JP7175586B2 - 窒化ホウ素粒子凝集体、その製造方法、組成物及び樹脂シート - Google Patents
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Description
<1>
六方晶窒化ホウ素一次粒子を含む窒化ホウ素粒子凝集体であって、
前記六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なってなる、窒化ホウ素粒子凝集体。
<2>
柱状の形状を有する、<1>に記載の窒化ホウ素粒子凝集体。
<3>
前記窒化ホウ素粒子凝集体の積層方向の最長径Rと、前記窒化ホウ素粒子凝集体の幅方向の最長径rとの関係が、下記式(1)で表される、<1>又は<2>に記載の窒化ホウ素粒子凝集体。
0.3r<R (1)
<4>
<1>~<3>のいずれか1項に記載の窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法であって、
前記六方晶窒化ホウ素一次粒子にカップリング剤を付加する工程(A)と、
前記工程(A)により得られたカップリング剤が付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子を、溶媒中で分散する工程(B)と、
を含む、窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法。
<5>
前記カップリング剤が、アリール基、アミノ基、エポキシ基、シアネート基、メルカプト基及びハロゲンからなる群より選ばれるいずれか一種以上を有する、<4>に記載の窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法。
<6>
前記カップリング剤が、架橋構造を有するシランカップリング剤、又はアリール基を有するシランカップリング剤を含む、<4>又は<4>に記載の窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法。
<7>
<1>~<3>のいずれか1項に記載の窒化ホウ素粒子凝集体を含むフィラーと、樹脂とを含む、組成物。
<8>
前記樹脂が熱硬化性樹脂である、<7>に記載の組成物。
<9>
<7>又は<8>に記載の組成物と、支持体とを含む、樹脂シート。
<10>
<002>X線回析の強度と<100>X線回析との強度比(I<002>/I<100>)が30以下である、<9>に記載の樹脂シート。
本実施形態の窒化ホウ素粒子凝集体は、六方晶窒化ホウ素一次粒子を含む窒化ホウ素粒子凝集体であって、前記六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なってなる。このように構成されているため、本実施形態の窒化ホウ素粒子凝集体は、樹脂シートとした際に、当該樹脂シートの厚み方向の熱伝導性を向上させることができる。樹脂シートの詳細については後述する。
ここで、六方晶窒化ホウ素一次粒子の平均粒径は、例えば、湿式レーザー回折・散乱法により測定することができる。
R及びrについて、図1を参照して具体的に説明する。図1(a)に例示された六方晶窒化ホウ素一次粒子は、その典型例として、二次元的に長方形として示したものであり、長辺側(r)が(0001)面に対応しており、短辺側(R)が端面に対応している。図1(b)に例示された窒化ホウ素粒子凝集体は、長方形状の六方晶窒化ホウ素一次粒子が、その長辺側、すなわち、(0001)面側同士を重ねるように凝集したものである。この凝集体の短辺側がr(すなわち、窒化ホウ素粒子凝集体の幅方向の最長径)に対応しており、長辺側がR(すなわち、窒化ホウ素粒子凝集体の積層方向の最長径)に対応している。
本実施形態の窒化ホウ素粒子凝集体は、上述した構成が得られる限り特に限定されないが、好ましくは、次の方法により製造される。すなわち、本実施形態において好ましい窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法は、六方晶窒化ホウ素一次粒子にカップリング剤を付加する工程(A)と、工程(A)により得られたカップリング剤が付加した窒化ホウ素一次粒子を、溶媒中で分散する工程(B)と、を含むものである。また、工程(B)より得られた分散液から窒化ホウ素粒子凝集体を分離する工程(C)をさらに含むことがより好ましい。
工程(A)及び工程(B)を含む場合、カップリング剤を付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子が、分散液中で表面電荷によって(0001)面同士が凝集し、カップリング剤間で結合相を形成する傾向にあり、本実施形態の所望とする構成を有する窒化ホウ素粒子凝集体が得られやすくなるため好ましい。
工程(A)の段階において、カップリング剤付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子間で結合し、窒化ホウ素粒子凝集体が作製される場合もある。撹拌温度は特に限定されないが、加熱や冷却などの特別な温度コントロールは必要ない。通常、撹拌により温度が上昇するが、200℃以下であることが好ましい。撹拌速度も特に限定されないが、通常10~10000rpmで撹拌することが好ましく、より好ましくは100~3000rpmで撹拌される。撹拌時間は5分~180分が好ましく、有効な撹拌時間と生産性から10分~60分がより好ましい。
溶媒の使用量は、工程(C)における分離時の負荷を低減する観点、及び工程(B)において均一に分散させる観点から、六方晶窒化ホウ素一次粒子に対して0.5~20質量倍とすることが好ましい。
上述の樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂(ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ナイロン、フッ素樹脂)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂)、合成ゴム、液状ゲルなどが挙げられる。上記した中でも熱硬化性樹脂であることが好ましい。
本実施形態の組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、各成分を順次溶剤に配合し、十分に攪拌する方法が挙げられる。この際、各成分を均一に溶解或いは分散させるため、攪拌、混合、混練処理などの公知の処理を行うことができる。具体的には、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことで、組成物に対する窒化ホウ素粒子凝集体等のフィラーの分散性を向上させることができる。上記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、ボールミル、ビーズミルなどの混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置などの公知の装置を用いて適宜行うことができる。
また、本実施形態の組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、組成物中の樹脂成分の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートなどが挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における支持体としては、特に限定されないが、各種プリント配線板材料に用いられている公知の物もの使用することができる。支持体の具体例としては、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、アルミニウム箔、銅箔、金箔など挙げられる。その中でも電解銅箔、PETフィルムが好ましい。
塗布方法としては、例えば、本実施形態の組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。
樹脂シートは、本実施形態の組成物を支持体に塗布後、半硬化(Bステージ化)させたものであることが好ましい。具体的には、例えば、上記組成物を銅箔などの支持体に塗布した後、100~200℃の乾燥機中で、1~60分加熱させる方法などにより半硬化させ、樹脂シートを製造する方法などが挙げられる。支持体に対する樹脂組成物の付着量は、樹脂シートの樹脂厚で1~1000μmの範囲が好ましい。
具体的には、窒化ホウ素粒子の用途として知られている種々の用途に使用可能である。特に好適な用途を例示すれば、樹脂に充填して電気絶縁性向上や熱伝導性付与等を目的とする樹脂用充填材としての用途が挙げられる。
(1)熱伝導率
後述するプレス成形したシートから、試験片(10mm×10mm×厚さ1mm)を切り出した。この試験片に対し、NETZSCH製キセノンフラッシュアナライザーLFA447型熱伝導率計を用いて、レーザーフラッシュでシート厚み方向の熱伝導率を測定した。
(2)配向強度比
複合シート中の六方晶窒化ホウ素一次粒子の配向性は、X線回折法によるI(002)回析線(2θ=26.5°)の強度とI(100)回析線(2θ=41.5°)の強度との比(I(002)/I(100))により評価した。
なお、六方晶である窒化ホウ素一次粒子の厚み方向は結晶学的なI(002)回析線すなわちc軸方向、面内方向はI(100)回析線すなわちa軸方向にそれぞれ一致している。窒化ホウ素粒子凝集体を構成する六方晶窒化ホウ素一次粒子が、完全にランダムな配向(無配向)である場合、(I(002)/I(100))≒6.7になる(「JCPDS[粉末X線回折データベース]」No.34-0421[BN]の結晶密度値[Dx])。(I(002)/I(100))が小さいと、六方晶の窒化ホウ素粒子のa軸方向が複合シートの厚さ方向に配向する、すなわち、配向性が高くなる結果、厚さ方向の熱伝導率が増加する。
上述した測定においては、後述するプレス成形したシートから5mm×5mm×厚さ0.2mmの複合シートを切り出して測定用サンプルとした。また、「全自動水平型多目的X線回折装置 SmartLab」(リガク社製)を用いて、上記複合シートの5mm×5mmの平面に対して、当該複合シートの厚み方向にX線を照射した。測定時は、X線源はCuKα線を用い、管電圧は45kV、管電流は360mAとした。
平均粒径0.5μmの六方晶窒化ホウ素一次粒子(昭和電工製「UHP-S2」)に対して、カップリング剤としてフェニルトリメトキシラン(東京化成製)を1.5質量%滴下し、ミキサーで攪拌し、カップリング剤を付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子を得た。続いて、メチルエチルケトンに上記カップリング剤を付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子を加え、超音波分散機で十分に分散し、分散液を得た。この分散液を6時間静置し、上精を取り除き、窒化ホウ素粒子凝集体を得た。この窒化ホウ素粒子凝集体をさらにエタノール中で超音波分散し、アルミホイルに撒き、溶媒が蒸発した後、カーボンテープに押し付け、窒化ホウ素粒子凝集体のSEM像を観測した。その結果を図2(a)及び図2(b)に示す。
窒化ホウ素粒子凝集体の形態は、2.5μm×1.8μm四方の複数のSEM観察像を電子顕微鏡(FE-SEM-EDX(SU8220):株式会社日立ハイテクノロジー社製)により解析した。上記観察範囲に存在する、窒化ホウ素一次粒子の(0001)面が重なって凝集した窒化ホウ素粒子(窒化ホウ素粒子凝集体)のRとrとを測定した。その際、SEM画像において観察された窒化ホウ素粒子を図1(b)に示すような長方形に近似し、Rに相当する辺の長さ及びrに相当する辺の長さを計測した。
六方晶窒化ホウ素一次粒子に対するカップリング剤による表面処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の窒化ホウ素粒子を得た。得られた窒化ホウ素粒子のSEM観測像を、図3(a)に示す。
市販の窒化ホウ素粒子ランダム凝集体(電気化学工業製「SGPS」)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2の窒化ホウ素粒子凝集体を得た。得られた窒化ホウ素粒子凝集体のSEM観測像を、図4に示す。図4からわかるように、六方晶窒化ホウ素一次粒子はランダムに凝集した構造が観測された。すなわち、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)同士が重なった構造は観測されなかった。なお、得られたランダム凝集体において、1層あたりの六方晶窒化ホウ素一次粒子の粒子数は3以上であり、かかるランダム凝集体の形状は球状であった。
樹脂(基剤樹脂)としては、エポキシ樹脂(日本化薬製「EPPN-501H」)100質量部と硬化剤(フェノーノボラック系硬化剤、明和化成製「DL-92」)63質量部、硬化触媒(2フェニルイミダゾール、四国化成製)0.1質量部との混合物を用いた。
次に、各基剤樹脂40体積%と、実施例1、比較例1又は比較例2のフィラー60体積%とを、メチルエチルケトンを溶媒として混合した後、この混合液を銅箔に塗工し、130℃で乾燥させ半硬化シートを作製した。これを180℃、10MPaの条件で真空プレスを用いて硬化させ複合シートを作製した。
Claims (8)
- 六方晶窒化ホウ素一次粒子を含む窒化ホウ素粒子凝集体であって、
前記六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なってなり、
前記窒化ホウ素粒子凝集体の1層あたりの、前記六方晶窒化ホウ素一次粒子の粒子数が、2以下であり、
柱状の形状を有し、
前記窒化ホウ素粒子凝集体の積層方向の最長径Rと、前記窒化ホウ素粒子凝集体の幅方向の最長径rとの関係が、下記式(1)で表される、窒化ホウ素粒子凝集体。
r<R (1) - 請求項1に記載の窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法であって、
前記六方晶窒化ホウ素一次粒子にカップリング剤を付加する工程(A)と、
前記工程(A)により得られたカップリング剤が付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子を、溶媒中で分散する工程(B)と、
を含む、窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法。 - 前記カップリング剤が、アリール基、アミノ基、エポキシ基、シアネート基、メルカプト基及びハロゲンからなる群より選ばれるいずれか一種以上を有する、請求項2に記載の窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法。
- 前記カップリング剤が、架橋構造を有するシランカップリング剤、又はアリール基を有するシランカップリング剤を含む、請求項3に記載の窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法。
- 請求項1に記載の窒化ホウ素粒子凝集体を含むフィラーと、樹脂とを含む、組成物。
- 前記樹脂が熱硬化性樹脂である、請求項5に記載の組成物。
- 請求項5又は6に記載の組成物と、支持体とを含む、樹脂シート。
- <002>X線回析の強度と<100>X線回析との強度比(I<002>/I<100>)が30以下である、請求項7に記載の樹脂シート。
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