JP2016155937A - 熱伝導性粒子組成物、熱伝導性粒子組成物の製造方法、熱伝導性樹脂組成物および熱伝導性樹脂硬化体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
熱伝導性粒子粗粉と窒化ホウ素微粉を含有する熱伝導性粒子組成物であって、窒化ホウ素微粉が平均粒子径1〜10μm、平均厚み0.001〜1μmの鱗片形状である熱伝導性粒子組成物により、分散性に優れた熱伝導性粒子組成物が得られる。
【選択図】図1
Description
(1)熱伝導性粒子粗粉と窒化ホウ素微粉を含有する熱伝導性粒子組成物であって、窒化ホウ素微粉が平均粒子径1〜10μm、平均厚み0.001〜1μmの鱗片形状である熱伝導性粒子組成物。
(2)前記窒化ホウ素微粉が、シランカップリング剤で分散処理されたものである、(1)に記載の熱伝導性粒子組成物。
(3)前記窒素化ホウ素微粉の一部が、前記熱伝導性粒子粗粉表面に付着したものである、(1)または(2)に記載の熱伝導性粒子組成物。
(4)前記熱伝導性粒子粗粉は、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素及びシリカから選択される少なくとも1種以上である、(1)〜(3)の何れか一つに記載の熱伝導性粒子組成物。
(5)前記熱伝導性粒子粗粉の平均粒子径が20〜150μmである、(1)〜(4)の何れか一つに記載の熱伝導性粒子組成物。
(6)前記熱伝導性粒子粗粉90〜99.8質量部に対し、前記窒化ホウ素微粉が0.2〜10質量部である、(1)〜(5)の何れか一つに記載の熱伝導性粒子組成物。
(7)(1)〜(6)の何れか一つに記載の熱伝導性粒子組成物と樹脂を含有する熱伝導性樹脂組成物。
(8)前記樹脂が、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、液晶ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリフェニレンオキシドから選択される少なくとも1種以上の樹脂である、(7)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(9)(8)に記載のエポキシ樹脂を硬化させてなる熱伝導性樹脂硬化体。
(10)窒化ホウ素粉末を高圧ホモジナイザーで、平均粒子径1〜10μm、平均厚み0.01〜1μmの鱗片形状の窒化ホウ素微粉に粉砕する第一工程と、前記窒化ホウ素微粉をシランカップリング剤で分散処理する第二工程と、前記シランカップリング剤で表面処理された窒化ホウ素微粉を、乾式混合にて、熱伝導性粒子粗粉と混合する第3工程を含む、熱伝導性粒子組成物の製造方法。
本発明の熱伝導性粒子粗粉としては、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリカ、表面絶縁処理を行った金属や炭素系の導電性粒子を使用することができる。これらの中では、高熱伝導性および高絶縁性を示すことから、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素が好ましい。
本発明の窒化ホウ素微粉は鱗片形状であり、その平均粒子径は1〜10μmであり、好ましくは2〜8μmである。1μm未満であると、分散性が低下したり、樹脂組成物の粘度が高くなり充填性が低下する場合がある。また、10μmよりも大きいと、熱伝導性粒子粗粉に良好な流動性や充填性を付与できない場合がある。
本発明の熱伝導性粒子組成物(以下、粒子組成物と略す)は、熱伝導性粒子粗粉と窒化ホウ素微粉を含む。窒化ホウ素微粉の一部が熱伝導性粒子粗粉の表面に付着した状態にあることが好ましい。付着とは、窒化ホウ素微粉が、ファデアワールス力により熱伝導性粒子粗粉の表面に物理的に付着した状態を意味する。粒子組成物は、熱伝導性粒子粗粉90〜99.8質量部に対し窒化ホウ素微粉0.2〜10質量部であることが好ましく、熱伝導性粒子粗粉95〜99.5質量部に対し窒化ホウ素微粉0.5〜5質量部であることがより好ましい。熱伝導性粒子粗粉が90質量部未満であると、後述する熱伝導性樹脂組成物の粘度が高くなる場合がある。また、99.8質量部を超えると、分散性が低下する場合がある。
本発明の熱伝導性樹脂組成物(以下、樹脂組成物と略す)は、粒子組成物と樹脂を含んでなる。樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、液晶ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトンおよびポリフェニレンオキシドから選択される1種以上の樹脂から選択することができる。なお、樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、硬化剤および硬化助剤等を配合することができる。
これらの中では、エポキシ樹脂が耐熱性と銅箔回路への接着性が優れていることから、プリント配線板の絶縁層として好適である。また、シリコーン樹脂は耐熱性、柔軟性及びヒートシンク等への密着性が優れていることから熱インターフェース材として好適である。樹脂組成物の総質量の10〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%が粒子組成物であると、樹脂組成物の熱伝導性、電気絶縁性等を向上させることが可能となる。
なお、樹脂組成物には、粒子組成物への分散性を促進させるため、シランカプリング剤を添加することが好ましい。
硬化体の厚みは20〜150μmであることが好ましく、40〜125μmであることがより好ましい。厚みを20μm以上とすることで、耐電圧特性が良好となり、150μm以下とすることで、熱抵抗が低くなる。金属基板としてはアルミニウム、鉄、銅およびこれらの合金、もしくはこれらのクラッド材が熱伝導性の点で好ましい。また、金属箔としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、スズ、金、銀、モリブデン、チタニウム、ステンレス等が使用できる。
<窒化ホウ素微粉の作製>
ガラス製300mlビーカーに鱗片形状の窒化ホウ素粉末(電気化学工業(株)製、製品名「SGP」、平均粒子径18μm)5質量部、エタノール47.5質量部、水47.5質量部を入れて混合した。この溶液をスギノマシン社製高圧ホモジナイザー(湿式微粒化装置「スターバーストミニ」)を用いて、微粉化処理を行った。条件として、ノズルの形状はボール衝突型を使用し、200MPaの圧力での処理を10回行い、窒化ホウ素微粉分散溶液を作製した。得られた分散溶液を、目開き0.5μmのろ紙によって、吸引ろ過し、固液分離し、濾物を45℃で12時間真空乾燥し、窒化ホウ素微粉を得た。
メタノール溶媒3.4質量部に、エポキシ系シランカップリング剤(信越化学工業(株)製、商品名「KBM403」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5質量部、pHを3.3に調整した酢酸水溶液1.6質量部を加え、室温で1時間攪拌した。上記の方法により得られた窒化ホウ素微粉100質量部に対し、この溶液を滴下しながら、ミキサーにて混合し、風乾した後、45℃真空乾燥機中に12時間放置し、窒化ホウ素微粉の分散処理を行った。
上記の方法で分散処理した窒化ホウ素微粉0.2質量部、をミキサー(Iwatani社製、「IFM−620DG」、インペラー径58mm、回転数20000rpm)にて、10秒間解砕処理した。さらに、熱伝導性粒子粗粉として、平均粒子径64.1μmである窒化ホウ素粗粉(電気化学工業(株)製)99.8質量部を加えて、さらにミキサーにて50秒間混合し、熱伝導性粒子粗粉99.8質量部と窒化ホウ素微粉0.2質量部からなる粒子組成物を得た。なお、得られた粒子組成物の走査型電子顕微鏡画像により、窒化ホウ素微粉は窒化ホウ素粗粉表面に付着した状態にあることを確認した。
上記の方法により得られた粒子組成物75質量部と、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON 850CRP」)19質量部、芳香族アミン(日本合成化工社製、「H−48B」)6質量部、(東レ・ダウコーニング社製、「z−6040」)シランカップリング剤1.0質量部を、遊星式撹拌機(シンキー社「あわとり練太郎AR−250」、回転数2000rpm)にて混練し、樹脂組成物を作製した。
熱伝導性粒子粗粉又は窒化ホウ素微粉の平均粒子径は、ベックマンコールター製「レーザー回折式粒度分布測定装置LS 13 320」を用いて測定を行った。試料はガラスビーカーに10ccの純水と、熱伝導性粒子粗粉又は窒化ホウ素微粉を1g添加して、超音波洗浄機(アズワン社製、「US CLEANER」、出力80W)で15分間、分散処理を行った。分散処理を行った熱伝導性粒子粗粉または窒化ホウ素微粉の分散液をスポイトで装置に一滴ずつ添加し、再度超音波を90秒間照射後、60秒後に測定を行った。レーザー回折式粒度分布測定装置では、センサで検出した粒子による回折/散乱光の光強度分布のデータから粒度分布を計算した。平均粒子径は測定される粒子径の値に相対粒子量(差分%)を乗じて、相対粒子量の合計(100%)で割って求めた。
窒化ホウ素微粉75質量部と、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON 850CRP」)19質量部、芳香族アミン(日本合成化工社製、「H−48B」)6質量部を、遊星式撹拌機にて混練後、30mmΦの一軸押出機にて60℃で押出し窒化ホウ素微粉の長径が押出方向に配向したシート状を得た。得られたシートを200℃で8時間加熱し硬化させた。硬化したシートの中央部を採取後、ミクロトームで端面処理し10mm×10mmの細片を得た。得られた細片の断面図の走査型電子顕微鏡画像より、任意に選択した窒化ホウ素微粉の20個の最大厚みを測定し、その算術平均値を平均厚みとした。
得られた樹脂組成物を、レオメーター(日本シイベルヘグナー社製「MCR−300」)を用い下記条件にて粘度を測定した。
プレート形状:円形平板25mmφ
試料厚み:1mm
温度:25±1℃
剪断速度:0.1S−1
スクレパーを用い、50℃に加温した樹脂組成物を平板上に塗布した。塗布した面の中央部の50mm×50mmの範囲を選定し、目視にて確認可能な凝集塊の個数を以下の判定に従い評価した。なお、評価には3枚の試料を用いた際の凝集塊の総個数を用いた。
優:凝集塊が観られなかった。
可:凝集塊が1個以上3個未満であった。
不良:凝集塊状が3個以上であった。
熱伝導率は、得られた樹脂組成物のシートを作成し、熱拡散率、比重、比熱を全て乗じて算出した。熱拡散率は、試料を幅10mm×10mm×厚み1mmに加工し、レーザーフラッシュ法により求めた。測定装置はキセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製LFA447 NanoFlash)を用いた。比重はアルキメデス法を用いて求めた。比熱は、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント社製、「Q2000」)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温〜400℃まで昇温させて求めた。結果を表1に示す。なお、樹脂シートの硬化条件は、200℃で8時間とした。
窒化ホウ素粗粉99質量部、窒化ホウ素微粉1質量部へ変更した以外は、実施例1と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素粗粉90質量部、窒化ホウ素微粉10質量部へ変更した以外は、実施例1と同様な方法で評価を実施した。
熱伝導性粒子粗粉を窒化ホウ素(電気化学工業社製、「SGP」、平均粒子径18μmへ変更した以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
熱伝導性粒子粗粉を窒化ホウ素(電気化学工業社製、平均粒子径150μmへ変更した以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
熱伝導性粒子粗粉をアルミナ(電気化学工業社製、「DAW−70」、平均粒子径71μm)へ変更した以外は、実施例1と同様な方法で評価を実施した。
熱伝導性粒子粗粉99質量部、窒化ホウ素微粉1質量部へ変更した以外は、実施例6と同様な方法で評価を実施した。
熱伝導性粒子粗粉90質量部、窒化ホウ素微粉10質量部へ変更した以外は、実施例6と同様な方法で評価を実施した。
平均粒子径1.7μm、平均厚み0.03μmの窒化ホウ素微粉を用いた以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
平均粒子径9μm、平均厚み0.62μmの窒化ホウ素微粉を用いた以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を0.5μmに変更した以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。結果を表2に記す。
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を20μmに変更した以外は、実施例2と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉を使用せず、熱伝導性粒子粗粉のみを使用した以外は、実施例1と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を0.5μmに変更した以外は、実施例4と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を20μmに変更した以外は、実施例4と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉を使用せず、熱伝導性粒子粗粉のみを使用した以外は、実施例4と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を0.5μmに変更した以外は、実施例5と同様な方法で評価を実施した。結果を表3に記す。
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を20μmに変更した以外は、実施例5と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉を使用せず、熱伝導性粒子粗粉のみを使用した以外は、実施例5と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を0.5μmに変更した以外は、実施例7と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉の平均粒子径を20μmに変更した以外は、実施例7と同様な方法で評価を実施した。
窒化ホウ素微粉を使用せず、熱伝導性粒子粗粉のみを使用した以外は、実施例6と同様な方法で評価を実施した。
Claims (10)
- 熱伝導性粒子粗粉と窒化ホウ素微粉を含有する熱伝導性粒子組成物であって、窒化ホウ素微粉が平均粒子径1〜10μm、平均厚み0.001〜1μmの鱗片形状である熱伝導性粒子組成物。
- 前記窒化ホウ素微粉が、シランカップリング剤で分散処理されたものである、請求項1に記載の熱伝導性粒子組成物。
- 前記窒素化ホウ素微粉の一部が、前記熱伝導性粒子粗粉表面に付着したものである、請求項1または2に記載の熱伝導性粒子組成物。
- 前記熱伝導性粒子粗粉は、アルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素及びシリカから選択される少なくとも1種以上である、請求項1〜3の何れか一項に記載の熱伝導性粒子組成物。
- 前記熱伝導性粒子粗粉の平均粒子径が20〜150μmである、請求項1〜4の何れか一項に記載の熱伝導性粒子組成物。
- 前記熱伝導性粒子粗粉90〜99.8質量部に対し、前記窒化ホウ素微粉が0.2〜10質量部である、請求項1〜5の何れか一項に記載の熱伝導性粒子組成物。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載の熱伝導性粒子組成物と樹脂を含有する熱伝導性樹脂組成物。
- 前記樹脂が、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、液晶ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリフェニレンオキシドから選択される少なくとも1種以上の樹脂である、請求項7に記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 請求項8に記載のエポキシ樹脂を硬化させてなる熱伝導性樹脂硬化体。
- 窒化ホウ素粉末を高圧ホモジナイザーで、平均粒子径1〜10μm、平均厚み0.01〜1μmの鱗片形状の窒化ホウ素微粉に粉砕する第一工程と、前記窒化ホウ素微粉をシランカップリング剤で分散処理する第二工程と、前記シランカップリング剤で表面処理された窒化ホウ素微粉を、乾式混合にて、熱伝導性粒子粗粉と混合する第3工程を含む、熱伝導性粒子組成物の製造方法。
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