JPWO2006035756A1 - 近赤外光吸収材料及び積層体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、長時間にわたって光を照射された場合であっても析出物等を生じることが少なく、近赤外光吸収特性及び耐光性の両方に優れる中間膜等に適用可能な近赤外光吸収材料、シート状成形物及び積層体を提供することを目的とする。本発明の好適な実施形態に係る積層体(合わせガラス)は、一対の透光性基板1と、この一対の透光性基板1に挟持された中間膜2(近赤外光吸収層)とを備えている。この中間膜2は、重合度が800〜2300であるポリビニルブチラール樹脂と、銅イオンとを含有する近赤外光吸収材料からなるものである。

Description

本発明は、近赤外光吸収材料及び積層体、特に、近赤外光吸収特性を有する合わせガラスに適用可能な近赤外光吸収材料及び積層体に関する。
窓材等に用いるための光学部材としては、ガラス等からなる一対の透光性基板の間に、ポリビニルアセタール樹脂やアクリル樹脂等からなる中間膜を挟んだ構造の合わせガラスが知られている。このような合わせガラスは、高強度、高耐久性等の優れた特性を有していることから頻繁に用いられている。
近年、これらの合わせガラスには、赤外線又はその近傍領域の波長の光線(以下、「近赤外光」という)を遮断し得る特性が求められている。かかる特性を有する合わせガラスを窓材や壁材等に適用すれば、例えば太陽光における上記領域の波長を有する光線、すなわち熱線の室内への侵入を抑制することができる。これにより、室内が過度に高温となることを抑制して室内環境を快適に保つことができるようになり、しかも冷房等にかかるコストを低減することも可能となる。
近赤外光を遮断できる合わせガラスとしては、中間膜として近赤外光を吸収する特性を有する層(近赤外光吸収層)を有しているものが知られている。このような中間膜は、樹脂材料に近赤外光を吸収する特性を有する材料(近赤外光吸収材料)を分散させた組成物によって形成することができる。例えば、下記特許文献1には、2価の銅イオン、並びに、酸化インジウム及び/又は酸化スズから選ばれる少なくとも一種の赤外光吸収成分と、樹脂成分とを含む中間膜を備える合わせガラスが開示されている。
特開平9−211220号公報
ところで、近年、合わせガラスに対しては、上述した近赤外光吸収特性に加え、優れた耐光性を有していること、すなわち、光を照射されても透光性等の変化が少ないという特性を有していることが要求されている。このような特性を有する合わせガラスは、長期間使用したとしても高い透光性を維持できるため、極めて実用性の高いものとなる。そして、上記従来の合わせガラスは、優れた近赤外光吸収特性を有してはいたものの、光、特に紫外光を長時間照射されると、中間膜に黒い析出物が生じる場合があるなど、耐光性の点で未だ改良の余地があった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、長時間にわたって光を照射された場合であっても析出物等を生じることが少なく、近赤外光吸収特性及び耐光性の両方に優れる中間膜等に適用可能な近赤外光吸収材料を提供することを目的とする。本発明はまた、かかる近赤外光吸収材料を用いたフィルム状成形物、及び、合わせガラスに適用可能な積層体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の近赤外光吸収材料は、重合度が800〜2300であるポリビニルブチラール樹脂と、銅イオンとを含有することを特徴とする。ここで、「重合度」とは、ポリビニルブチラール樹脂の平均重合度をいうものとする(以下同様)。
本発明者らの検討によると、上記従来の合わせガラスにおいて生じる黒い析出物は、中間膜に含まれる銅イオンが酸化又は還元されて生じる銅や銅酸化物等の生成物に起因するものであることが判明した。このような銅や銅酸化物は、紫外光の照射によって中間膜に生じた樹脂成分等に由来する活性種が、銅イオンを酸化又は還元することにより発生したものと推測される。
これに対し、本発明の近赤外光吸収材料は、樹脂成分であるポリビニルブチラール樹脂(以下、「PVB」と略す)として、重合度が800〜2300であるものを含有している。そして、このような近赤外光吸収材料においては、必ずしも明らかではないが、当該材料中の各成分が極めて安定化されると考えられる。
したがって、このような近赤外光吸収材料を含む中間膜を備える合わせガラスに対して、長時間の光(特に紫外光)の照射を行ったとしても、中間膜中で銅イオンが安定化されているため酸化又は還元され難いことなどの要因によって、銅や銅酸化物の発生が抑制され得る。その結果、光照射による黒い析出物の発生が大幅に少なくなるものと考えられる。なお、作用は必ずしもこれらに限定されない。
上記本発明の近赤外光吸収材料は、ホスフィン酸化合物、ホスホン酸化合物、ホスホン酸モノエステル化合物、リン酸モノエステル化合物及びリン酸ジエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物を更に含有していると好ましい。このようなリン化合物を含有することにより、一層優れた近赤外光吸収特性が得られるようになるほか、かかる材料からなる層(例えば中間膜)の安定性が更に向上するようになる。
また、本発明の近赤外光吸収材料は、可塑剤を更に含有していると好ましい。可塑剤を含有することにより、PVBのガラス転移温度(Tg)が低下して柔らかくなり、銅イオン等との混合が更に容易となるほか、銅イオンのPVBに対する溶解性が更に高められ、かかる近赤外光吸収材料を含む層の透光性が向上する。
本発明はまた、上記本発明の近赤外光吸収材料からなるシート状成形物を提供する。このようなシート状成形物は、優れた近赤外光吸収特性を有しており、また、長時間光を照射された場合であっても析出物等を生じることが少ない。よって、合わせガラスにおける中間膜として好適に用いることができる。
さらに、本発明は透光性基材と、この透光性基材上に設けられた上記本発明の近赤外光吸収材料からなる近赤外光吸収層とを備える積層体を提供する。かかる積層体は、上記本発明の近赤外光吸収性組成物からなる近赤外光吸収層を備えていることから、近赤外光吸収特性に極めて優れているほか、光の照射による析出物が極めて少なく、優れた耐光性をも有している。また、積層体を、一対の透光性基材間に近赤外光吸収層が挟まれた構成とすれば、近赤外光吸収特性及び耐光性の双方の特性に優れる合わせガラスを提供することができる。
本発明によれば、長時間にわたって光を照射された場合であっても析出物等を生じることが少なく、近赤外光吸収特性及び耐光性の両方に優れる中間膜等に適用可能な近赤外光吸収材料を提供することが可能となる。また、かかる近赤外光吸収材料を用いたフィルム状成形物、及び、合わせガラスに適用可能な積層体を提供することが可能となる。
実施形態の合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。 反射層を有する合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。 透光性基板間に設けられた複数の層間に反射層を有する合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。 実施例2の合わせガラスの顕微鏡写真を示す図である。 比較例4の合わせガラスの顕微鏡写真を示す図である。
符号の説明
1…透光性基板、2…中間膜、10…合わせガラス、20…合わせガラス、21…透光性基板、22…近赤外光吸収層、23…反射層、30…合わせガラス、31…透光性基板、32…近赤外光吸収層、33…反射層、34…樹脂層。
以下、本発明の好適な実施形態について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。
[近赤外光吸収材料]
実施形態に係る近赤外光吸収材料は、重合度が800〜2300のポリビニルブチラール樹脂(PVB)及び銅イオンを少なくとも含有するものである。
(PVB)
まず、近赤外光吸収材料に含まれるPVBについて説明する。PVBは、800〜2300の重合度を有している。ここで、重合度とは、PVBの1分子を構成している基本単位の数をいい、JISK 6728(2001年度版)に規定された方法に基づいて測定された値を採用可能である。
このような重合度を有するPVBは、例えば、PVBの前駆体として、上述したようなPVBの重合度を満たし得る程度の重合度(又は分子量)を有するポリビニルアルコール(PVA)を調製し、これにブチルアルデヒドを反応させる方法により得られたものが挙げられる。具体的には、重合度が800〜2300のPVBとしては、例えば、以下に示すものが商業的に入手可能である。すなわち、例えば、エスレックBM−5、(重合度850)、BH−3(重合度1700、以上積水化学社製)等が挙げられる。
(銅イオン)
次に、銅イオンについて説明する。銅イオンは、2価の銅イオンである。この銅イオンは、銅塩の形態で近赤外光吸収材料中に供給することができる。銅塩の具体例としては、酢酸銅、蟻酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅等の有機酸の銅塩無水物、水和物若しくは水化物、或いは、酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩の無水物、水和物若しくは水化物、又は、水酸化銅が挙げられる。これらのなかでは、酢酸銅、酢酸銅一水和物、安息香酸銅、水酸化銅、塩基性炭酸銅が好ましく用いられる。なお、銅イオン源であるこれらの銅塩は、単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。
(リン化合物)
実施形態の近赤外光吸収材料は、上述したPVB及び銅イオンに加えて、所定のリン化合物を含んでいると好ましい。リン化合物としては、下記一般式(1A)で表されるリン酸エステル化合物、下記一般式(1B)で表されるホスフィン酸化合物、下記一般式(1C)で表されるホスホン酸化合物、並びに、下記一般式(1D)で表されるホスホン酸モノエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物が挙げられる。
Figure 2006035756
上記式中、nは1又は2であり、R、R21、R22、R、R41及びR42は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリル基、オキシアルキル基、ポリオキシアルキル基、オキシアリール基、ポリオキシアリール基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基又は(メタ)アクリロイルポリオキシアルキル基を示し、これらの基の炭素数は、それぞれ1〜30である。なお、これらの基は、当該基における少なくとも一つの水素原子が、ハロゲン原子、オキシアルキル基、ポリオキシアルキル基、オキシアリール基、ポリオキシアリール基、アシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキル基又はエステル基で置換されていてもよい。なお、リン化合物としては、上記式(1A)〜(1D)で表される化合物のうちの一種のみを用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、上記(1A)〜(1D)のリン化合物それぞれについても、上記各種の官能基を有するものを単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
なかでも、リン化合物としては、上記一般式(1A)で表されるリン酸エステル化合物(モノエステル及び/又はジエステル)が好ましい。上記一般式(1A)で表されるリン酸エステル化合物において、Rで表される基としては、アルキル基、アルケニル基又は下記一般式(2)で表される重合性官能基が挙げられる。なお、下記一般式(2)中、Xは、水素原子又はメチル基を示し、pは2〜6の整数であり、mは0〜5の整数である。
Figure 2006035756
上述したRで表される官能基のうち、アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜18のアルキル基がより好ましい。このようなアルキル基としては、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられ、なかでも、2−エチルヘキシル基が好ましい。また、アルケニル基としては、オレイル基が好ましい。
実施形態の近赤外光吸収材料が、このようにリン化合物を含有する場合、近赤外光吸収材料において、銅イオン及びリン化合物は、単に混合物として存在していてもよく、また、銅イオンがリン化合物と反応して、リン含有銅化合物を形成した状態で存在していてもよい。
後者の場合、リン含有銅化合物は、リン化合物におけるリン含有基(例えば、リン酸エステルにおけるリン酸基)と銅イオンとが、イオン結合及び/又は配位結合することによって生じたリン含有銅錯体であると好ましい。このようなリン含有銅化合物は、例えば、銅イオンの原料とリン化合物とを混合し、これらを反応させることによって調製することができる。
PVB、銅イオン及びリン化合物を含む形態の近赤外光吸収材料は、例えば、PVB中に銅イオンの原料及びリン化合物を添加して混合することにより調製することができる。より具体的には、PVB、銅イオンの原料及びリン化合物を加熱溶融して混練する方法や、PVBを溶媒に溶解及び/又は分散して溶液とし、この溶液中に銅イオンの原料やリン化合物等を添加・混合した後、溶媒を除去する方法が例示できる。
(各成分の配合量)
近赤外光吸収材料が上述したPVB、銅イオン及びリン化合物を含有しており、しかも、銅イオンとリン含有化合物によりリン含有銅化合物が形成されている場合、これらの成分は、以下に示す組成比で配合されていることが好ましい。すなわち、PVB100質量部に対する、リン含有銅化合物の含有量が、0.1〜1000質量部であると好ましく、1〜500質量部であるとより好ましく、2〜300質量部であると更に好ましい。PVBに対するリン含有銅化合物の含有量が、0.1質量部未満であると、近赤外光吸収特性が顕著に低下する傾向にある。一方、1000質量部を超えると、銅イオン及びリン化合物の相溶性が低下して、透光性が悪くなる傾向にある。
特に、近赤外光吸収材料を、窓材等に適用する合わせガラスの中間膜に用いるシート状成形物とする場合には、リン含有銅化合物の含有量は、PVB100質量部に対して、0.5〜45質量%であると好ましく、1〜40質量%であるとより好ましく、1〜35質量%であると更に好ましい。
また、このような近赤外光吸収材料において、銅イオンの含有量及びリン化合物の含有量は、これらのリン化合物が水酸基又は水酸基由来の酸素原子を有している場合に、(水酸基又は酸素原子の合計量)/(銅イオンの含有量)が、モル比で、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、更に好ましくは1.5〜2.5である関係を満たしていると好ましい。この比率が1未満であると、近赤外光吸収性や可視光透過性が低下する傾向にある。一方、6を超えると、銅イオンとの配位結合又はイオン結合に関与しない水酸基の量が過大となり、吸湿性が大きくなり過ぎる傾向にある。
(可塑剤)
なお、実施形態の近赤外光吸収材料は、上述した各成分の他に、種々の特性を調整するための他の成分を更に含んでいてもよい。他の成分としては、まず、可塑剤が挙げられる。近赤外光吸収材料が可塑剤を含有していると、PVBに対する銅イオンの溶解及び/又は分散性が更に高められる傾向にあり、近赤外光吸収性や可視光透過性を一層向上させることができる。
可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸系可塑剤、脂肪酸系可塑剤、グリコール系可塑剤等が挙げられる。より具体的には、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2エチルブチレート(3GH)、ジヘキシルアジペート(DHA)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート(4G7)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジヘプタノエート(3G7)等が例示できる。
近赤外光吸収材料中に上述した可塑剤を含有させる場合、可塑剤の含有量は、PVB100質量部に対して、1〜120質量部とすることが好ましく、1〜100質量部とすることがより好ましく、2〜80質量部とすることが更に好ましい。可塑剤の含有量が、PVB100質量部に対して1質量部未満であると、銅イオンやリン化合物の溶解性が低下して透光性が不十分となる場合がある。一方、100質量部を超えるとPVBが柔軟になり過ぎ、例えば合わせガラスにおける中間膜としての使用が困難となる傾向にある。
(紫外光吸収剤)
また、紫外光に対する安定性を更に向上させるために、紫外光吸収剤を含有させることもできる。紫外光吸収剤としては、ベンゾエート系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
より具体的には、ベンゾエート系化合物としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートが挙げられ、サリシレート系化合物としては、フェニルサリシレートやp−t−ブチルフェニルサリシレートが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−ジスルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−5−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシエチルベンゾフェノン、4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタリミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメトキシベンゾイル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物等が挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートやオクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートが挙げられ、シュウ酸アニリド系化合物としては、2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリドや2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリドが挙げられる。また、トリアジン系化合物としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールが挙げられる。
(光安定剤)
さらに、近赤外光吸収材料は、光に対する安定性を更に向上させるための光安定剤を含有することもできる。特に、上述した紫外光吸収剤とこの光安定剤を併用すると、光に対する安定性が極めて良好となる傾向にある。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)や、Ni系化合物を適用可能である。
より具体的には、HALSとしては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケード、1−[2−[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、Mixed {1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、Mixed {2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]、ジメチルサシネートポリマ−with−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等が挙げられる。
また、Ni系の光安定剤としては、[2,2’−チオ−ビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケル(II)、ニッケルジブチルジチオカーボネート、[2,2’−チオ−ビス(4−t−オクチルフェノレート)]−ブチルアミン−ニッケル(II)等が挙げられる。
(その他の成分)
近赤外光吸収材料を安定化するための成分としては、他に、抗酸化剤、熱安定剤等を含有させることができる。また、色調を調整するための成分として、染料、顔料、金属化合物等を添加してもよい。さらに、合わせガラスに適用する際に、ガラス等の透光性基板に対する密着性を調整するための成分として、シラン化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を添加することもできる。さらにまた、樹脂成分として、上記PVBに加えて、近赤外光吸収材料の特性を低下させない範囲でエチレン−酢酸ビニル系共重合体やアクリル系樹脂を組み合わせて含有していてもよい。
[光学部材]
上述した近赤外光吸収材料を用いることにより、近赤外光を遮断する特性に優れる種々の光学部材を得ることができる。このような光学部材としては、以下に示す第1及び第2の形態が挙げられる。
第1の形態:近赤外光吸収性組成物を加工して得られるシート状成形物。
第2の形態:透光性基板と、この透光性基板に隣接して設けられた近赤外光吸収材料からなる近赤外光吸収層とを有する積層体。
(第1の形態)
まず、第1の形態について説明する。第1の形態の光学部材は、上述した近赤外光吸収材料からなるシート状の成形物であり、具体的には、シートやフィルムが挙げられる。ここで、シートとは、250μmを超える厚さを有する薄板状のものである。また、フィルムとは、厚さ5〜250μmの薄い膜状のものである。これらのシート又はフィルムは、公知のシート又はフィルム形成方法を用いて作製可能である。具体的には、溶融押出成形法、延伸成形法、カレンダー成形法、プレス成形法、溶液キャスト法等が挙げられる。
(第2の形態)
次に、第2の形態について説明する。第2の形態の光学部材は、透光性基板と、この透光性基板に隣接して設けられた、近赤外光吸収材料からなる近赤外光吸収層とを有する積層体である。
透光性基板を構成する材料は、可視光透過性を有する透光性材料であれば特に限定されず、光学部材の用途に応じて適宜選択可能である。良好な硬度、耐熱性、耐薬品性、耐久性等を得る観点からは、ガラスやプラスチックが好適に使用される。ガラスとしては、無機ガラス、有機ガラス等が挙げられ、目的に応じて、色ガラス、透過率に波長依存性のあるUVカットガラス、又はグリーンガラス等の遮熱機能を有するガラスといった特定の機能を有するガラスを用いることもできる。また、プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ノルボルネン樹脂等が例示でき、これらもガラスと同様、特定の機能を有するものを適宜選択して用いてもよい。なお、透光性基板が複数存在する場合には、各基板は、同じ種類の材料で構成されたものであってもよく、異なる材料で構成されたものであってもよい。
このような積層体は、例えば、上述した第1の形態の光学部材と同様のシートやフィルムを形成した後、このシート等と透光性基板とを貼り合わせることによって製造することができる。これらを貼り合わせる方法としては、プレス法、マルチロール法、減圧法等の加圧又は減圧により接着する手段、オートクレーブ等により加熱して接着する手段、又は、これらを組み合わせた手段が例示できる。
また、積層体の製造方法としては、予め形成したシートを張り合わせる方法以外に、透光性基材上に、上記シート状成形物を用いずに近赤外光吸収層を直接形成する方法も適用できる。このような方法としては、例えば、近赤外光吸収材料を適宜の溶媒に溶解及び/又は分散させてコーティング剤とし、この溶液を透光性基板に塗布した後、溶媒を蒸発させて、透光性基材上に近赤外光吸収材料からなる薄膜、被覆物又は薄層を形成する方法が挙げられる。こうして形成された薄膜等は、コーティングと呼ばれる。このような方法を用いて近赤外光吸収層を形成する場合には、当該層の平坦性を高める目的で、レベリング剤、消泡剤といった各種の界面活性剤等の溶解補助剤を、上述したコーティング剤中に添加してもよい。
(合わせガラス)
第2の形態の光学部材、すなわち積層体は、上述したような透光性基板と近赤外光吸収層とを一層ずつ備えるものに限定されず、これらの層を複数備えるものであってもよい。具体的には、一対の透光性基板と、この透光性基板間に配置された上記近赤外光吸収材料からなる中間膜(近赤外光吸収層)とを備えるものが挙げられる。このような積層体は、いわゆる合わせガラスと呼ばれ、窓材等として好適に用いることができる。
ここで、図1を参照して、好適な実施形態の合わせガラスについて説明する。
図1は、実施形態の合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。図1に示される合わせガラス10は、一対の透光性基板1と、この一対の透光性基板1に挟持された中間膜2(近赤外光吸収層)とを備えるものである。中間膜2は、上述した実施形態の近赤外光吸収材料からなるものであり、透光性基板1としては、上述した積層体と同様のものが適用できる。
かかる構造の合わせガラス10は、例えば、一組の透光性基板1の間に、上述した近赤外光吸収性組成物からなるシート状成形物を挟み、これを予備圧着して各層間に残存した空気を除去した後、本圧着してこれらを密着させる方法によって製造することができる。
なお、このような製造方法により合わせガラス10を製造する場合、中間膜2となるべきシート状成形物が、その保管時において、当該シート同士が合着して塊状となる、いわゆるブロッキング現象が生じていないことや、予備圧着における脱気性が良好であること等が重要となる。これらの要求を満たしている場合、透光性基材1とシートとを重ね合わせる際の作業性が良好となるほか、例えば脱気が不十分であるために生じた気泡等による透光性の低下を防ぐことができる。
窓材等に適用する観点からは、合わせガラス10には、近赤外光を遮断する特性のほか、可視光透過性、すなわち可視光領域の光を透過する特性に優れることも求められる。そして、優れた可視光透過性を得るためには、透光性基板1と中間膜2との間に極力気泡が残存していないことが好ましい。
この気泡を低減する手段の一つとして、表面にエンボスと呼ばれる多数の微小な凹凸を有している中間膜2を用いる方法が知られている。エンボスが施された中間膜2によれば、上述した予備圧着工程等における脱気性が良好となるほか、残存する気泡が極めて微小となり、中間膜2中に取り込まれ易くなる。その結果、合わせガラス10は、気泡による透光性の低下が少ないものとなる。
エンボスの形態としては、例えば、多数の凸部とこれらの凸部に対する多数の凹部とからなる各種凸凹模様、多数の凸条とこれらの凸条に対する多数の凹溝とからなる各種の凸凹模様、粗さ、配置、大きさ等の種々の形状因子に関し多様な値を有するエンボス形状がある。
これらのエンボスとしては、例えば、特開平6−198809号公報に記載された、凸部の大きさを変え、その大きさ、配置を規定したもの、特開平9−40444号公報に記載された、表面の粗さを20〜50μmとしたもの、特開平9−295839号公報に記載された、凸条が交差するように配置されたもの、或いは、特開2003−48762号公報に記載された、主凸部の上に更に小さな凸部を形成されたものが挙げられる。
また、近年、合わせガラス10に求められている他の特性として、遮音性が挙げられる。遮音性が優れる合わせガラスによれば、例えば、窓材に用いた場合に、周囲の騒音等の影響を低減できるようになり、更に室内環境を向上させ得る。一般に、遮音性能は、周波数の変化に応じた透過損失量として示され、その透過損失量は、JISA 4708では、500Hz以上において遮音等級に応じてそれぞれ一定値で規定されている。
ところが、合わせガラスにおける透光性基板として一般的に用いられるガラス板の遮音性能は、2000Hzを中心とする周波数領域では、コインシデンス効果により著しく低下する傾向にある。ここで、コインシデンス効果とは、ガラス板に音波が入射した時、ガラス板の剛性と慣性によって、ガラス板状を横波が伝播してこの横波と入射音とが共鳴し、その結果、音の透過が起こる現象をいう。したがって、一般的な合わせガラスでは、2000Hzを中心とする周波数領域において遮音性能の低下を避け難く、この点の改善が求められている。
これに関し、人間の聴覚は、等ラウドネス曲線から、1000〜6000Hzの範囲では他の周波数領域に比べ非常に良い感度を示すことが知られている。従って、上述したコインシデンス効果による遮音性能の落ち込みを解消することは、防音性能を高める上で重要となる。このような観点から、合わせガラス10の遮音性能を高めるには、コインシデンス効果による遮音性能の低下を緩和し、このコインシデンス効果に起因する透過損失の極小部の低下を防ぐ必要がある。
ここで、合わせガラス10に遮音性を付与する方法としては、合わせガラス10の質量を増大させる方法、透光性基板1となるべきガラスを複合化する方法、このガラス面積を細分化する方法、ガラス板支持手段を改善する方法などがある。このほか、遮音性能は、中間膜2の動的粘弾性により左右され、特に貯蔵弾性率と損失弾性率との比である損失正接に影響されることがあることから、この値を制御することによっても合わせガラス10の遮音性能を高めることができる。
中間膜2の損失正接の値を制御する手段としては、例えば、特定の重合度を有する樹脂膜を用いる方法、特開平4−2317443号公報に記載されるような樹脂の構造を規定する方法、特開2001−220183号公報に記載されるような樹脂中の可塑剤量を規定する方法等が挙げられる。また、異なる2種以上の樹脂を組み合わせて中間膜を形成することによっても、広い温度範囲にわたって合わせガラス10の遮音性能を高め得ることが知られている。例えば、特開2001−206742号公報に記載された、複数種の樹脂をブレンドする方法、特開2001−206741号公報、特開2001−226152号公報に記載された、複数種の樹脂を積層する方法、特開2001−192243号公報に記載された、中間膜中の可塑剤量に偏向を持たせる方法等が挙げられる。これらの技術を採用し、樹脂構造の改質、可塑剤の添加、2種以上の樹脂の組み合わせ等といった手段を適宜組み合わせて実施することで、中間膜2を形成すべき樹脂材料の損失正接の値を制御することが可能となり、所望の遮音性を得ることができるようになる。
さらに、合わせガラス10は、近赤外光を遮断すること以外による遮熱性を更に発現し得るものであると好ましい。合わせガラス10の遮熱性を高める方法としては、中間膜2中に、遮熱機能を有する酸化物微粒子を更に含有させる方法が挙げられる。このような方法としては、例えば、特開2001−206743号公報、特開2001−261383号公報、特開2001−302289号公報等に記載された方法を適用できる。
遮熱性を高め得る酸化物微粒子としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等が挙げられる。なお、酸化物微粒子が含有された中間膜2は、透光性が低下しやすい傾向にあることから、酸化物微粒子の粒径を小さくしたり(特開2002−293583号公報)、分散性を高めたりして、透光性を良好に維持する方法を適用してもよい。後者のように酸化物微粒子の分散性を高めるための方法としては、当該微粒子を機械的に分散させることや、分散剤を用いること等の公知の微粒子分散技術が適用できる。
合わせガラスの遮熱性を高める方法としては、上述した酸化物微粒子を含有させる方法以外に、例えば、有機系の遮熱機能を有する染料を含有させる方法や、遮熱性能を有する透光性基板を用いる方法も挙げられる。前者の有機系の遮熱機能を有する染料を含有させる方法としては、特開平7−157344号公報、特許第319271号公報に記載された方法が挙げられる。また、後者の方法に適用可能な遮熱性能を有する透光性基板としては、例えば、特開2001−151539号公報に記載されたFe含有ガラス(例えば、グリーンガラス等)、特開2001−261384号公報、特開2001−226148号公報に記載された金属、金属酸化物を積層したガラス板が挙げられる。
このように、上述した実施形態の合わせガラス10は、中間膜2に含まれる近赤外光吸収材料が近赤外光領域の光線を吸収することによって、熱線である近赤外光を遮断する特性を発揮するものであるが、合わせガラス10は、更なる近赤外光遮断特性の向上を目的として、近赤外光吸収性を有する中間膜2(近赤外光吸収層)に加えて、近赤外光を反射する特性を有する層(近赤外光反射層)を更に備えていてもよい。
図2は、反射層を有する合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。合わせガラス20は、透光性基板21、近赤外光吸収層22、近赤外光反射層23及び透光性基板21をこの順に備える構造を有している。透光性基板21及び近赤外光吸収層22は、上述した合わせガラス10における透光性基板1及び中間膜2と同様のものが適用できる。
近赤外光反射層23としては、金属や金属酸化物から構成される層が挙げられ、具体的には、例えば、金、銀、銅、錫、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、ケイ素、クロム、チタン、インジウム、アンチモン等の金属単体、合金、混合物又は酸化物が例示できる。
このような近赤外光反射層23を有する合わせガラス20は、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、まず、透光性基板21の一面に、例えば、金属や金属酸化物を蒸着することにより近赤外光反射層23を形成する。次に、近赤外光吸収層22となるべきシート状成形物を準備し、その一方の面に、近赤外光反射層23が形成された透光性基板21を、当該反射層23が接するように配置する。さらに、このシート状成形物の他方の面に、透光性基板21を重ねる。こうして得られた積層体を圧着すること等により、合わせガラス20を得る。
ここで、この合わせガラス20のように、透光性基板21と近赤外光吸収層22との間に近赤外光反射層23を形成すると、この反射層23と近赤外光吸収層22との接着性が低下してしまう可能性がある。こうなると、例えば合わせガラス20が破損した場合に、透光性基板21が剥離・飛散し易くなり、安全性の点で問題が生じることとなる。そこで、このような接着性の低下を避けるために、近赤外光吸収層22と近赤外光反射層23との間には、両者の接着力を向上させ得る層を更に設けることが好ましい。
このように接着力を向上させる手段としては、例えば、近赤外光吸収層22及び近赤外光反射層23との間に、近赤外光吸収層22よりも高いアセタール度を有するポリビニルアセタールからなる層(特開平7−187726号公報、特開平8−337446号公報)を設ける方法、所定の割合のアセトキシ基を有するPVBからなる層(特開平8−337445号公報)を設ける方法、又は、所定のシリコンオイルからなる層(特開平7−314609号広報)を設ける方法等が採用できる。
なお、合わせガラスにおいて、近赤外光反射層は、必ずしも上述したように透光性基板と近赤外光吸収層との間に設けられている必要はなく、透光性基板の間に複数の樹脂からなる層が形成されている場合は、これらの層の間に設けられた形態であってもよい。
図3は、透光性基板間に設けられた複数の層間に反射層を有する合わせガラスの断面構造の一例を模式的に示す図である。合わせガラス30は、透光性基板31、近赤外光吸収層32、近赤外光反射層33、樹脂層34、近赤外光吸収層32、透光性基板31をこの順に備える構造を有している。かかる合わせガラス30において、透光性基板31、近赤外光吸収層32及び近赤外光反射層33は、上述したのと同様である。樹脂層34の構成材料としては、透光性に優れる公知の樹脂材料が適用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等が挙げられる。なお、合わせガラス30において、近赤外光吸収層32は少なくとも一層設けられていれば、十分な近赤外光吸収特性が得られることから、例えば、上述した2層の近赤外光吸収層32のうちの一層は、近赤外光吸収特性を有しない樹脂材料からなる層であってもよい。
このように、近赤外光吸収層(中間膜)に加えて更に反射層を設けることで、両層の効果により、合わせガラスに対して更に優れた近赤外光遮断特性を付与することができる。また、上述したような、近赤外光反射層と近赤外光吸収層との接着性を改善する方法を採用すれば、このような近赤外光遮断特性に加え、より優れた強度を有する合わせガラスを得ることも可能となる。
上述した構成を有する合わせガラス等の積層体においては、太陽光等の熱線成分を含む光が入射すると、中間膜である近赤外光吸収層が発現する近赤外光吸収特性によって、近赤外光領域(波長700〜1200nm程度)の熱線が遮断される。一般に、この波長領域の光線は、肌が焼きつくようなジリジリとした刺激的な暑さを感じさせる傾向にあるが、上述した積層体を透過する光線は、このような近赤外光が遮断されているため主として可視光線となる。よって、かかる積層体を窓材等に用いれば、可視光を効率良く取り込みつつ、室内や屋内の温度上昇を抑えることができる。
また、上記積層体における近赤外光吸収層は、長時間の光(特に紫外光)を照射された場合であっても、銅イオンの酸化等が生じ難いことから、銅や銅酸化物等の黒い析出物の発生が極めて少ない。このため、かかる析出物の生成に起因する透光性の低下等が起こり難い。したがって、本発明の積層体(合わせガラス)は、長期使用にともなう透光性の低下が極めて小さく、窓材等として優れた信頼性を有するものとなる。
このように、本発明の積層体(合わせガラス)は、優れた近赤外光遮断性能を有していることから、太陽光等の自然光その他の外光を取り入れるための建材(建築物の部材に限定されない)、例えば、自動車、船舶、航空機又は電車(鉄道)車両の窓材、アーケード等の通路の天蓋材、カーテン、カーポートやガレージの天蓋、サンルームの窓又は壁材、ショーウィンドウやショーケースの窓材、テント又はその窓材、ブラインド、定置住宅や仮設住宅等の屋根材や天窓その他窓材、道路標識等の塗装面の被覆材、パラソル等の日除け具材、その他熱線の遮断が必要とされる種々の部材に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[リン酸エステル銅錯体の調製]
(2−エチルヘキシルリン酸銅錯体の調製)
リン化合物として、2−エチルヘキシルホスフェート(モノエステル体及びジエステル体の等モル混合物、東京化成社製)を用い、その5gをトルエン15gに溶解した。得られた溶液に酢酸銅一水和物2.37gを加え、この溶液を還流しながら酢酸を除去した。その後、反応溶液からトルエンを留去して、2−エチルヘキシルリン酸銅錯体(以下、「2EHPC」という)6.04gを得た。
(オレイルリン酸銅錯体の調製)
リン化合物として、オレイルホスフェート(モノエステル体及びジエステル体の等モル混合物、東京化成社製)を用い、その63.1gをトルエン180gに溶解した。得られた溶液に酢酸銅一水和物20.0gを加え、この溶液を還流しながら酢酸を除去した。その後、反応溶液からトルエンを留去して、オレイルリン酸銅錯体(以下、「OLPC」という)80.4gを得た。
(2−エチルヘキシルリン酸エステル・オレイルリン酸エステル混合銅錯体の調製)
リン化合物として、2−エチルヘキシルホスフェート(モノエステル体及びジエステル体の等モル混合物、東京化成社製)15.8gと、オレイルホスフェート(モノエステル体及びジエステル体の等モル混合物、東京化成社製)8.89gとを、トルエン80gに溶解した。得られた溶液に酢酸銅一水和物10.0gを加え、この溶液を還流しながら酢酸を除去した。その後、反応溶液からトルエンを留去して、2−エチルヘキシルリン酸エステル・オレイルリン酸エステル混合銅錯体(2EHPC+OLPC)28.8gを得た。
[合わせガラスの作製]
(実施例1〜4、比較例1〜4)
上述した調製例において得られた各リン酸エステル銅錯体1.0gを、可塑剤であるトリエチレングリコール−2−ヘキサネート2.0gに溶解し、これを、各種の重合度を有するPVB7.0gと混合した後、プレス機(WF−50、神藤金属工業社製)により85℃で数回プレスし、更に120℃で数回プレスを行って混錬成形し、厚さ1mmのシート状成形物を作製した。なお、各シート状成形物の作製において用いたリン酸エステル銅錯体の種類及びPVBの重合度は、表1に示す通りとした。
次に、得られたシート状成形物を、縦26mm、横76mm、厚さ1mmのスライドガラス2枚の間に挟んで積層体とし、この積層体に対し、オートクレーブにより温度130℃、圧力1.2Mpaの条件で30分の圧着を行い、実施例1〜4及び比較例1〜3の合わせガラスを得た。
[特性評価]
(黒化の評価)
まず、実施例1〜4及び比較例1〜4の各合わせガラスに対し、キセノンウェザーメーター(アトラスC135、東洋精機製作所社製;光源:キセノンランプ、自動照射強度:0.87W/m、ブラックパネル温度:63℃)を用いて、100時間の紫外光(UV)照射を行った。
次に、UV照射後の各合わせガラスを顕微鏡により観察し、黒い析出物の発生の程度を評価した。得られた結果を表1に示す。表1中、黒い析出物が殆ど見られなかったものをA、大量の黒い析出物が発生したものをBで表してある。また、一例として、実施例2の合わせガラス及び比較例4の合わせガラスを観察して得られた顕微鏡写真を、それぞれ図4及び図5に示す。
(可視光透過率の測定)
実施例1〜4及び比較例1〜4の各合わせガラスに対し、作製直後、及び、上記「黒化の評価」と同様のUV照射を行った後のそれぞれの状態において、分光光度計(U−4000、(株)日立製作所製)を用いて分光測定を行った。これらの結果に基づき、JISR 3106に準拠する方法に従って、作製直後の合わせガラスにおける可視光透過率(Tvis(0h))及びUV照射後の合わせガラスにおける可視光透過率(Tvis(100h))を算出した。また、Tvis(100h)の値からTvis(0h)の値を減じることにより、可視光透過率の変化(ΔTvis)の値を算出した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2006035756
表1より、重合度が本発明の範囲内であるPVBを用いた実施例1〜4の合わせガラスは、PVBの重合度が本発明の範囲外である比較例1〜4の合わせガラスと比較して、黒い析出物の発生が極めて少ないことが判明した。このことは、図4(実施例2の合わせガラス)では、黒い析出物が殆ど見られないのに比べて、図5(比較例4の合わせガラス)では、黒い析出物の発生が大量に見られることからも確認することができる。さらに、表1より、実施例1〜4の合わせガラスは、比較例1〜4の合わせガラスに比して、可視光透過率の変化が小さいことが判明した。以上のことから、本発明の近赤外光吸収材料を用いて得られた合わせガラスは、長時間使用した場合であっても透光性の低下が少なく、窓材等として優れた特性を有していることが確認された。
[ホスホン酸銅錯体の調整]
(エチルホスホン酸銅錯体の調整)
リン化合物として、エチルホスホン酸を用い、その0.55g(5.00mmol)をTHF10mLに溶解した。得られた溶液に酢酸銅一水和物1.00g(5.01mmol)を加え、加熱して還流させた。反応後の溶液中に生じた固体をろ過により分離して、エチルホスホン酸銅錯体を得た。
[合わせガラスの作製]
(実施例5及び比較例5)
各種リン酸エステル銅錯体1.0gに代えて、エチルホスホン酸銅錯体0.14gを用いたこと以外は、実施例1〜4及び比較例1〜4と同様にして合わせガラスを作製した。なお、PVBとしては、重合度1700及び650のものをそれぞれ用いた。重合度1700のPVBを用いた場合が実施例5に、重合度650のものを用いた場合が比較例5にそれぞれ該当する。
[特性評価]
(黒化の評価)
実施例5及び比較例5の合わせガラスについて、UV照射強度を0.75W/mとするとともにUV照射時間を50時間としたこと以外は、上記実施例1〜4及び比較例1〜4の合わせガラスと同様にして黒化の評価を行った。その結果、実施例5の合わせガラスは、比較例5の合わせガラスに比して黒い析出物の発生が大幅に少なく、黒化が生じ難いことが確認された。
(可視光透過率の測定)
実施例5及び比較例5の合わせガラスについて、上記実施例1〜4及び比較例1〜4の合わせガラスと同様にして分光測定を行い、作製直後の可視光透過率(Tvis(0h))、及び、上記「黒化の評価」と同様のUV照射を行った後の可視光透過率(Tvis(50h))をそれぞれ算出した。また、Tvis(50h)の値からTvis(0h)の値を減じることにより、可視光透過率の変化(ΔTvis)の値を算出した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2006035756
表2より、実施例5の合わせガラスは、比較例5に比して、可視光透過率の変化が小さいことが確認され、透光性の低下が生じ難いことが判明した。
[ホスフィン酸銅錯体の調整]
(ジメチルホスフィン酸銅錯体の調整)
リン化合物として、ジメチルホスフィン酸を用い、その0.47g(5.0mmol)をトルエン10mLに溶解した。得られた溶液に酢酸銅一水和物0.50g(2.5mmol)を加え、加熱して還流させた。反応後の溶液中に生じた固体をろ過により分離して、ジメチルホスフィン酸銅錯体を得た。
[合わせガラスの作製]
(実施例6及び比較例6)
各種リン酸エステル銅錯体1.0gに代えて、ジメチルホスフィン酸銅錯体0.14gを用いたこと以外は、実施例1〜4及び比較例1〜4と同様にして合わせガラスを作製した。なお、PVBとしては、重合度1700及び650のものをそれぞれ用いた。重合度1700のPVBを用いた場合が実施例6に、重合度650のものを用いた場合が比較例6にそれぞれ該当する。
[特性評価]
(黒化の評価)
実施例6及び比較例6の合わせガラスについて、UV照射強度を0.75W/mとするとともにUV照射時間を50時間としたこと以外は、上記実施例1〜4及び比較例1〜4の合わせガラスと同様にして黒化の評価を行った。その結果、実施例6の合わせガラスでは黒い析出物の発生が見られなかったのに対し、比較例6の合わせガラスでは少量の黒い析出物の発生が見られた。
(可視光透過率の測定)
実施例6及び比較例6の合わせガラスについて、上記実施例1〜4及び比較例1〜4の合わせガラスと同様にして分光測定を行い、作製直後の可視光透過率(Tvis(0h))、及び、上記「黒化の評価」と同様のUV照射を行った後の可視光透過率(Tvis(50h))をそれぞれ算出した。また、Tvis(50h)の値からTvis(0h)の値を減じることにより、可視光透過率の変化(ΔTvis)の値を算出した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2006035756
表3より、実施例6の合わせガラスは、比較例6に比して、可視光透過率の変化が小さいことが確認され、透光性の低下が生じ難いことが判明した。

Claims (5)

  1. 重合度が800〜2300であるポリビニルブチラール樹脂と、銅イオンと、を含有することを特徴とする近赤外光吸収材料。
  2. ホスフィン酸化合物、ホスホン酸化合物、ホスホン酸モノエステル化合物、リン酸モノエステル化合物及びリン酸ジエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物を更に含有することを特徴とする請求項1記載の近赤外光吸収材料。
  3. 可塑剤を更に含有することを特徴とする請求項1又は2記載の近赤外光吸収材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の近赤外光吸収材料からなるシート状成形物。
  5. 透光性基材と、
    前記透光性基材上に設けられた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の近赤外光吸収材料からなる近赤外光吸収層と、
    を備えることを特徴とする積層体。
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