JP2021181381A - 無機粉末組成物、それを含有する樹脂組成物及び放熱材 - Google Patents

無機粉末組成物、それを含有する樹脂組成物及び放熱材 Download PDF

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亮 町田
Akira Machida
智秋 斉木
Tomoaki Saiki
厚輝 渋谷
Atsuteru Shibuya
祐樹 濱崎
Yuki Hamazaki
宏一 齊藤
Koichi Saito
洋平 青山
Yohei Aoyama
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Abstract

【課題】樹脂組成物に高い熱伝導率を付与することができる無機粉末組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、(A)10nm以上、800nm以下の平均厚みを有する鱗片状窒化ホウ素10質量%以上、90質量%以下、(B)球状無機フィラー10質量%以上、90質量%以下を含有する無機粉末組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、無機粉末組成物、それを含有する樹脂組成物及び放熱材に関し、詳しくは特定のパラメータを有する鱗片状窒化ホウ素及び球状無機フィラーを含有する無機粉末、それを用いた樹脂組成物及び放熱材に関する。
電子回路の配線、CPU、LSI、通信チップ等の電子部材、照明装置、車両用ライト、液晶表示装置用バックライト、信号機器等の照明部材、パワーモジュール、車両用バッテリー等の車載部材には、部材内部で生じた熱を外部へ逃がすために、シート状の放熱材が用いられている。半導体技術の進展によって、これらの部材に搭載される半導体電子部品の小型化や集積化が進んで単位面積あたりの発熱量が増大しており、これに伴って放熱材も小型化や効率よく放熱できる材料が求められている。
従来、高い放熱性を必要とする部材に金属材料やセラミック材料が用いられていたが、小型化に適合する上で金属材料やセラミック材料は、軽量性や成形加工性の面で難があり、樹脂材料への代替が進められている。
熱可塑性樹脂は、成形加工性、経済性、耐薬品性、耐湿性に優れるが、熱伝導性が低い材料であるため、熱伝導性フィラーを配合して熱伝導性を高める検討が進められている。
熱硬化性樹脂は、電気絶縁材料、半導体封止材料、塗装材料、成形材料、接着材料等で広く用いられている材料であるが、熱伝導性と絶縁性の改善が求められており、熱伝導性が高く且つ絶縁性のフィラーを樹脂に添加する方法が一般に用いられている。
熱伝導性が高く且つ絶縁性のフィラーとしては、窒化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらの中でも、結晶構造が六方晶の窒化ホウ素は黒鉛と同等の柔らかさを有し、樹脂に対して潤滑性を付与することができ、窒化ホウ素を高充填して成形加工を行っても加工機器を摩耗する恐れが少ない。また、窒化ホウ素は、耐腐食性、高温安定性、耐湿性、化学的安定性等の優れた特性を有しており、窒化ホウ素を充填した樹脂組成物を利用する検討が進められている。
窒化ホウ素の一次粒子は、鱗片状の形状を有する。鱗片状窒化ホウ素は面内方向の熱伝導率が400W/(m・K)であるのに対し、厚み方向の熱伝導率が2W/(m・K)であり、結晶構造及び鱗片状の形状に由来する熱伝導率の異方性が大きい。さらに、鱗片状窒化ホウ素を樹脂に充填して成形すると、鱗片状窒化ホウ素が同一方向に配向しやすい性質がある。このため、鱗片状窒化ホウ素を用いてシートを製造すると、シートの厚み方向の熱伝導率が低く、シート全体の熱伝導率が十分なものではなかった。
これまでに窒化ホウ素の熱伝導率異方性について、種々の検討が進められている。例えば、特許文献1、2には、複数の鱗片状窒化ホウ素を等方的に凝集した状態で焼結することで球状の二次粒子を製造し、この二次粒子を含む熱伝導性シートが提案されている。特許文献3において、窒化ホウ素を除く熱伝導性球状フィラー、窒化ホウ素フィラー及びバインダー樹脂を含有する複数の層を有し、主に熱伝導性球状フィラーを含有する層が最外層になるようにして、主に窒化ホウ素フィラーを含有する層と、主に熱伝導性球状フィラーを含有する層が、交互に積層した熱伝導性絶縁シートが提案されている。
特開2013−131525号公報 国際公開第2005/021428号公報 国際公開第2017/154962号公報
特許文献1〜3では、鱗片状窒化ホウ素の二次粒子である球状の窒化ホウ素が用いられている。球状の窒化ホウ素は、鱗片状窒化ホウ素が多方向を向いた状態で固定されており、球状の窒化ホウ素を用いることで鱗片状窒化ホウ素の熱伝導率の異方性が改善される。しかしながら、鱗片状窒化ホウ素を凝集させるためには、鱗片状窒化ホウ素同士を結合させるためのバインダー樹脂が必要である。バインダー樹脂として用いられる成分は、窒化ホウ素よりも熱伝導率が低いため、バインダーを用いた鱗片状窒化ホウ素は全体的な熱伝導率が低下する。また、鱗片状窒化ホウ素には多数の空隙が存在するため、緻密な充填が困難であり、窒化ホウ素の高い熱伝導性を発揮することができない。さらに、窒化ホウ素自体が、樹脂中で難分散の化合物であるため、樹脂中で鱗片状窒化ホウ素がさらに凝集して成形品の外観や樹脂物性を損ねる場合があった。
樹脂中での分散性を高める方法としては、添加剤を微粉砕して樹脂に添加する方法が知られているが、窒化ホウ素を微粉砕すると樹脂中での配向がさらに強くなって、成形品全体の熱伝導率が低下する課題があった。
従って、本発明は、窒化ホウ素を含有する無機粉末組成物であって、樹脂組成物に対して高い熱伝導率を付与することができる無機粉末組成物、及び該無機粉末組成物を含有する放熱材を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定のパラメータを有する窒化ホウ素及び球状無機フィラーを含有する無機粉末組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)10nm以上、800nm以下の平均厚みを有する鱗片状窒化ホウ素10質量%以上、90質量%以下、(B)球状無機フィラー10質量%以上、90質量%以下含有する無機粉末組成物を提供するものである。
本発明の無機粉末組成物において、(A)鱗片状窒化ホウ素のアスペクト比が、6以上、400以下であることが好ましい。
本発明の無機粉末組成物の球状無機フィラーは、0.1μm以上、30μm以下の平均粒径を有し、球状アルミナ、球状窒化アルミナ、球状シリカからなる群から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(C)樹脂成分100質量部に対し、本発明の無機粉末組成物を1質量部以上、1,000質量部以下含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(C)成分の樹脂成分として、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリラクトン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド及びエポキシ樹脂からなる群より選択される1種又は2種以上の樹脂を含有することができる。
本発明の放熱材は、本発明の樹脂組成物を用いてなる。
本発明によれば、樹脂組成物に対して優れた熱伝導性を付与する無機粉末組成物、及びその無機粉末組成物を含有する樹脂組成物を用いて熱伝導性が高い放熱材を提供することができる。
本発明について好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明において、窒化ホウ素は、窒素(N)及びホウ素(B)を構成元素として含む化合物の総称である。この窒化ホウ素の具体例は、窒化ホウ素(BN)及び窒化ホウ素炭素(BCN)等が挙げられる。
本発明の無機粉末組成物において、(A)成分の窒化ホウ素は、鱗片状の形状を有する(鱗片状)一次粒子の窒化ホウ素を表す。(A)成分の鱗片状窒化ホウ素の製造方法としては、窒化ホウ素と強い親和性を有する溶媒中に窒化ホウ素を分散させた後、この溶媒中に超音波処理を行うことで製造することができる。
(A)成分の鱗片状窒化ホウ素を製造するときに用いられる窒化ホウ素としては、六方晶系で層状構造を有する窒化ホウ素が挙げられ、市販品を用いることができる。窒化ホウ素と強い親和性を有する溶媒としては、例えば、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。
超音波処理は、任意の超音波分散機を用いて行うことができるが、ホーンタイプの超音波分散機を用いるのが好ましい。超音波の周波数は、10kHz以上、1MHz以下であることが好ましい。また、超音波の振幅は、1μm以上、100μm以下(ゼロツーピーク値)であることが好ましい。超音波の印加時間は、特に制限はないが、1分以上が好ましく、より好ましくは1分以上24時間以下である。24時間を超えると粒径が小さくなりすぎてしまう場合がある。超音波処理後、遠心分離操作を行って超音波処理液中に残った大きな粒子を除去することが好ましい。
また、任意のマイクロ波オーブンを使用して(A)成分の鱗片状窒化ホウ素を製造することができる。この場合も、窒化ホウ素と強い親和性を有する溶媒中に窒化ホウ素を溶解させた後に処理する。マイクロ波の出力が、300W以上、3,000W以下、2.4GHzの一般的なマイクロ波オーブンを使用することができる。マイクロ波の印加時間は、特に制限はないが、10秒以上が好ましく、10秒以上、10分以下がより好ましい。また、1W以上、100W以下の低エネルギーのマイクロ波を印加するものであってもよい。この場合、印加時間は、20分以上、48時間以下が好ましい。
超音波処理又はマイクロ波の印加後に、溶媒をろ別して得られた固形分を乾燥することで、層状構造の窒化ホウ素から(A)成分の鱗片状窒化ホウ素を製造することができる。
本発明の(A)成分の鱗片状窒化ホウ素の平均厚みとは、走査電子顕微鏡を用いた窒化ホウ素の画像観察により窒化ホウ素の厚みを計測し、30個以上の窒化ホウ素を用いて測定した厚みの平均値を表す。
本発明の無機粉末組成物において、(A)成分の鱗片状窒化ホウ素の平均厚みは、10nm以上、800nm以下であり、10nm以上、500nm以下が好ましく、10nm以上、300nm以下がより好ましい。鱗片状窒化ホウ素の厚みが、10nm未満は、製造することが極めて困難であり、800nmを超える場合、本発明の効果が得られない場合がある。
本発明において、(A)成分の鱗片状窒化ホウ素のアスペクト比は、電子顕微鏡を用いた窒化ホウ素の画像観察により窒化ホウ素の長径と短径の比を表し、30個以上の窒化ホウ素を用いて測定した長径と短径の比の平均値を表す。本発明において、窒化ホウ素のアスペクト比は、6以上、400以下であることが好ましく、20以上、300以下がより発明効果が顕著となるので好ましい。
本発明において、平均粒径とは、レーザー回折・光散乱法により測定された50%粒径をいう。
本発明の無機粉末組成物で使用される(A)成分の鱗片状窒化ホウ素の平均粒径は、0.1μm以上、30μm以下が好ましく、1μm以上、20μm以下がより好ましい。
本発明の無機粉末組成物において、(A)成分の鱗片状窒化ホウ素の含有量は、本発明の無機粉末組成物全量に対し、10質量%以上、90質量%以下であり、20質量%以上、80質量%以下がより好ましい。10質量%未満の場合、樹脂組成物に対して、十分な熱伝導性を付与できない場合があり、90質量%を超えると、樹脂組成物に対して充分な熱伝導性を付与できなかったり、無機粉末の流動性が悪化したりする場合がある。
本発明の無機粉末組成物において、(A)成分の鱗片状窒化ホウ素が、金属粉末、合金粉末、無水ソルビトールの脂肪酸部分エステル、チタン酸塩、ジルコン酸塩、安息香酸誘導体、アシロキシシラン、アルコキシシラン、メトキシシラン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノパルミチン酸ソルビタン、シラザン、シラノール、シラン化合物、シロキサン化合物、アルコキシ基、ヒドロキシ基若しくはSi‐H基含む重合体、或いはチタン酸塩、ジルコン酸塩、安息香酸誘導体を含む重合体、又は、これらから選択した混合物によって被覆されていてもよい。
本発明の無機粉末組成物において、無機フィラーの形状は球状であることが重要である。無機フィラーの形状は無定形状、球状、繊維状、板状に大別される。一般に、熱伝導率向上の効果が高い形状は繊維状であり、板状、球状の順に効果が下がる。本発明の無機粉末においては、無機フィラーは、樹脂への充填構造をより密にすることによって、鱗片状窒化ホウ素の凝集を防ぎ、かつ鱗片状窒化ホウ素による熱伝導の経路を確保することができるため、無機フィラーの形状は、球状であることが重要であり、繊維状や板状の無機フィラーでは、本発明の効果を得ることが困難である。
本明細書において、球状とは、円形度が、0.90以上であるものを表し、0.95以上であるものが好ましく、0.98以上であるものがより好ましい。円形度は、無機フィラーのSEM画像写真から、画像解析を用いて面積と周囲長を測定し、下記式に参入することで求めることができる。
円形度=4π×(面積)÷(周囲長)
なお、本発明における円形度は平均円形度であり、SEM画像写真から10個以上の無機フィラーの円形度を測定した数平均で表される。
本発明の無機粉末組成物に用いることができる無機フィラーとしては、窒化ホウ素を除く熱伝導性を有し、形状が球状を有するものであればよい。例えば、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化マンガン、窒化マグネシウムなどの金属窒化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭化ケイ素などの金属炭化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸金属塩、ケイ酸カルシウムなどのケイ酸金属塩等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上用いてもよい。本発明においては、アルミナ、窒化アルミニウム、シリカが好ましく、アルミナ、窒化アルミニウムがより好ましい。
本発明の無機粉末組成物において、球状無機フィラーの平均粒径は、0.1μm以上、30μm以下の範囲が好ましく、1μm以上、20μm以下の範囲がより好ましい。
本発明の無機粉末組成物において、粒径が異なる球状無機フィラーを組み合わせて用いることが好ましい。また、本発明の無機粉末組成物は、(A)成分と(B)成分からなる無機粉末組成物であってもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、非球状の無機フィラーや、鱗片状窒化ホウ素が凝集した二次粒子を含有してもよい。非球状とは、無定形状、繊維状、板状等、円形度が0.90未満の形状を表す。
本発明の無機粉末組成物における(B)成分の球状無機フィラーの含有量は、本発明の無機粉末組成物全量に対し、10質量%以上、90質量%以下であり、20質量%以上、80質量%以下がより好ましい。10質量%未満の場合、樹脂組成物に対して充分な熱伝導性を付与できなかったり、無機粉末の流動性が悪化したりする場合がある。90質量%を超えると、樹脂組成物に対して、充分な熱伝導性を付与できない場合がある。
次に、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、(C)樹脂成分に対し、(A)鱗片状窒化ホウ素、(B)球状無機フィラー、及び必要に応じその他の添加剤を添加したものが挙げられる。その添加方法は特に制限を受けず、(A)、(B)及びその他の添加剤からなる添加剤組成物を混合物として(C)樹脂成分に添加する方法、添加剤組成物を構成する各添加剤を別個に(C)樹脂成分に添加する方法、添加剤組成物の一部を高濃度で含有するマスターバッチを調製し、それを(C)樹脂成分に添加する方法、又は、添加剤組成物をペレット形状に加工してから(C)樹脂成分に添加する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に対する本発明の無機粉末の含有量は、(C)樹脂成分100質量部に対し、本発明の無機粉末組成物の含有量が、1質量部以上、1,000質量部以下であり、5質量部以上、900質量部以下がより好ましい。本発明の無機粉末組成物の含有量が1質量部未満の場合、必要な熱伝導性が得られない場合があり、1,000質量部を超えると、成形加工性に悪影響が出る場合がある。
本発明の樹脂組成物に用いることができる(C)樹脂成分としては、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリラクトン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド及びエポキシ樹脂からなる群より選択される1種又は2種以上樹脂を含有することができる。本発明においては、オレフィン系樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂が比較的安価であり、成形加工性、耐湿性、耐薬品性に優れるので好ましく用いることができる。
本発明の樹脂組成物に用いることができるオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロックまたはランダム共重合体、インパクトコポリマーポリプロピレン、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール樹脂(EVOH)等のα−オレフィン共重合体等が挙げられ、エラストマーであってもよい。本発明の樹脂組成物においては、これらの重合体を2種以上ブレンドして使用してもよく、ブロック共重合体を形成してブロックポリマー型樹脂として使用してもよく、アロイ化された樹脂として使用してもよい。また、これらのポリオレフィン系樹脂の塩素化物であってもよい。これらを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記エラストマーは、ハードセグメントとしてポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ソフトセグメントとしてエチレン−プロピレンゴム等のゴムを用いて、これらをブレンドすることにより得られるエラストマー、或いは動的架橋により得られるエラストマーが挙げられる。ハードセグメントとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンブロックコポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー等から選ばれる少なくとも1種があげられる。ソフトセグメントとしては、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、酢酸ビニルホモポリマー等が挙げられる。これら2種以上をブレンドして使用してもよい。
本発明の樹脂組成物に用いることができるエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ環を2個以上有する化合物、グリシジル基を有する化合物、脂環式エポキシ基を有する化合物、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂、カルボン酸を前駆体とするエポキシ樹脂等が挙げられる。より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノールや水添ビスフェノールA等から得られる脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物であるエポキシ化物、及びビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;及びフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。エポキシ樹脂は、アルキル基やハロゲン原子による置換体であってもよい。またこれらをウレタン化合物やイソシアネート化合物を用いて変性エポキシ樹脂にしてもよい。なお、本発明においてエポキシ樹脂とは、主剤として用いられるモノマーを表し、硬化剤を添加して硬化した硬化物ではない。
本発明の樹脂組成物にエポキシ樹脂を用いる場合、該樹脂組成物が、硬化剤、硬化促進剤及び重合開始剤を含有してもよい。硬化剤、硬化促進剤及び重合開始剤としては、例えば、一級及び二級アミン系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、チオール系硬化剤、潜在性熱硬化剤、イミダゾール系硬化剤、有機ホスフィン系硬化剤、ホスホニウム塩系硬化剤、ルイス酸硬化促進剤、三級アミン系硬化促進剤及びカチオン重合開始剤等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記一級及び二級アミン系硬化剤としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記ポリエーテルアミン類としては、例えば、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記アミド系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、脂肪族二塩基酸ポリ無水物、無水メチルハイミック酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、アルキル化テトラヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、アルケニル基で置換されたコハク酸無水物、グルタル酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記フェノール系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、tert−ブチルカテコール、tert−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、tert−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物またはポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記チオール系硬化剤としては、N,N’N”−シアヌルトリエタノールのトリスメルカプトプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールのトリスメルカプトプロピオン酸エステル、1,4−ブタノールのビス−2−メルカプトブタン酸エステル、ペンタエリスリトールのトリス−2−メルカプトブタン酸エステル、N,N‘N“−シアヌルトリエタノールのトリス−2−メルカプトブタン酸エステル等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記潜在性熱硬化剤としては、例えば、ポリアミン化合物とエポキシ樹脂とを反応させてなる分子内に活性水素を持つアミノ基を少なくとも1個有する変性アミン潜在性硬化剤及びフェノール系樹脂を含有する潜在性硬化剤、ジシアンジアミド、変性ポリアミン、ヒドラジド類、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、三フッ化ホウ素アミン錯塩、ウレア類及びメラミンが挙げられる。また、国際公開第2012/020572号公報及び特開2014−177525号公報に記載されているものが挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
カチオン重合開始剤としては、光照射又は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、オニウム塩が用いられる。
上記オニウム塩としては、例えば、[M]r+[G]r−で表される陽イオンと陰イオンの塩が挙げられる。
ここで陽イオン[M]r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、
式、[(R13Q]r+ で表すことができる。
上記R13は、炭素原子数が1以上、60以下であり、炭素原子以外の任意の原子を複数含んでいてもよい有機基である。fは1以上、5以下の整数である。f個のR13は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、R13の少なくとも1つは、芳香環を有する有機基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子或いは原子団である。また、陽イオン[M]r+中のQの原子価をqとしたとき、r=f−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
また、陰イオン[G]r−の具体例としては、一価のものとして、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオン;過塩素酸イオン、塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の無機系陰イオン;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のボレート系陰イオン;メタンスルホン酸イオン、ドデシルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸イオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸イオン、フタロシアニンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルホン酸イオン、ノナフロロブタンスルホン酸イオン、ヘキサデカフロロオクタンスルホン酸イオン、重合性置換基を有するスルホン酸イオン、特開平10−235999号公報、特開平10−337959号公報、特開平11−102088号公報、特開2000−108510号、特開2001−209969号公報、特開2001−322354号公報、特開2006−248180号公報、特開2006−297907号公報、特開平8−253705号公報、特表2004−503379号公報、特開2005−336150号公報、国際公開第2006/28006号公報等に記載されたスルホン酸イオン等の有機スルホン酸系陰イオン;オクチルリン酸イオン、ドデシルリン酸イオン、オクタデシルリン酸イオン、フェニルリン酸イオン、ノニルフェニルリン酸イオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスホン酸イオン等の有機リン酸系陰イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドイオン、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオン等が挙げられ、二価のものとしては、例えば、ベンゼンジスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
このようなオニウム塩の中で、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等の芳香族オニウム塩が本発明の樹脂組成物において好ましく用いることができる。
芳香族スルホニウム塩は、市販のものを用いることができ、例えば、WPAG−336、WPAG−367、WPAG−370、WPAG−469、WPAG−638(何れも、富士フイルム和光純薬工業株式会社)製)、CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S(何れも、サンアプロ株式会社製)、アデカアークルズSP−056、アデカアークルズSP−066、アデカアークルズSP−130、アデカアークルズSP−140、アデカアークルズSP−082、アデカアークルズSP−103、アデカアークルズSP−601、アデカアークルズSP−606、アデカアークルズSP−701、アデカアークルズSP−150、アデカアークルズSP−170(何れも、株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
上記イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、およびエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が挙げられる。
有機ホスフィン系硬化剤としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が挙げられ、ホスホニウム塩系硬化剤としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が挙げられる。
硬化促進剤として使用可能な前記ルイス酸系硬化促進剤としては、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化チタン、遷移金属のアセチルアセトナート錯体などが挙げられる。
硬化促進剤として使用可能な三級アミン系硬化促進剤としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよびエポキシ樹脂と上記三級アミン類との付加体等が挙げられる。
以上に挙げた硬化剤及び硬化促進剤を、1種のみで用いてもよく、2種以上で任意の組み合わせ及び任意の比率で混合して用いてもよい。なお、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られる物質を、エポキシ樹脂のエポキシ基と、硬化剤中のエポキシ基と反応し架橋構造を形成する反応部位との当量比で0.3以上、1.8以下の範囲となるように用いることが好ましく、0.8以上、1.5以下の範囲となるように用いることがさらに好ましく、0.9以上、1.2以下の範囲となるように用いることがより好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基や硬化剤の反応部位が残留し、所望の物性が得られないことがある。一方、一般にエポキシ樹脂の硬化促進剤として知られる物質を用いる場合は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1質量部以上、20質量部以下の範囲で用いることが好ましく、0.2質量部以上、10質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。これら硬化促進剤が少なすぎると十分な硬化が達成できなくなり、多すぎると硬化促進剤の樹脂硬化物への影響が増大し樹脂硬化物の特性が悪化する場合がある。
本発明の樹脂組成物は、加工時の粘度を適切に調整するために溶媒を含有してもよい。本発明の樹脂組成物に適用可能な溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒、含ハロゲン溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;等を挙げることができる。これらのアルコール系溶媒のいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上で組み合わせて用いてもよい。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−イソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−イソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等を挙げることができる。これらのケトン系溶媒を、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。これらのアミド系溶媒を、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
エーテル溶媒系としては、例えば、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール等を挙げることができる。これらのエーテル系溶媒を、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
エステル系溶媒としては、例えば、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等を挙げることができる。これらのエステル系溶媒を、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
脂肪族炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができる。これらの脂肪族炭化水素系溶媒を、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、イソプロピルベンセン、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−イソプロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン、テトラリン、アニソール等を挙げることができる。これらの芳香族炭化水素系溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
含ハロゲン溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、フロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を挙げることができる。これらの含ハロゲン溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記溶媒のいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上で組み合わせて用いてもよい。これらの有機溶媒の種類や配合量は、使用用途によって適宜選択すればよい。
本発明の樹脂組成物に用いることができるポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,12等の脂肪族ポリアミド;ナイロン6T、ナイロン9T等の半芳香族ポリアミド;及びポリp−フェニレンテレフタルアミド等の全芳香族ポリアミドが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、(C)樹脂成分としてゴム成分を用いることができる。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、マレイン酸変性エチレン−ブテン樹脂、水添スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
本発明の樹脂組成物において、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、接着助剤、重合禁止剤、増感剤、酸化防止剤、平滑性付与剤、配向制御剤、赤外線吸収剤、チキソ剤、帯電防止剤、消泡剤、着色剤、乳化剤、界面活性剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、硬化剤、導電性付与剤、加水分解抑制剤、中和剤、充填剤等の公知の樹脂添加剤を、公知の含有量にて、公知の使用方法で配合していてもよい。
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(8−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
上記充填剤として、本発明の(B)成分の球状無機フィラーに該当しないものを使用することができる。例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、カーボン繊維、クレー、ドロマイト、マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、セルロースナノファイバー等が好ましい。これらを単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。これらの充填剤において、平均粒径(平板状のもの)または平均繊維径(針状乃至繊維状)が5μm以下のものが好ましい。充填剤の使用量は必要に応じて適宜使用できる。
本発明の樹脂組成物は、公知の成形方法を用いて成形品を得ることができる。成形方法は任意であり、用途によって適宜選択すればよい。成形品は、樹脂組成物の硬化物であってもよい。成形品の形状に制限はなく、板状、シート状、フィルム状であってもよく、基材に塗布されたものであってもよく、基材と基材の間に存在する形で成形されたものであってもよい。
板状、シート状の成形品を製造する場合、例えば押し出し成形法、平面プレス、異形押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等の成形方法が挙げられる。また、フィルム状の成形体を製造する場合、例えば溶融押出法、溶液キャスト法、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等の成形方法が挙げられる。熱又は活性エネルギー線で硬化する樹脂組成物である場合、熱又は活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて本発明の樹脂組成物を成形してもよい。
樹脂組成物が液状である場合、塗工により成形してもよい。塗工方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンス法、ダイコーター法、コンマコーター法、グラビアコーター法、フレキソコーター法、ナイフコーター法、リバースロール法、ハケ塗り法、ディップ法、ワイヤーバーコーター法等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な加工性を有し、かつ樹脂硬化物としたときの耐熱性及び熱伝導率に優れるものであり、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能である。特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物の用途としては、多層プリント基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、LSI用チップフィル、プリプレズ、放熱材などが挙げられる。これらの中でも、本発明の樹脂組成物は、放熱材として用いることが好ましい。
本発明の放熱材は、本発明の優れた熱伝導性を利用して放熱するものであり、具体的には、グリース、接着剤、ゲル、パッド、テープ、包装材、筐体など、利用態様に対応した形状で用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>窒化ホウ素Aの製造方法
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート74質量部、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製品名「ポリエチレングリコール20000」26質量部を25℃で混合して、ポリエチレングリコールを溶解した。溶解後、窒化ホウ素(モメンティブ社製品名「PT120」)10部を添加混合して、窒化ホウ素が分散した分散媒を得た。この分散媒0.6gを0.5cmのバイアル瓶に秤量し、密栓後、マイクロウエーブ合成装置(バイオタージ・ジャパン株式会社製品名、Initiator+)を用い、バイアル瓶に対して、170℃で、2450MHz,30分間照射した。照射後、分散媒をアセトンで洗浄し、ろ別して固形分を乾燥して窒化ホウ素Aを得た。
<製造例2>窒化ホウ素Bの製造方法
上記製造の窒化ホウ素A 5質量部、水95質量部を混合してスラリーとし、遊星型ボールミル(フリッチュ社製品名「PULVERISETE 6 classic line」)を用い、該スラリーと下記記載のボール250質量部を容器内に充填し、密閉後、下記の処理条件に従って粉砕した。粉砕後、ろ別して固形分を乾燥して窒化ホウ素Bを得た。
(処理条件)
ボール:セラミック材質、直径20mm
回転数:200rpm/200rpm (公転側/自転側)
処理時間:3時間
また、本発明の評価に用いた窒化ホウ素の製品名について、下記に示す。
窒化ホウ素C:(モメンティブ社製品名「PT120」)
窒化ホウ素D:(モメンティブ社製品名「PT110」)
窒化ホウ素E:(モメンティブ社製品名「PT350」)
上記の窒化ホウ素A〜Eの粉体特性について、下記条件に従って測定した。これらの結果についてそれぞれ表1に示す。
(1)平均粒径[μm]
100mlビーカーに窒化ホウ素を0.1g秤量し、9.9gの水を加えて、超音波処理(発振周波素:36kHz,10分間)を行い、窒化ホウ素を分散させて、粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製品名「LA−950V2」)を用い、湿式法で体積平均粒径を測定した。
(2)平均厚み[nm]、アスペクト比
走査電子顕微鏡(製品名「SU5000」)を用い、窒化ホウ素粒子の長径と短径を計測し、30個以上の窒化ホウ素の短径を測定した平均値を平均厚みとし、30個以上の窒化ホウ素の長径/短径の比を測定した平均値をアスペクト比として算出した。
Figure 2021181381
本発明の評価に用いた球状無機フィラーについて下記表2に示す。また、窒化ホウ素の平均粒径を測定したときと同一条件で、球状無機フィラーの平均粒径を測定した。これらについて下記表2にそれぞれ示す。
(3)円形度
SEMの画像写真より、無機フィラーの面積と周囲長を計測し、下記式に参入して円形度を求めた。
円形度=4π×(面積)÷(周囲長)
Figure 2021181381
(エポキシ樹脂を用いた評価)
エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製品名「EP−4100」)100質量部に対し、表3〜5に記載の添加量となるように窒化ホウ素と無機フィラーの混合物(無機粉末)を配合して、三本ロールを用いて分散させた。表中のカッコ内の数字は、無機粉末に対する含有量(質量%)を表す。次に、硬化剤として、1−ベンジル−2−メチル−イミダゾール5質量部を加え、遊星ミキサーを用いて撹拌した。これらを混合して、ヒータープレスを用いて、150℃、成形荷重10kN、プレス時間1時間の条件で厚み3mmのシートを成形した。得られたシートについて、下記の条件で熱伝導率を測定した。これらの結果についてそれぞれ表3〜表5に示す。なお、比較例1−6は、窒化ホウ素を配合せずに評価を行い、比較例1−7は、球状無機フィラーを配合せずに評価を行った。
(1)熱伝導率
ホットディスク法熱物性測定装置(京都電子工業株式会社製品名「TPS−2500」)を用い、ISO 22007−2に準拠して、作成したシートの熱伝導率を測定した。熱伝導率は、厚み方向とシート面方向との熱伝導率の平均値で評価した。
Figure 2021181381
Figure 2021181381
Figure 2021181381
(ポリプロピレンを用いた評価)
ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤(株式会社ADEKA製品名「アデカスタブAO−60」)0.05質量部、中和剤として、ステアリン酸カルシウム0.05質量部及び表6〜表7に記載の添加量となるように窒化ホウ素と球状無機フィラーの混合物(無機粉末)を添加してこれを混合した。表中のカッコ内の数字は、無機粉末に対する含有量(質量%)を表す。混錬機(株式会社東洋精機製作所製品名「ラボプラストミル・マイクロ、小型セグメントミキサKF6」)を用い、200℃で10分間混錬後、ヒータープレスを用いて、200℃、成形荷重10kN、プレス時間10分間の条件で厚み3mmのシートを成形した。得られたシートについて実施例1−1と同様の方法で熱伝導率を評価した。これらの結果についてそれぞれ下記表6に示す。なお、比較例4−3は、球状無機フィラーを配合せずに評価を行い、比較例4−4は、窒化ホウ素を配合せずに評価を行った。
Figure 2021181381
(ポリアミドを用いた評価)
ポリアミド樹脂100質量部に対し、表7に記載の添加量となるように窒化ホウ素及び無機フィラーの混合物(無機粉末)を配合して、これを混合した。表中のカッコ内の数字は、無機粉末に対する含有量(質量%)を表す。混錬機(株式会社東洋精機製作所製品名「ラボプラストミル・マイクロ、小型セグメントミキサKF6」)を用い、260℃で10分間混錬後、ヒータープレスを用いて、260℃、成形荷重10kN、プレス時間15分間の条件で厚み3mmのシートを成形した。得られたシートについて、実施例1−1と同様の方法で熱伝導率を測定した。これらの結果についてそれぞれ下記表7に示す。なお、比較例5−3は、球状無機フィラーを配合せずに評価を行い、比較例5−4は、窒化ホウ素を配合せずに評価を行った。
Figure 2021181381
(PBTを用いた評価)
ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、表8に記載の添加量となるように窒化ホウ素及び無機フィラーの混合物(無機粉末)を配合して、これを混合した。表中のカッコ内の数字は、無機粉末に対する含有量(質量%)を表す。混錬機(株式会社東洋精機製作所製品名「ラボプラストミル・マイクロ、小型セグメントミキサKF6」)を用い、250℃で10分間混錬後、ヒータープレスを用いて、250℃、成形荷重10kN、プレス時間15分間の条件で厚み3mmのシートを成形した。得られたシートについて、実施例1−1と同様の方法で熱伝導率を測定した。これらの結果についてそれぞれ下記表8に示す。なお、比較例6−3は、球状無機フィラーを配合せずに評価を行い、比較例6−4は、窒化ホウ素を配合せずに評価を行った。
Figure 2021181381
(PPSを用いた評価)
ポリフェニレンスルフィド樹脂100質量部に対し、表9に記載の添加量となるように窒化ホウ素及び無機フィラーの混合物(無機粉末)を配合して、これを混合した。表中のカッコ内の数字は、無機粉末に対する含有量(質量%)を表す。混錬機(株式会社東洋精機製作所製品名「ラボプラストミル・マイクロ、小型セグメントミキサKF6」)を用い、320℃で10分間混錬後、ヒータープレスを用いて、320℃、成形荷重10kN、プレス時間15分間の条件で厚み3mmのシートを成形した。得られたシートについて、実施例1−1と同様の方法で熱伝導率を測定した。これらの結果についてそれぞれ下記表9に示す。なお、比較例7−3は、球状無機フィラーを配合せずに評価を行い、比較例7−4は、窒化ホウ素を配合せずに評価を行った。
Figure 2021181381
表3〜表9より、平均厚みが10nm以上、800nm以下の範囲外である鱗片状窒化ホウ素や、球状窒化ホウ素を用いた場合の樹脂組成物の熱伝導率は満足できるものではなかった。また、窒化ホウ素のみ、あるいは、球状無機フィラーのみ含有する樹脂組成物の熱伝導率は満足できるものではなかった。
これらに対し、本発明の無機粉末組成物を用いて成形した場合、樹脂組成物に対して高い熱伝導率を付与できることが確認できた。

Claims (6)

  1. (A)10nm以上、800nm以下の平均厚みを有する鱗片状窒化ホウ素10質量%以上、90質量%以下、(B)球状無機フィラー10質量%以上、90質量%以下を含有する無機粉末組成物。
  2. (A)鱗片状窒化ホウ素のアスペクト比が、6以上、400以下である、請求項1に記載の無機粉末組成物。
  3. (B)球状無機フィラーが、0.1μm以上、30μm以下の平均粒径を有し、球状アルミナ、球状窒化アルミナ及び球状シリカからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、請求項1又は2に記載の無機粉末組成物。
  4. (C)樹脂成分100質量部に対し、請求項1〜3の何れか一項に記載の無機粉末組成物を1質量部以上、1,000質量部以下含有する樹脂組成物。
  5. (C)樹脂成分が、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリラクトン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド及びエポキシ樹脂からなる群より選択される1種又は2種以上を含有する、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の樹脂組成物を用いてなる放熱材。
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