JP3867522B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップを封止するために用いられるエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信用途の高周波部品を製造するにあたっては、近年において高密度実装化が進んでいる。例えば、ベアチップやチップコンデンサ等の複数個の半導体チップを、高密度に1つのセラミック基板等の基板に搭載すると共に、それぞれ半田付けで結線することによって半導体装置を製造し、この半導体装置を1つのモジュールとして扱い、これを本基板であるマザーボードに接続することが行われている。そして、上記の半導体装置を製造する際には、半導体チップを外部環境から保護するために、これまでは金属によるハーメチックシール(気密封止)が主として行われてきており、現在も多用されている。
【0003】
しかし、ハーメチックシールでは半導体装置を薄型にしたり小型にしたりするのが困難であり、このため現在では、半導体装置の薄型化や小型化に容易に対応できる樹脂封止が主流となっている。しかもこの樹脂封止は、ハーメチックシールと比較して、生産性に優れると共にコスト的にも有利であるという利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来からある封止材料を用いて、図2(a)に示すように樹脂封止した半導体装置1にあっては、これをマザーボード(図示省略)に接続する際に、以下のような問題が生じるものであった。すなわち、上記の半導体装置1とマザーボードとは、通常リフロー半田付けによって接続されるものであり、この工程において、両者は半田の溶融温度以上の温度環境下に晒されることになる。すると、両者を接続するための半田が溶融するに従い、半導体装置1内部において半導体チップ4と基板3とを接合していた半田5も再び溶融することになる。このとき図2(a)に示すように、半田5が熱膨張を起こし、これによって矢印に示すような応力が発生するが、樹脂封止されていると、半田5の大部分が封止樹脂2で覆われているので、応力の逃げ場を十分に確保することができなくなる。このため熱膨張した半田5が、図2(b)に示すように、半導体チップ4と基板3との間の隙間6や半導体チップ4と封止樹脂2との界面に無理に浸入することになり、最終的にショートを発生させるおそれがあるという問題があった。この問題は例えば、半導体装置1の信頼性試験において、前処理として吸湿処理を行った後、リフロー半田付けの工程を3回繰り返す際に発生している。
【0005】
一方、上記のような問題は、半導体装置を樹脂によって封止することのない、ハーメチックシール等の封止では生じないものである。
【0006】
さらに、最近では環境問題に配慮して、半田としては、いわゆるPbフリー半田が多用されているが、この半田は従来よりも溶融温度が高いものであるため、リフロー半田付け時におけるピーク温度が260℃程度まで上昇する傾向にあり、なおさら、樹脂封止した半導体装置が上記のようにしてショートを引き起こす可能性が高まるものである。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、薄型化や小型化に適し、生産性にも優れた樹脂封止を行うにあたって、半田が再溶融しても、最終的にショートを発生させないようにすることができるエポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るエポキシ樹脂組成物は、基板3に搭載されると共に半田5で結線される半導体チップ4を封止するためのエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シリコーン成分、無機フィラーを必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、JIS K 6911に基いて測定される硬化物の曲げ弾性率が0.5〜3.0GPaであることを特徴とするものである。
また請求項1の発明は、無機フィラーとして、平均粒径が1〜20μm、かつ無機フィラー全量に対して98質量%以上のものが粒径50μm以下であるものを用いて成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項の発明は、JIS K 6911に基いて測定される硬化物の曲げ強度が20〜50MPaであることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項の発明は、硬化物のガラス転移温度が100〜150℃であることを特徴とするものである。
また請求項1の発明は、ガラス転移温度以下の温度における硬化物の線膨張係数が25〜80ppmであることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項の発明は、請求項1において、シリコーン成分をエポキシ樹脂組成物全量に対して20〜60質量%含有して成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項の発明は、請求項1又は2において、シリコーン成分として、平均粒径が0.5〜30μm、かつ最大粒径が50μm以下であるものを用いて成ることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、エポキシ樹脂として、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂とビフェニル骨格型エポキシ樹脂のうち少なくとも一方をエポキシ樹脂全量に対して5〜80質量%含有するものを用いて成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、硬化促進剤として、イミダゾール類をエポキシ樹脂全量に対して0.2〜5質量%含有するものを用いて成ることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項に係る半導体装置は、基板3に搭載されると共に半田5で結線される半導体チップ4を請求項1乃至のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物で封止して成ることを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シリコーン成分、無機フィラーを必須成分とするものであり、まずこれらの成分について説明する。
【0020】
本発明においてエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等を用いることができる。そして、エポキシ樹脂の配合量は、エポキシ樹脂組成物全量に対して10〜20質量%であるのが好ましく、特にこのとき、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂とビフェニル骨格型エポキシ樹脂のうち少なくとも一方をエポキシ樹脂全量に対して5〜80質量%含有しておくのが好ましい。このようにしておくと、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率、曲げ強度、及びガラス転移温度のそれぞれを、後述する範囲内に設定するのが容易となり、しかもガラス転移温度に関しては、この範囲内において、より高い値を得ることができるものである。しかし、上記のナフタレン骨格型エポキシ樹脂やビフェニル骨格型エポキシ樹脂の配合量がエポキシ樹脂全量に対して5質量%未満であると、ガラス転移温度を高めたり、所望の範囲内に設定したりするのが困難となり、硬化物として十分な機械的強度を得ることができないおそれがあり、逆に80質量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の粘度が大幅に上昇し、作業性を損なうおそれがある。
【0021】
また硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、4−メチルヘキサヒドロフタル酸等の酸無水物を用いることができる。そして、硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物全量に対して7〜17質量%であるのが好ましい。
【0022】
また硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、イミダゾール類を用い、このイミダゾール類をエポキシ樹脂全量に対して0.2〜5質量%含有しておくのが好ましい。このようにしておくと、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率、曲げ強度、ガラス転移温度、及びガラス転移温度以下の温度における線膨張係数のそれぞれを、後述する範囲内に設定するのが容易となるものである。そしてこの際、特に100〜150℃で1〜3時間程度の加熱によって、エポキシ樹脂組成物を硬化させると、上記の各硬化物特性を所望の範囲に設定するのが、より容易となる。しかし、イミダゾール類の配合量がエポキシ樹脂全量に対して0.2質量%未満であったり、逆に5質量%を超えたりすると、上記の各硬化物特性を所望の範囲に設定するのが困難となるおそれがある。
【0023】
またシリコーン成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーンパウダーを用いることができる。そしてシリコーン成分は、エポキシ樹脂組成物全量に対して20〜60質量%含有しておくのが好ましい。このようにしておくと、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率、曲げ強度、及びガラス転移温度のそれぞれを、後述する範囲内に設定するのが容易となるものである。しかし、シリコーン成分が20質量%未満であると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率が後述する範囲よりも高くなり、本発明の課題を解決することができなくなるおそれがあり、逆に60質量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ強度を後述する範囲内に収めるのが困難となり、半田の熱膨張による応力や、吸湿処理によって吸収された水分が気化膨張する際の応力を十分に緩衝することができず、硬化物にクラックが発生するおそれがある。
【0024】
さらにシリコーン成分としては、平均粒径が0.5〜30μm、かつ最大粒径が50μm以下であるものを用いるのが好ましい。かかるシリコーン成分を用いると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率を、後述する範囲内に設定しつつ、硬化物にクラックが発生するのを防止することができる程度の曲げ強度を確保することができるものである。より好ましい平均粒径は0.5〜10μmである。しかし、平均粒径が0.5μm未満であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が上昇し、封止作業が非常に困難になるおそれがある。逆に平均粒径が30μmを超えると、シリコーン成分の配合量を上述の範囲に設定することによって、硬化物の曲げ弾性率を後述する範囲内に設定できたとしても、硬化物の曲げ強度は、後述する範囲内に収めるのが困難となり、半田の熱膨張による応力や、吸湿処理によって吸収された水分が気化膨張する際の応力を十分に緩衝することができず、硬化物にクラックが発生するおそれがある。また、最大粒径が50μmを超えると、上記のようなクラックの現象を起こす起点となり、好ましくない。
【0025】
また無機フィラーとしては、例えば、溶融シリカを用いることができる。そして無機フィラーとしては、平均粒径が1〜20μm、かつ無機フィラー全量に対して98質量%以上のものが粒径50μm以下であるものを用いる。より好ましくは、平均粒径が1〜10μm、かつ無機フィラー全量に対して98質量%以上のものが粒径30μm以下であるものを用いることである。かかる無機フィラーを用いると、1つのモジュールとしての半導体装置において、半導体チップと基板との間の狭い隙間にエポキシ樹脂組成物が浸入し易くなり、空隙がすべてこのエポキシ樹脂組成物で充填され、再溶融した半田が浸入する余地を無くすことができ、最終的にショートを防止するのが可能となるものである。しかし、平均粒径が1μm未満であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が大幅に上昇し、作業性を損なうおそれがあり、逆に平均粒径が20μmを超えると、半導体チップと基板との間の狭小な空間に、エポキシ樹脂組成物を十分に充填することができないおそれがある。なお、無機フィラーの配合量は、エポキシ樹脂組成物全量に対して10〜75質量%であるのが好ましい。
【0026】
そして、上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シリコーン成分、無機フィラーを配合し、これをミキサーやブレンダー等で均一に混合した後、ニーダーやロールで加熱混練することによって、エポキシ樹脂組成物を調製することができる。このようにして調製したエポキシ樹脂組成物は通常液状であって、そのまま用いることができるが、さらに適当な有機溶媒を加えて希釈することによって、ワニスにすることもできる。
【0027】
この後、上記のようにして調製したエポキシ樹脂組成物を用いて半導体チップを封止することによって、半導体装置を製造することができる。例えば、図1に示すように、基板3の上にベアチップやチップコンデンサ等の半導体チップ4を搭載すると共に半田5で結線し、この上にエポキシ樹脂組成物をポッティング等で封止成形することによって、半導体チップ4をエポキシ樹脂組成物からなる封止樹脂2で封止した半導体装置1を製造することができるものである。図1に示す半導体装置1は、基板3の片面を封止したタイプのものであるが、これに限定されるものではない。
【0028】
このようにして製造された半導体装置1にあって、本発明では封止樹脂2であるエポキシ樹脂組成物の硬化物について、JIS K 6911に基いて測定される曲げ弾性率は0.5〜3.0GPaである。好ましくは0.5〜2.0GPaであり、より好ましくは0.5〜1.3GPaである。封止樹脂2の曲げ弾性率が上記のような範囲にあると、リフロー半田付けによって半導体装置1をマザーボード(図示省略)に接続するにあたって、半導体装置1の内部にある半田5が再溶融して熱膨張し、図2(a)の矢印で示すような、半田5からその周囲に向かって応力が発生しても、半田5の大部分を覆っている封止樹脂2がこの応力を緩衝することになり、半田5が無理に半導体チップ4と基板3との間の隙間6に浸入したり、半導体チップ4と封止樹脂2との界面に浸入したりするのを防止することができるものである。このため、半導体装置1の内部にある半田5は、再溶融しても、初めの位置に存在し続け、不要な箇所へ移動することがなくなり、最終的にショートを起こすことがなくなるものである。しかし、封止樹脂2であるエポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率が0.5GPa未満であると、室温近辺での実使用環境下においても機械的強度を得ることができず、損傷を受け易くなるものであり、逆に曲げ弾性率が3.0GPaを超えると、半田5の熱膨張による応力を吸収することができず、リフロー加熱を繰り返すたびに図2(b)に示すように、溶融した半田5が無理に半導体チップ4と基板3との間の隙間6に浸入したり、半導体チップ4と封止樹脂2との界面に浸入したりして拡がり、半導体チップ4と基板3とを複数箇所で電気的に接合していた半田5同士が結合し、最終的にショートを引き起こすものである。
【0029】
また、封止樹脂2であるエポキシ樹脂組成物の硬化物について、JIS K 6911に基いて測定される曲げ強度は20〜50MPaである。封止樹脂2の曲げ強度がこのような範囲にあると、半導体装置1において、半田5の熱膨張による応力や、吸湿処理によって吸収された水分が気化膨脹する際の応力に抵抗することができ、クラックが発生するのを防止することができるものである。しかし、封止樹脂2であるエポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ強度が20MPa未満であると、上記のような効果を十分に得ることができないおそれがあり、逆に50MPaを超えると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率が高くなりやすく、後述する範囲内に収めるのが困難となるおそれがある。
【0030】
また、封止樹脂2であるエポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度は100〜150℃である。封止樹脂2のガラス転移温度がこのような範囲にあると、この封止樹脂2は、室温近辺での実使用環境下においてはガラス状領域にあって、機械的強度を十分に確保することができるのはもちろん、温度サイクル試験においても高い信頼性を得ることができるものである。しかし、封止樹脂2であるエポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が100℃未満であると、ガラス状領域からゴム状領域に近くなって、十分な機械的強度を得ることができなくなるおそれがあり、逆に150℃を超えると、高い硬度を得ることはできるが、十分な靭性を得るのが困難となり、脆弱になるおそれがある。
【0031】
さらに、ガラス転移温度以下の温度における、封止樹脂2であるエポキシ樹脂組成物の硬化物の線膨張係数は25〜80ppmである。その理由は、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率、曲げ強度、及びガラス転移温度のそれぞれを、上述した範囲内に設定するのが容易となるためであり、結果としてショートやクラックの発生を防止することができるためである。しかし、エポキシ樹脂組成物において無機フィラーの比率を増量するなどして、上記の線膨張係数を25ppm未満にすると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率が後述する範囲よりも高くなり、本発明の課題を解決することができなくなるおそれがある。逆に上記の線膨張係数が80ppmを超えると、半導体装置1において、封止樹脂2が半導体チップ4や基板3から剥離し易くなり、リフロー加熱等によって再溶融した半田5が浸入する空隙を生じさせるおそれがある。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0033】
(実施例1〜及び比較例1〜
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である油化シェルエポキシ(株)製「エピコート828」(エポキシ当量189)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である油化シェルエポキシ(株)製「エピコート807」(エポキシ当量169)、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂である大日本インキ化学工業(株)製「HP4032D」、ビフェニル骨格型エポキシ樹脂である油化シェルエポキシ(株)製「YX4000F」を用いた。
【0034】
また硬化剤として、下記の式(A)で示される酸無水物、すなわち4−メチルヘキサヒドロフタル酸である新日本理化(株)製「MH−700」(水酸基当量166)の酸無水物を用いた。
【0035】
【化1】
Figure 0003867522
【0036】
また硬化促進剤として、イミダゾール類である旭化成エポキシ(株)製「HX−3088」を用いた。
【0037】
またシリコーン成分として、シリコーンパウダーである東レダウコーニングシリコーン(株)製「トレフィルE601」(平均粒径5μm、最大粒径10μm)を用いた。
【0038】
また無機フィラーとして、溶融シリカである(株)トクヤマ製「SE15」(平均粒径15μm、98質量%以上のものが粒径45μm以下)を用いた。
【0039】
そして、各成分を表1に示す配合量で配合し、これをミキサーで120分間混合して均一化した後、三本ロールで混練させて、エポキシ樹脂組成物からなる液状の成形材料を調製した。その後、この成形材料について以下のような測定を行った。
【0040】
(曲げ弾性率)
曲げ弾性率の測定は、JIS K 6911に基いて行った。
【0041】
(曲げ強度)
曲げ強度の測定は、JIS K 6911に基いて行った。
【0042】
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度の測定は、ディラトメータ法に基いて行った。
【0043】
(線膨張係数)
ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数の測定は、ディラトメータ法に基いて行った。
【0044】
(吸湿処理後のリフロー評価)
実装部品が半田接続されて搭載された半導体装置(セラミック基板、10mm×13mm)を、上記のようにして得た液状の成形材料を用いて封止し硬化させた。次に、この封止した半導体装置を温度85℃、湿度60%の雰囲気下で168時間吸湿処理した後、リフロー加熱(ピーク温度260℃)を3回繰り返した。その後、外観検査によりクラックの有無を、電気導通検査によりショートの有無を確認し、ショートやクラック等の不良モードがみられなかったものを「○」、みられたものを「×」と判定した。また、それぞれの不良モードの発生率(%)を表1の吸湿処理後のリフロー評価の欄に示す。なお、上記の試験は、JEDEC STANDARD Test Method A112-A Moisture-Induced Stress Sensitivity for Plastic Surface Mount Deviceに基いて行ったものである。
【0045】
【表1】
Figure 0003867522
【0046】
表1にみられるように、各実施例のものはいずれもショート及びクラックの発生率が0%であって、不良モードがみられないことが確認される。
【0047】
これに対し、比較例1及び2のものは封止樹脂の曲げ弾性率が大きすぎて、半田の熱膨張による応力を十分に吸収することができず、ショートが発生したことが確認され、また比較例3のものは封止樹脂の曲げ弾性率及び曲げ強度が小さすぎて、十分な機械的強度を得ることができず、クラックが発生したことが確認される。
【0048】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シリコーン成分、無機フィラーを必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、JIS K 6911に基いて測定される硬化物の曲げ弾性率が0.5〜3.0GPaであるので、リフロー加熱で半導体装置内の半田が再溶融し応力が発生しても、半田の周囲にある硬化物がこの応力を緩衝し、半田が不要な箇所へ移動するのを阻止してショートの発生を防止することができるものである。
また請求項1の発明は、無機フィラーとして、平均粒径が1〜20μm、かつ無機フィラー全量に対して98質量%以上のものが粒径50μm以下であるものを用いているので、半導体装置において、半導体チップと基板との間の狭い隙間にエポキシ樹脂組成物が浸入し易くなり、空隙がすべてこのエポキシ樹脂組成物で充填され、再溶融した半田が浸入する余地を無くすことができ、最終的にショートが発生するのを防止することができるものである。
【0049】
また請求項の発明は、JIS K 6911に基いて測定される硬化物の曲げ強度が20〜50MPaであるので、半田の熱膨張による応力や水分の気化膨張による応力に抵抗して、クラックが発生するのを防止することができるものである。
【0050】
また請求項の発明は、硬化物のガラス転移温度が100〜150℃であるので、室温近辺での実使用環境下において機械的強度を確保することができると共に、温度サイクル試験においても高い信頼性を得ることができるものである。
また請求項1の発明は、ガラス転移温度以下の温度における硬化物の線膨張係数が25〜80ppmであるので、硬化物の曲げ弾性率、曲げ強度、及びガラス転移温度のそれぞれを、上述した範囲内に設定するのが容易となり、結果としてショートやクラックの発生を防止することができるものである。
【0051】
また請求項の発明は、シリコーン成分をエポキシ樹脂組成物全量に対して20〜60質量%含有しているので、硬化物の曲げ弾性率、曲げ強度、及びガラス転移温度のそれぞれを、上述した範囲内に設定するのが容易となり、結果としてショートの発生を防止することができるものである。
【0052】
また請求項の発明は、シリコーン成分として、平均粒径が0.5〜30μm、かつ最大粒径が50μm以下であるものを用いているので、硬化物の曲げ弾性率を上述した範囲内に設定しつつ、硬化物にクラックが発生するのを防止することができる程度の曲げ強度を確保することができるものである。
【0055】
また請求項の発明は、エポキシ樹脂として、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂とビフェニル骨格型エポキシ樹脂のうち少なくとも一方をエポキシ樹脂全量に対して5〜80質量%含有するものを用いているので、硬化物の曲げ弾性率、曲げ強度、及びガラス転移温度のそれぞれを、上述した範囲内に設定するのが容易となり、結果としてショートやクラックの発生を防止することができるものであり、しかもガラス転移温度に関しては、この範囲内において、より高い値を得ることができるものである。
【0056】
また請求項の発明は、硬化促進剤として、イミダゾール類をエポキシ樹脂全量に対して0.2〜5質量%含有するものを用いているので、硬化物の曲げ弾性率、曲げ強度、ガラス転移温度、及びガラス転移温度以下の温度における線膨張係数のそれぞれを、上述した範囲内に設定するのが容易となり、結果としてショートやクラックの発生を防止することができるものである。
【0057】
また請求項に係る半導体装置は、請求項1乃至のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物で半導体チップを封止しているので、リフロー加熱で半導体装置内の半田が再溶融し応力が発生しても、半田の周囲にある硬化物がこの応力を緩衝し、半田が不要な箇所へ移動するのを阻止してショートの発生を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来例を示すものであり、(a)及び(b)は断面図である。
【符号の説明】
1 半導体装置
4 半導体チップ

Claims (6)

  1. 基板に搭載されると共に半田で結線される半導体チップを封止するためのエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シリコーン成分、無機フィラーを必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、無機フィラーとして、平均粒径が1〜20μm、かつ無機フィラー全量に対して98質量%以上のものが粒径50μm以下であるものを用いると共に、JIS K 6911に基いて測定される硬化物の曲げ弾性率が0.5〜3.0GPaであり、JIS K 6911に基いて測定される硬化物の曲げ強度が20〜50MPaであり、硬化物のガラス転移温度が100〜150℃であり、ガラス転移温度以下の温度における硬化物の線膨張係数が25〜80ppmであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. シリコーン成分をエポキシ樹脂組成物全量に対して20〜60質量%含有して成ることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. シリコーン成分として、平均粒径が0.5〜30μm、かつ最大粒径が50μm以下であるものを用いて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂として、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂とビフェニル骨格型エポキシ樹脂のうち少なくとも一方をエポキシ樹脂全量に対して5〜80質量%含有するものを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 硬化促進剤として、イミダゾール類をエポキシ樹脂全量に対して0.2〜5質量%含有するものを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 基板に搭載されると共に半田で結線される半導体チップを請求項1乃至5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物で封止して成ることを特徴とする半導体装置。
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