く用いられている。該樹脂シートとしては、熱電導性と電気絶縁性に優れた無機フィラーを熱硬化性樹脂組成物等のマトリックスに含有させてシート化してなるものが一般に使用されている。このような熱伝導性部材は一般に、電子部品への実装の際、成形時に高圧が負荷されるが、その際に熱伝導性樹脂シートが加圧によって横流れすることを防止できる強度を有することが要請される。
このような樹脂シートの製造方法としては、例えば、特許文献1の製造工程では、熱硬化性樹脂中に無機フィラーを含有する樹脂組成物をシート化するに際して5〜60分程度の時間にわたってプレス加圧する工程を用いている。この製造工程では、熱硬化性樹脂中に無機フィラーを含有する樹脂組成物を基材上に塗布した後、Bステージ化した乾燥物をプレス機で加圧しながら硬化させる工程を含む。また、特許文献2の製造工程では、無機フィラーと樹脂とからなる樹脂組成物をシート化するが、その際にロールtoロール方式によるシート化工程を経るが、得られたポリマーシートの熱プレスを行い、このプレス工程では、シートの複数枚を重ねたものを2秒から10時間の間、プレス機で熱プレスし、その後、金属箔や金属板と積層して熱伝導性シートが製造される。このように、これらの製造方法では、シート強度を確保するために、熱プレスによる樹脂のBステージ化が必要であった。
しかしながら、これらの製造方法では、シート強度を確保して取扱性向上のためにBステージ化すると、工程が煩雑化するなど、生産性向上を図ることが難しく、製造コストの低減が困難であった。またBステージ化する場合、ゲルタイムの制御が不安定であるといった問題もあった。しかも、樹脂シートは大判のシートサイズを採用し、この大判シートを長時間プレスするので、生産工程はステップバイステップであり、工程から工程へと資材を移動させ、資材を改めてセットする過程を繰り返さざるを得ず、能率的ではない。
特開2011−6586号公報 特開2010−94887号公報
このように熱電導性樹脂シートの従来の製造方法は、Bステージ化した大判のシートを製造することを前提に構成されていたが、このような製造方法では、たとえ大判のシートを用いてプレス加工し、個片化された熱伝導性部材の生産性を上げたとしてもおのずと限界があり、より低コストで高生産性の製造方法を確立することが要望されていた。しかしながら、Bステージ化することなしにシート強度を高めてロールtoロール方式により生産性を向上させることは、従来技術においては実施困難視されていた。
従って本発明は、電力用半導体装置等の電子部品に使用することができる、ロールtoロール方式により連続生産することが可能な熱伝導性樹脂シート及びそれを金属薄膜ラミネートしてなる熱伝導性シート並びに該熱伝導性樹脂シート及び該熱伝導性シートの製造方法を提供することを目的とする。ロールtoロール方式は、一般に、ロール状に巻いた基材を送り出し、連続的に再び別のロールに巻き取って回収する生産方法をいう。
本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤及びエポキシ樹脂100重量部に対して30〜200重量部の架橋構造含有ポリマーを含有する熱硬化性樹脂組成物と熱伝導性フィラーとを含有してなり、
前記架橋構造含有ポリマーは、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオールを、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルの架橋剤で架橋してなるものである熱伝導性樹脂シートである。
本発明はまた、上記熱伝導性樹脂シートの少なくとも1層と金属薄膜とを積層してなる熱伝導性シートである。
本発明はまた、エポキシ樹脂、硬化剤及びエポキシ樹脂100重量部に対して30〜200重量部の架橋構造含有ポリマーを含有する熱硬化性樹脂組成物と熱伝導性フィラーとを含有してなるワニス材料であって、前記架橋構造含有ポリマーは、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオールを、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルの架橋剤で架橋してなるものである前記ワニス材料を、ロールtoロール方式で連続樹脂シート化する工程を有する、熱伝導性樹脂シートの製造方法である。
本発明はまた、エポキシ樹脂、硬化剤、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオール、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルのブロックイソシアネート化合物、並びに、熱伝導性フィラーを含有してなるワニス材料を、ロールtoロール方式で連続樹脂シート化する工程、並びに、該樹脂シートを脱ブロック温度に加熱することにより前記ブロックイソシアネート化合物を脱ブロック化したイソシアネート化合物で前記ポリアミド又は前記重合体ポリオールを架橋して架橋構造含有ポリマーとし、前記熱伝導性フィラーと前記架橋構造含有ポリマーとを含有する熱硬化性樹脂組成物のシートを得る工程を含み、該架橋構造含有ポリマーの含有量がエポキシ樹脂100重量部に対して30〜200重量部である、熱伝導性樹脂シートの製造方法である。
本発明はまた、本発明の熱伝導性樹脂シート、好ましくは、本発明のいずれかの製造方法で得られた熱伝導性樹脂シート、に金属薄膜連続シートを積層し、樹脂シートを金属薄膜でラミネートした連続シートとなす工程を有する、熱伝導性シートの製造方法である。
本発明はさらに、金属薄膜であってよい第一の放熱部材(1)と、電力制御用半導体素子を搭載した第二の放熱部材(2)との間に上記熱伝導性樹脂シートを配置した後、トランスファーモールドにより樹脂封止する、パワーモジュールの製造方法でもある。本発明の一態様において、上記第一の放熱部材(1)は金属薄膜であり、本発明の熱伝導性樹脂シートの少なくとも1層と予め積層して用いる。
(1)本発明の熱伝導性樹脂シートは、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオールを、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルの架橋剤で架橋してなる架橋構造含有ポリマーを含有するので、クリープ性を有し、加熱圧縮することができるが、流出せず、Bステージ化する必要がない。そのため、該シートは柔軟であり、ロールtoロール方式を適用した長尺シート化が可能である。また、該シートは、適度に粘性を有しているので、圧着時に被着体との密着性がよい。
(2)本発明の製造方法は、電力用半導体装置等の電子部品に使用することができる熱伝導性樹脂シートや金属薄膜ラミネートされた熱伝導性シートをロールtoロール方式により連続生産することが可能であり、熱伝導性樹脂シートや熱伝導性シートの生産性向上や製造コスト低減が可能である。また、連続シート材の材料幅を、シートの裁断をする必要のない幅に予め設定する自由度を有するので、材料の無駄を無くすことができる。さらに、本発明の製造方法により製造された熱伝導性樹脂シートや熱伝導性シートは、保存安定性を有している。
本発明の熱伝導性樹脂シート(以下、単に本発明の樹脂シートともいう。)において、エポキシ樹脂としては、特に限定されず、樹脂シート化可能な組成物に使用可能なものであればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式脂肪族エポキシ樹脂、有機カルボン酸類のグリシジルエーテル、上記エポキシ樹脂のプレポリマーや、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂のような上記エポキシ樹脂と他のポリマーとの共重合体などがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちではビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が、耐熱性や耐水性がよく、安価で経済的であるなどの点から好ましい。
また、粘度調節のために1官能のエポキシ樹脂を、エポキシ樹脂全体の1〜20重量%程度用いることができる。このような1官能エポキシ樹脂としては、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチルジエチレングリコールグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエングリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂シートにおいて、硬化剤としては、エポキシ樹脂硬化剤を特に制限なく使用可能であり、例えば、フェノール系硬化剤(フェノール樹脂等)、ジシアンジアミド系硬化剤(ジシアンジアミド等)、尿素系硬化剤、有機酸ヒドラジド系硬化剤、ポリアミン塩系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤などがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちではフェノール系硬化剤が、硬化時の低アウトガス性、耐湿性、耐ヒートサイクル性などの点から好ましい。
また、ジシアンジアミド系硬化剤、尿素系硬化剤、有機酸ヒドラジド系硬化剤、ポリアミン塩系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤が、潜在性硬化剤であり、保存安定性の点から好ましい。
上記潜在性硬化剤としては、活性温度が60℃以上、さらには80℃以上であるのが好ましい。活性温度の上限としては、250℃以下、さらには180℃以下であるのが、活性温度以上で速硬化性で、生産性を向上させることができるなどの点から好ましい。
上記硬化剤の使用量は、硬化剤の種類によって異なるため一概には規定できないが、通常、エポキシ基1当量あたり、硬化剤の官能基の当量数が0.5〜1.5当量、さらには0.7〜1当量、殊には0.8〜1当量であるのが好ましい。
本発明の樹脂シートにおいて、任意成分として、硬化促進剤を用いることができる。このような硬化促進剤としては、エポキシ樹脂組成物において従来から使用されているものが使用可能であるが、保存安定性の点から、活性温度が60℃以上、さらには80℃以上の潜在性硬化促進剤が好ましい。活性温度の上限としては、250℃以下、さらには180℃以下であるのが、活性温度以上での硬化促進性が高く、生産性を向上させることができる等の点から好ましい。
上記潜在性硬化促進剤の具体例としては、例えば、変性イミダゾール系硬化促進剤、変性脂肪族ポリアミン系促進剤、変性ポリアミン系促進剤等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは変性イミダゾール系硬化促進剤が、活性温度が高く、反応性がよく、純度の高いものが得られやすい等の点から好ましい。
上記硬化促進剤の配合量としては、潜在性硬化促進剤の種類によって異なるため一概には規定できないが、エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜80重量部が好ましく、5〜50重量部がより好ましい。
本発明の樹脂シートにおいて、上記架橋構造含有ポリマーは、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオールを、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルの架橋剤で架橋してなる。
上記ポリアミドとしては、アミド結合を有する重合体であれば特に限定されないが、熱伝導性の観点から、ポリエーテルエステルアミド及び/又はポリエステルアミドが好ましく用いられる。ポリアミド単位としては、ジアミン(ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン等)とジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、キシリレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、重合脂肪酸等)から製造されるポリアミド;アミノカルボン酸(ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナン酸、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等)から製造されるポリアミド;ラクタム(カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等)から製造されるポリアミドなどが例示できる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリエーテルエステルアミドは、上述のようなポリアミド単位とポリエーテルエステル単位とを反応させて得ることができる。ポリエーテルエステル単位としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとのブロックまたはランダム共重合体及びこれらの混合物など)とジカルボン酸(アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、重合脂肪酸等)から製造されるポリエーテルエステルを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリエステルアミドは、上述のようなポリアミド単位とポリエステル単位とを反応させて得ることができる。ポリエステル単位としては、例えば、ジカルボン酸(アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、重合脂肪酸等)とジオール(1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、1、4ーシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル等)から製造されるポリエステルを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリアミドは、190℃、21.18Nでのメルトインデックス(MI)が1〜20g/10minのものが、シート加熱時における樹脂成分の流動性の観点から好ましい。本明細書では単位を省略した数値をMI値という。
上記ポリアミドは、アミン価が0.1〜10のものが、耐熱性の観点から好ましい。
上記重合体ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどを挙げることができる。反応性の観点からは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールであることが望ましい。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、3メチル1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等)とジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等)の重縮合したものを挙げることができる。ポリエーテルエステルポリオールとしては、上記ポリエーテルポリオールの1種以上と上記ポリエステルポリオールの原料として例示したジカルボン酸の1種以上とを重縮合したものを挙げることができる。ポリカーボネートポリオールとしては、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネート、ポリノナメチレンカーボネートなどを挙げることができる。またポリカプロラクトンポリオールとしては、多価アルコールのε−カプロラクトン付加物を挙げることができる。これら重合体ポリオールは直鎖状・分岐状いずれの構造でもよく、またカテナン、ロタキサンといったインターロック構造であってもよい。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、上記重合体ポリオールは、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000であることが、シート化時の柔軟性の観点から好ましい。
また、上記重合体ポリオールは、水酸基価が10〜100mgKOH/gであることが、耐熱性の観点から好ましい。
上記架橋構造含有ポリマーにおいて、上記架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物を挙げることができる。上記エポキシ化合物としては、例えば、芳香族ジエポキシ化合物、脂環式ジエポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、縮合多環ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル及びアルコール性水酸基を2個有する化合物のジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネートなどの芳香族脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;ダイマー酸ジイソシアネートなどの水添ジイソシアネート類;これらジイソシアネート化合物の2量体、3量体、さらに高分子量のポリイソシアネート類;トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、もしくは水または低分子量ポリエステル樹脂との付加物等を挙げることができる。
また、イソシアネート化合物はブロック剤でブロックしたブロックイソシアネート化合物であってもよい。上記ブロックイソシアネート化合物におけるブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオキシム類;m−クレゾール、キシレノールなどのフェノール類;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコール類;ε−カプロラクタムなどのラクタム類;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステルなどのジケトン類;チオフェノールなどのメルカプタン類;チオ尿素などの尿素類;イミダゾール類;カルバミン酸類などを挙げることができる。
上記架橋剤の使用量としては、上述のとおり、前記ポリアミド又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルである。使用量がこの範囲未満であると、シート加熱時の樹脂成分の流動性が大きすぎ、この範囲を超えるとシート加熱時の樹脂成分の流動性が小さすぎる。好ましくは1/4.5〜1/1.4であり、より好ましくは1/4〜1/1.5である。上記架橋構造含有ポリマーは、上記架橋剤の使用量を上述の範囲に設定しているので、架橋構造を有するがその密度を低く抑えることができ、溶剤可溶性である。
架橋反応の条件としては、例えば、架橋剤としてエポキシ化合物を使用する場合は100〜170℃、60〜360分程度、架橋剤としてイソシアネート化合物を使用する場合は25〜180℃、10秒〜360分程度とすることができる。イソシアネート化合物についてより具体的には、ブロックしていないイソシアネート化合物を使用する場合は、25〜100℃、30〜360分程度、ブロックイソシアネート化合物を使用する場合は、100〜180℃、10秒〜5分程度とすることが好ましい。また、ブロックイソシアネート化合物を用いる場合は、脱ブロック温度以上で反応させる。脱ブロック温度としては、ブロック化剤により異なり得るが、一般に90〜170℃、好ましくは120〜160℃である。
上記架橋構造含有ポリマーの含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して30〜200重量部である。架橋構造含有ポリマーの含有量が上記範囲未満であるとシート材としての柔軟性を損ない、上記範囲を超えると硬化物としての物性を損なう。好ましくは40〜180重量部であり、より好ましくは50〜150重量部である。
本発明の樹脂シートにおいて、任意成分として、さらにチクソ性付与剤をエポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜15重量部含有することができる。チクソ性付与剤としては、例えば、フュームドシリカ、有機ベントナイトなどの有機改質粘土を好ましく挙げることができる。これらのうち、フィラーの沈降防止の観点から、フュームドシリカがより好ましい。
本発明の樹脂シートにおいて、さらに、必要に応じて、難燃剤、顔料、シランカップリング剤等の添加剤を配合することもできる。またエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂、ケイ素樹脂等を用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。またアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いても良い。これらの添加剤の種類と配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で特に限定なく使用することができる。
本発明において、エポキシ樹脂、硬化剤及び架橋構造含有ポリマー、該当する場合はさらにチクソ性付与剤等、を含有する熱硬化性樹脂組成物は、175℃、1Hzでの動的粘弾性測定におけるG’の値が1,000〜10,000Paであることが好ましく、より好ましくは、5,000〜9,000Paであり、tanδの値が、測定開始後10秒にて0.7以上であることが好ましく、より好ましくは0.8以上、である。この条件を満たす熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、本発明の樹脂シートは電子部品製造工程での加圧においてクリープ性を示すことができ、流出することなく圧縮されて、よりシート密度を上げ、絶縁耐圧を向上させることができる。また、tanδの大きい値を維持するので粘性の保持により圧着時に被着体との優れた密着性を発揮することができる。
本発明の樹脂シートにおいて、上記熱硬化性樹脂組成物に含有させる熱伝導性フィラーとしては、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、溶融シリカを挙げることができる。これらのうち、耐湿性・高熱伝導性の観点から、窒化ホウ素、アルミナが好ましい。上記フィラーは、平均粒径は、例えば、1〜100μmであるものが好ましい。また、上記フィラーをシランカップリング剤等のカップリング剤で表面処理したものを使用するか、あるいは、フィラーとともにカップリング剤を使用することも好ましい。
本発明の樹脂シートにおいて、上記熱伝導性フィラーの充填率は、30〜80体積%が好ましい。上記範囲内であるとシート材としての柔軟性が確保できて好ましい。より好ましく50〜75体積%である。
本発明の樹脂シートの製造方法としては、上述の熱硬化性樹脂組成物中に上記熱伝導性フィラーを含有する材料をシート化することで製造できる。この場合において、好ましくは、上述の本発明のいずれかの製造方法を適用することができる。
上述の各成分を含有する材料を調製するためには、例えば、上記液状または固状の各成分を攪拌下又は非攪拌下において液状成分に吸収させるか、または各成分を相溶させることにより、シート化可能な材料を得ることができる。あるいは、樹脂分100重量部に対して100〜500重量部の溶剤と混合してワニス化してもよい。
なお、上記架橋構造含有ポリマーにおいて、架橋剤としてブロックイソシアネート化合物を使用する場合は、エポキシ樹脂、硬化剤、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオール、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルのブロックイソシアネート化合物、並びに、熱伝導性フィラーを含有してなる材料(ワニス材料であってよい。)を用いて、好ましくは上述の本発明の製造方法を用いて、シート化することで、本発明の樹脂シートを製造することができる。この場合、前記材料のブロックイソシアネート化合物を脱ブロック化したイソシアネート化合物で前記ポリアミド又は前記重合体ポリオールを架橋して架橋構造含有ポリマーを得る工程が必要である。この場合において、脱ブロック温度に加熱することにより前記ブロックイソシアネート化合物を脱ブロック化したイソシアネート化合物で前記ポリアミド又は前記重合体ポリオールを架橋して架橋構造含有ポリマーとし、前記熱伝導性フィラーと前記架橋構造含有ポリマーとを含有する熱硬化性樹脂組成物のシートを得る。
上記溶剤としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン(CPN)、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、イソホロン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
シート化は、例えば、剥離性基材に、塗布法、コーター法、ドクターブレード法等により上記材料を塗工して膜化する方法を挙げることができる。ロールコーター法は連続工程に組み込むことができるので好ましい。その際に、組成物の調製に溶剤を用いてワニス化した材料とすることが好ましい。溶剤を用いた場合は、シート形状にした後、脱溶剤する方法を好ましく使用することができる。脱溶剤の条件は、例えば50〜160℃、1〜10分間である。
また上記架橋構造含有ポリマーにおいて、架橋剤としてブロックイソシアネート化合物を使用する場合、上述のワニス材料を塗工して脱溶媒時又は脱溶媒後にポリアミド又は重合体ポリオールと脱ブロック化イソシアネート化合物とを架橋反応させることが好ましい。また樹脂シートを複数枚積層する場合や樹脂シートと金属薄膜とを積層する場合は、必ずしも積層する前に当該架橋反応工程を実施する必要はなく、例えば、当該架橋反応工程を未実施の樹脂シートを用い、積層時の加熱を利用してこの架橋反応工程を実施したり、積層後に加熱してこの架橋反応工程を実施したりしても良い。この架橋反応は100〜180℃、10秒〜5分間で行うことができ、また脱溶媒後に架橋反応工程を実施する場合は脱溶媒は当該架橋反応温度未満で行うことが望ましい。
本発明の樹脂シートの厚みとしては、用途に応じて適宜に設定すればよいが、例えば、80〜300μmとすることができる。
本発明の樹脂シートの硬化条件としては、例えば、150〜200℃、60〜300分の条件を好ましく適用できる。
また、本発明においては、上記樹脂シート、例えば、本発明の製造方法で製造した樹脂シート、の少なくとも1層と金属薄膜とを積層して本発明の熱伝導性シートとすることができる。上記金属薄膜としては、例えば、銅薄膜、アルミニウム薄膜等を挙げることができる。上記金属薄膜の厚さとしては、例えば、10〜500μmとすることができる。金属薄膜を積層することにより支持性が高まり、また伝熱性が向上する。
上記熱伝導性シートの態様としては、例えば、上記樹脂シートの1層の片面に上記金属薄膜をラミネートしたもの、上記樹脂シートの2枚を積層したものの片面に上記金属薄膜をラミネートしたもの、或いは、3層又はそれ以上の上記樹脂シートを積層したものの片面に上記金属薄膜をラミネートしたもの等の態様であってよい。
積層シートの製造方法としては、上記材料をシート化してさらにその上に同一又は他の組成の材料をシート化する方法や、他の組成の材料をシート化してその上に上記材料をシート化する方法や、一旦シート化した樹脂シート同士をローラー等により圧着する方法、等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記熱伝導性シートの厚みとしては、例えば、200〜1000μmとすることができる。
本発明の製造方法において、必要により、例えば、金属薄膜を積層した後に樹脂シート面を粗面化する工程を追加することができる。
本発明の熱伝導性樹脂シート又は本発明の熱伝導性シートは、必要に応じて、用途に応じた所望の形状に切断し、個片化したり、孔を開けたりして、熱伝導性部材を製造することができる。その製造方法としては、好ましくは、上述の本発明の製造方法により熱伝導性樹脂シート又は熱伝導性シートを製造し、その後、所望の形状に切断し個片化したり孔を開けたりすればよい。
また得られた連続樹脂シートを積層する場合は、例えば、100〜150℃で、ローラー間圧力0.1〜1.0MPaのローラープレスを、搬送速度0.5〜3.0m/sで通過させることにより、連続樹脂シートの樹脂面同士を圧着積層して連続積層樹脂シートとなすことができる。また金属薄膜をラミネートする場合は、得られた連続樹脂シート、これは連続積層樹脂シートであってよいが、を金属薄膜連続シートと積層し、樹脂シートを金属薄膜でラミネートした連続シートとなすことができる。その後、必要に応じて、連続シートを打ち抜き加工により個片化する工程を有することができる。
本発明の製造方法により、電力用半導体装置、照明、太陽電池、フラットパネルディスプレイ等の電子部品に使用することができる熱伝導性樹脂シート又は金属薄膜ラミネートされた熱伝導性シートをロールtoロール法により、シート材料の塗工、シート化、金属薄膜ラミネートを連続生産することが可能であり、必要ならさらに、個片化等により熱伝導性部材まで、連続生産することが可能である。
本発明の樹脂シート或いは本発明の熱伝導性シートは、その用途として、電力用半導体装置等の電子部品のための、発熱部から放熱部へ熱を伝達するための、熱伝導性部材に、好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。
上記電力用半導体装置、例えば、一般にパワーモジュールと称される電子部品に適用するには、上記部材を電子部品の所定箇所に加熱圧着し、硬化させればよい。加熱圧着の条件としては、例えば、120〜200℃、2〜30MPa、1〜60分である。上記パワーモジュールとしては、例えば、第一の放熱部材(1)と、電力制御用半導体素子を搭載した第二の放熱部材(2)と、第一の放熱部材(1)と第二の放熱部材(2)との間に配置された熱伝導性樹脂シートとを有する構造であって良い。このようなパワーモジュールは、例えば、第一の放熱部材(1)と第二の放熱部材(2)との間に、本発明の熱伝導性樹脂シートを配置した後、トランスファーモールドによりこれを樹脂封止することで製造できる。第一の放熱部材(1)は金属薄膜であってよく、例えば、本発明の熱伝導性樹脂シートの少なくとも1層と予め積層して用いることにより、本発明の熱伝導性シートの熱伝導性樹脂シート面に、第二の放熱部材(2)を配置することによって、第一の放熱部材(1)と第二の放熱部材(2)との間に、本発明の熱伝導性樹脂シートを配置した構成を実現した後、トランスファーモールドによりこれを樹脂封止することで、本発明の熱伝導性シートにおける金属薄膜を第一の放熱部材(1)とすることができる。
この場合において、樹脂シート(配置前)のエポキシ樹脂はAステージであることが望ましく、トランスファーモールドにより樹脂封止する工程(アフターキュアが必要な場合はアフターキュアを含む)でCステージ化して硬化させることができる。本発明の樹脂シートは、トランスファーモールドのような高圧がかかる成形方法においても流出することがなく、放熱部材(1)や放熱部材(2)といった被着体と良好に密着させることができる。なお、本明細書中における、エポキシ樹脂のAステージとは、一般に、硬化反応の開始前の状態であると了解され、Bステージとは、一般に、部分的に3次元架橋しているが、熱可塑的挙動を示し、さらに硬化させることで完全な硬化物となるに至る硬化反応の中間的状態であると了解され、Cステージとは、一般に、完全に硬化した状態であると了解されている。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の記載は専ら説明のためであって、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例中の略号の意味は以下のとおり。なお、表中の配合量の単位は重量部である。
主鎖高分子
ポリアミドA:ポリエステルエーテルアミド MI値6 アミン価3
ポリアミドB:ポリエステルアミド MI値10 アミン価5
ポリオール:ポリエーテルエステルポリオール Mw70万 水酸基価72
架橋剤
エポキシ:クレゾールノボラックエポキシ 日本化薬社製 製品名EPPN−501H
イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート 日本ポリウレタン社製 製品名ミリオネートMR−200
ブロックイソシアネート:トリレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート 三井化学社製 製品名B―7030
主剤:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180)
硬化剤:フェノールノボラック(水酸基当量141)
チクソ性付与剤:フュームドシリカ 日本アエロジル社製 製品名RY200S
フィラー:窒化ホウ素(球状:平均粒径30μm)
実施例1〜5、比較例4、5
表1の当量比で主鎖高分子と架橋剤を120℃、5時間反応させてバインダーを作成した。表1の樹脂組成配合(重量部)の各成分とこの樹脂分100重量部に対して200重量部の溶剤(シクロペンタノン)を混合し、更に表1の充填率(体積%)となるようフィラーを添加してワニス材料を得た。このワニス材料を用いてロールtoロール方式によって厚さ150μmの樹脂シートをそれぞれ作成した(乾燥条件:140℃、2分)。得られた各樹脂シートを下記の方法で評価した。結果を表1に示した。また、フィラーを含有しない樹脂シート(表中マトリックスと表記。)の、175℃、1Hzでの動的粘弾性測定におけるG’及びtanδの値(測定開始後10秒)の値を測定した。なお、比較例4、5はシート化できなかった。
実施例6〜9、比較例6
表1の当量比で主鎖高分子と架橋剤を40℃、1時間反応させてバインダーを作成した以外は実施例1〜5と同様にして樹脂シートを得、評価した。なお、比較例6はシート化できなかった。
実施例10、11
表1の架橋剤としてブロックイソシアネートを用いて、混合物を作成し、フィラーを添加したワニス材料を用いて樹脂シートを作成した(主鎖高分子と架橋剤は予め反応させていない)。シート作成時の溶剤乾燥工程(140℃/2分の熱履歴)により主鎖高分子と架橋剤を反応させることにより、バインダーを作成した。
比較例1〜3
バインダーとして、主鎖高分子のみを用いた以外は実施例1〜9と同様にして樹脂シートを得、評価した。
比較例7
バインダーとして、アクリル樹脂(三菱レイヨン社製 製品名 LP―3106)を用いた以外は実施例1〜9と同様にして樹脂シートを得、評価した。
[評価方法]
絶縁耐圧:得られた各樹脂シート2枚をローラプレス(ローラ間圧力0.5MPa)で積層し、厚さ250μmの積層樹脂シートを作成した。その後、厚さ200μm銅箔に、140℃、0.5MPaの条件下でラミネートし、その後、175℃、10MPa、10分の条件下で樹脂シートの厚さが200μmになるように加熱加圧し、その後、175℃、3時間加熱硬化し、絶縁耐圧試験機により絶縁耐圧を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:5kV/200μm以上
×:5kV/200μm未満
密着性:175℃、10MPa、10分の条件下で厚み200μmのアルミ板と前記積層樹脂シートとを加熱圧着し、その後、175℃、3時間加熱硬化し、引張試験機により密着性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:5N/mm以上
×:5N/mm未満
熱伝導性:得られた各樹脂シートを175℃、10MPa、10分の条件下で、2mmの厚さになるように積層して加熱加圧し、その後、175℃、3時間加熱硬化し、キセノンフラッシュ法により熱伝導性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:8W/m・K以上
×:8W/m・K未満
動的粘弾性測定:レオメーターARES(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、以下の条件でDynamic Time Sweep法の測定をした。
使用治具:Parallel Plate(D8mm)
周波数:1Hz
測定温度:175℃
溶剤溶解性:作成したバインダー樹脂1gを50mlスクリュー缶内で、シクロペンタノン9gに溶解させ、室温24時間後の溶液の濁り状態を確認した。評価基準は以下のとおりである。
○:均一に溶解。溶液の濁り及び沈降物なし。
×:溶液の濁り、又は沈降物あり。
Figure 0006206754
Figure 0006206754
実施例の結果から本発明の樹脂シートは、絶縁耐圧性、密着性に優れ、熱伝導性も良好であった。これに対して、比較例の樹脂シートは、絶縁耐圧性、熱伝導性に劣るものであった。
実施例12
バワーモジュールの製作
上記各実施例の積層樹脂シートと銅薄膜(厚み100μm)を積層した熱伝導性シート(20mm×30mmの個片に打ち抜き)を作成した。これを用いてパワーモジュール装置を作成した。樹脂シートのエポキシ樹脂はAステージであり、熱伝導性シートの樹脂シート面にリードフレーム(放熱部材)を配置した後、金型温度175℃、射出圧力10MPa、成形時間10分の条件でトランスファーモールドにより樹脂封止を行った(アフターキュア175℃、3時間)。実施例の樹脂シートでは、高圧化においても樹脂シートの横流れは起きず、リードフレームとの接着性が良好なパワーモジュール装置を作成できた。

Claims (17)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤及びエポキシ樹脂100重量部に対して30〜200重量部の架橋構造含有ポリマーを含有する熱硬化性樹脂組成物と熱伝導性フィラーとを含有してなり、
    前記架橋構造含有ポリマーは、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオールを、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルの架橋剤で架橋してなるものであり、重合体ポリオールは、重量平均分子量が1,000〜1,000,000の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテルエステルポリオールであることを特徴とする熱伝導性樹脂シート。
  2. ポリアミドは、190℃、21.18Nでのメルトインデックスが1〜20g/10minのものである請求項1記載の樹脂シート。
  3. 架橋剤は、エポキシ化合物又はイソシアネート化合物である請求項1又は2記載の樹脂シート。
  4. 架橋構造含有ポリマーをエポキシ樹脂100重量部に対して40〜180重量部含有する請求項1〜のいずれか記載の樹脂シート。
  5. 硬化剤は、フェノール樹脂又はジシアンジアミドである請求項1〜のいずれか記載の樹脂シート。
  6. 熱伝導性フィラーの充填率が30〜80体積%である請求項1〜のいずれか記載の樹脂シート。
  7. さらにチクソ性付与剤をエポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜15重量部含有する請求項1〜のいずれか記載の樹脂シート。
  8. 熱硬化性樹脂組成物は、175℃、1Hzでの動的粘弾性測定におけるG’の値が1,000〜10,000Paであり、tanδの値が、測定開始後10秒にて0.7以上である請求項1〜のいずれか記載の樹脂シート。
  9. 請求項1〜のいずれか記載の樹脂シートの少なくとも1層と金属薄膜とを積層してなる熱伝導性シート。
  10. 金属薄膜はアルミ薄膜及び/又は銅薄膜である請求項記載の熱伝導性シート。
  11. エポキシ樹脂、硬化剤及びエポキシ樹脂100重量部に対して30〜200重量部の架橋構造含有ポリマーを含有する熱硬化性樹脂組成物と熱伝導性フィラーとを含有してなるワニス材料であって、前記架橋構造含有ポリマーは、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオールを、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルの架橋剤で架橋してなるものであり、重合体ポリオールは、重量平均分子量が1,000〜1,000,000の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテルエステルポリオールである前記ワニス材料を、ロールtoロール方式で連続樹脂シート化する工程
    を有することを特徴とする熱伝導性樹脂シートの製造方法。
  12. エポキシ樹脂、硬化剤、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有するポリアミド又は重合体ポリオール、前記ポリアミド中の前記官能基又は前記重合体ポリオール中の前記官能基のモル数に対して1/5〜1/1.3倍モルのブロックイソシアネート化合物、並びに、熱伝導性フィラーを含有してなるワニス材料を、ロールtoロール方式で連続樹脂シート化する工程、並びに
    該樹脂シートを脱ブロック温度に加熱することにより前記ブロックイソシアネート化合物を脱ブロック化したイソシアネート化合物で前記ポリアミド又は前記重合体ポリオールを架橋して架橋構造含有ポリマーとし、前記熱伝導性フィラーと前記架橋構造含有ポリマーとを含有する熱硬化性樹脂組成物のシートを得る工程
    を含み、該架橋構造含有ポリマーの含有量がエポキシ樹脂100重量部に対して30〜200重量部であり、重合体ポリオールは、重量平均分子量が1,000〜1,000,000の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテルエステルポリオールであることを特徴とする熱伝導性樹脂シートの製造方法。
  13. 請求項1〜のいずれか記載の熱伝導性樹脂シートに金属薄膜連続シートを積層し、樹脂シートを金属薄膜でラミネートした連続シートとなす工程を有する請求項9又は10記載の熱伝導性シートの製造方法。
  14. 熱伝導性樹脂シートは、請求項11又は12記載の製造方法により得られるものである請求項13記載の製造方法。
  15. 金属薄膜であってよい第一の放熱部材(1)と、電力制御用半導体素子を搭載した第二の放熱部材(2)との間に請求項1〜のいずれか記載の熱伝導性樹脂シートを配置した後、トランスファーモールドにより樹脂封止することを特徴とするパワーモジュールの製造方法。
  16. 第一の放熱部材(1)は金属薄膜であり、請求項1〜のいずれか記載の熱伝導性樹脂シートの少なくとも1層と予め積層して用いる請求項15記載の製造方法。
  17. 配置される熱伝導性樹脂シートのエポキシ樹脂がAステージである請求項15又は16記載のパワーモジュールの製造方法。
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