JP6348610B2 - 六方晶窒化ホウ素粉末、その製造方法、樹脂組成物及び樹脂シート - Google Patents

六方晶窒化ホウ素粉末、その製造方法、樹脂組成物及び樹脂シート Download PDF

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Description

本発明は、六方晶窒化ホウ素(以下、「hBN」ともいう。)粉末及びそのhBN粉末を用いた樹脂シートに関し、特に緻密なhBNの一次粒子で構成された凝集体を含有し、その凝集体の強度が高く、高純度で微細なhBN粉末、当該hBN粉末の製造方法、当該hBN粉末を用いた樹脂組成物及び樹脂シートに関する。
hBN粒子は、黒鉛類似の層状構造を有し、hBN粉末は熱伝導性、電気絶縁性、化学的安定性、固体潤滑性、耐熱衝撃性等の特性に優れるため、これらの特性を活かして絶縁放熱材、固体潤滑・離型剤、hBN焼結体製造用原料等として使用されている。
従来、hBN粉末は、ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物とメラミンや尿素等の窒素化合物とを混合し、アンモニア雰囲気下又は非酸化性ガス雰囲気下で比較的低温で焼成して結晶性の低い粗製hBN粉末を製造し、次にこの得られた粗製hBNを非酸化性ガス雰囲気下で高温で焼成して結晶成長させて得られることが一般的である(特許文献1〜3)。
このhBN粉末をフィラーとしてエポキシ樹脂やシリコンゴム等の樹脂材料に含有させたシートやテープ、グリース等は、たとえば、電子部品から発生した熱を効率良く除去するための電気絶縁性を有した熱伝導性シートや熱伝導性グリース等の熱伝導性部材として使用されている。このような熱伝導性シート等の熱伝導性部材の更なる熱伝導性向上のために、hBN粉末の充填率を高くする試みが行われている。しかしながら、hBNは一般に鱗片状の粒子形状であってアスペクト比が高いため、充填率を上げると粒子がある方向に揃いやすく、得られた樹脂やゴム成形品の特性に異方性が生じやすくなる。このように異方性が生じると、熱伝導性シート等の熱伝導性部材の熱伝導性、電気絶縁性、耐熱衝撃性等の特性が低下する。
そのため、近年、熱伝導性シートにおける異方性の抑制及びhBN粉末の充填性向上を目的として、hBN一次粒子が凝集した二次粒子(凝集体)を含むhBN粉末を、樹脂に混合する方法が用いられている(特許文献4,5)。
しかしながら、凝集体の強度が十分でないと、樹脂との複合化過程において凝集体が壊れてしまい、熱伝導性シートに異方性が生じたり、熱伝導性シート中におけるhBN粉末の充填率が低減したりすることにより、熱伝導性や電気絶縁性が低下するという問題がある。
また、凝集体の強度を高めるために、一次粒子同士を結合させるための添加物(結合剤)を用いることもある。しかしながら、この添加物(結合剤)も、熱伝導性や電気絶縁性を悪化させる要因となり得るため好ましくない。特に、電子部品の軽薄化に伴い、熱伝導性シートの薄膜化が進行しているため、電気絶縁性を悪化させる添加物の存在は好ましくない。
また、熱伝導性シートの薄膜化に対応するため、粒径の小さなhBN粉末が求められている。例えば、特許文献6には、特定の結晶子径を有し、酸素含有量が特定の範囲にあるhBN粉末が記載され、平均粒径が10μm以下で、高い流動性と熱伝導性を有し、熱伝導性樹脂組成物に対して低粘度かつ高い熱伝導性の両方の特性を付与することが記載されている。しかしながら、特許文献6に記載のhBN粉末は、平均粒径が10μm以下と小さいものの、熱伝導性が不十分である。
特開昭61−286207号公報 特許第3461651号明細書 特公平5−85482号公報 特開2011−98882号公報 特開2005−343728号公報 特開2013−40062号公報
本発明は、緻密なhBNの一次粒子で構成された凝集体(以下、「凝集体」ともいう。)を含有し、その凝集体の強度が高く、高純度で微細なhBN粉末、当該hBN粉末の製造方法、並びに当該hBN粉末を用いて従来よりも高い熱伝導性を発現できる樹脂組成物及び樹脂シートを提供することを課題とする。
発明者らは、十分な強度を有する凝集体を含有し、純度も高く微細なhBN粉末について検討を重ねた。
その結果、hBNの一次粒子の凝集体を含むhBN粉末であって、目開き45μm篩下の粉末含有率が80質量%以上であり、一次粒子径が5μm以下、BET比表面積が15〜25m/g、50%体積累積粒径D50が10〜15μmである、hBNを得ることで前記課題を解決することを見出した。
これは、上記hBN粉末が、緻密なhBNの一次粒子で構成された、強度の高い凝集体を含有するため、微細な粉末であっても、当該凝集体が壊れずに顆粒形状を維持することによるものと考えられる。また、凝集体の強度が高く、凝集体が壊れないため、熱伝導性シートに異方性が生じることがなく、高い熱伝導性を発現することができると考えられる。
ここで、凝集体の強度は、実施例に記載の強度試験により評価され、凝集体が圧縮により破壊されたときの強度(以下、「圧縮破壊強度」ともいう。)で表される。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明は次の[1]〜[10]を提供するものである。
[1]六方晶窒化ホウ素の一次粒子の凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末であって、
目開き45μm篩下の粉末含有率が80質量%以上であり、一次粒子径が5μm以下、BET比表面積が15〜25m/g、50%体積累積粒径D50が10〜15μmである、六方晶窒化ホウ素粉末。
[2]目開き45μm篩下の粉末含有率が85質量%以上である、上記[1]に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
[3]90%体積累積粒径D90が40〜50μmである、上記[1]又は[2]に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
[4]嵩密度が0.3g/cm以上である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
[5]一次粒子の凝集体の圧縮破壊強度が3MPa以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
[6]平均細孔直径が80〜400nmである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の六方晶窒化ホウ素粉末を10〜90体積%含有する、樹脂組成物。
[8]上記[7]に記載の樹脂組成物又はその硬化物からなる、樹脂シート。
[9]樹脂シートの膜厚が50〜150μmである、上記[8]に記載の樹脂シート。
[10]窒化ホウ素20〜90質量%及び酸化ホウ素10〜80質量%を含む粗製六方晶窒化ホウ素粉末100質量部と、炭素換算で9〜15質量部の炭素源を混合し、成形した後、窒素ガスを含む雰囲気下で焼成して得られる、六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
本発明によれば、緻密なhBNの一次粒子で構成された凝集体を含有し、その凝集体の強度が高く、高純度で微細なhBN粉末、当該hBN粉末の製造方法、並びに当該hBN粉末を用いて従来よりも高い熱伝導性を発現できる樹脂組成物及び樹脂シートを提供することができる。
本発明に係るhBNの一次粒子の凝集体の模式図である。 実施例1で得られたhBNの一次粒子の凝集体のSEM像である。 実施例1で得られたhBNの一次粒子の凝集体のSEM像である。 比較例1で得られたhBNの一次粒子の凝集体のSEM像である。 本発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末を含む樹脂シートの模式図である。
[六方晶窒化ホウ素粉末]
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末(hBN粉末)は、hBNの一次粒子の凝集体を含むhBN粉末であって、目開き45μm篩下の粉末含有率が80質量%以上であり、一次粒子径が5μm以下、BET比表面積が15〜25m/g、50%体積累積粒径D50が10〜15μmである。
<一次粒子>
本発明のhBN粉末の一次粒子径は、一次粒子の凝集体の圧縮破壊強度の向上の観点から、平均で、5μm以下であり、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1〜4.5μm、更に好ましくは1.4〜4μm、より更に好ましくは1.8〜3.5μm、より更に好ましくは2〜3μmである。
なお、一次粒子径は、実施例に記載の方法により測定した、一次粒子の長径の数平均値である。
本発明のhBN粉末に含まれる一次粒子は、鱗片状であってもよい。ここで、「鱗片状」とは、一次粒子の厚みに対する一次粒子の長径の比(長径/厚み)が5〜20である形状を意味する。このように一次粒子が鱗片状である場合であっても、凝集体にすることにより、樹脂組成物及び樹脂シート内におけるhBN粉末の充填率を上げても一次粒子が一定の方向に配向することが防止又は抑制される。
<凝集体>
この一次粒子が凝集してなる凝集体の圧縮破壊強度は、好ましくは3MPa以上である。これにより、有機マトリックス中にhBN粉末を充填させて樹脂組成物及び樹脂シートを製造する時又は当該樹脂シートの使用時に凝集体が壊れるのを防止又は抑制することができる。この観点から、凝集体の圧縮破壊強度は、より好ましくは4MPa以上、更に好ましくは5MPa以上、より更に好ましくは6MPa以上、より更に好ましくは7MPa以上である。
なお、一次粒子の凝集体の圧縮破壊強度は、実施例に記載の方法により測定したものである。
<hBN粉末>
本発明のhBN粉末は、熱伝導性の観点、熱伝導性シートの薄膜化の観点から、減圧吸引型篩分け機(エアージェットシーブ)を用いて求めた目開き45μm篩下の粉末含有率が80質量%以上であり、好ましくは85質量%以上、より好ましくは88質量%以上である。
また、本発明のhBN粉末は、熱伝導性の観点、熱伝導性シートの薄膜化の観点から、減圧吸引型篩分け機(エアージェットシーブ)を用いて求めた目開き45μm篩上の粉末含有率が好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
なお、目開き45μm篩下及び篩上の粉末含有率は、実施例に記載の方法により測定したものである。
本発明のhBN粉末のBET比表面積は、凝集体の圧縮破壊強度の向上の観点から、15〜25m/gであり、好ましくは15.5〜23m/g、より好ましくは15.5〜22.5m/g、更に好ましくは16〜22m/g、より更に好ましくは16〜20m/g、より更に好ましくは16〜19m/gである。
なお、このBET比表面積は、実施例に記載の方法により測定したものである。
本発明のhBN粉末の50%体積累積粒径(以下、「D50」ともいう。)は、凝集体の圧縮破壊強度の向上、樹脂組成物及び樹脂シート内における充填性の向上の観点から、10〜15μmであり、好ましくは10.5〜14.8μm、より好ましくは11〜14.6μm、更に好ましくは11.5〜14.4μmである。
また、本発明のhBN粉末の90%体積累積粒径(以下、「D90」ともいう。)は、凝集体の圧縮破壊強度の向上、樹脂組成物及び樹脂シート内における充填性の向上の観点から、好ましくは40〜50μm、より好ましくは40.5〜48μm、更に好ましくは41〜46μmである。
なお、hBN粉末のD50及びD90は、実施例に記載の方法により測定したものである。
本発明のhBN粉末の嵩密度は、凝集体の圧縮破壊強度の向上の観点から、好ましくは0.3g/cm以上、より好ましくは0.35g/cm以上、更に好ましくは0.4g/cm以上である。
なお、hBN粉末の嵩密度は、実施例に記載の方法により測定したものである。
本発明のhBN粉末の結晶子径は、好ましくは200〜500Åである。
本発明のhBN粉末の気孔率は、凝集体の圧縮破壊強度の向上の観点から、好ましくは10〜40%、より好ましくは15〜35%、更に好ましくは20〜30%、より更に好ましくは25〜30%である。
ここで、気孔率は、試料の細孔以外の空隙を除いた試料容積に対する、試料中の全ての細孔の容積の総和として表される全細孔容積の割合である。
なお、hBN粉末の気孔率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のhBN粉末の平均細孔直径は、凝集体の圧縮破壊強度の向上の観点から、好ましくは80〜400nm、より好ましくは90〜300nm、更に好ましくは100〜200nm、より更に好ましくは110〜150nmである。
平均細孔直径は、全ての細孔をひとつの円筒形細孔と仮定したときの当該円筒形細孔の直径(D)であり、下記式で表される当該円筒形細孔の体積(V)及び側面積(A)から算出したものである。
V=πDH/4 〔1〕
A=πDH 〔2〕
(上記式〔1〕及び〔2〕において、Dは平均細孔直径、Hは上記円筒形細孔の高さを示す。)
体積(V)及び側面積(A)は、実施例に記載の水銀圧入法により得られる全細孔容積及び全細孔表面積として測定され、上記式〔1〕及び〔2〕より、平均細孔直径(D=4V/A)を求める。
平均細孔直径は、hBN凝集体の内部構造の違いを示す指標となる。
平均細孔直径が小さい場合には、hBN凝集体内に小さな空隙が多数点在しており、微小なhBN一次粒子同士が相互干渉し、崩壊しにくい構造を形成し、平均細孔直径が大きい場合は、少数の大きな空隙が点在しており、hBN一次粒子同士の干渉が不十分であるために崩壊しやすい構造となっているものと考えられる。
本発明のhBN粉末は、上記の凝集体を含むため、凝集体が顆粒形状を維持することができ、樹脂組成物及び樹脂シート内におけるhBN粉末の充填率を上げても一次粒子が一定の方向に配向することが防止又は抑制され、当該hBN粉末を用いて得られる樹脂組成物及び樹脂シートは、熱伝導性に優れる。
このhBN粉末の純度、すなわち、このhBN粉末中におけるhBNの純度は、熱伝導性及び電気絶縁性の向上の観点から、好ましくは96質量%以上、より好ましくは98質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、より更に好ましくは99.5質量%以上、より更に好ましくは99.8質量%以上である。なお、このhBN粉末の純度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のhBN粉末中の酸化ホウ素量(以下、「B量」ともいう。)は、熱伝導性、電気絶縁性及び生産優位性の向上の観点から、好ましくは0.01〜0.12質量%、より好ましくは0.02〜0.11質量%、更に好ましくは0.03〜0.10質量%である。
なお、このB量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のhBN粉末中における酸化カルシウム(CaO)の含有量は、熱伝導性及び電気絶縁性の向上の観点から、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.05質量%以下、より更に好ましくは0.03質量%以下である。なお、このhBN粉末中におけるCaOの含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のhBN粉末中における炭素の含有量は、熱伝導性及び電気絶縁性の向上の観点から、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.05質量%以下、より更に好ましくは0.04質量%以下である。なお、このhBN粉末中における炭素の含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
<表面処理>
本発明のhBN粉末は、樹脂成分中に分散させて樹脂シートを製造する際に、樹脂成分に対する分散性を高め、加工性を向上させる等の目的で、必要に応じ、各種カップリング剤等を用いて表面処理を施してもよい。
(カップリング剤)
カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系等が挙げられるが、これらの中で効果の点から、シラン系カップリング剤が好ましい。シラン系カップリング剤としては、特にγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が好ましく用いられる。
[六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法]
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末(hBN粉末)は、窒化ホウ素20〜90質量%及び酸化ホウ素10〜80質量%を含む粗製六方晶窒化ホウ素粉末100質量部と、炭素換算で9〜15質量部の炭素源を混合し、成形した後、窒素ガスを含む雰囲気下で焼成する方法により得ることが好ましい。
なお、本発明のhBN粉末は、焼成後に、更に粉砕及び分級の少なくとも1つを実施してhBN粉末を得ることが好ましく、粉砕及び分級の両方を実施してhBN粉末を得ることがより好ましい。
先ず、当該製造方法に用いられる原料である、粗製六方晶窒化ホウ素粉末及び炭素源について説明し、次いで、混合、成形、焼成、粉砕及び分級の各工程について説明する。
<粗製六方晶窒化ホウ素粉末>
上記製造方法で用いられる粗製六方晶窒化ホウ素粉末(粗製hBN粉末)は、窒化ホウ素20〜90質量%及び酸化ホウ素10〜80質量%を含む。かかる酸化ホウ素の含有量の多い粗製hBN粉末は、後述するとおり容易に製造することができる。また、上記製造方法では、このような粗製hBN粉末を、焼成等の高純度化処理を実施することなくそのまま原料として用いるため、生産効率が高い。
なお、粗製hBN粉末中における酸化ホウ素の含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、粗製hBN粉末中における窒化ホウ素の含有量は、全質量より酸化ホウ素の含有量を引くことにより測定することができる。酸化ホウ素の含有量の算出法は実施例に記載する。
窒化ホウ素の含有量が20質量%以上であると、当該粗製hBN粉末を原料として用いてhBN粉末を高効率にて製造することができる。窒化ホウ素の含有量が90質量%以下であると、原料である粗製hBN粉末を高効率にて製造することができる。当該観点から、粗製hBN粉末中における窒化ホウ素の含有量は、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下、より更に好ましくは70質量%以下であり、また、好ましくは45〜85質量%、より好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%、より更に好ましくは60〜70質量%である。
また、酸化ホウ素の含有量が10質量%以上であると、原料である粗製hBN粉末を高効率にて製造することができる。酸化ホウ素の含有量が80質量%以下であると、当該粗製hBN粉末を原料として用いてhBN粉末を高効率にて製造することができる。当該観点から、粗製hBN粉末中における酸化ホウ素の含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下であり、また、好ましくは15〜55質量%、より好ましくは20〜50質量%、更に好ましくは25〜45質量%、より更に好ましくは30〜40質量%である。
なお、粗製hBN粉末中における、窒化ホウ素及び酸化ホウ素の合計含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
粗製hBN粉末は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、その他の成分を含有していてもよいが、粗製hBN粉末中における、その他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、その他の成分を含有していないことがより更に好ましい。
〔粗製六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法〕
前記粗製hBN粉末は、酸素及びホウ素を含む化合物とアミノ基を有する化合物とを混合し、成形した後、加熱し、粉砕することにより、好適に得ることができる。
先ず、当該製造方法に用いられる原料である、酸素及びホウ素を含む化合物とアミノ基を有する化合物について説明し、次いで、混合、成形、加熱及び粉砕の各工程について説明する。
(酸素及びホウ素を含む化合物)
酸素及びホウ素を含む化合物は、さらに水素を含む化合物でもよい。酸素及びホウ素を含む化合物としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸(HBO)、テトラホウ酸(H)、無水ホウ酸(B)等、一般式(B)・(HO)〔但し、X=0〜3〕で示される化合物の一種又は二種以上が挙げられる。なかでもオルトホウ酸は入手が容易でメラミン等のアミノ基を有する化合物との混合性が良好であるので好適である。
酸素及びホウ素を含む化合物の純度は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
(アミノ基を有する化合物)
アミノ基を有する化合物としては、アミノトリアジン化合物、グアニジン化合物、尿素等が挙げられる。アミノトリアジン化合物としては、メラミン、グアナミン、ベンゾグアナミン、及びそれらの縮合物であるメラム、メレム、メロン等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、メラミン、グアニジン等のように、アミノ基とアミノ基以外の部位とのそれぞれに窒素原子を有する化合物が好ましい。
アミノ基を有する化合物の純度は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましく、100質量%がより更に好ましい。
(混合)
先ず、上記の酸素及びホウ素を含む化合物とアミノ基を有する化合物とを混合する。
この混合方法には特に制限はなく、湿式混合及び乾式混合のいずれでもよいが、湿式混合が好ましい。湿式混合を行うことにより、先ず前駆体が形成される。例えば、ホウ酸或いは無水ホウ酸とメラミンとを混合したものに水を加えると、C(NH・HBOの分子式で示される前駆体が得られる。湿式混合は、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リボンブレンダー等の一般的な混合機を用いて行うことができる。
酸素及びホウ素を含む化合物とアミノ基を有する化合物との配合割合は、酸素及びホウ素を含む化合物中のホウ素原子(B)とアミノ基を有する化合物中の窒素原子(N)との原子比(B/N)が、好ましくは1/3〜2/1となる割合である。B/N原子比が1/3以上であると、水の存在下で前駆体にならないアミノ基を有する化合物が残存することが防止又は抑制されるため、焼成中に炭化し窒化ホウ素を黒色或いは褐色化することが防止又は抑制される。また、B/N原子比が2/1以下までは、ホウ素原子が多いほど結晶性の高いhBNが得られる。
アミノ基を有する化合物としてメラミンを用いる場合、酸素及びホウ素を含む化合物100質量部に対するメラミンの配合量は、上記観点から、好ましくは30〜65質量部、より好ましくは35〜60質量部、更に好ましくは40〜55質量部、より更に好ましくは45〜50質量部である。
(成形)
次いで、上記の混合により得られた前駆体を含む混合物を成形することが好ましい。
この前駆体を含む混合物を成形して成形体とすることにより、混合物の嵩密度が高くなり、一定容量の加熱装置に多量の混合物を装填できるため、生産性が向上する。また、成形すると嵩密度が高くなることにより熱伝導性がよくなり、急速な昇温が可能になると共に、混合物が均一に加熱される。また、混合物の加熱分解により発生するガスが、成形体同士の間の隙間から容易に放出できるため、混合物の吹き上げや飛散が防止される。更に、成形すると嵩密度が高くなることにより、無水ホウ酸が高温で長時間残留するため、hBNの結晶成長が促進する。この成形は、得られる成形体の密度が0.6〜0.8g/cm程度になるように行うことが好ましい。
(加熱)
次いで、上記の成形により得られた成形体を加熱する。この加熱により、成形体中の酸素及びホウ素を含む化合物とアミノ基を有する窒素化合物とが反応し、hBNが生成する。
加熱時の雰囲気は、アンモニア雰囲気又は非酸化性ガス雰囲気である。非酸化性ガス雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、又はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気が好ましい。なかでも、アンモニア雰囲気がより好ましい。
加熱温度は、反応性の向上及び粉砕の容易性の観点から、好ましくは800〜1400℃、より好ましくは900〜1350℃、更に好ましくは1000〜1300℃、より更に好ましくは1050〜1200℃である。
(粉砕)
次いで、加熱により得られた生成物を、粉砕することにより、粗製hBN粉末が得られる。
粉砕方法には特に制限はなく、ジョー粉砕、粗ロール粉砕等を採用することができる。
<炭素源>
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末(hBN粉末)の製造方法に用いられる炭素源としては、黒鉛の他、カーボンブラック、炭化ホウ素、糖類、メラミン、フェノール樹脂等が挙げられるが、好ましくは黒鉛である。
炭素源中における炭素の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
(混合)
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末(hBN粉末)の製造方法では、前述した粗製hBN粉末100質量部に対して、炭素換算で9〜15質量部の前述した炭素源を混合する。
炭素源が炭素換算で9質量部以上である場合には、一次粒子の粒成長が抑制されると共に、酸化ホウ素の窒化が進んで凝集体の緻密性が向上するため、凝集体の圧縮破壊強度が向上する。炭素源が炭素換算で15質量部以下である場合には、未反応の炭素成分が異物すなわち黒色物として残留することが防止され、白色度や電気絶縁性が向上する。
当該観点から、粗製hBN粉末100質量部に対する、炭素源の混合量は、炭素換算で、9〜15質量部であり、好ましくは9.5〜14質量部、より好ましくは10〜13質量部、更に好ましくは10〜12質量部である。
この混合方法には特に制限はなく、湿式混合及び乾式混合のいずれでもよいが、湿式混合が好ましい。湿式混合は、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リボンブレンダー等の一般的な混合機を用いて行うことができる。
また、混合の際、バインダーを添加して混合してもよい。このバインダーとしては、特に制限はないが、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の樹脂が挙げられ、好ましくはポリビニルアルコールが用いられる。
バインダーは、これらの樹脂を水に溶解させたバインダー水溶液として用いるのが好ましい。このバインダー水溶液中の樹脂含有量は、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%、更に好ましくは1〜4質量%である。粗製hBN粉末100質量部に対する、バインダー水溶液の混合量は、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部、更に好ましくは8〜12質量部である。
なお、このようにバインダーを添加して混合する場合、バインダーも上記の炭素源として換算される。
(成形)
次いで、上記の混合により得られた混合物を適当な形状に成形する。
成形は、hBN一次粒子が凝集してなる凝集体の強度の向上、生産性、ハンドリングの良さ、反応性の観点から、成形後の密度が、好ましくは0.5g/cm以上、より好ましくは0.8g/cm以上、更に好ましくは1g/cm以上となり、また、好ましくは2g/cm以下、より好ましくは1.8g/cm以下、更に好ましくは1.5g/cm以下となるように行う。
(焼成)
次いで、上記の成形により得られた成形体を焼成する。粗製hBN粉末を加圧成形して成形体としてから焼成することにより、成形体中の粗製hBN粉末に含まれる酸化ホウ素と炭素源に含まれる炭素とが反応して、圧縮破壊強度の高い六方晶窒化ホウ素(hBN)の凝集体が生成し、本発明のhBN粉末が得られる。なお、成形せずに焼成を行った場合、圧縮破壊強度の高いhBN凝集体を十分に製造することは困難である。
焼成時の雰囲気は、窒素ガスを含む雰囲気である。窒素ガスを含む雰囲気中における、窒素ガス濃度は、好ましくは60体積%以上、より好ましくは80体積%以上、更に好ましくは90体積%以上、より更に好ましくは99体積%以上である。酸素ガスは少ない方がよい。
焼成温度は、好ましくは1000〜2200℃である。焼成温度は1000℃以上であると十分な還元窒化反応が進む。また2200℃以下であるとhBNの分解が起こることが防止される。この観点から、焼成温度は、より好ましくは1500〜2200℃、更に好ましくは1600〜2200℃、より更に好ましくは1700〜2200℃、より更に好ましくは1730〜2190℃である。
焼成時間は、好ましくは1〜20時間である。焼成時間は1時間以上では十分に還元窒化反応が進み、未反応の炭素成分が黒色物として残留することが防止される。また20時間以下では、焼成コストが低減される。この観点から、より好ましくは1〜15時間、更に好ましくは5〜10時間、より更に好ましくは6〜9時間である。
なお、焼成の前に乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、好ましくは150〜400℃、より好ましくは200〜400℃であり、乾燥時間は、好ましくは6〜8時間である。
(粉砕)
次いで、焼成により得られた生成物を、粉砕することが好ましい。
粉砕方法には特に制限はなく、ジョー粉砕、粗ロール粉砕等を採用することができる。
(分級)
次いで、粉砕により得られた粉砕物を、分級することが好ましい。
分級方法には特に制限はなく、振動篩装置、気流分級、水篩、遠心分離等により分級することができる。なかでも、振動篩装置により分級することが好ましい。振動篩装置を用いる場合には、乾式振動篩装置[晃栄産業(株)製、商品名「佐藤式振動ふるい機」]を用いて、目開き45μmの篩を用いて篩分時間60分の条件にて分級することが好ましい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、前述の六方晶窒化ホウ素粉末(hBN粉末)を10〜90体積%含有する。本発明の樹脂組成物中のhBN粉末の含有量は、樹脂組成物及び当該樹脂組成物を成形してなる樹脂シートの熱伝導性及び樹脂シートの成形性の観点から、10〜90体積%であり、好ましくは20〜80体積%、より好ましくは30〜70体積%、更に好ましくは40〜65体積%である。
また、本発明の樹脂組成物は、熱伝導性の観点から、本発明のhBN粉末に更に目開き45μm以上の粒径を有するhBN粉末を併用することが好ましい。当該樹脂組成物中における、目開き45μm以上の粒径を有するhBN粉末の含有量は、熱伝導性の観点から、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上である。また、同様の観点から、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下、更に好ましくは20体積%以下である。
本発明において、hBN粉末の体積基準の含有量(体積%)は、hBN粉末の比重及び有機マトリックスとして用いられる各種樹脂の比重から求めることができる。
(有機マトリックス)
本発明の樹脂組成物は、有機マトリックスとして樹脂を含有する。
本発明に用いる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、各種ゴム、熱可塑性エラストマー、オイル等から選ばれる一種以上の樹脂を含有することが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
各種ゴムとしては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッソゴム、クロロ−スルホン化ポリエチレン、ポリウレタンゴム等が挙げられる。これらゴムは、架橋して用いることが好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
オイル成分としては、シリコーンオイル等のグリース類が挙げられる。
これらの有機マトリックスは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、当該樹脂組成物を用いて得られる熱伝導性部材の用途や当該樹脂組成物を成形してなる樹脂シート等の熱伝導性部材の機械的強度、耐熱性、耐久性、柔軟性、可撓性等の要求特性に応じて、従来樹脂シートの有機マトリックスとして使用されている各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、各種ゴム、熱可塑性エラストマー等の中から選ばれる一種以上の樹脂を含有することが好ましい。これらの有機マトリックスは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、本発明においては、特に硬化性エポキシ樹脂や、硬化性シリコーン樹脂が好適に用いられる。
当該樹脂組成物中の有機マトリックスの含有量は、当該樹脂組成物を成形してなる樹脂シートの成形性の観点から、好ましくは10〜90体積%、より好ましくは20〜80体積%、更に好ましくは30〜70体積%、より更に好ましくは30〜60体積%である。
本発明において、有機マトリックスの体積基準の含有量(体積%)は、hBN粉末の比重及び有機マトリックスとして用いられる各種樹脂の比重から求めることができる。
(硬化性エポキシ樹脂)
本発明の樹脂組成物において、有機マトリックスとして用いられる硬化性エポキシ樹脂としては、hBN粉末の有機マトリックスに対する分散性の観点から、常温で液状のエポキシ樹脂や、常温で固体状の低軟化点エポキシ樹脂が好ましい。
この硬化性エポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であればよく、特に制限されず、従来エポキシ樹脂として使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸のグリシジルエーテル、シクロヘキサン誘導体のエポキシ化により得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。前記エポキシ樹脂の中では、耐熱性、及び作業性等の観点からは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、シクロヘキサン誘導体のエポキシ化により得られるエポキシ樹脂が好適である。
(エポキシ樹脂用硬化剤)
硬化性エポキシ樹脂を硬化させるために、通常エポキシ樹脂用硬化剤が用いられる。このエポキシ樹脂用硬化剤としては、特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化剤として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができ、例えばアミン系、フェノール系、酸無水物系等が挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えばジシアンジアミドや、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が好ましく挙げられ、フェノール系硬化剤としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂等が好ましく挙げられる。また、酸無水物系硬化剤としては、例えばメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物、無水フタル酸等の芳香族酸無水物、脂肪族二塩基酸無水物等の脂肪族酸無水物、クロレンド酸無水物等のハロゲン系酸無水物等が挙げられる。
これらの硬化剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。このエポキシ樹脂用硬化剤の使用量は、硬化性及び硬化樹脂物性のバランス等の点から、前記硬化性エポキシ樹脂に対する当量比で、通常0.5〜1.5当量比程度、好ましくは0.7〜1.3当量比の範囲で選定される。
(エポキシ樹脂用硬化促進剤)
本発明の樹脂組成物において、エポキシ樹脂用硬化剤と共に、必要に応じてエポキシ樹脂用硬化促進剤を併用することができる。
このエポキシ樹脂用硬化促進剤としては、特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化促進剤として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、三フッ化ホウ素アミン錯体、トリフェニルホスフィン等を例示することができる。これらの硬化促進剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。このエポキシ樹脂用硬化促進剤の使用量は、硬化促進性及び硬化樹脂物性のバランス等の点から、前記硬化性エポキシ樹脂100質量部に対し、通常0.1〜10質量部程度、好ましくは0.4〜5質量部の範囲で選定される。
(硬化性シリコーン樹脂)
硬化性シリコーン樹脂としては、付加反応型シリコーン樹脂とシリコーン系架橋剤との混合物を用いることができる。付加反応型シリコーン樹脂としては、例えば分子中に官能基としてアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンの中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。上記の分子中に官能基としてアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンの好ましいものとしては、ビニル基を官能基とするポリジメチルシロキサン、ヘキセニル基を官能基とするポリジメチルシロキサン及びこれらの混合物等が挙げられる。
シリコーン系架橋剤としては、例えば一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサン、具体的には、ジメチルハイドロジェンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキサン基末端封鎖ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)等が挙げられる。
また、硬化触媒としては、通常白金系化合物が用いられる。この白金系化合物の例としては、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、パラジウム、ロジウム触媒等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、さらなる成分を含有していてもよい。そのような成分としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、繊維状窒化ホウ素等の窒化物粒子、アルミナ、繊維状アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の電気絶縁性金属酸化物、ダイヤモンド、フラーレン等の電気絶縁性炭素成分、可塑剤、粘着剤、補強剤、着色剤、耐熱向上剤、粘度調整剤、分散安定剤、及び溶剤が挙げられる。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を含有する樹脂組成物には、その効果を損なわない限り、上記の窒化物粒子や電気絶縁性金属酸化物として例示されているものに加えて、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機フィラー、無機フィラーとマトリックス樹脂の界面接着強度を改善するシランカップリング剤等の表面処理剤、還元剤等を添加してもよい。
本発明の樹脂組成物は、熱伝導性シート、熱伝導性ゲル、熱伝導性グリース、熱伝導性接着剤、フェーズチェンジシート等の熱伝導性部材に用いることができる。その結果、MPUやパワートランジスタ、トランス等の発熱性電子部品からの熱を放熱フィンや放熱ファン等の放熱部品に効率よく伝達することができる。
上記熱伝導性部材のなかでも、熱伝導性シートとして樹脂シートに用いることが好ましい。前記樹脂組成物を樹脂シートに用いることにより、熱伝導性の向上の観点から、特にその効果を発揮できる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、前記樹脂組成物又はその硬化物からなるものであり、前記樹脂組成物をシートに成形してなる。前記樹脂組成物が硬化性の場合には、シートへ成形した後、硬化させてなる。
本発明の樹脂シートは、前記樹脂組成物を用い、例えば下記のようにして作製することができる。
まず、本発明のhBN粉末を、適当な溶媒中に分散させてなる、濃度50〜80質量%程度のhBN粉末の懸濁液を調製する。
次いで、この懸濁液に、有機マトリックスを、当該hBN粉末及び当該有機マトリックスの総量中に当該hBN粉末が10〜90体積%の割合で含まれるように加える。hBN粉末の比重と有機マトリックスとして使用される樹脂の比重により所望の体積%となるように、hBN粉末及び樹脂の重量を設定し、それぞれを秤量後混合し、樹脂組成物を調製する。
また、樹脂組成物の調製方法としては下記のようにして調製することもできる。
まず、樹脂、並びに必要に応じて硬化剤及び溶媒を混合して有機マトリックスを調製する。
次いで、この有機マトリックスに前記hBN粉末を、当該hBN粉末及び当該有機マトリックスの総量中に当該hBN粉末が10〜90体積%の割合で含まれるように加える。hBN粉末の比重と有機マトリックスとして使用される樹脂の比重により所望の体積%となるように、hBN粉末及び樹脂の重量を設定し、それぞれを秤量後混合し、樹脂組成物を調製する。
有機マトリックスの主成分として、硬化性エポキシ樹脂を用いる場合には、この硬化性エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、必要に応じて用いられるエポキシ樹脂用硬化促進剤との混合物が有機マトリックスとなる。
また、有機マトリックスの主成分として、硬化性シリコーン樹脂を用いる場合には、付加反応型シリコーン樹脂と、シリコーン系架橋剤と、硬化触媒との混合物が有機マトリックスとなる。
樹脂組成物は、通常のコーティング機等で、離型層付き樹脂フィルム等の離型性フィルム等の基材上に塗工され、前記樹脂組成物が溶媒を含む場合には遠赤外線輻射ヒーター、温風吹付け等によって溶媒を乾燥させることにより、シート化される。
離型層としては、メラミン樹脂等が用いられる。また、樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等が用いられる。
樹脂組成物における有機マトリックスが、硬化性エポキシ樹脂や、硬化性シリコーン樹脂のような硬化性有機マトリックスでない場合には、前記のシート化された樹脂シートがそのまま本発明の樹脂シートとなる。
さらに、有機マトリックスが硬化性マトリックスである場合には、前記で得られた基材上に形成された樹脂シートを、必要に応じて当該基材の樹脂組成物が塗工されていない面側から当該基材を介して加圧下にさらに加熱処理して硬化させることにより、本発明の樹脂シートが得られる。加圧条件は、好ましくは15〜20MPa、より好ましくは17〜19MPaである。また、加熱条件は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜150℃である。なお、離型性フィルム等の基材は、通常、最終的に剥離、又は除去される。
このようにして得られる本発明の樹脂シートの膜厚は、成形性の観点及び当該樹脂シートが用いられる電子部品等の軽薄化の観点から、50〜150μmの範囲であることが好ましく、70〜140μmの範囲であることがより好ましく、100〜130μmの範囲であることが更に好ましい。
また、本発明の樹脂シートは、好ましくは厚み方向の熱伝導率が3W/m・K以上、より好ましくは7W/m・K以上、更に好ましくは9W/m・K以上、より更に好ましくは10W/m・K以上である。
本発明の樹脂シートは、その片面又は両面及びシート内に、作業性向上や補強目的でシート状、繊維状、網目状の部材を積層したり、埋没させたりして用いてもよい。
このように得られた樹脂シートは、離型性フィルムから剥がし、あるいは、離型性フィルムを保護フィルムとした状態で、樹脂シートとしての使用に供するための製品の形とすることができる。
また、本発明の樹脂シートは、粘着性層を樹脂シートの上面又は下面にさらに設けた構成としてもよく、これにより、製品使用時の利便性が高まる。
本発明の樹脂シートは、例えばMPUやパワートランジスタ、トランス等の発熱性電子部品からの熱を放熱フィンや放熱ファン等の放熱部品に伝熱させるために使用され、発熱性電子部品と放熱部品の間に挟み込まれて使用される。これによって、発熱性電子部品と放熱部品間の伝熱が良好となり、発熱性電子部品の誤作動を著しく軽減させることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
(1)粗製hBN粉末の作製
ホウ酸4g、メラミン2g及び水1gを加えたものを撹拌混合し、金型内に入れて加圧し、密度0.7g/cmの成形体を得た。この成形体を乾燥機中にて300℃で100分間乾燥させたものをNHガス雰囲気下1100℃で120分間仮焼きした。この得られた仮焼物(粗製hBN)を粉砕して粗製hBN粉末(酸化ホウ素の含有量35質量%)を得た。
(2)hBN粉末の作製
上記粗製hBN粉末100質量部に対して、炭素源として昭和電工(株)製の人造黒鉛微粉「UF−G30」を炭素換算で12質量部及びPVA水溶液(濃度2.5質量%)を10質量部加えることにより、hBN粉末100質量部に対する炭素源の炭素換算含有量が12質量部である混合物を得、この混合物をミキサーで撹拌混合した後、金型内に入れて、加圧し、密度1.2g/cmの成形体を得た。この成形体を乾燥機中にて300℃で6時間乾燥させて乾燥物を得た。この乾燥物を、高周波炉において、窒素ガス雰囲気下、1750℃〜2200℃で合計6時間焼成することでhBN焼成物を得た。得られたhBN焼成物をジョークラッシャー及びピンミルを用いて粉砕後、乾式振動篩装置[晃栄産業(株)製、商品名「佐藤式振動ふるい機」]を用いて、篩分時間60分の条件にて目開き45μm篩を用いて分級した。当該分級後における篩下のhBN粉末を実施例1に係るhBN粉末とした。
なお、上記のように分級して得られた実施例1に係るhBN粉末を、さらに後述する減圧吸引型篩分け機(エアージェットシーブ[アルパイン社製、機種名「A200LS」])を用いて、目開き45μm篩上下に分級したところ、hBN粉末の目開き45μm篩上の粉末含有率は11質量%であり、目開き45μ篩下の粉末含有率は89質量%であった。
このhBN粉末をSEMで観察したところ、図2に示されるように一次粒子がランダムな方向を向いた緻密なhBN凝集体を含むことが確認された。なお、図1は、図2中に存在するhBN凝集体の模式図である。
(3)樹脂組成物の調製
有機マトリックスとして、液状硬化性エポキシ樹脂[ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「jER828」、ビスフェノールA型、エポキシ当量184−194g/eq]100質量部と、硬化剤としてのイミダゾール[四国化成工業(株)製、商品名「2E4MZ−CN」]5質量部との併用物を用いた。
まず、前記の有機マトリックス100質量部に対して、前記のhBN粉末を当該hBN粉末及び当該有機マトリックスの総量中における含有量が60体積%となるように加え、倉敷紡績(株)製、マゼルスターを用いて撹拌混合し樹脂組成物を調製した。
なお、前記hBN粉末の体積基準の含有量(体積%)は、hBN粉末の比重(2.27)及び有機マトリックスとして用いられる液状硬化性エポキシ樹脂の比重(1.17)から求めた。
(4)樹脂シートの作製
横10.5cm、縦13cmに切り取った離型フィルム上に、硬化膜厚が500μm以下となるように金型を用いて成形したのち、金型ごと離型フィルムに挟み、離型フィルムを介して、120℃、18MPaの条件で10分間圧着することにより、樹脂組成物を硬化させ、樹脂シートを作製した。
[実施例2]
実施例1の(2)において、上記粗製hBN粉末100質量部に対して加える炭素源の配合量を11質量部にしたこと以外は実施例1と同様にして、hBN粉末、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
[実施例3]
実施例1の(2)において、上記粗製hBN粉末100質量部に対して加える炭素源の配合量を10質量部にしたこと以外は実施例1と同様にして、hBN粉末、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
[比較例1]
実施例1の(2)において、上記粗製hBN粉末100質量部に対して加える炭素源の配合量を5質量部に変更し、更にCa化合物(炭酸カルシウム)を0.4質量部添加したこと以外は実施例1と同様にして、hBN粉末、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
[比較例2]
実施例1の(1)及び(2)を省略したこと、並びに、実施例1の(3)において、(2)で得られたhBN粉末に代えて、球状顆粒を製造する方法として広く知られているスプレードライ法により鱗片状hBNを凝集させた後、2000℃で焼結させることにより製造した、表2に示すhBN粉末特性を有する球状hBN粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
[比較例3]
実施例1の(2)において、上記粗製hBN粉末100質量部に対して加える炭素源の配合量を20質量部に変更し、更にCa化合物(炭酸カルシウム)を0.4質量部添加したこと以外は実施例1と同様にして、hBN粉末、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
[評価]
得られた粗製hBN粉末、hBN粉末、樹脂組成物及び樹脂シートについて、次の評価を行った。
(粗製hBN粉末中における、酸化ホウ素の含有量)
粗製hBN粉末は、当該粉末の表面の酸化ホウ素(以下、「B」ともいう。)と内部のB−O−N結合構造により構成されていると考えられる。粗製hBNのB−O−N結合構造を構成する内在酸素は、粗製hBN粉末からhBN粉末を製造する際の焼成工程における高温熱処理により反応が進み、徐々に表面にBとして浸み出してくる。そこで、粗製hBN粉末からhBN粉末を製造する際の炭素源の炭素と反応するBの粗製hBN粉末中の含有量は、表面のB量と内在酸素のB換算量との総量として得た。
表面のB量は、酸処理により粗製hBN粉末表面のBを溶出させ、酸処理に溶解したB量を測定し、内在酸素のB換算量は、酸処理後の残渣の酸素分析を行い、残渣中の酸素量を測定し、B換算量として得た。
具体的には、以下のとおりである。粗製hBN粉末を0.1N希硫酸溶液で酸処理した。
この酸処理による粗製hBN粉末中のBNの加水分解により発生したアンモニア量を分光光度計[日立製作所(株)製、機種名「U−1100」]を用いて測定し、このアンモニア量から、BNの加水分解により生じたB元素量を算出した。また、酸処理後の酸溶液中に存在するB元素の総量(BNの加水分解に起因するB元素量とBの溶解に起因するB元素量の総量)をICP分析装置[SII Nano Technology Inc.社製、機種名「SPS3500」]により測定した。この酸処理後の酸溶液中に存在するB元素の総量と、上記のアンモニア量から換算したBNの加水分解に起因するB元素量とから、酸処理により溶解したB量を算出した。
また、残渣中の酸素量を酸素測定装置[LECOジャパン合同会社製、機種名「TC−600」]を用いて測定し、この測定値から、B換算量を算出した。
このようにして求められた、酸処理により溶解したB量及びB換算量の総量と、酸処理に供した粗製hBN粉末の総量とから、粗製hBN粉末中における酸化ホウ素の含有量(B含有量)を算出した。
(hBN粉末の一次粒子径)
実施例及び比較例で得られたhBN粉末のSEM写真を撮影し、SEM写真内から選ばれた任意の100個のhBN一次粒子について、長径の長さを測定し、長径の数平均値をhBN粉末の一次粒子径とした。
(BET比表面積)
実施例及び比較例で得られたhBN粉末について、全自動BET比表面積測定装置[ユアサアイオニクス(株)製、機種名「マルチソーブ16」]を用い、比表面積を測定した。
(hBN粉末の50%体積累積粒径及び90%体積累積粒径(D50及びD90))
粒度分布計[日機装(株)製、機種名「マイクロトラックMT3300EXII」]を用いてhBN粉末の体積規準のレーザ回折散乱式粒度分布測定による体積基準の累積50%粒子径(50%体積累積粒径、D50)と累積90%粒子径(90%体積累積粒径、D90)を測定した。粒度分布測定は実施例及び比較例で得られたhBN粉末0.06gを純水50gに3分間超音波処理することで調製した分散液を用いて行った。超音波処理は出力150W、発振周波数19.5kHzの条件で超音波処理装置[(株)日本精機製作所製、機種名「超音波ホモジナイザーUS−150V」]を用いて行った。
(目開き45μm篩下及び目開き45μm篩上のhBN粉末含有率)
径が20cm、高さ4.5cmの目開き45μmの篩を準備し、実施例及び比較例で得られたhBN粉末を10g乗せ、減圧吸引型篩分け機[アルパイン社製、機種名「エアージェットシーブA200LS」]にセットした。篩の下部から粉末を差圧1kPaで吸引し、篩分け時間を180秒間として、分級した。篩の下及び篩の上に残ったhBN粉末の重量を測定し、目開き45μm篩下のhBN粉末含有率(篩下粉末含有率)及び目開き45μm篩上のhBN粉末含有率(篩上粉末含有率)を算出した。
なお、実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたhBN焼成物を粉砕後、目開き45μm篩の前記乾式振動篩装置を用いて、篩分時間60分の条件にて分級した際には、hBN粉末は目開き45μmの篩を全て通過した。
(hBN粉末の嵩密度)
300mlメスシリンダーに実施例及び比較例で得られたhBN粉末100gを投入し、振とう機により3分振動させた後のhBN粉末の振動嵩密度により、嵩密度を測定した。
(hBN粉末の成形体及び粗製hBN粉末の成形体の密度)
成形体の質量及び体積を測定し、これらの値から、成形体の密度を算出した。
(圧縮破壊強度)
実施例1〜3及び比較例1〜3のhBN焼成物を粉砕後、目開き106μm及び目開き45μmの篩を2段重ねで用いて前記乾式振動篩装置(篩分時間60分)にて分級した45〜106μmの粒径を有するhBN凝集体を任意に5〜100個程度抽出し、微小圧縮試験機[(株)島津製作所製、機種名「MCT−510」]を用いて強度試験を行った。
試験条件として、試験荷重を10〜1000mN、負荷速度を0.446mN/secとし、平面圧子を用いて、hBN凝集体に対して圧縮を行い、hBN凝集体が圧縮により破壊されたときの強度を測定した。これら測定値の平均値を圧縮破壊強度とした。
(気孔率、平均細孔直径)
実施例1〜3及び比較例1〜3のhBN焼成物を粉砕後、目開き106μm及び目開き45μmの篩を2段重ねで用いて前記乾式振動篩装置(篩分時間60分)にて分級した45μm〜106μmの粒径を有するhBN凝集体を用意し、水銀圧入法により全細孔容積及び全細孔表面積を測定することにより、気孔率並びに前記式〔1〕及び〔2〕から算出される平均細孔直径を求めた。全細孔容積及び全細孔表面積は、「オートポアIV 9500」(マイクロメリテックス社製)を用いて測定した。
気孔率及び平均細孔直径は、hBN凝集体の粒径に対しては変化しないものとみなし、上記の45〜106μmの粒径を有するhBN凝集体の測定値を、実施例及び比較例に係るhBN粉末の気孔率及び平均細孔直径とした。また、気孔径0.5〜4000nmに範囲を限定し算出した。
(hBN粉末の酸化ホウ素(B)含有量、CaO含有量)
実施例及び比較例で得られたhBN粉末を0.1N希硫酸溶液で酸処理した。この酸処理により、hBN粉末中のBNの少なくとも一部が加水分解されてアンモニアが発生すると共にBNのB元素が酸溶液中に溶解し、また、hBN粉末中の酸化ホウ素(B)の少なくとも一部が酸溶液中に溶解する。
この酸処理によるBNの加水分解により発生したアンモニア量を分光光度計[日立製作所(株)製、機種名「U−1100」]を用いて測定し、このアンモニア量から、BNの加水分解により生じたB元素量を算出した。また、酸処理後の酸溶液中に存在するB元素の総量(BNの加水分解に起因するB元素量とBの溶解に起因するB元素量の総量)をICP分析装置[SII Nano Technology Inc.社製、機種名「SPS3500」]により測定した。この酸処理後の酸溶液中に存在するB元素の総量と、上記のアンモニア量から換算したBNの加水分解に起因するB元素量とから、酸処理により溶解した酸化ホウ素(B)量を算出した。
上記の酸処理後の酸溶液中に存在するCa元素を上記ICP分析装置により測定し、Ca元素量からCaO含有量を算出した。
(hBN粉末中における炭素の含有量)
炭素分析装置[LECOジャパン合同会社製、機種名「CS230」]を用いて、実施例及び比較例で得られたhBN粉末中における炭素の含有量(炭素含有量)を測定した。
(hBN粉末の純度)
上述のとおり測定したhBN粉末中におけるB量、CaO含有量及び炭素含有量の総量を不純物量として、hBN粉末の純度を求めた。
(樹脂シートの熱伝導率)
実施例及び比較例で得られた樹脂シートについて、NETZSCH社製、機種名「LFA447 NanoFlash」により熱拡散率を測定し、それにそれぞれの樹脂シートの比熱と密度の理論値を掛けることにより算出した値を、樹脂シートの厚み方向の熱伝導率とした。
なお、各実施例又は比較例の樹脂シートの密度の理論値は、窒化ホウ素の理論密度を2.27g/cm、樹脂成分の理論密度を1.17g/cmとして計算した。
以上の実施例及び比較例のhBN粉末の作製条件を表1に、評価結果を表2に示した。
なお、表1中の炭素源及びCa化合物は、hBN粉末を作製する際、粗製hBN粉末及び炭素源(比較例1及び3においては、さらにCa化合物)を混合して得られる混合物中における粗製hBN粉末100質量部に対する含有量を示す。
Figure 0006348610
Figure 0006348610
表2に示すとおり、実施例1〜3のhBN粉末は、比較例で得られたhBN粉末と比べて、目開き45μm篩下の粉末を88〜89質量%含有し、緻密な一次粒子からなり、圧縮破壊強度は高いことが分かる。
また、実施例1〜3及び比較例1〜3の気孔率は他の特性と関係なく、ほぼ一定の値を示した。一方、平均細孔直径が小さくなるにつれ、BET比表面積及び圧縮破壊強度は高い値となり、平均細孔直径はBET比表面積及び圧縮破壊強度と相関関係があることが分かる。これはhBN凝集体の内部構造の違いが寄与しているものと考えられる。
つまり、平均細孔直径が小さい場合には、hBN凝集体内に小さな空隙が多数点在しており、微小なhBN一次粒子同士が相互干渉し、崩壊しにくい構造を形成していると考えられる。一方で平均細孔直径が大きい場合は、少数の大きな空隙が点在しており、hBN一次粒子同士の干渉が不十分であるために崩壊しやすい構造となっているもの考えられる。
図3に示す断面SEM観察により、平均細孔直径の小さい実施例1の粒子は粒子間の細孔直径が小さく、微小なhBN一次粒子でhBN凝集体が構成されていることが確認できる。一方、図4に示す断面SEM観察により、平均細孔直径の大きい比較例1の粒子は粒子間の細孔直径が大きく、大きなhBN一次粒子でhBN凝集体を構成していることが確認できる。
また、実施例1〜3の樹脂シートはいずれも熱伝導率が10W/m・K以上であり、比較例1〜3の樹脂シートよりも熱伝導性が優れていることが分かる。これは撹拌混合時に凝集体が壊れず、図5に示す模式図のように顆粒形状を維持することができたためであると考えられる。
なお、このようにして得られたhBN粉末を用い、熱伝導率及び成形性に優れる膜厚100μmの樹脂シートが得られる。本発明のhBN粉末を用いて、得られる樹脂シートの膜厚を薄くすることにより、優れた熱伝導率を有する、電子部品の軽薄化に有用な熱伝導性シートを提供することができる。

Claims (9)

  1. 六方晶窒化ホウ素の一次粒子の凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末であって、
    目開き45μm篩下の粉末含有率が80質量%以上であり、一次粒子径が1〜5μm、一次粒子の凝集体の圧縮破壊強度が3MPa以上、BET比表面積が15〜25m/g、50%体積累積粒径D50が10〜15μmである、六方晶窒化ホウ素粉末。
  2. 目開き45μm篩下の粉末含有率が85質量%以上である、請求項1に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  3. 90%体積累積粒径D90が40〜50μmである、請求項1又は2に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  4. 嵩密度が0.3g/cm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  5. 平均細孔直径が80〜400nmである、請求項1〜のいずれかに記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の六方晶窒化ホウ素粉末を10〜90体積%含有する、樹脂組成物。
  7. 請求項に記載の樹脂組成物又はその樹脂組成物が硬化したものからなる、樹脂シート。
  8. 樹脂シートの膜厚が50〜150μmである、請求項に記載の樹脂シート。
  9. 窒化ホウ素20〜90質量%及び酸化ホウ素10〜80質量%を含む粗製六方晶窒化ホウ素粉末100質量部と、炭素換算で9〜15質量部の炭素源を混合する工程、混合した粉末を成形する工程成形したものを窒素ガス雰囲気下で焼成する工程、焼成たものを粉砕する工程、及び粉砕したものを分級する工程、の順次の工程を含む、六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
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