JP7267032B2 - フィラー充填材及びその製造方法、並びに高熱伝導絶縁材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
先ず、大径フィラーとして球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-18』(平均一次粒子径20μm))を用意し、小径フィラーとして疎水性ヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製:型番『AEROSIL- R974』(平均一次粒子径12nm))を用意した。次に、大径フィラー(球状α-アルミナ)74質量%と小径フィラー(疎水性ヒュームドシリカ)26質量%を自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製:型番『ARE-310』)にて2000rpmで3分間混合(乾式混合)してフィラー充填材を得た。このフィラー充填材を実施例1とした。なお、小径フィラーの平均一次粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)の画像解析法により測定し、大径フィラーの平均一次粒子径は各フィラーメーカーの公称値とした。
実施例2~10及び比較例1~4のフィラー充填材は、表1に示すように、大径フィラーの型番、材質及び平均一次粒子径、小径フィラーの型番、材質及び平均一次粒子径、大径フィラーと小径フィラーとの混合割合をそれぞれ変更した。
実施例1~10及び比較例1~4のフィラー充填材の平均一次粒子径D1の小径フィラーと平均一次粒子径D2の大径フィラーとの平均一次粒子径の比D1/D2を算出した。また、実施例1~10及び比較例1~4のフィラー充填材の体積抵抗率を、高抵抗・抵抗率計『Hiresta-UX』(株式会社三菱ケミカルアナリテック製:型番『MCP-HT800』)及び粉体抵抗測定システム(株式会社三菱ケミカルアナリテック製:型番『MCP-PD-51』)を用いて測定した。これらの結果を表1に示す。
表1から明らかなように、小径フィラーの混合割合が26質量%と適切な範囲内(0.5質量%~40質量%)であっても、小径フィラーと大径フィラーの平均一次粒子径の比(小径/大径)が2×10-1及び2×10-2と適切な範囲(2×10-4~3×10-3)より大きい比較例1のフィラー充填材では、体積抵抗率が4×108と低かった。
先ず、樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:型番『JER801N』)10体積%と、硬化剤(三菱化学株式会社製:型番『JER ST12』)5体積%とを混合して樹脂の混合物を調製した。次いで、大径フィラーとして球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-18』(平均一次粒子径20μm))71体積%と、小径フィラーとして疎水性ヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製:型番『VP RX40S』(平均一次粒子径40nm))14体積%とを混合して混合粉末を調製した。この混合粉末を自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製:型番『ARE-310』)にて2000rpmで3分間混合することによりフィラー充填材を得た。次に、上記樹脂の混合物とフィラー充填材を上記自転・公転ミキサーにて2000rpmで5分間混合することにより樹脂組成物を調製した。更に、この樹脂組成物を、キャビティの縦×横×深さが15cm×15cm×2cmである金型に入れて、ヒートプレス(株式会社小平製作所製:型番『PY15-EA』)を使用し、180℃の温度で100kg/cm2の圧力をかけて30分間保持することにより、樹脂を硬化させて樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を実施例11とした。
先ず、樹脂としてEPDMゴム(三井化学株式会社製:型番『EPT3045』)57体積%を用意した。次いで、大径フィラーとして球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-18』(平均一次粒子径20μm))37体積%と、小径フィラーとして疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製:型番『RX-50』(平均一次粒子径40nm))3体積%と、疎水性フュームドシリカ(エボニック社製:型番『R8200』(平均一次粒子径:12nm))3体積%とを用意し、これらのフィラーを自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製ARE-310)にて2000rpmで3分間混合することにより充填フィラーを調製した。次に、樹脂と充填フィラーとを練り込み機(井上製作所製:型番『KHD-3』)とヒートプレス(小平製作所製:型番『PY15-EA』温度:130℃)を交互に用いることにより樹脂組成物を調製した。更に、この樹脂組成物を、キャビティの縦×横×深さが15cm×15cm×2cmである金型に入れて、ヒートプレス(小平製作所製 PY15-EA)を使用し、130℃の温度で100kg/cm2の圧力をかけて10分間保持することにより樹脂を硬化させて、樹脂成形体を作製した。
先ず、樹脂としてシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製:型番『BY16-801』)54体積%と、硬化剤としてオキシムシラン3体積%とを混合して樹脂の混合物を調製した。次いで、大径フィラーとして球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-18』(平均一次粒子径20μm))37体積%と、小粒フィラーとして疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製:型番『NX90S』(平均一次粒子径40nm))6体積%とを混合し、自転・公転ミキサー(株式会社シンキ―製ARE-310)にて2000rpmで3分間混合することにより充填フィラーを調製した。次に、樹脂の混合物と充填フィラーとを自転・公転ミキサー(株式会社シンキ―製ARE-310)にて2000rpmで5分間混合することにより樹脂組成物を調製した。更に、この樹脂組成物を、キャビティの縦×横×深さが15cm×15cm×2cmである金型体に入れ、ヒートプレス(小平製作所製 PY15-EA)を使用して、150℃で100kg/cm2の圧力をかけて60分間保持することにより、樹脂を硬化させて樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を実施例13とした。
大径フィラーとして球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-18』(平均一次粒子径20μm))に替えて、窒化アルミニウム(東洋アルミニウム株式会社製:型番『TFZ-S30P』(平均一次粒子径28μm))を用いたこと以外は、実施例11と同様にして樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を実施例14とした。
大径フィラーと小径フィラーを用いないこと以外は、実施例11と同様にして樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を比較例5とした。
大径フィラーと小径フィラーを用いないこと以外は、実施例12と同様にして樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を比較例6とした。
大径フィラーと小径フィラーを用いないこと以外は、実施例13と同様にして樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を比較例7とした。
先ず、樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:型番『JER801N』)10体積%と、硬化剤(三菱化学株式会社製:型番『JER ST12』)6体積%とを混合して樹脂の混合物を調製した。次に、大径フィラーとして球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-18』(平均一次粒子径20μm))76体積%を用意した。更に、小径フィラーとして疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製:型番『VP RX40S』(平均一次粒子径40nm))に替えて、球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-3』(平均一次粒子径3.4μm))4体積%と、球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-04』(平均一次粒子径0.44μm))4体積%とを用いた。上記以外は、実施例11と同様にして樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を比較例8とした。
大径フィラーとして球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-18』(平均一次粒子径20μm))39体積%を用意した。次に、小径フィラーとして疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製:型番『RX-50』(平均一次粒子径40nm))と、疎水性フュームドシリカ(エボニック社製:型番『R8200』(平均一次粒子径12nm))とに替えて、球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-3』(平均一次粒子径3.4μm))2体積%と、球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-04』(平均一次粒子径0.44μm))2体積%とを用いた。上記以外は実施例12と同様にして樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を比較例9とした。
先ず、樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:型番『JER801N』)37体積%と、硬化剤(三菱化学株式会社製:型番『JER ST12』)18体積%とを混合して樹脂の混合物を調製した。次に、大径フィラーとして球状α-アルミナ(住友アルミナ株式会社製:型番『AA-18』(平均一次粒子径20μm))に替えて、炭化ケイ素(昭和電工株式会社製:型番『GCF180』(平均一次粒子径63μm))40体積%を用いた。更に、小径フィラーとして疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製:型番『VP RX40S』(平均一次粒子径40nm))14体積%に替えて、親水性ヒュームドチタニア(TiO2)(日本アエロジル株式会社製:型番『P25』(平均一次粒子径13nm))5体積%を用いた。上記以外は実施例11と同様にして樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体を比較例10とした。
実施例11~14及び比較例5~10の樹脂成形体の表面抵抗を、高抵抗・抵抗率計『Hiresta-UX』(三菱化学株式会社製:型番『MCP-HT800』)を用いて測定した。また、樹脂成形体の熱伝導率を、レーザーフラッシュ法によりそれぞれ測定した。具体的には、ULVAC株式会社製の型番『TC-7000』を用いて樹脂成形体の熱伝導率をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、樹脂として三菱化学株式会社製の型番『JER801N』のエポキシ樹脂を用い、硬化剤として三菱化学株式会社製の型番『JER ST12』を用いたけれども、フィラー充填材を添加しなかった比較例5の樹脂成形体では、表面抵抗率が8×1015 Ωと高かったけれども、熱伝導率は0.2W/m・Kと低くかった。
Claims (13)
- 平均一次粒子径D1が7nm~40nmである小径フィラーと前記小径フィラーより平均一次粒子径が大きい平均一次粒子径D2が15μm~63μmである大径フィラーとの混合粉末からなるフィラー充填材であって、
前記小径フィラーと前記大径フィラーとの平均一次粒子径の比D1/D2が2×10-4~3×10-3であり、
前記混合粉末の体積抵抗率が2×1010Ω・m以上であり、
前記小径フィラーの混合割合が前記混合粉末100質量%に対して0.5質量%~40質量%であり、
前記小径フィラーが前記大径フィラーの外周面に付着しかつ前記小径フィラーが前記大径フィラー間の空隙内を数珠状に連なって前記空隙内に前記小径フィラーにより3次元網目構造が形成され、
前記小径フィラーは、比表面積が40m 2 /g~380m 2 /gでありかつ疎水化率が80%以上である表面処理ヒュームドシリカ、表面処理ヒュームドアルミナ或いは表面処理ヒュームドチタニアであり、
前記大径フィラーが、アルミナ、窒化アルミニウム又は炭化ケイ素である
ことを特徴とするフィラー充填材。 - 前記表面処理ヒュームドシリカ、前記表面処理ヒュームドアルミナ或いは前記表面処理ヒュームドチタニアが、(R1)X(R2)Y(R3)ZSi-基(R1,R2,R3はアルキル基であり、X,Y,Zは0~3の整数である。)で修飾された請求項1記載のフィラー充填材。
- 請求項1又は2記載のフィラー充填材の製造方法であって、
大径フィラーと小径フィラーとを室温下で乾式法により混合することを特徴とするフィラー充填材の製造方法。 - 請求項1又は2記載のフィラー充填材に樹脂が混合された高熱伝導絶縁材であって、
表面抵抗率が1×1015 Ω以上であることを特徴とする高熱伝導絶縁材。 - 請求項3記載の方法で製造されたフィラー充填材に樹脂を混合して製造された高熱伝導絶縁材の製造方法であって、
表面抵抗率が1×1015 Ω以上であることを特徴とする高熱伝導絶縁材の製造方法。 - 請求項4に記載の高熱伝導絶縁材が、半導体チップ又はトランジスタからなる発熱体の冷却部材として用いられた車載電子機器。
- 請求項4に記載の高熱伝導絶縁材が、ハウジングに内蔵されたステータの冷却部材として用いられたモータ。
- 請求項4に記載の高熱伝導絶縁材が、ケースに内蔵された電力変換装置の冷却部材として用いられたインバータ。
- 請求項4に記載の高熱伝導絶縁材が、摺動部又は回転部で発生した熱の放熱部材として用いられたアクチュエータ。
- 請求項5に記載の方法で製造された高熱伝導絶縁材を半導体チップ又はトランジスタからなる発熱体の冷却部材として用いた車載電子機器の製造方法。
- 請求項5に記載の方法で製造された高熱伝導絶縁材をハウジングに内蔵されたステータの冷却部材として用いたモータの製造方法。
- 請求項5に記載の方法で製造された高熱伝導絶縁材をケースに内蔵された電力変換装置の冷却部材として用いたインバータの製造方法。
- 請求項5に記載の方法で製造された高熱伝導絶縁材を摺動部又は回転部で発生した熱の放熱部材として用いたアクチュエータの製造方法。
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