JP6683091B2 - 窒化ホウ素粒子集合体を含む有機無機コンポジット材料の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)窒化ホウ素粒子集合体を含む有機無機コンポジット材料の製造方法であって、
(i)窒化ホウ素粒子をシランカップリング剤で表面処理して、表面処理窒化ホウ素粒子を調製するステップと、
(ii)(i)のステップで調製した表面処理窒化ホウ素粒子を造粒させて、窒化ホウ素粒子集合体を調製するステップと、
(iii)(ii)のステップで調製した窒化ホウ素粒子集合体をマトリクス樹脂中に混合分散させて、有機無機コンポジット材料を調製するステップと
を含む、前記方法。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の窒化ホウ素粒子集合体を含む有機無機コンポジット材料の製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明の(i)のステップでは、窒化ホウ素粒子をシランカップリング剤で表面処理して、表面処理窒化ホウ素粒子を調製する。
本発明の(i)のステップにおける表面処理を湿式処理で実施する場合、表面処理は、例えば、室温(1℃〜30℃)で、溶媒中にシランカップリング剤及び窒化ホウ素粒子を添加して撹拌混合して懸濁液を調製し、懸濁液に触媒を添加して加熱撹拌処理して表面処理反応を行い、その後冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥を経ることにより実施することができる。
図2の実施形態では、まず、反応容器中に溶媒としてのエタノールを入れ、そこにシランカップリング剤を添加し、10分間撹拌混合する。その後、シランカップリング剤のエタノール溶液に窒化ホウ素粒子を添加し、さらに1時間撹拌混合して懸濁液を調製する。続いて、懸濁液に触媒として例えば塩酸(5mol/L)を添加し、撹拌混合後、懸濁液を80℃の液温になるまで加熱し、80℃で1時間加熱撹拌処理する。加熱撹拌処理終了後、反応懸濁液を冷却、ろ過してケーキを得て、ケーキをろ液のpHが7になるまでをエタノールにより洗浄する。洗浄後、ケーキを常温常圧下、で24時間加熱乾燥することにより表面処理窒化ホウ素粒子を得る。
本発明の(ii)のステップでは、(i)のステップで調製した表面処理窒化ホウ素粒子を造粒させて、窒化ホウ素粒子集合体を調製する。
本発明の(ii)のステップにおける造粒を湿式処理で実施する場合、造粒は、例えば、室温(1℃〜30℃)で、溶媒中に表面処理窒化ホウ素粒子を添加して撹拌混合して分散液を調製し、その後各種造粒法で造粒することにより実施することができる。
図3の実施形態では、まず、反応容器中に溶媒としてのエタノール及び水の混合溶媒と、結合剤としてのシランカップリング剤とを添加し、5分〜15分間撹拌混合する。その後、表面処理窒化ホウ素粒子を添加し、さらに1時間〜2時間撹拌混合して分散液を調製する。続いて、分散液を60℃〜100℃に加熱し、0.5時間〜2時間加熱撹拌処理する。加熱撹拌処理終了後、反応分散液を冷却し、各種造粒法により造粒して、窒化ホウ素粒子集合体を得る。
本発明の(iii)のステップでは、(ii)のステップで調製した窒化ホウ素粒子集合体をマトリクス樹脂中に混合分散させて、有機無機コンポジット材料を調製する。
実施例及び比較例において使用した原料を表1にまとめる。
(i)窒化ホウ素粒子をシランカップリング剤で表面処理して、表面処理窒化ホウ素粒子を調製するステップ
下記実施例及び比較例の有機無機コンポジット材料のために、(i)のステップを、図2に基づいて実施した。
下記実施例の有機無機コンポジット材料のために、(ii)のステップを、図3に基づいて実施した。
表面処理窒化ホウ素粒子の量が、分散液総重量に対して、10重量%になるよう分散液を調整した。次に、150℃に加熱したテフロンコート鉄プレートに対し、20cm離れた距離から分散液をスプレー噴霧した。噴霧は、プレート一面が乾燥粉末で薄く覆われる状態まで行った。その後、加熱したプレートの温度で、1時間乾燥し、窒化ホウ素粒子集合体を回収した。この作業を繰り返すことでサンプルを得た。
表面処理窒化ホウ素粒子の量が、分散液総重量に対して、20重量%になるよう分散液を調整した。次に、有機溶媒対応の四流体ノズルを有する噴霧装置を用いて分散液を噴霧した。噴霧装置としては、藤崎電機株式会社製のMDL−015MGCを使用した。噴霧条件は、分散液の送液を5g/分に設定し、ガス流量を13L/分に設定し、入口温度を150℃又は200℃に設定した。ガスとしては、窒素ガスを使用した。噴霧・乾燥後、バグフィルターにより窒化ホウ素粒子集合体を回収し、サンプルを得た。
(ii)のステップで調製したサンプルをポリビニルアルコール樹脂中に混合分散させて、実施例及び比較例の有機無機コンポジット材料を調製した。ポリビニルアルコール樹脂の混合分散条件は以下の通りであった。
関東化学株式会社製の重量平均分子量が500であるポリビニルアルコールをアセトンで希釈することにより、ポリビニルアルコールの濃度が、溶液総重量に対して、30重量%になるようにポリビニルアルコール溶液を調製した。ポリビニルアルコール溶液と、サンプルとを、体積比がポリビニルアルコール:サンプル=50:50になるように秤量して、サンプルをポリビニルアルコール溶液に混合し、スラリーを得た。得られたスラリーをスチレン製の容器に広げ、室温で1日、さらに50℃で1時間乾燥させて、シート状の有機無機コンポジット材料を得た。
III−1.見掛け密度測定
(iii)のステップで得られたシート状の有機無機コンポジット材料の重量及びその外寸から計算した体積から、各有機無機コンポジット材料の見掛け密度を求めた。
窒化ホウ素粒子の真密度、シランカップリング剤の真密度及びポリビニルアルコールの真密度から、以下の計算式にしたがって、有機無機コンポジット材料の真密度を計算した。
有機無機コンポジット材料の真密度(g/cm3)={窒化ホウ素粒子の真密度1.9(g/cm3)}×(窒化ホウ素粒子の割合)+{シランカップリング剤の真密度[3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1.07(g/cm3)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン:1.00(g/cm3)]}×(シランカップリング剤の割合)+{ポリビニルアルコールの真密度1.19(g/cm3)}×{ポリビニルアルコールの割合(0.5)}
有機無機コンポジット材料の相対密度(%)=(有機無機コンポジット材料の見掛け密度)÷(有機無機コンポジット材料の真密度)×100
II.(iii)のステップで得られたシート状の有機無機コンポジット材料を、寸法が1cm×1cm×1cmになるように切りだして熱拡散率評価用サンプルを得た。得られた熱拡散率評価用サンプルについて、NETZSCH製のLFA467を使用して、パルスレーザーにより、試料垂直方向の熱拡散率を評価した。各サンプルは3回繰り返し測定し、その平均値を各サンプルの熱拡散率とした。
有機無機コンポジット材料の比熱{J/(g・K)}={窒化ホウ素粒子の比熱0.8J/(g・K)}×{窒化ホウ素粒子の割合(0.5)}+{ポリビニルアルコールの比熱1.68J/(g・K)}×{ポリビニルアルコールの割合(0.5)}=1.24
熱伝導率{W/(m・K)}=熱拡散率(mm2/s)×比熱{J/(g・K)}×見掛け密度(g/cm3)
G:四流体ノズルによるスプレー噴霧法で造粒して得られた窒化ホウ素粒子集合体のサンプル。後ろの数字は、入口温度の設定温度(G−150は、150℃処理であり、G−200は、200℃処理である)。
S:スプレー噴霧法で造粒して得られた窒化ホウ素粒子集合体のサンプル。
NR:シランカップリング剤を加えて撹拌したのみのサンプル。
II.(i)のステップで得られた表2のE−2の表面処理窒化ホウ素粒子を、静電噴霧法により造粒させて、窒化ホウ素粒子集合体を調製し、得られた窒化ホウ素粒子集合体のSEM画像を測定した。静電噴霧法の条件は以下の通りであった。
15.0gの表面処理窒化ホウ素粒子E−2と、40.0gのエタノールと、15.0gの水とを混合して、E−2の量が、分散液総重量に対して、21重量%になるよう分散液を調整した。0.30gの分散液と2.70gのエタノールとを混合することで分散液を10倍に希釈し、静電噴霧用の分散液を調製した。次に、シリンジ針端を正極として、対極にはアルミ箔を用い接地した。シリンジ針端−アルミ箔間は、5cmに設定した。その後、シリンジから、0.1mL/分の速度で分散液を供給し、印加電圧を、15kVに調整して、15分間静電噴霧を行い、窒化ホウ素粒子集合体を得た。
Claims (2)
- 窒化ホウ素粒子集合体を含む有機無機コンポジット材料の製造方法であって、
(i)窒化ホウ素粒子をシランカップリング剤で表面処理して、表面処理窒化ホウ素粒子を調製するステップと、
(ii)(i)のステップで調製した表面処理窒化ホウ素粒子にさらにシランカップリング剤を添加して加熱撹拌処理を実施し、その後、造粒させて、窒化ホウ素粒子集合体を調製するステップと、
(iii)(ii)のステップで調製した窒化ホウ素粒子集合体をマトリクス樹脂中に混合分散させて、有機無機コンポジット材料を調製するステップと
を含む、前記方法。 - (ii)のステップにおいて、造粒が静電噴霧法により実施される、請求項1に記載の方法。
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